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審決分類 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない Y2528
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない Y2528
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Y2528
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない Y2528
管理番号 1348819 
審判番号 無効2016-890059 
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-10-07 
確定日 2019-01-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第5053768号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求中,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号を理由とする請求は却下する。その余の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5053768号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成18年6月30日に登録出願,同19年1月17日に登録査定,第25類「スケートボード・スノーボード・サーフボード用運動用特殊衣服,スケートボード・スノーボード・サーフボード用運動用特殊靴」及び第28類「スケートボード・スノーボード・サーフボード用運動用具」を指定商品として,同年6月15日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求は,平成28年10月7日である。

第2 請求人が引用する商標
請求人が本件商標の無効の理由に引用する商標は,以下の3件の商標(以下,まとめていうときは「請求人商標」という。)である。
(1)「BOARDWORKS」の欧文字からなる商標(以下「請求人商標1」という。)
(2)別掲1のとおりの構成からなる商標(以下「請求人商標2」という。)
(3)別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「請求人商標3」という。)

第3 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第42号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,商標法第4条第1項第19号,同項第7号,同項第10号及び同項第15号に違反して登録されたものであることから,商標法第46条第1項第1号により,その登録は無効とされるべきである。
2 商標法第4条第1項第19号について
(1)はじめに
本件商標は,他人である請求人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されている請求人商標と同一又は類似であって,不正の目的をもって使用をするものである。
(2)請求人商標が請求人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されていること
ア 請求人商標の使用期間及び使用方法等について
(ア)BOARDWORKS社の設立と同社の取扱製品
Craig Cooper氏(以下「Cooper氏」という。)は,2001年(平成13年)2月5日に米国ルイジアナ州法に基づいて「BOARDWORKS,L.L.C.」との名称で会社(以下「BOARDWORKS社」という。)を設立した。
BOARDWORKS社は,設立当初から請求人商標を付したサーフボード,パドルボード,スタンドアップパドルサーフィン用のパドルその他関連製品(以下,これらを総称して「BOARDWORKS社製品」という。)の製造販売を行っていた。このようにBOARDWORKS社は,本件商標の登録出願日まで約5年もの間,BOARDWORKS社製品に請求人商標を付して使用を継続してきた。
(イ)BOARDWORKS社のホームページ上での請求人商標の使用
甲第6号証は,BOARDWORKS社のホームページに2002年(平成14年)12月6日から掲載されていたものである。甲第6号証の左上には請求人商標1及び3が付されており,下段には,BOARDWORKS社が高品質エポキシサーフボードの世界No.1の提供者であることなどが記載されている。
甲第7号証は,BOARDWORKS社のホームページに2003年(平成15年)に掲載されていたものである。甲第7号証の左上には,甲第6号証と同様,請求人商標1及び3が付されている。また,BOARDWORKS社は,当時,エポキシモールドサーフボードの世界的生産者として知られていたことが示されている。BOARDWORKS社の国際チームのメンバーには,Bonga Perkins,Duane Desoto,Kanoa Dahlinなどがあり,国内(米国)チームのメンバーに,Michael Coleman,Zach Rinehardt,Holly Rinehardtなどがいたことが記載されている。
甲第8号証は,BOARDWORKS社のホームページに2004年(平成16年)7月30日から掲載されていたものである。甲第8号証の左上には,甲第6号証と同様,請求人商標1及び3が付されている。また,BOARDWORKS社が,高品質エポキシサーフボードの世界No.1の提供者であり,現在世界で最高のシェーパー(サーフボードの原型を作る職人)と組み合わさった最高の製造技術を提供していることが記載されている。
甲第9号証は,BOARDWORKS社のホームページに2005年(平成17年)4月5日から掲載されていたウェブページである。甲第9号証の右上には請求人商標1が,左上には請求人商標2が記載されている。
(ウ)米国商標権及びドメイン名の取得について
Cooper氏は,2003年(平成15年)10月7日,指定商品をサーフボードとする請求人商標1を含み,かつ,請求人商標3と実質的に同一の米国商標権を取得している。
Cooper氏は,遅くとも2001年(平成13年)1月1日から当該米国商標権に係る商標をサーフボードに使用している。当該商標は,2003年(平成15年)から継続的に使用されていた。
また,請求人は,2012年(平成24年)4月に,指定商品を「パドルボード,サーフボード,サーフボードとともに用いるパドル」として請求人商標1の米国商標権を取得している。
なお,BOARDWORKS社は,2001年(平成13年)4月には,ホームページのドメイン名として「boardworkssurf.com」を取得し,現在まで,当該ドメイン名を継続して使用しており,その間,請求人商標を世界中の潜在的な顧客の目につくように表示していた。
(エ)BOARDWORKS社の合併について
請求人は,2008年(平成20年)にBOARDWORKS社を吸収合併し,同社の請求人商標に係る権利及び営業上の利益を包括的に承継した(甲2)。このことは,被請求人が設立した株式会社ボードワークスジャパン(以下「ボードワークスジャパン社」という。)も認めるところである(甲17)。
イ BOARDWORKS社製品の製造・販売の数量(売上高)
BOARDWORKS社製品の売上高は,米国の東海岸,西海岸,メキシコ湾岸,ハワイ,オーストラリア,ニュージーランド,グアム,フランス,日本及びイギリスにおける販売業者及び他の再販売業者を通して年間数十万米ドルの販売を達成した(甲2)。
BOARDWORKS社は,BOARDWORKS社製品を取り扱うディーラーを,日本を含む世界中で選定していた(甲18)。
特に,2004年(平成16年)2月から2006年(平成18年)6月までの間の米国を含む全世界における,BOARDWORKS社製品に係る合計売上額は,350万米ドルから700万米ドルにも上る(甲19)。
ウ 広告の方法・回数・金額等
BOARDWORKS社は,BOARDWORKS社製品の販売にあたって,請求人商標が付された各種広告チラシを2005年(平成17年)から2006年(平成18年)にかけて作成してきた。また,BOARDWORKS社は,Longboard Magazine(甲22),Surfer Magazine(Primedia)(甲23),Eastern Surf Magazine(ESM)(甲24),The Surfers Path Magazine(Permanent Publishing)(甲25),FreeSurf Magazine(甲26)等へのサーフィン関連の雑誌に広告を掲載していた。Longboard Magazineは,サーフィンやウォータースポーツに関する有名な定期的に発行される雑誌であり,2001年(平成13年)から2006年(平成18年)にかけてBOARDWORKS社製品が継続的に広告されていた(甲27)。BOARDWORKS社の広告が行われていた当時のLongboard Magazineは,全米やハワイだけではなく,オーストラリア,フランス,日本も含めて各号あたり3万5000部程度の発行数を誇っていた(甲27)。BOARDWORKS社は,これら以外の宣伝広告も行っていた(甲27,28)。さらに,2002年(平成14年)から2006年(平成18年)にかけて,BOARDWORKS社製品の宣伝広告にあたって少なくとも約7万ドルもの広告費用をかけた記録が残っており,実際の広告費用はこれを上回るものである(甲2,21?26,28)。
また,BOARDWORKS社は,BOARDWORKSブランドを宣伝するさまざまなアスリートのスポンサーとなっていた(甲2)。甲第29号証は,BOARDWORKS社がスポンサーとなっている多くのアスリートの一人であるAmy Grover氏の複数の競技会での競技の様子を紹介した新聞記事である。
エ 小括
以上のとおり,BOARDWORKS社は,請求人商標1を含む名称で2001年(平成13年)に設立されており,米国を中心に世界中にBOARDWORKS社製品を取り扱うディーラーを配置して,本件商標の登録出願時までにはBOARDWORKS社製品についての販売実績を確立していた。また,BOARDWORKS社は,本件商標の登録出願時までに,既に多数の広告チラシを作成し,多量の出版数を誇るサーフィン関連の雑誌に広告をしている。そして,BOARDWORKS社は,このような宣伝広告費用に7万米ドル以上も投資している。しかも,多数のアスリートを後援し,請求人商標の価値を強化していた。そのため,請求人商標は,日本国内及び外国において最終消費者又は取引者の間に広く認識されている。少なくとも米国において,請求人商標は,本件商標の登録出願時には,BOARDWORKS社製品の出所を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であったことは明らかである。
実際,Long board Magazineの社長兼編集者であったガイモーチルは,「BOARDWORKS」は2002年(平成14年)から2006年(平成18年)にかけてサーフィン製品の業界においてよく知られていた旨,宣誓している(甲27)。
(3)本件商標は不正の目的をもって使用するものであること
ア 本件商標の登録出願を行うことを許諾していないこと
BOARDWORKS社は,2005年(平成17年)頃に被請求人よりBOARDWORKS社製品の日本国内での販売を手掛けたいとの意向を受けた。この意向を受けて,BOARDWORKS社は,被請求人を日本国内におけるBOARDWORKS社製品の新たな販売店と認め,BOARDWORKS社製品を被請求人に供給し始めた(甲2)。その後,BOARDWORKS社は,交渉を経て,2007年(平成19年)に被請求人が設立したボードワークスジャパン社との間で販売店契約を締結している(甲30)。
BOARDWORKS社及びCooper氏は,当該販売店契約締結の前後を問わず,被請求人及びボードワークスジャパン社に本件商標の登録出願を行うことを許諾していない(甲4)。この点については,契約締結前から,被請求人も繰り返し了解していた(甲2)。
署名済みの販売店契約書については,被請求人が保管していると思料されるにもかかわらず,被請求人はこれを開示することを拒否している。甲第31号証は,被請求人との交渉の最終段階での販売店契約書の案であり,これと同内容の契約書が締結されている。すなわち,甲第30号証は,2007年(平成19年)2月12日付けの被請求人からCooper氏に宛てた電子メールである。そして,同メールで被請求人が契約に署名することを同意している販売店契約書が,甲第31号証の契約書である。
同契約書第10条第1項において,被請求人が代表取締役となっているボードワークスジャパン社は,BOARDWORKS社製品を変更,複写,複製等を行うことが禁止されている(甲31)。すなわち,ボードワークスジャパン社は,BOARDWORKS社から購入した製品をそっくりそのまま販売することが認められたにすぎない。しかも,同契約書第10条第2項においては,請求人商標を含む一切の商標に係る権利は請求人に留保されている(甲31)。販売店契約は,本件商標の登録出願日である2006年(平成18年)6月30日より後の2007年(平成19年)に締結されている。しかし,販売店契約書の締結交渉にあたって,BOARDWORKS社は上記条項を記載することを強く求め,被請求人もこれを了承していた(甲2)。つまり,請求人商標の管理,運営の権限は,ボードワークスジャパン社に何ら与えられていなかった。
以上の次第で,BOARDWORKS社は,被請求人及びボードワークスジャパン社が,本件商標の登録出願を行うことを許諾していなかったことは明らかである。
そうすると,本件商標の登録出願は,Cooper氏及びBOARDWORKS社の同意に基づくものではない。
なお,販売店契約書(甲31)は,BOARDWORKS社とボードワークスジャパン社との間で正式に締結されたが,請求人は,これを紛失した。
また,乙第2号証の3のメールに添付の「DistributionAgrJapanfinaltoEiji012607」については,被請求人から提出されるものと考えられるが,なお念のため,請求人においても提出する(甲41)。請求人代理人において確認したところ,甲第41号証の記載内容と販売店契約書(甲31)の記載内容は同一であった。
以下,さらに被請求人の不正の目的を検討する。
イ 請求人商標が周知な造語であること
請求人商標が,世界中,少なくとも米国の需要者の間に広く知られていることは上述のとおりであり,また,請求人商標が造語であることは明らかである。
ウ 既に日本へ進出していたこと
さらに,以下で詳細に述べるとおり,BOARDWORKS社は,2003年(平成15年)の上旬より,日本における広告,販売,販売店関係を構築している。
すなわち,甲第32号証から,BOARDWORKS社が神奈川県茅ヶ崎市に住所を有するHuffmanという名の個人(以下「Huffman氏」という。)を日本の販売店と指定していることがわかる。甲第32号証は,2003年(平成15年)頃からBOARDWORKS社のホームページに掲載されていた。
同様に,甲第18号証から,BOARDWORKS社が,Huffman氏による業務を通して日本における広告,販売,販売店関係を継続していることがわかる。甲第18号証は,2004年(平成16年)頃にBOARDWORKS社のホームページに掲載されていた。
さらに,Huffman氏による販売店業務に加えて,神奈川県鎌倉市に所在する株式会社セキノレーシングスポーツの関野氏を通して,2003年(平成15年)ころから請求人商標が付された製品が日本において販売されていた(甲2,甲4)。
このように周知である請求人商標の保有者たるBOARDWORKS社は,本件商標の登録出願時には,既に我が国に進出していた。さらにいうと,BOARDWORKS社は,2005年(平成17年)ころから,被請求人との交渉を開始し,請求人商標に係る販売店となっており(甲2),被請求人は,本件商標の登録出願時に,上述の日本への進出状況について,十分に認識していたものである(甲5)。
エ 被請求人による商標の買取り及び販売店契約の継続の要求について
上記アで述べたとおり,被請求人は,BOARDWORKS社及びCooper氏の同意を何ら得ることなく本件商標の登録出願を行った。
そこで,請求人は,被請求人に対し,本件商標,及び関連するドメインネームを含む請求人商標に関する一切の権利を請求人に引き渡すことを求めるとともに,本件商標の登録に要した費用については請求人が負担することを申し出た。このような請求人の求めに対し,被請求人は,25万米ドルもの途方もない金銭と引換えでなければ本件商標に係る権利を譲渡しないと述べた(甲5)。この点,請求人代理人は,被請求人が本件商標の買取りとして25万米ドルを要求したとの事実を記載した通知書を被請求人に送付している(甲33)。この通知書に対する被請求人の平成28年7月29日の回答書(甲34)においても「出願費用相当額で,商標権を譲り渡すことは,到底考えられないことです。」と返答し,25万米ドルを要求したことを否定していない。このようにして被請求人は,本件商標を途方もない金銭で買い取ることを求めてきた。
しかも,被請求人は,販売店契約を解除された場合には,BOARDWORKS社製品と同様の製品を第三者に作らせて,模倣品を市場に流通させる旨を述べた(甲2)。回答書(甲34)においても「第三者に製品の製造を依頼する」と明確に回答している。このように模倣品の製造販売を示唆することで,販売店契約を継続することを強要している。つまり,被請求人による本件商標の登録出願は,販売店契約を不当に継続することを目的としていたといえる。
オ 請求人商標に化体した信用,名声の毀損について
しかも,BOARDWORKS社製品のサーフボードは,TEC(サーマル エポキシ コンプレッション)及びESS(エポキシ ストリンガー システム)という技術を用いて製造されている。これらの技術によりBOARDWORKS社製品のサーフボードは軽く,硬く,反応がよく,耐久性が認められるものとなっている。BOARDWORKS社製品のサーフボードがこのような特殊な製品であることは,BOARDWORKS社製品の卸売販売するボードワークスジャパン社のウェブページにも掲載され,被請求人も自認している(甲37)。
そうすると,被請求人が第三者をしてBOARDWORKS社製品の模倣品を作らせた場合には,当該模倣品はBOARDWORKS社がこれまで培ってきたTEC技術及びESS技術による品質を保てないことは明らかである。そのため,当該模倣品は,BOARDWORKS社製品のサーフボードと比べた場合には品質が劣るサーフボードが製造されることになる。このような模倣品に請求人商標と同一又は類似する本件商標が付された場合,請求人商標にこれまで化体してきた信用,名声が大きく毀損されることとなる。
なお,BOARDWORKS社製品は,日本のサーフショップのウェブページにおいても「取扱いブランド」として取り上げられていることからも,被請求人が第三者に製造させた模倣品が拡販された場合には,請求人商標に化体した信用,名声が大きく毀損されることがわかる(甲38)。
カ 小括
上記のとおり,被請求人は,単に請求人の販売店という立場であったにすぎないところ,BOARDWORKS社及びCooper氏の同意を得ることなく,BOARDWORKS社の周知な造語商標であることを明確に認識していたにもかかわらず,個人名で秘密裏に本件商標の登録出願を行った。BOARDWORKS社及び請求人は,このような被請求人に対して,長期にわたり,BOARDWORKS社製品を供給し続け,被請求人及びボードワークスジャパン社は,単に販売店としてBOARDWORKS社製品を扱っていたにすぎない。そして,請求人が本件商標の存在に気づき,本件商標等の移転を請求するや,本件商標に係る権利の移転の条件として途方もない金銭の要求を行っている。しかも,販売店契約が解約された場合には第三者に製造させる旨を述べ,販売店契約の継続を強要している。さらにいえば,販売店契約が解約された現時点において(甲33),被請求人が第三者にBOARDWORKS社製品のサーフボードより品質の劣った模倣品を製造させるおそれが高くなっている。このような品質の劣った製品が拡販されることにより,請求人商標の信用,名声,顧客吸引力が害されることとなる。したがって,被請求人に不正の目的があることは明らかである。
(4)商標の類似について
本件商標は,請求人商標2と同一である。また,本件商標は「BOARDWORKS」という語がその中心に印象的に配置されており,「BOARDWORKS」という語は請求人商標1と同一である。そして,請求人商標3の「BOARDWORKS」も独立した識別力を有していると認められる。したがって,本件商標と請求人商標1及び3は,その外観から受ける印象が似通っており,さらには称呼が全く同一であることから類似する。
(5)利害関係について
請求人は,商標登録出願(商願2015-099484,099485)をしたところ,本件商標を理由として,商標法第4条第1項第11号に係る拒絶理由を通知されており(甲39,40),請求人に利害関係があることは明らかである。
(6)結論
以上のとおり,本件商標は,他人である請求人の業務に係る商品を表示するものとして,日本国内又は外国,特に米国における需要者の間に広く認識されている請求人商標2と同一又は請求人商標1及び3と類似であって,不正の目的をもって使用をするものであるから,商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 商標法第4条第1項第7号について
(1)本件商標が商標法第4条第1項第19号に規定する商標に該当しないとしても,同項第7号に該当する。
外国法人が,あらかじめ日本の販売店との契約において,販売店が自ら商標登録出願をしないことや,販売店が商標登録出願して登録を得た場合にその登録された商標の譲渡を受けることを約束するなどの措置をとることで販売店の剽窃的な出願を防止するための適切な措置を講じている場合には,商標法第4条第1項第19号に該当しないとしても,同項第7号が適用される場合があるものと解される。
(2)BOARDWORKS社が適切な措置を講じていたこと
上記2(3)アのとおり,BOARDWORKS社とボードワークスジャパン社との販売店契約書第10条第2項では,一切の商標を含む知的財産は請求人に留保されていた(甲31)。つまり,被請求人は,請求人商標の管理の権限は何ら与えられておらず,請求人商標を,BOARDWORKS社の承諾を得ることなく登録出願することは許容されていなかった。
このように,BOARDWORKS社は,販売店契約の相手方であるボードワークスジャパン社に対し,請求人商標が剽窃的に出願されないように適切な措置を講じていた。
さらには,契約締結に至るまでにも,BOARDWORKS社は,ボードワークスジャパン社に対し,繰り返し,BOARDWORKS社が,BOADWORKS関連商標等に係る一切の権利・利益を持つことを主張し,これを伝達し,この点については,被請求人も繰り返し了解していた(甲2)。
ところが,本件商標は,販売店契約の当事者であるボードワークスジャパン社の代表取締役である被請求人が秘密裏に出願することで取得されており,販売店契約書(甲31)による拘束を脱法的に免れようとするものである。このような被請求人の行為は悪質性の高い行為といえる。もし本件が,個人である被請求人を契約上拘束する措置を講じていなかったことを理由として,商標法第4条第1項第7号の適用がないと判断するならば,請求人のような外国法人が日本の販売店を選定する場合には,役員等についても商標登録出願を行わないことを個別に合意することが必要となる。このようなことを強制することは現実的でないことは明らかである。
そうすると,BOARDWORKS社は,ボードワークスジャパン社に対し,適切な措置を講じていた以上,BOARDWORKS社は,外国法人として,販売店の剽窃的な登録出願を防止するための適切な措置を講じていたというべきである。
(3)本件商標を指定商品について使用することが社会の一般的道徳観念に反すること
上記2(3)で述べたとおり,被請求人は,BOARDWORKS社の周知な造語商標であることを明確に認識していたにもかかわらず,個人名で秘密裏に本件商標の登録出願を行っていること,被請求人が途方もない金銭での本件商標の買取り及び販売店契約の継続を強要していること,被請求人が第三者に製造させることによる請求人商標に化体した信用,名声が毀損されることなどを考慮すると,本件商標をその指定商品に使用することが社会の一般的道徳観念に反するような場合に当たるものと思料される。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当する。
4 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について
仮に,本件商標が商標法第4条第1項第19号及び同項第7号に規定する商標に該当しないとしても,同項第10号又は同項第15号に該当する。
上記2(2)及び(3)のとおり,請求人商標は日本国内で周知となっており,かかる請求人商標と本件商標は上述のとおり類似し,かつ,BOARDWORKS社製品と本件商標に係る指定商品とは類似することから,商標法第4条第1項第10号に該当する。また,上記2(2)及び(3)のとおり,請求人商標は世界中において広く知られており,そのことは日本においても認識され,日本における出所の混同を生ずるおそれがあると解されることから,商標法第4条第1項第15号にも該当する。
5 被請求人の主張に対して
ア Cooper氏の許諾について
(ア)被請求人は,アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴで行われたサーフボードの展示会で,Cooper氏から,本件商標の登録出願についての許諾を得た旨を述べ,その証拠として,乙第2号証及び乙第18号証を提示している。
しかしながら,以下で述べるとおり,Cooper氏が,被請求人による本件商標の登録出願について許諾した事実は存しない。
(イ)乙第2号証について
被請求人は,乙第2号証を示しつつ,Cooper氏に対し,本件商標について,その登録が完了したことを報告した際に,同氏が,直ちに,本件商標を譲渡すべきことを主張しなかったことを理由に,その時点で,同氏は,本件商標に係る権利が被請求人に帰属することを認めていた旨を主張する。
しかしながら,上記報告時は,BOARDWORKS社製品の販売店契約の締結交渉中であり,被請求人との良好なビジネス関係を壊したくないというCooper氏の思いがあったことからすると,仮に同氏が直ちに本件商標を譲渡すべきことを主張しなかったとしても,その一事をもって,同氏が被請求人による本件商標の登録出願及びその登録を認めていたとはいえない。
むしろ,乙第2号証では,以下で述べるとおり,Cooper氏が,本件商標の登録出願を許諾していなかったことが示されている。
すなわち,被請求人はCooper氏に対し,「私(鈴木氏)は,私たちのビジネスを守るために,日本の特許庁に,私の名前でスポーツ用品と衣類について商標『Boardworks』を登録しました。」と述べ(乙2の2),これに対し,Cooper氏は,「この契約に終わりが来たとき,日本でのBoardworksの名前がBoardworksで確実に所有されるようにしたいのですが,どうしたら良いか意見を聞かせて下さい。」(乙2の3),及び「商標登録は私(Cooper氏)の名義か,少なくとも契約が終わった時にBoardworksに,譲渡されるべきだと思いませんか?」(乙2の2)と返答している。
仮に,Cooper氏が被請求人に対し本件商標の登録出願について許諾していたのであれば,最も基本的な事項である商標の名義人などについては既に話合いが行われていたはずであって,同氏において,被請求人に対し,上記のような返答を行うはずがない。また,Cooper氏による上記の返答内容からは,同氏は,BOARDWORKS社において,本件商標に係る権利を保持したいと考えており,当然そうあるべきと考えていたことが明確に表現されている。
よって,乙第2号証は,Cooper氏が,被請求人に対し,本件商標の登録出願を許諾していないことを示すものである。
(ウ)乙第18号証について
乙第18号証には,Phillip Rainey氏(以下「Rainey氏」という。)の供述が記載されており,その中で,同氏は,「Cooper氏は広告宣伝費の半分を負担することを断り,口頭で鈴木氏が鈴木氏の名義で日本のボードワークスの商標登録をする事に合意しました。」と述べている。
しかしながら,Rainey氏の供述内容は,上記で述べた乙第2号証に記載のCooper氏の返答内容と相反するものであり,また,販売店契約書第10条第2項に記載の「商標を含む知的財産権はBOARDWORKS社に留保されている旨の条項」(甲31)などの客観的な証拠の内容に反しており,信用できない。
また,Rainey氏の供述内容からは,同氏が,上記合意がなされたという場に同席していたのか,それとも,上記の合意に達した旨を被請求人から伝え聞いたものにすぎないのかについてすら明らかにされておらず,全く信用できない。
イ 販売店契約書の存在について
請求人は,これまで,BOARDWORKS社とボードワークスジャパン社との間の商標に関する合意事項は,販売店契約書第10条第2項に定められており(甲31),当該条項に照らすと,本件商標に係る権利は,BOARDWORKS社に留保されているというべきであると主張するとともに,この条項の存在は,Cooper氏の被請求人に対する本件商標の出願についての許諾が存しないことを裏付けるものであると主張している。
これに対し,被請求人は,販売店契約書(甲31)にサイン等がないことから,同号証のような販売店契約は締結されておらず,契約自体が存在しなかったなどと主張する。
しかしながら,甲第34号証の回答書面において,被請求人は,販売店契約の存在を認めており,これと明らかに矛盾する被請求人の主張は信用できない。
また,甲第17号証の譲渡証書兼販売店契約引受書兼同意書には,被請求人の署名があるところ,当該書面には,BOARDWORKS社とボードワークスジャパン社は,2007年(平成19年)9月9日付けで販売店契約を締結したことが明記されている。
したがって,BOARDWORKS社とボードワークスジャパン社との間で,販売店契約が締結されたことは,客観的な証拠からも明らかである。
さらに,被請求人は,乙第2号証の2においても,「契約書は,これで結構です。」,「私(鈴木氏)は『ボードワークスジャパン。』を設立しました。私は契約書に署名しようとしている同社のCEOの社長です。」と述べ,販売店契約書が存在していること,及び当該契約書に署名をする積極的な意向があることを示しており,それにもかかわらず,販売店契約が締結されず,契約自体が存在しないなどということは考えられない。
よって,販売店契約自体が存在しないなどという被請求人の主張には全く説得力がない。
ウ 25万米ドルの要求について
(ア)宣伝広告費用3千万円の証明等について
被請求人は,請求人に対し,25万米ドルと引換えでなければ本件商標に係る権利を譲渡しないと述べた事実が存在することについては何ら争っていない。
このような事実が存在することを前提に,被請求人は,本件商標の宣伝広告費用として,3千万円(約30万米ドル)近くを費やし,さらには被請求人がCooper氏に対し,本件商標に係る商標権の譲渡に際して,被請求人が投資した宣伝広告費用等も考慮して欲しい旨伝えていたことなどに照らし,25万米ドルは不当な利益を得ることを意図したものではない旨を主張する。
しかしながら,そもそも,被請求人自身も認めるとおり,被請求人は,宣伝広告費3千万円のうちの一部を証明できているにすぎない。
しかも,被請求人が提出する証拠には請求書が多数含まれているが,当該請求書は,被請求人が広告宣伝費を他社より請求されたことを示すが,実際に被請求人がこれを支払ったことについては何ら証明されていない。
よって,被請求人が本件商標の宣伝広告費用として3千万円を支出したことは証明されていない。
(イ)宣伝広告費用の負担者等について
宣伝広告費用の証明の点を措くとしても,25万米ドルという金額は,一般的にみて登録商標の譲渡対価として極めて高額であり,それ自体,被請求人の不正の目的等を裏付け得るものである。
また,販売店契約書第3条第3項は,宣伝広告について,ボードワークスジャパン社の責任で行う旨を定めている一方で(甲31),当該宣伝広告の費用について,ボードワークスジャパン社がBOARDWORKS社に対して請求し得る旨の定めは存在しない。このような条項の内容は,Rainey氏の「Cooper氏は広告宣伝費の半分を負担することを断った」旨の供述とも一致する(乙18)。そうすると,ボードワークスジャパン社が,自らの費用で宣伝広告を行うことは,契約上,当然のことであって,これを理由に,本件商標の譲渡金額の増額は正当化されない。
さらに,通常,ある製品の宣伝広告活動を行うことで当該製品の売上額が増加するという関係性があると解されるところ,ボードワークスジャパン社は,自己の計算のもとで製品の販売を行っていることから,宣伝広告活動による売上額の増加という利益を得るのはボードワークスジャパン社自身である。そうすると,そもそも,宣伝広告費用は,これにより直接的な利益を受けるボードワークスジャパン社が支払うべきものである。また,宣伝広告に関する投下資本は,ボードワークスジャパン社による製品の販売を通して既に回収されているはずである。仮に宣伝広告に関する投下資本が回収できていなかったとしても,それは単にボードワークスジャパン社の宣伝戦略が不十分なものであったにすぎず,本件商標の譲渡金額の増額により回収することが許されるものではない。
以上のことに鑑みれば,被請求人よる宣伝広告費用の負担分について,本件商標の譲渡金額に上乗せすることは,通常取引の実情に著しく反しており不合理というよりほかはない。
よって,仮に,被請求人において,宣伝広告費用として,3千万円を費やした事実があるとしても,それゆえに,被請求人が,請求人に対し,25万米ドルという高額の譲渡金額を提示したことが正当化されることはない。
したがって,被請求人の上記主張には理由がない。
以上の次第で,被請求人により高額な金銭要求がなされたことは,被請求人の不正の目的及び社会的不当性を裏付けるものというべきである。
エ サーフボードの第三者への製造依頼について
被請求人は,BOARDWORKS社製品に使用されているTEC技術及びESS技術は陳腐化された技術であるなどとして,BOARDWORKS社の製品と同程度又はそれ以上の品質の製品を,BOARDWORKS社以外の会社が製造することは,難しくはないと主張する。
しかしながら,BOARDWORKS社製品のサーフボードの品質については,ボードワークジャパン社のホームページにおいて,TEC技術が他社とは異なる特別な技術であることは被請求人自身が力説しており,これと矛盾する被請求人の主張は,信用できない。
BOARDWORKS社製品は,これまで長期にわたり,さまざまなサーファーに利用されてきたものであり,その利用者の中には,Amy Grover氏などのプロサーファーも含まれていることは,請求人がこれまで主張してきたとおりである。このような事実は,BOARDWORKS社製品の品質の高さを裏付けるものであり,被請求人が第三者に製造依頼をすると,この品質を維持することができず,請求人商標にこれまで化体してきた信用,名声が毀損されることが明らかである。
よって,被請求人の主張には理由がない。被請求人の甲第34号証の回答書面における上記記載は,請求人において,請求人商標が付されるサーフボードの品質を管理できないような第三者に,サーフボードの製造を依頼するなどと述べて,請求人商標にこれまで化体した信用,名声が毀損されることをおそれる請求人の心理を利用し,もって販売代理店契約の継続を強要するものであり,不正の目的によるものであるとともに社会的不当性を有するものであることが明らかである。
オ 請求人商標の周知性等について
(ア)ランキングリスト等について
被請求人は,ランキングリスト等(乙13?16)を挙げて,そのいずれにもBOARDWORKS社の記載がないことから,請求人商標は,日本及び米国において,需要者の間に広く知られていないなどと主張する。
しかしながら,商標法第4条第1項第10号,同項第15号及び同項第19号における周知性等は,本件商標の登録出願時及び登録査定時を基準に判断されるべきものである。
しかるに,乙第13号証及び乙第14号証は,いずれも本件商標の登録出願時や登録査定から10年近くが経過した現在又はこれに近接する時期のものであり,これらの資料から,請求人商標の周知性等を否定することはできないものというべきである。
また,あるランキングリストにBOARDWORKS社が含まれていないとしても,それはある特定の時点において,ある一つのランキングリストにBOARDWORAKS社が含まれていなかったことを示すものにすぎず,請求人商標の周知性を何ら否定するものではない。なお,本件では,被請求人が指摘するランキングが信頼性の高いものであることを示す根拠も何ら示されていない。
よって,これらの証拠によっては,請求人商標の周知性は否定され得ない。
(イ)Longboard Magazineについて
被請求人は,日本における「Longboard Magazine」の販売部数を指摘し,請求人商標が日本での周知性を獲得していること否定する旨を主張する。
しかしながら,請求人は,当該雑誌のみによって周知性の立証をしようとしているわけではなく,上述のとおり,様々な雑誌を適示している。
したがって,被請求人の上記主張に理由はなく,請求人は,請求人商標の周知性を示す十分な証拠を適示しているというべきである。
(ウ)7万米ドルの宣伝広告費用について
被請求人は,たとえ米国において,宣伝広告費用として7万米ドルを費やした事実があるとしても,その程度の宣伝広告費用では,請求人商標が米国の需要者の間で広く知られた商標になることはあり得ないと主張する。
しかしながら,請求人商標は,日本の需要者の間で広く知られていることから,被請求人の主張にはその前提に誤りがある。
また,請求人は,米国における宣伝広告にあたり,「少なくとも約7万米ドルもの広告費用をかけた記録が残って(いる)」と主張するものであり,実際の宣伝広告費用はこれを上回るものである。この点を措くとしても,請求人商標に係る商品は,全国的に流通する日常使用の一般的商品ではなく,その需要者も限られており,請求人商標が使用されている商品であるサーフボードの市場において,7万米ドルの宣伝広告費用額は決して低額とはいえない。
むしろ,このように需要者が限られており,かつ,一般的にはサーフボードは頻繁に買い換えられるような製品でもないという事情のもとですら,請求人は,2004年(平成16年)2月から2006年(平成18年)6月までの間に,全世界において,350万米ドルから700万米ドルのBOARDWORKS社製品を売り上げたものであり,この事実は,請求人商標の周知性を裏付けるものである。
よって,被請求人の上記主張に理由はなく,請求人商標は,日本及び米国において周知であるというべきである。
6 結論
本件は,米国及び日本において,既にBOARDWORKS社の周知であった商標について,被請求人が,日本において,請求人の許諾を得ることなく無許可で商標登録出願をし,販売店契約書においても,請求人商標に係る権利が請求人に帰属することが明らかにされていたところ,請求人が被請求人に対し,当該契約に基づき,請求人商標と同一又は類似の本件商標について,その譲渡を要求するや,高額の譲渡対価を提示し,さらには,請求人において,被請求人に対してサーフボードの供給をしないのであれば,第三者にサーフボードの製造を依頼して,かかる製品に本件商標を付することを示して販売店契約の継続を強要した事案である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号,同項第7号,同項第10号又は同項第15号に該当する。

第4 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第18号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 無効理由について
(1)本件商標は,不正の目的で出願したものではなく,不正の目的で使用するものでもない。
ア 被請求人は,甲第2号証に記載されている旧知のHuffman氏から,2004年(平成16年)1?2月頃に,BOARDWORKS社の販売代理店にならないかとの話を持ち掛けられたが,その話を聞くまで,被請求人は,SURFTECH社製の製品を使っており,BOARDWORKS社製品を知らなかった。
イ Huffman氏の話の内容は,以下のようなものだった(乙1)。
「SURFTECH社製品と同じような製品で,BOARDWORKS社製品がある。私は,BOARDWORKS社のコンサルタントである。BOARDWORKS社製品は,スロバキアのウィンドサーフィンの工場を使って作られているが,品質が悪く,セキノレーシングスポーツが,BOARDWORKS社の品質の悪さのせいで会社のイメージが悪くなることを懸念して撤退したが,代わりに君(私)がやってみないか?」
被請求人は,当時,SURFTECH社製の代理店になることを希望していたが,既に日本では他の会社が代理店をしていたため,BOARDWORKS社製品を扱うことにした。そして,屋号ボードワークスジャパン,鈴木衛司として事業を始め,2004年(平成16年)5月に,BOARDWORKS社製品(真正商品)を初めて仕入れた。
ウ 当初,Huffman氏は,まだ製品の品質が安定していないのに,被請求人が広告宣伝することにあきれていたが,販売を継続し,販売数を伸ばしてきた。その後,製造工場が,スロバキアから中国に移り,製品の品質が安定してきたことから,被請求人は,BOARDWORKS社の代表者であるCooper氏へ電子メールを送った。
エ つまり,日本で広告をする際の素材(製品の写真など)だけでなく,宣伝広告費用についても協力して欲しいこと,宣伝広告費用についての協力ができないなら,自分の投資を守るために,日本でのBOARDWORKSの商標登録を許可して欲しい,という点を打診した。したがって,被請求人は,Cooper氏に無断で,商標登録出願をした訳ではない。
オ 上記内容を電子メールで打診した後,数週間後に,被請求人は,米国カリフォルニア州サンディエゴで行われていたサーフボードの展示会で,Cooper氏に会い,具体的な交渉をした。被請求人は,宣伝広告費を負担してもらえるように,Cooper氏に交渉したが,Cooper氏の承諾は得られなかった。その代わり,被請求人が,日本で商標登録をすることについては,許可を得た。
カ Cooper氏が被請求人に対し,日本で本件商標を登録出願し,その商標登録を受けることについて事前に許可した事実について,これを証明する具体的な証拠として,「Rainey氏の宣誓書」(乙18)を提出する。
Rainey氏は,Cooper氏が事業を立ち上げた時から「BOARDWORKS社」の支配人を務めており,2017年(平成29年)1月に退社している。Rainey氏は,当該宣誓書にて「Cooper氏は広告宣伝費の半分を負担することを断り,口頭で鈴木氏が鈴木氏の名義で日本のボードワークスの商標登録をする事に合意した。」ことを証言している。
キ その後,平成18年6月30日に,本件商標を登録出願し,同年6月15日に商標登録(商標登録第5053768号)となった。乙第2号証は,2007年(平成19年)7月末から同年8月にかけての被請求人とCooper氏との電子メールのやり取りを示すコピーである。
この中で,被請求人は,Cooper氏に対して,日本で商標登録を完了させたことを報告した。また,Cooper氏は,取得した商標権について,この販売契約が終わった時には,譲り渡されるべきである旨主張した。この時点で,Cooper氏は,直ちに日本での商標権を譲り渡すべきであるとの主張はしていない。被請求人が商標権を取得していることを前提として,販売契約解除後の商標権の扱いについて述べている。つまり,商標登録出願をしたこと,及び商標登録を完了した時点で,本件商標権は被請求人に帰属することを認めている。
これに対して,被請求人は,譲り渡すことは構わないが,登録にかかった労力や費用に加えて,日本で投資した宣伝広告費用の援助も考慮して欲しい旨伝えた。
これに対して,Cooper氏は,本件商標権の扱いについては,今後検討すること,及び,費用については,援助する旨,メールで述べていた。しかしながら,実際には,出願費用についても宣伝広告費用についても,その後,一度の援助もなかった。
ク 甲第2号証において,請求人は,本件商標権について,BOARDWORKS社が持つことを,一貫して主張し,被請求人は,多くの議論交渉において,繰り返し了承していた旨述べる。
しかし,乙第2号証に示されているように,被請求人は,2007年(平成19年)にCooper氏に本件商標登録の事実について報告した後,2016年(平成28年)4月15日に請求人の代理人と会うまで,本件商標権を,BOARDWORKS社に譲渡するように,Cooper氏から要請されたことは一度もない。また,そのような要請がないことから,被請求人がそのことを了承する機会もなかった。しかも,請求人は,Cooper氏が,一貫して,本件商標権を譲渡することを被請求人に要請し,被請求人がそれを繰り返し了承していたことを裏付ける客観的な証拠を,何ら提示していない。
ケ さらに,販売店契約書(甲31)をもって,製造者(BOARDWORKS社)は,本件商標権を保有する旨の記載があると,請求人は主張する。しかし,この販売契約書には,当事者のサインも日付もないのであるから,契約の事実を裏付ける証拠にはなり得ない。また,当時のメールのやり取りにおいて,契約に合意した旨の記載があることから,請求人は,販売店契約書(甲31)が締結されたものと結論付けるが,そのようなメールの内容が,当事者のサインに代わるものとは到底考えられない。
コ また,請求人は,販売店契約書(甲31)について,署名入りの契約書を,被請求人が保管していると,断定するが,被請求人も契約書を保管してない。
つまり,この販売店契約は,最終的な合意に至らなかった契約案ということになる。そもそも,このような種類の契約書は,署名入りの契約書を当事者がそれぞれ保管するのが常識であり,当事者が共に保管していない,ということは,契約自体が存在しなかったといわざるを得ない。
さらに,販売店契約書(甲31)が,不十分な証拠である以上,甲第17号証のASSIGNMENTについても,意味の無いものとなる。なお,このASSIGNMENTにも,サインの日付が入っておらず,この点においても,不十分な証拠であると考える。
なお,甲第34号証において,Cooper氏と販売契約を結んでいる旨記載したのは,日本では,2004年(平成16年)からの実績を踏まえて,被請求人がBOARDWORKS社製品を一手に販売してきたことを意味する表現であり,具体的に販売契約書の存在を意識して記載したものではない。
サ 次に,甲第34号証において,被請求人は,「出願費用相当額では,譲り渡せない」旨を述べた理由を説明する。被請求人は,宣伝広告費の援助をCooper氏に要請し,援助できない場合には,自己の投資を保護するために,商標登録出願する旨申した。乙第2号証に示されているように,最終的には,費用の負担について,Cooper氏は同意したが,実際には,費用に関する援助は,一度もなかった。
シ 被請求人が宣伝広告に掛けた費用は,請求書等(乙3?11)に示すとおり,総額で3千万円近くに上る。
乙第12号証は,BOARDWORKS社への支払額を証明する請求書類と,そのリストである。被請求人が,いままでBOARDWORKS社から製品を仕入れた総額は,3億円近くとなる。
被請求人は,日本での宣伝広告費を,BOARDWORKS社の援助を受けることなく,全て自己資金で負担し,十分な利益をBOARDWORKS社に与え,現在まで十分に貢献してきたものと考える。また,既に述べたとおり,本件商標が登録された際,商標権を譲渡する場合は,投資した宣伝広告費等も考慮して欲しい旨,Cooper氏に伝えてある。
以上のような理由から,「本件商標権の譲渡に際しては,少なくとも商標変更に必要な経費と,今まで費やした宣伝広告費も考慮した金額をご提示頂きたい」という意味で,「登録出願費用相当額では,譲り渡せない」旨を伝えた。
BOARDWORKS社の外国での信用にただ乗りして不当な利益を得ることを意図したものでは決してなく,BOARDWORKS社に不利益をもたらすことを意図したものでもない。被請求人は,純粋に自己努力によって,商標「BOARDWORKS」の日本での信用を蓄積した。
ス 以上のとおり,被請求人は,BOARDWORKS社の外国での信用にただ乗りして不当な利益を得ることを意図して,また,BOARDWORKS社に不利益をもたらすことを意図して商標登録を得たものではない。また,契約書(甲17,31)は,証拠として不十分なものであり,契約違反を証明することはできない。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号における「不正の目的」,及び商標法第47条第1項における「不正の目的」及び「不正競争の目的」に該当しない。
すなわち,本件商標は,商標法第4条第1項第19号及び同項第7号には該当せず,また,同項10号及び同項第15号については,少なくとも除斥期間を経過しており,同項第10号及び同項第15号に該当することを理由に登録を無効にすることはできない。
(2)商標「BOARDWORKS」は,少なくとも日本国内では,需要者の間に広く知られた商標ではない。
ア 乙第13号証及び乙第14号証は,インターネット検索サイトにおいて,「サーフボード×ブランド×有名」を検索キーワードとして検索し,ブランドランキングを表示した各サイトのプリントである。これら2つのサイトにおいて,有名ブランドが紹介されているが,いずれのサイトにも,BOARDWORKS社は含まれていない。また,全ブランドが表示されたカタログ(乙15)にも,BOARDWORKS社は含まれていない。
請求人が自認するとおり,商標「BOARDWORKS」が,世界的に需要者の間に広く知られた商標であるなら,少なくともランキングに含まれているべきである。また,世界的でなくとも,少なくとも日本においては,需要者の間に広く知られた商標でないことは明らかである。
さらに,乙第16号証は,米国で行われた,スタンドアップパドルボード(STAND UP PADDLE BOARD(以下「SUP」という。)のレースにおいて,ボードの製作者に与えられるランキングである。SUPは,現在のBOARDWORKS社の主力商品であるにもかかわらず,このSUPの製作者のランキングにおいて,BOARDWORKS社は,上位どころか,どこにも入っていない。主力商品において,ブランドランキングに入れない商標「BOARDWORKS」が,米国において,需要者の間に広く知られた商標であるはずがない。
イ 乙第1号証でも述べているとおり,被請求人がBOARDWORKS社と販売店契約を取り交わす前は,日本でBOARDWORKS社は,宣伝広告を行っていなかった。また,請求人は,定期刊行物である「LongboardMagazine」に広告を掲載しており,米国,オーストラリア,フランス,日本を含めて,各号あたり3万5千部程度の発行部数を誇っていると(甲27)主張するが,具体的に,日本でどの程度の発行部数であったのか,明確に記載されておらず,この部数を示す客観的な証拠も提示されていない。
この「LongboardMagazine」は,日本では,国内通商株式会社のビーチカルチャー事業部が輸入販売しており,担当者に確認したところ,日本では,隔月出版で,年間1200部程度(1号あたり200部)の販売であった。
ウ 被請求人は,今まで3千万円(約30万米ドル)近くの宣伝広告費を費やしてきたが,上記アで述べたとおり,現状でも,本件商標は,日本国内で需要者の間に広く知られた商標とはなっていない。請求人は,米国での宣伝広告費用に7万米ドルを費やした旨主張する。市場が米国より狭い日本において,3千万円(約30万米ドル)近くの宣伝広告費を費やしてもなお,需要者の間に広く知られた商標となっていない商標が,日本より市場が広い米国において,7万米ドル程度の宣伝広告費で,需要者の間に広く知られることになるとは,到底考えられない。
エ 以上のとおり,本件商標は,日本国内においても,また外国においても,需要者の間に広く知られた商標ではなく,商標法第4条第1項第10号,同項第15号及び同項第19号に該当することを理由に,登録を無効にされるべきではない。
(3)商品の品質について
請求人は,サーフボードの製造技術について,TEC技術及びESS技術は,BOARDWORKS社が有する特別の技術であり,被請求人が,BOARDWORKS社以外の製造会社にサーフボードの製造を依頼した場合,製品の品質を保てない旨主張する。
しかしながら,TEC技術及びESS技術は,既に陳腐化された技術であり,また,これらの技術について,BOARDWORKS社が特許を有している(あるいは,特許を有していた)ものでもない。BOARDWORKS社と競合する他のサーフボードメーカーも,同様の技術で製造しているから,今後,BOARDWORKS社の製品と同程度又はそれ以上の品質の製品を,BOARDWORKS社以外の会社が製造することは,難しくはない。
2 まとめ
以上のとおり,本件商標は,不正の目的をもって使用するものではなく,また,外国においても日本においても需要者の間に広く知られた商標でもないので,商標法第4条第1項第19号には該当しない。
さらに,日本においても需要者の間に広く知られた商標でなく,出所の混同も生じないので,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号にも該当しない。たとえ,該当していたとしても,不正競争の目的不正の目的で登録を受けた訳ではないので,商標法第47条第1項が適用され,無効理由に該当しない。
また,契約違反の根拠となる販売店契約自体が存在しないのであるから,商標法第4条第1項第7号にも該当しない。

第5 当審の判断
1 本件商標は不正競争又は不正の目的で商標登録を受けたものであるか否かについて
(1)本件商標は,平成19年6月15日に設定登録されたものであり,本件無効審判の請求がされた平成28年10月7日には,既に設定登録の日から5年以上経過しているため,本件無効審判の請求の理由中,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当することを理由とする請求は,それぞれ,「不正競争の目的で商標登録を受けた場合」及び「不正の目的で商標登録を受けた場合」に限られることから(同法第47条第1項かっこ書き),本件商標が「不正競争の目的」又は「不正の目的」で商標登録を受けたものであるか否かについて,まず検討する。
(2)証拠及び当事者の主張によれば,以下のとおりである。
ア BOARDWORKS社及び請求人と被請求人との関係等
(ア)BOARDWORKS社は,2001年(平成13年)2月5日に設立されたサーフボード,パドルボード,スタンドアップパドルサーフィン用のパドル等(BOARDWORKS社製品)の製造・販売を行う米国の会社であって,請求人は,BOARDWORKS社を2008年(平成20年)に吸収合併した。Cooper氏は,BOARDWORKS社の代表者であった(甲4)。
(イ)被請求人(本件商標権者)は,日本においてBOARDWORKS社製品を輸入し,同製品を宣伝広告,販売するボードワークスジャパン社の代表者である(乙2の2)。
(ウ)BOARDWORKS社は,遅くとも2003年(平成15年)には,Huffman氏個人を通じて日本でBOARDWORKS社製品を販売していた(甲2,32)。また,同じ頃に,同製品は神奈川県鎌倉市に所在する株式会社セキノレーシングスポーツを通じても販売されていたが,同社は2004年(平成16年)3月頃にその販売から撤退した(甲2,乙1)。
(エ)被請求人は,2004年(平成16年)1?2月頃,旧知のHuffman氏から,撤退する株式会社セキノレーシングスポーツの代わりに,BOARDWORKS社の日本における販売代理店にならないかとの話を持ちかけられたことから,BOARDWORKS社製品を扱うことになり(乙1),屋号を「ボードワークスジャパン」として個人事業を始めることとし,2004年(同16年)5月にBOARDWORKS社製品を初めて仕入れた(乙3,12,被請求人の主張)。
それ以降,個人事業主として上記事業を行っていた被請求人は,遅くとも2007年(平成19年)頃には,自らが代表者となってボードワークスジャパン社を設立し(乙2の2,乙3),上記事業主体を同社に変更したが,少なくとも2015年(平成27年)7月に至るまで継続して,BOARDWORKS社ないし請求人からBOARDWORKS社製品を仕入れ,我が国において当該製品の宣伝広告,販売を行ってきた(乙3?12)。
(オ)2004年(平成16年)5月以降,BOARDWORKS社ないし請求人は,我が国におけるBOARDWORKS社製品の販売を,被請求人ないしボードワークスジャパン社を通じてのみ行ってきた(甲2,乙1等)。
(カ)被請求人は,本件商標を2006年(平成18年)6月30日に登録出願し,2007年(平成19年)6月15日に設定登録を受けた。
イ 販売店契約等について
(ア)被請求人から,Cooper氏へ2007年(平成19年)7月26日送信された電子メール(乙2の2)には,BOARDWORKS社製品に係る販売店契約について「契約書は,これで結構である」及び商標登録について「私たちのビジネスを守るために,・・・私の名前でスポーツ用品と衣類について商標『Boardworks』を登録した」との記載がある。
Cooper氏から,被請求人へ2007年(平成19年)7月27日送信された電子メール(乙2の3)には,「この契約に終わりが来たとき,日本でのBoardworksの名前が,Boardworksで確実に所有されるようにしたいですが・・・」との記載がある。
同じく,Cooper氏から,被請求人へ2007年(平成19年)7月29日送信された電子メール(乙2の2)には,「・・・商標登録は私(Cooper)の名義か,少なくとも契約が終わった時にBoardworksに,譲渡されるべきだと思いませんか?」との記載がある。
被請求人から,Cooper氏へ送信された電子メール(乙2の1の後半)には,「我々の商売を守るとは,私だけでなくBoardworksファミリーを守るということです。私はBoardworksの宣伝広告に莫大なお金をかけていて日本で他の誰かにBoardworksの商標を使われたくないのです。私は商標登録をBoardworksやあなた(Cooper)に変えることは構いませんがこの登録にかかった努力と金銭は払ってもらいたいです。加えて,その場合は私が日本で行う広告宣伝の素材だけでなく費用においても私を『サポート』(援助)することを検討してください。」との記載があり,これに対し,Cooper氏から,被請求人へ2007年(同19年)8月3日送信された電子メール(乙2の1の前半)には,「あなたの回答は,期待どおりであり,非常にポジティブです。私(Cooper)はBoardworksの商標登録に関してどう扱うか検討していきたいと思います。私たち(BoardworksLLC,Cooper)は,あなた(鈴木)に発生した費用の援助又は代替わりをすることに合意します。」との記載がある。
なお,被請求人がCooper氏へ送信した電子メール(乙2の1の後半)にある「我々の商売を守るとは,私だけでなくBoardworksファミリーを守るということです。」の記載は,乙第2号証の2の電子メールにある「私たちのビジネスを守るために」と記載した点を説明した部分であることは明らかであるから,乙第2号証の1の後半の電子メールは,2007年(同19年)7月26日以降,同年8月3日までの間に,被請求人が送信したものと認められる。
(イ)BOARDWORKS社と被請求人との間で2007年(平成19年)9月9日に締結された(甲17)と請求人が主張する「DISTRIBUTOR CONTRACT(販売店契約)」(甲31,41)には,「10.2 製造者(審決注:BOARDWORKS社)は,エポキシボードに係る一切の著作権,商標,特許及び独占的所有権,名称,トレードドレス,ライセンスその他を保有する。」の記載がある。
ただし,当該販売店契約(甲31,41)には,BOARDWORKS社及び被請求人の各署名及び契約日は記載されていない。また,譲渡証書兼販売店契約引受書兼同意書(甲17)についても,BOARDWORKS社及び請求人の各署名は記載されていない。
(ウ)2016年(平成28年)9月11日付けCooper氏の宣誓書(甲4)には,「2007年販売店契約締結の前後を問わず,私およびBoardworksが,どの国においても被請求人にBoardworks商標に係る自身の権利を確立し,商標出願することを許可したことはありません。」との記載がある。
(エ)請求人の国際事業担当のマネージングディレクターであるAlistair Thorburn氏の宣誓書(甲5)には,2016年(平成28年)4月15日に同氏が被請求人と会った際,被請求人は,請求人への本件商標権の移転について,「本件商標の移転にあたっては25万ドルの支払いがない限り移転に応じるつもりはない。」と述べた旨の記載がある。
なお,当該25万ドルの根拠について,被請求人は,本件商標の移転に必要な経費と,今まで費やした宣伝広告費も考慮した金額であると主張している。
(オ)請求人が被請求人に宛てた2016年(平成28年)6月29日付けの「通知書」(甲33)には,「通知人(審決注:請求人)は,貴社(審決注:被請求人)からの通知人製品の発注に応じることはなく,貴社に対する通知人製品の一切の供給を終了させていただきます。」の記載,本件商標(通知人商標)の取得について,当該ブランドの所有者の同意を得ることなく,当該ブランドについて商標登録出願し,登録を得た旨の記載並びに本書(通知書)の送付日である平成28年6月29日から90日を経過した日をもって,通知人製品の販売,宣伝,広告及び営業活動等のあらゆる行為を停止すること及び通知人商標に関する一切の権利を直ちに通知人に引き渡すことが記載されている。
これに対し,被請求人は,回答書(日付けは不明,甲34)において,BOARDWOKS社のCooper氏と販売契約を結んでいること,商標「BOARDWOKS」を登録することについて,Cooper氏から承諾を得ていること,出願費用相当額で商標権を譲り渡すことは考えられないこと,製品の供給終了となれば,第三者に製品の製造を依頼するほかに途はないことを記載し,請求人に回答した。
(カ)BOARDWORKS社の支配人であったRainey氏の陳述書(乙18)には,「Cooper氏は広告宣伝費の半分を負担することを断り,口頭で鈴木氏が鈴木氏の名義で日本のボードワークスの商標登録をする事に合意しました。」との記載がある。
なお,Rainey氏は,2017年(平成29年)1月23日付けで,請求人会社を解雇された(甲42)。
(3)上記(2)の認定事実によれば,<1> BOARDWORKS社は,遅くとも2003年(平成15年)から,Huffman氏個人を通じて日本でBOARDWORKS社製品を販売していたが,同社は,我が国で請求人商標に係る商標登録出願を行っておらず,また,それができなかった特段の事情があったと認めるに足りる事実もないこと,<2> 被請求人ないし同人が代表者であるボードワークスジャパン社とBOARDWORKS社との取引は,当初,被請求人の個人事業として2004年(平成16年)5月頃から始まり,その後,遅くとも2007年(平成19年)頃には,その取引主体がボードワークスジャパン社に変わっていたものの,被請求人との取引開始当初から,我が国でBOARDWORKS社製品を正規に輸入し,販売する他の会社等はなかったところ,これに先立って,取引当事者間で請求人商標に関しての取扱いをあらかじめ契約等によって定めていたと認めるに足りる事実はなく,また,それができなかった特段の事情があったと認めるに足りる事実もないこと,<3> そのような中,Cooper氏と被請求人とによるBOARDWORKS社製品に係る販売店契約の交渉は,2005年(平成17年)頃から始まり,最終的に,BOARDWORKS社製品に係る商標(請求人商標)に関しては,BOARDWORKS社が保有する旨規定された当該販売店契約書が2007年(平成19年)9月9日に締結された,と請求人自らが主張していること(なお,請求人は,正式に締結された当該販売店契約書は紛失したと主張している。),<4> かかる販売店契約の交渉が行われていた中,2006年(平成18年)6月30日,被請求人は,本件商標について商標登録出願し,2007年(平成19年)6月15日に設定登録を受けたこと,<5> 被請求人は,本件商標の登録出願をするに当たり,事前にCooper氏から承諾を得たと主張し,当時,BOARDWORKS社の支配人であったRainey氏の陳述書(乙18)を提出しているが,その陳述内容は,およそ10年前の記憶のみに基づくものであり,にわかに措信し難いものの,被請求人は,上記販売店契約の交渉期間中であって,本件商標の商標登録を受けてまだ間もない2007年(平成19年)7月26日には,Cooper氏に対し,「私たちのビジネスを守るために,・・・私の名前でスポーツ用品と衣類について商標『Boardworks』を登録した」と述べ,更に「我々の商売(ビジネス)を守るとは,私だけでなくBoardworksファミリーを守るということです。私はBoardworksの宣伝広告に莫大なお金をかけていて日本で他の誰かにBoardworksの商標を使われたくないのです。」とも述べ,本件商標の商標登録を受けた事実及びその理由を電子メールで自ら進んで報告しており,これに対して,Cooper氏も,最終的には,同年8月3日付けの電子メールで「あなたの回答は,期待どおりであり,非常にポジティブです。私(Cooper)はBoardworksの商標登録に関してどう扱うか検討していきたいと思います。」と返信をしていることから,被請求人が本件商標の商標登録を受けたこと自体については,一定の理解を示していると評価できること(上記<3>のとおり,請求人の主張によれば,これ以降に,本件商標の扱いを定めた販売店契約書が締結されたことになる。なお,Cooper氏は,2016年(平成28年)9月11日付けの宣誓書(甲4)において,被請求人が本件商標について商標登録出願することを許可したことはない旨述べているが,被請求人からの上記報告に対しても,一定の理解を示す回答をしていたのは上記のとおりである。),<6> その後も,BOARDWORKS社は,2008年(平成20年)に請求人に吸収合併されるまで,ボードワークスジャパン社に対し,BOARDWORKS社製品を提供し続けていたが,その提供に当たって本件商標権が利用され強要されていたと認めるに足りる事実はないこと,<7> さらに,BOARDWORKS社製品の供給者が請求人に変わってからも,長年にわたり,請求人に対して,被請求人が本件商標権を利用して何かしらの要求をしたと認めるに足りる事実はないこと,<8> 2016年(平成28年)4月15日に,請求人従業員が被請求人と会談し,本件商標権の返還を求めた際に,被請求人は,本件商標権について,25万ドルの支払がない限り移転に応じるつもりはない,BOARDWORKS社製品の供給終了となれば,第三者に製品の製造を依頼するほかに途はないと回答したこと,以上のとおり認めることができる。
そうすると,被請求人は,自らが本件商標の商標登録出願をするに当たり,事前にCooper氏(BOARDWORKS社)の許諾を得ていたかどうかは定かとはいえないものの,Cooper氏とのBOARDWORKS社製品に係る販売店契約の交渉期間中であって,本件商標の商標登録を受けてまだ間もない2007年(平成19年)7月26日には,本件商標の商標登録を受けた事実及びその理由(両者のビジネスを守るために行ったこと)を電子メールで自ら進んで報告しており,これに対して,Cooper氏も,最終的には,同年8月3日付けの電子メールのとおり,被請求人が本件商標の商標登録を受けたこと自体については,一定の理解を示していたものと認められ,そして,その後,BOARDWORKS社とボードワークスジャパン社との間では,BOARDWORKS社製品に係る商標(請求人商標)に関しては,BOARDWORKS社が保有する旨規定された販売店契約書が2007年(平成19年)9月9日に締結された,とまで請求人は主張しているのであるから,当該事前許諾を得ていなかったとしても,そのこと自体は,さほど問題にはならないというべきである。
また,BOARDWORKS社と被請求人とは,BOARDWORKS社製品の製造供給者及び販売店の代表者という関係にあり,もとより両者間に取引上の競争関係はないところ,被請求人は,BOARDWORKS社に対し,本件商標権を利用してBOARDWORKS社製品の供給を強要した事実はないほか,被請求人の方から本件商標の買取りを迫った事実もなく,我が国における販売店としてBOARDWORKS社製品を宣伝広告し販売し続けてきたにすぎないから,請求人商標が我が国で登録されていないことに乗じて,先回りして同商標と同一又は類似する本件商標につき出願,登録を受けた上で,請求人商標の使用者であるBOARDWORKS社との間で,販売店契約に関する交渉を有利にさせる意図といった,BOARDWORKS社に損害を与え,被請求人において不正の利益を得る意図があったものとは認められない。
なお,被請求人が,本件商標権について,25万ドルの支払がない限り移転に応じるつもりはない,また,BOARDWORKS社製品の供給終了となれば,第三者に製品の製造を依頼するほかに途はないと回答したのは,あくまでも本件商標の商標登録を受けた後,10年近く経った2016年(平成28年)4月15日に,被請求人が,請求人従業員と出会った際に,請求人従業員から,突如,本件商標権の請求人への移転について話を受けたのがきっかけであって,本件商標の商標登録を受ける際に,そのような意図があったものとは認められない。
他に,被請求人が不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するために本件商標の登録を受けたと認めるに足る証拠はない。
(4)以上によれば,本件商標は,商標法第47条第1項にいう「不正競争の目的」又は「不正の目的」で商標登録を受けたものには該当しないというべきであるから,商標法第4条第1項10号及び同項第15号に違反する旨の本件審判の請求は,これを却下すべきものである。
そこで,上記以外の理由につき本案に入り審理する。
2 商標法第4条第1項第19号該当性について
(1)上記1のとおり,本件商標権者が不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するために本件商標の登録を受けたものとは認められない。
(2)請求人商標の周知性について
証拠(甲2,6?9,20,23?27)によれば,BOARDWORKS社は,請求人商標を2001年(平成13年)からBOARDWORKS社製品について使用していたものの,2004年(平成16年)2月から2006年(同18年)6月末までのサーフボードの販売数量は6000本から12000本,世界総売上額は数百万米ドルになると宣誓書(甲2)により述べるにとどまり,当該製品の販売地域,販売シェア,販売国別の売上額などは確認することができない。
そして,請求人商標について,雑誌「Longboarder Magazine」での掲載は,2002年(平成14年)から2006年(同18年)の5年間で14回,海外のサーフボード関連の雑誌での掲載は,2005年(平成17年)と2006年(同18年)の2年間で10回といずれも決して多いものとはいえない。さらに,広告チラシでの掲載は2005年(平成17年)の1回しかない。
したがって,請求人が提出した上記証拠からは,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,請求人商標が,BOARDWORKS社の業務に係るBOARDWORKS社製品(サーフボード等)を表示するものとして,米国を含む外国又は我が国のサーフボード等の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(3)上記(1)及び(2)によれば,本件商標と請求人商標とが同一又は類似の商標であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)商標法第4条第1項第7号は,本来,「商標の構成に着目した公序良俗違反」であるが,このような場合ばかりではなく,「主体に着目した公序良俗違反」として適用される例がなくはない。しかし,出願人が本来商標登録を受けるべき者であるか否かを判断するに際しては,商標法第4条第1項各号で商標登録を受けることのできない要件を個別的に定めていること,先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨や,国際調和や不正目的に基づく商標出願を排除する目的で設けられた商標法第4条第1項第19号の趣旨に照らすならば,それらの趣旨から離れて,同法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは,商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになる特段の事情のある例外的な場合を除くほか,許されないというべきである。
そして,特段の事情があるか否かの判断に当たっても,出願人と,本来商標登録を受けるべきと主張する者(例えば,出願された商標と同一の商標を既に外国で使用している外国法人など)との関係を検討して,例えば,本来商標登録を受けるべきであると主張する者が,自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず,出願を怠っていたような場合や,契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず,適切な措置を怠っていたような場合(例えば,外国法人が,あらかじめ日本のライセンシーとの契約において,ライセンシーが自ら商標登録出願をしないことや,ライセンシーが商標登録出願して登録を得た場合にその登録された商標の商標権の譲渡を受けることを約するなどの措置を採ることができたにもかかわらず,そのような措置を怠っていたような場合)は,出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は,あくまでも,当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから,そのような場合にまで,「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当ではない(平成19年(行ケ)第10391号及び同第10392号 知的財産高等裁判所平成20年6月26日判決)。
(2)商標の構成に着目した公序良俗違反の該当性
本件商標は,別掲1のとおり,曲線で描いた平行四辺形内に逆S字状の図形を描き,中央部に「BOARDWORKS」の欧文字を横書きした構成からなるものであるから,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字及び図形でないことは明らかである。
(3)主体に着目した公序良俗違反の該当性
ア BOARDWORKS社による請求人商標の登録出願の機会について
上記1(3)<1>のとおり,BOARDWORKS社は,遅くとも本件商標の登録出願(平成18年6月30日)前である2003年(平成15年)から,Huffman氏個人を通じて日本でBOARDWORKS社製品を販売していたことが認められる。そうすると,BOARDWORKS社は,自らすみやかに本件商標を含む請求人商標について商標登録出願する機会が十分あったにもかかわらず,それをしなかったということであり,また,それができなかった特段の事情があったと認めるに足りる事実もないことから,当該出願を怠っていたものと評価せざるを得ない。
イ BOARDWORKS社が請求人商標に関して適切な措置を講じていたか否かについて
請求人は,BOARDWORKS社とボードワークスジャパン社による販売店契約書(甲31)10.2では,一切の商標を含む知的財産は請求人に留保されていたから,たとえ個人である被請求人を契約上拘束していなかったとしても,販売店契約の相手方であるボードワークスジャパン社に対し,請求人商標が剽窃的に出願されないように適切な措置を講じていた旨主張する。
しかしながら,上記1(3)<2>のとおり,被請求人ないし同人が代表者であるボードワークスジャパン社とBOARDWORKS社との取引は,当初,被請求人の個人事業として2004年(平成16年)5月頃から始まり,その後,遅くとも2007年(平成19年)頃には,その取引主体がボードワークスジャパン社に変わったのであるから,本来,被請求人との取引を開始する前に,取引当事者(被請求人とBOARDWORKS社)間で請求人商標に関しての取扱いをあらかじめ契約等によって定めておくべきであったにもかかわらず,それを行っていたと認めるに足りる事実はなく,また,それができなかった特段の事情があったと認めるに足りる事実もないから,BOARDWORKS社は,契約等によって請求人商標が他者(被請求人)から登録出願されないように適切な措置を事前に講ずることができたにもかかわらず,それを怠っていたと評価せざるを得ない。
もっとも,被請求人は,ボードワークスジャパン社の代表者であるところ,請求人は,上記1(3)<3>のとおり,BOARDWORKS社は,最終的に,ボードワークスジャパン社と,BOARDWORKS社製品に係る商標(請求人商標)に関して,BOARDWORKS社が保有する旨規定した当該販売店契約書を2007年(平成19年)9月9日に締結した,と自らが主張しているのであるから,そうであるのならば,当該販売店契約書に従って,本件商標権の帰属等をめぐる問題は,あくまでも,当事者同士の私的な問題として解決されるべきであるといわざるを得ない。なお,請求人は,当該販売店契約書を紛失したと主張しているが,そのような事情が「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合に該当するものとはいえない。
(4)以上のことからすると,本件商標の商標登録は,商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することが許される特段の事情のある例外的な場合に該当していたものとはいうことができない。
(5)請求人は,本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する理由として,<1> 米国及び日本において,既にBOARDWORKS社の周知であった商標について,<2> 被請求人が,日本において同社の許諾を得ることなく無許可で商標登録出願をし,<3> 販売店契約書においても,請求人商標に係る権利が同社に帰属することが明らかにされていたところ,<4> 請求人が被請求人に対し,当該契約に基づき,請求人商標と同一又は類似の本件商標について,その譲渡を要求するや,高額の譲渡対価を提示し,<5> 請求人において,被請求人に対してサーフボードの供給をしないのであれば,第三者にサーフボードの製造を依頼して,かかる製品に本件商標を付することを示して販売店契約の継続を強要した旨主張しているので,以下検討する。
<1>については,上記2(2)で認定したとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,請求人商標が,BOARDWORKS社の業務に係るBOARDWORKS社製品(サーフボード等)を表示するものとして,米国を含む外国又は我が国のサーフボード等の取引者,需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができない。
<2>については,上記1(3)のとおり,Cooper氏は,被請求人が本件商標の商標登録を受けた事実及びその理由を報告した際,商標登録を受けたこと自体については,積極的に争わず,一定の理解を示していたものと認められ,そして,その後,BOARDWORKS社とボードワークスジャパン社との間で,BOARDWORKS社製品に係る商標(請求人商標)に関しては,BOARDWORKS社が保有する旨規定された販売店契約書が2007年(平成19年)9月9日に締結された,とまで請求人は主張しているのであるから,当該事前許諾を得ていなかったとしても,そのこと自体は,さほど問題にはならないというべきである。
<3>については,上記(3)イのとおり,当該販売店契約書は,請求人自身が正式に締結されたと主張しいるのであるから,そうであるのならば,ボードワークスジャパン社の代表者である被請求人とは,当該契約内容に従って,商標権の帰属等をめぐる問題は,当事者同士の私的な問題として解決されるべきである。
<4>及び<5>については,本件商標が商標登録を受けてから10年近く経った後のことであるから,本件商標の商標登録を受ける際に,被請求人が意図していたものとは認めることができない。
以上のとおり,請求人の上記主張は,いずれも商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになる特段の事情のある例外的な場合に当たるとはいえない。
(6)その他,本件商標が,商標法第4条第1項第7号に違反して商標登録を受けたとする理由は見いだせない。
(7)したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号(同法第46条第1項第1号)に該当しない。
4 むすび
以上のとおり,本件審判の請求は,その無効理由中,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号を理由とする請求については,不適法なものであって,その補正をすることができないものであるから,同法第56条第1項において準用する特許法第135条の規定により却下すべきものである。その余の無効理由については,本件商標の商標登録は,商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に違反してされたものではないから,同法第46条第1項第1号により,その登録を無効とすることはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標及び請求人商標2)


別掲2(請求人商標3)



審理終結日 2018-03-12 
結審通知日 2018-03-16 
審決日 2018-09-07 
出願番号 商願2006-65821(T2006-65821) 
審決分類 T 1 11・ 222- Y (Y2528)
T 1 11・ 22- Y (Y2528)
T 1 11・ 271- Y (Y2528)
T 1 11・ 25- Y (Y2528)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 田村 正明
平澤 芳行
登録日 2007-06-15 
登録番号 商標登録第5053768号(T5053768) 
商標の称呼 ボードワークス、ワークス 
復代理人 福永 聡 
代理人 堀 弘 
代理人 井▲高▼ 将斗 
代理人 山本 健策 
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