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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1342202 
異議申立番号 異議2017-685015 
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-08-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-19 
確定日 2018-05-09 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1301257号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1301257号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1301257号商標(以下「本件商標」という。)は、「CHLORASOLV」の文字を書してなり、2015年11月27日に欧州連合知的財産庁においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2016年(平成28年)4月5日に国際商標登録出願、第5類「Medicated gels,sprays,lotions,plasters and dressings;medicaments for the treatment of wounds;medicaments for the prevention of infections.」(参考訳:薬用のジェル剤,スプレー剤,ローション,膏薬及び包帯類,外傷の治療用薬剤,感染症の予防用薬剤)を指定商品として、平成28年11月4日に登録査定、同29年3月10日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本件登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、次の2件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。以下、それらをあわせて、「引用商標」という場合がある。
また、申立人が、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当するとして、本件登録異議の申立ての理由として引用する商標は、「CHLORAPREP」の文字を書してなるものである。以下、これを「引用著名商標」という場合がある。
1 登録第5461468号
登録第5461468号商標(以下「引用商標1」という。)は、「CHLORAPREP」の文字を標準文字で表してなり、平成23年4月14日に登録出願、第5類「消毒液,液状の抗菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。),薬剤」を指定商品として、同24年1月6日に設定登録されたものである。
2 登録第5422196号
登録第5422196号商標(以下「引用商標2」という。)は、「Chlorashield」の文字を標準文字で表してなり、平成22年6月23日に登録出願、第5類「抗菌カテーテルパッチドレッシング」及び第10類「外科手術切開用ドレープ」を指定商品として、同23年7月1日に設定登録されたものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第19号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。
1 引用商標の周知・著名性
(1)米国での周知・著名性について
ア 申立人である「ケアフュージョン2200、インコーポレイテッド」は、米国に本社を置くグローバルな医療機器会社である。同社は、2015年に米国のベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー(以下「BD社」という。)に買収された(甲4)ため、同社の商品は、BD社によっても取り扱われている(甲5)。
引用商標1は、手術前の皮膚消毒剤として1994年に発売された。その後、CHLORAPREP製品の売上増に伴い、1ミリリットル、3ミリリットルといった各種の用量別商品(甲5、甲6)や綿棒を用いたタイプ(甲7)、局所スポンジタイプ(甲8)、平面スポンジタイプ(甲9)、ホルダータイプ(甲10)など、新たなCHLORAPREP製品が商品ラインに追加されてきた。その販売先は、病院、外来ケアセンター、血液バンク、透析センター、養護施設、在宅医療供給業者、器具キット提供会社を含む多様な医療提供者である。
CHLORAPREP製品の販売は、年を追って飛躍的に伸びている。例えば、年間売上高は、2003年から2012年の間に、当初、数千万ドルであったものが、数億ドルとなった。CHLORAPREP製品の累積売上高は、数十億ドルにのぼる(甲11、24頁)。
また、申立人は、CHLORAPREP製品の販売促進のため、広告、展示会、オンライン通信、講演者、マーケットリサーチ、広告代理店、広報及び商品スタジオに毎年何百万ドルも費やしてきた。CHLORAPREP製品は、「静脈注射関連では35%以上、カテーテル関連では85%?90%」と高いマーケットシェアを誇っている。特に、グルコン酸ヘキシジンアルコールを用いた使い捨て塗布器が適した外科手術においては、CHLORAPREP製品が60%近く使用されていると報告されている(甲11、24頁)。
さらに、以下のとおり、米国で数々の医療記事及び臨床研究において、CHLORAPREPの名前が挙げられている。
イ 「COMPARISON OF CHLORAPREP(マルR)(「P」の文字の右上に小さく「R」を○で囲んだ表示。以下同じ。)AND BETADINE(マルR)AS PREOPERATIVE SKIN PREPARATIO ANTISEPTICS(手術前の皮膚消毒剤としてのCHLORAPREP(マルR)とBETADINE(マルR)の比較)」において、商標「CHLORAPREP」が記事タイトルとなっている(甲12、第40回 Infectious Disease Society of Americaでのポスター、2002年10月25日)。
ウ 「The Effectiveness of Chloraprep(TM)(「p」の文字の右上に小さく「TM」との表示。以下同じ。)in the Reduction of Blood Culture Contamination Rates in the Emergency Department(救急診療における血液培養での汚染率減少へのChloraprep(TM)の効果)」(甲13、Journal of Nursing Care Quality Vol.23(July-September2008))において、商標「CHLORAPREP」が記事タイトルとなっている。
エ 「A Clinical Study Comparing the Skin Antisepsis and Safety of Chloraprep,70% Isopropyl Alcohol,and 2% Aqueous Chlorhexidine(ChloraPrep,70%イソプロピルアルコール及び2%含水クロルヘキシジンの皮膚消毒及び安全性の比較臨床研究)」(甲14、Journal of Infusion Nursing,Vol.25,No.4(July/August2002))において、商標「CHLORAPREP」が記事タイトルとなっている。
オ 「ChloraPrep highly effective for presurgical pathogen removal(術前病原菌除去へのChloraPrepの高い効果)」(甲15、Law & Health Weekly(July9,2005))
カ 「ChloraPrep provides non-linting application(ChloraPrepは、リント布不要で塗布可能)」(甲16、Law & Health Weekly(July19,2005))
キ 「Comparison of Chlorhexidine and Tincture of Iodine for Skin Antisepsis in Preparation for Blood Sample Collection(血液サンプル採集における皮膚消毒でのクロルヘキシジンとヨードチンキの比較)」(甲17、Journal of Clinical Microbiology,Vol.42(May2004))において、クロルヘキシジンの代表例としてChloraPrepが挙げられている。
ク 甲第18号証の「Critical Care Nurse(August2006)」の新製品紹介ページにおいて、術前の皮膚消毒に優れた効果を有する製品としてChloraPrepが紹介されている。
ケ 甲第19号証は、「クロルヘキシジンベースの消毒液はカテーテル由来菌血症減少に有効である」との調査報告書であるところ、「本レトロスペクティブ研究の目的は、長期の血液透析カテーテルの出口部及びハブへのクロルヘキシジンベースの消毒液(ChloraPrep(マルR))の塗布が、ポビドンヨード溶液と比較した場合に、カテーテル由来菌血症(CRB)の予防及びカテーテル看者の延命に効果があるのかを調査することである」とされており、ChloraPrep製品がクロルヘキシジンベースの消毒液の代表例として使用されていることがわかる。
このように、商標「CHLORAPREP」は、「皮膚消毒剤」として米国で周知・著名性を獲得している。
(2)我が国での周知性
我が国においても、商標「CHLORAPREP」は周知となっている。甲第20号証においては、手術時消毒の際に汎用されている薬剤を充てんした形態の製剤として「代表的なものはCareFusion社のChloraPrep」であると記載され、また、福島県立医科大学の医療関連感染対策マニュアル(甲21)においては「様々なクロルヘキシジン製剤」の例示として、2種類のChloraPrep製品が写真入りで掲載されている。
商標法第4条第1項第10号にいう「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」については、我が国において、全国民的に認識されていることを必要とするものではなく、その商品の性質上、需要者が一定分野の関係者に限定されている場合には、その需要者に広く認識されていれば足りるものであるところ、商標「CHLORAPREP」が使用されている「皮膚消毒剤」は、一般に市販されている商品ではなく、特定の医療関係者に販売元から直接又は問屋を通して売買されるものであって、その需要者は、医療関係者や医療用器具を取り扱う取引者に限定される(甲11、23頁)と認められるものである。
以上に述べた事実から、商標「CHLORAPREP」は、申立人が「皮膚消毒剤」に使用する商標として、本件商標の出願前から、すでに我が国の取引者、需要者において広く認識されるに至っており、我が国において周知商標となっていると認められる。
(3)引用商標及び著名商標の要部
引用商標1は、「前処理」を意味する「PREP」の語と、申立人の造語である「CHLORA」を結合させたものである。
したがって、「PREP」の文字部分より、造語である「CHLORA」の文字部分の方が、商標の前半に位置することとも相まって、強い識別力を有するものといえる。
そして、引用商標2は、CHLORAPREPと同じCHLORAシリーズの商標として2013年から商品ラインに追加されたものである(甲11)。この商標の「SHIELD」の文字部分は、「保護」を意味する成語であるので、造語である「CHLORA」の文字部分がより強い識別力を有することは明らかである。
簡易、迅速を尊ぶ取引の実情にあっては、商標の対比において、商標の語頭部分にまず看者の注意がひかれると考えるのが自然であり、さらに、語頭の「CHLORA」の語は、辞書に載っている単語ではないこと(甲22)からも申立人の造語であることが明らかであり(甲11、19頁)、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきである。
その証左として、米国においては、「CHLORA-」の語と結合させた商標が消毒剤、医療用ドレッシングに使用された場合には、同製品が申立人を出所とするものであるとの誤認混同を生ずるとして、申立人の商標「CHLORAPREP」及び「CHLORASHIELD」の周知性を認め、「CHLORA-」の語との結合商標である「CHLORADRAPE」、「CHLORABOND」、「CHLORABSORB」及び「CHLORADERM」の登録を拒絶する決定が出されている(甲11、31頁)。
以上からすれば、引用商標はいずれも「CHLORA」の文字部分が商標の要部であることは明白である。
2 本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性
(1)本件商標と申立人商標との類否
上述のとおり、申立人の商標「CHLORAPREP」は、申立人の「皮膚消毒剤」を表示する周知商標である。
本件商標は、本件商標権者の実際の使用態様「ChloraSolv」(甲23)からも明らかなとおり、「Chlora」と「Solv」の結合語である。
一方、引用商標は、上記1(3)で述べたとおり、「CHLORA」シリーズともいえるものであり、それぞれ「CHLORA」の文字部分を要部とするものである。
本件商標と引用商標は、語頭部分に位置しその商標としての要部である「CHLORA」において称呼、外観が共通しており、引用商標1に代表される「CHLORA」シリーズ商標の周知性をも勘案すると、全体として、申立人の「CHLORA」シリーズ商標であるとの観念を生じ、よって、本件商標と引用商標とは類似する商標であるといえる。
(2)商品の類否
本件商標の指定商品は、明らかに「皮膚消毒剤」と同一又は類似の関係にある。
(3)小括
したがって、本件商標は、申立人が「皮膚消毒剤」について周知性を獲得した商標「CHLORAPREP」に類似し、同一又は類似する商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当するものである。
3 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性
(1)本件商標と引用商標の類否
前述のとおり、本件商標と引用商標の共通の語頭語「CHLORA」は、申立人の創造語であり(甲11、19頁)、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきであるから、本件商標と引用商標は、語頭部分に位置し商標としての要部である「CHLORA」の称呼、外観が共通しており、全体として、申立人の「CHLORA」シリーズ商標であるとの観念を生じ、よって、本件商標と引用商標とは類似する商標であるといえる。
(2)商品の類否
本件商標の指定商品と、引用商標1の指定商品、第5類「消毒液,液状の抗菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。),薬剤」及び引用商標2の指定商品中、第5類「抗菌カテーテルパッチドレッシング」とは、明らかに同一又は類似するものである。
(3)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似し、指定商品においても同一又は類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
4 本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性
(1)商標の類否
上述したとおり、申立人の商標「CHLORAPREP」は、医療雑誌、研究記事に多数掲載され、「皮膚消毒剤」として著名であるとともに(甲12?甲21)、米国においては、2012年に商標登録異議申立を行った案件においてその周知・著名性が認められており(甲11)、遅くとも本件商標が出願された2015年には、既に、申立人の業務に係る商品を表示するものとして米国の需要者の間に広く認識されていたことが認められる。そして、引用著名商標は、申立人の造語である「CHLORA」の部分をその商標としての要部とするものであるから、同語を語頭に有する本件商標は、全体として引用著名商標に類似する商標であるといえる。
(2)不正の意図
引用著名商標は、リント布を使用せずに直接皮膚に塗布する「皮膚消毒剤」(甲16)について著名であるところ、本件商標権者は、本件商標を、傷に直接塗布する消毒薬について使用している(甲23)ものであり、類似商標を同一又は極めて類似する商品に使用するものといえ、引用著名商標の「皮膚消毒剤」への名声にフリーライドしようとする不正の目的が認められる。
(3)小括
したがって、本件商標は、「皮膚消毒剤」について著名である引用著名商標と類似し、不正の目的をもって使用されるものであるから商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
5 まとめ
以上に述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第19号に該当するため、同法第43条の2第1号により取消されるべきものである。
第4 当審の判断
申立人は、本件商標が商標第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第19号に該当すると主張しているので、以下、検討し、判断する。
1 引用著名商標の周知性について
申立人は、引用著名商標(「CHLORAPREP」)が、商品「皮膚消毒剤」について、米国及び我が国における当該商品の需要者の間に広く認識されている商標であると主張しているので、以下、検討する。
なお、申立人が提出した甲各号証によれば、申立人が商品「皮膚消毒剤」について使用している商標は、全て大文字からなる「CHLORAPREP」ではなく、「ChloraPrep」の文字を書してなるもの(以下「使用商標」という場合がある。)と認められるので、これについてもあわせて検討する。
(1)甲第11号証は、申立人によれば、2012年に行った米国における登録異議申立て事件についての決定であるところ、これによれば、引用著名商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「皮膚消毒剤」を表示するものとして、米国の需要者の間に広く認識されている商標であると認められ、また、使用商標についても、同様に解するのが自然である。
(2)しかしながら、以下に述べるとおり、我が国においては、引用著名商標の使用が認められない。
使用商標(「ChloraPrep」)は、(a)BD社の日本法人のウェブサイト(甲4)に、「臨床における実績のあるCareFusionの製品群には次のようなものがあります。・・・皮膚消毒剤のChloraPrep(マルR)・・・があります。」との記載があること、(b)「オラネジン消毒液1.5%・・・に関する資料」(甲20)に、「米国では、アプリケータ内に消毒剤を充てんした形態の製剤が販売されており、・・・手術野消毒の際に汎用されている。代表的なものはCareFusion社のChloraPrep・・・」との記載があること、(c)「福島県立医科大学の医療関連感染対策マニュアル」(甲21)に、「様々なクロルヘキシジン製剤」の見出しの下、2種類のChloraPrep製品が写真入りで掲載されていることから、商品「皮膚消毒剤」の需要者の間にある程度認識されているものであるとはいえるものの、我が国における当該商品の販売期間、シェアなど、具体的な事実を示す証拠は見いだせない。
そうすると、引用著名商標及び使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「皮膚消毒剤」を表示するものとして、我が国の需要者の間で広く知られている商標であるとは認められない。
2 本件商標と引用商標、引用著名商標及び使用商標との類否について
(1)本件商標について
上記第1のとおり、本件商標は、「CHLORASOLV」の文字を書してなるところ、当該文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく一体に表されており、一般の辞書等に掲載されていないものである。さらに、本件商標の一部のみが分離観察されるとみるべき特段の事情は見いだせないから、本件商標は、その構成全体をもってのみ看取されるというべきである。
そして、本件商標のような成語とはいえない欧文字からなる商標を称呼する場合、我が国において最も一般に親しまれているローマ字又は英語における発音に倣って称呼されるとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、「クロラソルブ」の称呼のみが生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。
(2)引用商標、引用著名商標及び使用商標について
ア 上記第2、1のとおり、引用商標1及び引用著名商標は、「CHLORAPREP」の文字を書してなり、また、使用商標は、上記1のとおり、「ChloraPrep」の文字を書してなるところ、当該文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく一体に表されており、一般の辞書等に掲載されていないものである。また、引用商標1、引用著名商標及び使用商標の構成中の「PREP(Prep)」の文字が「前処理」の意味を有する英語であるとしても、当該英語は、商品「皮膚消毒剤」などの薬剤について、品質等を表示する語というべき事実は見いだせず、さらに、それらの商標の一部のみが分離観察されるとみるべき特段の事情は見いだせないから、それらの商標は、その構成全体をもってのみ看取されるというべきである。
そして、それらの商標のような成語とはいえない欧文字からなる商標を称呼する場合、我が国において最も一般に親しまれているローマ字又は英語における発音に倣って称呼されるとみるのが自然である。
そうすると、それらの商標は、「クロラプレップ」の称呼のみが生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。
イ 上記第2、2のとおり、引用商標2は、「Chlorashield」の文字を書してなるところ、当該文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく一体に表されており、一般の辞書等に掲載されていないものである。また、引用商標2の構成中の「shield」の文字が「保護」の意味を有する英語であるとしても、当該英語は、商品「皮膚消毒剤」などの薬剤について、品質等を表示する語というべき事実は見いだせず、さらに、引用商標2の一部のみが分離観察されるとみるべき特段の事情は見いだせないから、引用商標2は、その構成全体をもってのみ看取されるというべきである。
そして、引用商標2のような成語とはいえない欧文字からなる商標を称呼する場合、我が国において最も一般に親しまれているローマ字又は英語における発音に倣って称呼されるとみるのが自然である。
そうすると、引用商標2は、「クロラシールド」の称呼のみが生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標、引用著名商標及び使用商標との類否について
ア 外観について
本件商標は、上記第1の構成からなるものであり、引用商標、引用著名商標及び使用商標は、上記第2及び上記1の構成からなるものであるから、本件商標と引用商標、引用著名商標及び使用商標とは、構成文字が明らかに異なるから、外観において相紛れるおそれのないものである。
イ 称呼について
(ア)上記(1)のとおり、本件商標からは、「クロラソルブ」の称呼が生じるのに対し、上記(2)アのとおり、引用商標1、引用著名商標及び使用商標からは、「クロラプレップ」の称呼が生じるものである。
そうすると、本件商標から生じる称呼と、引用商標1、引用著名商標及び使用商標から生じる称呼とは、音構成及び構成音数において差異を有し、語調、語感が異なることから、称呼において相紛れるおそれのないものである。
(イ)上記(1)のとおり、本件商標からは、「クロラソルブ」の称呼が生じるのに対し、上記(2)イのとおり、引用商標2からは、「クロラシールド」の称呼が生じるものである。
そうすると、本件商標から生じる称呼と、引用商標2から生じる称呼とは、音構成及び構成音数において差異を有し、語調、語感が異なることから、称呼において相紛れるおそれのないものである。
ウ 観念について
上記(1)のとおり、本件商標からは特定の観念は生じないものであり、また、上記(2)のとおり、引用商標、引用著名商標及び使用商標からも特定の観念は生じないから、本件商標と引用商標、引用著名商標及び使用商標とは観念において比較できないものである。
類否判断
以上のとおり、本件商標と引用商標、引用著名商標及び使用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は、非類似の商標というのが相当である。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否並びに本件商標の指定商品と引用著名商標及び使用商標の使用商品との類否について
ア 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似するものである。
イ 本件商標の指定商品と引用著名商標及び使用商標の使用商品との類否
本件商標の指定商品と引用著名商標及び使用商標の使用商品とは、同一又は類似するものである。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
上記2(4)イのとおり、本件商標の指定商品と引用著名商標及び使用商標の使用商品とは、同一又は類似するものであるとしても、上記1のとおり、引用著名商標及び使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「皮膚消毒剤」を表示するものとして、我が国の需要者の間で広く知られている商標であるとは認められず、上記2のとおり、本件商標と引用著名商標及び使用商標とは、非類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第11号該当性について
上記2(4)アのとおり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似するものであるとしても、上記2のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記2(4)イのとおり、本件商標の指定商品と引用著名商標及び使用商標の使用商品とは、同一又は類似するものであり、上記1のとおり、引用著名商標及び使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「皮膚消毒剤」を表示するものとして、米国の需要者の間で広く知られている商標であるとしても、上記2のとおり、本件商標と引用著名商標及び使用商標とは、非類似のものであり、さらに、不正の目的をもって使用をするものとの格別の事情も見いだすことはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第19号に該当しないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2018-02-02 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W05)
T 1 651・ 261- Y (W05)
T 1 651・ 263- Y (W05)
T 1 651・ 25- Y (W05)
T 1 651・ 262- Y (W05)
最終処分 維持 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 豊泉 弘貴
大森 健司
登録日 2016-04-05 
権利者 RLS Global AB
商標の称呼 クロラソルブ 
代理人 特許業務法人谷・阿部特許事務所 
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