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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y1825
審判 全部申立て  登録を維持 Y1825
審判 全部申立て  登録を維持 Y1825
審判 全部申立て  登録を維持 Y1825
管理番号 1344114 
異議申立番号 異議2016-685009 
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-25 
確定日 2018-05-21 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第924379号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第924379号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第924379号商標は、「EnviroSax」の文字からなり、2015年(平成27年)3月1日に国際商標登録出願(事後指定)され、第18類「Handbags,purses,luggage,garment bags,shopping bags,shoulder bags,backpacks and carry bags made from textile materials,synthetic and man-made materials.」及び第25類「Clothing,footwear,vests;trousers;T-shirts;sweat shirts;sweat pants;sweat bands;sweat shorts;sweat suits;sweaters;swim wear;swim suits;sport shirts;shorts;scarves;coats,suits,rainwear;polo shirts;ponchos;neckerchiefs;neckties;neckwear;knit shirts;headwear;gym shorts;gym suits.」を指定商品として、平成27年12月15日に登録査定、平成28年2月12日に設定登録されたものである。
なお、2015年(平成27年)3月1日に日本国を事後指定し、上記のとおり、設定登録された商標を、以下、特に「本件商標」という。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標が商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、同法第43条の2第1号によって、その登録は取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第78号証を提出した。
(1)事実関係についての説明
ア 申立人が使用する商標について
申立人が日本又は外国で使用する商標は、「EnviroSax」(以下「引用商標1」という。)、「ENVIROSAX」(以下「引用商標2」という。)、「envirosax」(以下「引用商標3」という。)及び別掲のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標4」という。)である(以下、「引用商標1」?「引用商標4」をまとめていうときは「引用商標」という。)。
引用商標は、いずれも、申立人の業務に係る商品のうち、例えば、繊維材料・合成及び人工の材料からなるかばん類・衣服かばん・買物袋・肩掛けかばん等の商品について使用されるものであり(甲2)、本件商標の指定商品は、引用商標が使用される商品と同一又は類似の商品である。
(2)引用商標の権利状態について
申立人は、引用商標1について、オーストラリア国において平成17年3月1日に商標出願を行い、平成19年2月22日に商標権の登録を受け(甲3)、現在において存続中である(甲4)。そして、引用商標1の基礎登録に基づき、平成19年4月13日に国際商標登録出願を行い、国際登録を受けた(甲5の参照1)。国際登録における領域指定国の中に日本は含まれていたが、日本を領域指定とする国際登録は、個別手数料の第二の部分の不払いにより、平成21年6月4日に取り消された(甲5の参照2)。その後、申立人は、引用商標1の国際登録に基づく権利を、欧州のみに限定して本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)に譲渡する旨の契約を本件商標権者と取り交わした上で、平成24年11月1日に、引用商標1について、欧州のみに限定した国際登録の名義人の変更を行った(甲5の参照3)。
また、申立人は、引用商標4について、オーストラリア国において、平成25年6月27日に商標権の登録を受けた(甲6)、その後、平成26年7月10日に、引用商標の日本における独占的な使用に関するライセンス契約を、南氏と取り交わし(甲7、8の参照1?5)、南氏は、申立人の了承のもと、平成27年12月10日に、引用商標4について商標登録出願し(甲9)、日本における引用商標4を使用した業務に関して、申立人と業務提携関係を有する。
(3)商標法第4条第1項第7号に該当する理由について
ア 契約違反行為
(ア)申立人と本件商標権者との間で取り交わされた契約について
申立人と本件商標権者は、平成24年10月3日に、引用商標1の国際登録に基づく権利を申立人から本件商標権者に譲渡する内容の契約書を取り交わし(甲10)、かかる契約書において、本件商標権者への権利譲渡の対象となった領域は欧州に明確に限定されていて、日本は含まれていない(甲11)。すなわち、本件商標権者は、引用商標1の国際登録に基づいて日本の事後指定を行う権利(以下「引用商標1の日本での権利」という。)については譲渡を受けていないことを確認して、上記契約書を交わしている。かかる契約書に基づき、平成24年11月1日に、引用商標1の国際登録の名義人の変更が行われた。なお、この時点で、引用商標1の国際登録の指定国に、日本は含まれていない。
イ 申立人と本件商標権者の間における権利の移転の経緯について
(ア)全ての国の権利譲渡が誤ってなされたことについて
上記のとおり、平成24年11月1日に、引用商標1の国際登録の名義人の変更が行われたが、その際、引用商標1に関する全ての国の国際登録に基づく権利が、申立人の権利に関する書類の管理上のミスにより、本件商標権者に譲渡された。
(イ)本件商標権者が当初の権利譲渡の価格を引き下げることを要求したことについて
申立人から本件商標権者に権利譲渡がなされた後の平成24年12月15日及び17日、本件商標権者は、申立人に欧州に係る国際登録に基づく権利譲渡の価格を下げるように要求してきた(甲12、13)のち、欧州以外の国際登録に基づく権利を申立人に返却することを拒否した。
(ウ)欧州以外の国際登録に基づく権利を申立人に移転することを拒否したことについて
本件商標権者に、平成24年11月6日に権利譲渡の通知書が届いていることから、本件商標権者は、当初の権利譲渡の価格を引き下げることを要求した時点で管理上のミスにより引用商標1に関する全ての国の国際登録に基づく権利譲渡がなされていることに気付いている(甲14、15)。また、その後のやり取りにおいて、書類に管理上のミスがあったことを知っていたことを認めつつも、引用商標1に関する国際登録に基づく権利譲渡の価格に関する問題が解決するまで、他の国の国際登録に基づく権利を申立人に移転することを拒否した(甲16、17)。
(エ)欧州以外の権利の移転について
本件商標権者は、平成25年1月15日の申立人による販売契約書の解除等の申し入れに対し(甲10、11の参照2、18、19)、権利譲渡の価格引き下げを主張し(甲20,21)、その結果、当該価格が45万ドルとなったが、同年4月23日現在、欧州以外の国際登録に基づく申立人への権利移転が未だされなかったため、申立人は再度当該権利の移転を要求したものであり(甲22、23)、また、本件商標権者は、同年1月11日に当該権利の移転手続をしていたが、その後に当該移転手続を自身がキャンセルしていたことが判明した(甲24、25)。
そこで、申立人は、平成25年4月30日に、再度当該権利を戻すように本件商標権者に要求し、それでも移転しない場合、法的な措置を取る旨を通告した(甲26、27)。これにより、同年5月10日に、欧州以外の国際登録に基づく権利が申立人にようやく移転さた(甲5、28、29の参照4)。
(オ)本件商標権者の契約違反行為について
本件商標権者は、上記契約書を申立人と取り交わした後にもかかわらず、平成27年3月1日に日本の事後指定(マドリッド協定の議定書第3条の3第2項に規定の、国際登録の後に行う領域指定)を行い(甲5の参照5)、その後、本件商標の登録を受けるという、明らかな契約違反行為を行った。特に、申立人は、取引関係のあった本件商標権者に欧州での事業を委ねるために欧州での国際登録に基づく権利を譲渡したのであるから、本件商標権者は欧州以外での申立人の権利の保有を妨げてはならず、また、そのような状況を招くはずがないと本件商標権者を信頼して欧州での国際登録に基づく権利を本件商標権者に譲渡したことに鑑みれば、本件商標権者の当該権利に基づいて日本の事後指定を行って本件商標登録を受ける行為は信義則に反する行為であることは明らかである。
したがって、本件商標権者が日本で権利を取得することや日本で事業活動をすることについて、申立人が本件商標権者に承諾する意思がないことは、契約書及び国際登録に基づく権利の移転の経緯から明らかであり、本件商標権者の事後指定により本件商標を取得する行為が契約違反行為であることに疑いの余地がない。
不正の目的について
(ア)引用商標の周知性について
a 海外での周知性
申立人は、引用商標1を平成16年にブランドとして確立し、その使用を開始し、平成20年5月8日のオーストラリア国において創業したものであり(甲30?32)、その業務に係る商品は、鮮やかな花柄からシックな白黒柄等、幅広いデザインを取り揃え、かつ、とてもファッショナブルなエコバッグであり(甲2)、オーストラリア国から世界各国に展開していく中、ハリウッドセレブ女優等の富裕層が愛用し、世界各国で販売された数多くの雑誌に掲載されて(甲33?43)、富裕層の間での周知性を得た後、近年においても販売数量及び売上額を増加させており、申立人の商品の出所を示すものとして引用商標は、その高い周知性を近年においても維持している(甲46?48)。
b 日本での周知性
日本最大級のインターネット通販サイトのYahoo!ショッピングや楽天市場におけるランキングにおいて上位を占め、人気商品であることが掲載されている(甲49?53)。また、我が国における販売量及び輸入量は、平成19年2月から伸びていて(甲52、54?58、60)、世界的な見本市である東京ギフトショーや、インテリアライフスタイル等にも出展し(甲68?73)、高島屋横浜店(甲74)、阪急梅田本店(甲75)、阪神百貨店梅田店(甲77)、近鉄百貨店奈良店(甲78)等にも出店し、申立人の商品の広報活動が販売促進に繋がっている。
c 周知性についてのまとめ
以上により、引用商標は、申立人の商品の出所を示すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時に日本を含む世界各国におけるエコバッグ市場において高い周知性を有している。
(イ)不正の目的について
引用商標は、申立人の商品を表示する商標として日本を含む世界の広い地域の需要者の間で広く認識されていることから、世界の広い地域において、非常に高い顧客吸引力を発揮するものである。本件商標権者が、欧州以外の国の権利を申立人に移転することを再度拒否している経緯を考慮すれば、本件商標権者が、日本についての権利の価値を認識しており、日本国で国際登録が消失したままであることを奇貨として、本件商標に同一又は類似する商標の使用及び権利化を阻み、申立人等の事業を不正に阻止しようとする目的を有していたことは明らかである。
エ 小括
以上のように、本件商標は、本件商標権者による契約違反行為という、社会の一般的道徳観念に反する行為に基づくものであり、また、本件商標権者による不正の目的や、申立人と本件商標権者との間で取り交わした契約における経緯に鑑みれば、本件商標に係る出願は、本件商標権者による契約違反行為のみならず、適正な商道徳に反し、著しく社会的妥当性を欠く行為によりなされた出願であるというべきものであるため、これに基づいて本件商標権者を権利者と認めることは公正な取引秩序の維持の観点から見ても不相当であり、商標法の目的にも反するものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してなされたものである。
(4)商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当する理由について
引用商標は、申立人の商品を表示する商標として、日本を含む世界の広い地域のエコバッグ市場の取引者及び需要者、特に、富裕層の需要者の間で広く認識されている。
本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標であって、引用商標が使用される商品と同一又は類似の商品について使用をするものである。
また、引用商標が申立人の商品を表示する商標として、需要者の間で広く認識されていることから、需要者は、本件商標権者の業務に係る商品と申立人等の業務にかかる商品とを混同を生ずるおそれがある商標である。
さらに、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標であって、引用商標が使用される商品と同一又は類似の商品について使用をするものであり、さらに、本件商標は、不正の利益を得る目的及び他人に損害を与える目的をもって使用をするものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に違反してなされたものである。
3 当審の判断
申立人が提出した甲各号証及び職権調査によれば、以下の事実が認められる。
(1)国際登録第924379号商標について
国際登録第924379号商標は、申立人に係る2005年(平成17年)3月1日にオーストラリアにおいてした商標登録出願に基づいて、第18類及び第25類に属する国際登録簿に記載の商品を指定商品として、2007年(平成19年)4月13日に国際商標登録出願されたものであり(以下「本件国際登録商標」という。)、その後、同年9月20日に、日本の事後指定がされたが、最終的に個別手数料の第二の部分の不払いにより、2009年(平成21年)6月4日に取り消されている(甲5の参照2)。そして、本件国際登録商標は、2012年11月1日に、本件登録権者を名義人とする、欧州のみについての国際登録の一部譲渡が行われ(甲5の参照3、国際登録第924379A)、また、同日に、本件国際登録商標は、本件商標権者を国際登録の名義人とする変更がなされた。
さらに、その後、2013年(平成25年)5月10日に、本件国際登録商標は、申立人を名義人とする、中国、シンガポール、米国を指定した国際登録の一部譲渡が行われた(甲5の参照4、国際登録第924379B)。
そして、本件商標権者は、本件国際登録商標に基づいて、2015年(平成27年)3月1日に、日本の事後指定を行ったものであり、平成27年12月15日に登録査定、平成28年2月12日に設定登録されたものである(甲1)。
(2)引用商標の周知性について
引用商標は、2004年にオーストラリアにおいて確立したエコバックのブランドであり、2008年に申立人により創業が開始され(甲30、31、44)、そのホームページにおいて、引用商標4が使用されている(甲2、37)。そして、申立人の商品について、我が国においては、Yahoo!ショッピングサイトにおいて、2010年9月1日のエコバック部門ランキングにおいて1位、同年10月6日に人気商品として掲載されたこと、また、楽天市場においても、同年8月20日のエコバック部門で1位、同年の年間ランキングにおいて、バッグ・小物・ブランド雑貨ジャンルTOP30で第20位に、2016年7月18日には、エコバック部門において3位となったこと(甲49?53)、及び様々な情報をユーザーが一つのページにまとめて公開する、いわゆるまとめサイト「NANERサイト」(2014年9月15日)において、自然、動物、国等をイメージにしたイラストや模様をプリントしたエコバック(以下「申立人商品」という。)が、海外セレブの御用達であるとして、人気が上昇中であると掲載されていることが(甲44、45)認められる。
そして、申立人は、我が国において、平成19年度(約3万5000個/年)から平成26年度(8万870個)(甲55?58)までに申立人商品の売上げを伸ばし、また、その輸入量は、平成25年7月12日から平成28年1月20日までに31万個に上る(甲60等)など、本件商標の事後指定日及び登録査定時において、その販売数及び輸入量が上昇していること(甲55?58)、東京ギフトショーに2014年から2016年、インテリアライフスタイルには2015年に出展したこと(甲68?73)、2018年には、高島屋横浜店、阪急梅田本店を始めとするデパート5店に出店し、引用商標又は「エンビロサックス」の文字を使用している(甲74?78)と主張し、その写真を提出しているが、申立人商品の販売数及び輸入量について、その市場に占める占有率は明らかでなく、また、上記展示会等における広告宣伝の方法や規模、デパートにおける出店期間、販売数等は確認できない。
次に、外国の富裕層向けの雑誌や世界的なファッション誌「ELLE 2011年9月号」(シンガポール版)、「Newsweek 2008年6月号」等の多数の雑誌に、申立人商品が掲載されたことを認めることができるが(甲32?42)、いずれの記事も、その内容は明らかでなく、上記雑誌の掲載のみにより、申立人商品が、外国において、エコバッグ市場の取引者及び需要者又は富裕層の需要者の間で広く認識されているものということはできない。
以上によれば、引用商標を使用した申立人商品について、我が国において、インターネットショッピングサイトのランキングにおいて上位となったことが認められるが、それらのランキングは、2010年後半の特定の一時期におけるランキングにすぎないものであり、また、申立人により、新聞、雑誌などで広範に多数の宣伝、広告がされていた事実及び雑誌などのマスコミ媒体等で取り上げられたなどの事実は確認できない。
そうすると、申立人提出の証拠によっては、引用商標が、申立人商品について、我が国又は外国において使用されている事実をうかがい知ることはできるとしても、宣伝広告の方法や使用実績を具体的に把握し得ないものであって、本件商標の事後指定日までに、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されるに至っていたとまで認めることはできない。
(3)商標法第4条第1項第7号について
ア 商標法第4条第1項第7号でいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(ア)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(イ)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(ウ)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(エ)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(オ)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(知的財産高等裁判所、平成17年(行ケ)第10349号、平成18年9月20日判決参照)。
イ これを本件についてみると、本件商標は、「EnviroSax」の文字からなるものであるところ、該文字は我が国においては特定の観念を生じない造語として認識されるものであるから、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないことは明らかである。また、本件商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するという事情もないし、他の法律によってその使用等が禁止されているものでもなく、さらに、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合に当たるということもできない。
申立人は、本件商標は申立人との間で取り交わされた契約に違反して登録を受けたものであるから公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある(本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある)商標に該当する旨主張する。
そこで、申立人の提出した証拠及び職権調査によれば、上記(1)のとおり、申立人と本件商標権者による2012年10月3日付けの「売買契約書」(甲10、11)には、本件国際登録商標の欧州に係る権利を譲渡することが記載されているところ、これによって、国際登録簿に、同年11月1日、本件国際登録商標の一部譲渡がなされたことが認められる(国際登録第924379A)。また、申立人の主張よれば、本件国際登録商標は、同日に本件商標権者を国際登録の名義人とする変更がなされたが,その後、2013年(平成25年)5月10日に、本件国際登録商標は、上記「売買契約書」に基づいて、中国、シンガポール、米国を指定して申立人への国際登録の名義人とする一部譲渡が行われたことが認められる(国際登録第924379B)。
以上からすると、本件商標権者は、我が国に国際商標登録出願(事後指定)された2015年3月1日において、本件国際登録商標に係る国際登録簿に登録された名義人であることが認められることから、本件国際登録商標は、本件商標権者によるマドリッド協定議定書第3条の3第2項規定の国際登録の後に行う領域指定が可能であり、本件商標権者が成した本件商標に係る手続を違法であるということはできない。
してみると、本件商標権者が2015年(平成27年)3月1日にした本件商標に係る国際商標登録出願(事後指定)の経緯について著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないということはできない。
また、引用商標が、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないことは前述のとおりである。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
(4)商標法第4条第1項第10号、同項第15号、同項第19号について
引用商標は、上記(2)のとおり、申立人商品を表示するものとして、我が国又は外国において、需要者の間に広く認識されていたものとは認められないものであるから、本件商標と引用商標とが、その構成各文字において同一であるとしても、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号の要件を欠くものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものということはできない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】

異議決定日 2016-12-21 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (Y1825)
T 1 651・ 25- Y (Y1825)
T 1 651・ 271- Y (Y1825)
T 1 651・ 22- Y (Y1825)
最終処分 維持 
前審関与審査官 鈴木 雅也 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 堀内 仁子
平澤 芳行
登録日 2015-03-01 
権利者 Marat Gaisin
商標の称呼 エンビロサックス、エンバイロサックス 
代理人 鷲田 公一 
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