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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201513171 審決 商標
異議2014900150 審決 商標
不服201411133 審決 商標
不服201319154 審決 商標
不服20146311 審決 商標

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審決分類 審判 全部無効 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W43
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W43
審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W43
管理番号 1343100 
審判番号 無効2017-890080 
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-12-15 
確定日 2018-07-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5884705号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5884705号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5884705号商標(以下「本件商標」という。)は、「さくらソフトクリーム」の文字を標準文字で表してなり、平成28年2月25日に登録出願、第43類「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」を指定役務として、同年9月30日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証(枝番を含む。)を提出した。
1 はじめに
本件審判の請求人である日世株式会社は直営の店舗でソフトクリームの販売をしているほか、全国各地の業者にソフトクリームミックス及びソフトクリーム用コーンの販売をしている法人であり、平成24年以降、毎年、桜の季節に「桜風味のソフトクリームミックス」(商品名:旬のソフトクリームミックスさくら)を全国各地の業者に販売してきた。また、請求人から、ソフトクリームミックスを購入した業者も、自らの店舗でソフトクリームを販売する際に「バニラソフトクリーム」「チョコレートソフトクリーム」などと並ぶソフトクリームの種類を示す一般名称として、「さくらソフトクリーム」との名称を使用している。
一方、被請求人は、福島県内で「アトリエデコ」との名称のステンドグラス工房を営業する傍ら、平成28年以降、問屋を通じて購入した請求人製造のバニラソフトクリームミックスに他社から購入した副原料を混合した「桜風味のソフトクリームミックス」を「サクラソフトクリーム」との名称で販売している者であるが、被請求人は「さくらソフトクリーム」との名称が請求人等によって商標登録されていなかったことを奇貨として、本件登録商標の商標登録出願を行い、商標登録後、請求人に対し、執拗にライセンス料の支払いを要求してきている。
以上の経緯に鑑みると、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号、同法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第7号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきである。
2 商標法第3条第1項第3号について
(1)「さくらソフトクリーム」との語から生じる意味合いについて
本件商標「さくらソフトクリーム」の前半の「さくら」との文字は、「バラ科サクラ属の落葉高木または低木の総称」である「桜」の平仮名表記であり、後半の「ソフトクリーム」の文字は「空気を入れながら凍らせた半流動状の柔らかいアイス・クリーム」を意味する語である(甲1)。
そのため、両者を結合した「さくらソフトクリーム」との語からは、「桜のソフトクリーム」との意味合いが一義的に想起される。
(2)「さくらソフトクリーム」との語の使用例
ア 請求人の取引業者の店舗での使用
請求人は、平成24年以降、毎年、桜の季節に「桜風味のソフトクリームミックス」(商品名:旬のソフトクリームミックスさくら)を全国各地のソフトクリーム販売店(飲食店を含む。)に販売しており(甲2、甲6)、当該業者がソフトクリームの販売時に使用するためのポスター、のぼり、POP等に「さくらソフトクリーム」の文字を表し、無償配布してきた(甲3?甲5)。
請求人は、ソフトクリームミックス及びソフトクリームコーンのトップメーカーであり、ソフトクリーム原料の分野で約50%のシェアを有しているが、請求人が「桜風味のソフトクリームミックス」を販売した業者の数は、平成29年度の実績で144店舗に及んでおり(甲6)、少なくとも、これらの業者は「桜風味のソフトクリーム」を「さくらソフトクリーム」との名称で販売していたといえる。
また、平成24年から、本件商標の登録査定日である平成28年7月26日までの間に、請求人が販売した桜風味のソフトクリームミックスの販売数量は以下のとおりであるが(甲6)、計算上、ソフトクリームミックス1ケース当たり、約100個のソフトクリームが作れるため、請求人が販売したソフトクリームミックスを用いて製造、販売された「さくらソフトクリーム」(桜風味のソフトクリーム)の累計総数は推計で約70万個程度になると考えられる。
「旬のソフトクリームミックスさくら」の販売数量
平成24年 1201ケース
平成25年 1469ケース
平成26年 1448ケース
平成27年 1375ケース
平成28年 1520ケース
合計 7013ケース
イ インターネット上の使用例
本件商標を構成する「さくらソフトクリーム」との語がソフトクリーム販売業者(飲食店を含む。)の間で、ソフトクリームの種類を表す語として、広く使用されていることは、インターネット上で検索される使用例からもうかがえる。
インターネット上で確認できた使用例だけみても、「桜風味のソフトクリーム」を「さくらソフトクリーム」と称している例が多数存在し、「さくらソフトクリーム」との語が一般的に使用されている表現であることが分かる。一部のウェブサイトでは「さくらソフト」との略称も使用されているが、「さくらソフトクリーム」と同義である。
これらの使用例には、請求人からソフトクリームミックスを購入した業者以外の使用例も多数含まれている(甲7)。
また、「さくらソフトクリーム」との語の使用例の中には、持ち帰り用のソフトクリームに「さくらソフトクリーム」との語が使用され、厳密には「第43類 ソフトクリームを主とする飲食物の提供」に関する使用例とはいえないものも含まれているが、一般に、ソフトクリームは、同一商品を店内で食べる形態、持ち帰りの形態の双方で提供し得るものであるから、持ち帰り用の商品である「第30類 ソフトクリーム」の品質表示として使用されている語は、「第43類 ソフトクリームを主とする飲食物の提供」に関しても、役務の質の表示にあたると解すべきである。
(3)過去の審査、審判での判断事例
本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当することは、特許庁の過去の審査で原料名と「ソフトクリーム」の文字の組み合わせからなる商標が商標法第3条第1項第3号に該当すると判断されていることからも裏付けられる(甲8)。
また、飲食店で提供されるメニューの一般的名称を表した商標を「第43類 飲食物の提供」に関して出願した場合に、商標法第3条第1項第3号が適用されることは、不服2006-25186(商標「ひつまぶし」に関する拒絶査定不服審判事件、甲9)の審決等からも明らかである。
(4)「さくらソフトクリーム」との語が役務の質等を表す語であること
上記のとおり、本件商標を構成する「さくらソフトクリーム」の文字は「桜風味のソフトクリーム」との意味合いを一義的に想起させる文字であり、「桜風味のソフトクリーム」を表す語として、一般的に使用されている語である。
そのため、本件商標をその指定役務である「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該役務が「桜風味のソフトクリームの提供」であると理解するにとどまり、上記指定役務の質、役務の用に供する物を普通に用いられる方法で表した文字のみからなる商標であると認識される。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 商標法第3条第1項第6号について
商標法第3条第1項第6号にいう「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」としては、構成自体が商標としての体をなしていないなど、そもそも自他商品識別力を持ち得ないもののほか、同項第1号から同第5号までには該当しないが、一応、その構成自体から自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないと推定されるもの、及び、その構成自体から自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものと推定はされないが、取引の実情を考慮すると、自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものがあるとされている(知財高判平成18年3月19日(平成17年(行ケ)第10651号))。
この点、本件商標を構成する「さくらソフトクリーム」の文字は、上記のとおり、「桜風味のソフトクリーム」を表す語として、一般的に使用されている語であるため、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものであるが、仮に同号に該当しないとの立場をとったとしても、上記のような多数の使用例があることに鑑みると、少なくとも、「取引の実情を考慮すると、自他商品識別力(審決注:「自他役務識別力」の誤記と思われる。)を欠き、商標としての機能を果たし得ない」商標にあたり、同法第3条第1項第6号に該当することは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
4 商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号の審査基準では、同号に該当する例として、「当該商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある等、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合」が挙げられているが、本件商標の出願経緯に鑑みると、本件商標の登録を認めると、商標法の予定する秩序に反する事態が生じることは明らかである。
被請求人は、福島県の有名な桜の名所である三春滝桜の近くの土地(住所:福島県田村郡三春町大字滝字桜久保110、以下「本件土地」という。)で「アトリエデコ」との名称のステンドグラス工房を営業する個人事業主であるが、平成12年頃より、請求人の元仙台営業所長であったO氏に対し、本件土地内の建物を貸し、その後、O氏が、請求人が製造の機械を利用して、毎年、桜の季節に「さくらソフトクリーム」の販売をしていた(甲10)。
その後、平成27年に被請求人とO氏の契約関係は解消になったため、平成28年と平成29年の2年間は、被請求人自身が、請求人製造のフリーザーを利用し、問屋を通じて購入した請求人製造のバニラソフトクリームミックスに他社から購入した副原料を混合した「桜風味のソフトクリーム」を製造し、「さくらソフトクリーム」との名称で販売するようになった(甲10、甲11)。
被請求人が平成28年2月になって、本件商標を出願することを思い至ったきっかけの詳細は不明であるが、当時、被請求人は、O氏が被請求人の店舗の近くで「さくらソフトクリーム」の販売を開始することを良く思っていなかったようであり(甲10)、O氏及び請求人に対する嫌がらせの目的又はライセンス料や損害賠償金等の金員を得る目的で、出願を行ったと考えられる。
請求人は、被請求人が本件商標の商標権を取得したことを平成29年3月ころ、O氏から聞かされたため、平成29年7月20日に請求人の担当者が被請求人の事業所を訪問し、本件商標権の譲渡を求めたが、被請求人は、本件商標権を譲渡する意向はないと述べ、請求人に対し、ライセンス料の支払いを要求した(甲11)。また、被請求人は、その際、ロッテやメイラクなどの会社や、ソフトクリームを販売しているユーザーからもライセンス料を徴収する意向であることを述べた(甲11)。請求人は、被請求人のかかる不当な要求には応じられないと考え、本件無効審判請求の準備を進めていたが、請求人(審決注:「被請求人」の誤記と思われる。)は、平成29年9月14日と同年10月2日に、請求人の担当者に対し、ライセンス料の支払いを求める電話をかけてきたため、請求人は、代理人弁護士を通じ、平成29年10月3日付けで、ライセンス料を支払う意思はない旨の回答を行った(甲12)。
また、被請求人は、本件土地の近くにある有名な桜の名称である「滝桜」を商標登録出願しているほか(商願2017-32243号)、滝桜を植えたことで有名な姫の名前である「愛姫」(商願2017-35918号)や「愛姫の滝桜」(商願2017-35919号)の商標登録出願もしており(甲13)、本件商標も含めたこれらの一連の出願が、滝桜の周囲で営業している善意の事業者を妨害する不当な目的でなされたものであることは明白である。
以上の経緯に鑑みると、本件商標の出願の経緯が社会的相当性を欠くものであることは明らかであり、本件商標は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
1 商標法第3条第1項第3号の該当性について
(1)本件商標は、標準文字で「さくらソフトクリーム」であり、指定役務は「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」である。
本件商標のうち、平仮名の部分の「さくら」には、バラ科スモモ属サクラ亜属(またはバラ科サクラ属)に分類される落葉広葉樹(桜、サクラ)、公演主催者や販売店に雇われて客の中に紛れ込み特定の場面や公演全体を盛り上げたり商品の売れ行きが良い雰囲気を作りだしたりする者(サクラ)、地名(栃木県さくら市、千葉県佐倉市など)、人の名前、NHKドラマシリーズ「朝の連続テレビ小説」のタイトルなどの種々の意味合いがある。
このうち、バラ科スモモ属サクラ亜属(またはバラ科サクラ属)のサクラは、200種類以上、分類の仕方によっては600種類以上存在している。日本に多く存在するソメイヨシノを含めた多くのサクラは香りが弱く、近づいてもほとんど香りを感じることはできない。また、葉の部分は、食用とすることもあるが、主にオオシマザクラの葉を乾燥したのち塩漬けにすると、葉の細胞の破壊と加水分解によりクマリンが生成して初めて香りが生じるものである。このような数百種のサクラのうちほんのわずかな種類のサクラの葉を乾燥・塩漬けすることにより初めて生成する香りをサクラ全体の香りとすることは無理である。同様にサクラの葉の塩漬けをサクラの葉の味とすることにも無理がある。また、花の部分についても、八重桜の花を梅酢と塩とで漬けることにより食用とすることもあるが、数百種のサクラのうちほんのわずかな種類のサクラの花を、梅酢と塩とで漬けることにより初めて香りが生成するものであるから、これをサクラ全体の香りとすることは無理である。そうすると、本件商標である「さくらソフトクリーム」は、桜風味(味や香り)のソフトクリームといった一義的に意味合いを生じるものではないことは明らかである。
なお、サクラの果実についても食用とすることがあるが、これはさくらんぼやチェリーといった別の名称がある。このため、サクラの果実の香りや味をサクラの香りや味とすることも無理である。
ところで、サクラの咲く季節になると、桜の開花予想や桜前線等といった情報が多く聞かれたり見られたりするようになる。これはサクラが咲くと大変綺麗であると共に、全国各地で花見やお祭り等が行われるからであると思われる。そうすると、一般に、サクラのイメージは、開花しているときのものが大きな割合を占めているものと思われる。したがって、本件商標「さくらソフトクリーム」からは、サクラの状態(サクラの木や花であったり、開花した状態)のイメージのソフトクリーム提供店か、サクラのようなソフトクリーム(例えば、サクラのようにきれいなソフトクリーム)あるいはサクラに関するソフトクリームを提供する店といった意味合いが生じるものと思われる。
なお、これら以外にも、上述したように、公演主催者や販売店に雇われて客の中に紛れ込み特定の場面や公演全体を盛り上げたり商品の売れ行きが良い雰囲気を作りだしたりする者(サクラ)等の意味合いを生じるあるいは連想するソフトクリーム提供店といった意味合いも生じるものと思われる。
したがって、本件商標は、指定役務「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」の質ではないことは明らかであるから、自他商品等識別力のあるものである。
また、ソフトクリームを提供するにあたって、提供の用に供する物は、例えば、コーンを包む紙製のスリーブがあるが、明らかに本件商標と同様の名称ではない。
なお、特許庁の過去の登録例を見ても、指定役務を「飲食物の提供」とした商標であって、「桜」、「サクラ」、「さくら」を含むものが多く存在している。
また、指定役務が「飲食物の提供」ではないが、指定商品を「菓子,パン,洋菓子等」(これらはソフトクリームを含んでいる)とした商標であって、「桜」、「サクラ」、「さくら」を含むものの登録例がある。これらは、「さくら」、「サクラ」、「桜」をその商品の品質を単に表したものではなく、自他商品等識別力があるものとして登録されたものと思われるので、「さくら」、「サクラ」、「桜」には自他商品等識別力があるものと考えられる。
(2)請求人は、さくらソフトクリームとの語の使用例を挙げて、さくらソフトクリームは、商品「ソフトクリーム」の品質表示で使用されるものであるから、「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」に関しても、役務の質の表示として解すべきであると主張する。
しかしながら、法上の商品は本来的に流通性を有することが予定されているところ、店内で供され即時に消費される料理は、出所との結びつきが直接かつ明白であり、そこに他人のものとの識別を必要とする場は存在しない(中納言事件大阪地方裁判所昭和59(ワ)5703昭和61年12月25日)としている。いわゆる店舗で作るソフトクリームについては、その場でソフトクリームの形状に製造するものであり、店内もしくはその近辺で食べないと溶けてしまうので、流通性は予定しておらず、法上の商品には該当しない。したがって、商品「ソフトクリーム」の品質表示を「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」の役務の質の表示として解すべきではない。なお、飲食物の提供には、移動販売車などによる飲食物の提供のような形態も含まれると解釈できるので、店舗の近辺で食べる形態についても当然に想定されるものである。
(3)また、請求人は、本件商標「さくらソフトクリーム」を指定役務「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」に使用しても、これらに接する取引者、重要者は、当該役務が「桜風味のソフトクリームの提供」であると理解するにとどまり、指定役務の質、役務の用に供する物を普通に用いられる方法で表した文字のみからなる商標であると認識されると主張する。
しかしながら、数百種のサクラのうちほんのわずかな種類のサクラの花や葉を塩漬け等して初めて生成する香りや味をサクラ全体の桜風味(味や香り)とすることは無理である。したがって、本件商標「さくらソフトクリーム」からは、サクラの状態(サクラの木や花であったり、開花した状態)のイメージのソフトクリーム提供店か、サクラのようなソフトクリーム(例えば、サクラのようにきれいなソフトクリーム)あるいはサクラに関するソフトクリームを提供する店、公演主催者や販売店に雇われて客の中に紛れ込み特定の場面や公演全体を盛り上げたり商品の売れ行きが良い雰囲気を作りだしたりする者(サクラ)等といった意味合いを生じるあるいは連想するソフトクリームを提供する店といった意味合いも生じるものと思われるので、指定役務「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」の質ではないことは明らかである。さらに、指定役務の提供の用に供する物でないことも明らかである。したがって、本件商標「さくらソフトクリーム」を指定役務「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」に使用しても、これらに接する取引者、需要者は、当該役務が「桜風味のソフトクリームの提供」であると理解することはなく、指定役務の質、役務の用に供する物を普通に用いられる方法で表した文字のみからなる商標ではない。
(4)なお、請求人の提出した使用例(甲2?甲6)は、商品名のような使用であり、飲食物の提供の使用ではないものや、「さくら」「さくらソフト」「さくらそふと」等の使用例であって、「さくらソフトクリーム」の使用ではないものも混在している。また、個人の書き込み等が記載されているものが多く、どの程度販売されているかわからない。さらに、さくらまつりのようなお祭りで販売されているものもあり、味や原材料が全く記載されていないものもある。したがって、これらの証拠からは、「さくらソフトクリーム」の語がソフトクリームの種類を表す語として広く使用されているとは認められない。
(5)また、請求人は、甲第8号証で過去の審査判断事例を提示しているが、指定役務が「飲食物の提供」とした出願は、商願2015-130910のみであり、その他は指定役務が「飲食物の提供」ではない。さらに、審査に対して反論することにより、拒絶理由が解消されて登録されるものも多々あるものであるが、審査に対して未対応で拒絶になったものをもって、商標法第3条第1項第3号に該当するとの主張することはできない。
さらに、甲第9号証では、商標「ひつまぶし」に関する拒絶査定不服審判の審決を示しているが、本件商標は、上述したとおり自他商品等識別力を有するものであり、一般的名称ではないことは明らかであるので、本件商標の場合には、この拒絶査定不服審判の審決は当てはまらない。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
2 商標法第3条第1項第6号の該当性について
(1)本件商標「さくらソフトクリーム」は、指定役務「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」に関し、店名として多数使用されているものではない。
(2)請求人は、「さくらソフトクリーム」の文字は桜風味のソフトクリームを表す語であるとして一般的に使用されているものであり、多数の使用例があるとして、少なくとも、取引の実情を考慮すると、自他商品識別力(審決注:「自他役務識別力」の誤記と思われる。)を欠き、商標としての機能を果たし得ない商標にあたると主張する。
しかしながら、請求人が提出した証拠は、名称が「さくら」「春薫るさくらソフトクリーム」「さくらソフト」「さくらそふと」「桜ソフトクリーム」のものが含まれていたり、販売先や地域の記載もなかったり実際に製作して配布したかどうかわからないものも含まれていたり、さらには、個人の書き込み等が記載されているものが多いし、どの程度販売されているかもわからなく、一般的に使用されているとはいえない。そもそも、店名ではない。したがって、「さくらソフトクリーム」は一般的に使用されているとはいえず、取引の実情を考慮しても、本件商標は、自他商品等識別力を有しており、商標としての機能を果たし得るものである。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第7号の該当性について
(1)被請求人は、平成6年から福島県田村郡三春町に居住すると共に、「アトリエ・デコ」の屋号で事業を開始した。被請求人の居住地域では、毎年4月ごろから滝桜祭りが開催されており、そこの住民のみに商品の販売等の出店が許可されている。被請求人は、平成8年3月に地元町内会である滝地区大字総会にて出店の許可を得て、同年4月より出店した。出店当初は、ガラス製品、そうめん、ラーメン、絵葉書、ポスター、米、テレホンカード等を販売していた。平成11年頃に、滝桜祭りが開催され出店が許可される地域の居住者ではない人物に対して、被請求人の出店する店内にて、ソフトクリームの提供をすること及び名称として「さくらソフトクリーム」を使用するという企画を提案し、平成13年よりソフトクリームの提供を開始した。その後、滝桜祭りの開催に伴い継続的に出店は行われ、現在に至っている。なお、請求人の主張するO氏は、滝桜祭りが開催され出店が許可される地域の居住者ではないが、平成17年より平成27年まで、被請求人の監督の下、ソフトクリームの提供を行うようになった。そして、平成28年からは、被請求人自らがソフトクリームの提供を行うようになった。このように、被請求人によるさくらソフトクリームの命名、販売の企画及び監督の下、継続的にソフトクリームの提供を行ってきており、平成28年に本件商標について出願を行った。
(2)請求人は、本件商標の出願の経緯が、O氏及び請求人に対する嫌がらせ目的又はライセンス料や損害賠償金等の金員を得る目的であると主張する。
しかしながら、上述のように、被請求人によるさくらソフトクリームの命名並びに販売の企画の下、現在に至るまで継続的にソフトクリームの提供を行っており、自社ブランドを守るために、商標出願することは当然である。また、請求人から本件商標権の譲渡を求められたが、譲渡するか否かにより、被請求人の事業継続に影響がでることも考えられるので、譲渡ではなく、ライセンス契約を望むことは当然にあるものと思われる。したがって、本件商標の出願は、O氏及び請求人に対する嫌がらせ目的又はライセンス料や損害賠償金等の金員を得る目的でない。
なお、請求人は、被請求人の他の出願に基づき、本件商標についても、善意の事業者を妨害する不当な目的で出願されたものであると主張しているが、被請求人は上述のとおりソフトクリームの提供を継続的に実施しており、本案件とは全く関係ない。
以上より、本件商標の出願の経緯は、社会的相当性を欠くものではないし、また登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものではないから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標には該当しない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

第4 当審の判断
請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有することについては、当事者間に争いがないので、本案に入って審理する。
1 甲各号証について
(1)請求人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 「広辞苑第六版」(岩波書店発行)(甲1)において、「さくら【桜】」の項には、「1バラ科サクラ属の落葉高木または低木の一部の総称 2桜色の略。」と記載されている。
イ 「株式会社東北萬国社」のウェブサイト(甲7の4)において、「桜で有名な弘前公園に隣接する観光施設『津軽藩ねぷた村』」、「弘前公園の『さくらまつり』のこの季節はやっぱり『さくらソフトクリーム』!・・・・この季節限定の『さくらソフトクリーム』を召し上がれ。」との記載がある(http://www.bankoku-coffee.com/gotouchisoft/soft-03/)。
ウ 「万博記念公園」のウェブサイト(甲7の5)において、「店舗情報(日本庭園) 日本庭園中央休憩所 売店・喫茶 和み(なごみ)」の見出しのもと、「フードメニュー・・・ソフトクリーム(バニラ、宇治抹茶、マンゴー、ブルーベリー&ヨーグルト風味)300円 ※桜まつり限定で『さくらソフトクリーム』(サクラの葉が入り)を販売」との記載がある(http://www.expo70-park.jp/facility/other/other-08/)。
エ 「Walker+(ウォーカープラス)」のウェブサイト(甲7の6)において、「第20回南阿蘇桜さくら植木まつり」の見出しの下、「樹齢400年余りのヤマザクラの開花時期前後に一心行公園周辺で行われる桜祭り。・・・期間中は南阿蘇村内から約20店舗が出店。・・・さくらソフトクリームなどのスイーツを販売する。」との記載がある(http://www.walkerplus.com/event/arl043el76993/)。
オ 「京都旅楽」のウェブサイト(甲7の11)において、「美味しいもの 京都 花ぎんかく さくらソフト」の見出しの下、「桜満開の哲学の道の春の楽しみはさくらソフト。銀閣寺そばの湯葉料理に志田には茶房花ぎんかくが併設されており、この季節は自家製のさくらソフトが味わえる。・・・さくらソフトは250円 ソフトクリームではなく、アイスクリンにさくら風味を閉じ込めたシャーベット風味の文字通りソフト。」との記載がある(http://tabitano.main.jp/7hanaKinkaku.html)。
カ 「食べログ」のウェブサイト(甲7の12)において、「さくらソフトクリーム」の見出しの下、「旅行で訪問した石川県。・・・『さくらソフトクリーム』というのが私の目を引きました。ソフトクリームのさくら味ということです。さくらとは、桜のことです。さくらんぼとは違うようです。」との記載がある(https://tabelog.com/ishikawa/A1701/A170101/17008850/dtlrvwlst/B43893128/)。
キ 「食べログ」のウェブサイト(甲7の13)において、「さくらソフトクリーム300円!」の見出しの下、「秋田県は角館に到着しました!・・・さくらソフトクリーム300円も必然的に味わう事と相成ります!!さくらソフトには!大きくチェリーテイストと桜餅テイストに分類されると思いますが!!こちらはほんのり桜餅テイスト!!桜の軽い香りの印象で万人受けするソフトクリーム!」との記載がある(https://tabelog.cora/akita/A0504/A050401/5005804/dtlrvwlst/B54822629/)。
ク ウェブサイト(甲7の14)において、「一度は食べたい!ご当地ソフトクリーム【北海道編】」の見出しの下、「【さくらソフトクリーム】五稜郭公園 サクラの風味はしっかりしているのですが、ちょっと甘いかなーと思います。」との記載がある(https://matome.naver.jp/odai/2139590647849092101)。
ケ 「価格.com」のウェブサイト(甲7の17)において、「『さくらソフトクリーム』に関連する情報」の見出しの下、「賀茂郡河津町では河津桜が満開・・・観光交流館ではさくらソフトクリームが楽しめる。」、「靖国神社 東京・千代田区にある神社。・・・境内の店では、期間限定で『さくらソフトクリーム(250円)』を販売しているとのこと。」との記載がある。また、掲載日不詳のテレビ東京のウェブサイト記事(甲7の18)において、「旅グルメ」の見出しの下、「河津桜観光交流館(河津) 今年2月にオープンした河津町の新しい観光施設。建物内には、河津町の地場産品などが買える店や食事処などがあり、この時期、期間限定でさくらソフトクリームが頂ける。」との記載がある(http://kakaku.com/tv/search/keyword=%E3%81%95%E3%81%8F%E3%82%89%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0/)。
コ 2015年5月28日付け投稿のウェブサイト(甲7の19)において、「さくらソフトクリーム」の見出しの下、「道の駅 羽島湖高原」、「さくらソフトクリームをいただきました。ふわっと桜が香る、なかなか美味しいものでした。」との記載がある(https://www.tripadvisor.jp/ShowUserReviews-g1120989-d6611865-r275233071-Michi_no_Eki_Hatoriko_Kougen-Tenei_mura_Iwase_gun_Fukushima_Prefecture_Tohoku.html)。
サ 「ことりっぷ co-Trip」のウェブサイト(甲7の20)において、「さくらソフトクリームに関するおでかけ・旅の情報の一覧」の見出しの下、「2017*04*16信州高遠美術館前の桜、ほぼ満開 こちらのお茶屋さんのさくらソフトクリームは+50円でミニ花見団子をつけてくれます。」との記載がある(https://co-trip.jp/keyword/63724/)。
シ 「笠間観光協会」のウェブサイト(甲7の21)において、「フォレストハウス JA愛宕家」(茨城県笠間市)の見出しの下、「桜の名所、愛宕山の大駐車場にある太平洋まで一望できる直売所です。春は桜ソフトクリーム、夏のメロンソフトクリームなど、四季折々の味をお楽しみいただけます。」との記載がある(http://www.kasama-kankou.jp/upsys_pro/index.php?mode=detail&code=356)。
ス 2015年3月18日付け掲載の「たこ焼き『一福』総本家」のウェブサイト(甲7の22)において、「【春限定】さくらのソフトクリーム発売中!!」の見出しの下、「毎年大人気の『さくらソフトクリーム』250円が発売されました。塩漬けされた桜の葉が入っているので香りがとてもよく、春の季節を舌で感じられる逸品となっております!!さくらの季節とともに人気急上昇する『さくらソフト』を是非一度ご賞味ください!!」との記載がある(http://takoyaki-ichifuku.com/400)。
セ 「美伯ネット」のウェブサイト(甲7の23)において、「さくらソフトクリーム」、「桜(さくら)ソフトクリームが登場!」、「道の駅メルヘンの里で販売しています。」との記載がある(http://www.bihaku-net.com/modules/cms/pub_content_detail.php?id=396&stat=0&cat_id=5)。
ソ ウェブサイト(甲7の24)において、「アイスの名前 さくらソフトクリーム」、「お店の名前 モンマート 地酒のふじた(仙北市角館町中菅沢94)」、「角館駅のすぐ近くにある酒屋さんで販売しているソフトクリーム。薄い綺麗なピンク色で、食べてみると桜の味と香りがはっきりとしますよ。ソフト自体の味も濃厚で、まさに『さくらソフト』といった感じです。」との記載がある(http://gamesphere.jp/ice/indexl6.html)。
タ 「千葉県 道の駅公式ホームページ」のウェブサイト(甲7の25)において、「千葉県 道の駅『きょなん』」の見出しの下、「さくらソフトクリーム(旬彩 櫻華) 桜の葉のパウダーをミルクに混ぜ込んだソフトクリームで、桜の香りがほのかに香ります。」との記載がある(https://www.michi-no-eki.jp/stations/view/344)。
チ 「アットエス@S静岡新聞SBS」のウェブサイト(甲7の26)において、「小國ことまち横丁 茶寮宮川」の見出しの下、「おすすめメニュー ソフトクリーム(優煎茶・バニラ・チョコ・バナナ・チョコミルク・いちごみるく・すりおろしりんご・塩バニラ・さくら(季節限定)など 各330円」、「季節のメニュー さくらソフトクリーム(春季限定)330円」との記載がある(http://www.at-s.com/gourmet/article/cafe/sweets/125888.html?page=menu)。
ツ 「だんべーどっと.com」の道の駅みょうぎ施設案内のウェブサイト(甲7の27)において、「みょうぎ物産センター道の駅みょうぎ[道の駅]群馬県富岡市・・・」、「物産センターの正面には、ソフトクリームの売店があり、目の前のベンチに腰掛け、妙義山を眺めながら味わうことができます。ここでのお勧めは、ピンク色づいた『さくらソフトクリーム』です。」との記載がある(https://www、dan-b.com/sh_mitimyougi/page1_1.html)。
テ 「名古屋市」の「名城公園フラワープラザ『春の花まつり』」に関するウェブサイト(甲7の28)において、平成29年3月7日付けで、「名城公園フラワープラザ『春の花まつり』を開催します」の見出しの下、「さくらソフトクリームの提供(300円)」との記載がある(http://www.city.nagoya.jp/ryokuseidoboku/cmsfiles/contents/0000092/92009/290307Meijo.pdf)。
ト 「観るなび」のウェブサイト(甲7の29)において、「陸郷の山桜(夢の郷エリア)」の見出しの下、「春限定サクラソフトクリームなどお楽しみ満載です。」との記載がある(http://www.nihon-kankou.or.jp/sakura/searchDetail.jsp?ken=nagano&shi_=20481&id__=S2041)。
ナ 2014年4月29日付け掲載の「大潟村公式ブログ」のウェブサイト(甲7の30)において、「期間限定【さくらソフトクリーム】330円 さくらソフトクリームは、クリーミーなソフトクリームの中にほんのり桜の味がします。淡いピンク色も春めいて可愛らしいです♪」との記載がある(http://www.Ogata.or.jp/blog/?m=20140429)。
ニ 「カフェきたむら」のウェブサイト(甲7の32)において、2015年3月6日付けで「さくらソフトクリーム」、「ひと足はやく さくら色のソフトクリームいかがでしょ」の記載がある(http://kitamura.otemo-yan.net/e903929.html)。
ヌ 「臼杵観光」のウェブサイト(甲7の33)において、「さくらソフト」、「季節のソフトアイス300円(さくら3月?5月)」の記載がある(http://www.usuki-kanko.com/?page_id=22)。
ネ 2017年3月13日掲載のウェブサイト(甲7の36)において、「志高湖売店よりお知らせ『さくらソフト』」の見出しの下、「志高湖のソフトクリームについて、お知らせです。本日より『さくらソフト』が販売です。・・・光量をまったく考えずに撮っちゃいましたが、実物は綺麗なピンク色です。」との記載がある(http://blog.goo.ne.jp/shidakako/e/00f1ddfa486e5a20f9ad55505c039282)。
ノ 2016年2月29日掲載のウェブサイト(甲7の37)において、「春限定のソフトクリーム。祇園辻利のさくらそふと3月1日から販売開始。」の見出しの下、「■祇園本店限定『さくらそふと(焼きショコラ)』さくらの風味豊かなさくらソフトクリームに、濃厚抹茶の焼きショコラと、ふわふわ抹茶クリームをトッピング。さくらと抹茶のコンビネーションを楽しむ春のひと品です。」との記載がある(http://www.excite.co.jp/News/release/20160229/Prtimes_2016-02-29-11317-38.html)。
また、2016年3月7日掲載の「@DIME」のウェブサイト(甲7の38)において、「さくらと抹茶の絶妙コラボ!祗園辻利の春限定ソフトクリーム『さくらそふと』」の見出しの下、「株式会社祗園辻利は、3月1日から祇園本店と京都駅8条口店で期間限定のテイクアウトメニュー『さくらそふと』の発売を開始した。本店は抹茶焼きショコラ、8条口店は練乳抹茶ソース、それぞれ違った味わいが用意されている。まず祗園本店限定の『さくらそふと(焼きショコラ)』は、さくらの風味豊かなさくらソフトクリームに、濃厚抹茶の焼きショコラと、ふわふわ抹茶クリームをトッピング。8条口店限定の『さくらそふと(練乳抹茶ソース)』は、さくらソフトクリームに、練乳抹茶ソースで濃厚な抹茶の風味をプラス。」との記載がある(https://dime、jp/genre/239696/)。
(2)上記アないしノを総合的に考慮するに、本件商標の登録査定前から、全国各地において、多数の被請求人以外の者が「桜風味の味や香り等を有するソフトクリーム」を「さくらソフトクリーム」あるいは、「ソフトクリーム」部分を「ソフト」と略した「さくらソフト」のように称して、ソフトクリームの提供又は販売を行っていることは容易にうかがえるものである。
2 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本件商標及びそれを構成する文字又は語について
本件商標は、「さくらソフトクリーム」の文字を標準文字で表してなり、第43類「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」を指定役務(以下「本件指定役務」という。)とするものである。
そして、その構成中「さくら」の語は、「バラ科サクラ属の落葉高木または低木の一部の総称。」(株式会社岩波書店発行 広辞苑第六版)の意味を有するものとして、一般に広く理解、認識されているものである。
また、「ソフトクリーム」の語は、「空気を入れながら凍らせた半流動状の柔らかいアイス-クリーム。ソフト。」(株式会社岩波書店発行 広辞苑第六版)の意味を有するものとして、一般に広く理解、認識され、本件指定役務の提供の対象物を表す語である。
(2)「さくらソフトクリーム」の語の使用について
上記1のとおり、本件商標の登録査定前より、桜(サクラ)風味の味や香り等を有する商品であることを表す語として、「さくらソフトクリーム」あるいは、「ソフトクリーム」部分を「ソフト」と略した「さくらソフト」等の語が全国各地で広く使用されている事実があることを考慮すると、本件指定役務との関係においては、「さくらソフトクリーム」の語は、「桜(サクラ)風味の味又は香り等を有するソフトクリーム」の意味合いをごく自然に想起させるものであり、本件商標に接する需要者は、上記意味合いをもって、提供されるソフトクリームの特徴、質(内容)を表したと直ちに認識するというべきである。
(3)小括
したがって、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、桜(サクラ)風味の味又は香り等を有するソフトクリームの提供であること、すなわち、役務の特徴、質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであって、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと認めるのが相当である。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 被請求人の主張について
被請求人は、(1)本件商標のうち、平仮名の部分の「さくら」には、バラ科スモモ属サクラ亜属(又はバラ科サクラ属)に分類される落葉広葉樹(桜、サクラ)、公演主催者や販売店に雇われて客の中に紛れ込み特定の場面や公演全体を盛り上げたり商品の売れ行きが良い雰囲気を作りだしたりする者(サクラ)、地名(栃木県さくら市、千葉県佐倉市など)、人の名前、NHKドラマシリーズ「朝の連続テレビ小説」のタイトルなどの種々の意味合いがあり、特許庁の過去の登録例を見ても、指定役務「飲食物の提供」や指定商品「菓子,パン,洋菓子等」(これらはソフトクリームを含んでいる)とする、「桜」、「サクラ」、「さくら」を含む「桜なっとう」、「さくらどん」、「SAKURA QUALITY」、「桜せいろ蒸し」、「麺屋桜」などがある(乙1?乙13)。これらは、その商品又は役務の品質又は質を単に表したものではなく、自他商品等識別力があるものとして登録されたものと思われるので、「さくら」、「サクラ」、「桜」には自他商品等識別力があるものと考えられる旨、(2)店舗で作るソフトクリームについては、流通性は予定しておらず、法上の商品には該当しないから、商品「ソフトクリーム」の品質表示を「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」の役務の質の表示として解すべきではない旨主張する。
しかしながら、2つ以上の語を結合したものが、商標として自他商品・役務の識別標識として機能するか否かは、それぞれの語の意味、各語の続き具合による意味の特定、使用商品(役務)や関連商品(役務)についての各語の使用状況等により、取引者、需要者がどのように認識するかを考慮して判断されるべきであるから、平仮名で表された「さくら」の語が多様な意味を有するとしても、その後に続く「ソフトクリーム」の語との組み合わせや当該語の使用状況からすれば、上記2のとおり、「さくらソフトクリーム」の語全体として、役務の提供に係る「ソフトクリーム」の風味、色ないし香り等の特徴を有するものであることを直ちに理解、認識させるものであるというべきである。
また、被請求人が挙げる過去の登録例は、本件商標とは構成態様を異にするものであり、それぞれの語の意味、各語の続き具合による意味の特定、使用商品(役務)や関連商品(役務)についての各語の使用状況等もそれぞれ異なるものであるから、当該登録例によって本件商標の商標法第3条第1項第3号該当性についての判断が左右されるものではない。
そして、商品「ソフトクリーム」と役務「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」は、「ソフトクリーム」という、「食の目的」と「食の対象」を共通にするものであって、商標が商品「ソフトクリーム」の品質表示と判断される場合には、同様に「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」についても質(内容)を表示するというべきである。
したがって、被請求人のいずれの主張も採用することはできない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものであるから、他の無効理由について言及するまでもなく、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-05-09 
結審通知日 2018-05-11 
審決日 2018-05-28 
出願番号 商願2016-20188(T2016-20188) 
審決分類 T 1 11・ 22- Z (W43)
T 1 11・ 16- Z (W43)
T 1 11・ 13- Z (W43)
最終処分 成立 
前審関与審査官 大森 友子 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 鈴木 雅也
冨澤 美加
登録日 2016-09-30 
登録番号 商標登録第5884705号(T5884705) 
商標の称呼 サクラソフトクリーム、サクラ 
代理人 藤木 博 
代理人 吉川 まゆみ 
代理人 山田 威一郎 
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