• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 11421222526
管理番号 1348865 
審判番号 取消2017-300751 
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-10-03 
確定日 2019-01-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第1877123号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1877123号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲に示したとおりの構成からなり,昭和56年9月14日に登録出願,第22類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,同61年7月31日に設定登録され,その後,平成18年8月16日に,指定商品を第6類「つえ用金属製石突き」,第14類「貴金属製属製靴飾り」,第18類「 傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」,第21類「靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー」,第22類「靴用ろう引き縫糸」,第25類「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類」及び第26類「靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」とする指定商品の書換の登録がされ,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,平成29年10月17日である(以下,当該登録前3年以内を「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,登録第1877123号商標の指定商品中,第14類「貴金属製靴飾り」,第21類「靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー」,第22類「靴用ろう引き縫糸」,第25類「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類」,及び第26類「靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,上記商品について継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人の答弁に対して弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。
1 使用者
本件商標は,本件商標権者によって,靴に商標として使用されている(乙1)。
乙第1号証の写真1?3により確認できるように,靴のインソール(中敷き)に「VENTILATION」の商標が印刷されている。この商標は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(1)靴の発注
本件商標権者は,平成27年12月10日に,中華人民共和国浙江省台州市に所在の台州博航進出口有限公司(以下「台州博航進出口社」という。)に靴と靴に取り付ける専用タグを発注している(乙2)。
(2)靴及び靴の専用タグの輸入
本件商標権者は,平成27年12月17日付で,航空便により台州博航進出口社から靴を10足と靴の専用タグを100枚輸入した(乙3,4)。
輸入された靴は,乙第1号証で確認できる靴と同様である。また,輸入された専用タグには「VENTILATION」の商標が印刷されている(乙5)。この商標は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(3)靴の展示
本件商標権者は,専用タグを取り付けた靴を,平成28年1月20日?21日に神戸商工貿易センタービルにおいて行われた「2016年春夏展示会」において展示した(乙11)。なお,本展示会は日本ケミカルシューズ工業組合が主催する「第153回 2016年夏 日本グランドシューズコレクション&全国サンダルフェア2016」(乙6)の開催に合わせて行われたものである。
さらに,本件商標権者は,日本ケミカルシューズ工業組合の会員である(乙7)。
「2016年春夏展示会」での展示において,本件商標権者は靴の包装箱も展示した。包装箱には「VENTILATION」と印刷されている。この商標は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。(乙8)
本件商標権者が取引先に配布した展示会の案内状には「VENTIALTION」の商標が印刷されている。この商標は,本件商標と同一の商標である。(乙9)
また,展示会において本件商標権者は,来場者にカタログを配布した(乙10)。当該カタログの第1頁には「VENTILATION」と記載されている。また,第7頁の上段には品番の欄に「VENTILATION31」と掲載され,かつ,乙第5号証のタグが取り付けられた靴が掲載されており,さらに靴のインソールには「VENTILATION」と表示されていることが確認できる。これらの商標は,本件商標と同一の商標,又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
本件商標権者は,平成28年1月20日(水)及び21日(木)の展示会の来場者を社名,担当者毎に記録している。
2 使用時期
上述のとおり,商標の使用は少なくとも靴が輸入された平成27年12月17日と,展示会で靴の展示をした平成28年1月20日及び21日である。
3 使用商品
この商標が使用されている商品は「靴」であり,これは本件商標の指定商品の「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く)」に対応する。
4 まとめ
したがって,本件商標は,その指定商品に本件商標権者によって本件審判の請求前から使用されている。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠の内容
(1)乙第1号証は,写真であり,商品「靴」(写真1及び2)及び「靴のインソール(中敷き)」(写真3)が写っている。当該靴は,全体が黒色であり,その側面にややふくらみを有しその両サイドに白色糸の針目が施されている3本の帯状の装飾,並びに,つま先から足の甲にかけた先端部分,つま先からつづく両サイドの部分及びかかと部分等を保護するような部材等が白色糸の針目をともなって取り付けられている。また,当該靴の内側(着用者の足裏が接触する部分)に,白色で書された「VENTILATION」の文字が表示された織りネーム状のタグが付されており(写真1),靴のインソール(写真3)の踵寄りに付された織りネーム状のタグに,白色で書された「VENTILATION」の文字の記載がある。
(2)乙第2号証は,「<VENTILATION 31>仕様書」と題する書類であり,「2015.12.10」の記載のほか,靴の側面図とともに,「BRAND」(ブランド)の項に「VENTILATION」,「品番」の項に「31」,「COLOR」(色彩)の項に「BLACK」(黒)の記載がある。そして,当該靴の側面図には,靴の側面に針目が施されている3本の帯状の装飾,並びに,つま先から足の甲にかけた先端部分,つま先からつづく両サイドの部分及びかかと部分等を保護するような部材等が針目をともなって描かれている。
(3)乙第3号証は,「順豊エクスプレス株式会社」に係る請求書の写しであり,「お客様番号」の項に「会社名」として「FUKUOKA KAGAKU KOGYO CO., LTD」の記載,並びに,「集荷日」の項に「2015/12/14」,「配達日」の項に「2015/12/17」の記載,「荷送人」の項に「CHINA GEN SHENG LIAN TAI ZHOU BO HANG IMP EXP CO LTD」,及び「荷受人」の項に「JAPAN TAIICHIRO FUKUOKA FUKUOKA KAGAKU KOGYO, CO., LTD」と,それぞれ記載されている。
(4)乙第4号証は,「INVOICE」(請求書)であるところ,標題に「台州博進出口有限公司(「進」の文字は書類上「しんにょう」に「井」を結合してなるが,以下「進」と表示する。)」及び「TAIZHOU BOHANG IMP&EXP CO.,LTD」,「BUYER」(買い主)の項に「FUKUOKA KAGAKU KOGYO,CO.,LTD」,「Invoice Date」(請求日)の項に「DEC.14.2015」の記載,「DESCRIPTIONS & QUANTITIES」(銘柄及び数量)の項には,「SHOES(PU)」と「VENTILATION 31 10PRS」及び「VENTILATION TAG 100PRS」がそれぞれ記載されており,当該送り状の右下方には,「台州博進出口有限公司/TAIZHOU BOHANG IMPORT&EXPORT CO.,LTD」の文字の下に,判読不能ではあるが,署名の記載がある。
(5)乙第9号証は,「2016年春夏展示会のご案内」と題する書面であり,標題の下には,「Wilson(R)」,「AIRWilson(R)」,「AIR SOFT(R)」及び「VENTILATION(R)」((R)は,登録商標であることを表示したものと認められる,○内に「R」の文字が小さく付されていることを表す。以下同じ。)等の記載,並びに,「日時」の項には「平成28年1月20日(水)?21日(木)(2日間)」,「会場」の項には「神戸商工貿易センタービル」(神戸市中央区所在)及び最下段には「福岡化学工業株式会社」と連絡先の記載がある。
(6)乙第10号証は,全7頁からなる書面であり,その表紙には「福岡化学工業株式会社」の記載,及びその下には「Wilson(R)」,「AIRWilson(R)」,「AIR SOFT(R)」及び「VENTILATION(R)」等の記載,並びに,最下段に「カタログNO:2016SS02」の記載がある。そして,2頁以降には,品番,カラー,サイズ,素材及び機能の記載とともに,靴の写真が掲載されている。
そして,当該書面の7頁の最上段には,「品番」の項に「VENTILATION31」の文字の記載とともに,黒色の靴の写真及びインソールの写真が掲載され,当該靴の特徴は,上記(1)の靴と同一であり,当該インソールには上記(1)の靴と同様に白色で書された「VENTILATION」の文字の記載がある。
(7)乙第11号証は,株式会社神戸商工貿易センターから本件商標権者に宛てた「請求書」であり,「発行日」の項に「2015年7月2日」,「今回の御請求額」の項に「75,810円」,「摘要欄」の項に「第2会議室使用料」,並びに,「備考欄」の項に「2016年1月19日」,「2016年1月20日」及び「2016年1月21日」の日時が記載されている。
2 認定事実
(1)本件商標権者の使用に係る商品について
ア 乙第1号証の写真は,平成27年12月17日に,本件商標権者の使用に係る商品「靴」(以下「本件使用商品」という。)を撮影したものであり,本件使用商品には,そのインソールに「VENTILATION」の文字(以下「本件使用商標」という。)が記載された織りネーム状のタグが付されている。
イ 仕様書(乙2)は,平成27年12月10日に作成されたものであって,当該仕様書と本件使用商品とは,当該仕様書に記載されたブランド名「VENTILATION」と本件使用商品のインソールに付されたタグに記載された文字「VENTILATION」の文字が共通すること,当該仕様書に記載された色彩(黒)と本件使用商品の色彩が共通すること,及び当該使用書に記載された靴のデザイン画は本件使用商品(乙1)とその特徴を共通にすることから,本件使用商品の仕様書であると認められる。そして,当該仕様書は,「<VENTILATION 31>仕様書」と題されていることから,本件商標権者は,本件使用商品を商品名及び品番「VENTILATION 31」として取り扱っていたことが認められる。
ウ 請求書(乙3)は集荷日を平成27年12月14日及び配達日を同月17日とするものであって,当該請求書に記載の顧客会社名及び荷受人は本件商標権者,また,荷送人は台州博航進出口社と認められる。
エ 請求書(乙4)は請求日を平成27年12月14日とし,台州博航進出口社が作成したものであり,「PRS」の表示が「pairs」の略語で「一対,1組」等を表す語と認識できることが商取引上,自然であることからすると,台州博航進出口社は,本件商標権者に向けて,銘柄を「VENTILATION 31」とする商品「靴」10足を発送したと認められる。
オ 以上よりすると,本件商標権者は,平成27年12月10日頃に,本件使用商品を,台州博航進出口社に対し製造を依頼し,同月14日に台州博航進出口社より発送された本件使用商品10足を,同月17日に受領したと認められる。そして,本件使用商品には,本件使用商標を記載した織りネーム状のタグが付されていたと推認できる。
(2)展示会における使用について
ア 本件商標権者は,平成28年1月20日及び同月21日に,神戸商工貿易センタービル内の会議室を借用し,平成28年春夏向け商品の展示会を開催した(乙9,11)。
イ 本件商標権者が作成した上記展示会の案内書(乙9)には,「Wilson(R)」,「AIRWilson(R)」,「AIR SOFT(R)」及び「VENTILATION(R)」等のブランド名とともに,上記開催日の記載がある。
ウ 乙第10号証の書面は,上記1(6)のとおりの構成よりなるものであるから,本件商標権者に係る商品カタログといえる。そして,上記展示会に配布したとする当該商品カタログは,「カタログNO」として「2016SS02」の記載があることから,平成28年春夏に向けたものであって,当該商品カタログの表紙には,案内書(乙9)と同様に「VENTILATION(R)」のブランド名が掲載されるとともに,7頁には,「VENTILATION31」の文字の記載とともに,本件使用商品と同一の特徴を有する商品の写真が掲載されている。
エ 以上よりすると,本件商標権者が平成28年1月20日及び同月21日に,神戸市中央区所在の神戸商工貿易センタービル内の会議室において平成28年春夏向け商品の展示会を開催し,当該展示会の案内書に本件商標権者のブランドとして「VENTILATION」が紹介されていること,及び本件商標権者が当該展示会に配布したとする平成28年春夏向け商品カタログには「VENTILATION31」の文字の記載とともに,本件使用商品と同一の特徴を有する商品「靴」の写真が掲載されていることからすると,本件商標権者は,平成28年1月20日及び同月21日に,本件使用商標が付された本件使用商品を販売のために展示したと推認できる。
3 判断
(1)使用商標
本件商標と本件使用商標とは,いずれも「VENTILATION」の文字からなる商標であるから,本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(2)使用商品
使用商品「靴」は,本件審判の取消請求に係る指定商品中,第25類「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」に含まれる商品である。
(3)使用時期及び使用者
上記2(1)オのとおり,本件商標権者は,要証期間内である平成27年12月17日に,製造を依頼した台州博航進出口社より本件商標を付した本件使用商品を受領したのであるから,本件商標権者は,要証期間内である平成27年12月17日に,本件使用商品に本件使用商標を付したといえる。
また,上記2(2)エのとおり,本件商標権者は,要証期間内である平成28年1月20日及び同月21日に,本件使用商標が付された本件使用商品を販売のために展示した。
(4)小括
以上によれば,本件商標権者は,要証期間内に,本件使用商品に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したと認められる。
また,本件商標権者は,要証期間内に,本件使用商品に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを譲渡又は引渡しのために展示したと認められる。
これらの行為は、商標法第2条第3項第1号にいう「商品に標章を付する行為」,及び同項第2号にいう「商品に標章を付したもの譲渡又は引渡しのために展示する行為」に該当する。
4 むすび
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に,日本国内において,本件商標権者が,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標





審理終結日 2018-08-30 
結審通知日 2018-09-03 
審決日 2018-09-19 
出願番号 商願昭56-77356 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (11421222526)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 平澤 芳行
小出 浩子
登録日 1986-07-30 
登録番号 商標登録第1877123号(T1877123) 
商標の称呼 ベンチレーション 
代理人 大塚 康徳 
代理人 上野 英樹 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ