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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W33
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W33
管理番号 1342165 
審判番号 不服2017-8520 
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-13 
確定日 2018-07-24 
事件の表示 商願2015-84953拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、「余市」の文字を横書きしてなり、第33類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成27年9月3日に登録出願されたものである。
その後、本願の指定商品については、原審における同28年6月29日付け手続補正書により、第33類「北海道で製造されるウイスキー」と補正され、さらに、当審における同30年4月24日受付の手続補正書により、第33類「北海道余市郡余市町の蒸溜所で製造されたシングルモルトウイスキー」と補正された。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、『余市』の文字を毛筆風の書体で書してなるところ、その書体は、文字を強調するために通常行われている表現方法のひとつにすぎないものであり、その文字は、『北海道西部の郡・町名』程の意味合いを表したものと認められ、本願商標をその指定商品について使用するときは、『北海道余市周辺地域で製造、販売されたものであること』、すなわち、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示したものと理解されるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たさない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本願商標『余市』の文字のみが使用された結果、自他商品の識別標識としての機能を有するに至っているものとは認められないから、同条第2項に該当すると認めることはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における手続の経緯
当審において、請求人に対し、平成30年4月19日付けで本願の指定商品について審尋をしたところ、請求人は、本願の指定商品を上記1のとおりの商品に補正した。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、毛筆風の書体をもって漢字を横書きしてなるところ、これよりは、直ちに「余市」の文字を表してなるものと把握できるものであるから、本願商標は、普通に用いられる方法で表示するものといえる。
そして、「余市」の文字は、北海道西部の後志支庁北部の町であって、果樹栽培やウィスキー製造で知られるもの(広辞苑第六版)であるから、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の産地を表示したものと認識するにとどまるとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の産地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は使用された結果、自他商品識別力を獲得するに至っている旨主張し、証拠として、原審及び当審を通じて、資料1ないし資料380を提出した(資料258は欠番。枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)。
そこで、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるに至ったものであるか否かについて、以下検討する。
ア 請求人の使用に係る商標及び商品並びにそれらの使用開始時期及び使用期間
請求人は、自己の北海道工場(余市蒸留所)で製造した原酒を用いたシングルモルトウイスキーについて、1989年(平成元年)に、「余市」と称する商品を発売した。当該商品のラベルには、別掲2に示すとおり、本願商標とはやや異なる毛筆体からなるものの、本願商標と同一性を有すると認められる「余市」の文字からなる標章(以下「使用標章1」という。)が付されていた(資料1、325)。
請求人は、原酒の熟成年数等に応じて、使用標章1を付した様々な「余市」と称する商品を継続的に販売しており(資料23、24、325)、その後、1999年(平成11年)から2016年(平成25年)までの間は、「余市」と称する商品のラベルに本願商標と同一といえる標章(以下「使用標章2」という。)を継続的に用いている(資料14?18、20、21、25、27の2?17、304、325、363)。
イ 広告・宣伝等
請求人は、使用標章2をラベルに付した「余市」と称する商品について、少なくとも2005年(平成17年)1月から2009年(平成21年)10月までの間、日本経済新聞や週刊文春等の新聞及び雑誌に広告を掲載した(資料98、99、104、107?109、111、112、114、116、118、120?122、124?126、129?131)。
ウ 使用地域
請求人の製造に係る使用標章1又は使用標章2を付した「余市」と称する商品は、全国の酒販店、デパートや請求人が属するアサヒグループのオンラインショップ等を通じて、全国で販売されている(資料1、14、16、17、19?21、28)。
エ 小括
上記アないしウを総合して勘案すれば、本願商標は、請求人により、本願の指定商品について長年にわたり継続して使用されており、その需要者間において、請求人の業務に係る商品を表示する商標として、認識されるに至ったものとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものである。
(3)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)


別掲2

審決日 2018-07-10 
出願番号 商願2015-84953(T2015-84953) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (W33)
T 1 8・ 17- WY (W33)
最終処分 成立  
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 有水 玲子
田中 敬規
商標の称呼 ヨイチ 
代理人 橋本 千賀子 
代理人 大貫 絵里加 
代理人 塚田 美佳子 

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