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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W18232425
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W18232425
管理番号 1349834 
審判番号 不服2018-2333 
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-19 
確定日 2019-03-06 
事件の表示 商願2015-97530拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「Portland Wool」の欧文字と「ポートランドウール」の片仮名を二段に横書きしてなり,第18類及び第23類ないし第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし,平成27年10月8日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同28年4月11日付けの手続補正書をもって,第18類「かばん類,袋物」,第23類「糸」,第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,ビリヤードクロス」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は,「本願商標は,『Portland Wool』の欧文字と『ポートランドウール』の片仮名とを二段に書してなるところ,その指定商品の関係において,『オーストラリア国ビクトリア州ポートランド産の羊毛を使用した商品』程度の意味合いを容易に理解,認識させるものである。そうすると,本願商標は,これをその指定商品中『オーストラリア国ビクトリア州ポートランド産の羊毛を使用した商品』に使用するときは,単にその商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,上記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから,商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審においてした審尋
当審において,平成30年8月28日付けで,請求人に対して,要旨以下を内容とする審尋を通知し,期間を指定して,これに対する意見を求めた。
別掲1及び2によれば,本願商標は,全体として「米国オレゴン州のポートランドで製造又は販売されているウール製品」の意味合いを容易に認識させ,商品の産地,販売地及び品質を表示するにすぎない。また,本願商標は,上記認定以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

4 審尋に対する請求人の回答
「Portland」及び「ポートランド」の語は,爵位,歴史上の人物,西洋人の氏姓,海軍の戦艦,ブドウの品種,バラの品種といった地名以外のものを指称する語としても知られ,使われており,また,当該語が地名として認識される場合であっても,世界の各地に同じ地名が多数存在しており,各看者において想起される地はそれぞれ異なっているか,あるいは,各看者はどこの地を指すかを特定することはできず,需要者・取引者において,米国オレゴン州ポートランドという特定の地名を一義的に指すものとして当然に理解・認識されることはない。
実際に,審査段階において,拒絶理由通知書及び拒絶査定の中で,「Portland」及び「ポートランド」の文字が,オーストラリア南西部ビクトリア州南西部の港町の地名表す語であるとの認定を行っているのであり,例えば,米国メイン州ポートランド市についても,活発に日本との交流が行われており,日本の一般需要者に親しまれた都市といえる。
以上のとおり,本願商標中の「Portland」及び「ポートランド」の文字は,たとえ地名として認識される場合であっても,米国オレゴン州の地名以外にも,米国メイン州の地名,オーストラリア・ビクトリア州の地名などとしても理解・認識されるというのが相当である。それゆえ,当該語は,審判官殿の認定するように,米国オレゴン州ポートランドという特定の地名を一義的に理解・認識させるものではない。
したがって,本願商標「Portland Wool/ポートランドウール」は,全体として,「米国オレゴン州ポートランドで製造又は販売されているウール製品」の意味合いを容易に認識させ,商品の産地・販売地及び品質を表示するにすぎない商標に該当するものではなく,全体として,一義的な特定の意味合いを看取させない一連の造語として認識されるというべきであるから,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号には該当しない。

5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は,「Portland Wool」の欧文字と「ポートランドウール」の片仮名を二段に横書きしてなるところ,その構成中の「Wool」及び「ウール」の文字部分は,「羊毛。毛糸。毛織物。」を意味する語として親しまれているものである(株式会社岩波書店 広辞苑第7版)。
そして,本願商標の構成中「Portland」及び「ポートランド」の語は,別掲1の辞書,新聞記事及びインターネット情報によれば,(ア)我が国の一般的な国語辞書における「ポートランド(Portland)」の項には,米国オレゴン州の都市名(以下,米国オレゴン州のポートランドを「米ポートランド」という。)のみの記載があり,米ポートランドの港は対日輸出の中心港であること(別掲1),(イ)米ポートランドと札幌市とは1959年(昭和34年)に姉妹都市になっており,長年にわたり交流を続け,米ポートランドは札幌市におけるイベントに招待されていること(別掲2(1),(2)),(ウ)東京世田谷区は米ポートランドとの都市文化交流を目指していること(別掲2(3)),(エ)ポートランド観光協会(米ポートランドの観光協会)は,東京に日本事務所開設したこと(別掲2(4)),(オ)大阪,横浜及び東京において,米ポートランドに関する催しが開催されていること(別掲2(5)?(8))からすると,本願商標の構成中「Portland」及び「ポートランド」の文字部分は,これに接する一般需要者をして,米ポートランドの地名を表したものと理解,認識するというのが相当である。
そして,本願商標の指定商品は,上記1のとおりであって,一般需要者を対象とする商品といえるものである。
そうすると,本願商標の構成中「Portland」及び「ポートランド」の文字部分は,米ポートランドの地名を表したものと理解,認識させるものであって,本願商標を表示した商品が,米ポートランドにおいて生産され又は販売されているであろうと認識されることが決して少なくないと判断するのが相当であり,そして,本願商標の構成中「Wool」及び「ウール」の文字部分は,「羊毛,毛糸,毛織物」を意味し,本願商標の指定商品との関係では,商品の品質又は普通名称を表したものと認識されるものである。
以上よりすれば,本願商標は,全体として「米ポートランドで製造又は販売されているウール製品」の意味合いを容易に認識させ,商品の品質等を表示するにすぎないし,その態様上顕著な特徴を有するものではないから,商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならず,上記認定以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は,「Portland」及び「ポートランド」の語は地名以外のものを指称する語としても知られ,使われており,また,当該語が地名として認識される場合であっても,世界の各地に同じ地名が多数存在しており,需要者・取引者において,米国オレゴン州ポートランドという特定の地名を一義的に指すものとして当然に理解・認識されることはなく,実際に,審査段階において,オーストラリア南西部ビクトリア州南西部の港町の地名表す語であるとの認定を行っているのであり,例えば,米国メイン州ポートランド市についても,活発に日本との交流が行われており,日本の一般需要者に親しまれた都市といえるから,当該語は特定の地名を一義的に理解・認識させるものではない旨主張する。
しかしながら,たとえ,本願商標の構成中「Portland」及び「ポートランド」の文字部分が,爵位,歴史上の人物,西洋人の氏姓等の意味を有し,また,オーストラリア南西部ビクトリア州南西部の港町又は米国メイン州ポートランド市を指称することがあるとしても,上記(1)のとおり,これに接する一般需要者をして,米ポートランドの地名を表したものと理解,認識するというのが相当あるから,「Portland」及び「ポートランド」の語が複数の意味を有することは,上記判断を左右するものではない。
したがって,請求人の上記主張は,採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 辞書における記載について
(1)アメリカ合衆国の北西部,オレゴン州最大の都市。対日輸出の中心港。(株式会社岩波書店 広辞苑第7版)
(2)アメリカ合衆国,オレゴン州のコロンビア川下流の南岸に臨む河港都市。(株式会社三省堂 大辞林第3版)
(3)米国オレゴン州西北部の河港都市。製材・製紙や造船業が行われる。(小学館 大辞泉第2版)

2 新聞記事及びインターネット記事における記載について
(1)「さっぽろ雪まつり:国際雪像コン,香港チームに栄冠 『飛躍する龍』テーマに制作 /北海道」の見出しの下,「雪像コンは今年で39回目。札幌の姉妹都市の・・・ポートランド(米国)・・・など16都市から参加があり,3人1組で5?8日に雪像作りに取り組んだ。」との記載がある(2012年(平成24年)2月10日 毎日新聞 地方版 25頁)。
(2)「姉妹都市:札幌と米ポートランド,提携60年記念 100年前の新聞翻訳へ 両市で共同事業,ボランティア募集 /北海道」の見出しの下,「札幌市と米ポートランド市の姉妹都市提携から2019年に60年を迎えるのを記念し,・・・共同事業を両市の市民らで始めることになった。・・・ポートランドは,太平洋に面したオレゴン州の最大都市。戦前,日本人移民らが住む日本人街があり,日系人経営の旅館や商店などが建ち並んでにぎわっていたほか,日本語の日刊新聞『央州日報』も発行されていた。・・・戦後になって札幌市と1959年以降,姉妹都市として交流を続けてきた。」との記載がある(2017年(平成29年)12月15日 毎日新聞 地方版 29頁)。
(3)「日経BP」のウェブサイトにおいて,2017年(平成29年)9月5日付けで「世田谷とポートランド,産官学民によるゆるやかな交流を」の見出しの下,「東京・世田谷と米国オレゴン州ポートランドの交流推進を目指す世田谷ポートランド都市文化交流協会準備会は7月13日・・・シンポジウム『ポートランドと世田谷をつなぐ暮らしやすさへの都市戦略』を開催した。」との記載がある(https://www.nikkeibp.co.jp/atcl/tk/PPP/report/073000066/)。
(4)「Travel vision」のウェブサイトにおいて,2018年6月12日付けで「ポートランド観光協会,日本事務所開設,アビアレップスに委託」の見出しの下,「米国オレゴン州内の最大の都市,ポートランド市の観光促進を展開するポートランド観光協会は,日本における事務所業務を6月1日から,アビアレップスに委託した。同社はオレゴン州観光局の業務も受託しており,今後はポートランドの旅?業界向けマーケティング活動および広報業務を展開する。」及び「▽ポートランド観光協会,日本事務所・・・東京都新宿区」との記載がある(http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=82087)。
(5)「米・ポートランド 街の魅力感じて 阪神百・梅田本店でフェア」の見出しの下,「『全米で一番住みたい街』といわれる西海岸オレゴン州ポートランドの魅力を紹介する『ポートランドフェア』が,大阪市北区の阪神百貨店梅田本店で開催されている。2月7日まで。」との記載がある(2016年(平成28年)1月31日 産経新聞 大阪朝刊 22頁)。
(6)「PR TIMES」のウェブサイトにおいて,2016年(平成28年)4月19日付けで「横浜で“全米で住みたい街No.1”『ポートランド』の魅力を体感・『セカンドポートランドフェスタin横浜ベイクォーター』2016年5月13日(金)?15日(日)の3日間で開催!」の見出しの下,「アメリカ・オレゴン州の街『ポートランド』の魅力を体感するイベント『セカンドポートランドフェスタin横浜ベイクォーター』を開催いたします。」との記載がある(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000017879.html)。
(7)「@Press」のウェブサイトにおいて,2017年(平成29年)3月16日付けで「トラベルポートランドが『カモン!ポートランド!フェア』を東京で開催」の見出しの下,「米国ポートランドの観光局トラベルポートランド(Travel Portland)が3月18日?20日の3日間にわたり,『カモン!ポートランド!フェア』を開催します。・・・渋谷の公園通りに面する商業施設・・・にてポートランドの魅力をご紹介するイベントです。」及び「トラベルポートランドTravel Portlandは米国オレゴン州ポートランド市の観光局です。」との記載がある(https://www.atpress.ne.jp/news/124510)。
(8)「ポートランド物産展 クラフトビールなど 来月2日まで=大阪」の見出しの下,「阪神百貨店梅田本店(大阪市北区)で始まる米国西部・オレゴン州ポートランドの特産品を紹介する『ポートランドフェア』のキャンペーン隊が25日,読売新聞大阪本社(同)を訪問し,26日からのフェアをPRした。フェアは5月2日まで。」との記載がある(2017年(平成29年)4月26日 大阪読売新聞 朝刊 26頁)。

審理終結日 2018-12-28 
結審通知日 2019-01-07 
審決日 2019-01-18 
出願番号 商願2015-97530(T2015-97530) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (W18232425)
T 1 8・ 13- Z (W18232425)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 椎名 実 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 早川 文宏
庄司 美和
商標の称呼 ポートランドウール 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 

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