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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W34
審判 全部申立て  登録を維持 W34
審判 全部申立て  登録を維持 W34
審判 全部申立て  登録を維持 W34
審判 全部申立て  登録を維持 W34
管理番号 1349857 
異議申立番号 異議2017-900379 
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-12-19 
確定日 2019-03-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5985527号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5985527号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5985527号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成よりなり,平成29年3月24日に登録出願,第34類「たばこ,喫煙用具,マッチ」を指定商品として,同年8月7日に登録査定,同年10月6日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録第4486587号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2に示すとおりの構成よりなり,平成12年7月24日に登録出願,第34類「たばこ,紙巻きたばこ用紙,喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」を指定商品として,同13年6月29日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法4条1項8号,同項11号及び同項15号に該当するものであるから,同法43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲1?66を提出した。
1 申立人の子会社である「JT International S.A.」(以下「JTI社」という。)の略称「JTI」及び引用商標の著名性について
(1)申立人及び申立人の子会社の業務の状況について
申立人は,日本たばこ産業株式会社法(JT法)に基づき,財務省管轄の特殊会社として1985年(昭和60年)に設立された,たばこ,医薬品,及び食品・飲料の製造・販売会社であり,国内でのたばこの販売シェアは約60%,売上収益は正に2兆円を超える日本有数の企業である(甲3,4)。
また,申立人は,TOPIX Core 30(時価総額,流動性の特に高い30銘柄で構成されている株価指数)の構成銘柄の一つに選ばれており(甲4,5),この事実から見ても,日本屈指の企業であることは明らかである。
さらに,申立人は,1999年(平成11年)にR.J.レイノルズ・タバコ・カンパニーの子会社であるRJRインターナショナルを買収し,現在では申立人の海外たばこ事業の中核をなすJTI社を完全子会社として設立した(甲3,4,6?8)。その後,たばこ事業において世界第3位の地位を確固たるものにしている(甲6,8)。
申立人の海外たばこ事業を一手に握っているJTI社は,現在では,その製品を世界26か国で製造し,70か国で従業員を雇用して(従業員の国籍は100以上にのぼる),世界120以上の国と地域で販売を行っており(甲3,7),また,過去5年分の申立人及びJTI社の売上収益(甲9)では,少なくとも2012年(平成24年)以降,申立人の売上収益は2兆円を超える一方,JTI社の売上も毎年1兆円を超えており,申立人の売上構成比の実に56%を占めるまでに成長していることから(甲3),世界のリーディングカンパニーの一つでもある。
(2)申立人が保有する世界各国の商標登録リスト
申立人は,引用商標の色彩を白黒にした商標について,現在,たばこ関連商品について120を超える国と地域で商標登録を有している。
(3)JTI社の略称「JTI」及び引用商標の著名性
JTI社の売上高や世界における商標の登録件数などを見ても,JTI社のハウスマークである引用商標は,「たばこ,紙巻きたばこ用紙,喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」などの商品において世界的に多大な価値と顧客吸引力が生じており,国内外の取引者・需要者に広く知られていることは明らかである上,「JTI」の文字が国内外においてJTI社の著名な略称として浸透している。
2 商標法4条1項11号について
本件商標は,要部と考えられる少しロゴ化された「JTI」の欧文字より,「ジェーティーアイ」の称呼と「JTインターナショナル社」との観念を生ずる。これに対し,引用商標は,「JTi」の欧文字よりなり,「ジェーテイーアイ」の称呼が生じ,「JTインターナショナル社」との観念が生じるのであるから,結局,本件商標と引用商標とは類似の商標である。
そして,本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
したがって,本件商標は,商標法4条第1項第11号に該当する。
3 商標法4条1項15号について
引用商標は,申立人の子会社であるJTI社の商標として需要者に広く知られているから,その主要部に大きく「JTI」の文字を含む本件商標がその指定商品に使用された場合には,その商品の出所について,申立人又は申立人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるといえるから,本件商標は,商標法4条1項15号に該当する。
4 商標法4条1項8号について
本件商標は,引用商標を所有する申立人の子会社であるJTI社の著名な略称「JTI」を含む商標であるから,商標法4条1項8号に該当する。

第3 当審の判断
1 引用商標及びJTI社の略称である「JTI」の周知著名性について
申立人は,JTI社の売上高や世界における引用商標の登録件数などを見ても,JTI社のハウスマークである引用商標は,「たばこ,紙巻きたばこ用紙,喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」などの商品において世界的に多大な価値と顧客吸引力が生じており,国内外の取引者・需要者に広く知られていることは明らかである上,「JTI」の文字が国内外においてJTI社の著名な略称として浸透している旨主張する。
しかしながら,証拠及び申立人の主張によれば,申立人が我が国屈指のたばこ製造・販売の企業であり,海外拠点の海外たばこ事業を行う申立人の子会社であるJTI社を有し,JTI社が「JTI」と略称され,2014年(平成26年)3月現在で,たばこ製品を世界26か国で製造し,70か国で従業員を雇用して,世界120以上の国と地域で販売を行っていること(甲3?7,9),引用商標について第34類のたばこ関連商品について120を超える国と地域で商標登録を有していること(甲10?66)が認められるものの,以上の事実からは,申立人が,我が国において,たばこ関係の分野で広く知られ,海外たばこ事業を行う子会社(JTI社)を有していることが認められるだけで,我が国において,引用商標及びJTI社の略称である「JTI」が広く知られていると認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
なお,申立人は,過去5年分の申立人及びJTI社の売上高を主張しているが,JTI社の売上高は海外たばこ事業分であって,我が国における売上高,販売数量等についての事実を示す客観的な裏付け資料は何等提出されていないから,我が国における量的規模(市場シェア)を客観的かつ具体的に把握することができない(JTI社は,申立人の海外事業拠点(製造・販売)であるから,日本国内での事業が存在しないとしても,申立人の日本国内での売上高をもって,JTI社の周知性の資料とはなり得ない。)。
また,引用商標について,海外での商標登録が多数なされているとしても,我が国において引用商標が周知性を獲得したものと認めることはできない。
そうすると,これらの証拠をもって,我が国において,引用商標及びJTI社の略称である「JTI」が広く知られていると認めるための資料として有力なものとすることはできないというべきである。
したがって,提出に係る証拠によっては,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,引用商標及びJTI社の略称である「JTI」が,本件商標の指定商品に係る取引者,需要者の間で広く知られていたと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
ア 本件商標は,別掲1のとおり,上段の文字部分と下段の文字部分とを上下に明確に分離して配置した構成からなる結合商標である。
上段の文字部分は,太字の「I」,「J」,「T」及び「I」の各欧文字をデフォルメし,これらを組み合わせた外観全体が縦長の長方形状に収まるようバランスよく配置されているため,視覚的に一体のものとして看取されるものであると認められ,殊更,「J」,「T」及び「I」の欧文字部分が目立つような態様であるとはいえない。また,上段の文字部分は,本件商標全体の面積の大半を占めているから,視覚的に強く支配的な印象を与えるものといえる。上段の文字部分からは,「アイジェーティーアイ」の称呼が生じるものと認められるが,直ちに特定の観念は生じないものである。
イ 他方,下段の文字部分は,「I.J.」,「TOBACCO」及び「INDUSTRY」の各欧文字が一般的な書体で,各々の間に半角程度の空白を設けて,「I.J. TOBACCO INDUSTRY」と横一連に小さな文字で表されているものであって,これより「アイジェータバコインダストリー」の称呼が生じるものである。そして,「I.J.」部分からは特段の観念が生じないものの,「TOBACCO INDUSTRY」部分からは「たばこ産業」の意味合いが生じるから,全体として「『I.J.』たばこ産業」程の観念を生じ得る。
また,下段の文字部分のうち,「I.J.」部分の「I」と「J」,「TOBACCO」及び「INDUSTRY」部分の各頭文字である「T」と「I」が,それぞれ,上段の「I」,「J」,「T」及び「I」に相当するものであることは,容易に認識,理解できるとみて差し支えない。
以上に照らせば,「『I.J.』たばこ産業」程の観念を生じ得る「I.J. TOBACCO INDUSTRY」の欧文字部分における各頭文字である「I」,「J」,「T」及び「I」をデフォルメしたものと解される上段の「IJTI」の文字部分を,観念的にも「I」と「JTI」とに分けて認識,理解するものとは考え難い。
ウ したがって,本件商標は,その構成中,上段の「IJTI」の文字部分は一体の構成部分として強く支配的な印象を与えるものであるから,独立して要部たり得るものと認められるが,かかる構成中の「JTI」の文字部分までもが要部として認識されるようなものではないというべきである。
以上によれば,本件商標は,その構成中の「JTI」の文字部分を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,許されないというべきである。
(2)引用商標
引用商標は,別掲2のとおり,ややデザイン化した「J」,「T」及び「i」の各欧文字を緑色で,右肩上がりに「JTi」と配置した構成からなるものであるから,その構成文字に相応して「ジェーティーアイ」の称呼を生じるものと認められるが,直ちに特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標との類否について検討するに当たっては,上記(1)のとおり,本件商標は,その構成中の「JTI」の文字部分を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは許されず,せいぜい,同文字部分を含む「IJTI」の文字部分とで比較すべきところ,本件商標の要部である「IJTI」の文字部分と引用商標とは,外観及び称呼は明らかに相違するし,観念においては比較できないものであるから,非類似の商標というべきである。
また,その他の点において,本件商標と引用商標とが類似する商標であるとみるべき理由も見いだせない。
したがって,本件商標と引用商標は,非類似の商標であるといえる。
(4)小括
以上のとおり,本件商標は,引用商標とは非類似の商標であるから,互いの指定商品が同一又は類似するものであるとしても,商標法4条1項11号には該当しない。
3 商標法4条1項15号該当性について
上記1のとおり,引用商標は,本件商標の指定商品に係る取引者,需要者の間に広く認識されていたものとは認められないから,本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者・需要者をして,引用商標を連想又は想起させるものとは認められず,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって,本件商標は,商標法4条1項15号に該当しない。
4 商標法4条1項8号該当性について
上記1のとおり,JTI社の略称である「JTI」は,本件商標の指定商品に係る取引者,需要者の間で広く知られていたと認めることはできないから,本件商標は,商標法4条1項8号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法4条1項8号,同項11号及び同項15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから,同法43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標)

(色彩については原本参照)



異議決定日 2019-03-12 
出願番号 商願2017-40241(T2017-40241) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W34)
T 1 651・ 261- Y (W34)
T 1 651・ 262- Y (W34)
T 1 651・ 23- Y (W34)
T 1 651・ 263- Y (W34)
最終処分 維持  
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
平澤 芳行
登録日 2017-10-06 
登録番号 商標登録第5985527号(T5985527) 
権利者 アイ.ジェー.タバコ インダストリー エフゼットイー
商標の称呼 アイジェイテイアイ、アイジェイタバコインダストリー、アイジェイタバコ 
代理人 瀧野 文雄 
代理人 江成 文恵 
代理人 ▲吉▼川 俊雄 
代理人 今井 貴子 
代理人 藤田 朗子 

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