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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W44
管理番号 1342098 
審判番号 取消2017-300644 
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-08-29 
確定日 2018-06-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第5665021号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5665021号商標の指定役務中,第44類「健康の指導,健康相談,健康に関する情報の提供,健康管理に関する相談・指導及び情報の提供,医療に関する相談・助言・指導及び情報の提供,医療診断(検査及び分析),医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,介護,医療用機械器具の貸与」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5665021号商標(以下「本件商標」という。)は,「アイヘルス」の片仮名と「ihealth」の欧文字を2段に表してなり,平成25年10月9日に登録出願,第44類「美容に関する情報の提供,美容,理容,入浴施設の提供,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,健康の指導,健康相談,健康に関する情報の提供,健康管理に関する相談・指導及び情報の提供,医療に関する相談・助言・指導及び情報の提供,医療診断(検査及び分析),医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,介護,医療用機械器具の貸与」を指定役務として,同26年4月18日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成29年9月11日にされたものである。

2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は,その指定役務中,第44類「健康の指導,健康相談,健康に関する情報の提供,健康管理に関する相談・指導及び情報の提供,医療に関する相談・助言・指導及び情報の提供,医療診断(検査及び分析),医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,介護,医療用機械器具の貸与」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しない。
したがって,その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第5号証は,本件商標が,本件審判の請求に係る役務について,本件審判の請求の登録前3年間(以下「要証期間」という。)に日本国内において使用されていたことを証明できない。
ア 乙第2号証について
(ア)乙第2号証の表紙には「ihealth((R)「R」の丸囲い。以下同じ。)」の表示がなされているが,タイトルは「子育てアプリのご提案」であり,被請求人が誰かに対し,何らかの目的を持って「提案」したプレゼンテーション資料であろうことは推測できるものの,これが実際に事業として実施されていたことを証明できるものではない。
当該アプリケーションプログラムが実際に事業として実施されているとすれば,「子育てアプリのご提案」と言う標題ではなく,通常は「子育てアプリの紹介」あるいは「子育てアプリについて」等となるべきであり,「ご提案」とする標題名称からしても,乙第2号証は明らかに事業化前の,誰かに対する「提案」に係るプレゼンテーション資料と考えるのが自然であり,事業の紹介,販売促進資料とは考えられない。
この点から判断しても,乙第2号証は,そこに記載の内容が実際の事業として実施され,かつ商標として「ihealth」が使用されていたことを証明できる客観的証拠と認定することはできない。
(イ)また,表紙に記載された「2017年1月」とする日付も,これを客観的に証明できる認証等は存在せず,かつ,実際に事業化していた時期を証明できるものではない。
(ウ)さらに,乙第2号証に記載されている内容はアプリの機能であり,百歩譲って,そこに記載されている内容が実際に事業化されていたとしてとしても,当該事業の本質はアプリの提供であって,第42類「電子計算機用プログラムの提供」に該当し,第44類に係る役務ではない。
イ 「医療情報の提供」について
乙第2号証には,「アプリの特徴」として「子供の医療情報」,「地域の情報」,「その他(お役立ち情報)」の3本柱があり,それらは,子育て全般に係る有益な情報を提供するものであって,「医療情報の提供」のためのものではない。
さらに,被請求人が「子供の医療情報」と説明している情報は,単に「予防接種スケジュール」と「病院名」だけであり,社会通念上の「医療情報」といえるものではない。
いわゆる「医療情報」とは,この分野の専門家である統合医療福祉中村直行研究室中村直行先生の著作物によれば,「医師と患者やご家族とのコミュニケーションにより治療に生かされる情報,電子化の有無に拘わらずカルテとしてデータ化され保存される情報,検査によっていろいろと数値化されたり画像化されたりする情報,治験における奏功結果としての情報等々,これらは広義で医療情報でありその領域は多岐に亘ります。・・・」と説明している。
上記中村先生の説明に照らせば,単なる「予防接種スケジュール」や「病院名」の情報は,そもそも広義の医療情報にさえ含まれない。
なお,インターネット上で「医療情報とは」と検索すると,多くの専門家によって中村先生と同様の趣旨の説明がなされており,中村先生の説明が医療分野における常識であることが裏付けられる。少なくともインターネット上で検索できる情報においては,「予防接種スケジュール」や「病院名」の情報が医療情報である,とする専門家の説明を見つけることはできなかった。
商標法上の解釈により,「予防接種スケジュール」や「病院名」の情報を提供する行為が,「医療情報の提供」と類似関係になる可能性は否定しないが,商標専用権としての「医療情報の提供」には該当しない。
したがって,乙第2号証で説明しているアプリケーションプログラムは,「子育てに関する各種情報の提供」のための手段には該当するかもしれないが,社会通念上,かつ専門的理解の観点からも「医療情報の提供」のための手段ではない。
以上のとおり,仮に乙第2号証で説明しているアプリケーションプログラムが事業として実施していたと認定されたとしても,それは第42類「医療情報の提供」には該当しない。
ウ その他の証拠について
被請求人が提出した乙第1号証及び乙第3号証ないし乙第5号証は,本件商標の使用事実とは無関係な証拠であるため,これらについては弁駁しない。
エ まとめ
被請求人が提出した乙第2号証は,本件審判の取消にかかる指定役務において使用された事実を証明できない。また乙第1号証及び乙第3号証ないし乙第5号証は,本件商標の使用事実とは無関係な証拠である。
したがって本件商標は,商標法第50条の規定により取消されるべきである。

3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
(1)乙第2号証は,被請求人が提供するアプリケーションプログラムに関するプレゼンテーション資料であり,1ページ目中段左側には,本件商標中の欧文字「ihealth」部分(以下「使用商標」という。)が表されており,同ページ下段中央には「2017年1月」の文字とともに,被請求人の名称及び被請求人のウェブサイトのURL(http://hmi.jp)の記載がある。
ア これによると,被請求人が提供するアプリケーションプログラムは,その利用者に対し,子供の月齢・年齢ごとの接種対象ワクチンの種類や接種回数及び予防接種が受けられる病院の一覧といった,子供に関する医療情報を通知する機能を有しているものである。
つまり被請求人は,利用者に子供に関する医療情報を提供することを目的として当該アプリケーションプログラムを提供しているものであり,これは使用商標を本件審判の請求に係る指定役務中「医療情報の提供」の商標として使用していることにほかならず,「アプリケーションプログラム」は係る役務の提供の手段にすぎない。
イ 1ページ目下段中央に「2017年1月」と記載のあるように,乙第2号証が作成されたのは要証期間内であり,その内容が被請求人の提供するアプリケーションプログラムの機能の説明であることに鑑みれば,作成とほぼ同時期に頒布されたとみるのが自然である。そして商標法第50第3項に規定される,いわゆる「駆け込み使用」に該当するものでもない。
ウ 上記1のとおり,本件商標は片仮名「アイヘルス」と欧文字「ihealth」とを2段に書してなる商標であるが,使用商標は欧文字「ihealth」である。
しかし商標法第50条第1項に規定される「登録商標」は「登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。」ものであるところ,本件商標を構成する片仮名「アイヘルス」と欧文字「ihealth」は同一の「アイヘルス」との称呼を生じる上,ともに造語であって特定の観念を生じさせるものではない。
したがって,使用商標は本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当する。
エ 1ページ目下段中央に被請求人の名称及び被請求人のウェブサイトのURLの記載があるように,乙第2号証の作成者は被請求人である。
しかし,被請求人はウェブサイトのリニューアルをしており,現在のウェブサイトのURLは「http://hmi.jp」ではない。だが,インターネットブラウザ上で「http://hmi.jp」と入力すると,自動的に現在の被請求人のウェブサイトのURL(https://hmi.jp/)に変換され,表示されるのは現在の被請求人のウェブサイトである。
また,当該ウェブサイトの「会社概要」ページには被請求人の名称・代表者及び住所の記載がある。
ここで,商標権者である被請求人の住所は「東京都港区海岸1-7-8」であるが(乙1),当該ウェブサイトの「会社概要」には被請求人の住所として「東京都品川区東五反田1-10-7アイオス五反田410」が記載されている(乙3)。これは被請求人の住所変更によるものであって,被請求人は平成29年9月26日付けで住所(居所)変更届を提出し,住所を「東京都品川区東五反田1丁目10番7号」に変更している(乙4)。これにより乙第2号証に表示されている「ヘルスメディア株式会社」と被請求人が同一法人であることは明らかである。
なお,この事実を示すものとして,被読求人の「履歴事項全部証明書」の写しを提出する(乙5)。
(2)上述のとおり,本件審判については,要証期間内に日本国内において商標権者である被請求人がその請求にかかる役務について登録商標を使用していることは明白である。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出した証拠及び被請求人の主張によれば以下の事実を認めることができる。
ア 乙第2号証は,2017年1月に被請求人が作成した「子育てアプリのご提案」と題するプレゼンテーション資料である。
(ア)1葉目の標題の下には「ihealth(R) Kids Health Service」の表示がある。
(イ)3葉目には,「アプリの特徴」の見出しの下,「子育て世代が知りたいことを,ぎゅっと一つに」とあり,その下に「・子供の医療情報」として「予防接種スケジュール,病院一覧」の表示がある。
(ウ)5葉目ないし7葉目には,「医療情報」の見出しの下,スマートフォンの画面と思しき図形が表されており,その画面内には「予防接種」の表示がある。
(エ)5葉目には,「病院一覧」の項に「予防接種専用アプリと同等以上の機能を持ち,さらに自治体情報と連携させることで,地域の子育て世代にとって必須のアプリとなります。」の表示がある。
(オ)10葉目には,「子育てアプリのメリット」の見出しの下,「子育て世代のニーズを収集できます」,「子育て世代へダイレクトに伝えます」及び「個人情報を扱いません」の表示がある。
イ 乙第3号証は,出力日が2017年(平成29年)11月9日の被請求人のウェブサイトであり,この「会社概要」の「【主要事業】」欄には,「健康医療情報配信サービス事業」の記載がある。
ウ 乙第5号証は,平成29年11月10日付けの被請求人の「履歴事項全部証明書」であり,この「目的」の欄には,「1.健康,医療に関する情報サービスの提供」の記載がある。
(2)判断
被請求人(商標権者)は,同人の提供するアプリケーションプログラムを介して本件審判の請求に係る指定役務中,「医療情報の提供」を行っており,本件商標を使用している旨主張している。
しかしながら,乙第2号証のプレゼンテーション資料「子育てアプリのご提案」は,被請求人の主張,書証の標題及び記載内容から,子供に関する医療情報をスマートフォン等に表示することができる特徴(機能)を有する,アプリケーションプログラムを被請求人が提案するための資料と認められるものであり,該資料をもっては,被請求人自身が,「医療情報の提供」を行っているものと認めることはできない。
また,「ihealth」の文字(使用商標)は,乙第2号証の標題の下のみに表示されており,「子育てアプリのご提案(乙2の標題)」に係る商標として使用されているとしても,「医療情報の提供」自体に使用されているものと認めることもできない。
そして,被請求人のウェブサイト(乙3)には,「会社概要」の「【主要事業】」の欄に「健康医療情報配信サービス事業」の記載があり,被請求人の「履歴事項全部証明書」(乙5)には,「目的」の欄に「1.健康,医療に関する情報サービスの提供」の記載があるが,これらの記載をもって,被請求人が,実際に「医療情報の提供」を行っているものと認めることはできない。
してみれば,被請求人が提出した証拠によっては,本件商標が本件審判の取消請求に係る指定役務について使用されたものと認めることはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務についての本件商標(社会通念上同一の商標を含む)の使用をしていることを証明したものということはできず,また,被請求人は,取消請求に係る指定役務について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標は,商標法第50条の規定により,その指定役務中「結論掲記の指定役務」についての登録を取り消すべきである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-04-18 
結審通知日 2018-04-20 
審決日 2018-05-07 
出願番号 商願2013-79200(T2013-79200) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W44)
最終処分 成立 
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
大森 友子
登録日 2014-04-18 
登録番号 商標登録第5665021号(T5665021) 
商標の称呼 アイヘルス、イヘルス 
代理人 杉本 明子 
代理人 平野 泰弘 
代理人 日高 賢治 
代理人 都築 健太郎 
代理人 秋和 勝志 
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