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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1350839 
異議申立番号 異議2018-900290 
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-10-01 
確定日 2019-03-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第6059928号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6059928号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6059928号商標(以下「本件商標」という。)は,「C-Force」の欧文字を別掲のとおりの態様で表してなり,平成29年8月16日に登録出願,第9類「ケーブル接続器,ケーブル接続材料,コンセント,電気接続用プラグ,電気通信機械器具,USB接続方式の充電器,理化学機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電線及びケーブル,携帯用液晶画面ゲームおもちや用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,体重計,充電器,電源装置ならびにその部品および附属品,充電式バッテリー」を指定商品として,同30年6月19日に登録査定され,同年7月6日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下,それらをまとめて「引用商標」という。),いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4712981号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 GEFORCE(標準文字)
指定商品 第9類「集積回路,半導体,チップセット,その他のコンピュータハードウェア」
登録出願日 平成14年7月17日(優先権主張 2002年(平成14年)2月7日)
設定登録日 平成15年9月26日
(2)登録第5121244号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 GEFORCE(標準文字)
指定商品 第9類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。),集積回路,その他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,コンピュータソフトウェア」
登録出願日 平成19年8月9日
設定登録日 平成20年3月21日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第69号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標の周知性について
引用商標は,申立人が日本及び世界において,「集積回路,半導体,集積回路,その他の電子応用機械器具及びその部品」等について使用している著名商標である(甲4?甲69)。
申立人は,アメリカ合衆国力リフオルニア州に本社を置く半導体メーカーで,コンピュータのグラフィックス処理や演算処理の高速化を主な目的とするGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を始めとした製品の開発・販売を行っている世界的企業である。デスクトップパソコンやノートパソコン向けのGPUであるGeForce(ジーフォース)シリーズ,プロフェッショナル向けでワークステーションに搭載されるQuadroやNVSシリーズ,スーパーコンピュータ向けの演算専用プロセッサであるTesla(テスラ),携帯電話やスマートフォン・タブレット端末向けのSoC(システム・オン・チップ)であるTegra(テグラ)の開発販売などを手掛けている(甲4)。申立人は現在,人工知能(AI)にも注力しており,AI分野のリーダーであり,半導体業界を牽引する大きな役割を果たしている。申立人は,アメリカだけでなく,日本を含む海外でも目覚しい成長を遂げている。申立人は,日本法人を立ち上げ,その活動や業績は日本のマスメディアで広く取り上げられている(甲5?甲69)。
申立人は,1993年(平成5年)に創業し,従業員数約1.2万人,2018年会計年度の売上高約97憶ドル,時価総額約1,512憶ドルの事業規模を誇っている(甲8)。
申立人は,上述の「GeForce」シリーズのカードを含むGPUの設計と販売における世界的なマーケットリーダーである。「GPU」はエレクトロニクス業界で定着しているが,もともとは申立人の造語である(甲4,甲8)。申立人は長年にわたり,画像処理やゲーム用のハードウェアとの関連を含め,さまざまな製品との関連で引用商標にかかる「GeForce(ジーフォース)」の商標(以下「使用商標」という。)を使用してきた。申立人のマーケティング,プロモーション,広告,及び販売活動の結果として,使用商標は,申立人の商品及びサービスの出所を示すものとして,広く知られるに至り,申立人の貴重な資産及び申立人が提供する商品・役務の主要な象徴となっている(甲5?甲69)。
以上のとおり,使用商標は,申立人の卓越した技術力と努力により,日本のみならず世界中で広く知られており,日本のメディアにも多く取り上げられている(甲5?甲69)。そして,申立人の使用にかかる引用商標は,本件商標の出願時には米国及び日本を含めた世界各国において申立人の提供する商品を表示するものとして著名になっていた。
(2)本件商標と引用商標の類否について
本件商標は「C-Force」の欧文字からなり,その文字に相応して「シーフォース」の称呼が生じ,引用商標「GEFORCE」は,その文字に相応して「ジーフォース」の称呼が生じる。
本件商標の称呼「シーフォース」と引用商標の称呼「ジーフォース」は,わずかに語頭音において清音「シ」と濁音「ジ」の差異を有するのみで,母音を共通にするだけでなく発声方法も摩擦音であり,近似した音であるため,互いに聴別し難いといえるので,称呼上類似する。
次に,本件商標と引用商標は,それぞれを構成する7文字中,視覚上注意をひく「Force」「FORCE」の5文字を共通にするため,全体として見た場合,相紛らわしく,外観上も類似する商標である。
さらに,観念については,上記のとおり引用商標は,申立人の周知・著名商標であることから,それらを観念するのに対し,本件商標は,称呼上,引用商標と非常に近似しているため,申立人の出所を示す製品を想起させるといえ,その観点から観念上も類似するといえる。
以上より,本件商標は,引用商標に称呼,外観及び観念上類似するものである。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,引用商標2に類似し,その指定商品に使用するものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号について
申立人が提供する商品の出所を表示するものとして著名な引用商標と相紛らわしい本件商標がその指定商品に使用された場合,取引者,需要者をして,その商品が申立人の提供にかかわるものであるかのごとく,あるいは,同人と何等かの経済的・組織的関連があるかのごとく認識され,出所混同を生ぜしめるおそれがあることが極めて高いといわざるを得ない。特に,本件商標の指定商品はコンピュータ・電子応用機械器具の関連商品であることから,かかる商品は申立人の指定商品と密接関連する技術・商品分野に係るものである。
したがって,本件商標がその指定商品に使用された場合には,引用商標との間に出所の混同が生じるおそれが極めて高いといわざるを得ない。
以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,次の事実を認めることができる。
(ア)申立人は,1993年(平成5年)創業の米国カリフォルニア州に本社を置く半導体メーカーであり,従業員数は1.2万人で,2018年(平成30年)度の売上高は97億ドルであった(甲4,甲8)。
(イ)申立人は,使用商標を申立人の製造に係るコンピュータのGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット:画像処理半導体,以下「申立人商品」という。)について使用し,その販売等を行っている(甲4)。
申立人商品を搭載したコンピュータ及び当該商品が新聞等で紹介されていることから,我が国においても,それらが販売等されていると推認できる(甲9,甲10,甲16,甲17 ほか)。
(ウ)しかしながら,使用商標を付した申立人商品に係る記事が掲載されている新聞等はいずれも本件商標の登録出願の日(平成29年8月16日)後のものであり,登録査定の日(平成30年6月19日)以前のものが5件(甲11,甲12,甲20?甲22)あるのみである。
また,申立人商品の我が国における売上高など販売実績に係る主張はなく,その証左も見いだせない。
そして,「GEFORCE」の文字が確認できるのは,申立人のウェブページ(甲4)のみである。
イ 上記アの事実からすれば,申立人商品は,本件商標の登録出願時には,我が国におけるGPU及びコンピュータの需要者の間にある程度知られていることがうかがえるものの,同需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
したがって,使用商標及び引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,いずれも他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は,上記1のとおり「C-Force」の欧文字を別掲のとおりの態様で表してなるところ,該文字は,辞書等に載録がなく,造語と認められるものである。
そうすると,本件商標は,該文字に相応した「シーフォース」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標2は,上記2のとおり「GEFORCE」の欧文字を標準文字で表してなるところ,該文字は,辞書等に載録がなく,造語と認められるものであり,該文字に相応した「ジーフォース」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
ウ そこで,本件商標と引用商標2の類否を検討すると,本件商標は,別掲のとおり,多少デザイン化された欧文字及び「-」(ハイフン)の記号から構成されているのに対して,引用商標2は,標準文字による欧文字のみによって,構成されているから,両者は,外観において,一見してその態様が異なるばかりでなく,つづり字の比較においても,語頭部の「C-」の文字及び記号と「GE」の文字の差異により容易に区別し得るものとみるのが相当である。
次に,本件商標から生じる「シーフォース」の称呼と引用商標2から生じる「ジーフォース」の称呼を比較すると,両者は称呼の識別上重要な要素である語頭において,「シ」と「ジ」の音に差異を有するものであり,該差異が清音と濁音の差異であっても,共に長音を含む5音という短い音構成である称呼全体に与える影響は少なくなく,両者をそれぞれ一連に称呼しても聴別し得るものと判断するのが相当である。
さらに,観念においては,両商標は共に特定の観念を生じないものであるから,比較できないものである。
そうすると,本件商標と引用商標2は,外観及び称呼において区別(聴別)し得るものであり,観念において比較できないものであるから,両者の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
エ なお,申立人は,本件商標と引用商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点においても類似する旨主張しているが,両商標は上記のとおり,外観,称呼において区別(聴別)し得るのであり,観念において比較できないものであって,非類似の商標というべきものであるから,かかる主張は採用できない。
オ 以上のとおり,本件商標は,引用商標2と非類似の商標であるから,本件商標の指定商品中に引用商標2の指定商品と同一又は類似の商品を含むとしても,商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり,上記(2)のとおり本件商標は,引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
そうすると,本件商標は,これに接する取引者,需要者が,引用商標を連想又は想起するものということはできない。
してみれば,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
また,上記(1)のとおり,使用商標も,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは,認められない。
そして,使用商標は,2文字目の「e」と4文字目ないし7文字目の「orce」の文字が小文字ではあるが,引用商標と同じ文字つづりである。
そうすると,本件商標と使用商標は,本件商標と引用商標と同様に,外観及び称呼において区別(聴別)し得るものであり,観念において比較できないものであるから,両者は非類似の商標であって,別異の商標というべきものであり,本件商標は,使用商標との関係でも,商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといえる。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標)


異議決定日 2019-03-20 
出願番号 商願2017-106829(T2017-106829) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W09)
T 1 651・ 271- Y (W09)
T 1 651・ 262- Y (W09)
T 1 651・ 261- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 齋藤 健太浦崎 直之 
特許庁審判長 薩摩 純一
特許庁審判官 大森 友子
榎本 政実
登録日 2018-07-06 
登録番号 商標登録第6059928号(T6059928) 
権利者 深セン市楽得瑞科学技術有限公司
商標の称呼 シイフォース、フォース 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 森本 久実 
代理人 石田 昌彦 
代理人 原田 貴史 

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