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審決分類 審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W41
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W41
審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W41
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W41
管理番号 1348808 
審判番号 無効2018-890047 
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-06-28 
確定日 2019-01-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第5623355号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5623355号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5623355号商標(以下「本件商標」という。)は、「東京国際短期大学」の文字を標準文字で表してなり、平成25年6月13日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,書籍の制作,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」を指定役務として、同年9月30日に登録査定、同年10月18日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第30号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号若しくは同第16号に該当するものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録は無効とされるべきものである。
2 具体的な理由
(1)商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標は、その構成中に「大学」の文字を有してなるところ、学校教育法第135条第1項及び同法第1条の規定によって大学以外の教育施設に「大学」の名称を用いてはならない旨が規定されており、大学名等の変更についても文部科学省への届出をしなければならないものであるが、商標権者が本件商標を構成する「東京国際短期大学」との名称において大学の設置許可を受けている事実はない。
確かに、商標権者は学校法人であり、「IPU環太平洋大学」との名称の大学を運営しているようであるが、本件商標を構成する「東京国際短期大学」との名称の大学を運営している事実はない。また、現に「東京国際短期大学」との名称において設置されている大学は存在しない。
以上のとおり、実際に「東京国際短期大学」との名称において学校教育法に基づいて設置されている大学はなく、商標権者の運営に係る「IPU環太平洋大学」について「東京国際短期大学」と名称を変更する準備が相当程度進められているとは認められず、また、商標権者が「東京国際短期大学」という名称の大学を設置する準備を相当程度進めているとも認められない。
してみれば、本件商標を商標として採択、使用することは、一般需要者に対してあたかも学校教育法に基づいて「東京国際短期大学」との名称の大学が設置されており、その「東京国際短期大学」の業務に係る役務であるかの如く誤認を生じさせるおそれがあり、学校教育制度についての社会的信頼及び公の秩序を害するおそれがあり、穏当ではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第8号該当性
本件商標は、請求人の運営に係る「東京国際大学」の著名な略称である「東京国際」又は「東京国際大」を含むものである。
請求人の運営に係る大学は、1965年に単科大学として発足後、学部・学科を増やし、1986年にその名称を現在の「東京国際大学」に変更して(甲2)、現在は大学5学部9学科、大学院4研究科を擁する大学である(甲3)。
現在、文部科学大臣から設置認可されている我が国の大学において、「東京」及び「国際」の語をその名称に含む大学は、請求人の運営に係る「東京国際大学」のみである(甲4)。そして、大学の名称については、例えば「慶応義塾大学」が「慶応」、「早稲田大学」が「早稲田」、「一橋大学」が「一橋」というように略称で称呼されることは経験則上明らかであって、そのような場合、「東京国際大学」は「東京国際」又は「東京国際大」との略称で称呼される。
2016年に創学50年を迎えた「東京国際大学」は各種メディアにおいても積極的に宣伝・広告活動を行っており(甲5?甲8)、近年ではスポーツ教育の面においても注力して有名監督・コーチの就任や新施設の建設等で新聞にも度々取り上げられるなど(甲9?甲12)、その周知著名性は一層高まって広く一般に認識されるに至っており、その著名性は現在まで継続している(甲15?甲23)。
したがって、本件商標は、その出願時及び査定時において、「東京国際」又は「東京国際大」との請求人の運営に係る大学の著名な略称を含む商標であるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性
本件商標は、請求人の運営に係る「東京国際大学」の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている「東京国際大学」との商標に類似する商標であって、その役務又はこれらに類似する役務について使用をするものである。
請求人の運営に係る「東京国際大学」は、「東京国際」又は「東京国際大」の略称において親しまれ、広く周知・著名性を獲得している(甲2?甲29)。
本件商標は、我が国の大学の数は約760校(平成29年度、甲13)しかない「大学」という特殊な役務において、これに接した一般の需要者・取引者は「東京」、「国際」及び「大学」という語から請求人の業務に係る「東京国際大学」を認識し、さらに「短期大学」の文字は、学校教育法第108条第3項に規定される修業年限が3年以下の教育機関を指す語であって、「青山学院大学」と「青山学院女子短期大学」等、四年制の大学を運営する学校法人がその系列校として短期大学を運営することがあることは経験則上明らかであることから、本件商標に接した一般の需要者・取引者は、指定役務との関係において、請求人の業務に係る「東京国際大学」の系列の短期大学であると役務の出所につき誤認混同を生じる蓋然性が非常に高い。
したがって、本件商標は、請求人の業務に係る「東京国際大学」に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その役務又はこれらに類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第16号該当性
本件商標は、地名を認識させる「東京」の文字に、大学名・学校名にしばしば多用される「国際」の文字を加え、学校教育法第108条第3項に規定される修業年限が3年以下の教育機関を指す語である「短期大学」の文字を結合させてなることから、学校教育法に基づいて設置された短期大学の名称を表示したものであるかのように看取され観念される蓋然性が非常に高い。
しかし、前述のとおり、「東京国際短期大学」との名称において学校教育法に基づいて設置されている大学は存在しない。
そのような状況において、本件商標が、第41類の「技芸・スポーツ又は知識の教授」を中心とする本件指定役務に使用された場合には、これに接した一般の需要者・取引者は、あたかも学校教育法に基づいて設置された「東京国際短期大学」の業務に係る役務であるかの如く、役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第26号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第7号について
我が国商標法は厳格な審査主義を貫き、拒絶理由(無効理由)を包含する商標は登録しないことになっている。商標審査は時代の背景や取引の実情などを鑑みながら進められる。そして、本件商標は、この厳格な審査で拒絶理由(無効理由)がないとして登録されたのであり、審査の段階で本号にいう拒絶理由があれば関連書類の提出などで対応ができたはずにもかかわらず、登録後に無効理由があるとして処理をするのは商標権者にとり酷なものとなる。
実際に過去の登録例として「東京芸術工科大学」(乙1)、「東京工科芸術大学」(乙2)、「昭和医科大学」(乙3)が同時期に公序良俗との拒絶理由通知を受けずに登録された事実がある。これらの大学が当時実在していた事実は確認できず、「工科」「芸術」という教育目的の語が含まれるにもかかわらず登録されていることからも、「東京国際短期大学」も当然に登録されるべきである。
そもそも商標法は登録主義の下、現に使用している商標の他、将来の使用により生じる未必の信用を保護すべく、現在は不使用でも将来使用される商標を保護することも目的としている。本件商標が株式会社である法人が出願したのであれば将来の使用も考えにくく公序良俗に反するとしても、被請求人は「学校法人」であり、大学の設置認可をいずれ受けることができるのである。権利者の事業計画など私的事情により左右されるべき問題を全て公序良俗違反として処理をするべきではない。
さらに、被請求人は本件商標を公序良俗に反しないように対外的な文書には当該大学名を表示して、「検討中」あるいは「改名予定」の表示を付している(乙4?乙6)。
かかる証拠において、被請求人が運営する「東京経営短期大学」の対外文書で赤色あるいは黄色で誤信を与えないよう「東京経営短期大学は『東京国際経営大学』及び『東京国際短期大学』への変更を検討中です。」とある。また、「東京経営短期大学は『東京国際経営大学』及び『東京国際短期大学』へ改名予定です。」ともある。これに接する需要者・取引者をしても当該大学は設立準備中(改名予定)あるいは準備に入ると理解することができ、そうすると、本件商標はこれをその指定役務に使用しても学校教育法に基づく大学の設立が認可されているとの誤信を生じる可能性は非常に低く、公の秩序を乱す又は害するとはいい難い。
したがって、本件商標は公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標ということができず、また、登録されたとしても学校教育制度についての社会的信頼を害することにはならない。
被請求人は設置許可を受けていないとしても、私立学校の設置を目的として設立される学校法人であり、本件商標に関しては誤信が生じない態様でPR活動もしていて設置準備に入っているのであり、将来の設置を目的として本件商標の享有主体となることに正当な地位があることは明白である。学校法人が設置認可前のPR活動のために商標登録を取得することは必要であり、設置前であることを理由に出願を拒絶してしまうと逆に健全な大学運営はできなくなる。
2 商標法第4条第1項第8号について
本号の無効理由に該当するというには、請求人が略称と主張する「東京国際大」あるいは「東京国際」の語が本件商標の出願時に著名な略称であることを満たさねばならない。
そもそも略称が著名であるには略称のもとになる氏名・名称が略称化されるほど周知著名でなければならないと一般的に理解されるところ、「東京国際大学」自体には周知著名性がなく、当然にその略称である「東京国際大」あるいは「東京国際」にも著名性は認められない。
(1)「東京国際大学」の略称について
請求人は「東京国際大」あるいは「東京国際」が「東京国際大学」の著名な略称であることを主張するが、証拠(甲14?甲23)をみても、いずれも「東京国際大」として記事に登場するのみである。
また、請求人は、「早稲田」「慶応」「一橋」の例を挙げて「東京国際」が略称として認識されるべきことを主張するが、「早稲田大学」「慶応大学」「一橋大学」は歴史、卒業生の数などから「大学」を省略しても通ずる特別な例であり、これは大学受験の予備校で「早稲田模試」「慶応模試」「早慶模試」「一橋模試」などと銘打った試験や「早稲田コース」「慶応コース」などのカリキュラムが存在するほどに著名だからである。「早稲田」「慶応」はこのままで大学名として使用されている事実は、書籍や雑誌記事(甲8?甲11)を見てもわかるとおりであり、「東京国際大学」の場合とは事情が大きく異なる。
「東京国際」は、単に「行政区画」と「国際」というあらゆる業種で頻繁に使用される語を結合したにすぎず、「東京国際」からは「東京国際フォーラム」「東京国際空港」「東京国際映画祭」「東京国際展示場」などが想起され、「東京国際」から「東京国際大学」が一義的に即想起される事実はない。また、「大学の略称はTIU、国際、東国、東国大」とあり(乙12)、過去の資料を調べても「東京国際大学」の略称として使用されているのは 「東京国際大」にとどまる。
よって、「東京国際大学」の略称は「東京国際大」のみと理解される。
(2)略称の著名性
略称の著名性を主張する請求人の証拠は、本件商標の出願日である平成25(2013)年6月13日以降の証拠が多く、たった2個あるいは3個の出願前の証拠のみではその略称が出願時に著名であるとの立証はできない。
(3)「含む」について
ア 「東京国際大」について
「東京国際大学」の略称である「東京国際大」は著名ではないが、仮に著名であっても、本件商標「東京国際短期大学」内に「東京国際大」は含まれていない。本件商標では「東京国際」と「大」の間に「短期」の語があり、「東京国際」と「大」は連続して現れないのであり、かような場合に「東京国際大」を含むと解することはできない。「東京国際短期大学」から「東京国際大」が抽出されるなどということは到底ない。
イ 「東京国際」について
「東京国際」の語が、そもそも「東京国際大学」の略称であったことはなく、かつ、著名でもないため、本号に該当しないことは明らかであるが、仮に「著名な略称」であるとしても、本件商標は、本号にいう無効理由には該当しない。
これは商標法第4条第1項第8号の「著名な略称を含む商標」とは、他人の著名な略称を物理的に包含するというのみでは足らず、一般世人が当該商標に接した場合、当該略称を有する他人を常に想起看取できなければならないと解されるからである。
同号は人格的利益を保護する規定であり、当該他人を一般世人の通常の認識によって想起できないほどに一体不可分に構成されている場合には、その商標の使用・登録によって、同他人の人格的利益の害せられるおそれはない。本件商標は、その構成全体をもって一体不可分の商標を表したと理解されるものであって、該構成中の「東京国際」の文字部分のみが独立して認識されるものとはいい得ない。
したがって、本件商標から「東京国際」の文字部分のみを分離、抽出し、本件商標が請求人の著名な略称を含む商標であるとする請求人の主張は前提において誤りがある。
3 商標法第4条第1項第10号について
(1)登録商標の出願の時に需要者の間に広く認識されていること
請求人提出の証拠のほとんどは、本件商標の出願日以降の資料であり、これからは、出願時点で周知著名であったことを立証するには乏しいといえ、かろうじて出願時点前の新聞広告(甲24?甲29)が検討に値する程度である。
しかし、この周知著名性を立証する証拠は、いずれも出願数か月前にされた広告にすぎず、たった6つの1回きりの広告をもって、そのわずか数か月後の翌年6月に周知著名性を獲得したとはいえない。
対して、被請求人は、本件商標は出願時に周知著名性を有していないことを立証すべく、証拠を提出する(乙14?乙21)。
いずれも著名な教育機関が大学受験生のために出版する受験案内(2011年版?2014年版)であり、もし「東京国際大学」に周知著名性があればここに掲載されるはずであるが、掲載されている事実はなかった。本書籍に掲載される大学は多く、これにないことは「東京国際大学」の周知著名性は否定されるべきである。
(2)商標が類似関係にあること
「東京国際短期大学」は、同一書体・同一字体・同一間隔で書されてなり、これより一連一体の不可分の商標として認識されるべきで、その構成に相応して「トウキョウコクサイタンキダイガク」のみの称呼が生じる。対して、「東京国際大学」は、同様の理由で「トウキョウコクサイダイガク」のみの称呼が生じる。両者の相違は、「タンキ」の称呼の有無に相違があり、かかる相違が全体に与える影響は大きく、両商標は非類似と認識される。
被請求人の主張は、「東京國際大學」(登録第3004849号)と本件商標である「東京国際短期大学」が同一指定役務(第41類)で併存していることから、容易に根拠付けられる(乙22)。
どの大学に入学するかは高校生にとり人生の一大事であり、ウェブサイトや大学案内を参考に、詳細に吟味するのが通常である。大学選択の重要性に鑑みれば、その選択は慎重に行われるのであり、大学の名称は類似性が高いものが併存していることを、受験生は経験的に認識しており、「短期」の文字の有無が与える影響は大きく、「短期」の文字の相違で別異の大学であると簡単に識別できる。
例えば、「日本経済大学」と「日本経済短期大学」あるいは「日本国際大学」と「日本国際短期大学」のような相違は頻繁に見られ、それでも受験生が選択を誤らないのは所在地や将来性、卒業生の進路など多岐にわたる指標・統計を慎重に検討するためである。これらの商標は非類似として併存登録がされている。
現時点はもちろん、本件商標の出願時点でも「東京国際大学」の周知著名性は完全に否定できるものであるが、「東京国際大学」に周知著名性があるとしても商標そのものが非類似であるから当該無効理由に該当しない。
なお、請求人は「四年制の大学を運営する学校法人がその系列校として短期大学を運営することがあることは経験則上明らかである」と主張するが、本件商標は「東京」「国際」「短期」「大学」のような識別力が弱い語が結合してなる一体不可分の造語商標で全体として観察するべきなので、「東京国際短期大学」と「東京国際大学」は非類似といえる。「東京國際大學」と「東京国際短期大学」が同一指定役務で併存、「日本経済大学」と「日本経済短期大学」、さらに「日本国際大学」と「日本国際短期大学」が併存していることからも容易に根拠づけられる。請求人の主張する例は「青山」などの著名な大学ブランドを含むからいえるのであり、本件のような商標とは事情が異なり同列に論じることはできない。
4 商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、「東京国際短期大学」よりなるところ、「短期大学」とは「深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成する」ことを主な目的とし、修業年限を2年又は3年とする大学を意味する。この商標に接した需要者は「短期大学」での教育サービスを受けられるものと期待する。
「専門学校」あるいは「四年制大学」にもかかわらず「短期大学」を含む商標を使用するのであれば、役務の質の誤認を生じさせるといえるが、かような事情は全くない。また、請求人が主張するようなことに質の誤認が生じるとなれば、未必の信用を保護することはできなくなり、法制度の趣旨に反することとなり妥当ではない。

第4 当審の判断
請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係について争いがないから、本案について判断する。
1 本件商標について
我が国においては、近年のグローバル化を背景に、学校教育法により設立された大学の名称として、「東京国際大学」を含め、「大阪国際大学」「沖縄国際大学」「鹿児島国際大学」「関西国際大学」「九州国際大学」「神戸国際大学」「札幌国際大学」「つくば国際大学」「富山国際大学」「長崎国際大学」「広島国際大学」「宮崎国際大学」のように、「地域名(都市名)」、「国際」の文字及び「大学」の文字の組み合わせのみからなる名称の大学が多数存在する(甲4)。
そして、「短期大学」は、「大学」の一形態として、「『深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成する』ことを主な目的とし、修業年限を2年又は3年とする大学」(学校教育法:甲30)を称するものである。
以上を併せ考慮すれば、本件商標を構成する「東京国際短期大学」の文字からは、「東京に所在し、(グローバルな観点での教育・研究を行う)短期大学の名称」であると容易に看取され観念されるというべきである。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標の指定役務には「技芸・スポーツ又は知識の教授」があり、この中には、学校教育法で定める学校において知識等を教授し又は教育する役務が含まれるところ、学校教育法に基づいて設置された短期大学の名称(東京国際短期大学)と看取される本件商標を上記役務に使用するときには、これに接する一般需要者に対し、当該役務の提供主体が、あたかも学校教育法に基づいて設置された短期大学であるかのような誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
学校教育法は、第1条で「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。」、同法第3条で「学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、文部科学大臣の定める設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。」、及び、同法第135条第1項で「専修学校、各種学校その他第1条に掲げるもの以外の教育施設は、同条に掲げる学校の名称又は大学院の名称を用いてはならない。」と規定しているところ、これは、一定の教育又は研究上の設置目的を有し、法令に定める設置基準等の条件を具備する同法第1条に定める学校の教育を公認するとともに、第1条に掲げる学校以外の教育施設が第1条掲記の「学校の名称」を用いることによって、これに接した者が当該教育施設の基本的性格について誤った認識を持ち、不利益を被らないようにするためのものと解される。
そうすると、学校教育法に基づいて設置された短期大学を表示するものと誤認される本件商標を、その指定役務に含まれる「技芸・スポーツ又は知識の教授」の役務に使用することになれば、これに接した需要者に対し、役務の提供主体があたかも学校教育法に基づいて設置された短期大学であるかのように誤認を生じさせることになり、教育施設である「学校」の設置基準を法定した上で、この基準を満たした教育施設にのみその基本的性格を表示する学校の名称を使用させることによって、学校教育制度についての信頼を維持しようとする学校教育法第135条第1項の趣旨ないし公的要請に反し、学校教育制度に対する社会的信頼を害することになるというべきである(平成23(行ケ)第10003号参照)。
したがって、本件商標は、公の秩序を害するおそれがある商標というべきであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
3 被請求人の主張について
(1)被請求人は、大学の設置認可をいずれ受けることができる「学校法人」であるから、事業計画など私的事情により左右されるべき問題を全て公序良俗違反として処理をするべきではなく、また、本件商標を公序良俗に反しないように被請求人が運営する「東京経営短期大学」の対外的な文書(2017年の学校案内のチラシ(乙4?乙6))において、「東京経営短期大学は『東京国際経営大学』及び『東京国際短期大学』への変更を検討中です。」、「東京経営短期大学は『東京国際経営大学』及び『東京国際短期大学』へ改名予定です。」との表示を付して、誤信が生じない態様でPR活動もしていて設置準備に入っているから、将来の設置を目的として本件商標の享有主体となることに正当な地位がある旨主張している。
(2)確かに、被請求人は学校法人であり、「IPU環太平洋大学」及び「東京経営短期大学」を運営する者ではある。
しかしながら、未だ設置されておらず、後述のとおり、その蓋然性すら認められない大学の名称であって、学校教育法に基づいて設置された短期大学を表示するものと誤認される本件商標をその指定役務に含まれる「技芸・スポーツ又は知識の教授」の役務に使用することになれば、これに接する需要者に対し、役務の提供主体があたかも学校教育法に基づいて設置された「東京国際短期大学」という短期大学であるかのように誤認を生じさせることになり、教育施設である「学校」の設置基準を法定した上で、この基準を満たした教育施設にのみその基本的性格を表示する学校の名称を使用させることによって、学校教育制度についての信頼を維持しようとする学校教育法第135条第1項の趣旨ないし公的要請に反し、学校教育制度に対する社会的信頼を害することになるというべきであり(平成23(行ケ)第10003号参照)、被請求人が学校法人であることのみをもって、「大学」の文字を有する商標の使用がすべからく許容されるものということはできない。
学校教育法第3条は、「学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、文部科学大臣の定める設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。」、同法第4条第2項は、「前項の規定にかかわらず、同項第1号に掲げる学校を設置する者は、次に掲げる事項を行うときは、同項の認可を受けることを要しない。この場合において、当該学校を設置する者は、文部科学大臣の定めるところにより、あらかじめ、文部科学大臣に届け出なければならない。」、学校教育法施行規則第2条第1項は、「私立の学校の設置者は、その設置する大学又は高等専門学校について次に掲げる事由があるときは、その旨を文部科学大臣に届け出なければならない。」と規定され、その第1号に「目的、名称、位置又は学則(収容定員に係るものを除く。)を変更しようとするとき。」と規定されている。
そして、認可又は届出前のPR活動については、文部科学省のウェブサイトにおいて、「以下の条件を満たした場合に限り、高等学校等への説明会、ホームページ、新聞、雑誌等により、『設置認可申請中』又は『設置構想中』などとPRすることが可能です。」として、「PRの内容は、事実に即した正確なものであることはもとより、申請又は届出書類との整合性が保たれていること。」の記載がある(乙7)ところ、被請求人は、自らが運営する「東京経営短期大学」を大学若しくは短期大学へ変更若しくは改名するための準備に入っているとしているが、例えば、文部科学大臣への名称変更手続や実務的な変更準備を具体的に進めており、その変更認可につき文部科学大臣から大学設置・学校法人審議会に諮問されるに至っている等、そのPRの内容が事実に即した正確なものであることはもとより、申請又は届出書類との整合性が保たれていることを証明するための書類の提出もなく、その他に、文部科学大臣への名称変更手続の届け出を行っていたり、その変更準備作業を相当程度進めているような状況を確認することもできない。
そうすると、現時点において、「東京国際短期大学」の設置又は名称の変更準備手続中であることを客観的かつ具体的に把握することができないものといわざるを得ない。
したがって、被請求人の主張は、いずれも採用することができない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものであり、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものであるから、他の無効理由について言及するまでもなく、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-11-12 
結審通知日 2018-11-15 
審決日 2018-12-04 
出願番号 商願2013-45669(T2013-45669) 
審決分類 T 1 11・ 22- Z (W41)
T 1 11・ 272- Z (W41)
T 1 11・ 23- Z (W41)
T 1 11・ 25- Z (W41)
最終処分 成立 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 鈴木 雅也
冨澤 美加
登録日 2013-10-18 
登録番号 商標登録第5623355号(T5623355) 
商標の称呼 トーキョーコクサイタンキダイガク、トーキョーコクサイ、コクサイタンキダイガク、コクサイ 
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所 
代理人 草間 修一 
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