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審決分類 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W41
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W41
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W41
管理番号 1350755 
審判番号 無効2018-890054 
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-07-13 
確定日 2019-03-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第5990529号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5990529号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5990529号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成29年2月17日に登録出願、第41類「スロットマシン場・ぱちんこホールの提供,娯楽施設の提供,携帯電話を利用したゲームの提供,オンラインによるゲームの提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,通信を用いて行う映像又は画像の提供,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,録音済み・録画済み記録媒体の貸与」を指定役務として、同年9月13日に登録査定、同年10月20日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由において、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号に該当するとして引用する登録第4456004号商標は、「777」の数字を横書きしてなり、平成8年11月20日に登録出願、第12類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、同13年3月2日に設定登録され、その後、同年4月20日に指定商品が「ジェット旅客機」に更正され、同23年1月4日に商標権の存続期間の更新がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第35号証を提出した。
1 請求人について
請求人は、主に、ジェット旅客機及び防衛・宇宙・セキュリティシステムを製造販売する米国企業であり、1916年に米国ワシントン州で設立され、100年以上の歴史を有する。米国を含めて65以上の国に従業員を有し、全体の従業員の数は14万人を超える世界有数のグローバル大企業である。2016年度の収益は約946億ドルであり、請求人の商品及びサービスは150以上の国の顧客に提供されている(甲3)。
請求人の事業の中では、ジェット旅客機事業が最も顕著であるところ、世界で使用されているジェット旅客機の約半数が請求人により製造されたものである。また、世界の貨物の約90%が請求人の貨物機によって運ばれている(甲4)。
請求人は、日本の市場及び企業に対しては、60年以上の関係を有する。1953年に初の日本事務所を開設し、1964年に、日本航空株式会社及び全日本空輸株式会社が請求人のジェット旅客機を購入して以来、日本におけるシェアは伸びていき、日本のジェット旅客機市場における請求人のシェアは80%以上を占めており、現在は7社に導入されている(甲5)。
このように長い歴史と圧倒的な実績により、請求人は、日本及び世界各国で著名な企業となっている。
2 引用商標の著名性について
(1)引用商標に関する使用、広告等に関する実績について
引用商標は、主に請求人のジェット旅客機に使用されている商標である。ジェット旅客機という商品の性質上、商標は商品自体に付されるのに加えて、ウェブサイトを含む広告や取引書類などに主に付されている(甲6)。
引用商標に係るジェット旅客機は、米国のユナイテッド航空により1990年に初めて受注され、1995年より運航が開始され(甲7)、日本においては、1992年に日本航空株式会社が発注し、1996年に初めての渡航となった。
よって、日本においては、少なくとも26年以上、引用商標は使用されている。
引用商標に係るジェット旅客機は、世界中の航空会社に用いられている(甲8)。日本においては、二大大手航空会社である日本航空株式会社と全日本空輸株式会社により引用商標に係るジェット旅客機は使用されている。2014年度には、その高い信頼性により、引用商標に係るジェット旅客機を日本の次期政府専用機とすることが決定された(甲9)。
引用商標に係るジェット旅客機の受注数は、2018年4月までに1,967であり、納品済みの機体の数は、1,547となる。本件商標の出願日である2017年2月までの日本における実績は、日本航空株式会社による発注数及び納品数が46、全日本空輸株式会社による発注数が83、納品数が57となっている(甲10)。
ジェット旅客機は、製造に多大なコストを要するため、大量生産する商品ではないことに鑑みると、これらの数字は極めて膨大なものであることが理解できる。
2004年には、引用商標に係るジェット旅客機の納品数は500となり、これは、双通路民間機史上、最短期間での達成となった(甲11)。
引用商標に係るジェット旅客機の価格は、1機につき約2億9千5百万ドルから4億2千5百万ドルである(甲12)。この価格に、日本における現在までの納品数を単純に掛け合わせると、日本だけでも約3百億ドルから4百億ドルもの売り上げがある。
上記のように、引用商標に係るジェット旅客機は、長期にわたって大量に製造販売されているため、その広告宣伝の期間も長く、規模も極めて大きいものであることが容易に理解できる。引用商標に係る出願に関して平成10年6月29日付で提出した意見書にて提示した日本における広告実績においても、平成10年度において既に約14万ドルの広告費を費やしていることが分かる(甲13)。
当時から20年近く経った本件商標の出願時及び登録時においては、その広告費がより巨額のものとなっていたことは自明である。
引用商標に係るジェット旅客機は種々の賞を受賞している。1992年には客室内デザインに対して、1993年にはフライト・デッキデザインに対し、米インダストリアル・デザイナー協会よりインダストリアル・デザインエクセレンス賞を受賞した。1995年にも、米航空協会より、航空業界最高の栄誉と言われるロバートJ.コリア賞を受賞した。2000年にはポピュラー・サイエンス誌の選ぶトップ100に、引用商標に係るジェット旅客機がリストされた。
引用商標に係るジェット旅客機は、1997年には、国際航空連盟より、同クラスの民間機における速度と航続距離の新記録を樹立したことを公認され、2005年にはジェット旅客機としての航続距離世界最長記録を更新した。さらに、香港を離陸後、東回りで太平洋、北米大陸、大西洋を横断し、ロンドンまで22時間42分かけて飛行し、記録を樹立した。当該記録は、米航空協会、国際航空連盟、ギネスブックにより公認されている。これらの賞及び記録の実績は、請求人のウェブサイトで公表されている(甲11)。
上記のように、引用商標に係るジェット旅客機は、十分な実績を有し、かつ、広く知られているため、引用商標は、本件商標の出願時及び登録時において、ジェット旅客機に関して著名となっていたことが明らかである。
(2)請求人以外による引用商標への言及について
インターネット検索サイト「Google」において、「777 ジェット旅客機」と検索し、本件商標の出願日前の検索結果上位95位を調べたところ、ほぼ全てが引用商標に係るジェット旅客機への言及であった(甲14)。
同様に、「777 空港」と検索したところ、上位64件のうち約8割が引用商標に係るジェット旅客機への言及であった。また、これらの検索結果の多くが請求人以外の者によるウェブサイトである(甲15)。
これにより、引用商標とジェット旅客機及び関連する物事との結びつきが強いことが理解できる。
書籍に関しては、引用商標に係るジェット旅客機をテーマとした書籍又はそれを特集した雑誌が、本件商標の出願日前に多数出版されている(甲16)。
また、ジェット旅客機に関する書籍及び子供向けの書籍で、引用商標に係るジェット旅客機を取り扱っているものも、本件商標の出願日前に複数出版されている(甲17、甲18)。このように、多数の書籍の題材として取り上げられたり、紹介されていることから、引用商標に係るジェット旅客機は特筆すべきものとして多くの者に認識されていることが分かる。
また、このように多数の書籍が発行されていることは、引用商標に係るジェット旅客機を知る機会が多いことを意味する。加えて、ジェット旅客機の需要者は大人が多いものの、子供向けの多くの書籍において取り上げられ、引用商標に係るジェット旅客機が子供にも認知されている。
これらのことから、引用商標は、本件商標の出願時及び登録時において、ジェット旅客機について著名となっていたことが理解できる。
(3)請求人以外の者による引用商標と同一又は類似する標章の使用について
引用商標は、特に特徴を有しない書体で数字3つから構成される商標である。このような構成からなる商標は一般的に識別力が弱く、商標登録を認められない傾向にある。しかしながら、引用商標は、その出願において、ジェット旅客機について自他商品の識別力を有していると最終的に判断され、商標登録された。その理由としては、出願当時既に引用商標に係るジェット旅客機が日本において親しまれており、多数の導入実績があること等が挙げられている(甲19)。
すなわち、引用商標は、構成それ自体は識別力が高いとはいえないものの、引用商標の周知性や引用商標が専ら請求人によって使用されていることに鑑みて登録されたものである。
また、上記の「Google」における検索結果からも分かるように、引用商標は、ジェット旅客機に関しては専ら請求人により使用され、その製造販売するジェット旅客機に関して、数字3桁からなり最初と最後の数字が7である商標(「7_7」)を複数使用しているため、「767」や「787」といった商標を使用したジェット旅客機も存在するが、それらは全て請求人が製造販売するものである(甲6)。
よって、ジェット旅客機について、請求人以外の者による引用商標と同一又は類似する標章の使用は見られない。
(4)引用商標の著名性について
上記の事実、及びジェット旅客機という商品の性質上、需要者は日本全国にわたることを総合的に勘案すれば、引用商標が、本件商標の出願及び登録時において、ジェット旅客機について全国的に広く認識されており、著名であったことは明らかである。
また、上述したように、引用商標は周知性を認められ登録されたものであるが、請求人は、引用商標の登録時よりさらに多くの引用商標に係るジェット旅客機を製造販売しており、数々の賞や記録も有している。これらを考慮すると、引用商標の周知性は、その登録時よりも一層高くなっており、本件商標の出願及び登録時において、ジェット旅客機について著名であったことが理解できる。
さらに、引用商標は、外国においても、長期にわたって広範囲に使用されているため、本件商標の出願及び登録時において、外国においても著名な商標であったことが理解できる。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上から順に、欧文字「PACHINKO&SLOT」、片仮名「エアポート」及び数字「777」並びに欧文字「AIRPORT」及び数字「777」を配置し、「エアポート」及び「777」の左にジェット旅客機の図形を、「エアポート」及び「777」と「AIRPORT」及び「777」との間に直線を配置してなるものである。色彩については、全て青で着色されている。文字の大きさに関しては、「エアポート」及び「777」が最も大きく、「AIRPORT」及び「777」、「PACHINKO&SLOT」の順に小さくなっている。
上述したように、引用商標は、ジェット旅客機について著名となっているところ、本件商標は、ジェット旅客機の図形を配し、ジェット旅客機関連の物事と関連が深いものである。例えば、「777 空港」と検索した場合、多くのウェブサイトが引用商標に言及している(甲15)。ここで、本件商標は、空港を意味する英単語「AIRPORT」及びその片仮名読み「エアポート」を含んでいる。「777」が、「PACHINKO&SLOT」の欧文字及び本件商標の指定役務である「スロットマシン場・ぱちんこホールの提供」等に関して、大当たりを意味するにせよ、引用商標である「777」と、引用商標が著名であるジェット旅客機の図形並びに引用商標と関連が深い「AIRPORT」及び「エアポート」の文字とを組み合わせることは、上述した事実に鑑みれば、偶然とは考えられない。
「777」の文字、ジェット旅客機の図形、並びに「AIRPORT」及び「エアポート」の文字の組み合わせによって、引用商標及び引用商標に係るジェット旅客機が否応なく想起又は連想される。
よって、本件商標の構成に鑑みれば、商標権者が、ジェット旅客機について著名である引用商標及び引用商標に係るジェット旅客機を想起又は連想させることを意図して、本件商標を出願及び登録したことは明らかである。また、商標権者は、引用商標又はそれとの関連性をうかがわせる商標を使用、出願又は登録することに関して、請求人から承諾は得ていない。
商標権者は、日本各地において、パチンコ店「エアポート777」を運営し(甲20)、当該パチンコ店のウェブサイトにて本件商標を使用している。また、商標権者は、当該パチンコ店の静岡店舗のオープン(2011年)の際にチラシを配布しており、当該チラシの裏面には、店のキャラクターの対談という形式でパチンコ店の説明を記載し、そのチラシ内には、「ボーイング社の最新鋭ジェット機の名前」として本件商標に関する記載がある(甲21)。
さらに、「パチンコ日報」と称するブログは、「エアポート777」の静岡店舗のチラシを継続して紹介しており(甲22)、上記対談の中身を書き写した投稿がある(甲23)。
このように、商標権者は、引用商標及び引用商標に係るジェット旅客機の存在を本件商標の出願前から知っていたことが明らかである。また、当該チラシの記載は、本件商標における「777」の部分が引用商標に、そして本件商標におけるジェット旅客機の図形が引用商標に係るジェット旅客機に基づいていることを証明している。
本件商標の構成を客観的に見ただけでも、商標権者が、引用商標及び引用商標に係るジェット旅客機を想起又は連想させることを意図して、本件商標を出願及び登録したことは明らかであるが、当該チラシの記載の存在は、商標権者が実際にこのような意図を有していたことを証明している。
引用商標がジェット旅客機に関して著名であるため、本件商標に接した需要者は、「777」の文字、ジェット旅客機の図形、並びに「AIRPORT」及び「エアポート」の文字の組み合わせにより、引用商標及び引用商標に係るジェット旅客機を想起し、本件商標の指定役務はジェット旅客機と深い関係を有している。よって、商標権者が、引用商標の周知性及び顧客吸引力に便乗して、不当な利益を得ようとの目的をもって登録出願したことは明らかである。
したがって、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないため、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものである。
また、請求人は、米国を代表するグローバル企業の一つであり、引用商標に係るジェット旅客機は日本国政府専用機としても採用されている。
このように、請求人の事業及び引用商標に係るジェット旅客機は、国際経済及び国際政治においても重要なものであるところ、引用商標の著名性にフリーライドし、請求人に不利益を与えるような商標の登録を認めることは、一般に国際信義にも反する。この点からも、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の著名性について
引用商標は、ジェット旅客機に関して、本件商標の出願時及び登録時において、日本国内及び外国において著名であった。
(2)本件商標と引用商標との関連性について
本件商標と引用商標は、「777」の文字を共通に有する。また、引用商標が、ジェット旅客機に関して著名であるところ、本件商標は、ジェット旅客機の図形並びにジェット旅客機と関連が深い空港を意味する「AIRPORT」及び「エアポート」の文字と、引用商標と同一の「777」の文字とを組み合わせたものである。
したがって、本件商標は、著名な商標である引用商標と他の要素とを結合したものであり、引用商標を想起・連想させる程の関連性を引用商標に対して有している。
(3)引用商標の構成上顕著な特徴について
引用商標は、数字の「7」を3つ並べて構成される商標であり、既存の単語等ではなく、造語に該当する。また、請求人は、その製造販売するジェット旅客機に関して、数字3桁から成り最初と最後の数字が7である商標(「7_7」)を多数使用しており、引用商標も、そのシリーズの1つとして採用されたものである。
よって、引用商標には、請求人が使用する一連の商標の特色が強く反映されており、その構成上顕著な特徴を有するものである。
(4)引用商標の請求人の業務における位置付けについて
引用商標は、請求人のハウスマークではないものの、著しい使用実績を有するものであり、請求人の業務を代表する商標といえる。
したがって、引用商標は、請求人が使用するシリーズ商標の1つとして、ハウスマーク並に広く浸透し、高い周知性を有している商標といえる。
(5)請求人による多角経営の可能性について
大規模な企業は一般に種々の業種に業務を拡大する傾向にあるところ、請求人は、主にジェット旅客機及び防衛・宇宙・セキュリティシステムを製造販売する巨大な規模を有する企業であるため、多角経営の可能性が高いといえる。
実際に、請求人は、ジェット旅客機及び防衛・宇宙・セキュリティシステムの製造・販売並びにそれらに関連する業務の他に、パイロットやエンジニアの教育サービス(甲25)、金融サービス(甲26)を提供する他、衣服、模型、書籍、玩具、ステッカーやマグネットなどのコレクション商品、アクセサリー、旅行グッズ、オフィス用品、家具等、多種多様な商品を販売している(甲27)。請求人はこれらの商品をオンライン販売しているだけでなく、米国に実店舗も有しており、2018年中には日本においても実店舗を開く予定である(甲28)。
(6)商品/役務間の関連性について
引用商標は、ジェット旅客機に関して著名となっているところ、ジェット旅客機は、模型を収集したり、機体を撮影する等を行う一定のファンが存在し、趣味の対象及び一種のコンテンツとして成立している。
パチンコ及びパチスロにおいては、漫画やアニメ等のコンテンツとタイアップすることが一般的となっており、漫画、アニメ、ゲーム、映画、ドラマ等のみでなく、著名人、架空のキャラクター、スポーツカー等もタイアップ例として挙げられている(甲29)。
したがって、引用商標に係るジェット旅客機も、パチンコ及びパチスロのタイアップの対象となり得るものである。実際に、インターネット上のQ&Aサイトにおいて、引用商標に係るジェット旅客機を題材としたパチンコがあるかどうかを質問している者もいる(甲30)。
この点から、ジェット旅客機は、本件商標の指定役務中「スロットマシン場・ぱちんこホールの提供」と関連性を有している。
航空機の模擬操縦を行うフライトシミュレーションは、パイロットの訓練だけでなく、ゲームの一ジャンルとして定着している(甲31)。フライトシミュレーションゲームには、PC用ゲーム等の主に家庭でプレイするゲームだけでなく、ゲームセンターなどの娯楽施設に設置されているアーケードゲーム機によるゲームも存在する。フライトシミュレーションゲームには、特定の実在する航空機を取り上げたゲームもあり、実際に、引用商標に係るジェット旅客機が題材となったアーケードゲームが1999年にリリースされている(甲32)。
また、引用商標に係るジェット旅客機のコックピットを再現したシミュレーターが東京にあり、一般人がアトラクションとして体験することができる(甲33)。
さらに、ジェット旅客機の機内ではゲームを提供することが一般的に行われている。
これらの点から、ジェット旅客機は、本件商標の指定役務中「娯楽施設の提供、遊園地用機械器具の貸与、遊戯用器具の貸与、携帯電話を利用したゲームの提供、オンラインによるゲームの提供」と関連性を有している。
上述したように、ジェット旅客機は、ファンが存在しており、趣味の対象及び一種のコンテンツとして成立している。よって、ジェット旅客機を題材とした映像コンテンツも多く販売されている。実際に、引用商標に係るジェット旅客機を題材とした映像作品も販売されている(甲34)。
また、ジェット旅客機の機内では、映像や音楽・音声を提供することが一般的に行われている。この点から、ジェット旅客機は、本件商標の指定役務中「通信を用いて行う映像又は画像の提供、レコード又は録音済み磁気テープの貸与、録画済み磁気テープの貸与、録音済み・録画済み記録媒体の貸与」と関連性を有している。
指定役務「興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」は、「航空ショーの企画・運営又は開催」を含むところ、当該役務は、ジェット旅客機と極めて関連性の高いものである。航空ショーでは、新型機の発表等が行われることも多く、実際に、請求人も引用商標に係るジェット旅客機の最新版を過去の航空ショーで発表したことがある(甲35)。
また、当該指定役務は、「ぱちんこ大会の企画・運営又は開催」や「ゲームに関するイベントの企画・運営又は開催」等も含み、上述した理由により、これらの役務とジェット旅客機は関連性がある。
よって、ジェット旅客機は、本件商標の指定役務中「興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」と関連性を有している。
さらに、上述したようにジェット旅客機を扱った書籍は多数出版されており、かつ、模型等のジェット旅客機のおもちゃが多く製造販売されていることは周知の事実である。
よって、ジェット旅客機は、本件商標の指定役務中「電子出版物の提供、図書及び記録の供覧、図書の貸与、おもちゃの貸与」と関連性を有している。
このように、ジェット旅客機は、本件商標の指定役務の全てと関連性を有している。
(7)商品、役務の需要者の共通性について
ジェット旅客機は、交通手段であり、基本的に誰でも利用することができるため、需要者は特に限定されない。
本件商標の指定役務中「スロットマシン場・ぱちんこホールの提供」に関しては、需要者の年齢について18歳以上という制限があるが、それ以外については特段需要者は限定されない。また、その他の役務については、特に需要者は限定されない。
よって、ジェット旅客機の需要者は、18歳以上の者も当然含むため、役務「スロットマシン場・ぱちんこホールの提供」の需要者と共通しており、本件商標のその他の指定役務に関しては、いずれも特に限定されないので、需要者は共通している。
(8)出所の混同のおそれについて
上述した(1)ないし(7)の点に鑑みると、本件商標をその指定役務に使用した場合、これに接する需要者は、本件商標の構成中の「777」の文字と、ジェット旅客機の図形並びに空港を意味する「AIRPORT」及び「エアポート」の文字との組み合わせに強く注意をひかれ、当該部分より、引用商標又は請求人を連想又は想起し、当該役務が請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の需要者が役務の出所について混同するおそれがある。
また、本件商標は、著名である引用商標と他の文字及び図形とを結合した商標であり、引用商標は既成語の一部となっておらず、かつ、本件商標の指定役務とジェット旅客機は上述したように密接な関連性を有する。
よって、本件商標は、上記のとおり他人の著名な商標を一部に有する商標として、請求人の業務に係る商品又は役務と出所の混同を生ずるおそれがある商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は、請求人の業務に係るジェット旅客機を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されている。
本件商標は、著名である引用商標と他の文字及び図形を結合したものであるため、本件商標は引用商標と類似するものである。
なお、引用商標が既成語の一部となっていることはない。
商標法第4条第1項第7号に関して上述したように、商標権者が、引用商標の周知性及び顧客吸引力に便乗して、不当な利益を得ようとの目的をもって登録出願したことは明らかである。
よって、本件商標は不正の目的をもって使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号又は同第19号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は同法46条第1項の規定により無効とすべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 基本的主張内容
引用商標が、請求人の商標としてその指定商品「ジェット旅客機」について周知であることは認める。
しかしながら、被請求人は、請求人の引用商標の周知性に便乗して不正な目的で、本件商標を登録したのではない。また、被請求人が本件商標を使用しても、引用商標との間で誤認混同は生じず、商標の希釈化も生じないといえる。
(1)「777」の数字について
まず、数字のみからなる商標は、原則として商標法第3条第1項第5号に該当し、識別性を有さないことを理由に登録が認められない。その上、本件商標の指定商品(役務)「スロットマシン場・ぱちんこホールの提供」においては、「777」の数字は「大当たり」を意味する数字として一般的に知られている(乙1)。
そうすると、本件商標の指定商品(役務)「スロットマシン場・ぱちんこホールの提供」に「777」の文字を使用しても、識別力を発揮し得ないといえるから、本件商標の構成中で、需要者が「777」の部分のみを抽出して特に着目する可能性は低いといえる。
(2)指定商品(役務)の関連性について
請求人の企業規模の大きさから、様々な商品(役務)を提供する可能性がある点については認める。また、ジェット旅客機は、模型収集や撮影を行う一定のファンが存在することは認める。このため、例えば、「おもちゃの飛行機、飛行機模型おもちゃ、飛行機による輸送、模型飛行機競技会の企画・運営又は開催、写真の撮影」等の商品(役務)については、ジェット旅客機を好む需要者が対象となり得ると考えられるため、商品「ジェット旅客機」と関連性を有しているとも考えられる。
しかしながら、本件商標の指定商品(役務)は、特に「ジェット旅客機」に関連している点はなく、特にジェット旅客機を好む需要者が対象となるとはいえない。また、パチンコ及びパチスロが、漫画、アニメ、ゲーム等とタイアップすることがあることをもって、商品「ジェット旅客機」と「スロットマシン場・ぱちんこホールの提供」が関連性を有しているとはいえない。
(3)出所混同及び商標の希釈化が生じない点について
本件商標を指定商品(役務)「スロットマシン場・ぱちんこホールの提供」に使用した場合に、需要者が「777」の部分にのみ着目するとはいえない。
また、本件商標の指定商品(役務)と商品「ジェット旅客機」は、関連性を有していないことから、本件商標が飛行機の図形、「エアポート」の文字及び「777」を組み合わせているからといって、本件商標に接した需要者が、請求人の業務に係る商品(役務)であると誤認混同を生じさせるとはいえない。
さらに、請求人は、インターネット検索サイトGoogleにおいて「777 ジェット旅客機」及び「777 空港」と検索した結果のほとんどが、引用商標に関するものであったと主張している。
しかしながら、Googleにおいて「エアポート 777」と検索した結果、そのほとんどが被請求人が運営するパチンコ店に関するものである(乙2)。
これは、日本人の多くが普段から空港や飛行機を利用する際に「空港」を「エアポート」と称していないことが理由であると思われる。このため、「エアポート」の文字が「空港」を意味するとしても「エアポート 777」と検索した際に引用商標に関するものがほとんどヒットしないと考えられる。
そうすると、たとえ「エアポート」が「空港」を意味するとしても、「エアポート」と「777」の文字及び飛行機の図形を組み合わせたことにより、直感的に「空港」や「旅客機」が想起させ、請求人の業務に係る役務であるとの誤認が生じるとはいえない。
つまり、被請求人が本件商標を使用しても、引用商標との間で誤認混同は生じず、商標の希釈化も生じない。
2 無効理由の該当性について
(1)上述のとおり、被請求人は、請求人の周知商標に便乗して不正な目的で本件商標を出願し、登録を受けたのではなく、出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあるとはいえない。つまり、本件商標が登録されたことは、商標法の予定する秩序に反するものとはいえず、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(2)上述のとおり、被請求人が本件商標を使用しても、引用商標との間で誤認混同は生じず、商標の希釈化も生じない。つまり、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)さらに、被請求人に不正の目的がなく、本件商標と引用商標との間で誤認混同は生じず、商標の希釈化も生じないことから、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
3 まとめ
以上により、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではない。

第5 当審の判断
請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係について争いがないから、本案について判断する。
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の著名性
請求人提出の証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。
ア 請求人は、ジェット旅客機等を製造販売する米国企業であり、100年以上の歴史を有する国際的企業である。請求人の事業の中では、ジェット旅客機事業が最も顕著であるところ、1953年に初の日本事務所を開設し、1964年に、日本航空株式会社及び全日本空輸株式会社が請求人のジェット旅客機を購入して以来、日本におけるシェアは伸びていき、日本のジェット旅客機市場における請求人のシェアは80%以上を占めるとされている(甲4、甲5)。
イ 引用商標は、主に請求人のジェット旅客機に使用されている商標である。ジェット旅客機という商品の性質上、商標は商品自体に付されるのに加えて、ウェブサイトの広告などに使用されている(甲6)。
引用商標に係るジェット旅客機は、米国のユナイテッド航空により1990年に初めて受注され、1995年より運航が開始されており(甲7)、日本においては、1992年に日本航空株式会社が発注し、1996年に初めての渡航以来、26年以上、運航されている。
引用商標に係るジェット旅客機は、世界中の航空会社に採用されている(甲8)。日本においては、日本航空株式会社と全日本空輸株式会社により採用されており、2014年度には、日本の次期政府専用機とすることが決定された(甲9)。
引用商標に係るジェット旅客機の受注数は、2018年4月までに1,967であり、納品済みの機体の数は、1,547となっている(甲10)。
引用商標に係るジェット旅客機の価格は、1機につき約2億9千5百万ドルから4億2千5百万ドルである(甲12)。
上記のように、引用商標に係るジェット旅客機は、長期にわたって相当数の機体が製造販売されているため、その広告宣伝の期間も長く、規模も極めて大きいものであって、本件商標の登録出願時及び登録査定時においては、その広告費がより巨額のものとなっていたことが推認できる。
ウ 引用商標に係るジェット旅客機は、1992年には客室内デザインに対して、1993年にはフライト・デッキデザインに対し、米インダストリアル・デザイナー協会よりインダストリアル・デザインエクセレンス賞を受賞し、また、1996年には、米航空協会より、ロバートJ.コリア賞を受賞した(甲11)。
また、引用商標に係るジェット旅客機は、1997年には、国際航空連盟より、同クラスの民間機における速度と航続距離の新記録を樹立したことが公認され、2005年にはジェット旅客機としての航続距離世界最長記録を更新した。さらに、香港を離陸後、東回りで太平洋、北米大陸、大西洋を横断し、ロンドンまで22時間42分かけて飛行し、記録を樹立した。当該記録は、米航空協会、国際航空連盟、ギネスブックにより公認されている。これらの賞及び記録の実績は、請求人のウェブサイトで公表されている(甲11)。
エ 小括
上記アないしウによれば、請求人は、世界有数のジェット旅客機の製造企業であり、我が国において、引用商標に係るジェット旅客機は、1992年以降、26年以上にわたって採用されており、我が国におけるジェット旅客機に占めるマーケットシェアも高く、大規模な広告宣伝を行い、航空業界において栄誉とされる数々の賞を受け、各種記録も公認されている等、当該分野において名声と信用を築いてきたものといえる。
そして、該ジェット旅客機の機体若しくはその宣伝広告等に引用商標が継続して使用され、その名称として広く認識されているといい得るものである。
してみれば、引用商標は、本件商標の登録出願前より、請求人の業務に係る商品「ジェット旅客機」を表示するものとして、我が国の取引者、需要者間に広く認識され、全国的に著名となっていたものと判断するのが相当である。
なお、被請求人は、引用商標が請求人の業務に係るジェット旅客機について使用され、著名となっていることについては認めている。
(2)本件商標と引用商標との類似性
ア 本件商標
本件商標は、別掲のとおり、ジェット旅客機とおぼしき飛行機のシルエット図形の右横に大きく表された片仮名「エアポート」と数字「777」とを結合した部分に下線が付され、その上下に「PACHINKO&SLOT」、「AIRPORT777」の文字が小さく配されているものであり、全体が青色に着色されているものである。
イ 引用商標
引用商標は、前記第2のとおり、「777」の数字を書してなるものであり、申立人の業務に係るジェット旅客機を表すものとして著名な商標といえる。
ウ 本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標と引用商標は、上記ア及びイのとおりの構成態様よりなるところ、本件商標は、ジェット旅客機とおぼしき飛行機のシルエット図形や、「飛行場」を意味する「エアポート」及び「AIRPORT」の文字を有するものであって、飛行機と関連付けた商標であると容易に理解されることから、その構成中の「777」が、パチンコ等の大当たりを意味する数字であるとしても、これに接する需要者、取引者をして、請求人の業務に係るジェット旅客機を表示するものとして著名な引用商標を容易に想起、連想させるものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成中に、請求人の業務に係るジェット旅客機に使用し、著名な商標と共通する「777」の数字を顕著に有するものということができるから、本件商標と引用商標の類似性の程度は相当程度高いものといえる。
(3)本件商標の指定役務と請求人の業務に係る商品との関連性の程度
本件商標は、その指定役務を第41類「スロットマシン場・ぱちんこホールの提供,娯楽施設の提供,携帯電話を利用したゲームの提供,オンラインによるゲームの提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,通信を用いて行う映像又は画像の提供,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,録音済み・録画済み記録媒体の貸与」とするものである。
一方、引用商標は、商品「ジェット旅客機」に使用され、高い著名性を有している商標である。
そして、シミュレーションゲームを始めとしたゲームの提供ないし娯楽施設の提供の分野においては、飛行機を題材としたものが少なくないものであり、また、映像や音楽・音声の提供の分野においても、ジェット旅客機を題材とした映像コンテンツも多く販売されている実情が認められる。さらに、「興行の企画・運営又は開催」に含まれる「航空ショーの企画・運営又は開催」においては、当該役務とジェット旅客機との関連性は極めて高いものであるといえる(甲31?甲35)。
そうすると、本件商標の指定役務とジェット旅客機とは、その役務の題材、あるいはコンテンツ等として密接な関連性を有しているとするのが相当である。
(4)請求人による多角経営の可能性
請求人は、ジェット旅客機及び防衛・宇宙・セキュリティシステムの製造・販売並びにそれらに関連する業務の他に、パイロットやエンジニアの教育サービス、金融サービスを提供する他、種々の商品も販売している等、幅広い分野にわたって事業活動を行ってきている(甲4、甲5、甲25?甲27)。
そうすると、世界有数の航空機製造業者である請求人が、今後も各種役務や商品に係る事業活動を拡大していくことは十分考えられるところであり、請求人の企業における多角経営の可能性は高いものであるといえる。
なお、被請求人は、請求人の多角経営の可能性については認めている。
(5)取引者及び需要者の共通性
請求人は、ジェット旅客機は、交通手段であるから、需要者は特に限定されないと主張している。
しかしながら、商品としてのジェット旅客機の取引者、需要者は、主に輸送の業務を行う航空会社であるというべきであるから、本件商標の指定役務の需要者である一般消費者とは異なるというべきであり、両者の取引者及び需要者は、共通しているとはいい難いものである。
(6)出所の混同を生ずるおそれ
上記(1)ないし(5)を総合勘案すれば、引用商標は、上記(1)のとおり、請求人の業務に係る商品ジェット旅客機を表示するものとして、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められるものである。
また、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、その類似性の程度は相当程度高いものといえる。
さらに、上記(3)及び(4)のとおり、本件商標の指定役務は、ジェット旅客機と関連性があるとみるのが相当であり、請求人の多角経営の可能性もあることなどを併せ考慮すれば、取引者、需要者が必ずしも共通しないとしても、本件商標をその指定役務について使用した場合には、これに接する取引者、需要者をして、引用商標あるいは請求人を想起、連想させ、その役務が請求人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(7)被請求人の主張について
被請求人は、本件商標の指定役務とジェット旅客機とは、関連性を有していないことから、誤認混同を生じさせない旨主張する。
しかしながら、上記認定のとおり、請求人は、経営の多角化の可能性があること、引用商標は、請求人の業務に係るジェット旅客機を表示するものとして、極めて高い著名性を有していること、本件商標と引用商標との類似性の程度が高いこと、本件商標の指定役務の娯楽施設やゲーム関連の役務とジェット旅客機とが関連性がないとはいえないことなどを併せ考慮すれば、本件商標は、これをその指定役務について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、著名な引用商標と同一の数字よりなる「777」部分に着目し、請求人を想起するものとみるのが相当であって、該役務の提供者が請求人若しくは同人と何らかの関係を有する者であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれが高いというべきであるから、被請求人の主張は採用できない。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであり、その登録は同条第1項の規定に違反してされたものであるから、その余の無効理由について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標:色彩については原本参照。)



審理終結日 2019-01-23 
結審通知日 2019-01-28 
審決日 2019-02-13 
出願番号 商願2017-18988(T2017-18988) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (W41)
T 1 11・ 22- Z (W41)
T 1 11・ 222- Z (W41)
最終処分 成立  
前審関与審査官 旦 克昌 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 鈴木 雅也
冨澤 美加
登録日 2017-10-20 
登録番号 商標登録第5990529号(T5990529) 
商標の称呼 パチンコアンドスロットエアポートシチシチシチ、パチンコアンドスロットエアポートナナナナナナ、パチンコアンドスロットエアポートスリーセブン、パチンコアンドスロットエアポートナナヒャクナナジューナナ、パチンコアンドスロットエアポートセブンセブンセブン、パチンコアンドスロット、パチンコスロット、エアポートシチシチシチ、エアポートナナナナナナ、エアポートスリーセブン、エアポートナナヒャクナナジューナナ、エアポートセブンセブンセブン、エアポート 
代理人 久保 怜子 
代理人 行田 朋弘 
代理人 小暮 理恵子 
代理人 大槻 聡 

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