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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W303543
管理番号 1344097 
異議申立番号 異議2017-900141 
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-02 
確定日 2018-08-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第5918861号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5918861号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5918861号商標(以下「本件商標」という。)は,「大茶会」の文字を標準文字で表してなり,平成28年6月22日に登録出願,第30類「茶,茶飲料」,第35類「茶の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として,同29年1月13日に登録査定,同年2月3日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,商標法第3条第1項第3号,同法第4条第1項第15号及び同第16号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第48号証を提出した(枝番号を含む。)。
1 「大茶会」について
「大茶会」は大規模な茶会を意味するものであり,「茶会」は「客を招き,作法にのっとって茶を供する集まり,茶の会,茶事,茶の湯」(広辞苑第6版)の意味を有する。
「大茶会」は,歴史的には,天正15年10月1日に京都北野天満宮境内において関白太政大臣・豊臣秀吉が主催した大規模な茶会「北野大茶会」が有名であるが,現代でも観光地や茶の産地で,大規模な茶会の標章として頻繁に使用されている(甲2?甲48)。
2 「大茶会」の主催者・開催場所
都府県や市などの地方公共団体,茶業団体,茶道団体,観光協会,新聞社などが広い場所で行う大規模なものである。
「大茶会」の表示は,地名などと一連に表記されるもの,「大茶会」を付記した文字とは異なる大きさや書体で表示したものなどある。地名などは記述的名称であり,地名と「大茶会」とは分離して観察される。
地名と「大茶会」の書体や大きさを分けたものも「大茶会」とは分離して観察される。
3 本件商標と第30類「茶,茶飲料」について
「大茶会」は,日本各地の茶の産地や,歴史や由緒ある茶席,観光地などの各地で長年にわたり,多数の参加者を集めて開催されているから,「大茶会」商標は前記「大茶会」で提供される茶,販売される茶飲料を想起させ,商品の提供場所・販売場所を表示するものとして識別力を生じない。
したがって,「大茶会」では,各地の「大茶会」で供され,または販売される茶,茶飲料を想起させ,第30類の茶において,需要者間で誤認混同を生じるおそれがあるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
また,「大茶会」が個別の商品に直接に使用されていない場合には,小売役務の商標としての使用と考えられ,需要者が各地で開催される「大茶会」で販売される茶と誤認混同するおそれがあるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 本件商標と第35類「茶の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について
「大茶会」では,催事として,「お茶」の販売を行なう場合があり,販売場所を示す語と認識され,自他商品識別力を生じない。
第35類の小売商標において,茶の小売が行われているから,茶の小売りに際しては,販売場所を示しており,自他商品識別力がなく,商標法第3条第1項第3号に該当する。
また,「大茶会」は,長年にわたり各地で行われていることから,慣用商標化して,需要者が誤認混同を生じるおそれがあるから,商標法第4条第1項第15号及び同第16号に該当する。
5 本件商標と第43類「飲食物の提供」について
「大茶会」では,全国で行われる殆どの「大茶会」で有料の茶席が設けられており,無料の場合も茶道の各流派の宣伝活動の一環として業として行っており,「飲食物の提供」との関係では「茶の提供」に相当する。
したがって,第43類「飲食物の提供」において「大茶会」は本件商標の出願時および登録時において,各地で開催される「大茶会」として広く認識され,「大茶会」は,茶席の提供の場所を示すものとして識別力を生じないから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
6 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号,同法第4条第1項第15及び同第16号に該当し,同法第43条の2第1項により取り消されるべきである。

第3 本件商標に対する取消理由通知
当審において,商標権者に対し平成29年8月29日付で通知した本件商標の取消理由は,次のとおりである。
1 「大茶会」の語について
(1)申立人の提出した証拠(各項の括弧内に掲記。なお,証拠中の枝番を有するものにおいて,枝番を特に明記しない場合は,枝番の全てを含むものである。)によれば,以下の記載が認められる。
ア 「東京大茶会2011?2017」の名称の茶会は,平成23年から同29年までに年に1回,江戸東京たてもの園等(東京都)で開催された又は開催予定のものであり,その主催者は,東京都,東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)等である(甲3)。例えば,「東京大茶会2011」の案内サイトには,「ひとをおもてなしする。茶道のこころの原点体験/伝統ある茶文化を育んできた江戸・東京の文化を知ってもらうため,風情ある都内二ヶ所の会場で大規模な茶会を開催します。茶道に馴染みのない方や,海外から観光で訪れた方など,誰でも気軽に日本の伝統文化『茶の湯』を楽しんでいただけます。」と記載されている(甲3の1)。そして,「東京大茶会」は,いずれの年も「茶席」や「野点」等を内容とする茶会の催しがされ,参加料を支払う形式の茶会である。
イ 「OZONE夏の大茶会」の名称の茶会は,平成14年から同19年までに年に1回,リビングデザインセンターOZONE(東京都)で開催され,その主催者は,リビングデザインセンターOZONEであった。この茶会では,中国茶をはじめとする茶,茶器等の販売も同時に行われた(甲4)。
ウ 「備前焼大茶会」の名称の茶会は,平成24年に,東京ミッドタウン(東京都)で開催された参加費無料のものであり,その主催者は,協同組合岡山県備前焼陶友会等であった(甲6)。
エ 「日本平大茶会」の名称の茶会は,昭和61年,平成2年及び同4年に,日本平ホテル(静岡県)で開催された静岡県の茶道各流派が参加したものであり,その主催者は,日本平大茶会実行委員会であった。この茶会では「呈茶券」が販売された(甲7)。
オ 「春の各流大茶会」の名称の茶会は,昭和61年及び平成5年に,松菱(静岡県)で開催されたものであり,その主催者は,静岡県西部茶道各流であった。この茶会では「呈茶券」が販売された(甲8)。
カ 「駿府各流大茶会」の名称の茶会は,平成5年,同8年及び同28年に,静岡伊勢丹(静岡県)で開催されたものであり,その主催者は,駿府各流大茶会実行委員会であった。この茶会では「呈茶券」が販売された(甲9)。
キ 「世界お茶まつり2016」は,平成28年に,島田市お茶の郷会場はじめ,静岡県の17箇所等で開催されたイベントであり,イベントの中には,「富士山大茶会」,「世界大茶会」の名称の茶会があり,その主催者は,第6回世界お茶まつり実行委員会であった(甲10)。
ク 「全国お茶まつり 静岡大会in掛川」は,平成24年に,掛川(静岡県)で開催されたイベントであり,イベントの中には,「全国お茶まつり 静岡大会in掛川/大茶会」の名称の茶会(有料)があり,その主催者は,第66回全国お茶まつり静岡大会実行委員会であった(甲11)。
ケ 「O-CHA&アートフェスティバル静岡新茶初摘み大茶会」の名称の茶会は,平成20年,同21年に,静岡県舞台芸術公園(静岡県)で開催されたものであり,その主催者は,静岡県,(社)静岡茶業会議所等であった(甲12)。
コ 「秋の大茶会」の名称の茶会は,平成4年に,松坂屋静岡店開店60年記念として開催された会費制のものであり,その主催者は,松坂屋静岡店であった(甲13)。
サ 「遠鉄百貨店 大茶会」の名称の茶会は,平成22年に,遠鉄百貨店(静岡県)で開催されたものであり,その主催者は,遠鉄百貨店であった(甲14)。
シ 「JAPAN農園大茶会」の名称の茶会は,平成28年に,島田市博物館(静岡県)で開催されたものであり,その主催者は,茶畑びとの会/お茶うけ屋であった(甲15)。
ス 「徳川武家大茶会」の名称の茶会は,平成10年に,静岡市内で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,柳営会であった(甲16)。
セ 「煎茶クルーズ’90日台交流大茶会」の名称の茶会は,平成2年に,剣潭青年活動センター(台湾)で開催されたものであり,その主催者は,全日本煎茶道連盟であった(甲17)。
ソ 「天空の大茶会」の名称の茶会は,平成27年に,白鬚神社(静岡県)で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,諸子沢フロンティアであった(甲18)。
タ 「春の大茶会」の名称の茶会は,平成19年から同27年までに年に1回,文化パルク城陽(京都府)等で開催されたもの(無料)であり,その主催者は,社団法人(後,公益社団法人)京都府茶業会議所等であった。この茶会では,宇治茶等の販売も同時に行われた(甲19)。
チ 「京都吉田山大茶会」の名称の茶会は,少なくとも平成22年,同27年及び同28年に,京都吉田神社(京都府)で開催されたものであり,その主催者は,京都吉田山市民大茶会実行委員会であった。この茶会では,日本各地の茶の販売も同時に行われた(甲20)。
ツ 「祗園大茶會」の名称の茶会は,平成27年に,八坂神社(京都府)等で開催された茶会であり,その主催者は,祗園商店街振興組合であった(甲21)。
テ 「平成の北野大茶会」の名称の茶会は,平成25年に,北野天満宮(京都府)で開催されたものであり,その主催者は,第67回全国お茶まつり京都大会実行委員会であった。この茶会では,京都の名産品の販売も同時に行われた(甲22)。
ト 「利休,モネの見立てた大茶会」の名称の茶会は,平成23年に,アサヒビール大山崎山荘美術館(京都府)等で開催されたものであり,その主催者は,アサヒビール大山崎山荘美術館であった(甲23)。
ナ 「銀閣寺 整備祝い大茶会」の名称の茶会は,平成22年に,銀閣寺(京都府)で開催されたものであり,その主催者は,銀閣寺であった(甲21)。
ニ 「第62回市民大茶会」の名称の茶会は,平成28年に,元離宮2条城(京都府)で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,京都市文化市民局であった(甲25)。
ヌ 「実りの秋の大茶会」の名称の茶会は,平成27年に,夢メッセみやぎ(宮城県)及び京都市勧業館みやこめっせ(京都府)で開催されたものであり,その主催者は,株式会社ルピシアであった。この茶会では,世界・日本各地の茶の販売も同時に行われた(甲27,甲31)。
ネ 「第27回さやま大茶会」の名称の茶会は,平成28年に,県営狭山稲荷山公園(埼玉県)で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,さやま大茶会実行委員会であった。この茶会では,狭山茶などの販売も同時に行われた(甲28)。
ノ 「第7回小江戸川越大茶会」の名称の茶会は,平成25年に,蓮馨寺等(埼玉県)で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,(公社)小江戸川越観光協会であった(甲29)。
ハ 「杜の都大茶会」の名称の茶会は,平成26年から同29年5月までに年に1回,勾当台公園(宮城県)で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,杜の都大茶会実行委員会等であった(甲30)。
ヒ 「秋の黒羽大茶会」の名称の茶会は,平成28年に,須藤製茶工場(栃木県)で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,日本茶インストラクター協会であった(甲31の1,2)。
フ 「西尾大茶会」の名称の茶会は,平成18年に,愛知県西尾市で開催されたものであり,その主催者は,西尾市商工会議所等であった(甲32)。
ヘ 「兼六園大茶会」の名称の茶会は,平成14年,同23年,同25年及び同28年に,兼六園(石川県)で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,石川県茶道協会等であった(甲33)。
ホ 「北陸新幹線開業イベント おもてなし大茶会」の名称の茶会は,平成27年に,JR金沢駅(石川県)で開催されたもの(無料)であり,その主催者は,金沢商工会議所等であった(甲34)。
マ 「黒井の清水大茶会」の名称の茶会は,平成13年,同26年から同28年までに,茨木神社境内(大阪府)で開催されたものであり,その主催者は,茨木商工会議所「黒井の清水大茶会」実行委員会等であった。この茶会では,茨木の物産品の販売も同時に行われた(甲35)。
ミ 「がもよん奉納大茶会」の名称の茶会は,平成28年に,若宮八幡大神宮(大阪府)で開催されたものであり,その主催者は,がもよん文化部であった(甲36)。
ム 「秀吉大茶会」の名称の茶会は,平成27年に,太閣園(大阪府)で開催されたものであり,その主催者は,不明である(甲37)。
メ 「太閣を偲ぶ 有馬大茶会」は,平成24年,同25年,同27年及び同28年に,瑞宝寺公園等(兵庫県)で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,社団法人有馬温泉観光協会であった(甲38)。
モ 「須磨大茶会」の名称の茶会は,平成24年から同28年4月までに年に1回,須磨寺(兵庫県)で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,須磨大茶會運営協議会であった(甲39)。
ヤ 「奈良大茶会 珠光茶会」の名称の茶会は,平成29年2月に,奈良県内の8社寺で開催されたものであり,平成26年から始まったものであって,その主催者は,奈良観光等であった。この茶会では,茶の販売も同時に行われた(甲40)。
ユ 「栄西禅師賛仰献茶式・大茶会」の名称の茶会は,平成28年4月に,後楽園(岡山県)で開催された茶会であり,その主催者は,栄西禅師賛仰会等であった(甲41)。
ヨ 「松江城大茶会」の名称の茶会は,平成26年から同28年までに年に1回,松江城山公園等(島根県)で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,山陰中央新報社であった(甲42)。
ラ 「河原城春の大茶会」の名称の茶会は,平成28年に,河原城イベント広場(鳥取県)で開催されたものであり,その主催者は,鳥取市等であった。この茶会では,茶,その他の食品の販売も同時に行われた(甲43)。
リ 「萩大茶会」の名称の茶会は,平成22年,同25年,同26年及び同28年5月に,萩城跡指月公園等(山口県)で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,萩・大茶会実行委員会等であった(甲44)。
ル 「ときわ公園市民大茶会」の名称の茶会は,平成26年に,宇部市ときわ公園(山口県)で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,一般社団法人宇部観光コンベンション協会であった(甲45)。
レ 「各流合同福岡市民大茶会」の名称の茶会は,平成24年,同26年及び同28年に,大濠日本庭園(福岡県)で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,福岡茶道文化連盟であった(甲46)。
ロ 「福智スイーツ大茶会」の名称の茶会は,平成27年及び同28年に,福智町金田ドーム(福岡県)で開催されたものであり,その主催者は,不明である。この茶会では,様々な食品等が販売された(甲47)。
ワ 「日本一の大茶会」の名称の茶会は,平成27年に,八女中央大茶園展望台(福岡県)で開催されたもの(有料)であり,その主催者は,日本一茶会実行委員会であった(甲48)。
(2)前記(1)で認定した事項によれば,(a)「大茶会」の語は,日本各地の地名(観光地を含む。),季節名,歴史上著名な人物名等(以下「地名や事物等」という。)と結合して,「○○大茶会」のような構成の名称により,日本各地で開催されている茶会であって,本件商標の登録査定日(平成29年1月13日)までに,「規模の大きな茶会」といえる催し物の名称として多数使用されていたこと,(b)これら大茶会の主催者は,地方公共団体,茶業団体,茶道団体,観光協会,新聞社,企業など様々であり,各大茶会の茶席等において提供される茶は,有料のものがあれば,無料のものもあること,(c)大茶会を開催する目的の一つに,茶及び茶に関連した商品の普及・販売促進を図ることもあり,大茶会において,茶や茶を原材料に使用した食品等の販売が普通に行われていたことなどを認めることができる。
そして,「大茶会」に係るこのような実情は,本件商標の登録査定時において,広く一般に認識されていたとみるのが相当である。
2 本件商標の商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は,「大茶会」の文字を標準文字で表してなるものであるところ,その構成中の「茶会」の文字部分は,「客を招き,作法にのっとって茶を供する集まり。茶の会。茶事。茶の湯。さかい。」を意味する語である(広辞苑第六版)から,本件商標は,全体として,「規模の大きな茶会(客を招き,作法にのっとって茶を供する集まり)」なる意味合いを表したと理解されるものである。
また,「大茶会」は,一年を通して日本各地において「規模の大きな茶会」といえる催し物として多数開催されているものであり,地方公共団体,茶業団体,茶道団体,観光協会,新聞社,企業等が様々な目的をもって開催され,茶及び茶に関連した商品の普及・販売促進とともに,地域の活性化に寄与しているものといえる。
そして,これらの大茶会の名称は,「○○大茶会」における「○○」の部分が,大茶会が開催される地域の名称や当該地域の特徴を捉えた語などが使用されて初めて,開催される大茶会の名称を特定するものと認識しているということができる。
一方,本件商標の指定商品及び指定役務は,茶及び茶を原材料とする茶飲料並びに茶・茶飲料の小売等役務及び茶の提供を含む役務であって,これらの商品及び役務は,一般的に商品の産地や役務の提供の用に供する物(茶)の産地が,商品を購入する場合や役務の提供を受ける場合の選択の重要な要素の一つとなるといえるから,その需要者が地名や事物等と結合した「大茶会」の名称からなる商標に接したときは,「大茶会」の語に冠される地名や事物等の部分に高い関心を持つのが一般的であり,「大茶会」の語には格別注意を払わないのが実情といえる。
してみると,地名や事物等と結合した「大茶会」の語が日本各地で多数使用され,かつ,地名や事物等と「大茶会」の語が結合して初めて,開催される大茶会の名称として特定されている実情並びに茶・茶を原材料とする茶飲料及び茶に関連する催し物等に使用される商標に対する需要者の認識を併せ考慮すると,「大茶会」の文字のみよりなる本件商標を,その指定商品及び指定役務について使用した場合,その需要者は,該商品及び役務がいずれの「大茶会」において,取り扱われた商品・役務であるかを明確に把握・認識することができないというべきである。
そうとすれば,本件商標は,需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができない商標と解されるから,本件商標をその指定商品及び指定役務について使用しても,自他商品・自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。

第4 商標権者の意見
商標権者は,前記第3の取消理由通知に対し,平成29年10月10日付けで意見書を提出し,その要旨を以下のように述べた。
1 本件商標の商標法第3条第1項第6号該当性について
(1)取消理由通知書において指摘された使用例について
取消理由通知書において前記第3 1(1)アないしワの使用例を示し,本件商標が商標法第3条第1項第6号に該当すると認定した。
しかしながら,商標の自他商品・役務の識別力は,常に指定商品・役務との関係で考慮されなければならない。取消理由通知において示された使用例によれば,「大茶会」の語は,「規模の大きな茶会」程の意味合いで,「○○大茶会」のような構成の名称により各地で開催される茶会の名称として使用されていることが示されているが,これらの使用例は全て,「茶会の運営又は開催」に関するものであり,本件商標の指定商品及び指定役務に関するものではない。
ここで,「茶会の運営又は開催」は,類似商品・役務審査基準上,第41類「お茶会・お茶事の企画・運営又は開催」(類似群コード41F06)に属するものと考えられる(乙1)。一方,本件指定商品及び指定役務は,第30類「茶,茶飲料」(類似群コード29A01),第35類「茶の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(類似群コード29A01,35K03),第43類「飲食物の提供」(類似群コード42B01)であり,本件指定商品及び指定役務と,使用例に係る第41類の「お茶会・お茶事の企画・運営又は開催」とは,特許庁の審査基準からも非類似の商品及び役務であることが明らかである。そして,両者は,取引の実情をみても営業主,用途,提供場所などが異なり,相互に関連性のない別異のものである。
使用例では,一部の茶会において茶の販売や提供が行われていることが示されているが,そのような例はわずか数例であり,しかも,当該商品又は役務の出所を表すものとして「○○大茶会」の語が使用されている事実は示されていない。また,取消理由通知において示された使用例はすべて「○○大茶会」の構成よりなるものであり,「大茶会」単独で使用されている事実は見受けられない。
したがって,取消理由通知において示された「茶会の運営又は開催」についての「○○大茶会」の使用例は,本件指定商品及び指定役務との関係では,本件商標が識別力を有しないことの根拠にはなり得ない。
(2)本件指定商品及び指定役務との関係における「大茶会」の文字の自他商品等識別機能について
取消理由通知書において,本件商標は「自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないもの」と認定している。
しかしながら,仮に,需要者が地名や事物等と結合した「大茶会」の名称からなる商標に接したときに「地名や事物等の部分に高い関心を持ち,『大茶会』の語に格別注意を払わない」としても,それが「『大茶会』の文字が本件指定商品及び役務との関係で自他商品等識別機能を発揮し得ない」ことの根拠とはなり得ないことは明らかであり,この点に関する論理には,飛躍があるといわざるを得ない。
また,需要者が,該商品及び役務がいずれの「大茶会」において取り扱われた商品・役務であるかを明確に把握・認識することができないことと,本件商標に識別力がないことに因果関係があるとはいえない。
そうすると,本件商標は,本件指定商品又は役務の内容を記述的に表示するものではなく,該商品及び役務の分野において他者に使用されている事実も見受けられないため,十分に自他商品等識別力を発揮するものといえる。
(3)登録例及び審決例
会や行事,イベントを表す文字より構成される商標が多数登録されているところ,これらの商標を構成する文字はいずれも,それぞれ人が集まる催し物の意味合いを認識させ,そのような催し物においては指定商品の提供や販売が行われることが想定されるが,いずれも指定商品及び指定役務の識別標識として機能し得るものと判断され,その登録が認められている(乙2?乙12)。
また,商標の文言構成上,一般的な名称又は役務の提供場所と認識され得る商標であったとしても,指定商品及び指定役務との関係では自他商品・役務識別力を有すると判断された審決例が散見される(乙13?乙15)。
かかる登録例及び審決例における判断からみても,本件商標は,本件指定商品及び指定役務との関係で,自他商品・役務識別標識として十分に機能し得る。
(4)上述のとおり,本件商標は,本件指定商品及び指定役務との関係において,自他商品・役務識別機能を有するものであり,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標には該当しない。
したがって,商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものではない。
2 本件商標の出願意図について
商標権者は,少なくとも平成26(2014)年9月頃より,商品「茶」の販売促進用のぼりやポスターに「大茶会」の文字を使用している(乙16?乙23)。
また,「茶」の販売等に用いる商談用のパンフレットにおいて,「大茶会」の文字を使用しており,該商談用のパンフレットをみると,「大茶会」の文字が付されたポスター等多数の物品が商品「茶」に関する販売促進用の物品として掲載されている(乙24)。さらに,「茶」を販売する自動販売機に「大茶会」の文字を使用している(乙25)。
商標権者が本件商標を取得したのは,このような本件指定商品及び指定役務について,商標権者自身の使用を確保したいとの意図に基づいたものである。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
(1)商標法第3条第1項第6号の趣旨
商標法は,「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条),商標の本質は,自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり,この自他商品の識別標識としての機能から,出所表示機能,品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは,同項第1号ないし第5号に例示されるような,識別力のない商標は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成22年1月27日判決 平成21年(行ケ)第10270号,知財高裁平成25年1月10日判決 平成24年(行ケ)第10323号)。
(2)本件商標について
本件商標は,「大茶会」の文字を横書きしてなるものであるところ,その構成中の「大」は,「おおきいこと。おおきいもの。」(広辞苑第六版,岩波書店発行)など(中・少に対する)最上級のものに添える語とされており,また,「茶会」は,「客を招いて,作法にのっとって茶をたて,もてなす会」(デジタル大辞泉,小学館発行),「客を招いて茶を供する会合の総称」(世界大百科事典第2版,平凡社発行),「客を招き,抹茶または煎茶をたててもてなす会」(大辞林第三版,三省堂発行)として一般に知られている語であるから,該「大茶会」の文字(語)は,成語を表すものとはいえないが,全体として,「大規模な茶会(客を招き,作法にのっとって茶をたて,もてなす会)」程の意味合いを表したものと理解されるものといえる。
(3)「大茶会」の語について
本件商標を構成する「大茶会」の語は,前記第3の取消理由通知で示した証拠によれば,「大規模な茶会」を意味するものとして,(a)日本各地の地名(観光地を含む。),季節名,歴史上著名な人物名等(以下「地名や事物等」という。)と結合して,日本各地のそれぞれの風土や文化等に即した名称を形成して,多数使用されていたこと(甲3,甲13,甲19?甲21,甲32?甲42等),(b)これら大茶会の主催者は,地方公共団体,茶業団体,茶道団体,観光協会,新聞社,企業など様々であり,各大茶会の茶席等において茶が提供され,また,その大茶会において,茶及び茶に関連した商品などの販売がされていること(甲4,甲19?20,甲27?28,甲31,甲35,甲40,甲43,甲47等),(c)大茶会を主催する目的のーつに,日本伝統の茶道(湯を沸かし,茶を点て,茶を振る舞う行為)によるおもてなしを行い,地域の活性化に寄与していること(甲3,甲12,甲34及び甲35等),などを認めることができる。
そうすると,日本各地で開催されている大茶会は,例えば,「東京大茶会」(甲3),「兼六園大茶会」(甲33),「有馬大茶会」(甲38),「松江城大茶会」(甲42)などのように,地名や事物等と「大茶会」の語が結合して,それぞれの風土や文化等に即した「茶」に関する催事(イベント等)の名称として使用されているものであるから,「大茶会」の語は,催事に一般的に使用される標章として,また,催事における催し物の内容を表示するものとして,需要者に理解,認識されているといえるものである。
(4)本件商標の識別性について
「大茶会」の語は,「大きな茶会」程の意味合いを理解させるものであって,催事(イベント等)における標章として,催し物の内容を表示するものである。
そして,各大茶会においては,茶や茶に関連した商品などの販売が行われているところである。
そうすると,本件指定商品及び指定役務中の「茶,茶飲料」の商品,又は,取扱いに係る商品が「茶,茶飲料」である「茶の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務についてみると,「大茶会」の文字を「茶,茶飲料」の商品又は小売等役務について使用した場合,その商品が催事である大茶会において,販売や頒布される商品や小売等役務において取扱いに係る商品の「茶」や「茶飲料」であると理解されるにとどまるといえるものであるから,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であると認識することができないものというべきであり,「大茶会」の語それ自体に,自他商品又は自他役務の識別力が備わっているということはできない。
また,本件商標の指定商品及び指定役務中の「飲食物の提供」の役務についてみると,例えば,各大茶会において提供される茶の茶席料として,「呈茶券」が有料販売され(甲7?甲9),茶の提供(例えば,「茶を主とする飲食物の提供」)のサービスが,他人のためにする労務又は便益として催し物である大茶会において取引の対象として行われているといえるものである。
そうすると,「大茶会」の文字を,その指定商品及び指定役務中の「飲食物の提供」の役務について使用した場合,これに接する者をして,その役務が催事である大茶会において,提供される役務の「飲食物の提供」であると理解されるにとどまるといえるものであるから,需要者が何人かの業務に係る役務であると認識することができないものというべきであり,「大茶会」の語それ自体に,自他役務の識別力が備わっているということはできない。
してみれば, 本件商標は,上記した「茶,茶飲料」,「茶の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び「飲食物の提供」の指定商品及び指定役務については,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標である。
そして,以上のように,「大茶会」の文字は,「大きな茶会」程の意味合いを理解させるものであって,催事(イベント等)における標章として,催し物の内容を表示するものであるから,本件商標の指定商品及び指定役務についても,該文字が使用される場合が想定されるものであって,一般的に使用され得る標章であるといえることに照らすと,本件商標は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,自他商品又は自他役務の識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものであるといわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 商標権者の主張について
(1)商標権者は,「商標の自他商品・役務の識別力は,常に指定商品・役務との関係で考慮されなければならない。取消理由通知において示された使用例によれば,・・・これらの使用例は全て,『茶会の運営又は開催』に関するものであり,本件商標の指定商品及び指定役務に関するものではない。・・・また,取消理由通知において示された使用例はすべて『○○大茶会』の構成よりなるものであり,『大茶会』単独で使用されている事実は見受けられない。したがって,取消理由通知において示された『茶会の運営又は開催』についての『○○大茶会』の使用例は,本件指定商品及び指定役務との関係では,本件商標が識別力を有しないことの根拠にはなり得ない。」旨を主張している。
しかしながら,たとえ,取消理由通知において示した使用例が「茶会の運営又は開催」に関するものであるとしても,本件商標は,上記1(4)で判断したとおり,各大茶会の開催においては,茶や茶に関連した商品などの販売が行われているところであって,本件指定商品及び指定役務中の「茶,茶飲料」の商品又はその小売等役務について使用した場合,その商品が催事である大茶会において,販売される商品や提供される小売等役務における取扱いに係る商品の「茶」や「茶飲料」であると理解されるにとどまるといえるものであり,また,各大茶会において,茶の提供のサービスが行われているところであって,「飲食物の提供」の役務について使用した場合にも,これに接する者をして,その役務が催事である大茶会において,提供される役務の「飲食物の提供」であると理解されるにとどまるといえるものであるから,商標法第3条第1項第6号に規定されている「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」に該当すると認められるものである。
また,取消理由通知において示した使用例が「○○大茶会」の構成よりなるものであって,「大茶会」単独で使用されていないとしても,すべての使用例に用いられる「大茶会」の語は,「大きな茶会」程の意味合いにおいて使用され,認識されるものである。示した使用例は,「大茶会」の語が催事(イベント等)における標章として使用され,催事の開催の場において,「茶,茶飲料」等の販売や,「茶の提供」が行われているものであるから,本件指定商品及び指定役務との関係においては,本件商標が識別力を有しないことの根拠になるものというべき実情を示すものである。
(2)商標権者は,本件指定商品及び指定役務との関係における「大茶会」の文字の自他商品等識別機能について,「・・・また,需要者が,該商品及び役務がいずれの『大茶会』において取り扱われた商品・役務であるかを明確に把握・認識することができないことと,本件商標に識別力がないことに因果関係があるとはいえない。そうすると,本件商標は,本件指定商品又は役務の内容を記述的に表示するものではなく,該商品及び役務の分野において他者に使用されている事実も見受けられないため,十分に自他商品等識別力を発揮するものといえる。」旨を主張している。
しかしながら,本件商標がその指定商品又は指定役務の内容を記述的に表示するものではなく,該商品及び役務の分野において他者に使用されている事実も見受けられないとしても,「大茶会」の文字を「茶,茶飲料」の商品又は小売等役務について使用した場合,その商品が催事である大茶会において,販売や頒布される商品や小売等役務において取扱いに係る商品が「茶」や「茶飲料」であると理解されるにとどまるといえるものであるし,また,「飲食物の提供」の役務についてみても,「大茶会」の文字を,その役務について使用した場合,これに接する者をして,その役務が催事である大茶会において,提供される役務の「飲食物の提供」であると理解されるにとどまるといえるものであるから,いずれの場合においても,需要者が何人かの業務に係る役務であると認識することができないものというべきであり,「大茶会」の語それ自体に,自他役務の識別力が備わっているということはできない。
(3)商標権者は,本件商標の出願意図について,「少なくとも平成26(2014)年9月頃より,商品『茶』の販売促進用のぼりやポスターに『大茶会』の文字を使用している。また,『茶』の販売等に用いる商談用のパンフレットにおいて,『大茶会』の文字を使用しており,該商談用のパンフレットをみると,『大茶会』の文字が付されたポスター等多数の物品が商品『茶』に関する販売促進用の物品として掲載されている。さらに,『茶』を販売する自動販売機に『大茶会』の文字を使用している。商標権者が本件商標を取得したのは,このような本件指定商品及び指定役務について,商標権者自身の使用を確保したいとの意図に基づいたものである。」旨を主張している。
しかしながら,本件商標の「大茶会」の文字は,「大きな茶会」程の意味合いを理解させるものであって,催事(イベント等)における標章として,催し物の内容を表示するものであるから,商標権者自身の使用の意図や個別の事情とは関係なく,上記1のとおり,識別力のない商標として商標登録できないものである。
そして,「大茶会」の文字は,本件商標の指定商品及び指定役務についても,使用される場合が想定されるものであって,加えて,商標権者も使用していると述べていることなどからすれば,該文字は,一般的に使用され得る標章であるといえるものであるから,本件商標は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるといわざるを得ない。
よって,商標権者の主張は,いずれも採用することができない。
3 むすび
したがって,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第6号に該当し,同法第3条の規定に違反してされたものといわざるを得ないから,同法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2018-07-12 
出願番号 商願2016-67841(T2016-67841) 
審決分類 T 1 651・ 16- Z (W303543)
最終処分 取消 
前審関与審査官 旦 克昌 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 薩摩 純一
田中 幸一
登録日 2017-02-03 
登録番号 商標登録第5918861号(T5918861) 
権利者 株式会社 伊藤園
商標の称呼 ダイチャカイ 
代理人 中川 拓 
代理人 宮田 佳代子 
代理人 新井 悟 
代理人 西 良久 
代理人 特許業務法人RIN IP Partners 
代理人 和田 阿佐子 
代理人 宮城 和浩 
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