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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 042
管理番号 1346884 
審判番号 取消2018-300095 
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-02-19 
確定日 2018-11-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第3202521号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3202521号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3202521号商標(以下「本件商標」という。)は、ややデザイン化した「hotel IBIS」の文字を横書きしてなり、平成4年8月28日に登録出願、第42類「宿泊施設の提供,日本料理の提供,フランス料理の提供,イタリア料理の提供,ステ?キ・卵料理・ハム・ベーコン・サラダ・コーンフレーク・オートミールの提供,ワイン・ウィスキー・ブランデー・ビール等のアルコール飲料を主とする飲食物の提供,カクテル・ソフトドリンクの提供,紅茶・コーヒー・ミルク・清涼飲料・果実飲料・トースト・果物を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同8年9月30日設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、同30年3月2日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれの者によっても使用されていないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、答弁書において、「被請求人の運営に係るホテルアイビス六本木(以下「ホテルアイビス」という。)は、1976年9月4日に開業し、2014年1月1日に閉業した。」と述べており、その他、被請求人が本件商標を使用して「宿泊施設の提供」を行っていることを示す証拠資料の提出もないことを踏まえると、被請求人は、2014年1月1日以降は、本件商標を付して「宿泊施設の提供」を行っていないことは、動かしようのない事実である。
これに対し、被請求人は、答弁書において本件商標の使用の経緯等を種々述べているが、結局のところ、答弁書における被請求人の主張の要点は、ホテルアイビスにおける「宿泊施設の提供」の役務の提供を終えた後も、被請求人の代表取締役であるK代表が同じく代表取締役を務める韓国のグループ会社ABCO電子株式会社(以下「ABCO電子」という。)のウェブページ上に表示されていた「hotel IBIS」の標章の使用が商標法第2条第3項第8号に規定する「役務の広告」への商標の使用に該当するということにつきる。
しかしながら、同ウェブページに使用された「hotel IBIS」の標章の使用は、我が国における商標の使用とは認められないばかりか、そもそも広告としての体を有していないため、商標法第2条第3項第8号に規定された商標の使用であるとはいえない。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、ABCO電子のウェブページのプリントアウトであり、乙第1号証-1以外のプリントアウトについては、要証期間内の日付が記載されていることがうかがえる。また、「hotel IBIS」の標章が使用されていることもうかがえる。
被請求人は、これらウェブページ上に掲載された「hotel IBIS」の標章が商標法第2条第3項第8号に規定する「役務の広告」に該当すると主張しているが、以下の理由を踏まえると、この主張が失当であることは明らかである。
まず、ホテルアイビスが閉業した2014年1月1日以降、今日に至るまで本件商標を付して提供する「宿泊施設の提供」が存在しない以上、ABCO電子のウェブページに表示されている「hotel IBIS」の標章は、最早、「宿泊施設の提供」の役務の出所を表示するものではないから、当該役務の広告として機能することはあり得ない。換言すれば、乙第1号証における同標章の使用は、「役務の広告」としての体を有していない。
さらに、株式会社岩波書店発行の広辞苑第6版によれば、「広告」とは「広く世間に告げ知らせること。特に、顧客を誘致するために、商品や興行物などについて、多くの人に知られるようにすること」と定義付けられていることを踏まえると、商標法第2条第3項第8号に規定する「役務の広告」に該当するためには、「顧客を誘致するために、役務の内容を、多くの人に知られるようにする」ものでなければならないというべきである。
ところが、被請求人が「役務の広告」であると主張するウェブページ上に表示された「hotel IBIS」の標章については、役務の内容を掲載するウェブページへのリンクもなく、ただ漫然と同標章が表示されているにすぎないから、当該ウェブページからは役務の内容を全くうかがい知ることができない。
よって、この観点からも、乙第1号証における「hotel IBIS」の標章の使用は、商標法第2条第3項第8号に規定する「役務の広告」には該当しない。
さらに、乙第1号証のウェブページは、外国語(ハングル)である以上、日本の需要者を対象としたものとは認められないから、商標法第50条第1項に規定する「日本国内において‥・使用」の要件も満たしていない。
これについて、被請求人は答弁書において、「本件商標の使用は、韓国で開設されたABCO電子の外国語ウェブサイト上におけるものではあるものの、日本を訪れる外国人たるABCO電子の社員及び顧客に向けた広告として使用されているものであり、日本国内における商取引を前提とし、日本国内において機能を発揮し、効力を及ぼすものであるから、日本国内における使用といえる。」と主張している。
被請求人の主張のとおり、ABCO電子の従業員が我が国に商取引や営業活動に訪れることがあったとしても、乙第1号証のウェブページには、我が国との関連を示す要素は何一つ無く、ただ漫然と、「hotel IBIS」の標章のみが使用されているにすぎないことからすれば、被請求人が主張するような「日本国内において機能を発揮し、効力を及ぼす」ことはあり得ない。
また、乙第1号証のウェブページのサーバーが日本国内に設置されていることを示す証拠資料の提出もない。
よって、乙第1号証のウェブページにおける「hotel IBIS」の標章の使用は、日本国内における使用とは認められない。
以上のことからすれば、乙第1号証のウェブページにおける「hotel IBIS」の標章の使用は、商標法第2条第3項第8号に規定する「役務の広告」には該当しない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、乙第1号証のウェブページから「hotel IBIS」の標章を削除したことを示す同ウェブページの管理者と思われる者による修正証明である。
この証明書については、乙第1号証のウェブページにおいて「hotel IBIS」の標章を、2017年4月4日に削除したことを示すのみであり、同標章の使用が商標法第2条第3項第8号に規定する「役務の広告」への使用に該当することを何ら裏付けるものではない。
(3)乙第3号証及び乙第4号証について
乙第3号証の日計表及び乙第4号証の宿泊者レジカードについては、要証期間外のものであるため、要証期間内における本件商標の「宿泊施設への提供」への使用を何ら裏付けるものではない。
(4)乙第5号証について
乙第5号証は、被請求人の運営する「ホテルアイビス」を紹介したテレビ番組に関する資料であるが、乙第3号証及び乙第4号証と同様に、要証期間外に形成されたものであるし、また、本件商標が商標法第2条第3項各号に規定する態様で使用されていたことを何ら示すものではない。
(5)したがって、乙第1号証ないし乙第5号証は、被請求人若しくは使用権者が本件審判の請求前3年以内に本件商標を「宿泊施設の提供」に使用していた事実を裏付ける客観的な証拠とはなり得ない。
なお、被請求人は、答弁書第3ページの第5行目において本件商標を付して「宿泊施設の提供」を行う準備をしている旨を主張するが、このことを示す証拠資料は何ら提出されていないし、そもそも、商標法第50条においては、使用の準備は商標登録の取消しを免れる事由とはなっていない。
以上述べてきたように、被請求人によって提出された上記乙各号証によっては、本件商標の上記使用事実は何ら証明されていないから、本件商標登録は取り消されるべきである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁書(平成30年4月16日差出)における主張
(1)使用の事実
被請求人は、本件商標を、その指定役務のうち、第42類「宿泊施設の提供」について、その登録後、2017年4月4日まで、ABCO電子のウェブサイト(http://www.abco.co.kr/abco.asp)に掲載された広告用バナー上において使用(商標法第2条第3項第8号)していた(乙1-1?乙1-4及び乙2-1?乙2-2)。
(2)使用の経緯
被請求人の運営に係るホテルアイビスは、1976年9月4日に開業し、2014年1月1日に閉業した。
ABCO電子は、KOSDAQ(Korean Securities Dealers Automated Quotations)上場企業(証券コード:036010)であり、電子部品(インダクター)を主力とする製品の材料や設備は主に日本で購入をしており、ABCO電子の社員及び顧客が、商談や展示会観覧目的で東京に滞在することが多かった。
そして、ABCO電子のウェブサイトを通じてホテルアイビスを知ったABCO電子の顧客又は従業員が、ビジネス又はプライベートで東京を訪れる際、K代表を通じてホテルアイビスを予約しており、ホテルアイビスでは、彼らの宿泊費を、通常の30%または50%のディスカウントで対応していた。
ホテルアイビスでは、K代表を通じて予約した宿泊客については、ABCO電子ひいては被請求人の関係者であることから、その会社名を「株式会社アイビス」と日計表に記録しており(乙3)、K代表を通じて予約した宿泊客に記入してもらうレジストレーションカード(レジカード)のホテル使用欄には、「K代表(より)」等と記載して他の宿泊客と区別していた(乙4)。
ホテルアイビスは、吉本興業株式会社と法人契約を結んでいたことから、主に大阪で活動しているよしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人が頻繁に宿泊しており、それがテレビ朝日系のバラエティ番組「雨上がり決死隊のトーク番組アメトーーク!」にて「ホテルアイビス芸人」として取り上げられ(乙5-1)、その録画映像は現在でもDVD・ブルーレイディスクに収録され販売されている等(乙5-2)、メディア露出度が高く、国内におけるブランド認知度は請求人の運営する「Ibis」よりも遥かに大きいものと思われる。
一方、ABCO電子は、世界各国を市場としているが、我が国での認知度は高いとはいえなかった。したがって、ホテルアイビスは、その広告がABCO電子のウェブサイトに掲載され閲覧されることで、ABCO電子の日本でのブランド力を補うという大きな役割を果たしていた。
上述のとおり、ホテルアイビスは2014年に閉業したが、被請求人は、その本店所在地のビルの建替プロジェクトとして、ホテル事業の再開を検討している。現在は、当ビルのテナントとの契約問題のためにプロジェクト進行が滞っているが、その問題が解決次第、東京五輪も視野に入れ、プロジェクトを推進する計画である。
そして、ホテル事業再開時には、ホテルアイビス(本件商標)以外の商標を使用してゼロからスタートする事は大変難しいため、被請求人は、約40年間運営したホテルアイビスのブランドを維持するため、ホテルアイビスの閉業後もその広告の掲載は継続すべきと考えた。
また、ABCO電子の製品販売の最大顧客は、世界的企業である韓国のサムスン電子とLG電子であり、両社及び両社の日本支社が、今後も、ABCO電子のウェブサイトを通じてホテルアイビスを認識する機会が多いと考えられることから、被請求人は、上記再開業を見越して、従前どおり、ABCO電子のウェブサイト上においてホテルアイビスの広告として、本件商標の掲載を維持していた。
すなわち、本件商標の使用は、韓国で開設されたABCO電子の外国語のウェブサイト上におけるものではあるものの、日本を訪れる外国人たるABCO電子の社員及び顧客に向けた広告として使用されているものであり、日本国内における商取引を前提とし、日本国内において機能を発揮し、効力を及ぼすものであるから、日本国内における使用といえる。
(3)むすび
以上述べたとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において指定役務「宿泊施設の提供」について本件商標を使用していたことは明らかである。
2 答弁書(平成30年9月3日付け)における主張
請求人は、審判事件弁駁書において、被請求人によって提出された証拠によっては、本件商標の使用に関する被請求人の主張事実は立証されていないから、本件商標は取り消されるべきであると主張している。
その主張の要点は、被請求人が提出した乙第1号証に示されるABCO電子のウェブページ上に表示された「hotel IBIS」の標章の使用は商標法第2条第3項第8号に規定する「役務の広告」への商標の使用であるとはいえないというものであり、その主な理由として請求人は以下の点を挙げている。
(1)ホテルアイビスが閉業した2014年1月1日以降、今日に至るまで本件商標を付して提供する「宿泊施設の提供」が存在しない以上、乙第1号証のウェブページに表示されている「hotel IBIS」の標章は「宿泊施設の提供」の役務の出所を表示するものではないから、同標章の使用は、「役務の広告」としての体を有していない。
(2)商標法第2条第3項第8号に規定する「役務の広告」に該当するためには、「顧客を誘致するために、役務の内容を、多くの人に知られるようにする」ものでなければならないところ、乙第1号証のウェブページ上に表示された「hotel IBIS」の標章については、役務の内容を掲載するウェブページへのリンクもなく、ただ漫然と同商標が表示されているにすぎないから、当該ウェブページからは役務の内容を全くうかがい知ることができない。
(3)乙第1号証のウェブページは、外国語(ハングル)である以上、日本の需要者を対象としたものとは認められず、また同ウェブページには我が国との関連を示す要素は何一つ無く、ただ漫然と「hotel IBIS」の標章のみが使用されているにすぎないことからすれば、「日本国内において機能を発揮し、効力を及ぼすもの」となることはあり得ない。
さらに同ウェブページのサーバーが日本国内に設置されていることを示す証拠資料の提出もない。
しかしながら、(1)については、特許庁編・発明推進協会発行の工業所有権法(産業財産権法)逐条解説第20版(乙6)において、商標法第2条第3項第8号について「・・・・商標を広告等に用いる場合もその『使用』とみるべきだという見地から、現行法ではこれを商標の使用の一態様としてとらえたのである。したがって、商品が製造される前あるいは役務が提供をされる前にその商品又は役務に使用する予定の商標をあらかじめ新聞、雑誌などに広告するような場合は、その広告は既に商標の使用となるのである。この結果、旧法と異なる点は、不使用取消審判(50条)について、広告による使用があれば、不使用取消しを免れることとなる点である。・・・・」と解説されていることからも明らかなように、「役務の広告」に該当するために「宿泊施設の提供」の役務が実際に存在することは必要ではないから、請求人の主張は失当である。
また、(2)については、「役務の広告」に該当するために、「役務の内容を掲載するウェブページへのリンク」その他役務の内容をうかがい知ることができるような記載が必須ではないことは明らかであり、「ただ漫然と」商標が表示される広告も多数存在することも明らかであるから、請求人の主張は失当である。
さらに、(3)については、被請求人が平成30年4月16日差出の審判事件答弁書において既に主張しているように、乙第1号証のウェブページのように日本を訪れる外国人に向けた広告において、我が国との関連を示す要素が必須ではないことは明らかであり、上述のとおり「ただ漫然と」標章のみが使用される場合も大いにあり得ることから、当該要素が無いという事実が、乙第1号証のウェブページにおける「hotel IBIS」の使用が「日本国内において機能を発揮し、効力を及ぼすもの」とならないことの根拠とはならないことは明らかである。
以上述べたとおり、請求人の主張は失当であり、被請求人が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において指定役務「宿泊施設の提供」について本件商標を使用していたことは明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠について
(1)乙第1号証-1は、「The Internet Archive」に保存された2014年11月27日時点のABCO電子のウェブページの写しであり、その下部に配された横長の楕円形輪郭内に「hotel IBIS」の標章が表示されている。
(2)乙第1号証-2は、「The Internet Archive」に保存された2015年11月10日時点のABCO電子のウェブページの写しであり、その下部に配された横長の楕円形輪郭内に「hotel IBIS」の標章が表示されている。
(3)乙第1号証-3は、「The Internet Archive」に保存された2016年8月29日時点のABCO電子のウェブページの写しであり、その下部に配された横長の楕円形輪郭内に「hotel IBIS」の標章が表示されている。
(4)乙第1号証-4は、「The Internet Archive」に保存された2017年2月13日時点のABCO電子のウェブページの写しであり、その下部に配された横長の楕円形輪郭内に「hotel IBIS」の標章が表示されている。
(5)乙第3号証は、2013年12月16日付けのホテルアイビスの宿泊者日計表の写しである。
(6)乙第4号証は、2013年12月14日付けのホテルアイビス宿泊者レジストレーションカードの写しであり、そこには、「hotel IBIS」の標章が表示されている。
(7)乙第5号証-1は、テレビ朝日系のバラエティ番組「雨上がり決死隊のトーク番組アメトーーク!」に関する2014年4月28日付けのインタビュー記事が掲載されたウェブページの写しであり、そこには、「ホテルアイビス芸人」として2007年11月29日放送の同番組で取り上げられた旨の記載がある。
(8)乙第5号証-2は、テレビ朝日系のバラエティ番組「雨上がり決死隊のトーク番組アメトーーク!」を収録したDVD及びブルーレイの紹介ウェブページの写しであり、第2巻に「ホテルアイビス芸人」の回が収録されている旨の記載がある。
2 判断
(1)被請求人による「宿泊施設の提供」について
被請求人の主張によれば、被請求人の運営に係るホテルアイビスは、1976年9月4日に開業し、2014年1月1日に閉業している。その後、要証期間内に、被請求人が「宿泊施設の提供」を行っていたことを裏付ける証拠の提出はない。
そうすると、被請求人は、要証期間内に、日本国内において、「宿泊施設の提供」の役務を行っていなかったといわざるを得ない。
(2)ABCO電子のウェブページにおけるバナー広告について
ABCO電子のウェブページは、韓国で開設された外国語(ハングル)によるものであることから、通常、日本の需要者を対象としたものとは理解されないものであり、また、被請求人の主張からも、当該ウェブページは、日本の需要者を対象としたものでないことは明らかである。
また、「バナー広告」は「インターネットのウェブ画面の一部に掲載される四角い広告。クリックすることで関連サイトに移行することができる。」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)ものであるところ、乙第1号証-1ないし乙第1号証-4における「hotel IBIS」の標章の表示については、「hotel IBIS」の標章が広告用バナー上に記載されているとしても、そのことのみによっては、これがいかなる役務についての広告に係る商標であるのかも不明であるから、「宿泊施設の提供」についての広告の体を成しているものとはいい難い。
そうすると、乙第1号証-1ないし乙第1号証-4における「hotel IBIS」の標章の表示は、日本国内における「宿泊施設の提供」についての広告とはいえないものであって、かつ、乙第1号証-1については、要証期間外のものである。
したがって、乙第1号証-1ないし乙第1号証-4によっては、被請求人が要証期間内に日本国内において「宿泊施設の提供」について、本件商標を使用していたものとはいえない。
(3)その他の証拠について
乙第4号証におけるホテルアイビス宿泊者レジストレーションカードの写しには、「hotel IBIS」の標章が表示されているものの、これはホテルアイビスが運営されていた2013年12月14日付けのものであるから、要証期間外のものである。
また、乙3号証、乙第5号証-1及び乙第5号証-2からは、ホテルアイビスが、1976年9月4日から2014年1月1日の間の一時期に運営されていたこと自体はうかがえるとしても、要証期間内に被請求人が「宿泊施設の提供」について「hotel IBIS」の標章を使用していたことは確認できない。
(4)小括
以上のとおり、2014年1月1日以降は、被請求人が業として「宿泊施設の提供」を行っていたとは認められず、広告の対象となる役務が存在していなかったといわざるを得ないことから、被請求人の提出した証拠からは、業として提供する役務に関する広告に標章を付して電磁的方法によって提供する行為があったとは認められないものであり、かつ、第1号証-1ないし乙第1号証-4のウェブページは、広告としての体を成していないものといわざるを得ない。
その他、本件指定役務のいずれかについて、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用されていたことを示す証拠の提出はない。
したがって、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件指定役務のいずれかについて、本件商標を使用していたと認めることはできない。
3 被請求人の主張について
(1)被請求人は、ホテル事業の再開を検討していることに加え、工業所有権法(産業財産権法)逐条解説第20版における商標法第2条第3項第8号に関する「商品が製造される前あるいは役務が提供をされる前にその商品又は役務に使用する予定の商標をあらかじめ新聞、雑誌などに広告するような場合は、その広告は既に商標の使用となる」旨の記載(乙6)を挙げ、「役務の広告」に該当するために「宿泊施設の提供」の役務が実際に存在することは必要ではない旨主張しているが、逐条解説における上記記載内容は、商品の製造あるいは役務の提供の開始を前提とした上での広告については商標の使用となるとしているのであって、ホテル事業の再開の具体的な予定のない場合においてまでも、これにあたるというものではない。
(2)被請求人は、「役務の広告」に該当するために、「役務の内容を掲載するウェブページへのリンク」その他役務の内容をうかがい知ることができるような記載が必須ではなく、「ただ漫然と」商標が表示される広告も多数存在する旨主張している。
しかしながら、ABCO電子のウェブページに「hotel IBIS」の標章の表示があるとしても、当該標章が、いかなる役務に使用される標章であるか不明であることから、これを「宿泊施設の提供」に関する広告とみることはできない。
(3)被請求人は、日本を訪れる外国人に向けた広告において、我が国との関連を示す要素が必須ではなく、「ただ漫然と」標章のみが使用される場合も大いにあり得ることから、当該要素が無いという事実が、乙第1号証のウェブページにおける「hotel IBIS」の使用が「日本国内において機能を発揮し、効力を及ぼすもの」とならないことの根拠とはならない旨主張している。
しかしながら、上記2(2)のとおり、乙第1号証のウェブページは、韓国で開設された外国語(ハングル)によるものであることから、日本の需要者を対象としたものとは認められないものであって、日本国内における広告とはいえないものである。
したがって、被請求人の主張は、いずれも採用することができない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについて本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-10-01 
結審通知日 2018-10-04 
審決日 2018-10-17 
出願番号 商願平4-164759 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (042)
最終処分 成立 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 冨澤 美加
鈴木 雅也
登録日 1996-09-30 
登録番号 商標登録第3202521号(T3202521) 
商標の称呼 ホテルアイビス、アイビス、ホテルイビス、イビス 
代理人 中村 稔 
代理人 高橋 満 
代理人 中村 哲平 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 藤倉 大作 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 大森 純一 
代理人 松尾 和子 
代理人 松下 友哉 
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