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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X30
管理番号 1343199 
審判番号 取消2016-300479 
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-07-08 
確定日 2018-08-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第5381958号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第5381958号商標(以下「本件商標」という。)は、「DELTA」の文字を標準文字で表してなり、平成22年7月1日に登録出願、第30類「菓子及びパン,アーモンドペースト,穀物の加工品,食用粉類,はちみつ,アーモンド入り菓子,洋菓子,穀物調整品,ピーナッツ入り菓子」並びに第29類、第31類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同23年1月7日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成28年7月27日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第30類「穀物の加工品,穀物調整品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める旨述べ、その理由を審判請求書、平成29年3月17日付け審判事件弁駁書及び同年9月13日付け口頭審理陳述要領書において,要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、本件審判の請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において使用されていないものであるから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の商品カタログ(乙2)
ア 商品カタログ
被請求人が提出した商品カタログ(乙2)は、表紙に「Retail/Product Guide」と明記されているとおり、卸売又は小売の役務の提供に当たって使用するカタログであるから、第30類「穀物の加工品,穀物調整品」について商標を使用したことを示す証拠ではない。
すなわち、上記カタログの表紙には、ドライフルーツ又はナッツ製品の写真が掲載され、「ドライフルーツやナッツは、」、「安心安全なドライフルーツ、ナッツ作りを追求しています。」、「アーモンド・クルミ・レーズンなどを始めとする」等の記載とともに、ドライフルーツ又はナッツ製品が掲載されている(甲3:乙2の写し)ことから、当該カタログは、掲載製品からしても、その構成全体からしても、ドライフルーツ又はナッツ製品の卸売又は小売の役務に関するカタログとしてしか認識され得ないものである。
したがって、上記カタログに表示されたいずれの標章も、第30類「穀物の加工品,穀物調整品」の出所識別標識として認識され、取引されたとはいえない。
イ 商品カタログの使用時期
被請求人は、乙第4号証の請求書を根拠に、乙第2号証の商品カタログが2016年6月6日に納品されたと主張するが、当該請求書に記載された「商品パンフ(茶)」が乙第2号証の商品カタログかどうかは不明である。そして、乙第2号証は、抜粋写しとされるものであるため、全体の構成、総ページ数も確認できず、1冊のカタログから抜粋したものかも不明である。
また、被請求人は、上記商品カタログについて、「被請求人の商品カタログ(2016年6月現在)である」とも主張するが、当該カタログの裏表紙には、「*当カタログの内容は2016年6月現在のものとなります。」と記載があるにすぎず、その年月の記載は、当該カタログの発行日や使用時期を示すものではない。
さらに、上記カタログには、「商品の仕様については、事前の通知なしに変更となる場合があります。」とも明記されていることから、掲載商品の取引時期とそのカタログの使用時期とが一致しないことが前提であり、当該カタログが商品の発注に必須のものではないことがうかがえる。
この点につき、被請求人は、「掲載されている商品は、本件審判の請求の登録前3年以内における被請求人の販売商品であることが明らかである」旨主張するが、仮に、掲載商品が2016年6月現在のものであったとしても、乙第2号証の商品カタログが本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という場合がある。)に取引で使用されたことを裏付けるものではないし、仮に、掲載商品と同一の商品が要証期間に取引された事実があったとしても、取引された商品に本件商標の表示がなければ、かかる取引の事実は、要証期間の本件商標の使用を示すものではない。
したがって、乙第2号証の商品カタログの裏表紙に「当カタログの内容は2016年6月現在のものとなります。」と記載があったとしても、被請求人が要証期間にそのカタログを掲載商品の取引で使用したことの証明にならない。
(2)被請求人の使用商標
ア 本件商標は、「DELTA」の文字を標準文字で表してなるものであるところ(甲1)、乙第2号証の商品カタログの表紙及び裏表紙に記載の商標(以下「使用商標」という。)は、図形と二段に書した「DELTA」及び「International Co.,Ltd.」の文字とが、外観上、まとまりよく一体的に表されていること、被請求人の名称「株式会社デルタインターナショナル」の英語表記が「DELTA International Co.,Ltd.」であることから、全体として被請求人の名称を観念させる一体の商標として認識され、取引されるものである。
そうすると、一体の商標として認識される使用商標と本件商標とは、図形及び「International Co.,Ltd.」の文字の有無という明らかな差異を有し、称呼、観念及び外観において同一性を有しない。
したがって、使用商標は、本件商標と同一ではなく、社会通念上同一でもない。
イ 被請求人は、使用商標の構成中の「International Co.,Ltd.」の文字部分が「社名表示として付記的なもの」と主張するが、上記商品カタログ(乙2)の表紙の「デルタインターナショナル商品カタログ」の表示のほか、被請求人自身が、社名を「Delta International」、「デルタインターナショナル」と略称していることは、当該カタログの記載から明らかであり(甲3:乙2の表紙、1ページ、裏表紙)、かかる主張は、乙各号証の記載と齟齬がある。
また、上記商品カタログの使用商標は、被請求人の「株式会社デルタインターナショナル」及び「DELTA International Co.,Ltd.」の名称並びに「Delta International」及び「デルタインターナショナル」の略称と近接して表示されているのであるから、かかる観点からしても、使用商標に接した取引者、需要者が、使用商標の構成中の「International Co.,Ltd.」の文字部分を「社名表示として付記的なもの」と認識し、使用商標の構成中の「DELTA」の文字部分のみを分離抽出して、それを出所識別標識として取引したとする事情は見当たらない(甲3:乙2の表紙、1ページ、裏表紙)。
この点、被請求人は、上記商品カタログの1ページ目の「DELTA」、「デルタ」、「私たちデルタのドライフルーツやナッツは、すべてこの地球上の大地で採れる農作物から作られています」の記載について言及しているが、当該ページ上部の「DELTA」、「デルタ」の記載は、「私たちデルタのドライフルーツやナッツは」との記載から明らかなように、ドライフルーツとナッツに関する記載であって、第30類「穀物の加工品,穀物調整品」に関する記載ではないし、これに続く英文では、やはり「Delta International has been・・・」などと「Delta International」を略称として使用しており、当該ページの中央のより目立つ位置に「デルタインターナショナル」が略称として記載されている。
したがって、上記商品カタログの1ページ目の記載は、使用商標の構成中の「DELTA」が被請求人の略称と認識されるとする理由にはならない(甲3:乙2の1ページ)。
(3)本件審判の請求に係る指定商品についての使用
ア 「ナッツスムージープラス」について
(ア)被請求人が本件商標の使用商品として主張する「ナッツスムージープラス」(乙2)は、「ナッツ」のスムージーであって、第30類「穀物の加工品,穀物調整品」ではない。
第30類「穀物の加工品,穀物調整品」は、「うどんのめん」、「パン粉」、「米飯の缶詰」等、米、大麦、小麦等の穀物を主原料とする加工品及びそれらの加工品であって、ナッツを主原料とする商品は含まず、穀物を含有する商品を全て含むものでもない。
被請求人は、「ナッツスムージープラス」のナッツと穀物の含有量を明らかにしていないが、当該商品の包装で、「3種のナッツに、」、「6種のフルーツ」、「話題のスーパーフード」の記載とともに、「15種の穀物」を配合したものと説明し、さらに、被請求人のネットショップ「nutsberry」では、「ナッツ博士」、「ナッツ3種類を一緒に摂れる!」、「『ナッツカフェラテ味』が飲みやすい!」など、「ナッツを原料とする製品」として宣伝しており(甲4)、穀物に関する説明が一切ないことから、「ナッツスムージープラス」の名のとおり、当該商品の主原料がナッツであることは明らかである。
したがって、上記商品に関する使用は、第30類「穀物の加工品,穀物調整品」についての使用ではない。
(イ)被請求人は、請求明細書(乙5)を提出して、「ナッツスムージープラス」が2016年7月27日に販売されたと主張するが、当該明細書は、被請求人作成の書類であって、日付はなく、あて名も被覆されており、要証期間の取引を客観的に示す証拠ではない上、同日は,要証期間外である。
(ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、「ナッツスムージープラス」に関する乙各号証は、いずれも、要証期間において、被請求人が本件商標を第30類「穀物の加工品,穀物調整品」について使用した事実を示すものではない。
イ 「有機シリアル」、「有機フルーツグラノーラ」、「有機オートミール」について
(ア)ネットショップ「nutsberry」のウェブサイトのページ
被請求人は、「有機シリアル」、「有機フルーツグラノーラ」、「有機オートミール」の使用証拠として、ネットショップ「nutsberry」のウェブサイトのページの写し(乙6、乙7、乙9?乙11)を提出しているが、これらは、いずれも2016年11月から12月に印刷されたものであり、要証期間の使用を示す証拠とはならない。
また、上記いずれの製品にも、ウェブサイトのページにも、本件商標は使用されていない。
なお、乙第7号証に被請求人の会社名の記載があるが、本件商標の使用ではなく、また、乙第8号証は、被請求人のウェブサイトの写しであって、「有機シリアル」、「有機フルーツグラノーラ」、「有機オートミール」についての商標の使用とは無関係である。
(イ)ネットショップ「nutsberry」の売上高に関する書類
被請求人は、ネットショップ「nutsberry」における「有機シリアル」、「有機フルーツグラノーラ」、「有機オートミール」の要証期間の売上高を示す書類として、乙第12号証ないし乙第15号証を提出しているが、それらの商品の取引にあたり本件商標が使用された事実を示す証拠はない。
(ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、上記各商品に関する乙各号証は、いずれも、要証期間において、被請求人が本件商標を第30類「穀物の加工品,穀物調整品」について使用した事実を示すものではない。
3 口頭審理陳述要領書
(1)乙第2号証のカタログについて
被請求人は、乙第2号証のカタログの作成時期と頒布方法を説明しているが、乙第2号証が頒布されたことを示す証拠は一切提出されていない。
被請求人が提出した自社エントランスと受付の写真(乙22、乙23)は、要証期間外の2017年8月に撮影されたものであり、要証期間の事実を示す証拠ではない。
また、被請求人は、デザイン会社等との通信記録等の提出(乙16?乙21)、パソコン画面を印刷した書証(乙17、乙18)をもって、乙第16号証の電子メールの添付書類が乙第2号証のカタログであると主張するが、保存先が同一ネットワーク内の別のパソコンのハードディスクドライブ内である場合や、外部記録媒体(USBメモリ等)を利用すれば、同一ファイル名の異なるプロパティ情報をパソコン画面上に表示させることは容易であるし、ファイルの作成時期や更新日時を変更するフリーソフト等が入手可能であることは周知である。
したがって、上記パソコンの画面を印刷した書証は、電子メールの添付書類の内容を裏付ける証拠にはならず、乙第16号証の電子メールの添付書類の内容は不明であるから、乙第2号証のカタログに関する乙各号証は、要証期間における本件商標の「穀物の加工品,穀物調整品」への使用を示すものではない。
(2)乙第30号証のカタログについて
ア 商品カタログの構成等
乙第30号証のカタログは、乙第2号証で提出された抜粋写し(表紙、1ページ、2ページ、5ページ、14ページ、裏表紙)とほぼ同様の構成である。
したがって、乙第30号証は、表紙に「Retail/Product Guide」と明記のとおり、卸売又は小売の役務の提供に当たって使用するカタログであり、第30類「穀物の加工品,穀物調整品」について、商標を使用したことを示す証拠ではない。
すなわち、上記カタログの表紙には、ドライフルーツ又はナッツ製品の写真が掲載され、「ドライフルーツやナッツは、」、「安心安全なドライフルーツ、ナッツ作りを追求しています。」、「アーモンド・クルミ・レーズンなどを始めとする」等の記載とともに、ドライフルーツ又はナッツ製品が掲載されている(甲3:乙2の写し)。また、当該カタログの3ないし4ページに記載されたパートナー企業は、いずれもドライフルーツ又はナッツ製品に関する企業であり、当該カタログの5ないし14ページにも、ドライフルーツ又はナッツ製品が掲載されていることから、当該カタログは、掲載製品からしても、その構成全体からしても、ドライフルーツ又はナッツ製品の卸売又は小売の役務に関するカタログとしてしか認識され得ないものである。
したがって、上記カタログに表示されたいずれの標章も、第30類「穀物の加工品,穀物調整品」の出所識別標識として認識され、取引されたとはいえない。
イ 商標について
乙第30号証のカタログの表紙及び裏表紙に記載された商標は、乙第2号証と同一であるから、全体として被請求人の名称を観念させる一体の商標として認識され、取引されるものであり、本件商標と乙第30号証に記載の商標(使用商標)とは、図形及び「International Co.,Ltd.」の有無という明らかな差異を有し、称呼、観念及び外観において同一性を有しないものであるから、使用商標は、本件商標と同一ではなく、社会通念上同一でもない。
被請求人は、商品カタログの1ページ目の記載について縷々述べているが、既に審判事件弁駁書において述べたとおり、当該商品カタログの1ページ目の「DELTA」の表示は、「穀物の加工品,穀物調整品」に係る出所識別標識として認識されるものではない。
ウ カタログの頒布について
被請求人は、乙第30号証の商品カタログを「第50回スーパーマーケット・トレードショー2016」のブースで頒布したと主張する(乙24?乙37)が、被請求人が展示会ブースで撮影したとする写真(乙25、乙27)には、何がしかの冊子が並んでいるようには見えるが、その一つが乙第30号証のカタログかどうか不明である。
また、上述した乙第17号証及び乙第18号証と同様に、パソコン上の画面の印刷(乙27)で、画面上の写真の撮影時期を特定することはできず、乙第25号証の写真の撮影時期は不明である。
さらに、被請求人は、乙第2号証のカタログについてと同様に、デザイン会社等との通信記録等を提出し(乙16?乙21)、パソコンの画面を印刷した書証(乙31、乙37)をもって、乙第33号証の電子メールの添付書面が乙第30号証のカタログであると主張するが、既述のとおり、当該パソコンの画面を印刷した書証は、電子メールの添付書類の内容を裏付ける証拠にはならないから、乙第33号証の電子メールの添付書面の内容は不明である。
加えて、乙第30号証のカタログ1,000部の分の請求書(乙32)によれば、その印刷料は「130,000円」とあるが、同様の構成の乙第2号証のカタログを2,000部印刷した際の印刷料は「149,500円」(乙4)とほぼ同額であり、明らかに単価が異なる。また、当該請求書(乙32)には、「納品日:2016年02月08日」との記載があるが、その作成日は「2016/06/27」であり、乙第2号証のカタログの請求書(乙4)が「納品日:2016年6月6日」の2日後の「2016/6/8」に作成されているのに対し、4か月以上経過した後に作成されていて不自然である。さらに、被請求人は、複数の販促物を印刷しているようであり(乙22、乙23等)、乙第32号証の請求書が乙第30号証のカタログに関するものであるか不明である。
したがって、乙第30号証のカタログが、いつ作成され、いつどのように頒布されたか不明である。
(3)「有機シリアル」、「有機フルーツグラノーラ」、「有機オートミール」について
ア 商品カタログの構成等
被請求人が通販用カタログと主張する「nutsberry」のカタログ(乙40)は、表紙に「ドライフルーツとナッツのお店」と明記され、ドライフルーツ又はナッツ製品が掲載されていて、乙第2号証及び乙第30号証のカタログと同様に、その掲載製品からしても、その構成全体からしても、ドライフルーツ又はナッツ製品の卸売又は小売の役務に関するカタログとしてしか認識され得ないものである。
したがって、上記カタログに表示されたいずれの標章も、「穀物の加工品,穀物調整品」の出所識別標識として認識され、取引されたとはいえない。
また、そもそも、「nutsberry」のカタログは、全体の構成、総ページ数が確認できず、1冊のカタログから抜粋したものかどうかも不明である。その表紙と裏表紙の「nuts/berry」、「ドライフルーツとナッツのお店」、その他の図形等が非常に不鮮明である一方、「商品カタログ」、「※内容、価格は随時変更される場合がございます。」、「詳しくはTELにてご確認ください。」、発行日、号数、被請求人の名称、住所、電話及びファックス番号等の黒字の記載、裏表紙の住所変更を告げる赤字の記載並びにホームページアドレス及び「図形/DELTA DELTA International Co.,Ltd.」の青字の記載は、後から挿入したかのように非常に鮮明で統一感がなく、中央に記載された「nuts/berry」の図形等の商標と「商品カタログ」の文字の中心が不一致で、顧客に頒布する「紙媒体の通販用カタログ」というには煩雑な仕上がりであり、不自然である。
さらに、乙第41号証は、関係者で事後的に作成が可能なものであるため、商標の使用の事実を示すには客観性を欠く。
加えて、「nutsberry」のカタログ(乙40)には、ネットショップ「nutsberry」で使用されている商品番号(乙9の3ページ目、乙10の2及び3ページ目)の掲載もなく、被請求人のネットショップ「nutsberry」(乙8、乙9、乙39)で表示されていない「図形/DELTA DELTA International Co.,Ltd.」が、通販用カタログに唐突に表示されていることも不自然である。
イ 商標について
裏表紙に記載された「図形/DELTA DELTA International Co.,Ltd.」は、被請求人の名称を観念させる一体の商標として認識され、取引されるものであり、本件商標とは、図形及び「International Co.,Ltd.」の文字の有無という明らかな差異を有し、称呼、観念及び外観において同一性を有しないから、本件商標と同一ではなく、社会通念上同一でもない。
ウ カタログの送付と商品販売について
被請求人は、「nutsberry」のカタログを送付した証拠として乙第41号証を提出しているが、そこに記載されている「カタログ」がどのカタログを示すのか不明である。
また、乙第41号証は、関係者で事後的に作成可能なものであるから、商標の使用の事実を示すには客観性を欠くものである。
さらに、受注明細書(乙42)は、「有機シリアル」、「有機フルーツグラノーラ」、「有機オートミール」の記載はなく、本件とは無関係である。
被請求人は、売上高一覧表(乙12?乙15)の表示期間に対応する商品カタログとして、乙第40号証を提出しているが、当該一覧表には、乙第40号証に記載のない商品番号や表現が使用されており、乙第40号証と発注との関係は不明である。
したがって、被請求人が、要証期間に、「有機シリアル」、「有機フルーツグラノーラ」、「有機オートミール」の販売に当たって、本件商標を使用した事実は確認できない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求める答弁し、その理由を平成29年1月10日付け審判事件答弁書及び同年8月31日付け口頭審理陳述要領書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第42号証を提出した。
1 審判事件答弁書
商標権者である被請求人は、要証期間に日本国内において、本件商標を本件審判の請求に係る指定商品について使用しているから、本件審判の請求は成り立たない。
(1)カタログにおける商標使用
ア 本件商標は、被請求人の企業名を表示するコーポレートブランドとして、被請求人商品やウェブサイト等に使用されている。
被請求人のウェブサイトの会社情報では、ドライフルーツ、ナッツ等の食品の卸売、輸出入、企画開発、販売を主な事業とし、その他農産加工品、スイーツ等も取り扱っていることが示されている(乙1)。
乙第2号証は、被請求人の商品カタログ(2016年6月現在)であって、ドライフルーツ、ナッツ、フルーツシロップ漬け等の商品のほか、ドライフルーツ入りのチョコレート等菓子も掲載されており、当該カタログは、2016年5月6日に被請求人の本店を現在の所在地へ移転(乙3)したため、新たに印刷されたものであり、その作成時期は、印刷会社の請求書(乙4)によっても客観的に証明される。
上記請求書(乙4)には、2016年6月6日に「商品パンフ(茶)」2,000部が納品され、同年6月8日に請求書が発行されたことが示されている。
したがって、上記カタログ(乙2)に掲載されている商品は、要証期間における被請求人の販売商品であることが明らかである。
イ 上記カタログ(乙2)の表紙及び裏表紙には、販売者を表示する「DELTA」の商標が記載されている。これは、細い縦長の書体による「DELTA」と、その下に「International Co.,Ltd.」が表示されているが、後者は、社名表示として付記的なものであり、その幅は「DELTA」の文字の横幅に揃えられ、高さは「DELTA」の文字の5分の1程度で、かなり小さく表されているから、需要者は、一見して「DELTA」の文字部分に注目し、この顕著に表示された「DELTA」の文字部分が出所識別機能を発揮しているといえる。
また、上記カタログの1ページ目には、「DELTA」の文字が顕著に表示され、その下に「デルタ」の片仮名が小さく記載されている。そして、当該ページ中には、「私たちデルタのドライフルーツやナッツは、すべてこの地球上の大地で採れる農作物から作られています。」と記載があるように、「DELTA」の語が被請求人を表示する略称として使用されていることが分かる。
さらに、ドライフルーツ、ナッツ等の商品画像では、包装に「DELTA」商標が使用されている。
したがって、本件商標と同一の称呼及び観念の生じる社会通念上同一の商標が、カタログに掲載された商品について使用されているといえる。
(2)本件審判の請求に係る指定商品についての使用
ア 「ナッツスムージープラス」
(ア)被請求人は、ナッツ、フルーツ、穀物を配合した「ナッツスムージープラス」を販売している。これは、乙第2号証の商品カタログの12ページ中に掲載されている商品であり、現在も店頭及びネットショップ等において販売されている。
上記「ナッツスムージープラス」の商品情報には、ナッツ、ベリー類に加え、15種類の穀物が配合されたスムージーとの説明があり、商品内容には、「穀物混合末(発芽玄米、丸麦、胚芽押麦、もち玄米、もち麦、もち黒米、青大豆、もちきび、はと麦、もち赤米、もちあわ、黄大豆、黒大豆、あずき、ひえ、とうもろこし)、小麦」等が原料として含まれていることから、穀物の加工品に該当する。
また、商品カタログには、本件商標と社会通念上同一といえる「DELTA」商標が掲載され、販売者を表示するものとして使用されている。
したがって、「ナッツスムージープラス」の販売について、本件商標が使用されているといえる。
(イ)乙第5号証は、被請求人が顧客に対して発行した請求明細書であり、上記「ナッツスムージープラス」が含まれている。当該明細書には、「(自)16年07月21日(至)16年08月20日」の記載があることから、「ナッツスムージープラス150g×10」が2016年7月27日に販売されたことが分かる。
イ 「有機シリアル」、「有機フルーツグラノーラ」、「有機オートミール」
(ア)被請求人は、ナッツやドライフルーツ等を中心に様々な食品を販売する通販サイト「nutsberry」を2011年から運営しており(乙6)、その会社概要には、被請求人が表示されている(乙7)ほか、被請求人のウェブサイトのトップページに「nutsberry」の表示がある(乙8)ことから、当該通販サイト(ネットショップ)の商品も、被請求人が販売者として理解されるものである。
そして、上記通販サイト(ネットショップ)では、「有機シリアル」、「有機フルーツグラノーラ」、「有機オートミール」を販売しており(乙9?乙11)、このうち、「有機シリアル」及び「有機グラノーラ」は、フルーツ、ナッツ類のほか、コーンフレーク、有機オート麦、有機小麦、有機小麦ブラン等の穀物類が含まれているため、第30類「穀物の加工品」に該当する商品であり、また、「オートミール」も第30類「穀物の加工品」に該当する商品である。
(イ)乙第12号証は、「有機シリアル」及び「有機フルーツグラノーラ」の商品別売上高を示す管理者画面をプリントアウトしたものであり、商品名の欄に「有機シリアル<ハイファイバープレミアム480g【オーガニック】【有機JASマーク認定】【塩・砂糖不使用】」、「有機フルーツグラノーラ<200g>【オーガニック】【グラノーラ】【有機JASマーク認定】」と記載され、その右側のセルに商品番号、単価、売上個数、売上高、売上件数が記録されている。そして、2016年3月1日から3月31日までの間の売上個数として、両商品のそれぞれについて6個と表示されているから、要証期間において「穀物の加工品」が販売されていたことを示すものである。
また、上記商品名の行をクリックすると、商品ごとの購買者が一覧で表示され、その氏名、購買金額、購買回数、購買個数を確認することができる(乙13)ところ、当該一覧においても、「有機シリアル<ハイファイバープレミアム480g【オーガニック】【有機JASマーク認定】【塩・砂糖不使用】購買者一覧」、「有機フルーツグラノーラ<200g>【オーガニック】【グラノーラ】【有機JASマーク認定】購買者一覧」との表示があり、販売期間と商品名が証明されている。
(ウ)乙第14号証は、「有機オートミール」の商品別売上高を示す管理者画面をプリントアウトしたものであり、商品名の欄に「有機オートミール<250g>【オーガニック】【オートミール】【有機JASマーク認定】」と記載され、その右側のセルに商品番号、単価、売上個数、売上高、売上件数が記録されている。そして、2016年3月1日から3月31日までの間の売上個数として、17個と表示されているから、要証期間において「穀物の加工品」が販売されていたことを示すものである。
また、乙第15号証は、2016年3月1日から3月31日までの間の「有機オートミール<250g>【オーガニック】【オートミール】【有機JASマーク認定】購買者一覧」を表示した画面である。
ウ 小括
上記ア及びイの販売実績は、被請求人が本件審判の請求に係る指定商品を現実に販売していることを客観的に証明するものであり、その使用商標は、被請求人のコーポレートブランドを表す、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。
2 口頭審理陳述要領書
(1)カタログの作成時期
ア 乙第2号証の商品カタログ(原本)の裏表紙右下に「当カタログの内容は2016年6月現在のものとなります。」の記載があり、乙第2号証と同一のカタログであることが分かる。
そして、上記カタログの表紙には、「DELTA」の文字が白地の正方形の中に目立つように記載されている。
また、上記カタログの1ページ目上部には、「DELTA」の文字が大きく表示され、その下に「デルタ」の文字が記載されており、「Diversity」、「Evolution」、「Learning」、「Traceability」、「Aspiration」の各語の頭文字を白抜きとして丸で囲み、縦に「DELTA」の文字が強調され、顕著に記載されている。
さらに、その下の「私たちデルタのドライフルーツやナッツは、すべてこの地球上の大地で採れる農作物から作られています。」という需要者へのメッセージや、社長挨拶の部分からみて、上記カタログに掲載された商品は、被請求人の企画、製造による商品であることが理解できる。「DELTA」の語のこのような顕著な表示方法は、記述的なものではなく、出所表示機能、品質保証機能を有する商標と理解されるものである。
したがって、上記カタログに掲載された商品に関し、商品の取引書類に標章を付して展示、頒布などにより提供する行為として、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。
イ 上記カタログに掲載された商品の販売時期を示す資料として、請求書写し(乙4)を提出したが、その請求件名「商品パンフ(茶)」は、乙第2号証の商品カタログに該当するものである。
商品カタログの印刷の流れは、以下のとおりである。
(ア)被請求人からカタログデザイン会社へデザイン修正の依頼及び承認
(イ)デザイン会社から印刷会社へ印刷データを直接送付
(ウ)印刷会社から被請求人へカタログ納品
上記取引の連絡はメールにより行われたことから、各社の担当者によるメール履歴を提出する。
乙第16号証は、被請求人担当者のAからデザイン会社(トランジット合同会社)のBに対し、2016年4月8日にデザイン修正依頼を行い、その後、同年5月27日に修正後の最終確認を行った際のメール内容である。Bが、最終版をAにメール送信した際のパソコン画面をプリントしたものが乙第17号証である。メール添付のPDFデータは、2016年6月版の商品カタログ(乙2)と同一のものであり、また、当該PDFデータのプロパティを表示したものが乙第18号証であり、ファイル名が一致し、その更新日は、メール送信日時の少し前である。
乙第19号証は、デザイン会社のBから印刷会社(株式会社精美堂)のCに対し、2016年5月30日に印刷入稿データを送り、データが受領された旨のメール内容である。
乙第20号証は、被請求人のAから印刷会社のCに対し、2016年5月27日にカタログ2,000部の印刷の見積りを依頼し、100部を先納品、900部を同年6月6日納品、残りを印刷会社保管とする旨のメール内容である。
また、乙第4号証の印刷会社の2016年6月8日付け請求書には、部数が「2,000部」、納品日が「2016年6月6日」との記載があるほか、搬送料の項目の備考欄には「保管料+搬送料(2回)」の記載があり、上記メールの内容と一致するものである。
したがって、上記請求書の写し(乙4)の請求件名「商品パンフ(茶)」が、乙第2号証の商品カタログと一致することに整合性がある。
乙第21号証は、デザイン会社の2016年5月30日付け請求書であり、内訳項目には「総合カタログ(コンシューマー用)2016年6月改訂版」とあることから、上記の取引を裏付ける資料である。
以上のメール履歴の内容から、乙第2号証の商品カタログは、要証期間である2016年6月に確かに作成された商品カタログであることが明らかである。
(2)カタログの頒布方法
ア 被請求人は、商品カタログの頒布場所として、自社のエントランス(乙22)、来訪者受付カウンター(乙23)で配布しているほか、主に以下の方法により頒布している。
(ア)取引先との商談時に持参し、商品の紹介時に使用する。
(イ)取引先担当者に送付又は直接渡し、今後の商品発注の参考としてもらう。
(ウ)問屋からの依頼の場合、希望部数を送付し、問屋取引先のスーパー、個人商店等における商品紹介に使用してもらう。
(エ)取引先からの依頼で、直接取引のない企業・店舗へ送付する。
(オ)スーパーマーケットトレードショー、展示会等で、ブース来場者に配布する。
上記のうち、(オ)のスーパーマーケットトレードショーは、スーパーマーケットを中心とする食品流通業界に最新情報を発信する商談展示会であり、毎年開催されている(乙24)。被請求人は、当該トレードショーに出展し、実際に商品を展示し、来場者に商品カタログを配布している。
乙第25号証は、2016年2月10日から12日までの間、東京ビッグサイトで開催された「第50回スーパーマーケット・トレードショー2016」(乙26)に出展した際に撮影した被請求人のブースの写真である。当該ブースの高い位置に「DELTA」の文字が顕著に表示され、被請求人の商品や商品カタログが展示されている風景が記録されている。当該写真のプロパティによれば、撮影日時は「2016/02/11 13:28」となっており、当該出展時の撮影であることが証明される(乙27)。
乙第28号証は、上記トレードショーの出展申込書の写しであり、出展者名には、被請求人が記載されている。
また、乙第29号証は、上記トレードショーの出展費用に関する平成27年(2015年)7月6日付け請求書の写しであり、前払いとして発行されたものである。
イ 被請求人は、「第50回スーパーマーケット・トレードショー2016」の出展に合わせ、2016年1月版の商品カタログの印刷を行っている。これは、実際に当該トレードショーで頒布した商品カタログである(乙30)。
上記カタログの裏表紙には、「当カタログの内容は2016年1月現在のものとなります。」の記載があり、住所は、移転前の旧住所となっている。
そして、上記カタログの印刷時期を明らかにするため、被請求人と前述の印刷会社の担当者間のメール履歴を提出する(乙31)。これによれば、2015年12月29日に、被請求人のDから印刷会社のEに対して、「コンシューマーカタログリニューアル版印刷 2月9日(搬入日)?12日までのスーパーマーケットトレードショウに間に合うように印刷をお願いしたいと思っています。」との発注内容が記載され、その後、2016年1月6日に納期を2月8日、完全データを2月1日渡しとする承認を行っている。
乙第32号証は、上記カタログ印刷に関する印刷会社の2016年6月27日付け請求書であり、件名は「商品パンフ」、納品日は「2016年02月08日」となっている。なお、納品日と請求日が離れているのは、当該カタログの納品を受けた被請求人が、その後、その代金の請求を受けていないことに気付き、印刷会社に連絡して請求書を発行してもらったためである。
また、上記印刷においても、前述のデザイン会社にカタログデザインの修正を依頼しており、2016年1月29日に修正依頼、同年2月1日に入稿データの最終確認が行われている(乙33)。
乙第34号証は、デザイン会社のBから被請求人のAへ送信したメールに添付された入稿データの内容を表示したパソコン画面をプリントしたものである。当該添付のPDFデータは、2016年1月版の商品カタログと同一のものであり、また、当該PDFデータのプロパティを表示したものが乙第35号証であり、ファイル名が一致し、その更新日は、メール送信日時の少し前である。
デザイン会社の2016年1月31日付け請求書には、「総合商品カタログ(コンシューマー用)2016年改訂版」と記載されている(乙36)。
上記カタログは、2016年2月8日に被請求人の社内一斉メールにより、スーパーマーケットトレードショーに合わせ改版された旨が周知され(乙37)、その後、被請求人の商品カタログとして頒布されていたことが理解される。
上記取引履歴から、被請求人は、商品カタログを要証期間に作成及び頒布していたことが証明される。
(3)「ナッツスムージープラス」について
被請求人の販売する「ナッツスムージープラス」は、「穀物の加工品」に該当するものであり、商品パッケージの「3種のナッツに、6種類のフルーツ、15種の穀物」が配合されているという記載から、多くの穀物が含まれる加工食品であると需要者は理解するものである。このように、主原料に穀物が含まれていることから、当該商品は、「穀物の加工品」に該当する。
そして、上記「ナッツスムージープラス」は、被請求人の商品カタログに掲載されていることから、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。
(4)通販サイト「nutsberry」について
被請求人は、通販サイト「nutsberry」において、「有機シリアル」、「有機フルーツグラノーラ」、「有機オートミール」等の穀物の加工品を販売している。被請求人の通販サイトは、2006年6月16日に開設し(乙38)、2007年9月から「e-CROP」の名称で販売開始していたが、2011年7月22日から「nutsberry」にショップ名を変更している(乙39)。
通販サイト「nutsberry」において、上記商品が要証期間に販売されていたことを示すため、通販用のカタログを提出する(乙40)。当該カタログは、被請求人へ電話やFAXで発注希望があった場合に、紙媒体の商品カタログとして送付しているものである。電話番号等の連絡先は、被請求人商品や「nutsberry」サイト上に掲載されていることから、被請求人の商品を知って注文を行うものといえる。通販用のカタログは、新商品販売開始、販売終了、価格改定などに合わせて改訂を行っている。
被請求人は、商品に記載してあるフリーダイヤルでの問合せに対し、2013年10月以降の記録を取っているが、商品の問合せを受けた顧客にカタログを送付している(乙41)。当該記録の備考欄の「カタログ」や「パンフレット」等の記載は、全て通販サイト用の「nutsberry商品カタログ」を指すものである。
また、上記商品カタログを送付した顧客から実際に注文を受けて販売した受注明細書が乙第42号証である。当該受注明細書の「ドライリンゴ」、「白いちじく」等は、上記商品カタログの掲載商品であり、顧客が当該カタログを見て注文を行ったといえる。
さらに、上記各商品が実際に販売されていた事実は、被請求人が既に提出している乙第12号証ないし乙第15号証に示すとおりである。
なお、乙第12号証ないし乙第15号証に係る表示期間(2016年3月1日?3月31日)に対応する2016年2月25日第30号の「nutsberry商品カタログ」には「有機シリアル」、「有機フルーツグラノーラ」、「有機オートミール」が掲載されている(乙40)。そして、「nutsberry商品カタログ」の裏表紙には、「DELTA」の文字が記載されており、被請求人の商品シリーズを表示する商標と理解されるものである。
したがって、要証期間に「nutsberry商品カタログ」が頒布されたことが明らかであり、「有機シリアル」、「有機フルーツグラノーラ」、「有機オートミール」について、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。
(5)請求人の弁駁書について
請求人は、被請求人の商品カタログについて、「ドライフルーツ又はナッツ製品の卸売又は小売役務に関するカタログとしてしか認識され得ない」旨述べているが、当該カタログに掲載されている「ナッツスムージープラス」は、「穀物の加工品」に該当する商品である。そして、本件商標が記載された被請求人の商品カタログは、要証期間に使用されたものである。
また、被請求人の通販サイトにおける「有機シリアル」、「有機フルーツグラノーラ」、「有機オートミール」の販売事実も,上記のとおり証明されているのであるから、これらの商品について、要証期間に本件商標が使用されたものといえる。
請求人は、「使用商標は、本件商標と同一ではなく、社会通念上同一でもない」と述べているが、商品カタログ1ページの「DELTA\デルタ」の記載のように、単独で「DELTA」又は「デルタ」と認識される表示がされており、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているというべきである。
加えて、「nutsberry」サイトにおける商標の使用に関しては、要証期間の通販用カタログの送付によって、当該カタログに記載された「DELTA」が社会通念上同一の使用と認められるものである。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
(1)被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、以下のとおりである。
ア 本件商標権者は、通信販売用の商品カタログを制作し、電話やFAXで連絡があった希望者に対して当該カタログを送付しているところ、乙第40号証に係る2016年2月25日付け商品カタログ(以下「本件カタログ」という。)は、同年4月22日に連絡があったFに送付され、Fは、同月25日に、「黒糖くるみきな粉220g」や「国産ドライみかん50g」等、本件カタログに掲載されている商品の注文をし、その注文に係る商品は、同月26日に、本件商標権者によりFへ発送された(乙41、乙42)。
イ 本件カタログは、表裏の表紙を含めて全8葉からなり、裏表紙には、別掲に示すとおりの構成からなる標章(以下「使用標章」という。)の表示のほか、本件商標権者の名称及び住所(東京都品川区北品川3-3-5 2F)の表示並びに「※2016年5月6日より、電話番号が変わります!※」の記載の下に新たな電話番号及びFAX番号を記載してなる表示がある。
なお、本件商標権者は、平成28年5月6日に、本店を「東京都品川区北品川三丁目3番5号」から「東京都品川区北品川四丁目7番35号御殿山トラストタワー11階」へ移転している(乙3)。
ウ 本件カタログの6葉目には、「有機シリアル/ハイファイバープレミアム480g」、「有機オートミール250g」及び「有機フルーツグラノーラ200g」と称する商品が掲載されているところ、これらの商品は、それぞれの原材料及び商品説明を併せ見れば、いずれも本件審判の請求に係る指定商品に含まれるものと認められる。
(2)上記(1)によれば、本件商標権者は、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「有機シリアル/ハイファイバープレミアム480g」、「有機オートミール250g」及び「有機フルーツグラノーラ200g」が掲載された本件カタログを頒布したといえ、その頒布の時期は、平成28年(2016年)2月25日から同年5月5日までと推認でき、これは、本件審判の請求の登録前3年以内(平成25年(2013年)7月27日から同28年(2016年)7月26日まで。)である。
また、本件カタログに表示されている使用標章は、別掲に示すとおり、特定の事物を表したものとはいえない図形と「DELTA」の文字とを上下に組み合わせてなるものと、その右方に「DELTA International Co.,Ltd.」の文字を配してなるところ、両者は、それぞれの配置及び構成態様に照らせば、視覚上、分離して把握され得るものであり、さらに、前者についてみれば、それを構成する図形と「DELTA」の文字とは、観念上のつながりが認められず、視覚上も分離して把握されるというべきである。
そうすると、使用標章は、その構成中、図形の下方に位置する「DELTA」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
そこで、本件商標と使用標章とを比較すると、本件商標は、前記第1のとおり、「DELTA」の文字を標準文字で表してなるものであって、「デルタ」の称呼及び「三角州」の観念を生じるものであり、使用標章は、その構成中の図形の下方に位置する「DELTA」の文字部分から「デルタ」の称呼及び「三角州」の観念を生じるものであるから、使用標章における「DELTA」の文字は、本件商標とつづりを同じくし、かつ、「デルタ」の称呼及び「三角州」の観念を共通にするものであり、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
してみれば、本件商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「有機シリアル/ハイファイバープレミアム480g」、「有機オートミール250g」及び「有機フルーツグラノーラ200g」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用(商標法第2条第3項第8号にいう使用)をしたものと認められる。
2 むすび
以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標権者が、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
使用標章


(色彩については、原本参照のこと。)

審理終結日 2018-03-02 
結審通知日 2018-03-06 
審決日 2018-03-29 
出願番号 商願2010-52191(T2010-52191) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉岡 めぐみ金子 尚人 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 田中 敬規
松浦 裕紀子
登録日 2011-01-07 
登録番号 商標登録第5381958号(T5381958) 
商標の称呼 デルタ 
代理人 川本 真由美 
代理人 鮫島 睦 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

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