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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W43
管理番号 1346836 
審判番号 取消2017-300266 
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-04-14 
確定日 2018-11-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第5566616号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5566616号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「SCHOOLFOOD」の文字を横書きしてなり、平成24年10月3日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同25年3月15日に設定登録された。
本件審判の請求の登録は、平成29年5月8日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同26年5月8日から同29年5月7日までを、以下「要証期間」という場合がある。

第2 手続の経緯
本件審判については、平成29年12月14日に口頭審理を行ったところ、被請求人は、乙第3号証ないし乙第5号証に係る主張を撤回した。
そのため、後記第3の請求人の主張及び第4の被請求人の主張においては、乙第3号証ないし乙第5号証に係る両当事者の主張は除かれている。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠として、甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 上申書(平成30年2月22日付け)における主張
(1)乙第6号証について
乙第6号証の写真は、平成29年12月13日に撮影されたものであって、要証期間の本件商標の使用を立証する証拠たり得ない。なお、被請求人は、乙第3号証と関連づけて間接証拠になると主張しているが、同月14日の口頭審理において、被請求人は、乙第3号証に係る主張を撤回したのであるから、かかる主張は失当である。
(2)乙第8号証について
被請求人は、乙第8号証について、パソコン画面を印刷した書証をもって、株式会社ネモデザインバンク(以下「ネモ社」という。)が、本件商標を付した看板の施工が終了したことを商標権者に知らせるために撮影した写真のデータであり、当該写真は、2016年(平成28年)9月5日に撮影されたと主張するが、同パソコン画面上の写真とプロパティボックスの関連性は立証されていない。保存先が同一ネットワーク内の別のコンピュータのハードディスクドライブである場合や、外部記録媒体を利用すれば、同一ファイル名の異なるプロパティ情報をパソコン画面上に表示させることは容易であるし、ファイルの作成日時や更新日時を変更するフリーソフトが入手可能なことは周知の事実である。よって、このような手段を使えば、いつでもデータは編集可能であるから、乙第8号証は客観的な証拠になり得ない。
そして、乙第8号証の写真には、看板に「スクールフードテイクアウト」、「SCHOOLFOOD」、「TAKE OUT」等の文字が大きく表示されている。「テイクアウト」とは、広辞苑によれば、「食堂・料理店などから食べ物・飲み物を持ち帰ること。また、その料理」と定義されている(甲3)。一方、本件審判請求に係る指定役務は「飲食物の提供」であるところ、このサービスには、食堂、レストラン、そば店、うどん店、すし店、喫茶店、料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブ、酒場及びビヤホール等が、料理及び飲料を飲食させるサービスが含まれるものと解される(特許庁商標課編「商品及び役務区分解説〔国際分類第10版対応〕」参照)。過去の審決においては、「被請求人は、乙各号証において証明される使用に係る役務について、答弁の理由において『店内にて「コーヒー」等を提供し、飲食物の提供を行っている。』と主張している。
しかしながら、役務『飲食物の提供』、すなわち料理及び飲料を飲食させる役務とは、専ら店内で飲食させることを本質的業務とする上記した食堂、レストラン等の事業所が料理及び飲料を提供するサービス(役務)であるというべきであって、持ち帰り、いわゆるテイクアウトを目的とする料理及び飲料を店内で販売しているとしても、それはサービス(役務)の提供といえるものでなく、販売される当該飲食物は『商品』というべきである。」と説示されている(甲4)。
してみると、乙第8号証の写真にみられるように、「スクールフードテイクアウト」、「SCHOOLFOOD」、「TAKE OUT」等の文字を看板に表示したとしても、これは、飲食物(商品)に係る商標の使用であって、飲食物の提供に係る商標の使用ではないのは明らかである。仮に、被請求人が主張するように、看板に表示されたメニューを注文した需要者が、奥まったスペースに設置されたベンチで飲食することが可能であるとしても、当該店舗は専ら店内で飲食させることを本質的業務とする事業所とは認め難く、取扱い商品に関してみれば小売店と看取させるものであるから、当該店舗内でフライドチキンを販売する行為は役務といえるものでなく、通常の商品取引に付随するものであって、単に持ち帰り用として商品の販売をしているにとどまるものである。被請求人も自認するように、「本件看板は、要証期間において、鶏肉研究所の店舗内で提供される飲食物を広告・宣伝する目的で使用されていた」というのであれば、「飲食物の提供」に使用していた商標は、乙第9号証に示された看板に表示された「鶏肉研究所」又は「韓国路地裏食堂カントンの思い出」なるレストランの名称である。よって、この点からも、乙第8号証は、本件商標がその指定役務に使用されたことを立証する証拠たり得ない。
また、甲第1号証は、ある個人がブログ内で被請求人が本件商標を付した看板があると主張する店舗「カントンの思い出 鶏肉研究所」を紹介したものだが、要証期間である2016年(平成28年)9月25日頃に撮影したと思われる同店舗の店頭写真には、乙第8号証の写真にみられる看板の代わりに別の看板が掲げられており、その周辺にも本件商標と思しき表示は見当たらない。さらに、甲第2号証は、「食ベログ」の同店舗に関する口コミ情報であるが、要証期間である2017年(平成29年)3月に掲載の口コミ記事によれば、同店舗の外観写真が掲載されているが、やはり乙第8号証の写真にみられる看板とは別の看板が掲げられている。そうすると、2016年(平成28年)9月5日に撮影されたとする乙第8号証とはつじつまが合わず、被請求人が要証期間に本件商標を実際に使用したかは不明である。
乙第7号証は、ネモ社が有限会社KJ(以下「KJ社」という。)に宛てた2016年(平成28年)9月27日付けの請求書のようだが、そこに「SCHOOL FOOD-Take out壁看板1800×1400mmリニューアル」に係る請求内容が記載されているとしても、このような書類は、パソコン操作で何人が何時でも作成可能であるから、信ぴょう性があるとはいえない。仮に、乙第7号証が真正なものであるとしても、乙第8号証が要証期間の本件商標の実際の使用を証明したとはいえない以上、乙第7号証も根拠がない。そもそも、乙第7号証に記載の請求内容が、乙第8号証の看板の製作、施工に係るものであることは全く立証されていない。
(3)乙第9号証及び乙第10号証について
乙第9号証及び乙第10号証は、「鶏肉研究所」又は「韓国路地裏食堂カントンの思い出」に関するものであって、本件商標の要証期間の使用を証明するものではない。ちなみに、乙第9号証の1は、「食ベログ」に掲載された「鶏肉研究所」を紹介するページであるが、そこに乙第8号証の写真にみられる本件商標を付した看板は見当たらない。「ユーザーからの投稿写真」下の左から3番目の写真が乙第8号証と構図が似ていると思われるところ、そこにみえる看板は、乙第8号証のそれとは異なっているが、この画像をクリックすると、「2016/03/11」登録となっている(甲5)。この写真の口コミをさらにクリックすると、投稿者の掲載は「2016/02」となっていて(甲6)、いずれも要証期間の日付である。
3 上申書(2)(平成30年6月12日付け)における主張
(1)被請求人は、乙第11号証として、ネモ社代表取締役による宣誓書を提出しているが、これは、証明内容をつづった文面をあらかじめ準備し、宣誓者がそこに捺印したにすぎないものと推定できるから、客観性を欠き、また、どのような根拠、事実に基づいて証明したのか不明であって、信ぴょう性がないといわざるを得ない。
(2)被請求人は、甲第1号証の個人による平成28年9月25日付けのブログ記事において、乙第8号証と異なる看板が掲げられた写真が掲載されているのは、同月5日の看板リニューアル前に撮影されたものであると主張するが、それを裏付ける証拠はない。
(3)被請求人は、乙第8号証の看板に、「お持ち帰りできます!STAFFにお声かけて下さい」の表示があることを根拠に、「お持ち帰りできます」の意味は、テイクアウトが可能であり、かつ、イートインも可能であるということであると主張する。
しかしながら、乙第11号証で、「リニューアル前の看板には、『お持ち帰り専用窓口』と、ガラス窓に向かう矢印が、赤く大きく表示されていましたが、人手不足でテイクアウト専用の従業員を置くことができなくなったので、リニューアル後は、同ビル内の鶏肉研究所の店舗の従業員にテイクアウトも対応させることを表示するデザインとすることを注文されました。」と宣誓していることに照らせば、乙第8号証の看板のリニューアル後も、テイクアウトを専用とする看板の製作を宣誓者が依頼されたとみるのが自然である。
また、被請求人は、乙第8号証の看板が、飲食店「鶏肉研究所」の前に設置されていることを理由に、同看板に記載の「SCHOOL FOOD」の文字が、飲食物の提供についての商標の使用であると主張している。
しかしながら、使用された商標にかかる登録を維持することは、当該登録商標が、その使用により、指定商品等の出所識別標識として需要者等に認識されたことを理由とするものであるところ、「スクールフードテイクアウト」と明記された看板に接した需要者は、「スクールフード」及び「SCHOOL FOOD」を「飲食物」の出所識別標識として認識するほかないのであるから、これを、看板の設置場所を理由に、「飲食物の提供」の出所識別標識と認識するとするのは、経験則に反する。そもそも「テイクアウト」は、飲食店において販売される商品で、その商標は、飲食店で視認されるのが通常であり、また、当該飲食店の従業員が販売する場合も多いことからすると、看板が飲食店の前に設置されていることや、飲食店の従業員がその販売を行ったことをもって、当該商標が、「飲食物の提供」の出所識別標識と認識されるとはいえない。

第4 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠として乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 審判事件答弁書(平成29年7月18日付け)における主張
被請求人(商標権者)は、KJ社の取締役である(乙1)。
KJ社は、有限会社長興管理サービスと、事業用建物(所在地:東京都新宿区大久保1丁目、名称:「ホテル MRTアジア」)」について、平成26年3月16日から同28年3月15日まで、2年間借り受ける旨の賃貸借契約を結んだ(乙2)。
2 上申書(平成29年12月14日付け)における主張
乙第6号証は、現在、東京都新宿区大久保1丁目において営業している「スクールフード店」の写真であり、この店の所在地の賃借人は、現在もKJ社である。この店では、乙第6号証の1に示されるとおり、「スクールフード」及び「SCHOOLFOOD」という標章が使用されている。
3 上申書(2)(平成30年1月17日付け)における主張
(1)本件商標が要証期間に使用されていたこと
乙第7号証は、ネモ社が2016年(平成28年)9月27日付けでKJ社に宛てて発行した請求書である。
請求の内容には、9月5日付けの「SCHOOL FOOD-Take out壁看板 1800×1400mmリニューアル」の看板製作及び施工作業等が含まれている。
乙第8号証は、ネモ社が、上記看板を製作し、施工が終了したことを商標権者に知らせるために撮影した写真の画像ファイル「IMG_1281」をパソコン画面に表示したものであり、右側のウインドウの当該画像ファイルのプロパティには、ハングル文字で「作成日時 2016年9月8日 午後2:44:35」「更新日時 2016年9月5日 午前9:53:23」「アクセス日時 2017年12月19日 午前11:44:11」と表示されている。更新日時は写真の撮影日時を、作成日時は当該ファイルの作成日時を、アクセス日時は当該ファイルにアクセスした日時を表すから、当該写真は、2016年(平成28年)9月5日に撮影され、その画像がネモ社のパソコン上に同年9月8日に保存されたことを示すものである。
乙第8号証の写真には、上方中央部に「SCHOOLFOOD」及び「スクールフード」という、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示された看板(以下、乙第6号証の1に表示されたものと合わせて「本件看板」という。)が写っている。本件看板には、左上に、「韓国の路地裏食堂 カントンの思い出」、その下に「お持ち帰りできます!STAFFにお声かけて下さい」と表示され、右上には、縦長の略ホームベース型ペナント様の図形内に、大円の外環に沿って「鶏肉研究所」の文字が配置され、大円中央にジョッキを手にした鶏の図柄を有し、大円の下方にハングル文字が表記された小円が重なっているひとかたまりの図柄(以下「鶏肉研究所の標章」という。)と、その下方の「TAKE OUT」という標記を有している。そして、それらの表示の下方には、キンパやフライドチキン等のメニュー名とそれらの写真が表示されている。
本件看板は、乙第6号証の1における写真の看板と同一のものであるから、本件看板に付された本件商標は、要証期間を含み、現在に至るまで使用されているものである。
(2)本件商標を本件商標の通常使用権者(KJ社)が要証期間に使用していたこと
乙第9号証の1は、「食ベログ」に掲載された「鶏肉研究所」の「外観写真」及び「店舗情報」に係るページである。
乙第9号証の2は、乙第9号証の1の「公式写真」の欄の左端に表示された画像をクリックし、「2013/07/10登録」「オリジナル写真を表示」と表示された画面中の「オリジナル写真を表示」をクリックした画像であり、乙第9号証の3は、「ユーザーからの投稿写真」の欄の左側「外観2017/07/28(金)訪問(by A)」と表示された画像をクリックし、「2017/07/29登録」「オリジナル写真を表示」と表示された画面中の「オリジナル写真を表示」をクリックした画像である。
そして、乙第9号証の2及び3を含め、それ以外の乙第9号証の1に掲載された外観写真からみても、「鶏肉研究所」の店舗には、横長の「韓国の路地裏食堂 カントンの思い出」の表示の下に、本件看板と同じ「鶏肉研究所の標章」を有する看板が、要証期間前から、要証期間を含め、掲げられていることがわかる。
乙第8号証に写っている赤枠のガラス窓、壁材、天井下部分、床材、及び左上端にみえる看板のハングル文字の一部は、乙第9号証の写真と共通であるから、本件看板は、「鶏肉研究所」と同一建物内に存在することが立証される。
乙第9号証の1の「店舗情報」のページから、「鶏肉研究所」の所在地は、東京都新宿区大久保1丁目であることがわかる。
上記所在地は、本件商標の通常実施権者であるKJ社が、賃貸し、事務所又は店舗用途に使用している建物の所在地であるから(乙2)、本件商標は、KJ社によって、要証期間に使用されていたことが立証される。
(3)本件商標が要証期間に飲食物の提供に使用されていたこと
本件看板には、「お持ち帰りできます!STAFFにお声かけて下さい」と表示され、フライドチキン等のメニュー名及び写真が表示されているから、飲食物のテイクアウトの宣伝機能を有することはもちろん、「鶏肉研究所の標章」が表示されている。そして、「STAFF」は鶏肉研究所の従業員であるから、本件看板は、鶏肉研究所に需要者を誘導する宣伝機能を有している。
乙第10号証の1は、「食ベログ」に掲載された「鶏肉研究所」の「メニュー写真」に係るページである。
乙第10号証の2は、乙第10号証の1の「メニュー写真」の欄に掲載され、下部に「by B」と表示された画像をクリックし、「2016/04/04登録」「オリジナル写真を表示」と表示された画面中の「オリジナル写真を表示」をクリックした画像である。
乙第10号証の2には、「HOT フライドチキン」「ピーナッツ ハニーソース フライドチキン」「チリソース フライドチキン」等のメニュー名とそれらの写真が表示されているが、当該メニュー名及び写真は、本件看板に表示されたメニュー名及び写真と同じであるから、本件看板は、要証期間において、鶏肉研究所の店舗内で提供される飲食物を広告、宣伝する目的で使用されていたといえる。
したがって、本件看板に付された本件商標は、鶏肉研究所において、飲食物の提供を広告、宣伝するために使用されていたといえる。
なお、要証期間に撮影された乙第8号証からは、本件看板の向かい側の、赤枠のガラス窓の側方には、奥まったスペースが存在することが見て取れる。本件看板の設置された建物の構造は要証期間の前後で変わっていないから、当該スペースは、直近に撮影された乙第6号証の2や、要証期間前に撮影された乙第9号証の2にみられるスペースと同様であり、ベンチや椅子を設置することができるものである。現に、乙第6号証の2や乙第9号証の2にみられる赤いベンチは、要証期間前から現在に至るまで当該スペースに設置されている。
そうすると、本件看板に表示されたメニューを注文した需要者は、鶏肉研究所の店舗内でないとしても、当該スペースに設置されたベンチで飲食することが可能であるから、このことからも、本件商標は、要証期間において、飲食物の提供の広告、宣伝に使用されていたといえる。
したがって、乙第8号証による本件商標の使用は、商標法第2条第3項第8号に該当する。
4 上申書(3)(平成30年3月5日付け)における主張
(1)乙第6号証は、上申書(2)に記載した乙第7号証と乙第8号証の組み合わせに係る主張、及び乙第8号証と乙第9号証との組み合わせに係る主張を裏付けるために提出した証拠である。
(2)請求人は、乙第8号証のパソコン画面上の左の写真と右のプロパティボックスの関連性は立証されておらず、乙第8号証は本件商標を付した看板が要証期間に存在したことの客観的な証拠になり得ない旨主張しているので、乙第11号証の宣誓書を提出する。
乙第11号証は、乙第8号証に係る本件看板の写真の撮影日が平成28年9月5日であること、及びプロパティボックスの表示が真正であることを証明するためのものである。
乙第11号証の宣誓を行う者は、乙第7号証の請求書にあるとおり、本件商標の通常実施権者であるKJ社に金員支払いの債権を有するネモ社の代表取締役であって、乙第7号証の請求書の「No.9/5」として記載された内容・仕様の看板リニューアルに対する請求の根拠として、乙第8号証の写真を撮影している。
したがって、この宣誓者が真正の宣誓を行うことを妨げるいかなる動機付けも存在しない。
(3)請求人は、甲第1号証の個人によるブログ記事において、要証期間である平成28年9月25日頃に撮影したと思われる写真に、乙第8号証の写真と異なる看板が見られること、さらに、甲第2号証のウェブサイト「食ベログ」には、要証期間における同29年3月に掲載の個人の口コミ情報とともに、乙第8号証の写真と異なる看板の写真が掲載されていることを挙げて、甲第1号証及び甲第2号証と、同28年9月5日に撮影されたとする乙第8号証とは、つじつまが合わないと主張している。
しかし、甲第1号証には、平成28年9月25日付けの「最近ハマっているチキンのお店@新大久保」という標題の下に、「カントンの思い出 鶏肉研究所」が紹介されており、看板が撮影された写真が掲載されているから、この写真は、同日以前に撮影されたものであることが明らかである。
一方、本件看板のリニューアルが終了したのは、乙第8号証及び乙第11号証から明らかなように、平成28年9月5日であるから、この写真にみられる看板が、リニューアル前のものであって、乙第8号証の写真の看板とは異なることに、何の不自然さもない。
甲第2号証には、平成29年3月にハンドルネーム「C」さんが「鶏肉研究所」を訪問した口コミとともに、料理や店の外観が撮影された写真が掲載されている。
そして、料理の写真については、甲第1号証の口コミの内容と良く合致しているが、店の外観の写真が訪問した日である平成29年3月に撮影されたものであることは、何ら証明されていない。
この口コミ投稿者は、東京在住であり、多数の口コミ投稿を行っており、本件看板のリニューアル以前に、いずれは訪問して口コミ投稿するかもしれない店の外観写真を撮影していた可能性が考えられる。また、他人がアップした外観写真を借用した可能性も考えられる。
したがって、甲第1号証及び甲第2号証をもってして、本件看板が要証期間に存在していなかったことを立証することはできない。
(4)請求人は、乙第7号証が仮に真正であるとしても、乙第8号証の本件看板との関連性が立証されていないと主張している。
しかし、乙第11号証の宣誓書によると、ネモ社が乙第8号証の本件看板の製作、施工を平成28年9月5日までに完了して、乙第8号証の写真を撮影し、乙第7号証の同月27日付けの請求書によって、ネモ社がKJ社に「No.9/5」の内容・仕様に記載の看板の製作、施工に対する金員の支払いを求めたこと、及び同年10月24日にKJ社がネモ社にその金員を支払ったこと(乙12)が立証される。
そして、乙第7号証には、「No.9/5」の内容・仕様について、「SCHOOL FOOD-Take out 壁看板1800×1400mm リニューアル」と記載されており、これらの記載は、乙第8号証の写真に示された本件看板の設置場所(壁)、「SCHOOLFOOD」「TAKE OUT」の表示、及び看板のサイズと良く合致している。
したがって、乙第7号証の請求書の請求内容は、乙第8号証の本件看板の製作、施工の代金請求を含むものであると、ごく自然に認識することができる。
(5)請求人は、本件看板は、「飲食物の提供」という役務に使用されたものでないと主張している。
しかし、乙第8号証の本件看板には、「SCHOOLFOOD」と「お持ち帰りできます! STAFFにお声かけて下さい」の表示とともに、「鶏肉研究所の標章」と、「鶏肉研究所」で提供されるフライドチキン等のメニュー名、及び皿に盛りつけた状態の料理の写真が表示されている。
本件看板の「お持ち帰りできます」の意味は、テイクアウトが可能であり、かつ、イートインも可能であるということであり、このことは、本件看板のリニューアル前には、「お持ち帰り専用窓口」と表示されていたのを、「お持ち帰りできます」の表示に変更したことからも、明らかである。
また、「STAFFにお声かけて下さい」の「STAFF」とは、本件看板にその特徴的な標章が表示される「鶏肉研究所」の従業員のことであるから、飲食物の提供を受けることが可能な「鶏肉研究所」に顧客を誘導する機能を有する。
そして、本件看板の料理の写真は、「鶏肉研究所」に備えられているメニューの写真と全く同じで、「鶏肉研究所」で提供される料理の情報を直接的に伝えるものであるから、本件看板は、顧客に対して「鶏肉研究所」の店内における飲食物の提供を宣伝する機能を有する。
したがって、本件看板が「飲食物の提供」という役務に使用されていたことが明らかである。
なお、請求人は、「飲食物の提供」に使用された商標は、「鶏肉研究所」又は「韓国路地裏食堂カントンの思い出」なるレストランの名称であって「SCHOOLFOOD」ではないと主張している。
しかし、本件看板に「SCHOOLFOOD」という自他識別機能を有する表示があり、本件看板が「鶏肉研究所」に顧客を誘導する機能を有し、かつ、飲食物の提供を宣伝する機能を有する以上、店名を含む、含まないにかかわらず、本件商標は、「飲食物の提供」の役務に使用されていたということができる。

第5 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)被請求人(商標権者)は、KJ社の取締役である(乙1)。
(2)乙第2号証は、KJ社と有限会社長興管理サービスとの間で締結された事業用建物賃貸借契約書であり、KJ社は、平成26年3月16日から同28年3月15日までの間、東京都新宿区大久保1丁目所在の「ホテル MRTアジア」を借り受ける賃貸借契約を結んだことが認められ、当該契約は、当事者双方から解約の予告がなく、賃貸借期間満了の場合、更新されることが認められる。
(3)乙第9号証及び乙第10号証は、グルメサイト「食べログ」における、店名「鶏肉研究所」に関する情報が掲載されたページの出力物である。同店の住所は、東京都新宿区大久保1丁目であり(乙9の1)、これは、KJ社が賃貸借契約を結んだ物件の所在地と同一である(乙2)。そして、グルメサイトのユーザーが平成28年4月4日付けで投稿した店内メニューの写真の中に、「フライドチキン」「ガーリックフライドチキン」「チリソースフライドチキン」等が、それぞれ、皿に盛られた写真と共に掲載されているものがある(乙10)。
(4)乙第7号証は、ネモ社からKJ社に対し、平成28年9月27日付けで作成された請求書の写しであり、同月5日頃に、KJ社がネモ社に対して、「SCHOOL FOOD-Take out 壁看板」のデザイン製作作業及び施工を依頼し、ネモ社がその対価を請求したことが推認できる。当該請求書の請求金額の合計は、他の作業代と合わせて、180,000円である。
(5)KJ社は、平成28年10月24日に、ネモ社の口座に180,000円を振り込んだことが認められる(乙12)。
(6)乙第8号証は、写真(別掲2)を表示したパソコン画面の出力物であり、当該写真は、平成28年9月5日に撮影されたものと認められる(乙6の1、乙11、乙12)。そして、当該写真中の看板(本件看板)は、鶏肉研究所の店頭に設置され、「SCHOOL」の文字と「FOOD」の文字とを上下二段に横書きしてなるもの(以下「使用商標」という。)、鶏肉研究所の標章、「★お持ち帰りできます!STAFFにお声かけて下さい★」、「テイクアウト」及び「TAKE OUT」の文字等が表示されている。また、本件看板には、持ち帰りのできるメニューとして、「フライドチキン」「ガーリックフライドチキン」「チリソースフライドチキン」等が、それぞれ、皿に盛られた写真と共に掲載されており、上記(3)の店内メニューと内容が同じものと認められる。
2 判断
(1)使用商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「SCHOOLFOOD」の文字を横書きしてなるものであるところ、使用商標は、上記1の(6)のとおり、「SCHOOL」の文字と「FOOD」の文字とを上下二段に横書きしてなるものであり、一段書きの本件商標とは表示態様が異なるものの、構成文字が同一で、「スクールフード」という同一の称呼及び「学校の食べ物」といった同一の観念を生じるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
(2)使用役務、使用時期及び使用行為について
KJ社は、上記1(2)のとおり、平成26年3月16日から東京都新宿区大久保1丁目所在の建物を賃借し、当該建物において、上記1(3)のとおり、「鶏肉研究所」を名称とする店で飲食物を提供し、上記1(4)ないし上記1(6)のとおり、同28年9月5日に、同店の店頭に、本件看板を設置した。そして、本件看板には、使用商標が表示され、鶏肉研究所の標章とともに鶏肉研究所の店内メニューと同じメニューが表示されているが、持ち帰りする場合の価格表示は見当たらない。
そうすると、本件看板は、鶏肉研究所の業務に係る持ち帰りできるフライドチキン等の商品の宣伝広告のみならず、「フライドチキン等の飲食物の提供」(以下「使用役務」という。)の宣伝広告のために設置されたものと理解され、使用役務は、本件審判の請求に係る指定役務に含まれる役務であるから、KJ社は、要証期間である平成28年9月に、本件審判の請求に係る指定役務に含まれる役務に関する広告に使用商標を付して展示したといえる。
そして、上記の使用行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当する。
(3)使用者について
被請求人は、上記1(1)のとおり、KJ社の取締役であるから、KJ社は、本件商標に係る黙示の使用許諾を与えられた通常使用権者といえる。
(4)小括
以上によれば、本件商標の通常使用権者であるKJ社が、要証期間に、本件審判の請求に係る指定役務に含まれる役務に関する広告に本件商標と社会通念上同一の商標を付して展示したといえる。
3 請求人の主張について
請求人は、本件看板には、「スクールフードテイクアウト」「SCHOOLFOOD」「TAKE OUT」等の文字が大きく表示されており、「テイクアウト」の語の意味、過去の審決等に鑑みれば、本件看板に本件商標を付していたとしても、当該行為は、飲食物(商品)に係る商標の使用であって、飲食物の提供(役務)に係る商標の使用ではない旨主張している。
しかしながら、通常使用権者が役務を提供するに当たり、役務に関する広告に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して展示したことが認められること上記2のとおりであり、このことは、本件看板に、「テイクアウト」及び「TAKE OUT」の文字が表示されているからといって否定されるものではない。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の通常使用権者が、その請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
本件商標(登録第5566616号商標)


別掲2 ※色彩は原本参照



審理終結日 2018-06-20 
結審通知日 2018-06-25 
審決日 2018-07-13 
出願番号 商願2012-80085(T2012-80085) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (W43)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 宮川 元山本 敦子 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 小松 里美
松浦 裕紀子
登録日 2013-03-15 
登録番号 商標登録第5566616号(T5566616) 
商標の称呼 スクールフード 
代理人 川本 真由美 
代理人 佐々木 美紀 
代理人 松本 悟 
代理人 吉水 純子 
代理人 鮫島 睦 
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