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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1343234 
異議申立番号 異議2018-900093 
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-04-19 
確定日 2018-08-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第6013692号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6013692号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6013692号商標(以下「本件商標」という。)は、「ライフシフト」の片仮名を横書きしてなり、平成29年4月14日に登録出願、第9類「インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,録音済み又は録画済みのコンパクトディスク,電子出版物,電子出版物(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),映写フィルム,スライドフィルム」を指定商品として、同年12月14日に登録査定、同30年1月26日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。
本件商標は、「人生の転換」を意味する「ライフシフト」の文字を普通に用いられる方法で表示したにすぎないものである。
この「ライフシフト」の語は、元々は、ロンドン・ビジネススクールの教授であるリング・グラットン氏らが著した書籍「THE 100-Year Life」が、日本で申立人によって出版される際のタイトルとして採択された言葉であり(甲2)、申立人が販売する書籍を通じて、広く世間で取り上げられ、注目されてきた(甲5?甲20)。
以上より、本件商標を、その指定商品に使用しても、これに接する需要者及び取引者は、「人生の転換を内容とする画像ファイル」、「人生の転換を内容とする録画済みビデオディスク及びビデオテープ」、「人生の転換を内容とする録音済み又は録画済みのコンパクトディスク」、「人生の転換を内容とする電子出版物」、「人生の転換を内容とする電子出版物(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」、「人生の転換を内容とする映写フィルム」、「人生の転換を内容とするスライドフィルム」という程度の商品の内容を認識するにとどまるから、本件商標は商品の内容及び品質を端的に表示したにすぎない。
したがって、本件商標は、自他商品の識別機能を果たし得ないものといわざるを得ず、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、上記以外の商品に本件商標を使用した場合には、商品の内容及び品質について誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号にも該当する。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり構成よりなるところ、その構成中の「ライフ」の文字は、「生涯、人生、一生」の語義を有し、「シフト」の文字は、「移動、移行、転換」の語義を有する(広辞苑第六版)ものとして、我が国において一般によく知られている語であることから、本件商標は、これら二語を結合したものと容易に理解され、その構成全体からは「人生の転換、生涯の移動」程の意味合いを生じるものである。
そうすると、「ライフシフト」の文字は、その語義上の観点からみた場合には、「人生の転換、生涯の移動」の観念(意味合い)を有する語として看取されると認める得るものである。
(2)「ライフシフト」の文字について
申立人提出の証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 新聞記事について
(ア)2017年5月31日付け日本経済新聞朝刊の「大機小機」というコラムには、「複線型ワークの時代」という記事において、「その英国で書かれた、長寿社会を生き抜く指南書「ライフシフト、100年時代の人生戦略」(原題「100年ライフ」)が話題を呼んでいる。人生100年となると、年齢とステージの一致が崩れ、従来の人生モデル-教育、仕事、引退-のワンサイクルだけではもたない。キャリアを何度か中断したり変更したりする必要がある、と説いている。」と掲載されている(甲5)。
(イ)2017年6月10日付け日本経済新聞朝刊には、「問われるセカンドライフ 地域に居場所づくりを」という記事において、「LIFE SHIFT(ライフシフト)100年時代の人生戦略」の書籍(以下「LIFE SHIFT書籍」という。)が紹介され、「衝撃的な内容で注目されたリング・グラットンほか著『LIFE SHIFT』(池村千明訳、東洋経済新報社・2016年)によれば、世界も長寿化へとひた走っている。寿命が延びれば長い老後を支えるため70代も80代も働き、常にスキルを磨き、チャレンジし続けなければならない。今までの「教育・仕事・引退」という単純なコースを捨て、多様な仕事ステージを生きる人生戦略へとシフトせよ。それが長寿社会を恩恵として生きる選択だ、と論じられている。」と掲載されている(甲6)。
(ウ)2017年6月25日付け国際イベントニュースには、「“目に見えない”資産で長寿化時代を生き抜く」という記事において、「LIFE SHIFT書籍」が紹介され、「今20歳の5割超えが100歳以上生きると予測されている。この長寿化時代では、これまでの「教育→仕事→引退」という3つのステージでは、生涯を全うすることができないという著者の主張のもと、マルチステージの人生を主体的に生きる方法について展開する。大事なのはただお金を稼ぐことだけでなく、スキル、家族や友人との関係、『変身』の経験など目に見えない資産を築くことだと説く。」と掲載されている(甲7)。
(エ)2017年7月17日付け日経MJには、「労働力人口の17%に ミス補償する保険も」という記事において、「ライフシフト 100年時代の人生戦略(東洋経済新報社)。教育→仕事→引退といったステップがなくなり生涯現役の時代になる、と著者は指摘する。」と掲載されている(甲8)。
(オ)2017年9月12日付け朝日新聞のコラム「天声人語」には、「『ライフシフト』で、日本の銀杯が予算抑制でめっきに格下げされたと紹介した▼そのグラットン教授が来日し、首相官邸できのう開かれた『人生100年時代構想会議』で提言した。『従来の社会は教育→仕事→引退の単線型。今後は教育と仕事、家庭を自在に行き来できる社会が必要になる』。」と掲載されている(甲9)。
(カ)2017年9月12日付け読売新聞には、「『人生100年』へ制度改革」という記事において、リンダ・グラットン教授が「人生100年時代構想会議」で「長寿化に伴う新たな人生のあり方を提言した。『教育』、『仕事』、『引退』という三つのステージを順番に経験する従来の発想から脱し、『人生100年時代』では、人生設計を変えるべきだと主張した。」と、また、「長寿社会設計手探り」という記事において、「長寿社会では、大学や高校まで教育を受けた後に就職し、高齢になったら定年退職などで引退するという『人生の三つのステージを経る単線型からマルチステージ(複線型)の人生を送るようになる』との理由からだ。長寿時代には多くの人が70?80歳まで働くようになるとし、年齢にとらわれない多様な学び方や、柔軟な働き方が重要だというのがグラットン氏の主張だ。」と掲載されている(甲10)。
イ 雑誌記事について
(ア)2016年12月3日付け「週刊ダイヤモンド」には、「目利きのお気に入り」という記事において、「到来する人生100年時代」というタイトルの下、「LIFE SHIFT書籍」が紹介され、「『LIFE SHIFT』は、人生100年という長寿時代の生き方に関する迫真のケーススタディーで、従来の常識では計り知れない未来が迫っているのを実感させられます。教育・仕事・老後の3ステージではなく、仕事の時代がもう一度あるマルチステージの時代。そのために陳腐化する能力をいかに再生するか。著者は、無形資産、特に『ポッセ』という仕事の人的ネットワークの重要性を説きます。」と掲載されている(甲11)。
(イ)2017年1月付け「日経情報ストラテジー」には、「LIFE SHIFT書籍」が紹介され、「AIとともに長生きの時代が到来」という記事において、「100歳まで生きるのが普通になったとき、求められる生き方はどのようなものか?そのヒントをくれるのが本書だ。」と掲載されている(甲12)。
(ウ)2017年7月号付け「ozmagazine」には、「USEFUL」という記事で「LIFE SHIFT書籍」が取り上げられ、「誰もが100年生きうる時代をどう生き抜くか。世界で活躍するビジネス思想家が示す『100歳時代の戦略的人生設計書』。目前に迫る長寿社会の働き方や学び方、結婚や子育てをどのように変えていくべきか・・・?」と掲載されている(甲13)。
(エ)2017年6月1日付け「週刊文春」には、「ベストセラー解剖」のコーナーで「LIFE SHIFT書籍」が取り上げられ、「過去二〇〇年間、人の平均寿命は伸び続けてきた。そこから導かれる予測によれば、二一〇七年には主な先進国では半数以上が100歳よりも長生きするのだという。すると、八〇歳程度の平均寿命を前提に〈教育〉〈仕事〉〈引退〉の三段階で考えられてきたライフコースは抜本的に考え直されなければならない。」と掲載されている(甲14)。
(オ)「WORK STYLE BOOK vol.02」には、「本から学ぶ働き方のヒント」という記事で、「LIFE SHIFT書籍」が取り上げられ、「めまぐるしく変化するライフスタイルや平均寿命の引上げに伴い、ワークスタイルも多様化。100年生きる時代に向けて、必要なスキルや知恵を具体的に提案するこの本は、人生のコーディネーターとも言えます。」と掲載されている(甲15)。
(カ)2018年1月号の「プレジデントウーマン」では、「読者が選んだ最高の感動本&影響を受けた本」という記事で、「LIFE SHIFT書籍」が取り上げられ、「どう生きるべきか。人生100年時代の戦略的人生設計書」と掲載されている(甲16)。
(キ)2018年2月号の「日経ビジネスAssocie」には、「ライフシフト学」というタイトルの記事で、「寿命『プラス20年』が突きつける個々人の『生き方改革』」というテーマの下、「LIFE SHIFT書籍」が紹介されている(甲17)。
(ク)2018年3月号の「Oggi」には、「話題の書『ライフシフト』を読み解く」というタイトルの記事で、ライフシフトをテーマにした内容が、対談形式で掲載されている(甲18)。
ウ 申立人による特集記事について
2017年7月22日付け「週刊東洋経済」には、「LIFE SHIFT実践編」という特集(甲19)及び2018年2月24日付け「週刊東洋経済」には、「LIFE SHIFT学び直し編」という特集(甲20)が組まれている。
エ 上記アないしウによれば、「ライフシフト」の語は、「長寿社会を生き抜くための人生設計や人生戦略」程の意味合いをもって、セミナーや雑誌等の特集において使用されていることは伺えるものの、その意味合いや内容は漠然としたものであって、「ライフシフト」の語が本件商標に係る商品を取り扱う業界において特定の意味合いをもち、商品の具体的な内容を表示するものとして使用され、認識されているということはできない。
(3)本件商標の識別力について
以上によれば、「ライフシフト」の文字は、上記(1)のとおり、その語義上の観点からみた場合には、「人生の転換、生涯の移動」の観念(意味合い)を有する語として看取されると認める得るものである。
また、上記(2)のとおり、「ライフシフト」の文字が「長寿社会を生き抜くための人生設計や人生戦略」程の意味合いをもって、セミナーや雑誌等の特集において使用されていることも伺えるものである。
しかしながら、「ライフシフト」の文字から生じ得る、「人生の転換、生涯の移動」及び「長寿社会を生き抜くための人生設計や人生戦略」の意味合いは、何れも、本件商標の指定商品について、直ちに具体的な商品の品質を表示するものとして認識されるものとはいえない。
してみれば、本件商標は、本件商標の登録査定時において特定の商品の品質等を表示するものとして認識すべき実情は認められず、また、自他商品の識別力を有しないとすることもできない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第16号該当性について
商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標については、公益に反するとの趣旨から、商標登録を受けることができない旨規定されている。
同趣旨に照らすならば、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標とは、指定商品に係る取引の実情の下で、取引者又は需要者において、当該商標が表示していると通常理解される品質と指定商品が有する品とが異なるため、商標を付した商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある商標を指すものというべきである。
本件についてみると、申立人は、本件商標が、商品の品質等を意味する語であることを前提として、同号に該当する旨主張しているが、本件商標は、上記のとおり、商品の品質等として認識し得ないものであるから、申立人の前記主張は、その前提を欠くものであって、同商標を付した商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないというべきである。
したがって、本件商標は、その指定商品との関係において、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標ということはできないから、その登録は、商標法第4条第1項第16号に違反してされたものではない。
3 請求人の主張
請求人は、「本件商標は、請求人が販売する書籍を通じて、広く世間に取り上げられ、注目されているものであり、人生の転換を内容とする商品を認識するから、商品の品質を表示したにすぎない」旨主張している。
しかしながら、請求人の提出に係る各証拠によれば、「LIFE SHIFT」及び「ライフシフト」の文字を使用した、セミナーや雑誌等の特集がされていることはみとめられるものの、その内容は必ずしも一定ではなく、漠然としたテーマ的に使用されているものであって、本件商標がその指定商品の需要者、取引者間において、商品の具体的な内容を表すものであるとか、直ちに請求人が発行する書籍の題号を想起するほどに広く知られているとまでは認められない。
したがって、請求人の上記主張は、採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に違反してされてものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2018-08-01 
出願番号 商願2017-59392(T2017-59392) 
審決分類 T 1 651・ 272- Y (W09)
T 1 651・ 13- Y (W09)
最終処分 維持 
前審関与審査官 森山 啓 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 田中 幸一
榎本 政実
登録日 2018-01-26 
登録番号 商標登録第6013692号(T6013692) 
権利者 松下 尚史
商標の称呼 ライフシフト 
代理人 辻野 彩子 
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