• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W09
管理番号 1343184 
審判番号 取消2017-300285 
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-04-26 
確定日 2018-07-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第5568012号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5568012号商標の指定商品中、第9類「電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5568012号商標(以下「本件商標」という。)は、「ゼファー」の片仮名と「Zephyr」の欧文字とを上下二段に書してなり、平成24年8月24日に登録出願、第9類「盗難警報器,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),音声出力装置用の音声データを記憶させた電子回路,電子計算機用プログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させたCD-ROM」を指定商品として、同25年3月22日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成29年5月18日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第9類「電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)指定商品の使用について
被請求人は、乙第1号証等に記載の商品(以下「使用商品」という。)が、本件商標の指定商品である「電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム」(以下、それぞれを「指定商品1」、「指定商品2」といい、まとめて「本件指定商品」という。)に含まれる旨を主張する。
しかしながら、使用商品は、以下に述べるとおり、本件指定商品に含まれるものではない。
ア 使用商品が指定商品1に含まれないこと
(ア)本指定商品1の内容について
商標法施行規則第6条は、商標法施行令第2条の規定による商品及び役務の区分に属する商品又は役務について、別表に定めるものとし、その別表によると、第9類の「電子応用機械器具及びその部品」は、「電子応用機械器具」、「電子管」、「半導体素子」、「電子回路(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路を除く。)」及び「電子計算機用プログラム」に分類されている。
上記の規定の仕方によれば、指定商品1は、電子応用機械器具それ自体ではなく、その部品に属するものであって、電源と負荷を通じて導体を環状にした電流の通路をいうものと解される(甲2)。
(イ)使用商品についての検討
乙第1号証の最終頁の「危険」と記載されている欄に「GILSEEDは12V車専用です。」との記載があることから、被請求人商品は自動車に取り付けられる商品であると考えられる。
そして、自動車は、第12類に属する商品であり、第9類の「電子応用機械器具」に属するものでないから、自動車に取り付けられる商品である被請求人商品は、「電子応用機械器具」に取り付けられるものではなく、「電子応用機械器具の部品」に該当しないことが明らかである。
また、乙第1号証の最終頁には、「ご購入前の注意」という欄があり、その中において「本製品は不法侵入や盗難を検知し警報を発報する機器で盗難防止器ではありません。」と記載されている。この記載内容に鑑みれば、使用商品は、第9類の「盗難警報器」に属する商品であるというべきである。
さらに、使用商品の中に、電源と負荷を通じて導体を環状にした電流の通路(すなわち、「電子回路」)が組み込まれている可能性は否定しないものの、使用商品は当該回路それ自体ではない。
したがって、使用商品は、指定商品1に含まれない。
イ 使用商品が指定商品2に含まれないこと
(ア)指定商品2の内容について
指定商品1の場合と同様に、指定商品2についても、電子応用機械器具それ自体ではなく、その部品に属するものである。
また、指定商品1について、「電子回路(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路を除く。)」と定められていることからも明らかなように、電子計算機用プログラムというのは、電子回路に記憶させる対象となるような、商品の基本的部分にかかわる部品であって、コンピュータに対して、どのような手順で仕事すべきかを、機械が解読できるような特別の言語などで指示するものをいうと解される(甲3)。
以上より、指定商品2は、電子応用機械器具の部品であって、コンピュータに対して、どのような手順で仕事すべきかを、機械が解読できるように特別の言語などで指示するものそれ自体をいうものと解される。
(イ)使用商品についての検討
上述のとおり、「自動車」に取り付けられる商品である使用商品は、「電子応用機械器具」に取り付けられる部品に該当しないものであり、第9類の「盗難警報器」に属する商品である。使用商品の中に、コンピュータに対して、どのような手順で仕事すべきかを、機械が解読できるように特別の言語などで指示する部品(「電子計算機用プログラム」)が組み込まれている可能性は否定しないものの、使用商品は当該プログラムそれ自体ではない。
よって、使用商品は、指定商品2に含まれるものではない。
(2)本件商標の使用について
被請求人は、乙第1号証に「ゼファー」及び「Zephyr」の表記があること、並びに乙第2号証に「Zephyr」の表記があることを理由に、本件商標の使用があると主張する。
しかしながら、以下に述べるとおり、被請求人の主張には理由がない。
ア 被請求人の使用態様について
乙第1号証の見開きページの左側下部には、「好評を得たゼファーがギルシードとのコラボで15年ぶりに復活!」(以下「本記載」という。」)とあり、その下部に「GILSEED+Zephyr」(以下「被請求人標章」という。)と記載されている。
また、乙第2号証については、被請求人において、具体的に、どのページの「Zepher」(審決注:「Zephyr」の誤記と認める。)を取り上げるものかが明らかでないものの、例えば、乙第2号証の最後から4頁目の最下部には被請求人標章の記載がある。
イ 本記載についての検討
登録商標の使用は、商品「について」なされることが必要であるところ(甲4)、本記載の内容(「好評を得たゼファーがギルシードとのコラボで15年ぶりに復活!」)に照らすと、「ゼファー」というのは、あくまで15年前の商品を表すものであって、使用商品を表すものではない。換言すれば、使用商品は「ゼファーとギルシードとのコラボ」商品であって、「ゼファー」の語のみが表すものは、あくまで15年前の商品である。
してみれば、本記載中の「ゼファー」部分に着目した場合、その使用が、使用商品についてなされているということはできないし、それが使用商品の自他商品識別機能を果たす態様で使用されているということもできない。
よって、本記載を理由に、本件商標の使用が、使用商品についてなされているとする被請求人の主張には理由がない。
ウ 被請求人標章についての検討
本件商標と、被請求人標章には、「GILSEED+」の有無という差異があるところ、それにもかかわらず、両者が、社会通念上同一の商標と認められるかが問題となる。
この点については、取引者、需要者において、被請求人標章における「GILSEED+」部分が、「Zephyr」部分と一連一体のものと認識されるような場合には、被請求人標章から「GILSEED+」部分を分離して観察することはできず、本件商標と、被請求人標章には、「GILSEED+」の有無という差異があることとなるから、両者は社会通念上同一とは認められないことになるものと解される。
これを被請求人標章についてみるに、「GILSEED」と「Zephyr」の間に位置する「+」部分は語を結ぶ働きをする記号であり、「GILSEED」と「Zephyr」を結び付ける役割を果たしている。しかも、「GILSEED」と「Zephyr」を比べても、その識別力に特段の強弱の差がなく、取引者、需要者において、どちらか一方のみが識別力を有する要部であると認識するということは考え難い。
また、上述のとおり、乙第1号証における本記載の内容に鑑みれば、被請求人商品は、「ゼファーとギルシードとのコラボ」商品であって、被請求人標章はこれを端的に表したものといえる。してみれば、被請求人商品を表すために、「GILSEED」と「Zephyr」を結合すべき理由があるというべきである。
さらに、「ギルシードプラスゼファー」という称呼も格別冗長ではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると、「Zephyr」を単独で使用するということをせずに、「GILSEED+Zephyr」として使用した以上、被請求人標章から、「GILSEED+」部分を分離して観察することはできないというほかないから、本件商標と被請求人標章とは社会通念上同一とは認められない。
(3)その他の弁駁について
ア 乙第1号証について
被請求人は、乙第1号証により、商標法第2条第3項各号に定められるいずれの「使用」について主張・立証をしようとしているのか不明であるが、仮に、商標法第2条第3項第8号の「使用」について主張・立証しようとしているとした場合には、被請求人より、乙第1号証の資料が、「頒布」されたことを示す証拠は何ら提出されていないこととなる。
イ 乙第2号証について
乙第2号証は、各頁の右下部分に、「2017/06/29」との記載があるとおり、審判請求登録後の被請求人のウェブページの状況を示すものにすぎない。
(4)
以上のとおり、被請求人の主張の内容が明らかではなく、また、被請求人が提出した証拠によっては、審判請求登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に、商標権者等によって、本件商標が本件商標の指定商品について使用されていたことの証明はなされていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
1 パンフレットによる使用
(1)商標権者の商品についての説明
乙第1号証は、本件商標の商標権者が製造販売する商品である使用商品である「ボイスモジュール」について、当該商品の宣伝、販売促進のために平成28年6月に発行したパンフレットである。
使用商品は、車両などに取り付けられ、予め配線を行っておくことにより、入力された信号に応じた音声をスピーカーから発声するように構成された「電子回路」である。
当該「電子回路」は、種々の半導体チップを含む電子部品からなり、その機能の一部を実現するための「電子計算機用プログラム」を記憶したメモリが、当該「電子回路」に搭載されている。すなわち、使用商品は、「電子回路」及び「電子計算機用プログラム」を含む。
使用商品は、音声として日本語を発声する商品について商標「GILSEED」が使用され、英語を発声する商品について商標「GILSEED+Zephyr」が使用されている。
つまり、商標「Zephyr」は、商標権者の製造販売する商品「電子回路」及び「電子計算機用プログラム」について、英語を発声する「電子回路」及び「電子計算機用プログラム」であることを識別するために使用されている。
商標権者は、当該商品の販売を平成27年6月に開始し、現在において販売中である。
(2)乙第1号証について
乙第1号証は、片観音折り6ページの印刷物であり、その表紙に「Monitor Reseach」、「PRODUCED BY MONITOR RESERCH」との表記があり、裏表紙に「開発製造元 Monitor Reseach」、「有限会社モニターリサーチ」との表記がある。
乙第1号証には、その裏表紙の上方に「このカタログは平成28年6月現在のものです。」との表記がある。乙第1号証は、商標権者によって平成28年6月以降に約2千部作成され、かつ頒布された。
乙第1号証には、見開き3ページの左ページの下部に、本件商標である「ゼファー」「Zephyr」との表記があり、見開き3ページの右ページの上部に「Zephyr」との表記がある。
乙第1号証には、その裏表紙に、商品の仕様についての表記があり、見開き3ページの中ページ及び左ページに、商品の機能についての表記がある。
乙第1号証には、その見開き3ページの左ページの下部において、商標「Zephyr」の表記とともに、「好評を得たゼファーがギルシードとのコラボで15年ぶりに復活!」「MODEL GVZ-02」「英語・男性」「本体価格38,000円」など、商品の特徴を説明する表記がある。
2 ウェブページでの使用
(1)乙第2号証は、商標権者の運営するウェブページの一部を平成29年6月29日に印刷した書面である。
(2)乙第2号証から明らかなように、当該ウェブページには、乙第1号証に表記された商品と同じ商品である電子回路(ボイスモジュール)について、商標「Zephyr」が表記されている。
商標権者は、当該ウェブページを、使用商品の販売に先駆けて平成27年4月頃に作成し、これ以降においてウェブサイトで一般に閲覧可能とした。
なお、当該ウェブページが平成27年4月頃に存在した事実は、インターネット上で提供されている「ウェブ魚拓」などの各種「存在証明サービス」を用いて確認することが可能である。
3 以上のように、本件商標は、商標権者の商品「電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。)及び「電子計算機用プログラム」を識別するために、平成27年6月頃から現在に至るまで使用されている。
4 弁駁に対する反論
(1)使用商品「ボイスモジュール」について
ア 本件商標「Zephyr」とともに表された使用商品は、「ボイスモジュール」である(乙1、乙2)。
商品「ボイスモジュール」は、ROMなどの種々の電子部品を実装したプリント回路基板などからなる電子回路を、直方体状のケースに内蔵した構造であり、DC12Vの電源を供給することによって動作するものである。
ケースには、内蔵した電子回路の特定ポイントに対して外部配線又は外部部品を接続するための複数の端子が設けられており、これら複数の端子にユーザが配線を接続することによって、種々の機能が発揮されるものである。
商品「ボイスモジュール」の主な機能は、入力された信号に応じて種々のセリフ(音声)をスピーカーで喋らせる(発声させる)機能である。
商品「ボイスモジュール」による発生可能なセリフは、アミューズメントのための言葉、警報・報告のための言葉などである。
これらのセリフは、電子回路のROMに格納された多数のセリフの中から、ユーザが選択して設定し、またユーザが外部部品や他社のセキュリティ装置と予め適切な配線接続を行っておくことにより、ユーザの操作や装置の状態に応じて発声される。
また、商品「ボイスモジュール」は、セリフを発声する機能の他に、種々のライトを点灯し又は点滅させる機能(ライトフラッシュ機能)、バッテリーの消耗を低減させるために自動的にセーブモードに切り替える機能(セーブモード機能)などもある。
このように、本件商標「Zephyr」で表される使用商品「ボイスモジュール」は、ユーザが外部部品や他社のセキュリティ装置に対して予め配線接続を行っておくことにより、操作や状態に応じた信号によってセリフ(音声)をスピーカーから発声させ、またライトを点灯又は点滅させるためなどに用いられる「電子回路」である。
また、当該「電子回路」において、その機能を実現するための主要な部分は「電子計算機用プログラム」を記憶した集積回路であり、したがって、商品「ボイスモジュール」は「電子計算機用プログラム」を含むものである。
イ 商品「ボイスモジュール」の発声するセリフは多数あり、ユーザが何らかの操作を行った場合に、その操作により入力される信号に連動し、ユーザとの対話又はユーザへの報知などに資する遊びのセリフを発声する。ユーザは、操作に対応して発せられるこれらのセリフを聞くことで、楽しみや面白味を感じ、またリラックスしたり精神的に落ちついたりする。
つまり、商品「ボイスモジュール」は、種々の遊びのセリフを発声することによりユーザに楽しみや面白味を感じさせたりリラックスさせることを目的としたアミューズメントのための電子回路である。
また、ユーザが別途取り付けた他社のセキュリティ装置の状態に応じた信号に連動し、警報・報告のセリフを発声する。第三者は、セキュリティ装置の状態に応じて発せられる警報・報告のセリフに驚いてその場から離れていくことが期待される。
つまり、商品「ボイスモジュール」は、セリフの選択と別途取り付けのセキュリティ装置への配線接続とによって、盗難警報装置としての機能を発揮することのできる電子回路でもある。
なお、商品「ボイスモジュール」は、自動車に取り付けて使用されることは多いが、自動車専用ではなく、自動車以外の場所、例えば、一般家庭の玄関や勉強部屋、事務所、商店の商品置場などにも取り付けて使用される。
このように、商品「ボイスモジュール」は、ユーザの使用場所又は使用目的により、ケースに内蔵した電子回路へのユーザによる配線接続の仕方によって種々の異なる機能をユーザに提供するものであり、これは電子を応用した機械器具の特徴ともいうべきものであって、「電子応用機械器具及びその部品」に含まれること明らかである。
ウ 商品「ボイスモジュール」は、アミューズメントのための電子回路であり、第9類の「電子応用機械器具及びその部品」に含まれ、指定商品「電子回路」と一致し又はこれに含まれる。
また、商品「ボイスモジュール」は、アミューズメントのための電子計算機用プログラムでもあるから、第9類の「電子応用機械器具及びその部品」に含まれ、指定商品「電子計算機用プログラム」と一致し又はこれに含まれる。
つまり、被請求人(商標権者)は、本件商標を本件審判の請求に係る指定商品について使用していることが明らかである。
(2)パンフレットの作成及び頒布の日について
ア パンフレット(カタログ)の印刷
本件商標を表示した使用商品のパンフレット(乙1)は、ラスクル株式会社(東京都品川区所在:以下「ラクスル」という。)の運営するネット印刷通販の「ラスクル」に2016年(平成28年)6月7日にインターネットを介して1,000部の印刷を注文し、2016年6月12日に印刷が終了し、同日に「ゆうパック」で出荷され、被請求人に配送されたものである。
乙第3号証は、被請求人が「ラスクル」のホームページで「注文詳細」を閲覧した画面を印刷したものであり、注文商品番号「1606075254-01」として、2016年(平成28年)6月7日に本件パンフレットの注文が受け付けられたことが示されている。
なお、乙第3号証の第1ページの右方に本件パンフレットの画像が示されているが、その画像が小さいため、第2ページに拡大コピーしたものが示されている。
乙第4号証は、注文商品番号「1606075254-01」について、「ラスクル」から被請求人へ2016年6月12日に送信された通知メールを被請求人が印刷したものであり、当該注文商品番号のパンフレットについて、2016年6月12日に印刷が終了し、同日にゆうパックで被請求人に向けて出荷されたことが示されている。
イ パンフレットの頒布
被請求人は、印刷された1,000部のパンフレットを「ラスクル」から受け取った後、被請求人の複数の取引先に対し、所定部数ずつ、「佐川急便株式会社」の宅配便によって発送した。
乙第5号証は、被請求人がパンフレットの宅配を「佐川急便株式会社」に依頼したときの宅配依頼伝票の依頼主控のうちの6通の写しである。
乙第5号証には、被請求人が30部のパンフレットを平成28年(2016年)6月21日に「O&G-works」に向けて配送を依頼したことなどが示されている。これらの宅配便は数日中に「佐川急便株式会社」によって配送先に到着し頒布されている。
ウ 以上より、乙第3号証ないし乙第5号証によって、乙第1号証のパンフレットは、ネット印刷通販の「ラスクル」によって2016年6月12日に印刷によって作成され、2016年6月中に頒布されたものであることが明らかである。
(3)ウェブページに掲載された日について
本件商標を表示した使用商品を表したウェブページの内容(乙2)は、被請求人が平成27年4月頃に作成して一般に閲覧可能としたものである。
乙第6号証及び乙第7号証は、被請求人のウェブサイトに平成28年1から3月頃及び同年8から9月頃に掲載されていた内容を、インターネット上で提供されている存在証明サービスである「Wayback Machine」を用いて調査した報告書である。
当該ウェブページにおいて、平成28年1から3月頃及び同年8から9月頃に、乙第1号証に表記された商品と同じ商品について、商標「Zephyr」が表記されている。
ウェブページは、適宜更新されていくものであるため、乙第2号証、乙第6号証及び乙第7号証の内容は互いに厳密には一致しないものであるが、少なくとも、平成28年1から3月頃及び同年8から9月頃において、上記(1)で述べた使用商品が本件商標とともに一般に閲覧可能なウェブサイトで表示されていたことが明らかである。
また、乙第6号証の別紙3の左下方に表示されたアクセスカウンターの数値は「019818」であり、乙第7号証の別紙3の左下方に表示されたアクセスカウンターの数値は「026315」であることから、少なくともその差である6497回のアクセスが、平成28年1月から9月の間に行われたものと考えられる。
(4)請求人の主張について
ア 請求人は、乙第1号証に「GILSEEDは12V車専用です。」との記載があることから使用商品は自動車に取り付けられる商品であると述べている。
使用商品は、上記(1)で述べたように、自動車に取り付けて使用されることは多いが、自動車専用ではなく、自動車以外の場所にも取り付けて使用される。
乙第1号証の「GILSEEDは12V車専用です。」との記載は、「自動車専用」の意味ではなく、電源が「12V」専用であることをユーザに注意を促すものである。このことは、この記載に続いて、「24V車に取りつける事はできません。火災の原因になります。」との記載があることからも明らかである。
つまり、当該記載は、自動車に取り付ける場合には、自動車には12V車と24V車とがあるところ、「12V車専用」であることをユーザに注意を促すためのものである。
イ 請求人は、「電子回路」が組み込まれている可能性は否定しないものの、被請求人商品は当該回路それ自体ではないと述べている。
被請求人の商品は、上記(1)で述べたように、「電子回路」であり、本件指定商品に含まれる。
請求人は、「電子回路が組み込まれている可能性は否定しない」が「回路それ自体ではない」と述べているが、「電子回路」が組み込まれたものは「回路それ自体」ではないとは、どういうことか、被請求人には理解し難いところである。被請求人の「電子回路」は複数の端子が設けられたケースに収納されているが、被請求人はケースをユーザに提供しているのではなく、ケースに内蔵された「電子回路」の種々の機能をユーザに提供しているのであり、このような「電子回路」が「電子応用機械器具及びその部品」に含まれることは明らかである。
(5)以上のように、被請求人(商標権者)が本件商標を本件審判の請求に係る指定商品について3年以内に使用していることは明らかである。

第3 当審の判断
1 認定事実
証拠及び被請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)パンフレットについて
商標権者である被請求人は、使用商品「ボイスモジュール」のパンフレット(乙1)を、2016年(平成28年)6月7日に、ネット印刷通販の「ラスクル」に、1,000部、注文番号「1606075254-01」による印刷依頼を行い(乙3)、「ラスクル」により印刷された当該パンフレットは、同月12日に依頼主である被請求人宛で発送された(乙4)。
そして、被請求人は、当該パンフレットを、平成28年6月21日から同年7月15までの期間に、取引者6社に対し、各社30部ずつを佐川急便株式会社発送依頼したことが認められる(乙5)。
一般的に、商品のパンフレットは、商品の広告、販売の促進を目的として、需要者に頒布されることは通常の商慣習といえるところ、被請求人は乙第1号証のパンフレットを1,000部作成し、複数の取引者に30部ずつ送付していること、当該パンフレット中には「・このカタログ平成28年6月現在のものです。」と、商品情報の掲載時期の記載があることからすれば、当該パンフレットは、作成後程なく、すなわち要証期間内である平成28年6月24日以降、取引者を介して、一般の需要者に頒布されたと推認できる。
(2)使用に係る商標について
使用商品「ボイスモジュール」のパンフレット(乙1)の見開き右ページには、「GILSEED+Zephyr」の記載があるところ、この記載中「GILSEED」の欧文字部分と「Zephyr」の欧文字部分とは、異なる書体及び色彩が施されていることから、これに接した看者は、それぞれが、独立した商標であると認識するものと認められる。
そして、「Zephyr」の欧文字部分(以下「使用商標」という。)は、本件商標と同一の文字構成よりなるものであるから、使用商標と本件商標とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標といる。
してみれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(3)使用商品について
ア 使用商品である「ボイスモジュール」は、乙第1号証のパンフレットに記載の機能説明、乙第2号証の商標権者のウェブページに記載の配線図及び被請求人の主張によれば、電子計算機用プログラムを記憶させた集積回路、ROMなどの種々の電子部品を実装したプリント回路基板などからなる電子回路を、直方体状のケースに内蔵し、複数の端子が設けられた構造であり、DC12Vの電源により動作するもので、自動車用として、車体、外部部品や他社セキュリティに接続し、主にユーザの操作によって、様々なセリフを発声する機能を有し、その他、ライトを点灯し又は点滅させる機能、バッテリーの消耗を低減させるための機能なども作動する商品であると認められる。
そうすると、使用商品は、「自動車用の音声出力装置」といえる。
イ そこで、使用商品と、本件審判請求に係る指定商品の「電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム」とを比較してみると、使用商品は上記アのとおり、「電子回路」及び「電子計算機用プログラム」等により構成される商品「自動車用の音声出力装置」であって、「電子回路」及び「電子計算機用プログラム」は、使用商品を構成する部品の一つにすぎない。
そうすると、使用商品と、本件審判請求に係る指定商品とは、完成品と部品との関係にあるものの、両商品の製造、販売、商品の機能等からみても、別異の商品といえるから、使用商品が、本件審判請求に係る指定商品の範ちゅうの商品と認めることはできない。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、被請求人は、要証期間内に、我が国において、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を、使用商標の広告であるパンフレットに付して、頒布したことは認められるものの、その使用商品は、本件審判請求に係る指定商品の範ちゅうの商品とは認められないものである。
2 被請求人の主張
被請求人は、使用商品が、ユーザが外部部品や他社のセキュリティ装置に対して予め配線接続を行っておくことにより、操作や状態に応じた信号によってセリフ(音声)をスピーカーから発声させ、またライトを点灯又は点滅させるためなどに用いられる「電子回路」であること、及び当該「電子回路」において、その機能を実現するための主要な部分は「電子計算機用プログラム」を記憶した集積回路であることから、使用商品は「電子計算機用プログラム」を含むものであることから、使用商品は本件審判請求に係る指定商品と一致又は含まれる旨を主張する。
しかしながら、上記(3)のとおり、たとえ本件商品を構成する部品中に「電子回路」や「電子計算機用プログラム」を有しているとしても、使用商品は、それら様々な部品から構成される完成品である「自動車用の音声出力装置」と認められる商品であり、本件審判請求に係る指定商品の範ちゅうの商品と認めることはできない。
そして、使用商品のパンフレット及び商標権者のウェブページ中の記載によっても、使用商品を、「電子回路」及び「電子計算機用プログラム」として取引している実情を確認できないことから、請求人の主張は採用することはできない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明し得なかったのみならず、使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中、第9類「電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム」については、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-05-31 
結審通知日 2018-06-05 
審決日 2018-06-18 
出願番号 商願2012-68593(T2012-68593) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W09)
最終処分 成立 
前審関与審査官 堀内 真一 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 田中 幸一
榎本 政実
登録日 2013-03-22 
登録番号 商標登録第5568012号(T5568012) 
商標の称呼 ゼファー、ゼフィール 
代理人 坂田 泰弘 
代理人 久保 幸雄 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ