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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W032135 審判 一部申立て 登録を維持 W032135 審判 一部申立て 登録を維持 W032135 審判 一部申立て 登録を維持 W032135 審判 一部申立て 登録を維持 W032135 |
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管理番号 | 1344098 |
異議申立番号 | 異議2018-900081 |
総通号数 | 226 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2018-10-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-04-05 |
確定日 | 2018-09-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6009693号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6009693号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6009693号商標(以下「本件商標」という。)は、「洗う.com」の文字を標準文字により表してなり、平成29年1月19日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,香料,薫料」、「デンタルフロス,化粧用具」を含む第21類に属する商標登録原簿記載の指定商品及び第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」並びに第16類及び第20類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品及び指定役務として、同年12月1日に登録査定され、同30年1月12日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 1 引用商標1 登録第5629992号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲のとおり、「arau.」の欧文字を横書きしてなり、平成25年6月25日に商標登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料」を指定商品として、同年11月15日に設定登録されたものである。 2 引用商標2 登録第6002452号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおり、「arau.」の欧文字を横書きしてなり、平成29年5月1日に商標登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用仕上げ剤,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,シャンプー,コンディショナー,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,口臭用消臭剤,動物用防臭剤」及び第5類「消毒剤,殺菌剤,抗菌性薬剤,医療用機械器具用消毒剤,薬用アルコール,ティッシュに浸み込ませた消毒剤,殺虫剤(農薬に当たるものに限る。),防虫剤(農薬に当たるものに限る。),うがい薬,医療用口腔洗浄液,その他の薬剤,空気清浄剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,消毒綿,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く)」を指定商品として、同年12月8日に設定登録されたものである。 3 引用商標3 登録第5736091号商標(以下「引用商標3」という。)は、「アラウ.」の片仮名を標準文字で表してなり、平成26年9月16日に商標登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,せっけん類,口内洗浄剤(医療用のものを除く。),その他の歯磨き,化粧品,香料,薫料」を指定商品として、同27年1月23日に設定登録されたものである。 以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第3類「全指定商品」、第21類「デンタルフロス,歯ブラシ」及び第35類「全指定役務」について(以下「申立商品及び役務」という。)、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、引用商標と称呼及び観念が相紛らわしい類似の商標であって、引用商標と同一又は類似する商品及び役務について使用するものである。 2 商標法第4条第1項第15号について 本件商標は、周知著名な引用商標と誤認を生じさせるため、申立商品及び役務に本件商標を使用すると、異議申立人の業務に係る商品と出所について混同を生ずるおそれがある。 3 商標法第4条第1項第19号について 本件商標は、周知著名な引用商標と相紛らわしく、不正の目的をもって出願されたものである。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知著名性について (1)申立人の提出する証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。 ア 申立人について 申立人であるサラヤ株式会社は、大阪市東住吉区に本社を置く家庭用及び業務用洗剤・消毒剤・うがい薬等の衛生用品と薬液供給機器等の開発・製造・販売、食品衛生・環境衛生のコンサルティング、食品等の開発・製造・販売を行っている昭和27年設立の法人であり、グループ全体で従業員1,700名を越える化学メーカーである(甲5の1?3)。 申立人は、赤痢などの伝染病の予防のための手洗いを普及させるため、昭和27年にヤシ油を原料とするパールパーム石けん液及びその容器の製造販売を開始し、その後、うがい薬、ヤシの実由来の人体と環境に配慮した「ヤシノミ洗剤」を製造販売する等、人と地球にやさしい自然派メーカーとしての特色がある(甲5の1、甲5の2)。 イ 引用商標の使用状況について (ア)2001年春から2018年春にかけての申立人の総合商品カタログには、「arau.」及び「アラウ.」の商標とともに、台所用せっけん、洗濯用せっけん、ボディソープ、せっけんシャンプー、ヘアコンディショナー、歯磨き、歯ブラシ等の商品が記載されている(甲6の1?32)。 (イ)申立人は、2016年から2018年に展示会「JAPANドラッグストアショー」に出展し、出展ブースにおいて自社商品を展示したとして、引用商標が付されたせっけんとおぼしき商品等が陳列されている写真を提出した(甲7の1、甲7の3,甲7の7)。なお、「第18回JAPANドラッグストアショー」(2018年3月15日から同月18日開催)のウェブサイトには、来場者は「126,066名」と記載されている(甲7の6)。 また、2014年から2018年にかけて上記以外のイベントにおいても引用商標を付した商品を展示したことがうかがわれる(甲7の4、甲7の5)。 (ウ)申立人は、いわゆる子育て世代をターゲット層にしている雑誌や新聞(地方紙や全国紙)に、引用商標に係る商品の広告を掲載している(甲8の2?11)。 また、パンフレット、リーフレットにおいても引用商標に係る商品の広告を行っている(甲8の12ないし甲8の14)。 (エ)引用商標に関して、以下のとおり、受賞歴があることがうかがえる。 a 平成24年「アラウ.ベビー」洗濯用石けんが「たまひよ赤ちゃんグッズ大賞2012」(衣料用洗剤・石けん部門)を受賞した(甲9の3)。 b 平成26年「アラウ.ベビー」シリーズの石けんが「第6回マザーズセレクション大賞2014」を受賞した(甲9の4)。 c 平成30年育児雑誌「ゼクシイBaby」ベスト育児ブランド「ベビー用洗濯洗剤&洗濯せっけん部門」において引用商標を付した商品がNo.1を受賞した(甲9の5)。 (オ)2018年春の申立人のカタログには、「アラウ.シリーズ」として、引用商標が付された洗たく用せっけん、食器用洗剤、ハンドソープ、せっけんシャンプー、はみがきジェル等の商品がシリーズ商品として記載されている(甲6の32)。 ウ 判断 上記(ア)ないし(オ)を総合して判断すれば、申立人は、家庭用及び業務用洗剤・消毒剤・うがい薬等の衛生用品と薬液供給機器等の開発・製造・販売を行っている企業であり、申立人の業務に係る、台所用せっけん、洗濯用せっけん、各種せっけん、ボディソープ、せっけんシャンプー、ヘアコンディショナー、歯磨き、歯ブラシ等の商品について、引用商標と同一又は類似する商標「arau.」及び商標「アラウ.」を使用していることが認められる。 そして、2001年から2018年まで、申立人の商品カタログに引用商標を付した上記商品が掲載されていること(甲6の1?32)が確認できる。 また、申立人は、パンフレット、リーフレット、雑誌、新聞等において、いわゆる子育て世代をターゲットにして、引用商標が付された洗濯用せっけん、ベビーせっけん、泡全身ソープ、泡ほ乳瓶食器洗い、はみがきジェル等について宣伝広告活動を行っていることがうかがえる(甲8の3?14)。 しかしながら、申立人は、「引用商標を付した商品は、年々販売数量を伸ばしており、営業秘密の観点から具体的な数字の開示は控えるが、2006年度から2016年度までの10年間におよそ9倍と飛躍的に販売数を伸ばしている。」と主張するのみで、これらの商品の販売数量を示す具体的な証拠の提出はなく、証拠に基づいてこれらの商品の販売実績を数量的に把握することができない。 さらに、「株式会社インテージ」の調査として、「赤ちゃん向けの洗濯用品、洗剤の分野」ではトップクラスの販売シェアがあり、・・・直近5年間は平均50%前後のシェアを占めている。」と主張しているが、市場シェアの根拠等を具体的に裏付ける証拠の提出はない。 そうすると、商品の販売実績や市場シェアの事実に基づいて引用商標の周知著名性について検討することができない。 また、申立人は、引用商標が付された商品が記載された商品カタログは、「毎年、春期と秋期の商談にあわせて、各期毎に約1万部が印刷され、首都圏と関西圏を中心としつつも、北海道から九州まで日本全国の異議申立人営業所を通じて代理店(卸売業者)や、サンドラッグ、ココカラファイン、ツルハ、イオンリテール、西松屋チェーン、赤ちゃん本舗、日本トイザらス、アマゾン等のドラッグストアやスーパーマーケット等の小売店に配布されている。」旨主張しているが、カタログの送付先、送付数等を具体的に示す発送伝票,納品伝票等、その配布数、配布先を客観的に確認できる資料の提出はなく、上記カタログが実際に需要者、取引者の間に広く配布されていた事実を確認することはできない。 加えて、各種展示会等で商品が展示されているとされる写真については、実際にその展示会等において展示されていた商品の写真であることの客観的な裏付けがないばかりか、2016年以降の実績しか提示がなく、引用商標が付された商品が長年にわたって展示会に出展されてきたことを確認することもできない。 してみれば、引用商標の付された商品の広告が掲載された雑誌、新聞の発行部数、広告の掲載回数、パンフレット、リーフレットの配布先や配布数は、提出された証拠からは把握することができず、引用商標が付された申立人の商品についての宣伝広告費がどれ程であるかも明らかではないから、これらの広告実績に基づいて引用商標の周知著名性について検討することはできない。 以上を総合して判断すれば、引用商標は、我が国において使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものということはできない。 なお、申立人は、「申立人が数々の受賞歴があることからブランドの認知度が高い。」旨主張している。 しかしながら、これらの賞は、主に赤ちゃんを育てる育児世代の消費者を対象とするものであり、上記受賞歴により、申立人の商品が育児世代の間で一定の支持を獲得していることがうかがわれるとしても、育児世代以外の一般消費者の間に広く知られているとまでは認めることはできないから、かかる申立人の主張は採用できない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、前記第1のとおり、「洗う.com」の文字からなるところ、その構成文字は、同書、同大、同間隔で外観上まとまりよく一体的に表されており、いずれかの部分が需要者に対し強く支配的な印象を与えるとはいい難いものである。 そして、本件商標の構成中、当該「.com」の文字部分がウェブサイトのアドレスに付く記号として自他識別力が弱いとされる場合があるとしても、「洗う」の文字部分は、「水などですすぎ清める。よごれを落とす。」の意味を有し(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)、申立商品及び役務の分野においては自他識別力が弱い語であるといえることから、これらの文字をまとまりよく一連一体に組み合わせた本件商標においては、「洗う」と「.com」の各文字部分のいずれか一方の識別力が格段に異なるものとみることはできない。 さらに、「.com」は、ウェブサイトのアドレスに付く記号として「ドットコム」と称呼されることから、本件商標は、その構成全体から「アラウドットコム」の称呼を生じ、当該称呼は、格別冗長であるということもできず、よどみなく一連に称呼し得るものである。 してみれば、本件商標に接する取引者、需要者は、殊更「洗う」の文字部分のみに着目するというよりは、まとまりよく一体的に表された構成全体をもって一体不可分の商標と認識し把握するものとみるのが自然であり、他に構成中の「洗う」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。 そうとすれば、本件商標は、「アラウドットコム」の称呼のみを生ずるものであり、また、その構成文字は辞書等に採録のないものであり、一種の造語とみるのが相当であるから、特定の観念は生じないものというのが相当である。 (2)本件商標と引用商標との類否について ア 引用商標1及び引用商標2との類否について 引用商標1及び引用商標2は、前記第2のとおり、いずれも「arau.」の文字からなり、その構成文字に応じて「アラウ」の称呼を生じ、また、当該構成文字は、辞書等に採録されていないものであり、特定の意味合いを生ずることのない一種の造語というべきものであることから、特定の観念は生じないものである。 そこで、本件商標と引用商標1及び引用商標2を比較すると、外観においては、全体の構成文字数や、文字の種類等が明らかに相違するから、外観上、判然と区別できるものである。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「アラウドットコム」の称呼と、引用商標から生じる「アラウ」の称呼とを比較すると、構成音数や「ドットコム」の音の有無において顕著に相違し、称呼上、明瞭に聴別できるものである。 また、観念においては、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者を比較することはできない。 してみれば、本件商標と引用商標1及び引用商標2は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において明らかに相違するものであるから、これらを総合的に考慮すれば、両者は、非類似の商標である。 イ 引用商標3との類否について 引用商標3は、前記第2のとおり、「アラウ.」の文字からなり、その構成文字に応じて「アラウ」の称呼を生ずるものである。 また、該構成文字は、「洗う」の語の片仮名表記に通じる場合があり、これより「水などですすぎ清める。よごれを落とす。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の意味を理解させる場合もあるものとみるのが相当である。 そこで、本件商標と引用商標3を比較すると、外観においては、全体の構成文字数や、文字の種類等が明らかに相違するから、外観上、判然と区別できるものである。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「アラウドットコム」の称呼と、引用商標から生じる「アラウ」の称呼とを比較すると、構成音数や「ドットコム」の音の有無において顕著に相違し、称呼上、明瞭に聴別できるものである。 また、観念においては、引用商標3から「水などですすぎ清める。よごれを落とす。」の観念が生ずる場合があるとしても、本件商標は特定の観念を生じないものであるから、観念上、紛れるおそれはない。 してみれば、本件商標と引用商標3は、外観及び称呼において明らかに相違し、観念においても紛れるおそれはないから、これらを総合的に考慮すれば、両者は、非類似の商標である。 (3)小括 以上より、本件商標は、引用商標とは非類似の商標である。 したがって、本件商標は、指定商品及び指定役務の類否について判断するもでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の周知著名性について 申立人は、申立人の業務に係る台所用せっけん、洗濯用せっけん、各種せっけん、ボディソープ、せっけんシャンプー、ヘアコンディショナー、歯磨き、歯ブラシ等の商品について、引用商標を使用しており、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、育児世代を中心とする需要者の間に一定程度知られていることがうかがわれる。 しかしながら、上記1で検討したとおり、商品の販売実績や、商品カタログの配布実績、広告実績を裏付ける客観的な証拠は見いだせず、引用商標は、我が国において使用された結果、登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものであると認めることはできない。 (2)本件商標と引用商標の類似性の程度について 上記2で検討したとおり、本件商標は、「洗う.com」の構成文字全体をもって一連一体の商標と把握するのが相当であり、「arau.」又は「アラウ.」の文字からなる引用商標と、外観、称呼及び観念を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、類似性の程度は高いとはいえないものである。 (3)本件商標に係る申立商品及び役務と引用商標に係る商品の関連性、需要者の共通性について 本件商標に係る申立商品及び役務中の第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き」、第21類「デンタルフロス,歯ブラシ」及び第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、引用商標に係る商品である「台所用せっけん、洗濯用せっけん、ボディソープ、せっけんシャンプー、ヘアコンディショナー、歯磨き、歯ブラシ」等とは、商品同士の関係においては、商品の製造・販売者、原材料が一致する場合が多く、商品と小売役務の関係においては取扱商品が共通するといえ、商品の販売場所と役務の提供の場所が共通する場合も少なくないものである。そして、いずれも一般的な需要者を対象とするものといえることから、本件商標に係る申立商品及び役務と引用商標に係る商品は、関連性があり、需要者が共通する場合も少なからずあるとみるのが相当である。 (4)出所の混同のおそれについて 上記(1)ないし(3)のとおり、本件商標に係る申立商品及び役務と引用商標に係る商品は、関連性があり、その需要者の範囲を共通にするものであるとしても、引用商標については、一定程度の周知性はうかがえるものの、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものとまではいい難く、かつ、本件商標と引用商標との類似性の程度は高いとはいえないものであることからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、本件商標の「洗う」の文字部分のみに着目して、申立人に係る引用商標を連想又は想起するものということはできない。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれを申立商品及び役務について使用しても、これに接する取引者、需要者は、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 なお、申立人は、「引用商標は、申立人の事業の出所を表示する主要かつ重要な商標であり、ハウスマークと同格である。」旨主張している。 しかしながら、引用商標は、申立人にとって「アラウ.シリーズ」(甲6の32)として重要商標と位置づけられるものであるとしても、上記1のとおり、需要者の間で周知著名なものとはいえず、ハウスマークと同格とはいい難いものであるから、かかる申立人の主張は採用できない。 その他、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 オ 小括 以上のとおり、本件商標は、商標権者がこれを申立商品及び役務について使用しても、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号該当性について 引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で広く認識され周知になっていたということはできず、本件商標は、上記2において検討したとおり、引用商標とは、非類似の商標である。 また、本件商標出願時において、商標権者が引用商標を知っていたとしても、直ちに本件商標が引用商標の有する強力な顧客吸引力へのただ乗り又は希釈化を意識した不正の目的をもって出願されたものということはできない。 その他、商標権者が、本件商標を不正の目的をもって使用していると認めるに足りる証拠及び事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり、本件商標は、申立商品及び役務について、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(引用商標1、引用商標2) |
異議決定日 | 2018-08-29 |
出願番号 | 商願2017-8970(T2017-8970) |
審決分類 |
T
1
652・
263-
Y
(W032135)
T 1 652・ 261- Y (W032135) T 1 652・ 271- Y (W032135) T 1 652・ 262- Y (W032135) T 1 652・ 222- Y (W032135) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 白鳥 幹周 |
特許庁審判長 |
冨澤 美加 |
特許庁審判官 |
真鍋 恵美 鈴木 雅也 |
登録日 | 2018-01-12 |
登録番号 | 商標登録第6009693号(T6009693) |
権利者 | 株式会社マッシュホールディングス |
商標の称呼 | アラウドットコム、アラウコム、アラウ |
代理人 | 山田 卓二 |
代理人 | 田中 陽介 |
代理人 | 森脇 靖子 |