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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W43
管理番号 1343162 
審判番号 取消2017-300392 
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-06-08 
確定日 2018-07-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第5651004号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5651004号商標(以下「本件商標」という。)は、「glam」の欧文字を標準文字で表してなり、平成25年9月17日に登録出願、第41類「カラオケ施設の提供並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供,電気通信回線を通じて行うカラオケの提供並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供,娯楽施設の提供並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供」、第43類「飲食物の提供並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供,宿泊施設の提供並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供」及び第44類「エステティック美容・美容及び理容並びにこれらに関する指導・助言及び情報の提供,入浴施設の提供並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供,スパ施設の提供並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供,あん摩・マッサージ及び指圧並びにこれらに関する指導・助言及び情報の提供,アロマテラピーの提供並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供」を指定役務として、同26年2月21日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成29年6月27日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同26年6月27日ないし同29年6月26日である(以下「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、第43類「飲食物の提供並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供」(以下「取消請求役務」という場合がある。)について登録を取り消す、との審決を求め、審判請求書、弁駁書及び口頭審理陳述要領書等において、その理由及び答弁に対する弁駁等を要旨次のように述べ、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、取消請求役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、取消請求役務について、その登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)審判事件答弁書における被請求人の主張によると、乙第1号証ないし乙第8号証のホームページのコピーに基づいて、「被請求人の運営するウェブサイト『会員制個室レストラン【glam】グラム』に示すとおり、被請求人であるglam株式会社が『東京都港区西麻布1-4-43ニシアザブNKビル』において、会員制個室レストランを営業しており、同レストランにて飲食物を提供している。そして、同レストランの名称は『glam』であり、各ページの先頭には『glam』『グラム』及びロゴ化された『glam』の文字の記載がある。・・・2017年2月16日以前により、被請求人のレストラン『glam』が営業されており、同レストランにおいて飲食物の提供が行われていたことは明らかである。」というものである。
(2)それら乙第1号証ないし乙第8号証のホームページのコピーでは、完全会員制の個室レストランと記載され、会員になったものだけがサービスを受けられるものと思われる。通常の飲食店における飲食物の提供では、不特定多数の需要者(利用者)に利用してもらうべく、人目に付く場所に店舗を構え、何人も出入可能な状態で飲食物を提供するが、完全会員制では会員登録した会員のみが利用可能であり、隔絶された空間で実際に飲食物の提供が行われているかをうかがい知ることはできない。被請求人は、乙第1号証ないし乙第8号証によって名称を「glam」とする会員制個室レストランを営業していると主張しているが、ホームページは業者および自分で自由にウェブサイトにアップデートすることができ、いつでも書き換えることができるインターネット媒体であり、日付も自由に設定することができる。ゆえに、乙第1号証ないし乙第8号証のみでは被請求人が本当に「glam」という名称の店舗を構え、その店舗において飲食物を提供しているかは定かではなく、証明力が極めて低い。
(3)被請求人の完全会員制の個室レストランが実在すると仮定したとしても、その店舗の名称は「西麻布glam」又は「glam西麻布」であり、被請求人が主張する「glam」と実際の名称である「西麻布glam」又は「glam西麻布」とは非類似であるとともに、「西麻布glam」や「glam西麻布」自体に自他役務識別力が認められる以上、「西麻布glam」や「glam西麻布」と「glam」とを社会通念上同一であると認めることはできない。
そして、商標の使用について商標法第2条第3項各号において規定されているところ、使用商標「西麻布glam」又は「glam西麻布」の文字をインターネットのウェブサイトに掲載する行為は、本件商標である「glam」についての同第8号の「(省略)役務に関する広告(省略)を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当せず、さらに、使用商標「西麻布glam」又は「glam西麻布」の文字を付したホームページのメニューは、本件商標である「glam」についての同第3号の「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為」又は同第8号の「(省略)役務に関する(省略)価格表(省略)に標章を付して展示(省略)する行為」に該当しないというべきである。
3 口頭審理陳述要領書(平成30年3月15日付け)
(1)被請求人は、平成30年3月2日付けで提出した口頭審理陳述要領書(以下「被請求人陳述要領書」という。)において、被請求人に対して発行された「営業許可証」を乙第8号証として提出し、その「営業許可証」に記載された「EASTCYCLE JAPAN株式会社」がその後「glam株式会社」に変更された旨を主張している(乙9、乙10)。
しかし、「営業許可証」の「営業者氏名」は、氏名変更ができたにもかかわらず、「EASTCYCLE JAPAN株式会社」のままであり、その「営業許可証」に「glam」と記載されているものの、その「glam」は営業所の名称(屋号又は商号)である。被請求人の営業所の名称である「glam」とは完全会員制の個室レストラン(以下「本件店舗」という場合がある。)であり、会員になったものだけがそのサービスを受けられるものであって、隔絶された空間で実際に飲食物の提供が行われているかをうかがい知ることができない。
したがって、「EASTCYCLE JAPAN株式会社」名の「営業許可証」が存在するからといって実際にその店舗において飲食物を提供していたか定かではない。また、本件商標「glam」を使用して飲食物を提供していたかも定かではない。
(2)外壁に表示されているものは、アルファベットの「glam」のみであり、それを見た需要者や取引者(通行人)がその外壁の「glam」がその後ろに建つビルの単なる「ビル名」であると認識することはあっても、飲食の提供に関する何らの表示や示唆もないことから、需要者や取引者(通行人)がその外壁の「glam」を見たとしても被請求人のいう「レストランにおける飲食物の提供」を想起することは到底できず、外壁の「glam」が「レストラン(飲食物の提供)」を表す表記であると認識することはできないものである。既述のように、被請求人の営業所の名称である「glam」とは完全会員制の個室レストランであり、隔絶された空間でサービスを受けるものであり、外壁からその隔絶された空間を知ることはできないから、外壁の「glam」を見ただけでそれがレストランにおける飲食物の提供を示す標識であると認識することは不可能である。
さらに、被請求人は外壁に「glam」を表示(刻印)した行為が商標法第2条第3項第8号にいう「商品若しくは役務に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当すると主張しているが、広告とは、商品や役務を世間に告げる宣伝活動であり、外壁の「glam」を見ただけでそれがレストランにおける飲食物の提供であると認識することができない以上、広告行為には該当しないことから、被請求人の主張を勘案したとしても、被請求人は、「glam」を商標法第2条第3項各号のいずれの行為に該当するような使用をしていないものといえる。
なお、外壁の「glam」を見ただけでそれがレストランにおける飲食物の提供を示す標識であると認識することができないから、外壁の「glam」を表示することは第43類の「飲食物の提供」において自他役務識別力を発揮する使用ではなく、使用によって業務上の信用が化体することはないから、外壁に「glam」を表示することは商標的な使用とはならない。
(3)被請求人は、乙第26号証として提出された陳述書を、乙第20号証の1及び2として提出されたメニュー表が被請求人の本件店舗において使用されていたことを示す証拠としているが、陳述書は被請求人代表者T氏によって作成されたものであり、事件の当事者によって作成されたものであるから、証拠としての客観性がなく、証拠の証明力のみならず証拠能力さえないものといわざるを得ない。乙第20号証の1及び2として提出されたメニュー表が被請求人の本件店舗において使用されていたことを客観的に示す証拠はなく、それらメニュー表が被請求人の本件店舗において使用されていたものであることに相当な疑義がある。
また、それらメニューが要証期間に使用されていたことの証拠として乙第21号証の1ないし7を提出しているが、それらレシートの写しには被請求人を示すもの(氏名や名称等)は何ら表示されておらず、それらレシートの写しが果たして被請求人が発行したものなのかが分からない。さらに、被請求人は、それらレシートの写しに表示された各メニュー(飲食物名)の金額(税込価格)がメニュー表のそれに一致することを理由に、メニュー表が要証期間に使用されていたと主張しているが、レシートの写しに表示された各メニュー(飲食物名)の金額とメニュー表のそれとが一致することを理由にメニュー表の使用日を証明するのはあまりにも乱暴である。なお、乙第21号証の1ないし7のレシートの写しには、例えば、2017-05-14と表示されているが、果たしてこれがレシートの発行日を表すのかも疑義がある(その2017-05-14がはっきりと確認できるのは、乙第21号証の7のみ。)。
次に、被請求人は乙第20号証の1及び2のメニュー表に記載された何十種類もある飲食物名のうち、「glam黒カレー」及び「glamトリュフ豚骨醤油ラーメン」の表示をもって商標の使用であると主張しているが、「glam黒カレー」や「glamトリュフ豚骨醤油ラーメン」はメニューの中の飲食物名として表されているにすぎず、それを見た需要者や取引者はそれを何十種類もある飲食物名の中の飲食物の一名称であると認識したとしても、それを自他役務識別標識として認識することはない。
(4)平成29年9月12日に提出の乙第7号証には、フロアマットらしき物が掲載されているものの、それに表示されている文字が欠けており、「glam」が表示されているのかを完全に認識することはできない。フロアマットらしき物に表示された文字が「glam」であると確証することができない以上、「被請求人レストラン内で、そのフロアマットに本件商標を付して使用していたことは明らかである。」という被請求人の主張は認められない。なお、フロアマットに「glam」が表示されていたとしても、そのフロアマットに店名(屋号や商号)を表示しているにすぎず、飲食店で標章の付された調理器具を利用者の目に留まるように飾ったり、標章の付されたカップを陳列したりする行為とは異なるから、第43類の「飲食物の提供」において自他役務識別力を発揮する使用ではなく、使用によって業務上の信用が化体することはないから、商標的な使用ではない。
なお、被請求人は「『ぐるなび』のサイトに本件商標が掲載されている。」と主張しているが、各種グルメ情報は、飲食物を紹介し、それにともなってその店舗名(屋号や商号)を紹介するものであり、「ぐるなび」のサイトに掲載されているものはあくまでも店舗名であり、役務の提供において使用される商標ではない。
また、商標は商標権者が自己の商品(役務)について使用することにより、業務上の信用が化体するものであり、「Retty」や「ぐるなび」において店名が紹介されたことが商標法第2条第3項各号の商標の使用に該当するというのは到底認められることではなく、だからこそ、請求人は、本件商標を付した「レシート」や本件商標を付した「注文書」、本件商標を付した「メニュー」のいずれかであって日付(要証期間)を確定し得る証拠の提出を求めたものである。さらに、「Retty」や「ぐるなび」は飲食関係のグルメサイトとはいっても運営するのは民間企業であり、営利目的によって運営されているサイトであり、事実を公的に証明する性質のものではなく、ましてや店舗における第43類の役務に対する商標の使用を証明するものではない。
以上述べたように、被請求人は、「glam」を商標法第2条第3項各号のいずれの行為に該当するような使用をしていないものといえる。
(5)本件商標が付された食器が要証期間に本件店舗で使用(陳列や展示)されたことを示す証拠の提示はなく、単に注文をしてそれに対する対価を支払ったのみであり、本件商標が付された乙第26号証「陳述書」の別紙3に示す取皿(食器)も要証期間に本件店舗で使用されたことを示す証拠はない。したがって、「現在まで使用されている。」との被請求人の主張は認められない。
(6)乙第21号証の1ないし7として提出されたレシー卜には、「glam」の表示はなく、それらレシー卜が被請求人の本件店舗において発行されたかが分からず、さらに、それらレシートの項目のうちのテーブルにsilver1やViolet1、Angel1等の記載があるものの、それが「陳述書」の別紙(設計図面)に表された室名のものなのか断定できず、さらにまた、乙第21号証の1ないし7のレシートには、手書きで書き込まれた数字(89640、9万、4万、7万、4万、12万、6万)が記載され、その手書きの金額と同額が乙第24号証の1ないし7として提出されたクレジットカード売上票に表示されているところ、全てのレシートにおいて手書きの値引きを行うこと自体が極めて不自然であり、クレジットカード売上票に表示された金額に合わせるためにその金額を後にレシートに記載した可能性を排除することができない。被請求人は、乙第25号証及び乙第23号証の2によって提出された「りそな銀行通帳」により、「乙第24号証の1ないし7の売上票を含む、本件店舗における役務提供に対する、平成29年(2017年)5月1日?15日のクレジットカードによる支払は全東信(ゼントウシン)から被請求人に対し、同年5月22日に振り込まれている。」と主張しているが、全東信(ゼントウシン)から被請求人に対して振り込まれた金額が被請求人の本件店舗によって提供されたサービスに対する対価であるかは「りそな銀行通帳」から断定することはできない。
したがって、乙第21号証の1ないし7のレシートや乙第24号証の1ないし7のクレジットカード売上票、乙第25号証及び乙第23号証の2のりそな銀行通帳から被請求人の業として飲食物の提供役務を提供していたとの主張は認められない。
4 上申書(平成30年4月6日付け)
(1)第1の疑問点について
メニュー表に記載のない多くの各種複数の飲食物がレシートに表示され、それら飲食物の料金が請求されている。したがって、それらレシートの写しに表示された各メニュー(飲食物名)の金額(税込価格)がメニュー表(乙20の1(フードメニュー)、乙20の2(ドリンクメニュー))のそれに一致しないから、「それらレシートの写しに表示された各メニュー(飲食物名)の金額(税込価格)がメニュー表のそれに一致するから、上記メニューが2017年5月当時、存在し、本件店舗において使用されていたことが認められる。」という被請求人の主張はその根拠が乏しく、乙第21号証の1ないし7のレシートをもってメニュー表が要証期間内に使用されていたことを証明したことにはならない。
通常、顧客が飲食店において飲食をする場合、メニュー表を見ながら飲食する飲食物を選び、その金額を納得した上で、飲食物を注文するが、メニュー表に記載のない多くの飲食物を金額も確認せずに注文するのは不自然としか言いようがない。また、メニュー表に記載のない各種複数の飲食物が表示され、それら飲食物の料金を請求しているレシートは、実際に店舗においてレジスターから出力されたものなのか否か、かつ、顧客に渡されたものなのか否か、その信ぴょう性が極めて疑わしいと言わざるを得ない。
よって、乙第20号証の1及び乙第20号証の2のメニュー表が2017年5月当時、存在せず、要証期間に本件店舗において使用されていないものといえる。
(2)第2の疑問点について
レシートの原本に記載された顧客名AないしGは、レジスターによって印字されたものではなく、すべて手書きで表記されている。その顧客名AないしGを比較した結果、すべて筆跡が同一(顧客名の横に書かれた金額もすべて筆跡が同一)であり、極めて不自然であり、名字が異なる同一の顧客(人物)が記載(サイン)したとしか考えられない。同一の人物が異なる人物のサインをしたとすれば、いわゆる偽造となり、レシートの証拠能力は否定されるものである。
また、もし、顧客名AないしGを店の店員や店長が記載したものなのであれば、それら顧客名AないしGに「様」や「殿」の記載はなく、すべて呼び捨てであった。通常店員や店長が顧客名をレシートに記載する場合、「様」や「殿」を付けるのがあたりまえであり、呼び捨てのレシートを受け取った顧客は気分を害し、二度と来店しないことにもなりかねない。したがって、呼び捨てのレシートを顧客に渡すことはない。そうすると、顧客名AないしGは店の店員や店長が記載したものではないとみるのが相当である。したがって、乙第21号証の1ないし7のレシートは、そこに記載された顧客名を顧客自らが記載したものとすると、既述のように極めて不自然であり、その証拠能力がなく、証拠として採用されるべきではない。
以上のとおり、乙第21号証の1ないし7のレシートには証拠能力がなく、乙第21号証の1ないし7のレシートを根拠に、メニュー表が要証期間に使用されていたことを証明することはできない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書及び口頭審理陳述要領書等において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第26号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人の営業する会員制個室レストラン「glam」について
被請求人は、東京西麻布において、2013年8月にレストランをオープンし、以来現在に至るまで、同レストランを「glam」の名称にて営業し、飲食物の提供を行っている。
乙第1号証ないし乙第3号証は、被請求人の運営するウェブサイト「会員制個室レストラン【glam】グラム」のプリントアウトである。これらが示すとおり、被請求人は、「東京都港区西麻布1-4-43ニシアザブNKビル」において(乙2)、会員制個室レストランを営業しており、同レストランにて飲食物を提供している(乙3)。そして、同レストランの名称は「glam」であり、各ページの先頭には「glam」「グラム」及びロゴ化された「glam」の文字の記載がある。
(2)使用の事実
ア 乙第4号証は、食に関する情報のポータルサイト「ぐるなび」における、被請求人の営業する上記レストラン「glam」の情報ページのプリントアウトである。
同ページの先頭には、乙第1号証ないし乙第3号証に記載された「glam」のロゴと同一の書体で表された「glam」の文字が記載され、「基本情報」の欄に記載のレストラン所在地は、乙第2号証に記載の店舗住所「東京都港区西麻布1-4-43ニシアザブNKビル」と一致する。
また、乙第4号証は、答弁書作成の際にプリントアウトされたものであるが、その内容はプリントアウト時のものではなく、インターネットサービス「Wayback Machine」を用いて、要証期間である2016年9月5日時点の内容を表示したものである。
以上より、被請求人が、要証期間において、本件商標にかかる「glam」を店名とするレストランを営業していたことは明らかである。
イ 次に、乙第6号証として、飲食店・グルメ情報サイト「Retty」における、被請求人の上記レストラン「glam」に関する情報ページのプリントアウトを提出する。同ページに記載の店舗住所と乙第2号証に記載の店舗住所は一致しており、同ページに掲載のレストランが、被請求人のレストランであることは明らかである。
同ページには口コミ・来店記録が投稿されているが、かかる投稿には、例えば以下のようなコメント・記載が残されている。
・「個室も綺麗でひたすらシャンパンを頂きました」(2017年5月28日)
・「広めの個室で朝まで飲み明かしました!」(2015年12月30日)
・「料理も◎でした!」(2015年6月19日)
・「ディナーで利用」(2014年10月22日)
また、2015年2月10日付の投稿に添付された写真には、レストランで提供された果物の盛り合わせやシャンパングラスが確認できる。さらに、店舗エントランスに敷かれたマットには、乙第1号証ないし乙第3号証に記載の「glam」のロゴと同一のロゴが表されていることが確認できる(乙7)。
これらの投稿内容、添付写真及びその日付より、要証期間に、被請求人の営業するレストラン「glam」において飲食物の提供が行われていたことは明らかである。
ウ この他、乙第8号証として、飲食・レストランの専門求人情報サイトである「グルメキャリー」における、被請求人のレストラン「glam」の求人情報ページのプリントアウトを提出する。同ページ先頭右端には乙第1号証ないし乙第3号証に記載の「glam」のロゴと同一の書体で表された「glam」の文字が記載されており、また、「勤務地詳細」に記載された住所と乙第2号証に掲載の住所も一致する。
係る求人においては、レストランの調理責任者やバーテンダー等を募集しており、また、求人情報の掲載期間が「2017/2/16?2017/03/01」とあり、かつ「20代?40代のスタッフが活躍中!」等の記載内容からすれば、2017年2月16日以前より、被請求人のレストラン「glam」が営業されており、同レストランにおいて飲食物の提供が行われていたことは明らかである。
エ 小括
以上述べてきたとおり、要証期間において、被請求人の営業するレストラン「glam」において飲食物の提供が行われていたことは明らかである。すなわち、被請求人は、要証期間に、本件商標にかかる「glam」を、本請求にかかる指定役務中「飲食物の提供」について使用している。
2 口頭審理陳述要領書(平成30年3月2日付け)
(1)役務の提供の事実及び本件商標の使用者について
乙第8号証は、被請求人に対して発行された「営業許可書」(以下「本許可書」という場合がある。)の写しである。
本許可書には、「営業所所在地」として「東京都港区西麻布一丁目4番43号」と記載され、「営業所の名称」として本件商標「glam」が記載されている。本許可書にかかる許可がなされた当時、被請求人は、「EASTCYCLE JAPAN株式会社」という商号であったが、商号とは異なる「glam」を名称として飲食店営業を許可された。この許可の効力は要証期間を含む平成25年7月31日から平成32年7月31日である。
本許可書には、「営業者名称」として、被請求人の旧商号(EASTCYCLE JAPAN株式会社)が、「営業者住所」として、被請求人の旧本店所在地(東京都台東区浅草三丁目35番7号)がそれぞれ記載されている。しかるところ、被請求人の商号は、平成27年7月31日付けで「glam株式会社」に、本店所在地は、平成27年8月1日付けで「東京都港区西麻布一丁目4番43号」にそれぞれ変更されている(乙9及び乙10)。
本許可書記載の「営業所の名称」及び「営業所所在地」並びに被請求人の現在の本店所在地及び商号は、被請求人が運営する「会員制個室レストラン【glam】グラム」に記載される会社概要と一致する(乙2)。
(2)本件商標の使用の事実について
ア 本件店舗外壁における本件商標の使用
被請求人は、本件店舗を平成25年(2013年)8月にオープンし、その後遅くとも平成26年(2014年)7月以降、本件店舗の外壁に本件商標を表示した(乙26)。
乙第11号証ないし乙第13号証は、被請求人代理人が、平成30年(2018年)2月20日に撮影した本件店舗の外観写真であり、乙第12号証及び乙第13号証においては、黒色の店舗外壁に本件商標「glam」の文字が刻印されているが、これは、以下に述べるとおり、本件店舗のオープン前には存在していなかったが、オープン後に設けられたものである。
乙第14号証ないし乙第16号証は、「Googleマップ」で被請求人が運営するレストランの所在地である「東京都港区西麻布一丁目4番43号」を検索した結果、「Googleストリートビュー」で表示される平成25年(2013年)6月、平成26年(2014年)7月、平成28年(2016年)2月時点で撮影された同所の写真のプリントアウトである。被請求人が答弁書で述べたとおり、本件店舗がオープンしたのは平成25年(2013年)8月であるところ、それに先立つ同年6月撮影時の「Googleストリートビュー」の写真には乙第12号証及び乙第13号証に示される上記店舗外壁は存在しない(乙14)。他方、店舗オープン後の平成26年(2014年)7月及び平成28年(2016年)2月撮影時の「Googleストリートビュー」の写真には、乙第11号証ないし乙第13号証に示される店舗外壁と同じ黒色の店舗外壁が設置されていると認められる。
なお、上記乙第14号証ないし乙第16号証が、いずれも本件店舗の所在地付近で撮影されたことは、同じ写真上で被請求人のレストラン所在地の右側に飲食店「玉のは家」(港区西麻布一丁目4番42号)が写っていること(乙17)、また、被請求人レストランが入居する「西麻布NKビル(Nishiazabu N.K. BLD)」(港区西麻布一丁目4番43号)の建物外観(1階?2階又は4階部分)(乙18)が乙第14号証ないし乙第16号証のものと同一であることから明らかである。ちなみに、上記「玉のは家」及び「西麻布NKビル」は、乙第11号証ないし乙第13号証にも映っている。
そして、乙第19号証は、2014年7月撮影の店舗外壁の画像(乙14)の拡大画像をパソコンのモニターに映し出し、それをデジタルカメラで撮影した写真のプリントアウトである。画面中央に、店舗外壁に刻印された「glam」の文字が確認できる。これは、直近に撮影した店舗外壁に刻印された「glam」と同一のものである(乙12及び乙13)。
以上のとおり、被請求人は、東京都港区西麻布一丁目4番43号において、遅くとも平成26年(2014年)7月から現在に至るまで、その店舗外壁において、本件商標「glam」を表示している。当該「glam」は外壁に直接刻印され、表示されているものであり、看板等のように容易に付け替えることができる性質のものではない。被請求人は、遅くとも平成26年(2014年)以降継続して当該レストランを同所において運営しているのであり、要証期間に「glam」が刻印された外壁が存在していたことは明らかである。加えて、被請求人は、本件店舗の営業以外に特段の事業を営んでいないのであり(乙26)、この刻印された表示(本件商標)が、本件店舗において被請求人が提供する飲食物の提供役務を示す商標として使用されたことは明らかである。
よって、要証期間において、被請求人が、「港区西麻布一丁目4番43号」に所在する被請求人レストランの外壁に、看板として、その店舗名である「glam」を表示(刻印)していたことは明らかであり、かかる行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品若しくは役務に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当する。
イ メニュー表における本件商標の使用
乙第20号証の1及び2は、2017年5月頃から現在に至るまで本件店舗で使用されているメニュー表であり(乙26)、当該メニュー表に、「glam黒カレー」及び「glam トリュフ豚骨醤油ラーメン」の表示がある。
これら使用商標「glam黒カレー」及び「glam トリュフ豚骨醤油ラーメン」中、「黒カレー」及び「トリュフ豚骨醤油ラーメン」の文字部分は、飲食物の提供における飲食物の名称であるから、自他役務の識別標識として機能するのは「glam」部分である。そうすると、上記使用商標からは「glam」部分が分離抽出して看取され、よって上記使用商標と本件商標は、同一の称呼「グラム」が生じ、社会通念上同一のものと考えるのが相当である。
また、乙第21号証の1ないし7は、2017年5月12日から5月14日の間に本件店舗で発行されたレシートの写しである。これらのレシートに記載の各メニューの金額(税込価格)は、例えばメニュー表に記載の「梅水晶」900円、「フルーツ盛り(small)」5,000円、「フルーツ盛り(large)」20,000円、「フォアグラ トリュフご飯」5,000円、「ブルーチーズとはちみつのピッツァ」3,000円、「えいひれ 雲丹マヨソース」2,400円(全て税抜き価格)と一致する(なお、合計額の下に手書きで書きこまれた数字は、実際に請求された割引後の金額である。)。
よって、上記メニューが2017年5月当時、存在し、本件店舗において使用されていたことが認められる。
以上より、被請求人が、要証期間において、本件店舗で提示するメニュー表の中に、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことは明らかであり、かかる行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品若しくは役務に関する価格表に標章を付して展示する行為」に該当する。
ウ 本件店舗内部の備品における本件商標の使用
平成29年9月12日付提出の答弁書にて提出した乙第7号証においては、飲食店・グルメ情報サイト「Retty」において、2015年2月10日に投稿された本件店舗利用者による口コミ情報と、本件店舗内で「glam」の文字が表示されたフロアマットが敷かれた写真が投稿されている。
乙第7号証上部左には、当該書証で紹介されているレストランが所在する「東京都港区西麻布1-4-43ニシアザブNKビル」との住所の記載がある。当該住所は、乙第8号証及び乙第10号証記載の住所と一致しており、また、これは乙第11号証ないし乙第13号証、乙第15号証及び乙第16号証に係る写真が撮影された場所であることは上述のとおりである。
乙第7号証に係るウェブサイトは、グルメ情報、すなわちレストランに関する情報を提供(紹介)することを目的とするものであるから、当該サイトにおいて、まったく関連のない店舗の写真を掲載することはあり得ない。
よって、被請求人が、要証期間である2015年2月辺りにおいて、西麻布の上記住所に所在する被請求人レストラン内で、そのフロアマットに本件商標を使用していたことは明らかであり、かかる行為は、商標法第2条第3項第5号にいう「役務提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為」に該当する。
また、上記答弁書にて提出された乙第4号証及び乙第5号証によって、要証期間に、「ぐるなび」のサイトに本件商標「glam」の文字が表示されていたことは、既に明らかとなっている。かかる本件商標の表示は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品若しくは役務に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当する。
エ 本件店舗内部の備品における本件商標の使用
被請求人は、本件店舗のオープンに先立ち、2013年(平成25年)7月頃、有限会社康創窯(コウソウガマ)に対し、本件商標が付された食器の製造を発注した。このうち、取皿は乙第26号証[陳述書]の別紙3に示すものであり、現在まで使用されている。乙第22号証は、上記発注に対応する有限会社康創窯(コウソウガマ)からの請求書であり、被請求人は、康創窯(コウソウガマ)に対して振込送金している(乙23)。
(3)要証期間に本件店舗が実際に営業していたこと
なお、請求人は、乙第1号証ないし乙第8号証のみでは被請求人が本当に「glam」という名称の店舗を構え、その店舗において飲食物を提供しているかは定かではないと述べている(請求人弁駁書2頁)。
しかしながら、乙第4号証の「ぐるなび」、乙第6号証及び乙第7号証の「Retty」ともに、定評あるグルメサイトであり、請求人の主張は失当である。過去の不使用取消審判事件においても、「ぐるなび」等のグルメサイトに掲載された店舗情報が、当該店舗運営の事実を裏付ける証拠として採用されている(取消2014-300507、取消2008-300002)。すなわち、グルメサイトに掲載の情報であることをもってその信ぴょう性が否定されるということはない。
また、被請求人は、要証期間の本件店舗における業としての飲食物の提供にかかるメニュー(乙20の1及び2)並びにレシート(乙21の1?7)及び各レシートに対応するクレジットカード売上票(乙24の1?7)を提出する(乙24の1は、乙21の1に対応するクレジットカード売上票であり、以下同様)。この売上を含む、本件店舗における役務提供に対する、平成29年(2017年)5月1日?15日のクレジットカードによる支払は、全東信(ゼントウシン)から被請求人に対し、同年5月22日に振り込まれている(乙25及び乙23の2)。
以上に鑑みれば、被請求人が本件店舗において、実際に、業として飲食物の提供役務を提供していたことは明らかであり、また、かかる役務に関して、本件商標を使用していた事実が認められる。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の使用商標が、日本国内において、要証期間に、被請求人により、本件審判の請求にかかる指定役務中第43類「飲食物の提供」について使用されていることは明らかである。
3 上申書(平成30年4月20日付け)
(1)請求人は、上申書「第1の疑問点について」にて、被請求人が提出したレシート(乙21)に表示された飲食物には、メニュー表(乙20)に記載のないものが多く含まれ、そのことを理由に「メニュー表が2017年5月当時に使用されていた」とする被請求人の主張は根拠が乏しいと述べている。
しかしながら、飲食店が、食材の入荷伏況や顧客からの要望等に応じ、常備されているメニュー表に記載のない飲食物を提供することは広く一般的に行われていることであり、「レシートにメニュー表にない飲食物が記載されていること」は何ら不自然ではない。また、本件店舗は、顧客からの要望に応じた飲食物を提供することをセールスポイントとしているため、メニュー表にない飲食物を提供する機会も多く、そのような場合、レシートには「SP ?(スペシャル?)」という名称で提供した飲食物を記載することもある。
(2)さらに請求人は、「通常、顧客が飲食店において飲食をする場合、メニュー表を見ながら飲食する飲食物を選び、その金額を納得した上で、飲食物を注文しますが、メニュー表に記載のないこれほど多くの飲食物を金額も確認せずに注文するのは不自然としか言いようがありません」と述べている。
しかしながら、飲食物の金額は注文時に口頭でも確認可能であり、メニュー表に記載されていないことが「飲食物を金額も確認せずに注文」していることの根拠にはならない。また、最終的にレシートに記載の金額を顧客は支払っているので、顧客は金額について理解・納得した上で会計を行っており、上記請求人の主張には根拠がない。
(3)次に、請求人は、上申書「第2の疑問点について」にて、口頭審理で提出した証拠原本に記載された顧客名AないしGを比較した結果、全て筆跡が同一であることが極めて不自然であり、レシートの偽造が疑われる等種々述べている。
しかしながら、請求人が提出した乙第21号証にかかる証拠原本は、店舗保管用のレシートで、顧客保管用のものは当然ながら会計時に顧客に手渡されている。被請求人は、業務の管理運営上、上記店舗保管用レシートに顧客名を手書きでメモすることがあり、その作業は本件店舗の概ね固定されたスタッフが行っているため、筆跡には当然同一のものが含まれる。また、請求人はメモの顧客名に敬称が記載されていないことも指摘しているが、あくまで店舗保管目的で顧客の目に触れるものではなく、敬称まで記載する必要は一切ない。
(4)以上のとおり、平成30年4月6日付提出の上申書における請求人の主張は、いずれも失当である。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)役務の提供について
ア 被請求人の履歴事項全部証明書には「目的」の項目に「飲食店業」の記載がある(乙10)。
イ 被請求人は、平成25年7月31日に、「東京都港区西麻布一丁目4番43号」を営業所所在地とし、「glam」を営業所の名称、屋号又は商号とする「飲食店営業」について、平成25年7月31日から同32年7月31日までの効力を有する営業許可を得ている(乙8)。なお、該営業許可書に記載の営業者氏名は「EASTCYCLE JAPAN株式会社」であるが、同人は、平成27年7月31日に商号を「glam株式会社」に変更しており(乙9:閉鎖事項全部証明書)、実質的に被請求人と同一法人と認められる。
ウ 被請求人は、平成25年7月25日発行の「(有)康創窯」からの請求書において、ワイングラス、ロックグラス、ビアグラス、コーヒカップ&ソーサー、ミルクピチャ、箸置、取皿の商品代金を請求され(乙22)、同年8月2日に該請求額を送金している(乙23の1)。
エ 被請求人代表取締役T氏の陳述によれば、被請求人は、平成25年8月頃に「東京都港区西麻布一丁目4番43号」における飲食店の営業を開始した(乙26)。
オ インターネットアーカイブが保存しているウェブサイトを閲覧できるサービスである「Wayback Machine」により出力した「ぐるなび」の2016年(平成28年)9月5日時点のウェブサイトには、「西麻布 glam」を店名とし、「東京都港区西麻布1-4-43」を住所とする店の紹介がある(乙4)。
カ 乙第21号証の1ないし7は、2017年(平成29年)5月12日から同月14日の間に、被請求人の店舗で発行されたレシートとされるものであり、乙第24号証の1ないし7は、該レシートの各合計金額と合致する金額の支払いに係るクレジットカード売上票であり、これには「加盟店名」として「グラム(ゼントウシン)」の記載がある。
(2)使用商標について
ア 店舗外観
(ア)2018年(平成30年)2月20日に撮影した被請求人の店舗の外観写真(乙12)には、2階に届くほどの高さの「黒色の外壁」の中段にややデザイン化された「glam」の文字が確認できる。
(イ)被請求人の店舗の所在地である「東京都港区西麻布一丁目4番43号」の検索結果とされるGoogleマップのストリートビュー(以下「ストリートビュー」という。)によれば、2013年(平成25年)6月時点には存在しなかった歩道と建物の間の「黒色の外壁」が、2014年(平成26年)7月及び2016年(平成28年)2月に存在していることがわかる(乙14?乙16)。
なお、該「黒色の外壁」は、これとともに写っている隣接する建物及び壁の上部に確認できる階段の手すりの形状が同じであることからすれば、上記(ア)の被請求人の店舗の外観にある「黒色の外壁」と同一のものと認められる。
イ その他
(ア)前記(1)オに示したウェブサイトには、上記ア(ア)と同じ態様の「glam」の文字が黒地に白抜き文字として表示されている(乙4)。
(イ)被請求人代表取締役T氏による2018年3月1日付けの陳述書によれば、平成25年のオープン時に作成されたとされる「取皿」に上記ア(ア)と同じ態様の「glam」の文字が印字されている(乙26:別紙3)。
2 前記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用者について
被請求人が営業許可を得た店舗名称が「glam」であること、被請求人の住所が店舗住所と一致することからすれば、商標「glam」の使用者は、被請求人であると認められる。
(2)使用商標及び使用役務について
被請求人の店舗の「黒色の外壁」に確認できる店舗名、被請求人の店舗を紹介したウェブサイトに表示された文字は、いずれもややデザイン化された「glam」であり、被請求人が使用する商標は、ややデザイン化された「glam」の文字(以下「使用商標」という。)である。
また、被請求人は「飲食店業」の営業許可を得ており、被請求人に係る履歴事項全部証明書には目的として「飲食店業」の記載があり、飲食物の提供に係るレシート及びクレジットカード売上票の存在、及び「ぐるなび」のウェブサイトにおいて被請求人の店舗が紹介されていることからすれば、被請求人は「飲食物の提供」の役務に使用商標を使用していたものと認められる。
(3)社会通念上同一の商標について
被請求人の店舗の「黒色の外壁」、被請求人の店舗を紹介したウェブサイト及び店舗オープン時に作成された取皿に印字された使用商標は、ややデザイン化された「glam」の文字であるが、これは、本件商標と比較すると、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標といえるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
(4)使用時期について
被請求人の店舗の外観が撮影されたストリートビュー(乙15、乙16)の撮影時期は、それぞれ平成26年7月及び同28年2月である。
そして、被請求人の店舗の外観における「黒色の外壁」については、平成30年2月20日に撮影された写真(乙12)により、その中央付近に「glam」の文字の表示が確認できるものであり、かつ、前記1(2)ア(イ)のとおり、上記ストリートビューに写っている被請求人の店舗の外観における「黒色の外壁」(乙15、乙16)と乙第12号証に写っている「黒色の外壁」は同じものであることからすれば、上記ストリートビューの撮影時期において、被請求人の店舗の外観における「黒色の外壁」には、その店名である「glam」の文字が表示されていたと認められ、要証期間である平成26年7月及び同28年2月に使用商標が店舗の外壁に使用されていたものと認められる。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、被請求人(商標権者)は、要証期間に「飲食物の提供」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、東京都港区西麻布一丁目4番43号所在の被請求人の店舗の外壁に使用していたということができる。
そして、上記使用行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品若しくは役務に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当するものと認められる。
3 請求人の主張について
請求人は、被請求人の店舗の外壁に「glam」の文字が表示されていることに関して、「被請求人の営業所の名称である『glam』とは完全会員制の個室レストランであり、外壁の『glam』を見ただけでそれがレストランにおける飲食物の提供であると認識することができない以上、広告行為には該当しないから、被請求人が『glam』を商標法第2条第3項各号のいずれの行為に該当するような使用はされていないものといえる。」旨を主張している。
しかしながら、たとえ被請求人が運営するレストランが完全会員制であり、その外観からして、直ちにその営業内容を認識することができないとしても、被請求人の店舗の外壁に店舗名である「glam」の文字を表示することが、一般的な飲食店の店舗において店舗名を看板に表示することと本質的な違いがあるということはできない。
また、請求人は、被請求人が提出した「メニュー表」(乙20)及び「レシート」(乙21)に関して、「メニュー表に記載のない多くの飲食物がレシートに表示され、それら飲食物の料金が請求されている。このようなレシートは、実際に店舗においてレジスターから出力されたものか否か、かつ、顧客に渡されたものか否か、その信ぴょう性が極めて疑わしいと言わざるを得ない。」、「レシートの原本に記載された顧客名は、レジスターによって印字されたものではなく、すべて手書きで表記され、筆跡が同一である。同一の人物が異なる人物のサインをしたとすれば、いわゆる偽造となり、レシートの証拠能力は否定される。」旨を主張している。
しかしながら、メニュー表にない飲食物を提供し、その料金を請求していることをもって、直ちに該「メニュー表」及び「レシート」の存在を否定することはできず、被請求人の提出した「レシート」が顧客に渡したものではなく、店舗保管用のものであったことからすれば、顧客名が店舗従業員による手書きで記載されたものであるとの、被請求人の主張に不自然な点はない。
したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が取消請求役務中「飲食物の提供」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-05-30 
結審通知日 2018-06-01 
審決日 2018-06-20 
出願番号 商願2013-72514(T2013-72514) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W43)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 石井 亮山本 敦子 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 中束 としえ
山田 正樹
登録日 2014-02-21 
登録番号 商標登録第5651004号(T5651004) 
商標の称呼 グラム 
代理人 城山 康文 
代理人 小林 義孝 
代理人 永岡 愛 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 北口 貴大 
代理人 横川 聡子 
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