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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て成立) W30
管理番号 1349861 
判定請求番号 判定2018-600024 
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2019-04-26 
種別 判定 
判定請求日 2018-07-20 
確定日 2019-02-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第6042952号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 商品「トマトケチャップ」に使用するイ号標章は、登録第6042952号の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 1 判定請求に係る商標権
本件登録第6042952号に係る商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成30年1月22日に登録出願され、第30類「ケチャップソース,トマトケチャップ」を指定商品として、同年5月11日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 イ号標章
請求人が判定を求める標章(以下「イ号標章」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、その使用商品を「トマトケチャップ」とするものである。

3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
(1)判定請求の必要性
請求人は、被請求人から、請求人が販売するケチャップの包装デザインと被請求人が販売するケチャップの包装デザインが類似し、請求人が当該ケチャップを販売する行為は不正競争防止法第2条第1項第1号違反に該当するとの通知書を受領した。
ところで、被請求人は、被請求人が販売するケチャップの包装デザインから商品名等の文字を除いたものを図形商標として商標出願し、本件登録第6042952号の商標権(以下「本件商標権」という。)を有する。被請求人が請求人に対し、本件商標と別掲2のイ号標章に請求人の商品名等を記入した標章が類似し、商標権侵害に該当するとの主張を行う懸念がある。
本件請求は、あらかじめ、本件商標とイ号標章が類似せず、イ号標章が本件商標権の効力の範囲に属しないことの確認を求めるものである。本件商標とイ号標章が類似しないことが確認されれば、請求人が販売するケチャップの包装デザインと被請求人が販売するケチャップの包装デザインが類似しないことの確認にもつながり、当事者間の不正競争防止法第2条第1項第1号違反に関する紛争解決にも資することが期待され、判定請求を行う必要性がある。
(2)本件商標及びイ号標章の構成の説明
ア 本件商標
(ア)外観
本件商標の外観は、全体形状は、下部に向かってややすぼまる縦長の略長方形状である。
当該縦長の略長方形状の上端縁部に金色の細い帯が幅方向に配され、その直下の高さ方向約10分の2の部分を白色の背景となすと共に、横長で小粒の大きさが異なる2種類のトマト状紋様が約11個、間隔を広く空けて配され、当該白色背景部から高さ方向中央部までにかけて徐々に赤色を介して最終的にえんじ色に替わるグラデーションとなっている。
上記略長方形状の、高さ方向中央には、ケチャップ様の流動物を載せた金色のスプーンを、当該スプーンの杓子部が幅方向3分の1を占めるように配し、当該杓子の左に隣接して写実的に描かれた大振りのトマトの右上略3分の1部分が、また、右に隣接して金色の押し印状のマークが配されている。
これらのトマト、杓子、押し印の直下の、上記略長方形状の高さ方向下部から約10分の3.5の部位には、上端が左から右に掛けて緩やかにカーブしながら徐々に幅太となる緑色の帯が幅方向一杯に配されている。
当該帯の直下において、えんじ色背景が白色背景に切り替わり、当該背景色が切り替わった上記略長方形状の高さ方向約10分の3の下部部分には、横長で小粒の大きさが異なるトマト状紋様が約14個間隔を広く空けて配されてなるものである。
(イ)称呼
本件商標からは称呼は生じない。
(ウ)観念
本件商標からは格別の観念は生じないが、あえていえばトマトケチャップないしトマトを利用した調味料、食品の容器あるいはパッケージであることを想起させる。
イ イ号標章
(ア)外観
イ号標章は、全体形状は、下部に向かってややテーパをなす縦長の略長方形状である。
当該縦長の長方形状の、高さ方向約3分の1の部分にはへタが表を向いた大きな2個のトマトとへタが隠れた略同径の2個のトマトが写実的に描かれ、その下部の、略長方形における高さ方向約10分の3から約10分の7の部分は、えんじ色をなしている。
当該えんじ色部分下部のやや色が薄くなった部分に、ケチャップ様の流動物を載せた金色のスプーンを当該スプーンの杓子部が幅方向約10分の6を占めるように配されている。
当該杓子の直上の、イ号標章全体の高さ方向中央からやや下部に、細長い直方体状であって中央右寄りが円形の上下膨らんだ青色リボン様の紋様が配され、上記スプーンの杓子部の直下の高さ方向約10分の2の部分は背景が白色に切り替わっている。
当該白色部分には、下側左右がR状に切りかかれた同じ大きさのトマト状の紋様が約6個密集して配されてなるものである。
(イ)称呼
イ号標章からは称呼は生じない。
(ウ)観念
イ号標章からは格別の観念は生じないが、あえていえばトマトケチャップないしトマトを利用した調味料、食品容器あるいはパッケージであることを想起させる。
(3)類否判断について
ア 各構成要素の識別力
(ア)トマト状の紋様あるいはトマト柄があしらわれた下部がすぼまった縦長の長方形状のパッケージの形状は、内容物がトマトケチャップ又はトマトソース若しくはトマトを使った調味料等の容器であることを普通の方法で示す記述的表現であり、商標法第3条第1項第3号の趣旨に基づけば、特定人の独占に帰することが許されない標章の構成である。
しかも、かかる図形標章の構成は、トマトケチャップのパッケージの外観形状として、本件商標の出願時にはありふれたものであって、自他商品出所識別力はない。
(イ)食材のシズル感(より美味しそうに見える感覚)を強調する表現としてスプーンを用いて内容物である食材を載せて示すことは、甲第2号証及び甲第4号証の4に示されるとおり、トマトケチャップやトマトソースを含む食品業界において極めてありふれたものであり、図形商標中のかかる構成要素には自他商品出所識別力はない。ちなみに、かかる表現形態は、請求人により本件商標出願の10年近く前から同出願時まで引き続いてトマトケチャップの包装に使用されており(甲2の1)、スプーンに食材を載せる表現形態がトマトケチャップを含む食品業界においてありふれたものであることは、このことからも一層明らかといえる。
(ウ)食品のパッケージデザインとしてグラデーションを用いる程度のことは、トマトケチャップについて甲第2号証の1にも見られるごくありふれた手法であるところ、同じくトマトケチャップについては、これに加えて甲第3号証の1及び2の例があり、その他の食材(例えばトマトポタージュ、あるいはデミグラスソース)についても甲第3号証の3及び4の例があることから、トマトケチャップやその他食材のパッケージにおいてグラデーションを用いた表現の非顕著性は明らかである。また、濃厚ケチャップその他の濃厚食材のシズル感を強調するためにえんじ色の背景色を用いることも、当該食材の食味が「濃厚」であることを普通の方法で示した単なる記述的表現であると共に、ありふれた表現手法にすぎない(甲3の2、4)。
したがって、このような表現手法を図形商標中に用いても、これによって何らの自他出所識別力も発揮し得ない。
(エ)トマトケチャップのパッケージに小さなトマト状紋様を複数配したり散らしたりすることは、当該トマト状紋様それ自体に格別の特徴がある場合を別として、内容物がトマトを用いた食材であることを示す顕著性の希薄な記述的表現であると共に、複数のトマトケチャップ販売業者によって使用されているありふれた表現手法にすぎない(甲4)。
したがって、トマトケチャップを指定商品とする図形商標中にこのような構成要素が存在しても、当該構成要素は何ら自他商品出所識別力を発揮し得ない。
(オ)食品類の包装に帯状の装飾を付することは、一般的手法であり(甲5)、かかる表現手法が食品類の図形商標中に用いられているからといって、何ら自他商品出所識別力を発揮し得ない。
類否判断
(ア)非類似(構成要素の識別力喪失を不考慮)
上記(2)のア(ウ)及びイ(ウ)で述べたとおり、本件商標とイ号標章は、等しくトマトケチャップの包装を想起させる図形標章であるという点において観念上共通するものがあるとはいえるかもしれない。しかし、かかる観念は、トマトケチャップないしこれに類する調味料若しくは食品類の容器を想定させるトマトの紋様ないし柄から生じるものであり、こういった抽象的かつ記述的な共通点をもって、両者を類似とすること(抽象的かつ記述的なアイディアとしか評し得ないものを被請求人に独占させること)はできない。
一方、本件商標とイ号標章の外観構成は、白地部分の配置及び大きさ(高さ)において相違し、別けても、上部における白地部分の有無(本件商標は横長で小粒のトマト状紋様を間隔を広く空けて多く配した白地部分を有するが、イ号標章は白地の背景部分が存在せず上部には写実的に描かれた大きなトマトがヘタを上向きに2つ、ヘタを隠して2つ存在するのみ)において相違し、印象が顕著に異なる。
また、帯(本件商標)とリボン状紋様(イ号標章)の色(緑と青)、形状(緩やかなカーブを描いて徐々に幅太となる本件商標に対しイ号標章は細長長方形の中央右寄りに上下に円形状に膨らんだ部分を設けたもの)、配置(本件商標は金色のスプーンの下、イ号標章はスプーンの上)において相違する。
さらに、両者は金色のスプーンに食材であるトマトケチャップ状の流動物を載せた構成を共通点とするが、その杓子部の大きさ(本件商標は幅方向3分の1、イ号標章は同じく10分の6)、位置(本件商標は高さ方向中央、イ号標章は下部)、隣接する構成要素の有無(本件商標は杓子部が小さいうえ中央部に配され隣接して左にはヘタを上に向けたトマト、右には押し印状の金地紋様があるのに対し、イ号標章は杓子部が大きくえんじ部の最下部に配され隣接する構成要素がない)において相違する。
したがって、両者は全体観察において相紛れることのない非類似のものである。
(イ)構成要素の識別力喪失を考慮
本件商標の外観構成において、白地部分に小さなトマト状紋様を散らした構成、食材であるトマトケチャップ状物あるいはその他の流動性のある食材をスプーンに載せて図形中に表現することによりシズル感を醸成する構成、グラデーションを用い、シズル感を出すために濃厚なえんじ色を用いる構成、帯状の装飾を配する構成は、いずれも、食品等を取り扱う異なる商品主体が自社製品の包装デザインに本件出願日前から多用しているありふれた構成要素であって、それら自体に自他商品出所識別力を認めることができない(甲2?甲5)。
よって、本件商標の要部は、これらの構成要素の具体的配置(上部及び下部の白色背景の大きさ(高さ)、当該白色背景部分に横長で小粒の大きさが異なる2種類のトマト状紋様が間隔を広くあけて多数配されている構成、金色スプーンの杓子部の大きさがパッケージ幅方向3分の1であることと当該杓子部が図形全体の中央に位置する配置、帯状部分の形状とスプーンの下部に配される配置等)と他の構成要素(例えば金色スプーンの左右に隣接するトマトと金色の押し印状紋様)との具体的な組み合わせに求めるよりほかなく、当該配置及び構成要素の組み合わせにおいて本件商標と全く異なるイ号標章が、本件商標と要部を共通にすると判断される余地はない。
したがって、両者は全体観察において相紛れることのない非類似のものである。
ウ むすび
よって、本件商標とイ号標章は非類似であるから、商品「トマトケチャップ」について使用するイ号標章は、本件商標権の効力の範囲に属しない。

4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の判定請求を却下するとの判定を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
(1)本件判定請求が却下されるべき理由
ア 経緯
請求人も指摘するとおり、被請求人は、請求人に通知書(以下「本件通知書」という。)を送付した(乙1)。本件通知書にも記載されているとおり、被請求人は永年「デルモンテ」ブランドのトマトケチャップを販売してきたが、2013年8月5日からその一商品として、「デルモンテ リコピンリッチ トマトケチャップ」(以下「被請求人商品」という。)と称する新たな高付加価値のトマトケチャップの販売を開始した(乙2)。
その後、被請求人は、2014年夏より被請求人商品の包装デザインを一新し、現在まで同じ包装デザイン(以下「被請求人商品現包装」という。)の被請求人商品を継続して販売している(乙3)。
さらに、被請求人は、被請求人商品の人気を受けて、被請求人商品同様にリコピンを豊富に含む高付加価値商品であるトマトソース、トマト飲料等を「リコピンリッチシリーズ」としてラインアップし、当該シリーズに含まれる各商品の包装を一貫したデザインコンセプトのものとすること等によりリコピンを豊富に含んだ高付加価値商品としてのブランドイメージの醸成を図っている(乙12)。
被請求人商品は、リコピンを豊富に含有する高付加価値のトマトケチャップという新たなカテゴリーを開拓し、確立してきた商品であり、かかる商品の特徴と被請求人による全国的なテレビCM(乙4の1、2)やJR東日本主要駅における交通広告(乙4の3、4)その他の宣伝広告等の営業上の努力により、年々、売上を大きく伸ばしており、現在までの累積販売本数が1,500万本を超えている(乙9)。その結果、被請求人商品は、現在、多くの需要者に愛用されるヒット商品となっている。
請求人も被請求人に遅れる2016年2月16日から「高リコピントマト使用トマトケチャップ」(以下「請求人旧商品」という。)と称するリコピンの含有量を増加させた商品の販売を開始した(乙5)。
さらに、請求人は2018年3月6日から、請求人旧商品に代えて、請求人旧商品の包装とは大きく異なる包装の「濃厚リコピン トマトケチャップ」と称する、リコピンを豊富に含むトマトケチャップ(以下「請求人新商品」という。)を新たに発売した(乙6)。
ここで、被請求人が請求人に本件通知書を送付した趣旨を説明すると以下のとおりである。
一般的に、トマトケチャップを含む食品はいわゆる「パッケージ型商品ブランド」であってパッケージ(包装)が非常に重要な意味を有しており、このような商品においては「ブランドについての記憶と店頭での刺戟とが、そのブランド選択にとって有利に(選択確率を高めるように)機能するようにマーケティング戦略が設計されていなくてはならない。」(乙10)とされるところ、被請求人も当然に当該マーケティング戦略に沿うようパッケージ(包装)デザインに細心の注意を払っており、被請求人が「リコピンリッチシリーズ」としてリコピンを多く含む各高付加価値商品間で統一的なイメージを醸成する戦略をとっていることは上述したとおりである。それにもかかわらず、請求人は、乙第11号証の各包装を比較すれば明らかなように、請求人旧商品の包装より、むしろ被請求人商品現包装と酷似する請求人新商品の包装を採用した商品を被請求人に遅れて販売するというすり寄り行為により被請求人のブランド戦略を毀損しており、被請求人として到底看過することはできない。
以上の経緯のもと被請求人は請求人新商品の包装は、市場において需要者が被請求人商品(被請求人商品現包装)と誤認混同して購入するおそれが非常に大きいデザインであると判断し、請求人に対し請求人新商品の製造販売の中止等を求める本件通知書を送付したものである。
そして、被請求人が本件通知書において請求人新商品に対し製造販売の中止等を求めた法的根拠は、請求人新商品の包装が不正競争防止法第2条第1項第1号の不正競争行為(以下「周知表示混同惹起行為」という。)に該当することである。
なお、本件通知書に本件商標権が記載されている理由は、その文言から明らかなとおり、被請求人が「リコピンリッチ トマトケチャップ」の成功を受けて展開しているシリーズ商品である「リコピンリッチシリーズ」(2016年7月以降順次、販売を開始したトマトソース、トマトピューレー、トマト飲料等の各種の高付加価値商品であって、これら商品を横断して統一的なイメージの包装デザイン及びブランディングを行っている。)のブランドイメージを重視し、保護を図っていることを説明するため(乙1 第1頁第3段落)であって、現時点において権利行使の根拠としていない。
イ 本件商標とイ号標章の類否を判断しても紛争解決にならないこと
(ア)イ号標章と請求人新商品の包装デザインが異なっていること
被請求人が周知表示混同惹起行為に該当することを理由に販売中止を求めた対象は請求人が現在販売している請求人新商品の包装デザイン(乙6)であって、それと大きく異なるイ号標章を付した製品ではない。
請求人が販売している商品の包装デザインが周知表示混同惹起行為に該当するか否かは、請求人が現在販売している請求人新商品の包装デザインでなければ不正競争防止法第2条第1項第1号違反に係る紛争解決のうえで意味をなさないことは論をまたない。
なお、請求人新商品が商標権侵害しているか否かを判断する対象としても請求人が現在販売している請求人新商品の包装デザインと異なる標章では「商標権侵害に該当するとの主張を行う懸念」を解消するという観点からも意味がない。この点については特許庁平成30年3月版「特許庁の判定制度について」において「『イ号』とは、判定請求において、相手方が現に実施し、又は実施していたもの・・・」(乙7)と定義されている点からも明らかである。
(イ)周知表示混同惹起行為に係る類似性の判断と商標権侵害における類似性の判断における判断対象が異なっていること
周知表示混同惹起行為に係る類似性の判断は「商品等表示の要部(自他識別機能又は出所表示機能を生ずる特徴的な部分)を抽出した上で、要部を中心に表示の全体を、離隔的に観察する方法(時と場所を異にした観察)による」とされる(乙8)。
したがって、本件紛争において周知表示混同惹起行為に係る類似性の判断は、被請求人商品現包装デザインの「商品等表示」部分に対してされる。この点、被請求人は、請求人新商品包装の主要部分のほとんど全てが被請求人商品現包装と共通しており、請求人のすり寄りの意図が明らかであって、請求人の行為が周知表示混同惹起行為に該当する点を問題視しており、請求人による本件判定請求自体が、本件紛争を解決するうえで明らかに失当であると確信している。
一方、商標の類似性判断は、「願書に記載した商標に基づいて定め」られる「登録商標の範囲」(商標法第27条第1項)に対してされるのであって、判断対象は周知表示混同惹起行為に係る「商品等表示」と必ずしも一致しない。
したがって、かかる観点からも紛争解決に資することはない。
ウ まとめ
上述のとおり、そもそも被請求人は本件商標権侵害を理由に請求人新商品の販売中止等を求めたわけではないから、本件商標権に係る判定請求が紛争解決の上で意味がないことは明らかであるが、さらに、上記イ(ア)及び(イ)で述べた2点の理由から、請求人が主張する「不正競争防止法第2条第1項第1号違反に関する紛争解決に資する」という事情もない。
したがって、本件判定請求は却下されるべきである。
(2)「類否判断」について
被請求人は、本件判定請求が却下されるものと確信しているが、仮に却下されなかったとしても、イ号標章が本件商標権の効力の範囲に属するか否かを反論する利益を見いだせないため、その他の争点に関する主張は差し控える。

5 当審の判断
(1)本件判定請求の必要性について
被請求人は、そもそも被請求人は本件商標権侵害を理由に請求人新商品の販売中止等を求めたわけではないし、被請求人が周知表示混同惹起行為に該当することを理由に販売中止を求めた対象は請求人が現在販売している請求人新商品の包装デザインであって、それと異なるイ号標章を付した製品ではないから、本件商標権に係る判定請求が紛争解決の上で意味がないことは明らかであり、さらに、請求人が主張する「本件商標とイ号標章が類似しないことが確認されれば、不正競争防止法第2条第1項第1号違反に関する紛争解決に資する」という事情もないから、本件判定請求は却下されるべきである旨主張する。
しかしながら、商標法第28条に基づいて判定を請求する際に、被請求人が主張する事項は、要件とはなっておらず、請求人は、被請求人の所有に係る本件商標権の効力について判定を求める商品及びイ号標章を特定しているのであるから、本件判定請求を却下することはできず、そのほかに本件判定請求を却下すべき事情は認められない。
したがって、被請求人の上記主張は、採用することができないから、本案に入って、以下審理し、判断する。
(2)判断
ア 本件商標について
本件商標は、上記1のとおり、第30類「ケチャップソース,トマトケチャップ」を指定商品とし、別掲1のとおり、上底が下底より長い縦長台形の内部に、上底部分には金色の横線を描き、中央部分にはグラデーションが施された赤色を背景として、トマトの画像の一部、ケチャップをすくった金色のスプーン及び金色の円形スタンプ模様を横一列に描き、その下に緑色と金色を組み合わせた横線(横線の上部は右側から左側に向かってなだらかな曲線となっている。)を配しており、中央部分の上下には、白地に大きさの異なるトマトの絵をランダムに多数描いてなるところ、その構成態様からは、特定の称呼及び観念を生じるものとは認められない。
イ イ号標章について
イ号標章は、上記2のとおり、「トマトケチャップ」を使用商品とし、別掲2のとおり、両側辺が内側に、底辺が外側にカーブする縦長略矩形内に、上部のトマトが複数並んだ画像から下方に向けて濃淡を付けた赤色のグラデーションが施され、中央よりやや下部に円形部分を有する青色帯状図形、ケチャップをすくった金色のスプーン及び金色の曲線を描き、さらにその下に白地にトマトをデフォルメした図形を並べて描いてなるところ、その構成態様からは、特定の称呼及び観念を生じるものとは認められない。
ウ 本件商標とイ号標章の類否について
本件商標とイ号標章の外観を対比すると、両者は、いずれもトマトの画像及びケチャップをすくった金色のスプーンを有するといった一部の構成要素に共通するところはあるとしても、両者を全体で見れば、その構成が明らかに相違し、外観上、明確に区別できるから相紛れるおそれはないものである。
そして、両者の称呼及び観念については、いずれも特定の称呼及び観念は生じないことから、比較することができない。
そうすると、本件商標権に係る指定商品とイ号標章の使用商品が類似のものであるとしても、本件商標とイ号標章とは、称呼及び観念においては比較することができず、外観において明確に区別できるから、これらを総合的に考察すると相紛れるおそれのない非類似のものといわざるを得ない。
エ まとめ
以上のとおり、本件商標とイ号標章とは、非類似のものであるから、商品「トマトケチャップ」に使用するイ号標章は、本件商標権の効力の範囲に属しないものである。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 別掲1
本件商標(色彩は原本参照。)




別掲2
イ号標章(色彩は判定請求書別掲2参照。)

判定日 2019-02-18 
出願番号 商願2018-8480(T2018-8480) 
審決分類 T 1 2・ 9- ZA (W30)
最終処分 成立 
前審関与審査官 小林 正和 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 金子 尚人
小松 里美
登録日 2018-05-11 
登録番号 商標登録第6042952号(T6042952) 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 
代理人 速見 禎祥 
復代理人 浅村 昌弘 
代理人 石田 知里 
復代理人 松川 直樹 
復代理人 和田 嵩 
代理人 岩坪 哲 
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