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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W19 審判 全部申立て 登録を維持 W19 審判 全部申立て 登録を維持 W19 審判 全部申立て 登録を維持 W19 |
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管理番号 | 1349848 |
異議申立番号 | 異議2018-900269 |
総通号数 | 232 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2019-04-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-09-18 |
確定日 | 2019-03-02 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6055611号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6055611号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6055611号商標(以下「本件商標」という。)は,「Penatron」の欧文字を標準文字で表してなり,平成29年8月21日に登録出願,第19類「建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,建築専用弾性充填材,構築専用弾性充填材,合成樹脂製目地材,合成樹脂製の壁面補修用充填材,合成樹脂製の床面補修用充填材,繊維製の落石防止網,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),土砂崩壊防止用植生板,窓口風防通話板,区画表示帯,セメント及びその製品,建築用ガラス,養鶏用かご(金属製のものを除く。),吹付け塗装用ブース(金属製のものを除く。),セメント製品製造用型枠(金属製のものを除く。),送水管用バルブ(金属製又はプラスチック製のものを除く。),道路標識(金属製又は発光式若しくは機械式のものを除く。),航路標識(金属製又は発光式のものを除く。),貯蔵槽類(金属製又はプラスチック製のものを除く。),旗ざお(金属製のものを除く。),石製郵便受け」を指定商品として,同30年5月28日に登録査定され,同年6月22日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4303267号商標(以下「引用商標」という。)は,「PENETRON」の欧文字を横書きしてなり,平成8年商標登録願第33531号に係る平成10年3月24日付け手続補正書に基づく,商標法第17条の2第1項において準用する意匠法第17条の3第1項に規定する商標登録出願として同年7月24日に登録出願され,第2類「セメントを主成分とし硅砂・複合活性化学薬品を配合した組成物からなるコンクリート及びコンクリートブロック建造物専用の防水塗料」を指定商品として,同11年8月6日に設定登録されたものであり,その商標権は現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 商標の類否 本件商標は,「Penatron」の欧文字を標準文字で表してなり,この文字から「ペナトロン」の称呼が生じ,引用商標は「PENETRON」の欧文字を標準文字で表してなり,この文字から「ペネトロン」の称呼が生じる。 そこで,両称呼を対比すると,両者は,共に5音という短い音構成において「ナ」と「ネ」の音の差異を有するところ,両音は埋没してしまう中間音であり差異は小さい。また,「ナ(na)」と「ネ(ne)」は,子音「n」を共通にするとともに,母音の「a」と「e」は近似音である。 したがって,音構成上のこの差異が全体の称呼に与える影響は決して大きいとはいい難く,両者をそれぞれ一連に称呼するときは,全体の語韻,語調が近似したものとなり,称呼上,相紛れるおそれがある。 そして,両商標は,外観において,中間の「a」と「e」との相違しかなく,その他の文字は共通する。大文字と小文字とで異なる点もあるがこれらの相違点は影響を及ぼす程度が小さく,相紛れるおそれがある。 また,両商標は,観念において,いずれも一種の造語であると認められ,比較することができないとしても,称呼及び外観の類似性を左右するほど影響はない。 このため,本件商標と引用商標は,称呼及び外観において相紛れるおそれがあり,観念に関しても,称呼及び外観の類似性に影響を与えるものではない。 したがって,本件商標と引用商標とは,極めて類似する商標である。 イ 本件指定商品と引用指定商品の類似性 本件商標の指定商品(以下「本件指定商品」という。)と引用商標の指定商品(以下「引用指定商品」という。)とは,これらに付与された類似群コードは,それぞれ異なるが,これらの原材料・品質(セメント,けい石等),建築・構築用の用途並びに共に土木,建築及び構築などに携わる業者が需要者であり需要者が一致するから,極めて類似する商品である(甲4?甲9)。 なお,本件指定商品ではないが,本件商標権者は,ひび割れしたコンクリートを補修(目地材等含む)するために使用する商品について,「ペナトロン」を使用している(甲10,甲11)。したがって,申立人が引用商標を付して使用する商品(以下「使用商品」という。引用指定商品と同じ商品。)と極めて類似する商品であるといえる。 ウ 小括 以上により,本件商標と引用商標は,極めて類似する商標であり,また,本件指定商品と引用指定商品も類似するものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第10号について ア 引用商標の周知性 申立人は,1983年1月から現在に至るまで約35年にわたって,引用商標を,使用商品について使用し続けており(甲12?甲14),使用商品は,代理店等を通じて日本を含む世界60か国以上で販売されている(甲15?甲17)。 また,申立人は,世界各国で宣伝広告活動を行っている(甲18)。 さらに,申立人は,「PENETRON」の文字について,日本国を含む約60か国以上の諸外国で登録商標を取得しており,かつ,7か国で商標登録出願を行っている(甲19?甲22)。 このように,申立人は,「PENETRON」の商標について適切に保護しながら,海外展開を積極的に行っている。 したがって,諸外国において,「PENETRON」の文字は,明らかに周知性を獲得しているといえ,この諸外国の周知性を考慮すると,日本国における周知性判断においても,十分に周知性を獲得している。 以上のとおり,引用商標は,日本国及び外国において本件商標の登録出願時及び登録査定時に,需要者の間で申立人の使用商品を表示するものとして広く認識されていたものといえる。 イ 本件商標と引用商標との類似性 上記(1)アのとおり,本件商標と引用商標は,極めて類似する商標である。 ウ 本件指定商品と使用商品との類似性及び需要者の範囲 上記(1)イのとおり,本件指定商品と使用商品は極めて類似する商品であり,需要者も一致する。 エ 小括 以上により,本件商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標と極めて類似する商標であって,本件指定商品は使用商品と類似する商品である。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号について 上記(1)アのとおり,本件商標と引用商標は極めて類似する商標であり,上記(2)アのとおり,引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものである。 また,引用商標「PENETRON」は,一種の造語よりなるものであり,構成上顕著な特徴を有するものであって,かつ,申立人のハウスマークである(甲12)。 さらに,上記(1)イのとおり,本件指定商品は,使用商品に明らかに類似する商品であり,本件指定商品については,類似性(商品間の関連性)が極めて高いといえる。 加えて,本件商標権者は,ひび割れしたコンクリートを補修(目地材等含む)するために使用する商品について,「ペナトロン」を使用しており(甲10,甲11),これらは,いずれも使用商品と極めて類似する商品であるといえる(甲13の1,2)。 上記事実を総合勘案して判断すると,本件指定商品の分野の需要者は,本件商標が,本件指定商品について使用された場合には,申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第19号について 上記(2)アのとおり,引用商標は,日本国及び外国において需要者の間で申立人の使用商品を表示するものとして広く認識されていたものであり,上記(1)アのとおり,本件商標と引用商標とは,極めて類似する商標である。 そして,上記のとおり,引用商標が周知性を獲得していること,引用商標は一種の造語であり申立人が長年使用し続けてきたハウスマークであること,日本国で販売等を行っていること,使用商品と本件指定商品の類似性が極めて高いこと,及び商標権者はひび割れしたコンクリートを補修(目地材等含む)するために使用する商品について「ペナトロン」を使用していることを考慮すると,本件商標は,これを本件商標権者が使用した場合,仮に出所の混同のおそれまではないとしても,引用商標に化体した信用,名声,顧客吸引力等を毀損させるおそれがある。 したがって,本件商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた引用商標に極めて類似する商標であって,商標権者が「不正の目的」をもって使用をするものである。 よって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件指定商品について 本件指定商品は,上記1のとおり,第19類「建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,建築専用弾性充填材,構築専用弾性充填材,合成樹脂製目地材,合成樹脂製の壁面補修用充填材,合成樹脂製の床面補修用充填材,繊維製の落石防止網,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),土砂崩壊防止用植生板,窓口風防通話板,区画表示帯,セメント及びその製品,建築用ガラス,養鶏用かご(金属製のものを除く。),吹付け塗装用ブース(金属製のものを除く。),セメント製品製造用型枠(金属製のものを除く。),送水管用バルブ(金属製又はプラスチック製のものを除く。),道路標識(金属製又は発光式若しくは機械式のものを除く。),航路標識(金属製又は発光式のものを除く。),貯蔵槽類(金属製又はプラスチック製のものを除く。),旗ざお(金属製のものを除く。),石製郵便受け」である。 イ 引用指定商品について 引用指定商品は,上記2のとおり,第2類「セメントを主成分とし硅砂・複合活性化学薬品を配合した組成物からなるコンクリート及びコンクリートブロック建造物専用の防水塗料」である。 ウ 本件指定商品と引用指定商品の類否について 本件指定商品と引用指定商品の類否を検討すると,前者は,いずれも建築用又は構築用専用材料(金属製のものを除く。以下同じ。)といえるものであるから,それらの用途は建築用又は構築用であること明らかであり,また,それらは主として,建築用又は構築用専用材料の生産,販売業者によって取り扱われ,建築又は構築に係る事業者を需要者とするものといえる。 また,後者は,防水塗料の一種であることから,その用途は防水であること明らかであり,それらは主として,塗料の生産,販売業者によって取り扱われ,塗装業者を需要者とするものといえる。 そうすると,両者の生産部門,販売部門,用途及び需要者の範囲は異なるものであって,他に両指定商品の一般的,恒常的な取引の実情において,生産部門,販売部門,原材料及び品質,用途,並びに需要者の範囲を共通にするというべき事情は見いだせず,また,両者が完成品と部品との関係にないことも明らかである。 したがって,両商標の指定商品は,両者に同一又は類似の商標を使用しても,それらの商品が同一営業主の製造,販売に係る商品と誤認混同するおそれのない非類似の商品といわざるを得ない。 エ 申立人の主張について 申立人は,本件指定商品について,例えば「セメント及びその製品」は,主成分として「セメント」を含む引用指定商品と原材料及び品質が極めて近似する,その用途に土木,建築,構築などが含まれるから両商品の用途が一致する,及び土木,建築,構築などに携わる業者が需要者であることも一致するから,引用指定商品と少なくとも原材料及び品質,用途,需要者が一致するなどというように,本件指定商品のそれぞれについて引用指定商品との共通点を挙げ,両指定商品が類似する旨主張している。 しかしながら,申立人が挙げる両指定商品の共通点は,広範な用途のうちの限られた一部の用途であったり,多数の原材料のうちの限られた一部の原材料であったりと,いずれも極めて限られた共通点であり,商品の一般的,恒常的な取引の実情とはいい得ないものである。 したがって,申立人のかかる主張は,その前提において採用できない。 オ 小括 上記のとおり,本件指定商品と引用指定商品は,非類似の商品であるから,本件商標は,引用商標との商標の類否について検討するまでもなく,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について ア 引用商標の周知性について (ア)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,次のとおりである。 a 申立人は,1983年(昭和58年)頃から現在まで,米国など世界60か国以上の国で引用商標を使用商品について使用していること,及び世界各国で宣伝広告活動を行っていることがうかがえる(甲12,甲14,甲18 ほか)。 b 我が国において使用商品は,代理店等を通じて2002年(平成14年)ないし2006年(平成18年)に取引されたことがうかがえる(甲17)。 c 申立人は,「PENETRON」の文字について,日本国を含む60か国以上の国(地域)で登録商標の取得又は商標登録出願を行っていることがうかがえる(甲19?甲22)。 (イ)上記(ア)のとおり,申立人は1983年(昭和58年)頃から現在まで米国など世界60か国以上の国で引用商標を使用商品について使用していること,世界各国で宣伝広告活動を行っていること,申立人は「PENETRON」の文字について日本国を含む60か国以上の国(地域)で登録商標の取得又は商標登録出願を行っていること及び我が国において申立人の使用商品は2002年(平成14年)ないし2006年(平成18年)に取引されたことがうかがえる。 しかしながら,我が国及び米国を含む外国における引用商標を使用した使用商品の売上高,販売数量などの販売実績を示す主張はなく,それを示す証左も見いだせない。 そうすると,引用商標は,本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において,他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして我が国及び米国を含む外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 イ 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について 商標法第4条第1項第10号は,「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって,・・・」と規定し,引用商標が周知であることを要件としていること明らかであり,また,同項第15号は,同号に明文はないものの,周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し,商標の自他識別機能を保護することによって,商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り,取引者,需要者の利益を保護することを目的とするものであるから,保護されるべき商標が周知著名であることを要すると解すべきである(知財高裁平成18年(行ケ)第10106号同年12月19日判決参照)。 これを本件についてみると,引用商標は上記アのとおり,他人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されている(周知著名である)ものと認められないものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号のいずれにも該当するものといえない。 (3)商標法第4条第1項第19号について 上記(2)アのとおり,引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国及び米国を含む外国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。 また,申立人提出の証拠によっては,本件商標は,引用商標に化体した信用,名声,顧客吸引力を毀損させるなど不正の目的をもって使用をするものというべき事情は見いだせない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当するものといえない。 (4)むすび 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものではなく,その登録は,同条第1項の規定に違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2019-02-22 |
出願番号 | 商願2017-108656(T2017-108656) |
審決分類 |
T
1
651・
264-
Y
(W19)
T 1 651・ 271- Y (W19) T 1 651・ 255- Y (W19) T 1 651・ 222- Y (W19) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 安達 輝幸 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
大森 友子 平澤 芳行 |
登録日 | 2018-06-22 |
登録番号 | 商標登録第6055611号(T6055611) |
権利者 | 駿河工業株式会社 |
商標の称呼 | ペナトロン |
代理人 | 清水 義仁 |
代理人 | 清水 久義 |
代理人 | 高田 健市 |