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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W29
管理番号 1349782 
審判番号 不服2018-1773 
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-07 
確定日 2019-02-21 
事件の表示 商願2015-111451拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類「牛たん」、第30類「牛たんを用いたべんとう」及び第43類「牛たん料理を主とする飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、平成27年11月12日に登録出願され、その後、本願の指定商品及び指定役務については、当審における同30年2月7日受付の手続補正書により、第29類「牛たん」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、毛筆体で『職人仕込』の文字を縦書きで表してなるところ、食肉・肉製品、飲食店等の食品を取り扱う業界において、ある程度のレタリングを施した構成からなる筆文字による書体は、広く一般に採択、使用されていることからすると、筆文字で表した本願商標の書体も格別特異な構成からなるものとはいえず、それをもって自他商品、自他役務の識別力を具備する商標とは認識されるものではない。また、『職人仕込』の文字は、本願の指定商品の品質や指定役務の特徴を簡潔に表す語として使用されているものであり、『その業における専門の人が作り込んだもの』ほどの意味合いを理解、認識させるにすぎないものであるから、本願商標は、自他商品、自他役務の識別標識としての機能を有しないものである。さらに、出願人は、本願商標は、使用の結果、本願の指定商品及び指定役務について、需要者、取引者が何人かの業務に係る商品又は役務であるかを十分に認識することができる程度に周知性を有していることを主張し、証拠資料を提出しているところ、出願人が提供する商品又は役務において使用されている標章の態様は、本願商標である『職人仕込』の文字を含む『味の牛たん喜助』や『牛タンの喜助』等であり、本願商標のみによって需要者、取引者が何人かの業務に係る商品又は役務であるかを十分に認識することができる程度に周知性を有したものとはいえない。したがって、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものであり、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
ア 本願商標の構成態様について
本願商標は、別掲1に示すとおりの構成態様からなるところ、これよりは、直ちに毛筆風の書体をもって「職人仕込」の文字を縦書きで表してなるものと看取、把握できるものであり、また、毛筆風の書体自体は、一般に広く用いられているものといえるから、本願商標は、「職人仕込」の文字を普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表示するものといえる。
この点について、請求人は、本願商標を構成する毛筆体の書体は、ありふれた毛筆体ではなく、線の一部がかすれたようになっているために筆者の運筆の勢いを感じることができる書体であり、また、縦書きされた四文字において各文字の間が極端に狭く、「仕」の文字の上部は、「人」の文字の下部にめり込むように表されていて、通常のワープロのフォントでは有り得ない構成であるから、その勢いのある太い毛筆体の書体に「職人仕込」の文字が持つ意味合いが加わって、「男らしく、頑固な、勢いのある職人による仕込」という印象、記憶、連想が生じるものであり、さらに、本願商標は、縦書きのひとまとまりのロゴマークとして統一感、一体感があるから、その外観の点において十分なる自他商品識別力を有する商標である旨主張している。
しかしながら、仮に、本願商標が、その書体や文字の配置等について、請求人の主張するような特徴を有するものであるとしても、別掲1に示すとおりの構成態様からなる本願商標が、これに接する取引者、需要者をして、毛筆風の書体をもって「職人仕込」の文字を縦書きで表してなるものとの認識を大きく超える際立った外観上の特徴や特定の意味合いを認識するものなどとはいい難く、また、「男らしくて頑固な、勢いのある職人による仕込」といった印象、記憶、連想を生じるとすることにつき、請求人からそのことを裏付ける客観的な証拠は提出されていないから、請求人による上記主張は採用することができない。
イ 「職人仕込」の文字について
本願商標は、上記アのとおり、「職人仕込」の文字を普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表示するものといえるところ、当該文字又はこれと実質的に同一といえる「職人仕込み」の文字は、食品を取り扱う業界においては、その製造若しくは販売又は提供に係る食品について、職人が材料を仕入れ、手間をかけて味付けや調理などして仕込んだものであることを端的に示す語として、それらの宣伝、広告等を行う際に一般に広く用いられており、このことは、本願の登録出願時における指定商品及び指定役務についてはもとより、その後に補正された本願の指定商品についても同様といえる(別掲2に示す原審において示した例及び別掲3に示す例参照)。
そうすると、「職人仕込」の文字からなる本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その使用に係る商品が、職人が材料を仕入れ、手間をかけて味付けや調理などして仕込んだものであることを表したものとして認識するにとどまり、自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。
ウ 小括
上記ア及びイによれば、本願商標は、本願の指定商品について使用するときは、取引者、需要者をして、自他商品の識別標識として認識することはないものとみるのが相当であり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、原査定が提示した「職人仕込」の使用例は1件のみである上、その1例に係る事業者は、過去に請求人が商品の出所について誤認、混同を生じるおそれがある標章の使用中止を求める警告書を発した結果、使用標章を変更した者であり(甲1、甲2)、このように、請求人が使用する本願商標の顧客吸引力にフリーライドせんとする他の事業者の使用例をもって本願商標の自他商品識別力が否定されることは、本末転倒であるし、また、原査定が提示した他の使用例は、補正後の指定商品「牛たん」に関するものではないから、これらをもって本願商標の自他商品識別力が否定されるべきではない旨主張する。
しかしながら、上記警告は、請求人が有する本願商標と別異の図形商標に係る商標権に基づきなされたものであるから、これをもって、本願商標の顧客吸引力にフリーライドせんとする他の事業者の使用例ということはできない。また、「職人仕込」の文字又は「職人仕込み」の文字は、上記(1)イにおいて述べたとおり、食品を取り扱う業界において、その製造若しくは販売又は提供に係る食品について、職人が材料を仕入れ、手間をかけて味付けや調理などして仕込んだものであることを端的に示す語として、それらの宣伝、広告等を行う際に一般に広く用いられているところ、このような食品業界における一般的な取引の実情が、取引者、需要者を共通にし得る商品「牛たん」には当てはまらないとみるべき特段の事情は見いだせないから、その一般的な取引の実情をもって、本願商標を「牛たん」に使用した場合における取引者、需要者の認識を推し量ることに何ら矛盾はない。
したがって、請求人による上記主張は採用することができない。
イ 請求人は、本願商標を構成する「職人仕込」について、「牛タン」をキーワードにインターネット検索すると、その画像検索結果として、太い毛筆体で堂々と大きく書された本願商標が多数表示される(甲3)ことからすれば、本願商標は、その構成自体に特徴がある外観を有するという点において、一定程度の自他商品識別力を有しているものいえるし、また、本願の指定商品「牛たん」について使用した結果、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができる程度に周知性を有しているので、十分な自他商品識別力を有するものである旨主張する。
しかしながら、請求人の提出に係る甲第3号証は、検索エンジンである「Google」を用いて、「職人仕込」と「牛タン」とをキーワードとする画像検索をした結果を表示するものといえるところ、その結果は、本願商標の登録出願日後の2018年(平成30年)3月16日におけるものであるし、少なくともその結果の表示自体から請求人との関係が明らかであるとはいい難い上、その結果の表示のいくつかにおいては、本願商標と同一視し得る「職人仕込」の文字からなる標章が見受けられるものの、当該標章は、箱様のものの表面に他の文字や図形等と組み合わせられた態様でのみ表されているものであるから、これらをもって、本願商標が、その構成全体に特徴がある外観を有するという点において、一定程度の自他商品識別力を有しているなどとはいい難く、まして、それを「牛たん」について使用した結果、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる程度に周知性を有しているなどとはいえない。
したがって、請求人による上記主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであって、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
(本願商標)


別掲2
(1)「ぐるなび」のウェブサイトにおいて、「SALVATORE CUOMO&BAR(サルヴァトーレ クオモ)京橋」の見出しの下、「ナポリピッツァ 職人仕込! 本場の薪窯で焼き上げる!/職人が薪窯で仕上げるナポリピッツァ発祥の地・ナポリの伝統的な作り方を踏襲した本物のナポリピッツァ。厳選した小麦・水・塩・酵母のみで造る特製の生地と選りすぐりのトマト・チーズ・無農薬ハーブなどを使用。ピッツァを熟知したピッツァイオーロ(ピッツァ職人)が特注の薪窯で400度の炎で一気に焼き上げます。」の記載がある。
(http://r.gnavi.co.jp/c810903/kodawari/)
(2)「お取り寄せモール 風土jp」の「北海道の四季をお届けする/なまら!北海道こだわり屋本舗」のウェブサイトにおいて、「小樽職人仕込み 北海道干物【つぼ鯛・ほっけ開き・にしん開き】」の見出しの下、「その時期一番良い漁場で獲れた、北海道産大型【ほっけ】と【ニシン】を港町小樽で独自の技法と、熟練した職人が造る、最高の干物/こだわりの程よい塩加減と、焼くとジュッ!と出る脂の乗りをお楽しみ下さい」の記載がある。
(http://www.hoodo.jp/namara/goods_id-00970214.html)
(3)「KOBE 伍魚福」のウェブサイトにおいて、「職人仕込みのパンチェッタ 80g」の見出しの下、「加熱調理なしで、そのままお召し上がりいただけます。デンマーク産の豚バラ肉を塩漬し、約20日間熟成させました。」の記載がある。
(http://gogyofuku.com/fs/gogyofuku/10000069)
(4)「YAHOO!ショッピング」の「南越後のうまいもの!/あらきん商店」のウェブサイトにおいて、「岩魚(いわな)の焼枯らし 黒姫高原の職人仕込」の見出しの下、「北信濃、黒姫山の麓にある黒姫ガーデンさん自家製の無添加・無着色の岩魚(いわな)の焼き枯らしです。岩魚に塩をふり水分を飛ばし、焼いた野趣あふれる珍味です。」の記載がある。
(https://store.shopping.yahoo.co.jp/arakin/f203.html)
(5)「わしたショップオンライン」のウェブサイトにおいて、「(冷蔵)職人仕込 三枚肉 500g」の見出しの下、「豚バラ肉を沖縄風に味付けした食べ応えのある皮付三枚肉です。」の記載がある。
(http://www.washita.co.jp/products/detail.php?product_id=81470)
(6)「ヴィレッジフーズ・グループ」のウェブサイトにおいて、「ブランド」の見出しの下、「とろろ・牛タン専門店/たん繁」、「職人仕込の牛タンと極上の麦とろにこだわった専門店です。」の記載がある。
(http://www.ohmuraya.com/brand/)
(7)「dデリバリー ドコモの出前・フード宅配サービス」のウェブサイトにおいて、「笹互 錦糸町」の見出しの下、「職人仕込と厳選素材のネタをどうぞご賞味ください」の記載がある。
(https://delivery.dmkt-sp.jp/shop/itemlist/3003497/)

別掲3
(1)「仙台炭焼き/牛たん欅/けやき」のウェブサイトにおいて、「牛たん弁当 ご予約承ります!」の見出しの下、「仙台職人仕込みの炭焼き牛たんを、お持ち帰りでお楽しみ頂けます。厳選した部位の霜降り熟成たんと熟成たんを一度に楽しめミックス牛たん弁当が人気です!」の記載がある。また、「欅のこだわり」の見出しの下、「牛たん 仙台伝統の熟成技法が味の決め手。職人が丁寧に切り出した厚切りの牛たんを楢炭でじっくりと焼き上げます。」の記載がある。
(http://ishiyaki.jp/keyaki/)
(http://ishiyaki.jp/keyaki/kodawari.html)
(2)「牛繁/GYU SHIGE」のウェブサイトにおいて、「焼いて食って元氣!」の見出しの下、「安心安全!うまい『国産牛』ならここにある・・・品質にこだわった、職人仕込みの焼き肉チェーン」の記載がある。
(http://www.gyushige.com/sp/top.html)
(3)「オキハム オフィシャルネットショップ」のウェブサイトにおいて、「職人仕込み 味付らふてぃ」の商品特徴として、「厳選された豚三枚肉を使って、じっくり煮込みました。」の記載がある。
(http://okiham.shop-pro.jp/?pid=17511754)

審理終結日 2018-12-17 
結審通知日 2018-12-18 
審決日 2019-01-09 
出願番号 商願2015-111451(T2015-111451) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大島 康浩 
特許庁審判長 田中 敬規
特許庁審判官 中束 としえ
有水 玲子
商標の称呼 ショクニンジコミ、ショクニン 
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所 

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