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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W25
管理番号 1347792 
審判番号 不服2017-19000 
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-21 
確定日 2018-12-06 
事件の表示 商願2016-135473拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおり,「Style」の欧文字を横書きしてなり,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」を指定商品として,平成28年11月30日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は,「様式。型。」を意味する「Style」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものである。当該語は,多くの場合,生活様式など一定の様式・形式を表すための複合語を形成することで知られており,また,当該語は,「被服,ベルト,履物」等の分野において,それら商品の広告・カタログなどに頻繁に用いられている語である。そして,本願商標は,「一定の型・様式を備えたもの」又は「一定の様式に適合するもの」の如き意味合いを認識させるものといえる。そうすると,本願商標をその指定商品に使用しても,上記の意味合いを認識させるにすぎず,自他商品の識別標識としての機能を有せず,結局,需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができないものである。
よって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。

3 平成30年6月22日付けで通知した当審における審尋(要旨)
審判長は,請求人に対し,別掲2に係る証拠を示して,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の審尋を発し,意見を求めた。

4 審尋に対する請求人の意見(要旨)
「style」や「スタイル」の言葉が,服飾用語として別掲2(1)に示されたような意味合いで使用されるものであることは否定しない。そして,そのような意味合いで使用されるものである以上,別掲2(2)のように文章中で「style」や「スタイル」の語が使用されることはある意味当然のことではある。
しかしながら,このように文章の中で単語として使用される場合は,前後の文章とあいまって初めて特定の具体的な意味合いが当該文章全体から生ずるのであって,商品に「Style」の語が単体で表示されている場合とは言葉の機能の仕方が異なるものといえる。
また,別掲2(3)は,「style」の語が複合語として他の言葉と一緒になって具体的に特定の型や様式を表すケースを示すものであるが,「style」という言葉だけが単体で商品に表記されている場合は,やはり具体的に特定の型や様式を表すことはできない。
すなわち,別掲2(1)?(3)は,「style」という言葉について,その意味内容に沿ってそれがどのように使われているかを示すものであり,これによって「style」の語が服飾業界で広く使用されていることはわかるが,「style」という用語だけが被服等に付されるのは,このように服飾業界で広く使用されている上記の用いられ方とは全く異なる極めて特殊な用いられ方であり,かかる特殊性ゆえに識別力を発揮し得るのである。
このことは,例えば,ワイシャツの胸ポケットに本願商標が付されている状況をイメージすれば明らかである。文章中でもなく複合語としてでもなく,単に漠然とした意味合いを想起させるにとどまる「Style」という文字だけがワイシャツに付されていても,需要者はそれを特定の「様式,型,流行型,スタイル」とは認識しない。そのように本願商標がワイシャツの様式や型を表すものと認識されない以上,ワイシャツに付された「Style」の文字は特定人のブランドとして需要者に認識される余地を十分に残すものである。
したがって,「Style」の語単体からなる本願商標は,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るといえるから,商標法第3条第1項第6号には該当しない。

5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第6号の該当性について
本願商標は,別掲1のとおり,「Style」の欧文字を横書きしてなるものであるところ,当該欧文字は,英語で「(行動・生活などの)様式,仕方,方法」や「(服・髪などの)型,スタイル,流行型」などの意味を有する語(ベーシック ジーニアス英和辞典)であり,これを片仮名で表記した「スタイル」が「すがた,風采,恰好」や「様式,型(服飾や髪の型・デザイン)」(広辞苑第6版)などの意味を有する外来語として広く用いられるなど,我が国においては一般的に知られた語であると認められる。
そして,別掲2のとおり,「Style」(スタイル)の語は,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,「様式,型,流行型」などを意味する語として広く用いられており,また,これを他の文字と組み合わせて,「○○様式」や「○○型」など,商品の型や様式(又はそれら型や様式を備えたもの)を表示する語として広く用いられているものである。
以上によれば,「様式,型,流行型,スタイル」などを意味するよく知られた英単語であって,本願商標の指定商品を取り扱う業界においては,一般的に使用されているありふれた標章であるといえる本願商標は,それ自体を本願指定商品について使用しても,自他商品を識別する標章としての機能を有するものではなく,他の文字等(特定の商標)を組み合わせた標章とすることにより初めて自他商品を識別することが可能になるというべきである。
請求人は,「ボディメイクシート」と称する,姿勢矯正機能を有する椅子に本願商標を使用している(甲14?18)ことが認められるが,その結果,本願指定商品の全てにつき,自他商品の識別力を獲得したなどの特段の事情があるとは認められない。
そうである以上,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1号第6号に該当する。
(2)請求人の主張に対して
請求人は,(ア)別掲2(1)?(3)によれば,「style」の語が服飾業界で広く使用されていることはわかるが,「style」という語だけが被服等に付されるのは,このように服飾業界で広く使用されている上記の用いられ方とは全く異なる極めて特殊な用いられ方であり,かかる特殊性ゆえに識別力を発揮し得るのである旨,(イ)文章中でもなく複合語としてでもなく,「Style」という文字がワイシャツの胸ポケットに付されている場合において,需要者はそれを特定の「様式,型,流行型,スタイル」とは認識しないから,「Style」の文字は,ワイシャツの様式や型を表すものと認識されない以上,当該文字は,特定人のブランドとして需要者に認識される余地を十分に残すものである旨,及び(ウ)「STYLE」の欧文字や,それと片仮名文字「スタイル」とを併記した商標について,多数の登録例が認められることからみると,本願商標が自他商品の識別力を有しないとされる理由の妥当性は見いだせない旨主張する。
しかしながら,(ア)及び(イ)については,請求人は,服飾業界では「Style」の文字が単独の商標として広く使用されていないから,そのような使用ならば,自他商品の識別力を発揮すると解釈しているものと解されるが,商標法第3条第1号第6号は,同項第1号ないし第5号に掲げるもののほか「需要者が何人かの業務に係る商品…であることを認識することができない商標」を総括的に含むものであり,同項第6号に該当するというためには,必ずしも「Style」という商標が単独で広く使用されていることを要するものとは解し得ないから,請求人の上記解釈は独自の解釈というほかなく,採用し得ない。
(ウ)については,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は,当該商標登録出願の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて,個別具体的に判断されるべきものであるから,他の登録例の存在によって,上記判断が左右されるものではない。
したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)

別掲2(平成30年6月22日付けで審尋により開示した事実)
(1)服飾関係の専門辞書情報
ア 「スタイル style」の項に,「『スタイル style』は,一般的には『型,様式』を指すが,服飾用語としては『服装の型,容姿,姿態』などを指す。特には『(ある時代の)流行の,当世風の』といった意味も込められている。」との記載がある。(アパレル用語事典 繊研新聞社)
イ 「スタイル[style]」の項に,「様式,定型などと訳され,ファッションの世界ではモードが広がって『流行』となったファッションが定着して,きちんとしたひとつの形を整えたものをこのように呼ぶとされている。」との記載がある。(ファッション大辞典 繊研新聞社)
ウ 「スタイル style」の項に,「様式の意味。新しい流行から生まれた服装や髪形が一般に普及し,類似化・普遍化した際にも用いられる。」との記載がある。(早引き ファッション・アパレル用語辞典 能澤慧子編 株式会社ナツメ社)

(2)「スタイル」の語の使用例(下線は,当合議体が付加した。)
ア 「服飾から見わたす20世紀 イヴ・サンローラン美術館開館 MoMAでアイテム展」の見出しの下,「2002年に引退,08年に死去したサンローラン。オートクチュールやプレタポルテを通じて,現代では定番となっている服やスタイルの多くを,1950年代から70年代までの間に作り上げた。」との記載がある。(2017.12.14 朝日新聞 夕刊 7頁)
イ 「[モードUPDATE]定番チェック柄に新趣向」の見出しの下,「ミラノ,パリで今秋開かれた2018年春夏コレクションでは,チェック柄の新作がいつになく目立った。花柄や水玉模様と合わせたり,チェック同士で組み合わせたり。多くのブランドが,この定番柄に趣向を凝らし,新たなスタイルを披露した。」との記載がある。(2017.10.26 東京読売新聞 夕刊 5頁)
ウ 「18?20世紀末 西欧の黒いドレス展 文化学園服飾博物館」の見出しの下,18世紀から20世紀末までの西欧の黒いドレスや装飾品に焦点を当てた展覧会『ヨーロピアン・モード』が,東京都渋谷区の文化学園服飾博物館で開かれている。・・・これらが年代順に展示されており,機能的でシンプルになっていくスタイルの変遷が分かる。」との記載がある。(2017.4.13 東京読売新聞 朝刊 21頁)
エ 「アダストリア,2ブランド展開,大人女子向けセレクト店,まず来年10店,顧客層拡大狙う。」の見出しの下,「カジュアル衣料大手アダストリアの全額出資子会社,エレメントルール(東京・千代田)は来春,30?40代女性を対象としたブランドを立ち上げる。・・・自分自身のスタイルを持つ30?40代の女性を主な購買層に据える。」との記載がある。(2017.11.1 日経MJ(流通新聞) 11頁)
オ 「NIKKEITheSTYLE?VAN世代,熱狂と情熱。」の見出しの下,「60年代,創業者・・・がアイビーリーグの学生の装いを手本にアメリカンスタイルを紹介した。・・・整然と並ぶシャンブレーシャツや革ジャケットは・・・の私物。シャツは裾出しで着るのがスタイルで,半分は自分でステッチを入れたものという。」との記載がある。(2018.1.28 日本経済新聞 朝刊 10頁)
カ 「FASHION PRESS」のウェブサイトにおいて,「ファッション用語集」の項で,各用語が,「ジャンル別」に分類され,各ジャンルに当てはまる用語及び各語の説明文を検索できる様になっているところ,「スタイル」の語は,ファッション用語の一ジャンルとして,「素材」,「色」,「柄・モチーフ」などに並んで用いられている。
(https://www.fashion-press.net/words/type/style)
キ 「ハッピーのお手伝い!ウエディングのお仕事」のウェブサイトにおいて,「ウエディングの仕事に役立つファッション用語」の項で,各用語および説明文が掲載されているところ,そのうち,「スタイルに関する用語」の項目には,その用語に該当する語及び説明文が,「素材に関する用語」や「色・柄に関する用語」の項目などと並んで多数掲載されている。
(https://www.wedding-m.jp/glossary/weddingcat/fashion-style/)
ク 「DRESS」のウェブサイトにおいて,「『着たい服』と『似合う服』の差は永遠の悩み。自分スタイルの見つけ方」の見出しの下,「自分スタイルの服はこれだ!と思っても,年齢や時代の流れと共に,似合う服もいいなと思う服も刻々と変わっていく。そして服選びに迷子になるとき,自分のファッションのスタイルをどうやって見つけるか。私が日々考えていることをご紹介。」との記載がある。
(https://p-dress.jp/articles/4743)
ケ 「D collection」のウェブサイトにおいて,「【最新】2018春夏 流行りのメンズ服 ファッショントレンド総まとめ」の見出しの下,「流行を取り入れてオシャレ度UP!メンズの『今流行りの服』とは?」の項に,「トレンドに流されないベーシックなスタイルもいいけれど,トレンドを少し取り入れるだけで周りと差がつきオシャレに見せることができます。」との記載がある。
(https://clubd.co.jp/wp/post-4938)

(3)指定商品を取り扱う業界において,他の文字と「STYLE」の文字とを組み合わせた使用例
ア 「横浜タカシマヤ」のウェブサイトにおいて,「HAMA LADIES’ STYLE」の見出しの下,「ハマレディススタイル ●3階・4階・5階婦人服・雑貨 横浜クラシック 元町にインスピレーションを得たクラシカルで洗練されたスタイル。」との記載がある。
(http://www.takashimaya.co.jp/base/st/store/special/hama_style/main/hama_style_html/#2)
イ 「rakuten.co.jp」のウェブサイトにおいて,「自由が丘の子供服セレクトショップ KU KID’s STYLE in Tokyo」の見出しの下,子供服の画像の掲載がある。
(https://www.rakuten.co.jp/kukidsstyle/)
ウ 「BARNEYS NEWYORK」のウェブサイトにおいて,「MUST-HAVE 3 COATS FOR CASUAL STYLE」の見出しの下,「雑誌などで活躍する人気スタイリスト・・・・が,カジュアルな着こなしの多い男性に必要なマストハヴコートを3着厳選。コーディネートとともにご提案いたします。」との記載がある。
(https://www.barneys.co.jp/mens/from-the-fashion-office/must-have-3-coats-for-casual-style.html)
エ 「VOGUE JAPAN」のウェブサイトにおいて,「Fashion/Fashion Stories」及び「STREET STYLE」の見出しの下,「自由を謳歌する個性的なストリートスタイルにインスパイアされ,今季のグラフィカルでカラフルなモードが渋谷の街へと飛び出した。」との記載とともに,カラフルな服装を身に着けた人々の画像の掲載がある。
(https://www.vogue.co.jp/fashion/fashionstories/theme/150)
オ 「ONWARD CROSSET」のウェブサイトにおいて,「大人の洗練“夏スタイル” 2017 Summer Style」の見出しの下,「シンプルさの中に光るディテールが大人の上品スタイルを格上げ。」との記載とともに,半袖の服装を身に着けた女性の画像の掲載がある。
(https://crosset.onward.co.jp/feature/201706_summer_style/)
カ 「SampleBank」のウェブサイトにおいて,「HOME>商品>STYLE>OFFICE CASUAL STYLE」の項に,「OFFICE CASUAL STYLE」の文字とともに,ブラウス,スカート及びジャケットなどを身に着けた女性の画像が複数掲載されている。
(https://samplebank.net/archives/category/item/style/office-casual/page/2)

特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2018-10-05 
結審通知日 2018-10-09 
審決日 2018-10-23 
出願番号 商願2016-135473(T2016-135473) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
庄司 美和
商標の称呼 スタイル 
代理人 石田 喜樹 
代理人 石田 正己 

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