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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0937
管理番号 1342187 
異議申立番号 異議2018-900005 
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-08-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-01-05 
確定日 2018-06-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第5987343号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5987343号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5987343号商標(以下「本件商標」という。)は、「smapple」の欧文字を書してなり、平成29年3月13日に登録出願、第9類「携帯電話機」及び第37類「携帯電話機械器具の修理又は保守」を指定商品及び指定役務として、同年9月6日に登録査定、同年10月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号に基づき、取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人について
米国カリフォルニア州に本社を置く、申立人であるアップル インコーポレイテッド(Apple Inc.)は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、デジタルオーディオプレーヤー、タブレット型コンピュータ、腕時計型携帯情報端末等の製造販売、コンピュータアプリケーションソフトウェアの販売を行っている他、音楽・映像配信サービスを提供する米国法人である。申立人は、「世界の最も価値あるブランドランキング」で首位を獲得するなど、高い知名度を誇り、当該ランキングにおいては、2011年から7年連続で首位の座を維持している(甲1)。スマートフォンの分野では申立人の製品は日本で高いシェアを有しており、2017年では申立人の製品が上位5位までを独占しており(甲2)、2018年2月の時点でも第1位となっている(甲3)。そのシェア率は30%を越えており、スマートフォンの普及率が72%(甲4)とすると、2,750万人の日本人が申立人のスマートフォンを使用していることになる。
また、申立人の商標「APPLE」は、周知・著名商標として、登録されている(登録第1758671号、登録第3286569号:甲5)。
以上のとおり、申立人の商標「APPLE」は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ及びソフトウェアの分野において周知著名な商標であることは明らかである。
そして、申立人がスマートフォンやコンピュータ機器の修理役務を行っていることも広く知られた事実である。この事実は申立人のウェブサイトから把握することができる(甲6?甲9)。そこには「APPLE」の文字及び林檎図形が使用されており、申立人の正規サービスプロバイダー店は全国に106店存在している(甲10)。申立人のスマートフォンの利用率が非常に高いことは前述のとおりで、スマートフォンを利用している人全てが、申立人が修理役務を提供していることを面前ないしウェブサイトで知らされていることになる。
このように、申立人が「APPLE」の名称の下にスマートフォンを製造販売していることが周知であるように、その製品の修理を申立人の商標「APPLE」の下で行っていることは、また周知の事実である。換言すると、申立人の商標「APPLE」は、本件商標の指定商品及び役務の分野では広く知られたものである。
(2)混同の判断について
本件商標「smapple」は、大文字と小文字の相違はあるが、その構成中に申立人の周知著名商標「APPLE」の文字を有している。本件商標「smapple」の語は既成語ではなく、SMとAPPLEの語が結合した語であると外観上から認識することができる。なぜなら、APPLEは本件商標の指定商品「携帯電話機」の分野では極めて著名であり、また、指定役務「携帯電話機械器具の修理又は保守」においても関連する役務であるためである。加えてSMはサービスマークを意味する記号と認識できるので、本件の指定商品及び指定役務の分野においても、需要者は著名商標「APPLE」を含んでいると認識できることは明らかである。事実、本件商標が使用されているウェブサイトでの使用例からすれば、申立人を想起させようとしていることは明白である。
また、以下の出所混同の考慮事項に検討を加えても、本件商標が使用されると、出所の混同が生じるおそれや、申立人から公認を受けているとの誤認あるいは、申立人の周知・著名な商標「APPLE」の希釈化汚染化が生じるおそれがある。
ア 出願商標とその他人の標章との類似性の程度
本件商標「smapple」は、大文字と小文字の相違はあるが、周知著名商標である「APPLE」の語が含まれている。前半にある「SM」は単なる記号であって、サービスマークの略語「SM」として認識されるものである。また、全体の称呼「スマップル」と引用商標の称呼「アップル」は音調及び音感が近似している。外観も「APPLE」の文字が容易に読み取れるため類似性はある。
したがって、本件商標と申立人の著名商標は類似性が認められるものである。
イ その他人の標章の周知度
申立人の商標「APPLE」がコンピュータ及び修理の分野で周知・著名であることは前述のとおりある。
ウ その他人の標章が造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するものであるか
本件商標は造語ではなく、標準文字なため、構成上の顕著な特徴は有していない。
エ その他人の標章がハウスマークであるか
申立人の商標「APPLE」が著名なハウスマークであることは社名から当然に導き出せる。
オ 企業における多角経営の可能性
申立人がコンピュータの分野以外にも様々な事業分野で商品展開している。
例えば、申立人は、コンピュータ関連製品の他、マグカップやTシャツ、文房具等を販売している(甲12)。したがって、多角経営の可能性は十分に認められる。
カ 商品間、役務間又は商品と役務間の関連性
申立人の主力製品の一つである携帯電話機を含む本件商標の指定商品及び指定役務は、その需要者の範囲や販売部門等も一致するため、商品等の関連性は十分に認められる。
キ 商品等の需要者の共通性その他取引の実情
申立人の商品と本件商標の指定商品及び指定役務は関連性が認められるため、需要者の共通性は当然に認められ、需要者は申立人の関連商品又は役務と誤認を生じてしまうおそれがあることが明白である。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審の判断
(1)申立人の商標の周知著名性について
申立人の提出した証拠及び主張によれば、申立人の社名に由来する商標「APPLE」(以下「引用商標」という。)は、我が国において商標登録されており(甲5)、また、申立人は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、デジタルオーディオプレーヤー、タブレット型コンピュータ、腕時計型携帯情報端末等の製造、販売などを主な業務とする企業であって、引用商標は、パーソナルコンピュータをはじめ、その関連商品の分野において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されているといい得るものである。
しかしながら、申立人の提出した証拠によっては、引用商標が、携帯電話機及び携帯電話機械器具の修理又は保守について、広く使用されている事実が確認できない。
そうすると、引用商標は、申立人の業務に係る商標として、本件商標の指定商品及び指定役務の分野の需要者にまで、広く知られているとは認め難いものである。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
ア 本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「smapple」の欧文字からなるところ、その構成文字に相応して、「スマップル」の称呼を生じ、該文字は辞書等に採録のないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識させるものであるから、特定の観念を生じないものである。
なお、申立人は、本件商標の前半の「SM(sm)」の文字は、単なる記号であって、サービスマークの略語と認識される旨主張しているが、その主張を裏付ける証拠は何ら提出されていないことから、申立人の該主張は採用できない。
イ 引用商標について
引用商標は、前記2のとおり、「APPLE」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して、「アップル」の称呼を生じ、また、引用商標に接する需要者は、パーソナルコンピュータ関連分野において周知、著名な申立人のブランドとしての「APPLE」の観念を想起するものとみるのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の類否について検討するに、本件商標と引用商標とは、外観においては、前記ア及びイの構成からなるところ、両者は、大文字と小文字の差異や「sm」の文字の有無の差異があることから、外観上、明確に区別できるものである。
次に、称呼においては、両者は、語頭において「スマッ」の音と「ア」の音という明らかな差異を有するものであり、両者は、称呼上、明確に聴別し得るものである。
そして、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は、「APPLE」(申立人のブランド)の観念を生じるものであるから、両者は、観念上、類似するところがないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても十分に区別することができる非類似の商標というべきである。
(3)出所の混同のおそれ
上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、本件商標の指定商品及び指定役務の分野の需要者にまで広く認識されていたものとは認められず、また、本件商標と引用商標とは上記(2)ウのとおり、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない別異の商標といえるものであって、類似性の程度は高いとはいえないものである。
さらに、引用商標を構成する「APPLE」の文字は、我が国では「りんご」を意味する英語として一般に親しまれた語であることから、該文字は、独創性が高いとはいえないものである。
そうすると、本件商標は引用商標を連想又は想起させるものとは認められないものであるから、本件商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、その商品及び役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係るものであるかのように、商品及び役務の出所の誤認混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)申立人の主張
申立人は、「本件商標が使用されているウェブサイトでの使用例からすれば、申立人を想起させようとしていることは明白である。」旨主張しウェブサイトの画像及びURLを提示している。
しかしながら、当該ウェブサイトの画像に表示されている商標は、本件商標とは異なる態様のものであるばかりでなく、当該ウェブサイトを掲載している者と本件商標の商標権者との関係も明らかでない。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2018-06-20 
出願番号 商願2017-41986(T2017-41986) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W0937)
最終処分 維持  
前審関与審査官 古橋 貴之馬場 秀敏 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 小俣 克巳
木住野 勝也
登録日 2017-10-13 
登録番号 商標登録第5987343号(T5987343) 
権利者 株式会社大和
商標の称呼 スマップル 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

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