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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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無効2013890044 | 審決 | 商標 |
不服20187002 | 審決 | 商標 |
不服201615639 | 審決 | 商標 |
不服20179616 | 審決 | 商標 |
無効2018890072 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W30 審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない W30 審判 査定不服 外観類似 登録しない W30 審判 査定不服 観念類似 登録しない W30 |
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管理番号 | 1345992 |
審判番号 | 不服2018-3994 |
総通号数 | 228 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2018-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-03-22 |
確定日 | 2018-10-09 |
事件の表示 | 商願2016-49452拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,「虎菓子」の文字を標準文字で表してなり,第30類に属する商品を指定商品として,平成28年5月6日に登録出願され,その後,本願の指定商品については,原審における同年11月7日付けの手続補正書により,第30類「洋菓子及びパン」に補正されたものである。 2 引用商標 原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第4327750号商標(以下「引用商標1」という。)は,「虎」の文字を書してなり,平成元年12月18日に登録出願され,第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同11年10月22日に設定登録されたものである。その後,平成21年10月6日に商標権の存続期間の更新登録がされ,同22年1月20日に指定商品の書換登録があった結果,第30類「菓子,パン」とされたものである。 (2)登録第5292830号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成21年4月17日に登録出願され,第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと」を指定商品として,同22年1月8日に設定登録されたものである。 なお、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。 3 当審の判断 (1)商標の類否判断について 商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。 この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号,最高裁平成3年(行ツ)第103号,最高裁平成19年(行ヒ)第223号参照)。 上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。 (2)本願商標について 本願商標は,前記1のとおり「虎菓子」の文字を標準文字で表してなるものであるところ,本願商標の構成中,「虎」の文字は「ネコ科の哺乳類。」等の意味を有し,「菓子」の文字は「常食のほかに食する嗜好品。和菓子と洋菓子とに大別。」等の意味を有する語(株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)として,それぞれ広く一般に親しまれた語である。 そして,本願商標の構成中「菓子」の文字部分は,その指定商品中の「洋菓子」との関係では,該指定商品を含む「菓子」の普通名称であって,商品の出所識別標識としての機能は有しないものとするのが相当である。 さらに,本願商標の構成文字全体として,なんらかの特定の熟語的意味合いを形成する等,「虎」及び「菓子」の文字を常に一体不可分のものとしてのみ観察されなければならないとすべき特段の事情は認められない。 してみると,本願商標は,その構成中,「虎」の文字部分が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強い印象を与えるものというべきであるから,本願商標は,その構成中の「虎」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである。 そうすると,本願商標は,その構成全体より生ずる「トラガシ」の称呼のほか,「虎」の文字部分に相応した「トラ」の称呼を生じ,「虎(ネコ科の哺乳類)」の観念を生じるものである。 (3)引用商標について 引用商標1は,前記2のとおり,「虎」の文字を書してなり,また,引用商標2は,別掲のとおり,図案化してあるものの「虎」の漢字を表したものと容易に認識し得るものであるから,引用商標は,共に「トラ」の称呼を生じるものであって,この点は請求人も認めているところである。そして,観念については,引用商標の構成文字より,「虎(ネコ科の哺乳類)」の観念を生じるものである。 (4)類否判断について ア 本願商標と引用商標とは,その構成全体をもって比較するときは,構成文字が異なり互いに類似するとはいえないものの,本願商標の構成中,自他商品の識別標識としての機能を有する要部である「虎」の文字部分と引用商標とを比較すると,本願商標と引用商標1とは同じ文字からなるものであるから,外観において類似し,「トラ」の称呼及び,「虎(ネコ科の哺乳類)」の観念において同一である。また,本願商標と引用商標2とは,外観において近似した印象を与え,「トラ」の称呼及び,「虎(ネコ科の哺乳類)」の観念を同一とするものである。 そうすると,本願商標と引用商標とは,その外観,称呼及び観念を総合的に勘案すれば,互いに相紛れるおそれのある類似の商標といわざるを得ない。 イ 本願商標の指定商品と,引用商標の指定商品は,前記1及び2のとおりであるところ,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品中に含まれるものである。 (5)小括 以上によれば,本願商標は,引用商標と類似する商標であって,かつ,本願商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似のものといえるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。 (6)請求人の主張について ア 請求人は,「虎」は,一般の日本人がよく知っている動物の一つであり,菓子の分類において,多数の「虎」の文字を含む商標が登録されていることを考慮すると,「虎」はありふれた言葉であり,この一字のみが強力に識別力を発揮するとはいい難い。また,本願商標の後半部の「菓子」の文字は,非常に多くの菓子があり,「菓子」のみでは特定の商品を指すとはいえず,具体的な菓子の種類を表しているとはいえない旨主張している。 しかしながら,本願商標と引用商標とは,上記のとおり,その指定商品に「菓子」を含むものであって,本願商標の構成中,「菓子」の文字は,商品「菓子」の普通名称といえ,自他商品の識別標識としての機能を有さないというべきである。また,本願商標の指定商品との関係において,「虎」の文字が単独で識別力を発揮しないとする証左は見いだせない。 イ 請求人は,本願商標を抹茶と黒豆入りの洋菓子「TIGRESS matcha」(ティグレスマッチャ)の包装紙及び包装箱に付し,この商品を京都の限定商品として,請求人の直営店舗の1店舗で販売していることから,需要者はいつでも出所を請求人と認識することができ,これまで引用商標権者の商標と出所の誤認が生じたことも,そのおそれも全くない旨主張している。 しかしながら,請求人は抹茶と黒豆入りの洋菓子「TIGRESS matcha」(ティグレスマッチャ)の包装紙及び包装箱に「京都宇」,「治抹茶」,「虎菓子」の漢字を縦書き3行で表しているものの,一方,提出されている大丸京都店限定商品としての広告は,「TIGRESS matcha」及び「ティグレスマッチャ」の表示の下,「京都府産宇治抹茶を贅沢に使用した京都限定のお菓子『ティグレス マッチャ』」等の紹介がされており,「虎菓子」の文字は見いだせない。 そうすると,請求人の商品は「虎菓子」の文字のみを使用しているとはいえず,また,一般の取引者,需要者が本願商標を一連一体のものとしてのみ認識していると認め得る証拠の提出も無い。 そして,本願商標は,前記(2)のとおり,「虎」の文字部分をもって取引に資されることも少なくないというのが相当である。 ウ したがって,請求人の上記主張を採用することはできない。 (7)まとめ 以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 引用商標2 |
審理終結日 | 2018-08-07 |
結審通知日 | 2018-08-17 |
審決日 | 2018-08-28 |
出願番号 | 商願2016-49452(T2016-49452) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
Z
(W30)
T 1 8・ 264- Z (W30) T 1 8・ 263- Z (W30) T 1 8・ 261- Z (W30) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小林 正和、大島 康浩 |
特許庁審判長 |
田中 幸一 |
特許庁審判官 |
網谷 麻里子 榎本 政実 |
商標の称呼 | コガシ、コカシ、トラガシ、トラカシ、コ、トラ |
代理人 | 羽鳥 亘 |
代理人 | 柿原 希望 |