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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
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審判 全部申立て  登録を維持 W09
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審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1343221 
異議申立番号 異議2018-900008 
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-01-09 
確定日 2018-08-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5987108号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5987108号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5987108号商標(以下「本件商標」という。)は,「TJ-Link」の欧文字を横書きしてなり,平成29年2月20日に登録出願,第9類「カメラ分離型実物投影機,ワイヤレス画像送受信機,カメラ画像をワイヤレスで送信できる通信アダプター,ワイヤレス送信手段を搭載したカメラ」を指定商品として,同年9月6日に登録査定,同年10月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する標章は,以下の2件であり,いずれも登録商標として現に有効に存続しているものである(以下,これら2件の商標をまとめていうときは「引用商標」という。)。
1 国際登録第1129618号商標(以下「引用商標1」という。)は,「TP-LINK」の欧文字を横書きしてなり,2012年(平成24年)3月21日に国際商標登録出願,第9類「Modems; routers; power adapters; switches; modules for switching; network interface cards; fiber converters; telephones; computer network switches; antennas; network communication apparatus; transmitters of electrical signal; optical communication devices; intercommunication apparatus; wireless LAN adapters; wireless LAN access point; computer peripheral devices; data processing apparatus; computer storage devices; integrated circuit cards; cell phones; fluorescent screens; printed circuits.」及び第38類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,2013年(平成25年)12月20日に設定登録されたものである。
2 登録第5899512号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成28年5月17日に登録出願,第9類「電気用ケーブル,テレビジョン受信機,ビデオカメラ,蓄電池,歩数計,モデム,電気アダプター,コンピュータネットワークスイッチ,ネットワーク接続用カード(LANカード),トランスポンダ,電話機械器具,アンテナ,コンピュータ周辺機器,光通信機械器具,相互通信装置,無線ネットワーク接続用カード(LANカード),携帯電話機,携帯メディアプレーヤー,音響用振動板,スピーカー,電池用充電器,ルーター,電子信号送信機,監視ネットワークシステム用監視カメラ,データ通信ネットワークを用いた監視装置用監視カメラ,センサー(測定機器)(医療用のものを除く。),警報器,遠隔制御装置,電気スイッチ,プラグ,ソケットその他の電気接続具,ダウンロード可能な電子計算機用プログラム,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,測定機械器具,電線及びケーブル,電池」を指定商品として,同年11月25日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同第11号,同第15号及び同第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第31号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は,その登録出願前から,「TP-LINK Technologies Co.,Ltd.」(以下「TP-LINK社」という。)が「ルーター」などについて使用して,取引者,需要者の間で広く知られた引用商標1と類似であり,その指定商品「カメラ分離型実物投影機,ワイヤレス画像送受信機,カメラ画像をワイヤレスで送信できる通信アダプター,ワイヤレス送信手段を搭載したカメラ」に使用された場合には,商品の出所について混同を生じるおそれがある。
2 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は,その登録出願前から,「TP-LINK社」が「ルーター」に使用して,取引者,需要者の間で広く知られた引用商標1と類似であり,かつ,指定商品中「ワイヤレス画像送受信機,カメラ画像をワイヤレスで送信できる通信アダプター」は申立人が使用する前記商品「ルーター」と同一又は類似である。
3 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,その商標登録出願前に出願・登録された他人の引用商標1及び引用商標2と類似であって,その指定商品中「カメラ分離型実物投影機,ワイヤレス画像送受信機,カメラ画像をワイヤレスで送信できる通信アダプター,ワイヤレス送信手段を搭載したカメラ」は,引用商標1又は引用商標2に係る指定商品「ルーター,蛍光スクリーン」などと同一又は類似である。
4 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は,その登録出願前から,「TP-LINK社」が「ルーター」などに使用して,外国における取引者,需要者の間で広く知られた引用商標と類似するところ,商標権者による本件商標の登録出願行為は,引用商標に化体した申立人の信用に便乗(フリーライド)する目的(不正な目的)をもってされたものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は,前記第1のとおり,「TJ-Link」の欧文字からなるところ,その構成文字は,同書,同大,等間隔でまとまりよく一体に表され,構成文字全体より生じる「ティージェーリンク」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして,本件商標は,「TJ」及び「Link」の各文字を「-」(ハイフン)でつなげた構成であり,いずれかの文字部分が独立して,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいい難いものである。
してみれば,本件商標は,その構成文字全体をもって,一体不可分の一種の造語を表したものとして認識,把握されるとみるのが相当であり,その構成文字に相応して「ティージェーリンク」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
ア 引用商標1は,前記第2の1のとおり,「TP-LINK」の欧文字からなるところ,その構成文字は,同書,同大,等間隔でまとまりよく一体に表され,構成文字全体より生じる「ティーピーリンク」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであって,かつ,その構成中のいずれかの文字部分が独立して,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいい難いものであるから,その構成文字全体をもって,一体不可分の一種の造語を表したものとして認識,把握されるとみるのが相当である。
してみれば,引用商標1は,その構成文字に相応して「ティーピーリンク」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標2は,別掲のとおり,幾何的図形(以下「図形部分」という。)と,その右側に「tp-link」の欧文字(以下「文字部分」という。)を配してなるところ,図形部分と文字部分とは,離れて表され,かつ,その構成に共通性もないことから,両者は,外観上分離して把握されるものであって,それぞれが独立して引用商標2の要部として自他商品の識別機能を果たし得るというべきである。
そして,該図形部分からは,特定の称呼及び観念を生じさせるものではない。
また,該「tp-link」の欧文字は,同書,同大,等間隔でまとまりよく一体に表され,これより生じる「ティーピーリンク」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであって,かつ,その構成中のいずれかの文字部分が独立して,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいい難いものであるから,その構成文字全体をもって,一体不可分の一種の造語を表したものとして認識,把握されるとみるのが相当である。
してみれば,引用商標2は,その構成文字に相応して「ティーピーリンク」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 外観について
本件商標と引用商標1の外観について比較すると,本件商標及び引用商標1は,共に7文字という少ない文字構成にあって,語頭部の「T」に続く「J」と「P」の文字において相違するものであるところ,両者は,「-」(ハイフン)を介した構成で,前部がともに欧文字の2字である。そして,この2字において「J」と「P」の差異を有するものであるから,その前部における相違が強く印象され,異なるものとして看取されるものであり,かつ,本件商標が大文字と小文字の組み合わせからなるのに対し,引用商標1は全て大文字で表されていることからすれば,文字構成が相違し,看者に与える印象が相違するといえるから,本件商標と引用商標1とは,外観上,相紛れるおそれはない。
次に,本件商標と引用商標2の外観について比較すると,その構成全体をもって比較するときは,図形の有無や構成文字において顕著な差異を有するものであるから,明確に区別し得るものといえる。
また,本件商標と引用商標2の文字部分とを比較すると,引用商標1と同様の理由により,それぞれの構成文字において,共に7文字という少ない文字構成にあって,語頭部の「T」に続く「J」と「P」 の文字において相違するものであるところ,両者は,「-」(ハイフン)を介した構成で,前部がともに欧文字の2字である。そして,この2字において「J」と「P」の差異を有するものであるから,その前部における相違が強く印象され,異なるものとして看取されるものであり,かつ,本件商標は,大文字と小文字の組み合わせからなるのに対し,引用商標2の文字部分は,全て小文字で表されていることからすれば,文字構成が相違し,看者に与える印象が相違するといえるから,両者は,外観上,相紛れるおそれはない。
イ 称呼について
本件商標は,上記(1)のとおり,その構成文字より「ティージェーリンク」の称呼を生じるのに対し,引用商標は,上記(2)のとおり,その構成中の「TP-LINK」及び「tp-link」の文字部分から「ティーピーリンク」の称呼を生じるものであるところ,両称呼は,語頭3音目,4音目において,「ジェー」と「ピー」という音の差異があり,その構成音が明らかに相違するものであるから,それぞれを一連に称呼するときは,語調,語感が相違して聴取されるものであるから,称呼上,相紛れるおそれはない。
ウ 観念について
本件商標と引用商標とは,いずれも特定の観念を生じないから,観念上,比較することはできない。
エ 小括
以上のとおり,上記アないしウによれば,本件商標と引用商標とは,観念において比較することができないとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)引用商標の周知性について
申立人の提出した証拠及び申立ての理由によれば,以下の事実が認められる。
ア 申立人は,無線LANルーターの販売をしている「TP-LINK社」の子会社である(甲4)。
イ 「TP-LINK社」は,1996年に設立された中国法人であり(甲5,甲6),ネットワーク機器をはじめとしてワイヤレス,ルーター等のネットワークアダプターやネットワーキング製品を製造,販売している(甲6)。
ウ ウィキペディアには,「2013年の第1四半期にはWLAN機器において世界市場シェア42.2%を達成して1位になった。」(甲5)の記載,Weblio辞書には,「2013年(平成25年)の第1四半期に,TP-LinkはWLAN機器において世界で最も多くの市場占有率を達成し,世界市場シェア42.2%となり,第2?9位の合計シェアを超えた。」(甲6)の記載がある。
また,申立人の業務の日本市場参入に関するインターネットの紹介記事に「無線LANルーターで世界トップシェアを誇る中国のメーカー。世界120か国以上で展開しており,2016年第1四半期の世界シェアは45.94%」の記載がある(甲14,甲15)。
エ 日本では,2015年11月に日本法人「ティーピーリンクジャパン株式会社(TP-LINK JAPAN INC.)」(以下「TP-LINK JAPAN社」という。)を設立し(甲5,甲6,甲16,甲20,甲26),2016年に日本市場への参入を果たしている(甲14,甲15)。
その後,「TP-LINK JAPAN社」は,2017年3月13日からビックカメラとヨドバシカメラでも,コンシューマー向け無線LAN製品の販売を順次開始した(甲17)。その結果,2016年6月?2017年6月(1年間)の販売数は,累計16万台を達成し,日本市場における無線LAN中継器のシェアは第2位を記録している(甲18)。
(2)前記(1)で認定した事実によれば,以下のとおりである。
ア 申立人の提出した,「TP-LINK社」に関するブログにおけるスマートフォン参入の記事(甲4),フリー百科事典「ウィキペディア」等における会社概要記事(甲5,甲6)及び日本市場参入や国内販売に関するインターネットの紹介記事(甲14?甲17)には,2013年(平成25年)の第1四半期に,TP-LinkはWLAN機器において,世界市場シェア42.2%となり,第2?9位の合計シェアを超えたとの記載,さらに,「TP-LINK社」の無線LANルーターの2016年第1四半期の世界シェアは45.94%を記録したとの記載がある。
しかし,これらの証拠には,ある一時期の世界シェアが記載されているのみで,この事実を客観的に証明するための販売国(地域),広告宣伝の回数や期間及びその方法,売上高,販売数量,量的規模(市場シェア)等を証明する証拠の提出もないため,これらを客観的かつ具体的に把握することができないものといわざるを得ない。
イ 申立人の関連会社である「TP-LINK JAPAN社」による,2016年6月?2017年6月の販売数は,累計16万台を達成し,日本市場における無線LAN中継器のシェアは第2位を記録しているとの記載がある。
しかし,我が国における1年間の販売台数等が記載されているのみで,この事実を客観的に証明するための「TP-LINK JAPAN社」の数年にわたる我が国における広告宣伝の回数や期間及びその方法,売上高,販売数量,量的規模(市場シェア)等を証明する証拠がないため,これらを客観的かつ具体的に把握することができないものといわざるを得ない。
その他,引用商標が,申立人及びその関連会社の業務に係る商品を表示するものとして,我が国及び外国において,周知・著名性を獲得していたと認めるに足りる客観的証拠は見いだせない。
また,申立人の提出する証拠(甲5,甲7?甲9,甲11?甲13,甲17?甲19,甲22,甲25?甲31)については,その情報の掲載日が本件商標の出願日以降のものか,又は日付が不明なものであることから,これらの証拠からは,本件商標の出願前に「TP-LINK社」の使用する引用商標が我が国及び外国で周知であることを証明するものとは認められない。
ウ 小括
したがって,引用商標は,申立人及びその関連会社の業務に係る商品「無線LANルーター」を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国及び外国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(3)まとめ
以上のことから,引用商標は,上記1のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であり,また,上記2(2)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認められないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)判断基準
商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には,当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに,当該商品又は当該役務が他人の業務に係る商品又は役務に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず,当該商品又は当該役務が前記他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標が含まれる。そして,上記の「混同を生ずるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁参照)。
(2)他人の周知商標と出所の混同のおそれについて
本件商標と引用商標とは,前記第1及び第2のとおり,文字部分においては,共に7文字という少ない文字構成からなるところ,両者は,「-」(ハイフン)を介した構成で,前部が共に欧文字の2字である。また,後部の「LINK」及び「link」の文字は,インターネットや通信等の分野においては,よく知られた用語として使用されている文字である。
そうすると,両者は,欧文字の2字とよく知られた文字をハイフンで結合しているところ,前部2字の欧文字の「T」に続く「J」と「P」 の文字において相違するものであるから,両者は,その前部における2字の欧文字部分の相違が強く印象され,異なるものとして看取されるものであり,上記1のとおり互いに紛れるおそれのない非類似の商標として,その類似性の程度は,決して高いとはいえないものである。
次に,引用商標は,上記2(2)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人及びその関連会社の業務に係る商品「無線LANルーター」を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。
さらに,引用商標は,「TP-LINK」又は「tp-link」の文字からなるところ,その構成は,商品等の品番等として一般的に使用され得る欧文字2文字と,「連結すること,つなぐこと」等の意味を有し,インターネットや通信等に係る電気通信機械器具や通信機能を有する商品等を取り扱う業界においては,それほど高い自他商品識別機能を有しないよく知られた用語である「LINK(link)」を,「-」(ハイフン)を介して結合したにすぎないことから,その独創性の程度はそれほど高いとはいえないものである。
また,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは,共に第9類の「電気通信機械器具」の範ちゅうに属する商品であるから,取引者,需要者は共通しており,その生産者や販売経路などの取引の実情も共通している。
以上のことからすれば,本件商標と引用商標とは,外観において「LINK」及び「link」の部分を共通とし,称呼において「ティー」及び「リンク」の称呼を共通する部分を有するとしても,類似性の程度は決して高いものではない。
そして,引用商標は,申立人及びその関連会社の業務に係る商品を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものではなく,その独創性の程度は低いことから,両商標の指定商品の取引者,需要者及び取引の実情が共通するとしても,本件商標をその指定商品について使用した場合には,これに接する取引者,需要者が引用商標ないしは申立人及びその関連会社を連想,想起するようなことはないというべきである。
してみれば,該商品が申立人及びその関連会社又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は,「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて,不正の目的(不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
そうすると,上記1(3)及び2(2)のとおり,本件商標と引用商標とは非類似の商標であり,かつ,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国及び外国の需要者の間で,申立人及びその関連会社の業務に係る商品及び役務を表すものとして,広く認識されていたとは認められないものであるから,商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
さらに,不正の目的についても,申立人は,引用商標が周知著名であることを前提に,本件商標が引用商標の有する周知・著名性に便乗し不正の利益を得る目的が認められる旨を主張しているが,引用商標の周知著名性は上記のとおりであり,申立人が提出した甲各号証を総合してみても,本件商標権者が,申立人に係る引用商標の信用にただ乗り(フリーライド)する意図など,それらを毀損させるものというべき事実は見出し難いばかりでなく,他に,本件商標が不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号,同第11号,同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標2)



異議決定日 2018-07-27 
出願番号 商願2017-27470(T2017-27470) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W09)
T 1 651・ 271- Y (W09)
T 1 651・ 222- Y (W09)
T 1 651・ 255- Y (W09)
T 1 651・ 262- Y (W09)
T 1 651・ 263- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 森山 啓 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 田中 幸一
榎本 政実
登録日 2017-10-13 
登録番号 商標登録第5987108号(T5987108) 
権利者 前川 治美
商標の称呼 テイジェイリンク、リンク 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 

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