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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1342191 
異議申立番号 異議2017-900317 
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-08-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-10-20 
確定日 2018-07-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5974924号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5974924号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5974924号商標(以下「本件商標」という。)は,「健康組曲」の文字を標準文字で表してなり,平成29年3月22日に登録出願,第25類「アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い」を指定商品として,同年8月3日に登録査定,同月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由として引用する登録第4711122商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりの構成よりなり,平成15年1月9日に登録出願,第14類「貴金属,キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製針箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製宝石箱,貴金属製の花瓶及び水盤,記念カップ,記念たて,身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製コンパクト,貴金属製靴飾り,時計,貴金属製喫煙用具」,第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同年9月19日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

3 登録異議申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから,その登録は,同法第43条の2第1号により,取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の著名性及び独創性
申立人は,売上高で我が国第2位のアパレル関連企業であり,2016年度の総売上高は,2449億円である(甲3)。申立人の婦人服の基幹ブランドの1つである「組曲」は,2014年度は115億円,2015年度は115億円,2016年度は106億円の売上高がある(甲4の1・2)。
「組曲」は,1992年に販売を開始し,伝統的な素材やアイテムに常に新しいエッセンスを加え,上質さ,可愛らしさ,時代性を併せ持ったデザインが人気である(甲5)。
引用商標を使用した商品は,女性用の服,帽子,靴,バッグ,アクセサリー等であり(甲6),2017年3月1日現在の取扱店舗は,全国に100以上ある(甲7)。
また,「組曲」は,毎年,百貨店バイヤーズ賞を受賞し,取引者の間で,高い評価を受けている(甲8の1?3)。
申立人は,継続的に「組曲」の雑誌広告を掲載している(甲9の1?8)ほか,2012年には,テレビCMを再開し,1年間で約8億円の広告費を投じ,3年間で過半数の約100店を改装した(甲10)。
さらに,申立人は,長年,「組曲」を使用した結果,蓄積した信用に基づき,派生ブランドとして,「組曲ノワール」,「組曲プリエ」,「組曲ピュルテ」,「Color KUMIKYOKU」,「Rythme KUMIKYOKU」,「組曲KIDS」等を展開し(甲11の1?6),関連する商標を登録している(甲12の1?8)。
以上のとおり,引用商標は,申立人によって,主に婦人服について長年盛大に使用された結果,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に,取引者,需要者の間に広く認識されていた。
また,引用商標は,音を感じさせるような着心地を目指したことに由来し,被服について使用する場合,新鮮で独創的な語であるということができる。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度
引用商標は,図案化した「K」の欧文字(縦線の上部右側に,小さな三角形が旗状に2個表されている。)と,手書き風の「組曲」の文字とからなる結合商標であるところ,「K」の欧文字から「組曲」の文字部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないから,「組曲」の文字部分だけを本件商標と比較して商標の類似性を判断することも許されるというのが相当である。そして,当該文字部分からは,「クミキョク」の称呼及び「数種の楽曲を組み合わせて一曲にまとめた多楽章形式の器楽曲」の観念を生じる。
他方,本件商標は,「健康組曲」の文字を標準文字で表してなるものであり,「健康」と「組曲」の語を結合した商標である。各語は,相互に格別の関連性を有する語ではなく,結合することによって一体のまとまった観念が生じるものでもない。
ところで,本件商標の指定商品を包摂する「被服」については,着ることで皮膚に潤いを与えたり,肌荒れを防いだりする商品,姿勢の補正や血行促進の効果のある商品等,健康に良い商品が多数販売されている(甲13)。そうすると,「健康」の語は,本件商標の指定商品に使用した場合,商品の出所識別標識としての機能が極めて弱い語である(甲14,15)。
したがって,本件商標に接する取引者,需要者は,これを常に一体のものとしてのみ把握,認識するとはいえず,その構成中の「組曲」の文字部分に強く印象付けられる場合が多いとみるのが相当であるから,これより「クミキョク」の称呼及び「数種の楽曲を組み合わせて一曲にまとめた多楽章形式の器楽曲」の観念を生ずるということができる。
そこで,本件商標と引用商標とを比較すると,「クミキョク」の称呼及び「数種の楽曲を組み合わせて一曲にまとめた多楽章形式の器楽曲」の観念を同じくするから,相当程度,類似性が高いものである。
ウ 本件商標の指定商品と引用商標が使用されている商品との関連性並びに商品の取引者及び需要者の共通性
本件商標の指定商品のうち,靴下,手袋,マフラーについて,引用商標が使用されており(甲6,16),その他の商品についても,引用商標が使用されている婦人服と,関連性の程度が極めて高いものであり,その取引者及び需要者も共通するものである。
混同を生ずるおそれ
以上を総合勘案すると,本件商標をその指定商品について使用する場合には,これに接する取引者,需要者は,主に婦人服について周知著名となっている引用商標ないしは申立人を連想,想起することは必定であって,該商品が申立人又は申立人と経済的,組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤信され,商品の出所につき誤認を生じさせるとともに,申立人の表示の持つ顧客吸引力へのただ乗りやその稀釈化を招くという結果を生じかねない。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)結論
以上のように,本件商標は,商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから,商標法第43条の3第2項の規定によりこの登録を取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 申立人の使用に係る商標の周知著名性について
証拠及び申立人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(ア)申立人は,我が国において総売上高で第2位のアパレル関連企業であり,2014年度ないし2016年度の総売上高は,2449億円ないし2815億円である(甲3)。
2014年2月及び2016年2月の決算説明会の資料には,申立人の基幹ブランドである4つのブランドの内の1つとして「組曲(レディス)」が記載されており,2014年度から2016年度の売上高は約115億円ないし約107億円である(甲4の1・2)。
(イ)「FASHION PRESS」のウェブサイトには,「KUMIKYOKU/組曲/ブランドのはじまり」の見出しの下,「オンワード樫山が1992年にスタートした日本のレディースファッションブランド。」の記載,及び「組曲について」の項には「コンセプトは『進化する定番』。フレンチカジュアルのテーストをベースに,自由にコーディネートする楽しさ,音を感じさせるような着心地を目指し,『組曲』という名前がつけられた。」との記載がある(甲5)。
(ウ)申立人に係る2013年(平成25年)秋冬カタログには,その表紙に引用商標が掲載され,婦人服,バッグ,靴,帽子及びアクセサリー等が紹介されている(甲6)。
(エ)引用商標を使用した商品は,平成29年3月1日の時点において,全国に約150店舗で取り扱われている(甲7)。
(オ)「組曲」のブランドは,「百貨店バイヤーズ賞レディス部門賞」において,2012年度「ベストセラー賞ヤング」,2013年度「ヤング・キャリア部門」及び2015年度春夏「ヤング・キャリア部門」において第1位を獲得した(甲8の1?3)。
(カ)申立人は,引用商標を表示した全面広告を雑誌「With」(講談社発行)に2008年に3回及び2009年に5回を掲載し,また,雑誌「steady」(宝島社発行)に2009年に1回を掲載した(甲9の1?8)。
(キ)申立人が取り扱うブランドには,「組曲プリエ」,「組曲ピュルテ」,「Color KUMIKYOKU」,「Rythme KUMIKYOKU」,「組曲KIDS」,(甲11の2?6)もある。
(ク)上記(ア)ないし(キ)によれば,「組曲」のブランドは,我が国における大手のアパレル関連企業である申立人が,1992年(平成4年)年に立ち上げた,婦人服と関連する基幹ブランドの一つであり,その商品は全国の多数の店舗で販売され,2014年以降の売上高は100億円を超えており,2012年(平成24年)からは3年連続して百貨店の被服に関係する賞の第1位を受賞している。
そして,引用商標(別掲のとおりの図形部分と文字部分よりなる商標)は,同ブランドの商品カタログ及び雑誌広告において,同ブランドを象徴するように顕著に示されている。
そうすると,引用商標は,申立人の「組曲」ブランドと関連して継続して使用されることで,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の製造,販売する婦人服に係るファッションブランドとして,我が国の婦人服に係る需要者の間ではある程度知られるようになっていたと認められる。
しかしながら,「組曲」の文字は,申立人の「組曲」ブランドを指称する語として,申立人による決算説明会資料や新聞記事等に表示されていることが確認できるものの,申立人の製造販売に係る婦人服との関係における具体的使用態様が把握できないから,「組曲」の文字のみにおける,需要者の間における認識や周知,著名性の程度は明らかではない。また,申立人が「組曲○○」又は「○○ KUMIKYOKU」と称するブランドも展開しているとしても,「組曲」(KUMIKYOKU)の文字を商標中に含むこと,特に「○○組曲」の構成よりなる文字が,直ちに申立人の業務との関連を連想,想起させるような周知性を獲得するに至っているものとはいえない。
したがって,引用商標に含まれる「組曲」及び「○○組曲」の構成よりなる文字は,申立人提出の証拠によっては,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標,又は申立人の業務との関連を連想,想起させるような商標として,我が国の需要者の間に広く知られていると認めるに足りない。
イ 本件商標と引用商標の比較
(ア)本件商標
本件商標は,「健康組曲」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,同書,同大,等間隔で,外観上,まとまりよく一体に表されているものである。
そして,本件商標の構成中,「健康」の語は「身体に悪いところがなく心身がすこやかなこと。」等の意味を有し,「組曲」の語は「器楽曲の一形式。数種の楽曲を組み合わせて一曲にまとめた多楽章形式のもの。」等の意味を有するが,当審において職権をもって調査するも,本件商標の指定商品を取り扱う業界において,「健康」及び「組曲」の語が,商品の品質等を直接的又は具体的に表示するものとして,取引上普通に使用されていると認めるに足りる事実は発見できず,本件指定商品の取引者・需要者が当該文字を商品の品質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できない。
そうすると,本件商標は,その構成全体をもって特定の意味を有しない一種の造語を表したものとみるのが相当で,その構成中のいずれかの文字部分が,出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合にも,それ以外の部分から出所識別標識として称呼,観念が生じないと認められる場合にも該当しないから,本件商標は,構成全体を一体のものとして認識,把握されるとみるのが相当である。
そうすると,本件商標は,引用商標との類否の判断にあたっては,いずれかの文字部分を要部として抽出するのではなく,その構成全体をもって比較すべきである。
したがって,本件商標は,その構成文字に相応して,「ケンコウクミキョク」の称呼を生じ,特定の観念を生じない。
(イ)引用商標
引用商標は,別掲のとおり,欧文字の「K」を図案化(縦線の上部右側に,小さな三角形が2つ表されている。)した図形部分と,手書き風の「組曲」の文字部分からなるところ,図形部分は特段の称呼及び観念が生じるものとは認められないから,文字部分に相応して,「クミキョク」の称呼及び「器楽曲の一形式。数種の楽曲を組み合わせて一曲にまとめた多楽章形式のもの。」の観念を生じる。
(ウ)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは,それぞれ上記(ア)及び(イ)のとおりの構成よりなり,両商標は,いずれも構成中に「組曲」の文字を有する点において共通するが,「健康」の文字の有無及び図形部分の有無といった顕著な差異を有することからすれば,外観上,容易に区別し得るものといえる。また,両商標は,本件商標と引用商標の文字部分を比較しても,「健康」の文字の有無という明らかな差異を有することから,外観上,容易に区別し得るものといえる。
次に,本件商標から生じる「ケンコウクミキョク」の称呼と引用商標から生じる「クミキョク」の称呼とを対比すると,両者は,「クミキョク」の音を共通にするが,語頭において「ケンコウ」の音の有無という明らかな差異を有するから,両称呼は明確に聴別し得るものである。
観念においては,本件商標は,特定の観念を有しないものであるから,本件商標と引用商標とを比較することはできない。
そうすると,本件商標と引用商標とは,観念においては比較することができないとしても,外観及び称呼の点において明らかに相違するもので,相紛れるおそれのない別異の商標である。
ウ 出所の混同のおそれについて
引用商標は,上記アのとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国における取引者,需要者の間にある程度認識されていたものと認められる。
しかしながら,本件商標は,引用商標とは,上記イのとおり,相紛れるおそれのない別異の商標であり,また,両商標は,「組曲」の文字を有する点で共通するとしても,上記アのとおり,「組曲」の文字が,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国の需要者の間に広く知られているものとはいえず,「組曲」の文字をその構成中に含むことが,申立人の業務との関連を連想,想起させるような事情もない。
以上よりすると,本件商標は,その指定商品と申立人の業務に係る商品とが関連性を有するとしても,本件商標を,その指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者が,引用商標を連想,想起するようなことはないというべきであり,該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)申立人の主張
申立人は,本件商標の指定商品「被服」等については,着ることで皮膚に潤いを与えたり,肌荒れを防いだりする商品,姿勢の補正や血行促進の効果のある商品等の健康に良い商品が多数販売されており(甲13),過去の審決例及び判定例を踏まえると,「健康」の語は,本件商標の指定商品に使用した場合,商品の出所識別標識としての機能が極めて弱い語である旨主張する。
しかしながら,申立人が提示するような機能又は効果を有する商品が存在するとしても,「健康」の語が,本件商標の指定商品との関係において,商品の品質等を表示する語として取引上使用されていることは,その事例から直接示されているものでもなく,また,構成文字の自他商品識別標識としての機能の程度は,過去の審決例や判定例に関わらず,個別具体的に判断されるべきものであるから,申立人の主張は,採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標)


異議決定日 2018-06-25 
出願番号 商願2017-38868(T2017-38868) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W25)
最終処分 維持 
前審関与審査官 豊島 幹太山本 敦子 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 早川 文宏
阿曾 裕樹
登録日 2017-08-25 
登録番号 商標登録第5974924号(T5974924) 
権利者 大法紡績有限会社
商標の称呼 ケンコークミキョク、ケンコー、クミキョク 
代理人 鈴木 昇 
代理人 岡田 稔 
代理人 曾我 道治 
代理人 坂上 正明 
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