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審決分類 審判 一部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない W2930
審判 一部無効 観念類似 無効としない W2930
審判 一部無効 称呼類似 無効としない W2930
審判 一部無効 外観類似 無効としない W2930
管理番号 1347819 
審判番号 無効2017-890074 
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-10-24 
確定日 2018-12-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第5603033号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5603033号商標(以下「本件商標」という。)は、「サクラサケ ひらけごま」の文字を標準文字で表してなり、平成25年2月25日に登録出願、第29類「植物性油脂,チャーハンの素,お茶漬けの素,和え物の素,お茶漬けのり,ふりかけ」及び第30類「調味料,ごま塩,すりごま,いりごま,ねりごま,ごまを使用した穀物の加工品」を指定商品として、同年7月4日に登録査定、同月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する登録商標は、以下の4件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第553543号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の文字とを二段に横書きしてなり、昭和34年4月6日に登録出願、第45類「胡麻味付、その他本類に属する商品」を指定商品として、同35年7月28日に設定登録され、その後、平成13年5月16日に、その指定商品を第29類「食肉,塩辛,うに(塩辛魚介類),このわた,寒天,ジャム,卵,かつお節,干しのり,焼きのり,とろろ昆布,干しわかめ,干しあらめ,肉のつくだに,水産物のつくだに,野菜のつくだに,なめ物,果実の漬物,野菜の漬物」、第30類「胡麻を主材料とする穀物の加工品,みそ,甘酒,こしょう」及び第31類「のり,昆布,わかめ,あらめ」とする指定商品の書換登録がされたものである。
2 登録第562806号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の文字とを二段に横書きしてなり、昭和34年4月6日に登録出願、第47類「胡麻、胡麻豆腐、焦胡麻、摺胡麻、その他胡麻を材料とした製品」を指定商品として、同35年12月15日に設定登録され、その後、商標登録の取消し審判により、その指定商品中の「胡麻豆腐及びこれに類似する商品」について取り消すべき旨の審決がされ、平成7年3月20日にその確定審決の登録がされ、さらに、同13年10月24日に、その指定商品を第30類「ごま塩,焦胡麻,味付胡麻,摺胡麻,味付摺胡麻,剥き胡麻,煎り剥き胡麻」及び第31類「胡麻」とする指定商品の書換登録がされたものである。
3 登録第1896568号商標(以下「引用商標3」という。)は、「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の文字とを二段に横書きしてなり、昭和59年2月7日に登録出願、第31類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品として、同61年9月29日に設定登録され、その後、平成19年10月3日に、その指定商品を第29類「食用油脂,乳製品」、第30類「調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」及び第32類「ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」とする指定商品の書換登録がされ、さらに、同28年9月27日に、第29類及び第30類についてのみ商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
4 登録第5226043号商標(以下「引用商標4」という。)は、「ひらけごま!」の文字を横書きしてなり、平成20年10月6日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,牛丼のもと,その他のどんぶりもののもと,パスタソース,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」を指定商品として、同21年4月24日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1ないし引用商標4をまとめていうときは、「引用商標」という場合がある。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第29類「お茶漬けの素,お茶漬けのり,ふりかけ」及び第30類「ごま入り調味料,ごま塩,すりごま,いりごま,ねりごま,ごまを使用した穀物の加工品」(以下「本件指定商品」という場合がある。)についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第78号証を提出した。
1 請求の理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、標準文字で「サクラサケ ひらけごま」と表してなる商標であるところ、前半部の片仮名からなる「サクラサケ」の文字と後半部の平仮名からなる「ひらけごま」の文字との間には1文字分のスペースがあること、これらの文字には何ら観念的なつながりがないこと及び本件商標は全体で10音からなるやや冗長な商標であることから、これらの文字を常に一体としてみるべき理由はなく、当該各文字部分がそれぞれに分離され、考察されるとみるのが自然である。
そうすると、本件商標の構成中の「ひらけごま」の文字からは、「ヒラケゴマ」の称呼が生じ、また、当該文字は、「アラビアの説話『アリババと40人の盗賊』での窃盗団の宝を隠した洞窟の扉を開ける呪文」(以下「アリババの呪文」という。)と理解されるものであるから、かかる観念を生じるものである。
なお、上記したことは、商標登録第5602955号に係る無効2015-890044号事件の審決取消請求事件(甲7:平成28年(行ケ)第10077号)(以下「甲7判決」という。)においてされた判断からも首肯できるものである。
甲7判決は、図形と「サクラサケ」の文字及び「ひらけごま」の文字とからなる商標から分離される「サクラサケ ひらけごま」の文字についての判断ではあるが、本件商標と同音数からなる「サクラサケヒラケゴマ」の称呼が冗長であり、当該各文字が一連一体のものとして、称呼及び観念されることは通常ない、という判断は標準文字で表した「サクラサケ ひらけごま」から構成される本件商標にも当てはまるものである。
また、甲7判決においては、「原告は、『サクラサケヒラケゴマ』は、分離せずとも違和感なく称呼が可能である旨を主張するが、・・・『サクラサケ』と『ひらけごま』とは、通常、一連に称呼されるものではないから、前提を欠くものであって、失当である。」と判断されていることからも、本件商標の称呼である「サクラサケヒラケゴマ」が通常一連に称呼されるものでないことは明らかである。
イ 引用商標について
引用商標1ないし引用商標3は、平仮名で「ひらけ ごま!」と横書きし、その下段に、アルファベットで「OPEN SESAME」と横書きしてなるものであるから、それぞれの文字に応じて、「ヒラケゴマ」及び「オープンセサミ」の称呼を生じ、また、本件商標と同様に「アリババの呪文」の観念を生じる。
引用商標4は、平仮名で「ひらけごま!」と横書きしてなるものであるから、その文字に応じて、「ヒラケゴマ」の称呼を生じ、また、本件商標と同様に、「アリババの呪文」の観念を生じる。
ウ 本件商標と引用商標との指定商品の類否について
本件指定商品中の「お茶漬けの素,お茶づけのり,ふりかけ」は、引用商標4の指定商品中の「お茶漬けのり,ふりかけ」と同一又は類似する商品であり、本件指定商品中の「ごま入り調味料」は、引用商標1の指定商品中の「みそ」、引用商標2の指定商品中の「ごま塩,焦胡麻,味付胡麻,摺胡麻,味付摺胡麻,剥き胡麻,煎り剥き胡麻」及び引用商標3の指定商品中の「調味料」と同一又は類似する商品である。
また、本件指定商品中の「ごま塩,すりごま,いりごま,ねりごま」は、引用商標2の指定商品中の「ごま塩,焦胡麻,味付胡麻,摺胡麻,味付摺胡麻,剥き胡麻,煎り剥き胡麻」及び引用商標3の指定商品中の「調味料」と同一又は類似する商品であり、本件指定商品中の「ごまを使用した穀物の加工品」は、引用商標1の指定商品中の「胡麻を主原料とする穀物の加工品」と同一又は類似する商品である。
そうすると、本件指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似する商品である。
エ 小括
本件商標及び引用商標は、その構成中の「ひらけごま」の文字部分が、それぞれ抽出して観察されることが自然であり、当該「ひらけごま」の文字部分において、外観が共通し、いずれも「ヒラケゴマ」の称呼及び「アリババの呪文」の観念が生じる。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念を共通にする類似の商標であり、かつ、同一又は類似する商品について使用するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知性について
(ア)請求人について
請求人は、宝暦2年(1752年)に乾物の仲買から始め、昭和6年(1931年)に合名会社となり、昭和26年(1951年)に現在の株式会社となった、非常に長い歴史を有する乾物食品問屋である(甲8)。請求人は、戦後、日本で初めて食用の胡麻を輸入した。また、請求人の相談役(前社長)は、全国胡麻加工組合連合会の理事長を務めていたこともある(甲9)。
このように、請求人は、胡麻業界では非常に知られた存在である。
(イ)引用商標を使用した請求人の商品について
引用商標は、請求人を代表する胡麻関連商品のブランドであり、請求人は、引用商標を「すりごま」、「いりごま」、「ふりかけ」などの各種胡麻関連商品に実際に使用している。すなわち、請求人は、昭和40年頃から現在に至るまでの永年にわたり、引用商標を継続的に胡麻関連商品等に使用している。
請求人の会社案内(甲10)は、それに添付されている証明書から、昭和59年3月に作成されたものであることが明らかであり、当該会社案内には、「ひらけごま」商標を使用した商品が掲載されていることが確認できる。また、現在の会社案内(甲8)にも、「ひらけごま!」商標を使用した商品が掲載されている。
これらの会社案内から、遅くとも昭和59年から現在に至るまで、請求人が「ひらけごま!」商標を使用していたことが証明される。
(ウ)請求人の広告宣伝について
請求人は、日本食糧新聞や食品新聞などのいわゆる業界紙に継続的に「ひらけごま!」商標を使用した商品の宣伝広告を出稿しており、また、当該業界紙においては、宣伝広告以外でも請求人が取り上げられている記事が多数存在することから、請求人及び請求人のメインブランドである「ひらけごま!」商標は、十分な著名性を得ていることが分かる(甲11?甲76)。
また、請求人は、「ひらけごま!」商標の著名性を裏付けるため、同業者からの著名性に関する証明書を提出する(甲77、甲78)。
そして、上記業界紙においては、例えば、甲第19号証や甲第20号証のように、請求人の記事と並んで本件商標を使用している被請求人の関連会社(株式会社真誠)の記事が掲載されており、その下段には、「ひらけごま!」商標を使用した請求人商品の宣伝広告がなされていることから、被請求人及びその関連会社である本件商標の使用者は、本件商標の登録出願時において、請求人及びその「ひらけごま!」商標の存在を知らなかったはずはない。
してみれば、「ひらけごま!」商標は、本件商標の登録出願時において、十分な周知性を得ており、また、被請求人及び本件商標の使用者は、そのことを認識していたといえる。
イ 混同のおそれについて
上記アにおいて述べたことを踏まえれば、仮に、本件商標が、「サクラサケ ひらけごま」の構成文字全体で認識され、「ひらけごま!」商標と非類似と判断されるとしても、本件商標を使用した商品に接する取引者、需要者は、その商品があたかも請求人の商品の新シリーズ又は請求人から材料などを仕入れて製造しているものであるかのように、その商品の出所について混同するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号に基づき、その登録を無効にすべきものである。
2 審判事件弁駁書における主張
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 被請求人は、「『サクラサケ ひらけごま』は、文字数、音韻共に10であることから、一連かつ一体に読み取られ、発音される。10文字あるいは10音という商標は、何ら珍しいものでなく、一連に称呼するのに特段の困難性もない。」と主張している。
しかしながら、簡易迅速を尊ぶ商習慣においては、商標を省略して称呼することは周知の事実であると思料する。また、甲7判決においても、「両者を一連に称呼した『サクラサケヒラケゴマ』は、取引において冗長なものといえる。」と判断している。
被請求人は、甲7判決は、文字列の大きさ等が全く相違することから、本事案には当てはまらない旨主張するが、称呼とは「取引上自然に認識する音」をいうため、称呼(音)そのものが冗長であるか否かは、商標が図形との組み合わせか、また、標準文字であるかなどの態様とは関係ないものであり、いずれにせよ、「サクラサケヒラケゴマ」の称呼は冗長であると判断された点には変わりない。
また、審判請求書で述べ、また、甲7判決においても認定されているとおり、「サクラサケ」と「ひらけごま」には、両者の間に意味上の自然な関連性が想起できないため、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標を「サクラサケ」と「ひらけごま」とにそれぞれ分離して認識すると考えることが自然である。
イ 被請求人は、「引用商標に接した需要者は、『ひらけごま』に続く『!』に外観上の強い印象を受けることになるから、本件商標は、その外観において、引用商標のいずれとも全く相違する。」と主張している。
しかしながら、「感嘆符(!)」は、一般的に多用される記号であり、特に強い印象を与えるものではない。
また、引用商標1ないし引用商標3から、「ひらけごま!」の文字部分が独立して自他商品の識別標識と認識されることは、甲7判決において、「引用商標は、同一の意味を有する日英の語を上下段に分けて表記したものであり、また、上下段を一連一体とする『ヒラケゴマオープンセサミ』の連呼は、取引においては冗長なものととらえられる。そうすると、本件指定商品に係る一般の取引者、需要者は、上下段のいずれかによって、引用商標を称呼及び観念するものといえる。以上からみて、引用商標は、『ひらけごま!』の部分が独立して自他商品の識別標識として機能しているとみることができる。」と認定されていることからも明らかである。
そうすると、本件商標の識別標識として機能する「ひらけごま」の文字部分と引用商標の識別標識として機能する「ひらけごま!」の文字部分とを比較すると、一般的に感動や強調を示すにすぎない感嘆符である「!」の有無の差異を有するにすぎず、両者が、外観上、類似するものであることは明らかである。
ウ 被請求人は、「本件商標に接した需要者は、『サクラサケ ひらけごま』が一体となった文字列又は音韻に接することになり、『さくらさけひらけごま』という観念を想起するにとどまる。仮に、その文字列又は音韻から何かを想起するとすれば、『名詞』+『動詞命令形』という構造が二つ重ねられたことから、対象(桜及び胡麻)に対して、咲くこと、開くことを命じているという観念を抱く可能性が高いものと思量する。」と主張している。
しかしながら、そもそも、『さくらさけひらけごま』という観念がどのようなものであるのか不明であり、また、「胡麻が開く」とはいわないものであるから、本件商標からは、甲7判決でも認定されたとおり、「桜咲け」と「アリババの呪文」を認識すると考えるのが自然である。
さらに、本件商標から「サクラサケ」の文字部分と「ひらけごま」の文字部分とがそれぞれに認識される場合がある以上、本件商標は、引用商標の「ひらけごま!」と同一の構成文字を有するため、同一の観念を生じると考えるのが自然である。
なお、被請求人は、「ひらけごま」の文字から認識する観念を種々述べているが、観念は、商標に接する取引者、需要者が自然と認識するものであり、商標を採択した者の意図が必ずしも反映されるとは限らないため、「ひらけごま」の文字に接した取引者、需要者は、この言葉から最も一般的に知られている「アリババの呪文」といった観念を認識すると考えるのが自然である。
そうすると、本件商標と引用商標とが、観念上、類似するものであることは明らかである。
エ 被請求人は、「本件商標の称呼は、『サクラサケヒラケゴマ』である。他方、引用商標の称呼は、請求人が主張するように、『ヒラケゴマ!/オープンセサミ』及び『ヒラケゴマ!』であるから、本件商標は、その称呼において、引用商標と全く相違する。」と主張している。
しかしながら、既述のとおり、「サクラサケヒラケゴマ」の称呼は、取引において冗長なものである。特に、前半部分の「サクラサケ」と後半部分の「ひらけごま」とに観念上のつながりもなければ、片仮名と平仮名とで構成され、かつ、その片仮名と平仮名との間に1文字分のスペースがあることを勘案すれば、本件商標が常に一体一連に認識されなければならない理由はなく、「サクラサケ」の文字部分と「ひらけごま」の文字部分とから、それぞれの称呼も生じると考えるのが自然である。そして、生じる称呼のうちの一つが本件商標と同一であるから、本件商標と引用商標とが、称呼上、類似するものであることは明らかである。
オ 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似する商標であり、その商品の出所について混同するおそれがあるから、商標法第4条第1項第11号に該当することは明らかである。
なお、被請求人は、「請求人は、市場における出所の混同を証明することはなし得ておらず、実際に出所の混同を来して商品を購入したという事例を示してもいない。」とも主張している。
しかしながら、商標の類否判断は、その外観、称呼又は観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察し、例えば、本件商標をその指定商品に使用した場合に、引用商標と出所混同のおそれがあるか否かによって判断するものであるから、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似する本件商標と引用商標とは、出所混同のおそれがあり、類似することは明らかである。
また、一般的に無効審判の請求時において、商標権者が商標を使用していないことも十分に考えられることから、実際の混同の有無について立証する必要はない。
さらに、付言すれば、被請求人の関連会社である株式会社真誠は、請求人からの通知書の送付及び登録第5602955号の無効審決が確定した後、関連商品の販売を中止したようであり、本件審判の請求時点においては、製造販売していないようであるから、立証することができないものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 被請求人は、「甲第10号証は、『青さ粉』についての『ひらけごま印』の使用を示すものであるが、『ひらけごま印』は、引用商標のいずれでもない。したがって、甲第10号証は、引用商標の使用を示す証拠たり得ない。」と主張する。
しかしながら、甲第10号証の3枚目の左側矢印の箇所に、「すり胡麻」について、引用商標1ないし引用商標3を使用した商品が明確に掲載されている。
また、「印」は、「商標」などと同義に使用される言葉であり、特に、昭和の時代には、「○○印」などとブランドを表記することは一般的に行われていたことからすれば、「印」の文字部分に識別力はなく、「ひらけごま」の文字部分が自他商品識別機能を発揮していることは明らかである。
さらに、甲第10号証の商品写真そのものから「ひらけごま!」と明確に記載されていることが分かることから、甲第10号証は、引用商標1ないし引用商標3の使用を示す証拠となるものである。
イ 被請求人は、「甲第25号証、甲第30号証、甲第38号証及び甲第44号証は、引用商標1ないし引用商標3の使用ではない上に、指定商品についての使用が示されていない。したがって、上記甲各号証は、引用商標1ないし引用商標3の使用とはいえない。」と主張する。
しかしながら、被請求人が指摘するいずれの甲号証においても、「ひらけごま!」商標の左に商品写真を載せていることからすれば、当該甲号証は、いずれも引用商標1ないし引用商標3の使用を示す証拠となるものである。
また、引用商標1ないし引用商標3は、甲第2号証ないし甲第4号証に示すとおり、上段に「ひらけ ごま!」と横書きし、その下段に「OPEN SESAME」と横書きしてなるものであるところ、登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに、その一方の使用は、不使用取消審判においても、登録商標の使用として認められる。そして、甲7判決において、「引用商標は、『ひらけごま!』の部分が独立して自他商品の識別標識として機能しているとみることができる。」と判断されていることからも、「ひらけごま!」商標の使用は、引用商標1ないし引用商標3の使用を示す証拠となるものである。
ウ 被請求人は、請求人が業界紙に引用商標を使用した商品の宣伝広告をしていることについて、「年間にすれば、わずか3.5回程度であり、まして掲載紙が週3回発行、発行部数94,500部(平成28年2月末現在)の『日本食料新聞』に限られるといってよいことからすれば、需要者はもとより、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、『ひらけごま!』商標が周知になったことの立証がなされたとはいえない。」と主張する。
しかしながら、専門家のみが購読する業界紙に継続して20年間宣伝広告を掲載し続けていること、特に、発行回数及び発行部数がさほど多くない業界紙であることから、なおさら、業界において、請求人の「ひらけごま!」商標は周知であるといえるものである。
エ 以上のことから、引用商標は、本件商標の登録出願時において、十分な周知性を得ていたといえる。
してみれば、仮に、本件商標と引用商標とが類似しないとしても、本件商標を使用した商品に接する取引者、需要者は、あたかも請求人の商品の新シリーズ又は請求人から材料などを仕入れて製造している商品であるかのように、その商品の出所について混同するおそれがある。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べている。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、「サクラサケ ひらけごま」を標準文字で表してなるものであるところ、文字数、音韻共に10であることから、一連かつ一体に読み取られ、発音される。10文字あるいは10音からなる商標は、何ら珍しいものでなく、一連に称呼するのに特段の困難性もない。また、「サクラサケ」と「ひらけごま」とを分離して読み取り、あるいは、称呼するという特段の商習慣も見当たらない。
むしろ、「サクラサケ ひらけごま」には、「名詞」+「動詞命令形」という構造が二つ重ねられていることから生じるリズムがあり、一連に読まれ、発音されるべき商標と感じられる。「サクラサケ」と「ひらけごま」とは、それぞれ5音からなるところ、俳句や短歌にみられるように、5音の言葉は、日本語の発語のリズムを乱すこともないから、素直に「サクラサケ ひらけごま」と一連に読み取られ、「サクラサケヒラケゴマ」と称呼されるべき商標として受け取られることに疑いはない。
そうすると、本件商標は、「サクラサケ」と「ひらけごま」とが一体の商標として扱われるものであり、分離して扱うべき根拠は何もない。実際、本件商標の審査において、商標法第4条第1項第11号に該当する等の拒絶理由は、一度も示されていないから、本件商標を「サクラサケ」と「ひらけごま」とに分離すべき理由はないものとされたと解される。
なお、請求人の挙げる甲7判決に示された商標は、標準文字ではなく、「ひらけごま」の文字列とその余の文字列とに大小や文字色の相違などの違いが存在しているところ、その結論は、当該商標が図形と一体化されたものであることを看過したものであると考えるが、対象商標における文字列の大きさ等が全く相違する以上、甲7判決における商標の対比の結論だけを本件商標に当てはめることができないことは論を待たない。むしろ、甲7判決で示された判断は、文字列に大小の差異や色彩の差異がない場合は、これを一体の商標として扱うのが原則であるというものであり、本件商標においては、一連の文字列から特定の文字列「ひらけごま」を取り出すべき理由がないことを示しているというべきである。
(3)本件商標と引用商標との対比
ア 外観対比
「サクラサケ」の片仮名の文字列が先行し、「ひらけごま」と一体となった外観を有する本件商標と、「ひらけごま」が先行し、なおかつ「ひらけごま」の文字列の末尾に符号「!」を備えた引用商標とは、外観において、明らかに相違する。特に、「!」の存在は、引用商標において特徴的であり、「!」は、もともと日本語には存在しなかったものであり、訓読みや音読みが存在しないものである。
したがって、引用商標に接した需要者は、「ひらけごま」に続く「!」に外観上の強い印象を受けることになるから、本件商標は、その外観において、引用商標と全く相違する。
イ 観念対比
本件商標は、ことわざや呪文のような特別な観念を想起させるものではない。本件商標に接した需要者は、「サクラサケ ひらけごま」が一体となった文字列又は音韻に接することになり、「さくらさけひらけごま」という観念を想起するにとどまる。仮に、その文字列又は音韻から何かを想起するとすれば、「名詞」+「動詞命令形」という構造が二つ重ねられたことから、対象(桜及び胡麻)に対して、咲くこと、開くことを命じているという観念を抱く可能性が高いものと思量する。
他方、引用商標1ないし引用商標3は、「ひらけごま!/OPEN SESAME」の文字列が想起させる観念を有し、引用商標4は、「ひらけごま!」の文字列が想起させる観念を有する。いずれも「ひらけごま」の後に「!」マークがあることから、「ひらけごま」を強く主張するという観念は生じるものと考えられる。
この点に関して、請求人は、引用商標から、「アリババと40人の盗賊」での扉を開ける呪文を想起させる、としている。
しかしながら、請求人の主張に従えば、本件商標と引用商標との観念上の相違は明確である。なぜなら、アリババの生きた時代や地域に桜が咲いていたという事実や伝承はなく、本件商標に接した需要者が、これからアリババの呪文を想起することはないからである。
また、「アリババと40人の盗賊」という表題における「盗賊」の文字、洞窟に隠された財宝が盗品であるという事実、その盗品を横取りしようとしたアリババの兄が八つ裂きにされるという残忍さ(アリババは死体の破片を集めて皮職人に縫わせている)、アリババの自宅に侵入しようとした40人の盗賊のうち39人までが煮えたぎる油で殺される大量殺人、といった内容を含むアラビアンナイトの説話に関連する物語が、めでたい物語とは到底考えられない。仮に、「ひらけごま!」が、盗品を隠す洞窟の扉を開く呪文である、という観念を想起させるというのであれば、本件商標権者は、そのようなマイナスのイメージを有する言葉を選択しない。
本件商標は、我が国において、最も愛され、めでられる花である「桜」を意味する「さくら」という文字を含み、大学合格電報の電文に慣用されている「サクラサク」を命令形にした「サクラサケ」を文頭として構成されているところ、当該「サクラサケ」という命令文に「ひらけごま」という命令文を続けて一連の商標とすることで、「アリババと40人の盗賊」などを想起させることなく、何事かを成就するという観念を想起させるものである。
上記した点に鑑みれば、本件商標が想起させる観念が、引用商標が想起させる観念と全く相違することは明らかである。
また、「ひらけごま!」という文字列が想起させる観念が、本件商標が想起させる「何事かを成就する」の観念と同一又は類似であるとする商習慣や、社会通念が確立しているともいえない。
よって、本件商標と引用商標とは、観念上、類似するとはいえない。
ウ 称呼対比
本件商標は、その構成文字全体を一体としてみるべき商標であるから、本件商標の称呼は、「サクラサケヒラケゴマ」である一方、引用商標の称呼は、請求人が主張するように、「ヒラケゴマ/オープンセサミ」及び「ヒラケゴマ」である。
そうすると、本件商標は、その称呼において、引用商標と全く相違する。
また、引用商標は、その構成中の「ひらけごま」の文字の後に「!」の符号を含むので、「ひらけごま」の文字部分が称呼される際には、「ごま」の部分が特に強調される。
してみると、商標全体の始まりの位置に「サクラ」なる語を備えた本件商標においては、末尾の「ごま」の文字部分が、相対的に弱く発音されるから、この点からも、称呼上、本件商標と引用商標とが類似することはない。
エ 総合判断
以上のとおり、本件商標は、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても、引用商標と同一又は類似するものではない。
そして、こうした外観、称呼及び観念の類否は、出所の混同を生じるか否かの判断手法にすぎず、これらの対比は、実際に市場において出所の混同が生じるかどうかを模擬的に判断する手法だといえる。
この点について、請求人は、市場における出所の混同を証明することはなし得ておらず、実際に出所の混同を来して商品を購入したという事例を示してもいない。これは、本件商標と引用商標とがあまりに相違し、市場における出所の混同という事態を惹起し得ないものだからである。
してみれば、本件商標に接した需要者が、引用商標との間で出所の混同を来すはずがない。
したがって、本件商標は、引用商標とは類似しておらず、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)はじめに
請求人は、本件商標を使用した商品に接する取引者、需要者は、その商品があたかも請求人の業務に係る商品又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると混同を生じさせるおそれがある旨主張する。
しかしながら、本件商標をその指定商品に使用しても、上記のような出所の混同を生じるおそれはないので、その理由について、以下説明する。
(2)引用商標の周知性について
ア 請求人は、審判請求書において、請求人の商品の写真を示して、引用商標1ないし引用商標3が周知性を獲得していることを主張しているが、商品「ごま」に関する10枚の写真のうち、1枚目と2枚目は、グラム数の異なる同一商品のパッケージの写真であり、また、4枚は、拡大写真であるから、実際に示された商品は5種類にすぎない。そして、商品の販売量や業界でのシェアなどに関する情報もない。
さらに、上記写真には、すりごまなどの商品のパッケージに、センターに「OPEN SESAME」の文字を配した魔法のランプとおぼしき特徴的な図形(以下「ランプ図形」という。)及び「ひらけ ごま!/OPEN SESAME」の二段書きの商標が付されているところ、ふりかけの写真以外は、一貫して、ランプ図形及び二段書きの商標という構成になっている。
そうすると、上記写真に係る商品に接した需要者は、特徴的なランプ図形とともに商品を記憶し、請求人の商標を当該図形とともに記憶することになるから、これらの写真は、引用商標1ないし引用商標3の周知性の獲得を示す証拠として扱うことはできない。
加えて、上記写真には、引用商標4がふりかけに使用された例が表示されているが、当該写真は、同じ系列の商品を示し、風味の異なる3種類のふりかけの例を示すにとどまるものである。そして、商品の販売数量やシェアに関する情報もない。
したがって、上記の証拠では、引用商標が周知性を獲得しているとは到底結論付けられるものではない。上記の写真から理解できるのは、請求人が、すりごま及びいり胡麻について、ランプ図形及び「ひらけ ごま!/OPEN SESAME」の商標を付した商品「ごま」を販売しているという事実又は「ひらけごま!」商標を付した風味だけが異なる3種類のふりかけを販売しているという事実だけであり、それ以上の周知性に関する判断を引き出すことはできない。
すなわち、請求人は、引用商標が、その指定商品に使用されて周知性を獲得していることを証明し得たとはいえない。
イ 請求人は、広告宣伝の事実について主張しているが、以下のとおり、甲第10号証ないし甲第78号証において、引用商標の使用と考えられる宣伝広告は存在しない。
(ア)甲第10号証は、「青さ粉」についての「ひらけごま印」の使用を示すものであるが、「ひらけごま印」は、引用商標のいずれでもない。
したがって、甲第10号証は、引用商標の使用を示す証拠たり得ない。
(イ)甲第25号証、甲第30号証、甲第38号証及び甲第44号証は、引用商標1ないし引用商標3の使用ではない上に、指定商品についての使用が示されていない。
したがって、上記甲各号証は、引用商標1ないし引用商標3の使用とはいえない。
(ウ)甲第11号証ないし甲第76号証のうち、甲第25号証、甲第30号証、甲第38号証及び甲第44号証以外は、いずれも「いりごま・すりごま」についての「ひらけ ごま!」商標の使用を示すものであるが、これらは、引用商標1ないし引用商標3とは相違するから、それらの使用には当たらない。
また、引用商標4は、「ひらけごま!」の文字からなるものであるが、その指定商品に「いりごま,すりごま」を含まないから、上記甲各号証に係る使用は、引用商標4の使用には当たらない。
(エ)甲第77号証は、商品「ごま」についての株式会社大村屋による陳述を記載した証明書であるが、一私人の陳述であり、また、「ひらけごま」という標章についての陳述にすぎない。
したがって、甲第77号証は、引用商標の使用に関する証拠たり得ない。
(3)「ひらけごま!」商標の周知性について
ア 甲第10号証は、「青さ粉」についての「ひらけごま印」の使用を示すものであるが、「ひらけごま印」は、「ひらけごま!」商標とは相違するから、「ひらけごま!」商標の使用の証拠とはならない。
イ 甲第25号証、甲第30号証、甲第38号証及び甲第44号証は、引用商標の指定商品についての使用が示されていないから、当該商標についての使用とはいえない。
ウ 甲第77号証の証明書は、商品「ごま」についての株式会社大村屋による陳述を記載した証明書であるが、一私人の陳述であり、また、「ひらけごま」という標章についての陳述にすぎず、「ひらけごま!」商標が周知性を獲得していることの証拠たり得ていない。
エ 甲第11号証ないし甲第76号証のうち、甲第25号証、甲第30号証、甲第38号証及び甲第44号証以外は、いずれも「いりごま・すりごま」についての「ひらけ ごま!」商標の使用を示すものであるが、甲第11号証は1997年の新聞であり、甲第76号証は2017年の新聞であるから、この間におよそ20年の年月がある。そうすると、その20年の間に、たかだか70回未満の広告を打ったとしても、年間にすれば、僅か3.5回程度であり、まして、掲載紙が週3回発行、発行部数94,500部(平成28年2月末現在)の「日本食料新聞」に限られることからすれば、「ひらけごま!」商標は、需要者はもとより、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、周知になったことの立証がされたとはいえない。
(4)総合判断
上記のとおり、引用商標及び「ひらけごま!」商標のいずれも周知性を獲得しているとはいえないものであるから、請求人が使用している商標と本件商標とが類似するか否かを問わず、その出所について混同を生じるおそれはない。
すなわち、本件商標がその指定商品のいずれに用いられても、請求人の業務と混同を来すことはなく、請求人又は請求人と緊密な営業上の関係等を有する者の商品に係るものであると誤認されるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(5)甲第11号証ないし甲第76号証に示される商標の使用が虚偽表示である点
請求人は、一段の文字列の「ひらけごま!」からなる引用商標4を有しており、その指定商品は、第29類「食用油脂,乳製品,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,牛丼のもと,その他のどんぶりもののもと,パスタソース,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」である。また、請求人は、引用商標1ないし引用商標3として自ら示した二段書きの商標も登録している。
したがって、請求人は、「ひらけごま!」という一段の文字列からなる商標と「ひらけ ごま!/OPEN SESAME」という二段書きの商標とが異なる商標であり、異なる指定商品について登録を受けたものであることを知っている。
ところが、甲第11証ないし甲第76号証に係る新聞の大部分においては、登録商標であることの表示(「R」の文字を○で囲んだマーク)が付された一段の文字列の「ひらけ ごま!」の近傍に「いりごま すりごま」の文字が記載されており、その記載は、あたかも引用商標4の指定商品が、本来、その指定商品には含まれていない第30類「いりごま,すりごま」であると誤信させるような態様のものである。
そうすると、甲第11号証ないし甲第76号証において表示されている一段の文字列の「ひらけ ごま!」の使用は、登録商標の虚偽表示(商標法第74条第2号)に相当し、刑事罰の対象となる行為(同法第80条)に相当する可能性が高い。また、引用商標4の登録日は平成21年4月24日であるため、当該甲号証のうち、甲第48号証以前、すなわち、その登録日よりも前における「ひらけ ごま!」の使用は、登録商標ではない商標に登録商標であることの表示を付する行為であり、かかる行為も登録商標の虚偽表示(同法第74条第1号)に該当した疑いがある。
請求人は、上記虚偽表示を永年にわたって行なっていたと解され、このような不正な使用に基づき引用商標の周知性が獲得されたとの請求人の主張は、甚だ合理性を欠くと同時に、善良な経済人としての良識に欠け、信義則に反するものである。
3 結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当せず、同法第46条第1項第1号に基づき、その登録を無効にされるべきものではない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「サクラサケ ひらけごま」の文字を標準文字により表してなるところ、当該文字は、「サクラサケ」及び「ひらけごま」の各文字の間に1文字分の間隙が存するものの、同じ書体及び大きさをもって表されていることから、視覚上、その構成全体をもって、まとまりある一体的なものとして看取、把握されるといえ、その構成中のいずれかの文字のみが強く印象付けられることはないとみるのが相当である。
また、本件商標の構成中、「ひらけごま」の文字は、「アリババの呪文」を示すものと理解される(「大辞泉増補・新装版」株式会社小学館参照)ものである一方、「サクラサケ」の文字は、その読みから「桜咲け」の文字を片仮名で表したものと理解されるといえるから、観念上、両文字の間に軽重の差があるとはいい難く、いずれかの文字のみが強く記憶に残ることはないとみるのが相当である。
さらに、本件商標をその指定商品に使用したときに、本件商標の構成中の「サクラサケ」の文字部分又は「ひらけごま」の文字部分のいずれかのみが、取引者、需要者に対し、強く支配的な印象を与えるとみるべき取引の実情等も見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成全体から生じる「サクラサケヒラケゴマ」の称呼が冗長といえるものであるとしても、その外観及び観念も含めて総合勘案すれば、「サクラサケ」の文字と「ひらけごま」の文字とを1文字分の間隙を設けて並列的に表してなる一連一体の商標としてのみ認識されるものというべきである。
したがって、本件商標は、その構成全体をもって、一連一体の商標であり、「サクラサケヒラケゴマ」の称呼のみを生じ、一つのまとまった意味合いとはいい難いものの、「桜咲け」の文字を片仮名で表した「サクラサケ」の語と「アリババの呪文」の呪文を示す「ひらけごま」の語との組合せから生じる意味合いに照応する観念を生じるものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1ないし引用商標3について
引用商標1ないし引用商標3は、前記第2の1ないし3のとおり、「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の欧文字とを二段に横書きしてなるところ、外観上、上段と下段に分けて各文字が表されており、上段の「ひらけ ごま」の文字部分が、上記(1)のとおり、「アリババの呪文」を示すものと理解され、また、下段の「OPEN SESAME」の文字部分が、上段の語と同様の意味を有する英語表記(「小学館ランダムハウス英和大辞典」株式会社小学館参照)である。
このように、引用商標1ないし引用商標3は、同一の意味を有する日本語と英語を上下段に分けて表記したものであり、また、上下段を一連一体とする「ヒラケゴマオープンセサミ」の称呼は、冗長であることからすれば、本件指定商品に係る一般の取引者、需要者は、上下段のいずれかによって、上記引用各商標を称呼及び観念する場合もあるものといえる。
してみれば、引用商標1ないし引用商標3は、「ひらけ ごま!」の文字部分が独立して自他商品の識別標識として機能しているとみることができるものである。
したがって、引用商標1ないし引用商標3は、その構成中の「ひらけ ごま!」の文字部分から、「ひらけ ごま!」の文字の外観を有し、「ヒラケゴマ」の称呼と「アリババの呪文」の観念を生じるといえるものである。
イ 引用商標4について
引用商標4は、前記第2の4のとおり、「ひらけごま!」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字から「ヒラケゴマ」の称呼を生じ、「アリババの呪文」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とは、それぞれ、上記(1)及び(2)に記載のとおりの構成からなるものであり、その構成は明らかに相違するものであるから、外観上、相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標から生じる「サクラサケヒラケゴマ」の称呼と引用商標から生じる「ヒラケゴマ」の称呼とを比較すると、両者はその音構成において「サクラサケ」の音の有無において差異を有するから、本件商標と引用商標とは、称呼上、明らかに聴別できるものである。
さらに、本件商標は、「桜咲け」の文字を片仮名で表した「サクラサケ」の語と「アリババの呪文」の呪文を示す「ひらけごま」の語との組合せから生じる意味合いに照応する観念を生じる一方、引用商標は、「アリババの呪文」の観念を生じるものであるから、観念上、相紛れるおそれはないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(4)小括
本件商標は、上記(3)のとおり、引用商標と非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知性について
ア 請求人の主張及び同人提出の証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)請求人は、昭和59年3月に自己の「会社案内」1,000部を作成したことがうかがえるところ(甲10)、当該「会社案内」には、会社の沿革や生産設備の紹介のほか、請求人の製品の紹介として、「日の出印」に係る「煎り胡麻(白黒)、洗い胡麻(白黒)、けしの実、ごま塩(白黒)」、「白鷹印」に係る「糸寒天、干瓢、焼海苔、粉末ところてん、粉末寒天」、「鷲印」に係る「ヒジキ、青のり粉」、「日の丸扇印」に係る「白玉粉」、「達磨印」に係る「干瓢」、「立雛印」に係る「立雛葛」、「金扇印」に係る「木耳」等とともに、「ひらけごま印」に係る「すり胡麻(白黒)、すり胡麻、青サ粉」が掲載されており、当該「ひらけごま印」に係る商品の包装には、「ひらけ ごま!」の文字からなる標章が見受けられるが、当該「会社案内」がいつ、誰に対し、どのように頒布されたかは明らかでない。
また、請求人は、引用商標について、請求人を代表する胡麻関連商品のブランドであり、「すりごま」、「いりごま」、「ふりかけ」といった商品に使用しているとして、審判請求書にその一例とする写真を掲載しているところ、そのうち、「すりごま」及び「いりごま」の包装には、「アリババと四十人の盗賊」の説話に登場する「ランプ」をかたどった図形の下方に「ひらけ ごま!」又は「ひらけごま!」の文字と「OPEN SESAME」の文字とを二段に表してなる標章を配してなるもの、「ふりかけ」の包装には、「ひらけごま!」の文字からなる標章が、それぞれ付されていることを見てとることができるが、これらの商品の販売に係る期間、地域、数量等は明らかでない。
(イ)請求人提出の甲第11号証ないし甲第76号証をみるに、これらは、平成9年9月29日から同29年7月5日までの間に発行された「日本食糧新聞」又は「食品新聞」の抜粋であって、そのうち、平成9年9月29日から同25年1月31日までの間に発行されたもの(甲11?甲59)には、主に「ひらけ ごま!」の下方又は右方に「いりごま・すりごま」の文字と請求人の名称及び住所等とが表された広告が、全面広告のページに他社の広告とともに掲載されていたり(甲13、甲15、甲18、甲21、甲23、甲27、甲31、甲33、甲36、甲40、甲43、甲47、甲51、甲55、甲57)、記事のページの下方に他社の広告とともに掲載されている(甲11、甲12、甲14、甲16、甲17、甲19、甲20、甲22、甲24、甲26、甲28、甲29、甲32、甲34、甲35、甲37、甲39、甲41、甲42、甲45、甲46、甲48?甲50、甲52?甲54、甲56、甲58、甲59)。
また、平成26年1月30日から同29年7月5日までの間に発行された「日本食糧新聞」又は「食品新聞」の抜粋(甲61?甲76)には、専ら「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の文字とを二段に表してなる標章の右方に「いりごま・すりごま」の文字、同じく、下方に各種商品の写真や請求人の名称及び住所等が表された広告が、全面広告のページに他社の広告とともに掲載されていたり(甲64、甲69、甲74)、記事のページの下方に他社の広告とともに掲載されている(甲61?甲63、甲65?甲68、甲70?甲73、甲75、甲76)。
しかしながら、上記「日本食糧新聞」又は「食品新聞」に掲載された請求人の広告は、その内容から「ひらけ ごま!」の標章又は「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の文字とを二段に表してなる標章が請求人に係る商標であるとの印象を看者に与える場合があるとはいえるものの、その掲載の頻度や箇所を鑑みれば、看者において強く支配的な印象をもって記憶されるものとはいい難い。
なお、上記「日本食糧新聞」又は「食品新聞」の抜粋には、請求人に関する記事が掲載されているもの(甲19、甲20、甲22、甲24、甲30、甲38、甲41、甲44、甲48、甲52、甲56、甲58、甲60)が含まれているが、当該記事において、「ひらけ ごま!」の標章、「ひらけ ごま!」の標章又は「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の文字とを二段に表してなる標章の使用に係る商品に関する記載はない。
(ウ)甲第77号証は、ゴマ製品の製造・販売を事業内容とする株式会社大村屋の代表取締役による平成25年11月21日付け証明書とされるものであって、その内容として、商標「ひらけごま/OPEN SESAME」が、請求人の著名な登録商標であり、遅くとも昭和40年頃から商標「ひらけごま」を商品「ごま」について使用し、「ひらけごま」が、請求人の商標として業界で知られている旨の記載がある。
しかしながら、上記証明をするに当たり、株式会社大村屋の代表取締役が、いかなる事実に基づき、「ひらけごま/OPEN SESAME」の商標を請求人の著名商標とし、「ひらけごま」の商標を請求人の商標として業界で知られているとしたかの詳細は明らかでない。
イ 上記アによれば、請求人は、遅くとも昭和59年には、自己の製品である「すり胡麻(白黒)、すり胡麻、青サ粉」について、「ひらけごま印」に係る商標を使用しており、その後、自己の製品である「いりごま、すりごま」等について、「ひらけ ごま!」の標章、「ひらけごま!」の標章、「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の文字とを二段に表してなる標章又は「アリババと四十人の盗賊」の説話に登場する「ランプ」をかたどった図形の下方に当該二段に表してなる標章を使用したことがうかがえるが、その使用に係る商品の販売に係る期間、地域、数量等は明らかでないから、その使用により、取引者、需要者において引用商標がどの程度知られているかを推し量ることは困難である。
また、請求人は、少なくとも平成9年9月29日から同29年7月5日までの間、自己の製品のうち、主に「いりごま、すりごま」についての広告を行ったとはいえるものの、その広告媒体は、業界紙2紙に限られる上、その広告の回数や方法によっては、その広告が看者の記憶に強く残るとはいい難い。
さらに、商品「いりごま、すりごま」は、日常的に消費される食料品であって、一般消費者もその需要者たり得るといえるところ、請求人の製品である「いりごま、すりごま」が一般消費者の間で広く認識されていると認めるに足る事実は見いだせない。
以上を総合勘案すれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間で広く知られていたとまでは認めることができない。
(2)出所の混同のおそれについて
本件商標は、「サクラサケ ひらけごま」の文字を標準文字で表してなるのに対し、引用商標は、「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の文字とを二段に横書きしてなる又は「ひらけごま!」の文字を横書きしてなるところ、本件商標の「ひらけごま」と引用商標の「ひらけ ごま!」又は「ひらけごま!」とは、「!」の有無という差異はあるものの、いずれも「アリババの呪文」を示すものと理解されるから、本件商標は、その構成中に引用商標と同じ意味を理解させる語を含んでなるものとはいえる。
しかしながら、引用商標は、上述のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間で広く知られていたとまでは認めることができないものであるし、本件商標も、上記1のとおり、その外観、称呼及び観念を総合勘案すれば、その構成中の「ひらけごま」の文字が分離して観察されることのない一連一体の商標としてのみ認識されるというべきものであるから、これらを踏まえて両商標を比較するときは、両商標の類似性の程度は、決して高くないとみるのが相当である。
また、本件商標の「ひらけごま」及び引用商標の「ひらけ ごま!」又は「ひらけごま!」は、いずれも「アリババの呪文」を示すものと理解されるものであるから、両商標における共通点といえるこれらの語は、独創性のあるものとはいい難い。
その他、請求人の主張及びその提出に係る証拠を総合してみても、本件商標を本件指定商品に使用したときに、引用商標の使用に係る商品との関係で、出所の混同を生ずるおそれがあるとみるべき特段の事情も見いだせない。
そうすると、たとえ、本件指定商品が引用商標の使用に係る商品と同一又は類似するものであって、需要者を共通にするものであるとしても、本件商標を本件指定商品に使用したときに、これに接する需要者が引用商標を連想、想起することはなく、その商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
(3)小括
上記(2)のとおり、本件商標は、他人(請求人)の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるものではないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求に係る商品である第29類「お茶漬けの素,お茶漬けのり,ふりかけ」及び第30類「ごま入り調味料,ごま塩,すりごま,いりごま,ねりごま,ごまを使用した穀物の加工品」について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたとはいえないから、同法第46条第1項により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-10-12 
結審通知日 2018-10-16 
審決日 2018-11-05 
出願番号 商願2013-12601(T2013-12601) 
審決分類 T 1 12・ 271- Y (W2930)
T 1 12・ 262- Y (W2930)
T 1 12・ 263- Y (W2930)
T 1 12・ 261- Y (W2930)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 福田 洋子 
特許庁審判長 田中 敬規
特許庁審判官 松浦 裕紀子
中束 としえ
登録日 2013-07-26 
登録番号 商標登録第5603033号(T5603033) 
商標の称呼 サクラサケヒラケゴマ、サクラサケ、ヒラケゴマ、ヒラケ 
代理人 保崎 明弘 
代理人 和田 光子 
代理人 水野 勝文 
代理人 特許業務法人明成国際特許事務所 
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