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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20196052 審決 商標
異議2016900059 審決 商標
不服201520434 審決 商標
無効2016890064 審決 商標
不服20179999 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 W29
審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 取り消して登録 W29
審判 査定不服 商4条1項14号 種苗法による登録名称と同一又は類似 取り消して登録 W29
管理番号 1348924 
審判番号 不服2018-6893 
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-21 
確定日 2019-02-26 
事件の表示 商願2016-72127拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類「和歌山県産の梅を使用した梅干,和歌山県産の梅を使用した梅干及びその他の和歌山県産の梅を加工した加工野菜及び加工果実」を指定商品として、平成28年6月21日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、以下の1ないし3のとおり認定、判断し、本願を拒絶した。
1 本願商標は、その構成中に、東京都所在の「公益財団法人徳川ミュージアム」が、本願商標の登録出願前より役務「歴史的資料の展示,美術品の展示」等に使用して著名な三つ葉葵紋と類似の図形を有してなるものであるから、上記公益に関する団体であって営利を目的としないものを表示する著名な標章と類似の商標である。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。
2 本願商標は、その構成中に、徳川家が使用してきた著名な三つ葉葵紋と極めて類似する図形を有してなるものであるが、上記公益財団法人は、徳川家伝来の歴史的資料の展示、美術品の展示等の事業を行い、我が国の文化の向上に寄与しており、三つ葉葵紋は一定の経済的価値を有するものとなっている実情がある。そうすると、三つ葉葵紋と極めて類似する図形を含むものを、徳川家、上記公益財団法人等と関係の定かでない一出願人が自己の商標として採択使用することは、かかる著名性を顧客吸引力として利用する行為であるといわざるを得ず、社会公共の利益に反するとともに、社会の一般道徳観念に反し、公の秩序をそこねるおそれがあり穏当ではない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
3 本願商標をその指定商品に使用するときは、これがあたかも上記公益財団法人又は同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第3 当審の判断
1 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、薄黄色の正方形内に薄紫色の三つ葉葵紋を配し、それを背景として、朱色で左上に「紀和の梅」の文字を、左下に落款風に四角線で囲んだ「紀和」「農園」の4文字を表示してなり、さらに、背景の薄紫色と比して明らかに濃い紫色で筆書き風に書した「紀州梅」の文字と大書した「夢葵」の文字とを表示してなるものである。
ところで、食料品の包装に家紋を付すことは、広く一般に行われていることであり、また、三つ葉葵紋についてみると、例えば、江戸時代に徳川御三家のあった愛知県(尾張)、和歌山県(紀州)及び茨城県(水戸)においては、各地域の特産物や土産物などの包装に三つ葉葵紋を付すことが広く一般に行われている実情がある。
そして、本願商標の上記構成態様及び上記取引の実情からすれば、本願商標は、看者をして、文字部分の背景に三つ葉葵紋が表示されていることを認識させるとしても、三つ葉葵紋の図形部分が文字部分に比して薄い色で表示されていることとあいまって、当該図形部分は、単に背景模様として認識されるというべきであるから、看者に強く支配的な印象を与えるものではなく、当該図形部分からは、自他商品の識別標識としての称呼及び観念は生じないというべきである。
そうすると、本願商標は、その構成全体を一体のものとして看者が認識するほか、その構成中、中央に大きく顕著に表された「夢葵」の文字部分が自他商品の識別標識として看者に強く支配的な印象を与えるとみるのが自然である。
2 引用標章について
原審においては、引用標章の態様を特定していないが、別掲2のとおりの標章を引用標章として、以下、判断する。
引用標章は、家紋の一つである三つ葉葵紋を表示してなるものであるところ、職権による調査によれば、水戸徳川家を表示する家紋又は公益財団法人徳川ミュージアム(以下「徳川ミュージアム」という。)を表示する標章として、ある程度一般に知られているものといえる。
3 本願商標と引用標章との類否について
本願商標の外観は、上記1のとおり、薄黄色の正方形内に薄紫色の三つ葉葵紋を配し、それを背景として、「紀州梅」「夢葵」等の文字を朱色又は紫色で表示してなるものであるのに対し、引用標章は、上記2のとおり、三つ葉葵紋のみからなるものであるから、本願商標と引用標章とは、それら全体の構成において明らかな差異を有するものであり、両者は、外観上、明確に区別できるものである。
加えて、本願商標の構成中の三つ葉葵紋の図形部分は、看者をして、背景模様として認識されるものであって、看者に強く支配的な印象を与えるものではないことからも、本願商標は、三つ葉葵紋のみからなる引用標章とは非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
4 商標法第4条第1項第6号該当性について
上記3のとおり、本願商標と引用標章とは非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するものではない。
5 商標法第4条第1項第7号該当性について
別掲1のとおりの構成からなる本願商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく、その構成自体がそのようなものではなくとも、それを本願の指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものともいえない。
また、本願商標は、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものではないし、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでもない。
さらに、本願商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足る具体的事実も見いだせない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
6 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記2のとおり、引用標章は、水戸徳川家を表示する家紋又は徳川ミュージアムを表示する標章として、ある程度一般に知られているものであるとしても、上記3のとおり、本願商標と引用標章とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本願商標をその指定商品について使用しても、需要者が徳川ミュージアムを連想又は想起することはなく、その商品が同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
7 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第6号、同項第7号及び同項第15号に該当するものではないから、本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
本願商標(色彩は原本参照)


別掲2
引用標章




審決日 2019-02-13 
出願番号 商願2016-72127(T2016-72127) 
審決分類 T 1 8・ 21- WY (W29)
T 1 8・ 271- WY (W29)
T 1 8・ 22- WY (W29)
最終処分 成立  
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 小松 里美
石塚 利恵
商標の称呼 キワノウメ、キワ、キシューウメユメアオイ、キシューバイユメアオイ、ユメアオイ、キワノーエン 
代理人 杉本 勝徳 

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