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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1344107 
異議申立番号 異議2018-900061 
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-03-12 
確定日 2018-09-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第6003962号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6003962号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6003962号商標(以下「本件商標」という。)は,「earth music TOKYO」の欧文字をゴシック体で横書きしてなり,平成29年6月14日に登録出願,第9類,第14類,第18類,第25類及び第35類「薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下,当該役務を「本件申立役務」という。)を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同年11月9日に登録査定,同年12月15日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録商標は,以下のとおりである。
「アース」の片仮名若しくは「EARTH」の欧文字からなる又は「アース」の片仮名若しくは「EARTH(Earth)」の欧文字を構成中に含んでなる登録第248908号商標,登録第258476号商標,登録第1674260号商標,登録第1674261号商標,登録第1674262号商標,登録第1886824号商標,登録第1886826号商標,登録第1878463号商標,登録第1878465号商標,登録第2235736号商標,登録第2353757号商標,登録第2353758号商標,登録第2488180号商標及び登録第2691798号商標は,いずれも願書に記載のとおりの構成からなり,それぞれの登録出願日及び設定登録日並びに指定商品又は指定役務は,商標登録原簿に記載のとおりである。
以下,これらの登録商標をまとめて「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲1?109を提出した。
1 申立人の会社沿革
申立人の創業は明治25年4月に大阪において,局方医薬品及び外傷薬チンキ・キイロン等の製造を始めたのが第一歩であり,大正14年に株式会社に組織変更,昭和4年に本邦特産である除虫菊を主成分として家庭用殺虫剤「アース」の製造を始め,昭和15年に殺虫剤「アース」の姉妹品として蚊取線香「アース渦巻」の製造,昭和28年に自噴式殺虫剤「アースエアゾール」の製造を開始した。
昭和39年には商号を商標と同じアース製薬株式会社に変更,昭和40年に電気蚊取器「電子アース」及び電気蚊取マット「アースマット」の製造を開始した。
さらに,昭和45年に大塚グループに編入し,各種医薬品及びゴキブリ捕獲器「ごきぶりホイホイ」,加熱蒸散型殺虫剤「アースレッド」,並びに液体電子蚊取器「アースノーマット」,ジェット噴射式殺虫剤「アースジェット」,更には,入浴剤「バスロマン」,芳香洗浄剤「セボン」,口中清涼剤「モンダミン」と次々にユニークなヒット商品を生み出し,その商品の優秀性等とあいまって,アースは我国において周知著名の商標となっている(甲2?9)。また,平成29年1月5日からコーポレートロゴとして英語表記の「EARTH」を用いたロゴを使用し現在に至っている(甲10?16)。
2 商標使用の状況
申立人は,上記したように相当に古くして,かつ,広範囲にわたり実績を有するものであって,その創業当初より「アース」,「EARTH」を多くの製品に使用し,新聞,雑誌等で宣伝し現在に至っている(甲17?66)。
「アース」,「EARTH」といえば,少なくとも本件商標の登録出願日以前において申立人の製造販売する商品であることが老若男女を問わずして全国津々浦々に至るまで広く知られて周知著名の商標となっているものである。
3 本件商標と引用商標との比較
本件商標は,英文字で「earth music TOKYO」と横書きされ,申立人の引用商標とは明らかに類似する。
本件商標と同様の商標である「earth/music & ecology」は,申立人の先登録により拒絶査定となっている(甲83)。このことから,本件商標の「music」には識別性はなく,「TOKYO」は「著名な地名」であることから,当然に識別性はなく,識別性は「earth」にある。
したがって,一般需要者は,本件商標の前部の「earth」を見たり聞いたりして,申立人と何らかの関連性があるかのごとく認識する。
4 申立人に係る過去の異議事件
申立人は,過去において,「アース」,「EARTH」との結合商標に登録異議の申立てをした結果,申立人の著名商標「アース」,「EARTH」との関係で,申立人の業務に係る商品と出所について混同を生ずるおそれがある,と認定されている(甲84?109)。
5 まとめ
以上によれば,本件商標は,その指定商品及び指定役務中の本件申立役務について,商標法4条1項10号,同項11号及び同項15号に該当するものであるから,その登録は,取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 「アース」の文字及び「EARTH」の文字に係る周知性について
申立人は,創業当初から現在に至るまでの間,「アース」及び「EARTH」を多くの商品に使用し,新聞や雑誌等で宣伝していることから,「アース」及び「EARTH」は,少なくとも本件商標の登録出願日以前において,申立人の製造,販売に係る商品であることを表示するものとして,全国で広く知られた著名商標となっている旨主張し,その主張に係る証拠として,甲17?66を提出している。
そこで,申立人の主張に係る甲17?66をみるに,これらは,昭和62年6月から平成28年5月までの間に発行された新聞や雑誌に掲載された申立人の業務に係る商品の広告であるところ,その広告に係る商品の多くは,「家庭用殺虫剤」であり,また,その広告において,商品の出所を表示するものとして用いられているのは,「アース」の片仮名からなる商標といえる一方,「EARTH」の文字からなる商標を用いているものは見当たらない。
また,平成29年1月12日から同年2月13日の間で発行された,石鹸日用品新報(甲10),化学工業日報(甲11),日用品化粧品新聞(甲12),日本医療衛生新聞(甲13),日本商業新聞(甲14),薬局新聞(甲15)及び週刊粧業(甲16)には,申立人が,平成29年1月5日からコーポレートロゴを,それまでの片仮名表記の「アース」を用いたロゴから,英語表記の「EARTH」にロゴを変更した旨の記事及びその新ロゴが掲載されているが,いずれも専門紙であって,各1回しか紹介されていないものである。
その他,申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても,本件商標の登録出願時(平成29年6月14日)及び登録査定時(同年11月9日)において,「EARTH」の文字からなる商標が,申立人の製造,販売に係る商品であることを表示するものとして,需要者の間に広く認識されるに至っていると認めるに足る事実は見いだせない。
そうすると,申立人の提出に係る証拠によっては,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,「アース」の文字からなる商標は,申立人の業務に係る商品「家庭用殺虫剤」について,その出所を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っていたとはいえるものの,「EARTH」の文字からなる商標については,そのような認識がされるに至っているとはいえない。
2 商標法4条1項11号該当性について
(1)本件商標は,上記第1のとおり,小文字による「earth」及び「music」の欧文字と大文字による「TOKYO」の欧文字をそれぞれ半角程度の空白を設けて横一列に「earth music TOKYO」とゴシック体により同書,同大で書してなるものであるところ,「earth music」の欧文字と「TOKYO」の欧文字とは,小文字と大文字とによる表記上の相違及び半角程度の空白を有してなるから,外観上,分離して看取し得る。
そして,本件商標中の「earth music」の欧文字部分は,各単語の間に半角程度の空白を有してなるものの,各文字の大きさ及び書体は同一であって,「earth」の欧文字部分だけが独立して見る者の注意をひくような態様で表されているものではないから,外観上,一体のものとして認識されるものであり,また,これより生ずると認められる「アースミュージック」の称呼も無理なく一気に称呼し得るものである。
さらに,本件商標中の「earth music」の欧文字部分は,「earth」が「地球」等,「music」が「音楽」の意味を有する平易な各英単語(株式会社学習研究社「ジュニア・アンカー英和辞典第4版」)であって,当該部分全体からは「地球の音楽」といった程度の意味合いをごく自然に認識させるところ,当該部分全体及び各英単語のいずれも本件申立役務との関係では,格別,自他識別力を欠く語とはいえないのに対し,本件商標中の「TOKYO」の欧文字は,日本の首都であって,政治,経済,文化の中枢である「東京」を欧文字表記したものとして一般に広く慣れ親しまれている語であり,様々な分野において,その所在地「東京」を表す語として普通に用いられているものであるから,本件商標を本件申立役務に使用する場合には,これに接する取引者,需要者は,当該「TOKYO」の欧文字を,当該役務の提供の場所を表示した部分と認識するものとみるのが相当である。
そうすると,本件商標においては,その構成中の「earth music」の欧文字部分が,取引者,需要者に対し本件申立役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分と認識されるというのが相当であるから,当該部分を本件商標の要部として把握することができるというべきである。
したがって,本件商標は,「earth music」の欧文字部分のみを抽出し,他人の商標と比較して商標としての類否を判断することが許されるものの,更に「earth」の欧文字部分のみを抽出し,同様に比較して類否判断をすることは許されないというべきであるから,本件商標全体から「アースミュージックトーキョー」の称呼が生じるほか,「earth music」の欧文字部分に相応した「アースミュージック」の称呼が生じ,「地球の音楽」といった観念が生じるものである。
(2)他方,引用商標は,上記第2のとおり,「アース」の片仮名若しくは「EARTH」の欧文字からなる又は「アース」の片仮名若しくは「EARTH(Earth)」の欧文字を構成中に含んでなる商標であるところ,これらの文字部分から「アース」の称呼及び「地球」の観念が生じるほか,上記1のとおり,「アース」の文字は,申立人の業務に係る商品「家庭用殺虫剤」について,その出所を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っていたといえるから,「(家庭用殺虫剤のブランドとしての)アース」といった観念を生じるものである。
(3)本件商標の要部である「earth music」の欧文字部分と引用商標とを対比すると,外観及び称呼においては,それぞれ,「earth(EARTH,Earth)」部分のつづり及び「アース」の音を共通にするとしても,「music」部分の有無及び「ミュージック」の音という明白な差異を有するから類似するとはいえない。観念においても「地球」と「地球の音楽」とでは全く異なるから,類似するとはいえない。
以上を総合的に考察すれば,本件商標の要部である「earth music」の欧文字部分と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても全く別異の商標からなる非類似の商標であるというべきであるから,本件商標と引用商標も自ずと非類似の商標といえる。
(4)したがって,本件商標は,商標法4条1項11号に該当しない。
3 商標法4条1項10号該当性について
(1)上記1のとおり,申立人の提出に係る証拠によっては,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,「アース」の文字からなる商標は,申立人の業務に係る商品「家庭用殺虫剤」について,その出所を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っていたとはいえるものの,「EARTH」の文字からなる商標については,そのような認識がされるに至っているとはいえない。
(2)また,本件商標は,上記2のとおり,「earth」の欧文字部分のみを抽出し,他人の商標と比較して商標としての類否を判断することは許されないのに対し,「earth music」の欧文字部分からは,「アースミュージック」との一連の称呼を生じ,「地球の音楽」といった程度の意味合いをごく自然に認識させるというべきであるから,本件商標と引用商標とが非類似の商標であるのと同様の理由により,「アース」又は「EARTH」の文字からなる商標とは類似しない。
(3)したがって,本件商標は,商標法4条1項10号に該当しない。
4 商標法4条1項15号該当性について
(1)申立人は,自己の使用に係る「アース」及び「EARTH」の文字からなる商標が,少なくとも本件商標の登録出願日以前において,申立人の製造,販売に係る商品であることを表示するものとして,全国で広く知られた著名商標であることを前提として,本件商標に接する一般の需要者は,本件商標の構成中の「earth」の文字部分に注目し,申立人と何らかの関連性があるかのように認識するとして,本件商標が商標法4条1項15号に該当する旨主張する。
しかしながら,上記1のとおり,申立人が提出した証拠によれば,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品(家庭用殺虫剤)を表示するものとして,需要者の間に広く認識されるに至っていたと認められる商標は,「アース」の文字からなる商標のみであるし,当該商標と本件商標とを比較しても,相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異のものというべきであることは,上記2のとおりである。
そうすると,本件商標は,これをその指定商品及び指定役務中の本件申立役務について使用しても,需要者をして,申立人の使用に係る「アース」の文字からなる商標及び「EARTH」の文字からなる商標を連想,想起させることはなく,当該役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように,当該役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
(2)したがって,本件商標は,商標法4条1項15号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり,本件商標は,その指定商品及び指定役務中,本件申立役務について,商標法4条1項10号,同項11号及び同項15号のいずれにも違反して登録されたものではないから,その登録は,同法43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2018-09-06 
出願番号 商願2017-79140(T2017-79140) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (W35)
T 1 652・ 261- Y (W35)
T 1 652・ 25- Y (W35)
T 1 652・ 271- Y (W35)
T 1 652・ 262- Y (W35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 平澤 芳行
田村 正明
登録日 2017-12-15 
登録番号 商標登録第6003962号(T6003962) 
権利者 株式会社ストライプインターナショナル
商標の称呼 アースミュージックトーキョー、アースミュージック、アース 
代理人 平井 正司 
代理人 神津 堯子 

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