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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 W28
審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W28
審判 査定不服 観念類似 取り消して登録 W28
管理番号 1350726 
審判番号 不服2018-7421 
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-30 
確定日 2019-04-02 
事件の表示 商願2017- 40105拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は,「神盛」の漢字を標準文字で表してなり,第28類「ぱちんこ器具,スロットマシン」を指定商品として,平成29年3月24日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第2027011号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおり「シンセイ」の片仮名を横書きしたものであり,昭和60年5月10日に登録出願,第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同63年2月22日に設定登録され,その後,平成20年7月16日に指定商品を第9類,第15類,第20類,第24類,第25類,第28類及び第31類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ,同30年1月30日に商標権の存続期間の更新登録が第28類についてされた結果,その指定商品については,第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,スロットマシン,その他の遊戯用器具,ビリヤード用具,釣り具」となり,その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
ア 外観
本願商標は,「神盛」の漢字を標準文字で表してなるものである。
イ 称呼
本願商標を構成する「神盛」の文字は,辞書等に載録もなく,特定の読み方をもって親しまれた成語とはいえないが,構成中の各漢字については,「神」の文字が,音読みにおいては「シン,ジン」の称呼,訓読みにおいては「カミ,カン」等の称呼を,「盛」の文字が,音読みにおいては「セイ,ジョウ」の称呼,訓読みにおいては「も(る)・さか(る),もり」等の称呼を,それぞれ生じるものであるから(株式会社岩波書店 広辞苑第六版),これら2文字を組み合わせた「神盛」の文字からは,両者を音読みした「シンセイ」,「シンジョウ」,「ジンセイ」,「ジンジョウ」等の称呼と,同じく訓読みした「カミモリ」,「カンモリ」等の称呼が生じ得るものと考えられる。
ところで,本願指定商品「ぱちんこ器具,スロットマシン」の業界においては,遊戯の結果に応じて払い出されるメダルが「下皿」といわれる貯留部に溜まった状態や,メダルを貯留するための玉箱(ドル箱)に移したメダルの詰め方を示す語として,例えば「カチ盛り」「皿盛り」のように「?盛り(もり)」と表現されていること,また,特定の機種においては,出玉の量に応じて「凄盛」「大盛」「メガ盛」のように表現され,それぞれ「スゴモリ」「オオモリ」「メガモリ」と称呼されているなど,「盛(り)」を「モリ」と読むことが比較的多いというのが実情である(甲6)。
そして,「神」の文字は,近時「何かのレベルが神の領域であり,超素晴らしいこと。」(現代用語の基礎知識2017 自由国民社)を表す語として用いられ,例えば「神画像」「神対応」(甲18,20),他にも「神回」「神ゲー」等のように,「カミ?」と称されて,後続の語のすばらしさを修飾する語として造語を形成することが,しばしば見受けられるところである。
そうすると,「神盛」の文字に接する本願指定商品に係る需要者は,当該文字中,後半の「盛」の漢字を「モリ」と訓読みで称呼するとみるのが自然であり,また,前半の「神」の漢字についても上記近時の傾向とあいまって同じく訓読みで「カミ」と称呼するとみるのがやはり自然であって,全体としては,複数生じ得る称呼の中でも「カミモリ」と称呼するとみるのが最も自然である。
ウ 観念
本願商標を構成する「神盛」の漢字は,成語ではないものの,「神」及び「盛」の各文字は,共に親しまれ,一般人にとって観念を容易に想起し得る漢字であり,また,2文字程度の漢字を組み合わせた単語について,これを構成する文字からその意味を理解することも通常のことである。
そして,「神」の文字は,「人間を超越した威力を持つ,かくれた存在。人知を以てはかることのできない能力を持ち,人類に禍福を降すと考えられる威霊。」(前掲書)等の意味を有する語として知られているが,上記イのとおり,近時では後続の語のすばらしさを最大限に修飾する語として使用されることもある。
一方,「盛」の文字は,「物を容器に一杯に積み上げる。もる。もりもの。」(前掲書)を表し,程度を表す語に続いて,例えば「大盛」「小盛」「平盛」等のように,物が盛られた状態を表す語として使用されることもある。
そうすると,「神盛」の文字からは,「神」から生じる「人間を超越した威力を持つ,かくれた存在。」転じて「超素晴らしいこと。」等の意味合いと,「盛」から生じる「容器に一杯に積み上げる,もりもの。」等の意味合いを組み合わせて,「超素晴らしく積み上げたもの。」程度の意味合いを想起させるものといえる。
エ 小括
以上のことからすれば,本願商標からは基本的に「カミモリ」の称呼が生じ,「超素晴らしく積み上げたもの。」程の観念が生じ得るものである。
(2)引用商標について
ア 外観
引用商標は,別掲のとおり,「シンセイ」の片仮名を普通に用いられる域を脱しない書体で横書きしてなる。
イ 称呼
引用商標は,その構成文字に相応して「シンセイ」の称呼が生じる。
ウ 観念
「シンセイ」と称呼する既成の語は,「真正」「新生」「申請」「神聖」等,多数存在するところ,その中の一つの語が特段に広く知られているとか,本願指定商品との関係において親しまれているとみるべき事情も見いだせないため,引用商標からは親しまれた既成の観念を生ずるとまではいえない。
(3)本願商標と引用商標の類否
本願商標と引用商標とは,上記(1)及び(2)のとおり,漢字と片仮名の差異を有しており,文字構成も明らかに相違するから,外観上,互いに紛れるおそれはない。
そして,称呼においては,本願商標から生ずる「カミモリ」の称呼と引用商標から生ずる「シンセイ」の称呼とは,構成音が異なり,明確に聴別し得るものである。
また,本願商標からは「超素晴らしく積み上げたもの。」ほどの観念が生じ得るのに対し,引用商標からは特定の観念が生じないことから,両者は観念において相紛れるおそれはない。
してみると,本願商標と引用商標とは,外観において明らかに相違し,称呼及び観念上も相紛れるおそれはなく,これらを総合して判断すると,本願商標と引用商標は,互いに出所の誤認混同を生じるおそれはなく,非類似の商標というべきである。
その他,本願商標と引用商標とが類似する商標であるとする理由は,見いだせない。
(4)まとめ
以上のとおり,本願商標は,引用商標とは類似する商標ではないから,その指定商品を比較するまでもなく,商標法第4条第1項第11号には該当しない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。


別掲(引用商標)


審決日 2019-03-19 
出願番号 商願2017-40105(T2017-40105) 
審決分類 T 1 8・ 261- WY (W28)
T 1 8・ 262- WY (W28)
T 1 8・ 263- WY (W28)
最終処分 成立  
前審関与審査官 冨澤 美加豊田 純一 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 小出 浩子
田村 正明
商標の称呼 カミモリ、シンセー、シンジョー 
代理人 吉村 徳人 
代理人 吉村 公一 

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