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審決分類 審判 査定不服 商64条防護標章 取り消して登録 W2930
管理番号 1343171 
審判番号 不服2018-272 
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-10 
確定日 2018-09-03 
事件の表示 商願2015-27567拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の標章は、登録第2715590号の防護標章として登録をすべきものとする。
理由 第1 本願標章
本出願に係る標章(以下「本願標章」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、第29類、第30類、第31類、第35類及び第40類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とし、登録第2715590号商標(以下「原登録商標」という。)の防護標章登録出願として、平成27年3月25日に登録出願されたものである。
その後、指定商品及び指定役務については、原審における平成28年8月10日受付及び当審における同30年1月10日受付の手続補正書により、最終的に、第29類「加工水産物,えびを主材とする惣菜」及び第30類「えびを主材とするしゅうまい,えびを主材とするぎょうざ」と補正されたものである。

第2 原登録商標
登録第2715590号商標は、本願標章と同一の構成からなり、昭和63年11月16日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、平成8年8月30日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、また、同18年11月22日に指定商品を第30類「菓子、パン」とする指定商品の書換登録がされ、現にその商標権は、有効に存続しているものである。

第3 原査定の拒絶の理由
本願標章は、自己の業務に係る商品を表示するものとして、需要者間に広く認識されているものとは認められない。
したがって、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を具備しない。

第4 当審の判断
原登録商標は、上記第2のとおり、本願標章と同一の構成からなり、平成8年8月30日に設定登録され、当該商標権は有効に存続するものであること及び当該商標権が請求人の所有に係るものであることは、その標章を表示する書面及び当庁備え付けの商標登録原簿の記載から明らかである。
1 請求人の主張及び同人が提出した甲第1号証ないし甲第469号証(枝番号を含む。括弧内における証拠番号は、以下「甲1」のように記載する。)によれば、以下の事実が認められる。
(1)原登録商標の周知・著名性について
ア 請求人の企業の概要及び規模
請求人は、明治22年(1889年)に創業した「せんべい」の製造販売を行う会社であり(甲3)、平成29年2月期の売上高は105億円に上り(甲469)、愛知県を拠点として、百貨店やショッピングモールを中心に、現在までに147店舗(国内146店舗、海外1店舗)に出店してきた(甲14、甲15)。
請求人は、昭和41年(1966年)に、請求人の業務に係る「せんべい」のうち、「ゆかり」の名称を用いた「えびせんべい」(以下「ゆかり商品」という。)の販売を開始したところ(甲3)、その販売開始から平成26年(2014年)までの、「ゆかり商品」の累計売上金額は3,666億円以上に上り(甲12)、「ゆかり商品」は、請求人の業務に係る代表的な商品である(甲1、甲3ほか)。
イ 使用商品及び使用期間
原登録商標は、商標権者である請求人により、その指定商品中の「菓子」のうち、「せんべい」について、「ゆかり商品」を製造、販売し、1980年代半ばにその原登録商標の使用が開始され(甲6)、その後、現在に至るまで我が国において継続して使用されているものである(甲1?甲10、甲16、甲20、甲22、甲23ほか)。
以下、原登録商標を使用した「ゆかり商品」を「使用商品」という。
なお、請求人による「ゆかり」の文字の使用は、「ゆかり商品」について、原登録商標の使用開始以前の1966年に使用が開始され(甲3)、その後、現在に至るまで我が国において継続して使用されているものである(甲1?甲3、甲10、甲16?甲20、甲22、甲23ほか)。
ウ 使用地域、使用商品等の販売実績等
平成28年1月現在では、使用商品を主たる商品として取り扱う店舗は、百貨店やショッピングモールを中心に、北海道・東北地方(北海道、岩手県、宮城県、福島県)から九州(福岡県、熊本県、大分県)まで、全国に146店舗存在し、海外(シンガポール)にも1店舗存在する(甲14、甲15)。
また、使用商品は、請求人のオンラインショップ、インターネット通販業者のウェブサイトでも販売されているものである(甲24)。
さらに、上記アに示した「ゆかり商品」の累計売上金額3,666億円以上のうち、「使用商品」については、原登録商標の使用を開始した1987年から平成26年(2014年)までの28年間の累計売上金額は、その約9割に当たる3,288億円であると認められる(甲12)。
エ 使用商品の広告宣伝等又は普及度
(ア)受賞歴
原登録商標の使用を開始した1980年代半ば以降、「ゆかり商品」は、平成元年(1989年)に「第21回全国菓子大博覧会」優秀賞を受賞し、その後も、名古屋市長、全国観光土産品公正取引協議会、愛知県観光土産品公正取引協議会、愛知県観光土産品協会、全国観光土産品連盟、日本商工会議所、社団法人日本観光振興協会中部支部及び名古屋観光ブランド協会から推薦状等が授与され、平成27年(2015年)には、愛知県知事より愛知県観光土産品推奨等について表彰を受けた(甲25、甲199)。
なお、上記を示す証拠には原登録商標は表示されておらず、「ゆかり」の文字のみが記載されている。
(イ)新聞記事による紹介
a 2005年から2013年の間に発行された全国紙5件において、「うなぎパイ」や「鳩サブレー」などとともに、愛知県を代表する土産等のひとつとして、「ゆかり商品」が紹介されている(甲94、甲111、甲138、甲155、甲186)。
なお、これら5件の記事において、原登録商標が掲載されているものは2件であり、いずれも「ゆかり」の文字とともに掲載されている(甲111、甲138)
b 2007年から2015年の間に発行された東海地方を対象とした地方紙や、全国紙の東海地方版の計10件において、「ゆかり商品」が紹介されている(甲127、甲134、甲136、甲158、甲161、甲165、甲172、甲178、甲197、甲199)。
なお、これら10件の記事において、原登録商標が掲載されているものは7件であり、いずれも「ゆかり」の文字とともに掲載されている(甲127、甲136、甲158、甲161、甲165、甲178、甲197)。
c 2007年に発行された東海地方以外を対象とした地方紙2件及び2013年に発行された「食品新聞」において、「ゆかり商品」が紹介されており、いずれにおいても、原登録商標が「ゆかり」の文字とともに掲載されている(甲123、甲124、甲188)
(ウ)雑誌等による紹介
2005年から2017年の間に発行された雑誌等93件において、愛知県又は名古屋市の代表的な土産等あるいは売れ筋又はおすすめの菓子のひとつとして、「ゆかり商品」が紹介されているところ、これらの記事において、原登録商標が掲載されているものは75件であり、いずれも「ゆかり」の文字とともに掲載されている(甲88?甲93、甲96、甲97、甲99、甲100、甲102、甲104?甲106、甲109、甲110、甲112?甲116、甲118、甲119、甲121、甲122、甲126、甲128、甲130?甲133、甲135、甲137、甲139?甲147、甲149?甲151、甲153、甲154、甲156、甲159、甲160、甲162、甲163、甲167?甲169、甲173、甲174、甲176、甲179?甲185、甲187、甲189?甲194、甲196、甲200、甲201)。
(エ)テレビによる紹介
2007年から2016年の間に放映されたTV番組50件において、愛知県又は名古屋市の代表的な土産等あるいは売れ筋又はおすすめの菓子のひとつとして、「ゆかり商品」が紹介されているところ(甲32?甲86)、該放送内容を示す紙面で提出された50件の証拠において、原登録商標が表示されているものは45件であり、そのうち41件は、「ゆかり」の文字とともに表示されている(甲32、甲33、甲35?甲37、甲39?甲44、甲46?甲52、甲54、甲58?甲60、甲62、甲64、甲65、甲68?甲77、甲79?甲84)。
(オ)インターネット情報
a 楽天市場のウェブサイトにおける2016年1月12日現在のえびせんべい週間ランキングにおいて、使用商品が第1、2、5位に掲載されており、原登録商標が、「ゆかり」の文字とともに表示されている(甲24)。
b 中部国際空港、東海キヨスク等のウェブサイトにおいて、中部国際空港又は名古屋駅のおすすめ又は売れ筋の土産として、使用商品が紹介されており、そのいずれにおいても、原登録商標が、「ゆかり」の文字とともに表示されている(甲463?甲465)。
(カ)請求人による宣伝広告
a 請求人は、JR名古屋駅においては2006年から現在に至るまでの間、中部国際空港においては2016年から現在に至るまでの間、継続的に、使用商品の看板広告を行った(甲229?甲238)。
なお、該広告を示す10件の証拠のうち6件は、原登録商標が、「ゆかり」の文字とともに表示されている(甲229、甲230、甲232?甲234、甲237)。
b 請求人は、2008年から2012年の間に14回にわたり使用商品について新聞広告を行い(甲240?甲253)、また、2006年から2015年まで約200回にわたり使用商品について雑誌等における広告を行った(甲254?甲453)。
なお、該広告を示す証拠のほぼ全てにおいて、原登録商標は、「ゆかり」の文字とともに表示されている。
c 請求人は、2011年から2015年の間に8回にわたり名古屋地域の祭り等のイベントに出店して、宣伝広告のための使用商品の頒布、販売等を行い(甲203?甲210)、該イベントにおいて「ゆかり商品」についてのポスター等を掲示した(甲211?甲227)。
なお、該ポスター等を示す17件の証拠のうち15件には、原登録商標が表示されているところ、そのうちの10件は、「ゆかり」の文字とともに表示されている(甲211?甲213、甲217、甲218、甲221、甲222、甲225?甲227)。
オ 小活
以上によれば、請求人は、1980年代半ばから現在に至るまで、原登録商標を、請求人の業務に係る「ゆかり商品」の包装に付すなどして、継続的に使用しているものである。
そして、「ゆかり商品」は、請求人に業務に係る代表的な商品であって、原登録商標の使用を開始した1980年代半ば以降、「第21回全国菓子大博覧会」優秀賞や、愛知県知事及び名古屋市長等からの多数の表彰を受けたほどの商品であり、また、その販売実績は原登録商標の使用を開始した1987年以降、3,288億円以上と認められること、東海地方を対象とした地方紙のみならず、全国紙や業界紙、雑誌、テレビ、インターネット等において、愛知県又は名古屋市の代表的な土産品の「えびせんべい」として多数紹介されたこと、さらに、「ゆかり商品」に関する宣伝広告も、2006年以降、JR名古屋駅や中部国際空港における看板の設置、全国紙を含む新聞及び全国に販売された雑誌等への多数の掲載など、継続的な活動がなされてきたことなどから、請求人の業務に係る「ゆかり商品」は、菓子の分野において広く知られた商品であることが認められる。
また、上記の新聞、雑誌等による「ゆかり商品」の紹介記事及び「ゆかり商品」に関する上記の宣伝広告媒体においては、多数のものに、原登録商標が、その読みと同一の「ゆかり」の文字とともに掲載されている。
これらを総合すれば、原登録商標は、その読みと同一の「ゆかり」の文字の使用とも相まって、請求人の業務に係る「えびせんべい」を表示するものとして、菓子の分野の取引者、需要者間に広く認識されているものと認めることができる。
(2)混同を生ずるおそれ
原登録商標の使用商品である「せんべい」と本願の指定商品である「加工水産物,えびを主材とする惣菜」及「えびを主材とするしゅうまい,えびを主材とするぎょうざ」とは、いずれも食品であって、その生産者、販売者、材料、用途等を共通にする場合がある。
そして、いずれの商品についても、百貨店や量販店などで取り扱われるものであって、これらの商品の需要者は、広く一般消費者である。
そうすると、上記使用商品と本願指定商品の需要者は共に一般消費者であること等をも考慮すれば、上記(1)のとおり広く認識された原登録商標と同一の構成からなる本願標章が、他人によって本願の指定商品について使用された場合には、これに接する需要者は、その商品があたかも請求人、又は、同人と何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
2 判断
以上によれば、原登録商標は、請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されており、原登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品について他人が登録商標の使用をすることにより、その商品と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるものであるから、本願標章は、防護標章の登録要件を具備するものである。
3 まとめ
したがって、本願標章が商標法第64条の規定する要件を具備しないものとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願標章)


審決日 2018-08-17 
出願番号 商願2015-27567(T2015-27567) 
審決分類 T 1 8・ 8- WY (W2930)
最終処分 成立 
前審関与審査官 大島 勉中島 光 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
渡邉 あおい
商標の称呼 エンユカリ、エニシユカリ、エン、ユカリ、エニシ、フチ 
代理人 谷山 尚史 
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