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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 037
管理番号 1343200 
審判番号 取消2017-300461 
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-06-30 
確定日 2018-07-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第3176389号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3176389号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成4年9月29日に登録出願、第37類「管工事,機械器具設置工事」を指定役務として、同8年7月31日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成29年7月11日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同26年7月11日ないし同29年7月10日である(以下「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を審判請求書、審判事件弁駁書及び口頭審理陳述要領書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証(枝番号を含む。ただし、甲1?甲4、甲9、甲12、甲15、甲17、甲20、甲21及び甲24は欠番である。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用していないから、商標法第50条第1項に基づき、本件商標の登録は取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)商標法第50条が規定する「登録商標(中略)の使用」は、商標法第1条が定める商標法の目的「この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。」に沿って解釈されなければならないところ、公序良俗に違反する商標登録の使用は、「商標の使用をする者の業務上の信用の維持」を図る必要はなく、「産業の発達に寄与」するものでなく、かつ、「需要者の利益を保護する」ものではないから「使用」にあたらない。
本件商標の使用は、以下の理由から他人の知的創作を剽窃するものであり、公序良俗に違反するものであって、商標法の保護を受ける「使用」にあたらない。
すなわち、他人の知的創作を剽窃する使用は、公序良俗違反の使用であるから商標法第50条の使用ではない。
ア 本件商標は、本件商標の登録出願前に周知・著名であった、ローズ・オニール作成の人形の図形とその名称と類似する。
そして、本件商標の登録出願前に、「キューピー人形の図形」及び「Kewpie」、「キューピー」標章は、日本全国において老若男女を問わず周知・著名であった。
イ 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、二重線で囲まれた縦長の黒地背景の中に、人形が描かれている商標である。
本件商標の構成中の人形の特徴は、ほぼ直立の人形であり、乳幼児の体型であり、頭部が全身と比較して大きく、概ね三頭身であり、裸であり、性別がはっきりせず、中性的であり、全体にふっくらとしているものなどであり、ローズ・オニールの創作にかかる人形の特徴と一致する。
したがって、本件商標の構成中の人形部分と、ローズ・オニールの創作にかかる人形とは類似する。
なお、被請求人は、答弁書において、「本件商標は、内側を黒く塗りつぶした二重の楕円の中に、キューピー人形の図形を配してなるものである。」と、「キューピー人形の図形」が描かれていることを自認するものである。
ウ 本件商標の使用は多数の法律・条約等に違反する。
(ア)著作権法
本件商標を使用する行為は、現行著作権法に違反し、民事・刑事の責任を負う違法行為であるから、本件商標は著作権法に違反して作成、複製されてきたものであり、著作者の人格的利益・著作財産権を侵害し、その使用は公序良俗に違反する。
(イ)不正競争防止法
周知な商品表示であるローズ・オニール作成のキューピー人形の図形あるいはその名称を使用して、キューピー人形と関係があるかのような混同を生じさせる行為、又は、著名な商品表示であるローズ・オニール作成のキューピー人形の図形あるいはその名称を使用する行為は、不正競争に他ならない。
したがって、本件商標は、不正競争防止法に違反して使用されてきたものであり、公序良俗に違反する。
(ウ)工業所有権の保護に関するパリ条約
「工業所有権の保護に関するパリ条約」は、1883年3月20日成立し、我が国は、明治32年(1899年)に加入し、また、大正14年(1925年)に合意された工業所有権の保護に関するパリ条約(以下「パリ条約」という。)のヘーグ改正条約に合意し、1934年に「工業所有権の保護に関するパリ条約ヘーグ改正条約」を批准し、1967年7月14日に成立したストックホルム改正パリ条約では、第6条の2において、周知商品表示を冒用する行為の禁止と、かかる商標登録について5年間の無効請求の期間の設定と、悪意の登録・使用については無効請求の期間を制限しないことが合意されたものである。
そして、本件商標は、上記パリ条約第6条の2第1項に違反するものであり、悪意の登録・使用であるから無効請求の期間制限を受けないものである。
(エ)その他
本件商標は、1995年1月1日に発効した「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(通称:TRIPS協定)、1971年7月24日成立し1975年4月24日に我が国で発効した文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約パリ改正条約、及び社団法人日本経済団体連合会「知的財産権に関する行動指針」に違反するものである。
また、本件商標は、剽窃的出願により登録され、その使用は剽窃行為「他人の詩歌・文章などの説または文句をぬすみとって、自分のものとして発表する」ものに他ならない。
(オ)被請求人による全区分出願・登録
被請求人は、本件商標の他「キューピー人形の図形」、「キユーピー」、「KEWPIE」などからなる、キューピー関連商標を619件を出願し、登録し、あるいは譲り受けたものである(甲30)。
「日本語で分かり、英語で書けて、しかも絵に描けるもの。この三つ」を満たすものとして、被請求人の創業者は「私の希望にぴったりのトレードマークです。それを頂きます」と、日本で初めて製造販売するマヨネーズを「キユーピーマヨネーズ」と命名した(甲25)。
他人の知的創作である「キューピー人形の図案」「キューピーの名称」を「自分のものとして商標登録すること」の被請求人の創業者の決意を、その後、商品役務区分の全区分において出願、登録したものである。かかる商標出願・登録の行為は、他人の著名標章を自己のものとする知的財産の剽窃に他ならず、商標法制度の根幹を揺るがす不法行為である。
(カ)特許法、実用新案法、意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法、種苗法等の知的財産権法の基本は「他者の知的財産を尊重する」という根本理念を実現するものである。他人の知的財産を剽窃して使用する行為は、「他者の知的財産を尊重する」という理念に違反することであり、我が国の「公序」である知的財産法制の根本理念に違反するものといわざるを得ない。
国際的に視点を移せば、パリ条約、ペルヌ条約、WIPO条約、万国著作権条約、TRIPS協定等個々の国際条約を挙げるまでもなく、知的財産をめぐる国際的ハーモナイゼーションの元においては、「他者の知的財産を尊重する」という根本理念は、我が国のみならず全世界において知的財産に係わる公序を形成するものである。
したがって、本件商標の使用は、かかる知的財産に係わる公序に違反するものである。
(キ)小括
以上のとおり、他人の知的創作を剽窃する行為は、公序良俗に違反するものであり、本件商標の使用は、商標法の保護を受ける「使用」にあたらない。
(2)本件商標の使用について
ア 乙第4号証について
乙第4号証は、「お届先/品名」の欄に「JPCC No1 Packing 1JP and Visual Inspection System Replacement[JPCC#1包装ライン 1JP及び文字検査更新]/Kishugiken 1JP[紀州技研1JP](HOM-S1)」、「JP+head,adaptor,ink, 2-days construction」/[本体ヘッド、アダプタ、インク、現地工事(2日)込み]」等と記載されている。これらの記載は、被請求人が提供したと主張する役務が「包装用機械器具の修理又は保守」(37D39)、あるいは、「印刷用又は製本用の機械器具の修理又は保守」(37D18)であることを示すものであって、取消請求役務に使用するものではなく、取消請求役務において、本件商標の使用を立証するものではない。
イ 乙第5号証について
乙第5号証は、「お届先/品名」の欄に「PVC包装ライン改造(印字内容変更、品種切替PC改造)/設計費/ラベルPCソフト変更(画面含む)」等と記載されている。これらの記載は、被請求人が提供したと主張する役務が「包装用機械器具の修理又は保守」(37D39)、あるいは、「印刷用又は製本用の機械器具の修理又は保守」(37D18)であることを示すものであって、取消請求役務に使用するものではなく、取消請求役務において、本件商標の使用を立証するものではない。
ウ 乙第6号証について
乙第6号証は、「お届先/品名」の欄に「デジタル製タッチパネル交換工事/・・・/事前準備費・現地作業費(1名×1日)/弊社立会費(1名×1日)」等と記載されている。「デジタル製タッチパネル交換工事」の役務は、「配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守」(37D13)、あるいは、「測定機械器具の修理又は保守」(37D15)であって、取消請求役務に使用するものではなく、取消請求役務において、本件商標の使用を立証するものではない。
エ 乙第7号証について
乙第7号証は、「お届先/品名」の欄に「バッグラインA液充填機質量流量計更新工事/マイクロモーションコリオリ流量計/・・・/ドキュメント費/・・・流量計交換作業(2日)」等と記載されている。「バッグラインA液充填機質量流量計更新工事」の役務は、「包装用機械器具の修理又は保守」(37D39)、「配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守」(37D13)、あるいは、「測定機械器具の修理または保守」(37D15)であって、取消請求役務に使用するものではなく、取消請求役務において、本件商標の使用を立証するものではない。
オ 乙第8号証について
乙第8号証は、「お届先/品名」の欄に「DVLOCK H28年5月チェーンレール摩耗対応工事」等と記載されている。「チェーンレール摩耗対応工事」は、「荷役機械器具の修理又は保守(コンベヤーの修理)」(37D02)、「包装用機械器具の修理又は保守」(37D39)、「配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守」(37D13)、あるいは、「測定機械器具の修理又は保守」(37D15)であって、取消請求役務に使用するものではなく、取消請求役務において、本件商標の使用を立証するものではない。
カ 乙第9号証について
乙第9号証は、「お届先/品名」の欄に「超音波不良品自動排出装置(8ヘッド)/・・・/部品交換(メカ・3名×3日)/調整確認(メカ・3名×3日)」等と記載されている。「超音波不良品自動排出装置の交換」は、「包装用機械器具の修理又は保守」(37D39)、「配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守」(37D13)、「測定機械器具の修理又は保守」(37D15)、あるいは、「化学機械器具の修理又は保守」(37D19)であって、取消請求役務に使用するものではなく、取消請求役務において、本件商標の使用を立証するものではない。
キ 乙第10号証について
乙第10号証は、「お届先/品名」の欄に「4ST投入部バッグ有無センサー増設【静電容量センサー+厚み検知方法を増設】」等の個別の品名が商品あるいは役務取引の識別標識として使用されていることが示されている。
また、「バッグ有無センサー増設【静電容量センサー+厚み検知方法を増設】」の役務は、「配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守」(37D13)、「測定機械器具の修理又は保守」(37D15)、あるいは、「化学機械器具の修理又は保守」(37D19)であって、取消請求役務に使用するものではなく、取消請求役務において、本件商標の使用を立証するものではない。
ク 乙第4号証ないし乙第10号証について
請求書(乙4?乙10)の右上には、ローズ・オニール作品の人形に類似する人形と、その上部にローズ・オニールの創作にかかる人形の名称である「キューピー」を配し、「キユーピー」の片仮名とキューピー人形とからなる標章(以下「本標章」という場合がある。)が記載されているが、被請求人の社名は、ローズ・オニールの創作にかかる人形の名称である「キューピー」の後に、法人の種類を表示する「株式会社」を付したものであるところ、本標章は被請求人の社名と本社住所地の左側に近接して配置されており、本標章は被請求人の社名・住所と一体をなす態様で使用されているものである。本標章が被請求人の会社をシンボル的に表示するものであったとしても、本標章の使用はその限度における使用に止まるものであって、それを超えて、被請求人が販売する商品や役務を識別する機能として使用されるものではない。
したがって、乙第4号証ないし乙第10号証は、取消請求役務に、本件商標を使用した事実を立証するものではない。
3 口頭審理陳述要領書(平成30年2月19日)
(1)乙第4号証の「お届先/品名」の欄には、[JPOC#1包装ライン 1JP及び文字検査更新]等と記載されており、被請求人が提供したと主張する役務は「包装用機械器具の修理又は保守」(37D39)、あるいは、「印刷用又は製本用の機械器具の修理又は保守」(37D18)であることを示すものである。同乙号証に関して提出された乙第16号証には、印刷機器及び視覚検査システムにおける、第1号JPOC包装ラインの「Update」すなわち、「更新」であることが明記されており、「修理又は保守」の役務であることは明らかである。
また、同乙号証に関して提出された乙第16号証の「Item」の欄には本件商標の記載はなく、乙第17号証の「設備名」においても本件商標の記載はない。
さらに、同乙号証に関して提出された乙第16号証ないし乙第18号証のどこにも本件商標の記載はない。
(2)乙第5号証の「お届先/品名」の欄には、「PVC包装ライン改造」(印字内容変更、品種切替PC改造)、「ラベルPCソフト変更(画面含む)」等と記載されており、被請求人が提供したと主張する役務は「包装用機械器具の修理又は保守」(37D39)、あるいは、「印刷用又は製本用の機械器具の修理又は保守」(37D18)であることを示すものである。同乙号証に関して提出された乙第19号証には、PVC包装ラインのためのバーコードシステムの「modify」すなわち、「修正」であることが明記されており、「修理又は保守」の役務であることは明らかであり、「品目」及び「説明」の欄には本件商標の記載はない。
また、同乙号証に関して提出された乙第20号証には、「PVC包装ライン改造(印字内容変更、品種切替PC改造)」の役務を提供したことが示されており、提供された役務が「修理又は保守」の役務であることは明らかであり、「設備名」の欄には本件商標の記載はない。
さらに、同乙号証に関して提出された乙第19号証ないし乙第21号証のどこにも本件商標の記載はない。
(3)乙第6号証の「お届先/品名」の欄には、「デジタル製タッチパネル交換工事」等と記載されており、被請求人が提供したと主張する役務は「配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守」(37D13)、あるいは、「測定機械器具の修理又は保守」(37D15)であることを示すものである。同乙号証に関して提出された乙第22号証には、「デジタル製タッチパネル(交換品及び交換工事)」の役務を提供したことが示されており、提供された役務が「修理又は保守」の役務であることは明らかであり、「品名・型番・メーカー」の欄には本件商標の記載はない。
また、同乙号証に関して提出された乙第23号証には、「デジタル製タッチパネル交換工事」の役務を提供したことが示されており、提供された役務が「修理又は保守」の役務であることは明らかであり、「設備名」の欄には本件商標の記載はない。
さらに、同乙号証に関して提出された乙第22号証ないし乙第24号証のどこにも本件商標の記載はない。
(4)乙第7号証の「お届先/品名」の欄には、「バッグラインA液充填機質量流量計更新工事」、「流量計交換作業(2日)」等と記載されており、被請求人が提供したと主張する役務は「包装用機械器具の修理又は保守」(37D39)、「配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守」(37D13)、あるいは、「測定機械器具の修理又は保守」(37D15)であることを示すものである。同乙号証に関して提出された乙第25号証及び乙第26号証には、「バッグラインA液充填機質量流量計更新工事」の役務を提供したことが示されており、提供された役務が「修理又は保守」の役務であることは明らかであり、乙第25号証及び乙第26号証のいずれも「品名及び規格」の欄に本件商標の記載はない。
また、同乙号証に関して提出された乙第25号証ないし乙第27号証のどこにも本件商標の記載はない。
(5)乙第8号証の「お届先/品名」の欄には、「DVLOCK H28年5月チェーンレール摩耗対応工事」等と記載されており、被請求人が提供したと主張する役務は「荷役機械器具の修理又は保守(コンベヤーの修理)」(37D02)、「包装用機械器具の修理又は保守」(37D39)、「配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守」(37D13)、あるいは、「測定機械器具の修理又は保守」(37D15)であることを示すものである。同乙号証に関して提出された乙第28号証には、「修繕(工事)」である旨が大きく表示されている。同乙号証に関して提出された乙第28号証及び乙第29号証には、共に「DVLOCK H28年5月チェーンレール摩耗対策工事」の役務を提供したことが示されており、提供された役務が「修理又は保守」の役務であることは明らかであり、乙第28号証及び乙第29号証のいずれも「品名及び規格」の欄に本件商標の記載はない。
また、同乙号証に関して提出された乙第28号証ないし乙第30号証のどこにも本件商標の記載はない。
(6)乙第9号証の「お届先/品名」の欄には、「超音波不良品自動排出装置(8ヘッド)」、「部品交換(メカ・3名×3日)」、「調整確認(メカ・3名×1日)」等と記載されており、被請求人が提供したと主張する役務は「包装用機械器具の修理又は保守」(37D39)、「配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守」(37D13)、「測定機械器具の修理又は保守」(37D15)、あるいは、「化学機械器具の修理又は保守」(37D19)であることを示すものである。
また、同乙号証に関して提出された乙第31号証ないし乙第33号証のどこにも本件商標の記載はない。
(7)乙第10号証の「お届先/品名」の欄には、「4ST投入部バッグ有無センサー増設【静電容量センサー+厚み検知方法を増設】」等と記載されており、被請求人が提供したと主張する役務は「配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守」(37D13)、「測定機械器具の修理又は保守」(37D15)、あるいは、「化学機械器具の修理又は保守」(37D19)であることを示すものである。
また、同乙号証に関して提出された乙第34号証ないし乙第36号証のどこにも本件商標の記載はない。
(8)乙第16号証ないし乙第36号証において本件商標の使用がないという事実は、請求書(控)(乙4?乙10)の本標章が被請求人の会社をシンボル的に表示するものであったとしても、本標章の使用はその限度における使用に止まるものであって、それを超えて、被請求人が販売する商品や役務を識別する機能として使用されるものではないことを示すものに他ならない。
(9)結び
以上のとおり、第1に本件商標の使用は公序良俗に違反するものであり、商標法が保護する「使用」にあたらず、第2に被請求人が提出する乙第4号証ないし乙第10号証は、いずれも本件商標の使用を証明するものではない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書及び口頭審理陳述要領書において要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第39号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、その商標権者によって、本件審判の請求に係る指定役務中、「機械器具設置工事」について、要証期間に、日本国内において使用されている。
(1)本件商標の商標権者(被請求人)について
被請求人は、東京都渋谷区に所在する「キユーピー株式会社」であり、マヨネーズソースなどの調味料を中心として、各種食料品の製造販売等を主な事業内容としている会社である(乙1)。
また、被請求人は、これらの業務に加え、自社で培った製造工程技術を生かして、品質保持が重要な食料品や医薬品分野の企業に対して、製造ラインの設計や設備導入、機械器具の設置・修理・保守、これらに関するコンサルティング等の業務も行っており、これらの事業を行うに当たって、各種の許認可も得ている(乙2)。
さらに、被請求人の上記住所は本社所在地の住所であり、被請求人は全国各地に事業所(支店、営業所、工場、関連施設)を有しており(乙1)、機械器具設置工事等の建築工事に関する業務(エンジニアリング部所管)は、東京都調布市仙川町2丁目5番地7に所在する「仙川キユーポート」で行われている(乙3)。
(2)本件商標の使用について
被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標を取引書類としての「請求書」において使用しており、実際に要証期間に発行した請求書をその使用の事実を示す書証として提出する(乙4?乙10)。
ア 乙第4号証について
乙第4号証は、2017年(平成29年)6月15日付で発行された米国のバクスター社宛ての請求書である。この請求書は米国のバクスター社宛てに発行された形となっているが、実際の費用の発生は、日本国内にあるバクスター社の宮崎工場において検査装置の交換・設置工事、検査システムの改修に伴う配線作業及びプログラム設計を行ったこと、すなわち、日本国内での機械器具設置工事等の役務を提供したことに伴うものであり、このことは、請求項目の詳細の記載からも明らかである。
また、この請求書には、この工事により設置される製品名称及び型番が示されており、この表示によれば、この工事で設置されたのは「紀州技研(HQM?S1)」という製品(乙11)と、「マイクロ・テクニカ検査装置(RSC-1000)」という製品(乙12)であることがわかる。
イ 乙第5号証について
乙第5号証は、2015年(平成27年)5月18日付で発行されたバクスター株式会社宮崎工場宛ての請求書である。この請求書は、同工場において、包装工程における設備改修に伴う設計や、バーコードリーダー(乙13)の据付を行ったことに伴うものである。
ウ 乙第6号証について
乙第6号証は、2016年(平成28年)4月21日付で発行された日医工株式会社埼玉工場宛ての請求書である。この請求書は、同工場において、製造ライン操作用のタッチパネルの交換・設置を行ったことに伴うものである。また、請求項目に記載の型番から、乙第14号証に示すタッチパネルが用いられていることがわかる。
エ 乙第7号証について
乙第7号証は、2016年(平成28年)9月28日付けで発行されたエイワイファーマ株式会社静岡事業所の清水工場宛ての請求書である。この請求書は、同工場において、充填機の流量計(乙15)の交換・取付・配線工事を行ったことに伴うものである。
オ 乙第8号証について
乙第8号証は、2016年(平成28年)5月30日付けで発行されたエイワイファーマ株式会社静岡事業所の大井川工場宛ての請求書である。この請求書は、同工場において、チェーンレール摩耗対応工事に伴うチェーンレールの取付工事を行ったことに伴うものである。
カ 乙第9号証及び乙第10号証について
乙第9号証は、2016年(平成28年)8月22日付けで、乙第10号証は、2015年(平成27年)7月13日付けで、それぞれ発行されたニプロファーマ株式会社伊勢工場宛ての請求書である。これらの請求書は、同工場において、超音波不良品自動排出装置をはじめとする機械器具の交換・設置工事や、それに伴う設計及び電気配線を行ったことに伴うものである。
キ 本件商標と取引書類で使用されている商標の同一性について
本件商標は、内側を黒く塗りつぶした二重の楕円の中に、キューピー人形の図形を配してなるものである。
これに対して、被請求人の提出に係る取引書類(乙4?乙10)に使用されている商標は、キューピー人形の図形の上に「キユーピー」の片仮名を横書きで表したものである。
両商標は、「キューピー」の文字及び楕円の図形の有無において相違するものの、いずれもそのキューピー人形の図形と相まって、「キューピー」の観念及び称呼を同じくするものであり、また、当該キューピー人形の図形が同一であることから、外観上も同視できるものである。
したがって、上記取引書類に使用されている商標は、本件商標と社会通念上同一の商標といえるものである。
(3)小括
上記サービスは、「機械器具設置工事」に該当するものであり、また、乙第4号証ないし乙第10号証からも明らかなように、これらの請求書の発行は被請求人のエンジニアリング部(東京都調布市仙川町2丁目5番7号「仙川キユーポート」)であり、発行主体の表示の左横に本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。
したがって、上記各請求書(乙4?乙10)は、被請求人が、本件商標の指定役務「機械器具設置工事」について使用していることを証明するものである。
(4)以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証を総合的に勘案すると、本件商標は、商標権者により、要証期間に日本国内において継続して使用されていると認められるものである。
2 口頭審理陳述要領書(平成30年1月25日)
(1)乙第4号証ないし乙第10号証の「請求書」に係る取引書類等について
ア 乙第4号証に係る取引書類等
乙第4号証は、日本国内に所在するバクスター株式会社宮崎工場において、検査装置の交換・設置工事並びに検査システムの改修に伴う配線作業及びプログラム設計を行ったことについての請求書であるが、この工事等に関するバクスター社からの「Purchase Order(Po No.ENG-17-001:乙16)」及びそれに対する被請求人からの注文請書(乙17)をそれぞれ取引書類として提出する。各書類の対応については、当該「Purchase Order」に記載の発注番号(Po No.ENG-17-001)から確認できる。
また、この工事等の請求書(乙4)に対する支払いは平成29年7月18日に完了しており(乙18)、この点は、当該請求書の伝票番号から確認できる。
イ 乙第5号証に係る取引書類等
乙第5号証は、バクスター株式会社宮崎工場において、包装工程における設備改修工事やバーコードリーダー(乙13)の据付工事を行ったことについての請求書であるが、この工事に関するバクスター社からのオーダー書面(オーダー番号DO1548257:乙19)及びそれに対する被請求人からの注文請書(乙20)をそれぞれ取引書類として提出する。これらの書類うち、オーダー書面と注文請書の対応については、当該注文請書に記載の注文No.より確認することができ、また、オーダー書面(乙19)と請求書(乙5)の対応については、当該オーダー書面に記載のオーダー番号(DO1548257)から確認できる。
また、この工事の請求書(乙5)に対する支払いは平成27年9月30日に完了しており(乙21)、この点は、当該請求書の伝票番号から確認できる。
ウ 乙第6号証に係る取引書類等
乙第6号証は、日医工株式会社埼玉工場において、製造ライン操作用のタッチパネル(乙14)の交換・設置工事を行ったことについての請求書であるが、この工事に関する日医工株式会社からの注文書(注文書番号NIKs-SJM-160421:乙22)及びそれに対する被請求人からの注文請書(乙23)をそれぞれ取引書類として提出する。これらの書類うち、注文書と注文請書の対応については、両書面中に記載されている見積番号(3849-1)より確認することができ、また、注文書(乙22)と請求書(乙6)の対応については、注文書記載の注文番号(NIKs-SJM-160421)から確認できる。
また、この工事の請求書(乙6)に対する支払いは平成28年7月11日に完了しており(乙24)、この点は、請求書の伝票番号から確認できる。
エ 乙第7号証に係る取引書類等
乙第7号証は、充填機の流量計(乙15)の交換・取付・配線工事を行ったことについての請求書であるが、この工事に関するエイワイファーマ株式会社静岡事業所の清水工場からの注文書(注文No.SH-6016:乙25)及びそれに対する被請求人からの注文請書(乙26)をそれぞれ取引書類として提出する。各書類の対応については、当該注文書に記載の 注文No.(SH-6016)から確認できる。
また、この工事等の請求書(乙7)に対する支払いは平成28年10月31日に完了しており(乙27)、この点は、請求書の伝票番号から確認できる。
オ 乙第8号証に係る取引書類等
乙第8号証は、エイワイファーマ株式会社静岡事業所の大井川工場において、チェーンレール摩耗対策工事を行ったことに伴う請求書であるが、この工事に関するエイワイファーマ株式会社静岡事業所の大井川工場からの注文書(注文No.160138:乙28)及びそれに対する被請求人からの注文請書(乙29)をそれぞれ取引書類として提出する。各書類の対応については、当該注文書に記載の注文No.(160138)から確認できる。
また、この工事の請求書(乙8)に対する支払いは平成28年7月29日に完了しており(乙30)、この点は、請求書の伝票番号から確認できる。
カ 乙第9号証に係る取引書類等
乙第9号証は、ニプロファーマ株式会社伊勢工場において、超音波不良品自動排出装置をはじめとする機械器具の交換・設置工事や、それに伴う設計及び電気配線を行ったことについての請求書であるが、この工事に関するニプロファーマ株式会社伊勢工場からの注文書(注文書番号:67-1582-KB00102:乙31)及びそれに対する被請求人からの注文請書(乙32)をそれぞれ取引書類として提出する。各書類の対応については、当該注文書に記載の注文書番号(67-1582-KB00102)から確認できる。
また、この工事の請求書(乙8)に対する支払いは平成28年9月28日に完了しており(乙33)、この点は、請求書の伝票番号から確認できる。
キ 乙第10号証に係る取引書類等
乙第10号証は、ニプロファーマ株式会社伊勢工場において、給袋包装機バッグ有無センサー増設工事を行ったことに伴う請求書であるが、この工事に関するニプロファーマ株式会社伊勢工場からの注文書(注文書番号:66-1601-KB00102:乙34)及びそれに対する被請求人からの注文請書(乙35)をそれぞれ取引書類として提出する。各書類の対応については、当該注文書に記載の注文書番号(66-1601-KB00102)から確認できる。
また、この工事の請求書(乙8)に対する支払いは平成27年8月28日に完了しており(乙36)、この点は、請求書の伝票番号から確認できる。
(2)本件商標の使用について
上記の各書証(乙16?乙36)より明らかなように、被請求人(商標権者)は、日本国内において、要証期間に、取消請求役務中の「機械器具設置工事」という役務を提供しており、これらの役務の提供に係る取引書類である「請求書」に本件商標と社会通念上同一の商標を付して取引先である「バクスター株式会社 宮崎工場」、「日医工株式会社 埼玉工場」、「エイワイファーマ株式会社 静岡事業所」、「ニプロファーマ株式会社」に交付している(乙4?乙10)。この使用行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当するものである。
(3)審判事件弁駁書の主張に対する意見
ア 各種機械器具の「修理又は保守」と「設置工事」について
請求人は、乙第4号証に示されている役務は「包装用機械器具の修理又は保守」あるいは「印刷用又は製本用の機械器具の修理又は保守」であることを示すものであって、取消請求役務に使用するものではない、というように、乙第4号証ないし乙第10号証に示されているそれぞれの役務は、いずれも各種機械器具の「修理又は保守」に当たる旨主張するが、第37類の区分についてみると、類の見出しとして、「建築物の設計、修理、取付けサービス」が挙がっており、注釈によれば、消耗、損傷、劣化又は部分的破損をした物品を良好な状態に戻すためのサービスが修理サービスであり、物品の性質を変えずに原状のまま保存するためのサービスが保守サービスということになる(乙37)。
一方、各請求書(乙4?乙10)に示されている役務についてみると、これらは「修理又は保守」のサービスの範ちゅうに属するものではなく、類見出しでいうと、「取付けサービス」に当たるものである。
したがって、請求人の主張は、「修理又は保守」のサービスの認識を誤った上での主張であり、失当であることは明らかである。
イ 商標の使用態様について
請求人は、乙第4号証ないし乙第10号証に表示されているキューピー人形の図形について、この標章の使用は、被請求人が販売する商品や役務を識別する機能として使用されるものではないと主張しているが、乙第4号証ないし乙第10号証に表示されている「キューピー人形」の図形は、被請求人を容易に看取させる著名な商標であり(乙38)、また、取消請求役務について防護標章登録を受けているところでもある(乙39)。
したがって、通常有する注意力をもって、これらの書証に表示されている「キューピー人形」の図形を見たときには、被請求人がその広告や取引書類に表された役務の提供を行っていると誰しもが認識するものであり、この表示(「キューピー」の図形)が出所識別標識として機能しないなど、ありえない話であり、請求人の主張が失当であることは明らかである。
不使用取消審判における取消の要件について
請求人は、被請求人による本件商標に係る商標権の取得又はその使用が、公正な競争秩序ないし公平の観念に反した不正の目的であるという点をもって、商標法における「使用」には当たらないということを主張しているようであるが、被請求人による本件商標に係る商標権の取得又はその使用について、公正な競争秩序ないし公平の観念に反した不正の目的など全く存在しないのみならず、そもそも不使用取消審判におけるそのような主張が本件商標登録の取消事由を構成する余地すらない。
したがって、請求人によるこのような主張が、全く筋違いの主張であることは明らかである。
(4)まとめ
被請求人(商標権者)は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務中の「機械器具設置工事」に当たる「検査装置の交換・設置工事」(乙4)、「設備改修工事やバーコードリーダーの据付工事」(乙5)、「製造ライン操作用のタッチパネルの交換・設置工事」(乙6)、「充填機の流量計の交換・取付・配線工事」(乙7)、「チェーンレール摩耗対策工事」(乙8)、「超音波不良品自動排出装置等の機械器具の交換・設置工事」(乙9)、「給袋包装機バッグ有無センサー増設工事」(乙10)という役務を提供しており、これらの役務の提供に係る取引書類である「請求書」に本件商標と社会通念上同一の商標を付して取引先である「バクスター株式会社 宮崎工場」、「日医工株式会社 埼玉工場」、「エイワイファーマ株式会社 静岡事業所」、「ニプロファーマ株式会社」に交付している(乙4?乙10)。この使用行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当するものである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(1)乙第22号証について
乙第22号証は、「注文書」であるところ、これには、「キユーピー株式会社 御中」、「注文書番号 NIKs-SJM-160421/注文日 2016/04/21」及び「埼玉県さいたま市・・・/日医工株式会社 埼玉工場」の記載がある。
また、「下記の通り注文致します。」の下に表があり、「品名・型番・メーカー」の欄の1行目には「デジタル製タッチパネル/(交換品および交換工事)」、「備考」の欄には「見積番号:003894-1号」の記載がある。
(2)乙第23号証について
乙第23号証は、「注文請書」であるところ、これには、「埼玉県さいたま市・・・/日医工株式会社/埼玉工場」、担当部署及び担当者の記載、「キユーピー株式会社/エンジニアリング部」及び「東京都調布市仙川町2-5-7」の記載がある。
また、「下記注文をお請けしました。」の下に表があり、「設備名」の欄には「デジタル製タッチパネル交換工事」、「備考」の欄には「弊社見積書No.3894-1」、「注文日」の欄には「2016年4月21日」の記載がある。
(3)乙第6号証について
乙第6号証は、「請求書(控)」であるところ、これには、「埼玉県さいたま市・・・/日医工株式会社」、「埼玉工場」、担当部署及び担当者の記載のほか、「2016年04月21日」の日付の下に「キユーピー株式会社/エンジニアリング部」及び「東京都調布市仙川町2-5-7」の記載、それらの左側に「キユーピー」の片仮名と「キューピー人形」の図形からなる商標(以下「使用商標」という。:別掲2)の表示がある。
そして、これらの記載の下に表があり、それぞれ、「事業所」、「出荷日」、「伝票番号」、「伝票区分」、「お届先/品名」、「数量」、「単価」、「金額」、「消費税」、「税込金額」及び「摘要」の項目があり、「出荷日」の欄には、「0421」、「お届先/品名」の欄には、「日医工株式会社埼玉工場/デジタル製タッチパネル交換工事・・・注文No.NIKs-SJM-160421」の記載がある。
(4)乙第25号証について
乙第25号証は、「注文書」であるところ、これには、「発注日2016年06月08日」、「東京都調布市仙川町2-5-7/キユーピー株式会社 御中」、「注文No.SH-6016」、「要求元:製造第1課/エイワイファーマ株式会社 清水工場/静岡県静岡市・・・」の記載がある。
また、「下記の通り御注文申し上げます」の下に表があり、「品名及び規格」の欄には「バッグライン A液充填機質量流量計更新工事」、「摘要」の欄には「貴見積書(No 003906-1号)の通り。」の記載がある。
(5)乙第26号証について
乙第26号証は、「注文請書」であるところ、これには、「2016年6月8日」、「静岡県静岡市・・・/エイワイファーマ株式会社 清水工場 御中」、「注文No.SH-6016」、「東京都調布市仙川町2-5-7/キユーピー株式会社」の記載がある。
また、「下記の通り御注文をお請け致します。」の下に表があり、「品名及び規格」の欄には「バッグライン A液充填機質量流量計更新工事」、「摘要」の欄には「弊社見積(No 003906-1号)の通り。」の記載がある。
(6)乙第7号証について
乙第7号証は、「請求書(控)」であるところ、これには、「静岡県静岡市・・・/エイワイファーマ株式会社 静岡事業所」、「清水工場 製造第1課」及び担当者の記載のほか「2016年09月28日」の日付の下に「キユーピー株式会社/エンジニアリング部」及び「東京都調布市仙川町2-5-7」の記載、それらの左側に使用商標の表示がある。
そして、これらの記載の下に表があり、それぞれ、「事業所」、「出荷日」、「伝票番号」、「伝票区分」、「お届先/品名」、「数量」、「単価」、「金額」、「消費税」、「税込金額」及び「摘要」の項目があり、「出荷日」の欄には、「0928」、「お届先/品名」の欄には、「エイワイファーマ株式会社 静岡事業所清水工場/バッグライン A液充填機質量流量計更新工事・・・注文番号:SH-6016」の記載がある。
(7)乙第28号証について
乙第28号証は、「注文書」であるところ、これには、「発注日 2016年4月22日」、「修繕(工事)」、「注文書No.160138」、「(発注先住所)/東京都調布市仙川町2-5-7」、「(発注先)/キューピー株式会社 御中」、「要求元:製造第1課 滅菌工程」、「エイワイファーマ(株)静岡事業所大井川工場/静岡県焼津市・・・」の記載がある。
また、「下記の通りご注文申し上げます」の下に表があり、「品名及び規格」の欄には「DVLOCK H28年5月チェーンレール摩耗対策工事」、「適用」の欄には「貴見積書(No.003893-1)の通り。」の記載がある。
(8)乙第29号証について
乙第29号証は、「注文請書」であるところ、これには、「発注日 2016年4月22日」、「注文書No.160138」、「静岡県/焼津市・・・/エイワイファーマ(株)大井川工場御中」、「請負業者住所/東京都調布市仙川町2-5-7」、「請負業者氏名/キユーピー株式会社/エンジニアリング部」の記載がある。
また、「下記の通りご注文申し上げます」の下に表があり、「品名及び規格」の欄には「DVLOCK H28年5月チェーンレール摩耗対策工事」、「適用」の欄には「貴見積書(No.003893-1)の通り。」の記載がある。
(9)乙第8号証について
乙第8号証は、「請求書(控)」であるところ、これには、「静岡県焼津市・・・/エイワイファーマ株式会社 静岡事業所」、「大井川工場 製造第1課」及び担当者の記載、「2016年05月30日」の日付の下に「キユーピー株式会社/エンジニアリング部」及び「東京都調布市仙川町2-5-7」の記載、それらの左側に使用商標の表示がある。
そして、これらの記載の下に表があり、それぞれ、「事業所」、「出荷日」、「伝票番号」、「伝票区分」、「お届先/品名」、「数量」、「単価」、「金額」、「消費税」、「税込金額」及び「摘要」の項目があり、「出荷日」の欄には、「0530」、「お届先/品名」の欄には、「エイワイファーマ株式会社 静岡事業所大井川工場 DVLOCK H28年5月チェーンレール摩耗対応工事・・・注文番号:160138」の記載がある。
2 上記1によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第6号証、乙第22号証及び乙第23号証について
乙第22号証は、2016年4月21日に日医工株式会社埼玉工場が「デジタル製タッチパネル交換工事」を被請求人に注文した「注文書」であり、これを受けて、被請求人が当該工事を請け負ったものが「注文請書」(乙23)であり、その「注文請書」に記載されている「設備名」と上記「注文書」に記載されている「品名・型番・メーカー」の記載内容は一致しており、両者の見積番号も一致している。
そして、2016年4月21日の「請求書(控)」(乙6)の「注文No」は、上記「注文書」の「注文書番号」と一致しており、品名も一致している。
そうすると、被請求人は、2016年4月21日付けで、日医工株式会社埼玉工場から「デジタル製タッチパネル交換工事」の注文を受け、当該工事を請け負ったことが認められる。
そして、同日付の使用商標を表示した「請求書(控)」によれば、その工事代金を記載した「請求書」には、その「請求書(控)」に表示された使用商標が表示されており、これを日医工株式会社に渡したことが推認できるものである。
(2)乙第7号証、乙第25号証及び乙第26号証について
乙第25号証は、2016年6月8日にエイワイファーマ株式会社清水工場が「バッグライン A液充填機質量流量計更新工事」を被請求人に注文した「注文書」であり、これを受けて、被請求人が当該工事を請け負ったものが「注文請書」(乙26)であり、その「注文請書」に記載されている「品名及び規格」と上記「注文書」に記載されている「品名及び規格」の記載内容は一致しており、両者の見積番号も一致している。
そして、2016年9月28日の「請求書(控)」(乙7)の「注文番号」は、上記「注文書」の「注文No.」と一致しており、品名も一致している。
そうすると、被請求人は、2016年6月8日付けで、エイワイファーマ株式会社清水工場から「バッグライン A液充填機質量流量計更新工事」の注文を受け、当該工事を請け負ったことが認められる。
そして、2016年9月28日付の使用商標を表示した「請求書(控)」によれば、その工事代金を記載した「請求書」には、その「請求書(控)」に表示された使用商標が表示されており、これをエイワイファーマ株式会社に渡したことが推認できるものである。
(3)乙第8号証、乙第28号証及び乙第29号証について
乙第28号証は、2016年4月22日にエイワイファーマ株式会社大井川工場が「チェーンレール摩耗対応工事」を被請求人に注文した「注文書」であり、これを受けて、被請求人が当該工事を請け負ったものが「注文請書」(乙29)であり、その「注文請書」に記載されている「品名及び規格」と上記「注文書」に記載されている「品名及び規格」の記載内容は一致しており、両者の見積番号も一致している。
そして、2016年5月30日の「請求書(控)」(乙8)の「注文番号」は、上記「注文書」の「注文書No.」と一致しており、品名も一致している。
そうすると、被請求人は、2016年4月22日付けで、エイワイファーマ株式会社大井川工場から「チェーンレール摩耗対応工事」の注文を受け、当該工事を請け負ったことが認められる。
そして、2016年5月30日付の使用商標を表示した「請求書(控)」によれば、その工事代金を記載した「請求書」には、その「請求書(控)」に表示された使用商標が表示されており、これをエイワイファーマ株式会社に渡したことが推認できるものである。
3 判断
(1)商標の使用者について
上記2によれば、使用商標が表示された取引書類である「請求書(控)」(乙6?乙8)には、「キユーピー株式会社」と表示されていることから、これらの「請求書」の作成者は、商標権者(被請求人)であるといえる。
そうすると、使用商標の使用者は、商標権者(被請求人)であると認められる。
(2)使用時期について
商標権者(被請求人)は、「請求書(控)」(乙6?乙8)に記載された工事(役務)について、それぞれ、2016年4月21日、同年5月30日及び同年9月28日に、工事注文者に工事代金を記載した「請求書」を渡したことが推認できる。
そして、これらの日付は、要証期間内の日付である。
(3)使用役務について
乙第6号証の役務は、「デジタル製タッチパネル交換工事」であり、乙第7号証の役務は、「バッグライン A液充填機質量流量計更新工事」であり、乙第8号証の役務は、「チェーンレール摩耗対応工事」であって、これらの工事は、本件審判請求に係る指定役務中の「機械器具設置工事」の範ちゅうに含まれるものである。
(4)使用商標について
商標権者(被請求人)は、「請求書(控)」(乙6?乙8)からすれば、これらの「請求書」に、別掲2のとおりの構成からなる使用商標を表示して使用していたものと推認できる。
(5)使用商標が本件商標と社会通念上同一であるかについて
商標法第50条に規定する商標登録の取消審判における「登録商標」には、いわゆる「社会通念上同一の商標」を含むものであり、「その社会通念上同一の商標」と認められるものは、例えば、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標」などである(商標法第50条第1項)。
そこで、本件商標と使用商標を比較してみるに、本件商標は、別掲1のとおり、二重の縦長楕円形の内側を黒色にし、その中に、「キューピー人形」の図形(以下「キューピー人形図形」という。)を配したものである。
そして、該図形の外側の二重の縦長楕円図形部分は、背景的に表された輪郭図形として看取されるものであって、この部分は、ありふれた図形といえるものであるから、本件商標の要部は、「キューピー人形図形」の部分である。
一方、使用商標は、別掲2のとおり、「キユーピー」の片仮名と「キューピー人形」の図形からなるものであるところ、これは、文字部分と図形部分がそれぞれ要部として看取されるものであるから、「キューピー人形」の図形部分自体も独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものである。
なお、使用商標中に表示された「(R)」(注:( )は、「○」を置き換えたもの。)の部分は、「登録商標」を意味する記号である。
そして、本件商標の「キューピー人形図形」と使用商標の「キューピー人形」の図形とは、ほぼ同一視できる図形といえるものであるから、商標法第50条にいう「外観において同視される図形からなる商標」に該当するものである。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標といい得るものである。
(6)小括
上記(1)ないし(5)によれば、商標権者(被請求人)が、要証期間に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を、本件審判請求に係る指定役務の範ちゅうに含まれる「機械器具設置工事」に係る取引書類(請求書)に付して頒布したと推認することができる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
4 請求人の主張について
請求人は、「商標法第50条が規定する『登録商標(中略)の使用』は、商標法第1条が定める商標法の目的『この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。』に沿って解釈されなければならないところ、公序良俗に違反する商標登録の使用は、『商標の使用をする者の業務上の信用の維持』を図る必要はなく、『産業の発達に寄与』するものでなく、かつ、『需要者の利益を保護する』ものではないから『使用』にあたらない。本件商標の使用は、・・・他人の知的創作を剽窃するものであり、公序良俗に違反するものであって、商標法の保護を受ける『使用』にあたらない。すなわち、他人の知的創作を剽窃する使用は、公序良俗違反の使用であるから商標法第50条の使用ではない。」旨を主張している。
しかしながら、商標法第50条第1項は、「継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定しており、また、同条第2項は、「前項の審判の請求があつた場合においては、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。」と規定しているものである。
そうすれば、登録商標の不使用に係る取消しの審判においては、請求人の主張する公序良俗に違反する商標の使用について、上記条文における取消しの理由とはなっていないものであるから、その主張は、独自の見解であって、適切なものではない。
よって、請求人の上記主張は、採用することができない。
5 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、その請求に係る指定役務である「管工事,機械器具設置工事」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2(使用商標:原本は、乙第6号証ないし乙第8号証を参照。)



審決日 2018-06-18 
出願番号 商願平4-257724 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (037)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 今田 三男杉山 和江 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
中束 としえ
登録日 1996-07-31 
登録番号 商標登録第3176389号(T3176389) 
代理人 日野 修男 
代理人 高田 泰彦 
代理人 朝倉 悟 
代理人 宮嶋 学 
代理人 本宮 照久 
代理人 中村 行孝 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 柏 延之 
代理人 佐藤 泰和 
代理人 永井 浩之 
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