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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z26
管理番号 1344063 
審判番号 取消2017-300499 
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-07-07 
確定日 2018-09-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第4427475号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4427475号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成11年12月3日に登録出願,第26類「編みレース生地,刺しゅうレース生地,組みひも,テープ,リボン,房類,ボタン類,針類,編み棒,裁縫箱,裁縫用へら,裁縫用指抜き,針刺し,針箱(貴金属製のものを除く。),被服用はとめ,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,腕止め,頭飾品,つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。),靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具,造花,漁網製作用杼,メリヤス機械用編針」を指定商品として,同12年10月27日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成29年7月25日にされたものである(以下,本件審判の請求の登録前3年以内を「本件要証期間内」という。)。

2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を以下のように述べた。
(1)請求の理由
請求人が種々調査した結果,本件商標は,商標権者により,少なくとも過去3年以内に日本国内でその指定商品には使用されていないことが判明した。したがって,本件商標は取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人の答弁に対して弁駁していない。

3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)被請求人及び株式会社イングラムについて
被請求人は,主として「キャラクター等の無体財産の企画及び著作権,商標権,意匠権の管理業務」等を業とする企業である(乙2)。また,株式会社イングラム(以下「イングラム社」という。)も同様に,いわゆるキャラクタービジネスを業とする企業である(乙3)。本件商標権者の代表者は,イングラム社の取締役も兼務しており,両社が連携してビジネスを行うことも多い(乙4)。本件商品も,イングラム社の販売ルートにて販売された。なお,乙第5号証は,本件商標の使用に関する両社間の「合意書」である。
(2)本件商標及び本件商品について
本件商標は,いわゆるスマイルマークとよばれる図形商標であって,第26類に属する商品を指定して,平成12年10月27日に設定登録された。
本件商品は,主としてポリエステル,レーヨンを素材とし,被服等の任意の場所に,アイロンで熱溶着することができるワッペンであり,本件商標の指定商品に含まれる。本件商標は,本件商品の台紙に表示されている。また,本件商品も,本件商標を形取ったものである。「商品若しくは商品の包装,役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすること」は商標の使用に当たる(商標法第2条第4項第1号)。
(3)本件商標の使用について
ア 乙第6号証の1ないし3は,イングラム社から,本件商品の製造委託先である株式会社いろはism(以下「いろは社」という。)に対する,平成28年7月20日付けの発注書及び加工用の電子データである。
イ 乙第7号証は,本件商品の製造を受託した,いろは社のホームページである。いろは社は,そのホームページから明らかなように,「キャラクターワッペン・刺繍シールワッペン」等の企画製造会社である。本件商品の代金は代引きで(商品と引換えに),平成28年(2016年)8月25日に支払われた(乙8)。
ウ イングラム社は,いろは社から納品された,本件商品150枚のうち,135枚(3色それぞれ45枚)を,平成28年(2016年)8月25日に,オリジナルTシャツの企画・製造・販売会社であり,大阪市に所在する株式会社REGULUS.69(以下「レグルス社」という。)に販売した(乙9?12)。
(4)まとめ
以上のとおり,本件商品は,本件要証期間内に,製造,販売されており,本件商標がその通常使用権者によって使用されたことも明らかである。

4 当審の判断
(1)証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
ア 本件商標権者及びイングラム社は,共にキャラクター等の無体財産の企画及び商標権の管理業務等を行う法人であって,本件商標権者の代表者は,イングラム社の取締役でもある(乙2,3)。
イ 本件商標権者とイングラム社は,平成28年7月1日,本件商標を使用する商品化について合意した。当該合意書には,「1.商品化許諾商品:・・・ワッペン 2.許諾期間:2016年7月1日から1か年(但し,双方に異存なければ自動的に延長される) 3.表示義務:本件商標を用いた商品化許諾商品については,乙(イングラム社)が自ら製造・販売することができる。ただし,上記商品の販売に際しては,総発売元として有限会社ブルーリボンの名称を表示し,同時に,甲(本件商標権者)指定のレジスターマークを商品のパッケージ等に表示しなければならない。」との記載がある(乙5)。
ウ 乙第1号証の1の写真には,別掲2のとおり,黄色地の商品「ワッペン」とその包装台紙とが一体となった商品(以下,色違いのものを含めて「本件使用商品」という場合がある。)が掲載されており,本件使用商品の包装台紙(表面)の右上には,黄色で塗りつぶした円内の上部に目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ,その下に口と思しき両端上がりの弧線を描いた図形(以下「本件使用商標」という。)及びその右下に登録商標であることを表示したものと認められる,○内に「R」の文字が小さく表示されている。
エ 本件使用商品の包装台紙(裏面,乙1の2)には,「品名:スマイルワッペン」,「品番:SMW-015」及び総発売元として本件商標権者の名称の記載がある。
オ イングラム社は,平成28年7月20日,本件使用商品を150枚(イエロー,ブラック,ピンクの3色を各50枚)製造するため,その製造をいろは社(乙7)に発注し,同年8月25日,その商品と引換えに代金をいろは社に支払った(乙1の1・2,6の1?3,8)。
カ イングラム社は,平成28年8月25日,レグルス社に対し,本件使用商品を135枚(イエロー,ブラック,ピンクの3色を各45枚)販売し,同年9月28日,レグルス社は,その購入代金をイングラム社の銀行口座に振り込んだ(乙9?12)。
(2)判断
ア 使用者及び使用時期について
上記(1)の認定事実によれば,本件商標権者から本件商標を用いた商品「ワッペン」等の製造及び販売許諾を受けたイングラム社は,平成28年8月25日,本件使用商品(ワッペン)の包装に本件使用商標を付したものを150枚(イエロー,ブラック,ピンクの3色を各50枚)製造し,同日,そのうちの135枚(イエロー,ブラック,ピンクの3色を各45枚)をレグルス社(大阪市中央区)に販売したものと認めることができる。
したがって,イングラム社は,本件商標に係る通常使用権者であると認められ,また,上記に係る本件使用商品の製造日及び販売日は,いずれも本件要証期間内である。
イ 本件使用商品について
本件使用商品は,「ワッペン」であるから,本件審判の請求に係る指定商品中の「ワッペン」に該当する。
ウ 本件商標と本件使用商標の同一性について
本件商標は,別掲1のとおり,円輪郭線内の上部に目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ,その下に口と思しき両端上がりの弧線を描いた図形よりなるものである。
一方,本件使用商標は,別掲2のとおり,黄色で塗りつぶした円内の上部に目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ,その下に口と思しき両端上がりの弧線を描いた図形よりなるものである。
本件商標と本件使用商標は,円の描き方が輪郭線か色塗りかという違いはあるものの,円内の構成要素は全て共通し,外観において同視される図形からなるといえるものであるから,本件使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
エ 小括
以上によれば,本件商標の通常使用権者であるイングラム社は,本件要証期間内に日本国内において,本件使用商品(ワッペン)の包装に本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を付したものを150枚製造し,そのうちの135枚を国内のレグルス社に対し譲渡し又は引き渡したものと認めることができる。これらの行為は,商標法第2条第3項第1号の「商品の包装に標章を付する行為」及び同項第2号の「商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,…する行為」に該当する。
(3)むすび
以上のとおり,被請求人は,本件商標の通常使用権者が,本件要証期間内に日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品に含まれる本件使用商品(ワッペン)に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(本件使用商品)(色彩については原本参照)


審理終結日 2018-07-11 
結審通知日 2018-07-13 
審決日 2018-07-25 
出願番号 商願平11-110263 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z26)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 田村 正明
早川 文宏
登録日 2000-10-27 
登録番号 商標登録第4427475号(T4427475) 
代理人 小林 彰治 
代理人 鳥海 哲郎 
代理人 田中 克郎 

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