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審決分類 審判 一部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない W41
審判 一部無効 観念類似 無効としない W41
審判 一部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない W41
審判 一部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効としない W41
審判 一部無効 外観類似 無効としない W41
審判 一部無効 称呼類似 無効としない W41
審判 一部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない W41
管理番号 1342070 
審判番号 無効2016-890069 
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-11-16 
確定日 2018-06-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第5781652号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5781652号商標(以下「本件商標」という。)は,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の文字を書してなり,平成26年1月27日に登録出願,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」を指定役務として,同27年7月31日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が,本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第3357246号商標(以下「引用商標」という。)は,「外語ビジネス専門学校」の文字を書してなり,平成6年3月1日に登録出願,第41類「語学の教授」を指定役務として,同9年11月7日に設定登録,その後,同19年8月7日及び同29年10月31日に商標権の存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は,本件商標は,その指定役務中,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」についての登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第205号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定役務中,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」(以下「請求に係る指定役務」という。)について,商標法第4条1項第7号,同第8号,同第11号,同第15号及び同第19号に該当するものであるから,同法第46条第1項の規定により,その登録は,無効とされるべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号に該当する理由
本件商標は,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の文字を横書きにして表したものである。本件商標は文字数が15文字,音数が26音であり非常に冗長な構成からなることに加え,「駿台観光」と「外語ビジネス専門学校」との間に「&」記号を有する事により,視覚上「駿台観光」と,「外語ビジネス専門学校」に分離して認識される。実際の使用例として,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の2015年度入学案内の表紙,背表紙,裏表紙(甲21)に「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の名称が大きく表示されているところ,同表示中,約3分の2を引用商標と同一である「外語ビジネス専門学校」が占めていることからも,「外語ビジネス専門学校」が分離して認識されることは明らかである。
加えて,本件商標の構成中の「外語ビジネス専門学校」の文字部分は,専門学校の名称として永年使用されており,本件商標の取引者,需要者の多くが進学を希望する生徒,その父兄,学生及び教育関係者であることを考慮すれば,これら取引者,需要者に広く知られている引用商標を想起し,当該「外語ビジネス専門学校」の文字部分に着目し,役務の取引に供されることも少なくないものといえる。
そうとすると,本件商標の構成中「外語ビジネス専門学校」の文字部分も独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものとみるのが相当であるから,「外語ビジネス専門学校」の文字部分に相応し「ガイゴビジネスセンモンガッコウ」の称呼が生じ,「外国語によるビジネスに関する専門学校」程度の観念が生じる。
一方,引用商標は,「外語ビジネス専門学校」の文字を横書きした構成からなり,その構成に即し「ガイゴビジネスセンモンガッコウ」の称呼及び「外国語によるビジネスに関する専門学校」程度の観念が生じる。
さらに,本件商標は,その構成中「外語ビジネス専門学校」の文字部分も自他役務の識別標識として認識し得るものであること上述のとおりであるから,多少太文字で表示されているものの一般的な字体を用いた表記である引用商標とは外観上も相紛らわしく,これに接する取引者,需要者に近似した印象を与えるものである。
よって,本件商標と引用商標は,同一の称呼及び観念が生じ,外観においても近似する相紛らわしい類似の商標といえる。
次に,本件商標と引用商標の指定役務の類否についてみると,引用商標の指定役務「語学の教授」は,本件商標の指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授」に包含されるものであることは明らかである。
してみれば,本件商標は,引用商標と同一又は類似の商標であって,同一又は類似の役務に使用するものであるから,これをその指定役務に使用するときには,これに接する取引者,需要者をして,引用商標の商標権者の業務にかかる役務であるかの如く出所について混同を生じるおそれがあるものといわなければならない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第8号に該当する理由
本件商標は,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の文字からなるところ,その構成中に,請求人が経営する専門学校の名称(学校長 深堀和子氏:以下「深堀氏」という。)である「外語ビジネス専門学校」の文字を有するものである。
また,請求人は,本件商標の登録時はもとより出願時前である昭和57年より現在に至るまで長きにわたり「外語ビジネス専門学校」を使用していることから請求人が経営する専門学校の名称として,進学を希望する生徒,その父兄,教育関係者をはじめとする取引者,需要者間においてよく知られているものといえるものであるから,著名な略称といえるものである(甲20)。
かつ,請求人は,被請求人に対し商標出願することに対し承諾をしていない。
したがって,本件商標は,他人の名称又は他人の著名な略称を含むものであって,その他人の承諾を得ていないものであるから,商標法第4条第1項第8号に該当する。
最高裁判所は,同号について他人の氏名や名称からなるまたそれが含まれる商標は,その他人の承諾を得ているものを除き,商標登録を受けることができないとする規定であり,その趣旨は,肖像,氏名等他人の人格的利益を保護することにあると解されると,最高裁判所平成16年6月8日判決「レナード・カムホート事件」(同15年(行ヒ)第265号),最高裁判所平成17年7月22日判決「国際自由学園事件」(同16年(行ヒ)第343号)において判示している。
(3)商標法第4条第1項第15号に該当する理由
ア 引用商標は,語学やビジネススキルを教授する専門学校の学校名として,周知・著名な商標である。また,引用商標は深堀氏による造語であり,専門学校進学雑誌である「全国専修学校総覧」,「進学リクルートブック 進学事典」等において,固有の学校名「外語ビジネス専門学校」として掲載されているとおり,他の専門学校の名称に使用されることなく昭和57年より専門学校の名称として継続して使用された結果,この種業界において請求人が運営する専門学校の名称として広く知られた商標であることから,本件商標に接する取引者,需要者は,「外語ビジネス専門学校」の文字に着目し,該文字部分をもって自他役務の識別標識として認識するものとみるのが相当である。
イ 本件商標は,その構成中に引用商標と同一の文字構成よりなる「外語ビジネス専門学校」を含んでいること明らかである。また,本件商標「駿台観光&外語ビジネス専門学校」は,全体として15文字からなる冗長な構成からなるものであり,「&」の記号で分離された後半部は周知・著名な引用商標と「外語ビジネス専門学校」の文字を共通するものである。
ウ 引用商標と本件商標は共に「専門学校」の文字を含み,専門学校の名称として使用されるものであるため,その取引者,需要者は,学生,その父母及び教育関係者等であり共通する。
エ 以上の事情を勘案すると,取引者や需要者は,本件商標の構成中「外語ビジネス専門学校」の文字に着目し,引用商標を連想・想起することも少なくないといえる。
オ そのため,本件商標をその指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授」に使用する場合,これに接する取引者,需要者は,引用商標を想起し,深堀氏が学校長を務める「外語ビジネス専門学校」又はその運営母体である学校法人深堀学園,若しくは該学校や該法人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように,役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
カ さらに,被請求人の商標採択に関しての経緯について付言する。
(ア)被請求人である学校法人駿河台学園は,運営する専門学校の名称を平成26年4月1日に改称し,「外語ビジネス専門学校」の表記をその学校名に取り入れ「駿台観光&外語ビジネス専門学校」とした(甲23の1)。
(イ)平成26年4月1日に改称した「駿台観光&外語ビジネス専門学校」は,1980年開校時にあっては「駿台外語専門学校」であり,その後,「駿台外語国際専門学校」に改称し,さらに「駿台観光&外語専門学校」に改称している(甲23の2)。
(ウ)このような「駿台観光&外語専門学校」から「駿台観光&外語ビジネス専門学校」への改称は,被請求人が数ある商標の選択肢の中から偶然に引用商標の文字構成を採択し学校名に取り入れたと認識するとは考えづらく,むしろ,意識的に周知・著名商標である引用商標を取り入れたものと認識される。
すなわち,需要者・取引者は,旧名称を「駿台観光&外語専門学校」とする専門学校が,引用商標を用いる「外語ビジネス専門学校」と経済的又は組織的に何らかの連携を持ったために,引用商標を組み合わせた文字構成からなる,本件商標「駿台観光&外語ビジネス専門学校」へと改称したものと認識するため,当然に,取引者,需要者は役務の出所についての誤認混同を生ずるおそれがある。
キ また,情報収集に頻繁に用いられるインターネットで検索した場合においても,例えば検索エンジン「Google」を使用して「外国語」「ビジネス」「専門学校」を検索キーとして抽出すると,引用商標を用いる「外語ビジネス専門学校」と,被請求人の業務にかかる「駿台観光&外語ビジネス専門学校」とが並存して抽出される(甲24の1)。同様に,「外語ビジネス専門学校」を検索キーとして抽出した場合も,「外語ビジネス専門学校」の他に「駿台観光&外語ビジネス専門学校」も検索結果に挙がってくる(甲24の2)。
ク 本件商標は,永年請求人がその業務に係る「語学の教授」等の専門学校の名称として使用し,取引者,需要者に広く知られる引用商標「外語ビジネス専門学校」の文字をその構成中に有するものである。
そうとすると,本件商標は,これをその指定役務に使用したときに,これに接する取引者,需要者が,当該「外語ビジネス専門学校」の文字部分に注目し,請求人の業務に係る役務と経済的・組織的に何らかの関係があるかのように誤認し,出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって,本件商標は,「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」というべきであるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号に該当する理由
本件商標は,その構成中「外語ビジネス専門学校」の文字を有するものであるから,引用商標と類似する商標である。
そして,引用商標は,本件商標の出願時には,すでに深堀氏が学校長を務める専門学校の学校名に使用する商標として,少なくとも専門学校に入学を希望する生徒,その父母,教育関係者等の需要者・取引者間において広く認識されていたものである。
なお,商標法第4条第1項第19号周知性は,最終消費者まで広く認識されている商標のみならず,取引者の間に広く認識されている商標を含むものとされている(商標審査基準)。
さらに,被請求人は,専門学校を営む法人であるため,深堀氏が学校長を務める「外語ビジネス専門学校」についても当然に認識していたにもかかわらず,出願し,登録を受けたものである。このことは,被請求人と同系列の学校法人駿河台南学園が関東圏で運営する「駿台外語&ビジネス専門学校」(所在地:東京都千代田区神田駿河台1-5-8)が,「外語ビジネス専門学校」の表記をそのまま学校名に採択することはせずに,引用商標と出所の混同が生じないように「外語」と「ビジネス」の間に「&」の記号を用いて使用していることからも明らかである(甲25)。
以上の事情を総合してみると,本件商標は,偶然に引用商標をその構成中に有するものとは考え難く,引用商標の有する高い名声・信用・評判にフリーライドする目的で出願に至ったものと推認される。
引用商標は,昭和23年に創立された伝統ある学校であり,英語を初めとする語学や専門的なビジネススキルの教授,外国人留学生向けの日本語教育,社会人向けの語学教育,離職者向けの職業訓練等,幅広い教育サービスを行う特色ある専門学校の名称として学校長深堀氏が創作した造語商標であり,特に語学教育に係る取引者,需要者においては,日本語教育に興味を有する海外においても広く認識されている。このように周知・著名な引用商標をその構成中に含む本件商標は,引用商標の評判・利益を大きく損ない,出所表示機能を希釈化させるおそれのあるものであり,不正の目的で出願,登録されたというべきである。
したがって,本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第7号に該当する理由
近年,将来外国語を活かした職業につきたいと考える生徒,学生,社会人が増えていることから,外国語を専門に修得する専門学校への進学希望者が増加している事情が見られる。
引用商標は,昭和23年に創立された伝統ある語学の専門学校の名称であり,英語を初めとする語学や英語能力をベースとした専門的なビジネススキルの教授,外国人留学生向けの日本語教育,社会人向けの語学教育,離職者向けの職業訓練等,幅広い教育サービスを行う特色ある語学に関する専門学校として我が国のみならず海外においても広く認識されている。
これは,「外語ビジネス専門学校」が,進学を希望する生徒,その父母及び学校関係者の多くが参照する「全国専修学校総覧」(一般財団法人職業教育・キャリア教育財団発行)の商業実務分野の項目に,昭和59年版から現在(平成28年版)(甲26の1?33)に至るまで永年にわたり掲載されていること及び「進学事典」等の進学情報誌等にも永年にわたり記載されていること等の記載からも明らかである。
そして,本件商標は,その構成中に引用商標「外語ビジネス専門学校」の文字を有することは明らかであり,被請求人は,引用商標が,専門学校の名称として,本件商標の出願前より使用され,広く認識されていることを十分承知していたうえで,本件商標を出願し,登録を受けたものであることは疑いないものである。
請求人は,「引用商標」を名称中に含む外国語の専門学校(本件請求外法人)に,その名称の使用を中止するよう警告書を発したことがある。相手側は,請求人の引用商標を認め,自己のWEBサイトに新たな学校名を表示するとの平成26年10月21日付合意書(甲27)に記名・押印した。
このことは,専門学校を運営する教育業界にあっては,他人の専門学校名と紛らわしい名称は選択しないという暗黙の了解があり,この暗黙の了解により秩序が保たれているといえる。各校によって,業界のモラルが守られてきたために今まで争いが生じることはなかった。
そうとすると,本件商標は,かかる暗黙の了解を無視し,被請求人がこれをその指定役務に使用した場合,取引者,需要者である生徒及び父母又は教育関係者が,引用商標権者の業務に係る役務であるかの如く出所の混乱を生じることを十分認識していたにもかかわらず,出願し,登録を受けたものであるから,専門学校を運営する教育業界の秩序をも乱すものであり,商道徳に反するものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。
(6)請求人及び引用商標の周知・著名性について
ア 請求人について
請求人は,学校法人深堀学園(神奈川県川崎市川崎区駅前本町22-9)であり,引用商標「外語ビジネス専門学校」(学校長:深堀氏)を学校名に用いて,語学やビジネスに必要な専門的なスキルを教授する専門学校を運営している(甲20)。
イ 引用商標の使用開始時期及び引用商標の由来
引用商標「外語ビジネス専門学校」は,当初は「川崎市民米語学校」の名称で昭和23年に創立され,その後,昭和57年に「外語ビジネス専門学校」と改称され,以降現在に至るまで当該名称を使用している(甲20)。
昭和57年当時,「外語」の文字を専門学校等の名称に用いる例はあったものの,「外語」と「ビジネス」とを組み合わせて用いた例はなく,「外語ビジネス」及び「外語ビジネス専門学校」は,外国語とビジネススキルとの両者を教授する専門学校に用いる名称として,深堀氏が創造した造語である。
深堀氏は,昭和59年より現在に至るまで継続して「外語ビジネス専門学校」の理事長兼校長を務めており,平成6年3月1日に「外語ビジネス専門学校」について「語学の教授」を指定役務として商標登録出願し,商標登録を受けた。その後,当該商標権は,平成26年6月25日に学校法人深堀学園に移転された。
ウ 引用商標を使用する専門学校「外語ビジネス専門学校」について
「外語ビジネス専門学校」は,神奈川県川崎市川崎区駅前本町22-1を所在地とし,国際ビジネス学科,ホテルブライダル観光学科,グローバルICT学科,英語ビジネス学科,ビジネス日本語学科等,多数の学科を有している(甲20)。前述のとおり,昭和23年に創立され,昭和57年より引用商標を学校名として使用している。また,平成16年からは深堀氏が理事長を務める学校法人深堀学園が運営母体となり,先進的なビジネス教育と本格的で仕事に役立つ語学力の育成を目指す専門学校として,多方面から注目を集めている。
このことは,近年,多数の新聞や雑誌等に「外語ビジネス専門学校」の名称や記事が掲載されていることからも明らかである(甲39の4の3?5,甲44?甲58,甲59の1・2,甲35,甲60?甲64)。
エ 引用商標の雑誌等への掲載実績について
(ア)専門学校を紹介する各種の進学情報誌等に,以下のとおり引用商標が掲載されている。
a 「毎日育英会会報No.28」(甲69)
b 「自力進学 進学支援 学費サポートガイド2014」(平成25年9月発行株式会社ライセンスアカデミー:甲70)
c 「進学指導資料 昭和59年版?平成28年版 全国専修学校総覧」(一般財団法人職業教育・キャリア教育財団発行:甲26号証の1?33)
全国専修学校総覧は,昭和52年度から発行され,平成27年版は9,300部,平成28年版は9,300部それぞれ発行されている(甲71)。
d 神奈川県専門学校 1984?2016 進学ガイド(甲72の1?32)
e 平成28年神奈川県商業教育振興会ポスターおよびチラシ(甲39の5)
f 神奈川県高等学校定通教育振興会賛助会員校ポスターおよびチラシ(甲39の6)
g 「2015学研マッチングブック春号 君の未来を決める 専門学校を探そう!」(株式会社学研教育出版:甲73)
h 「観光・語学・国際・公務員・会計・医療事務・ブライダル・マスコミ系をめざす人へ」等(株式会社さんぽう発行:甲74の1・2,甲75の1・2,甲76の1?4,甲77の1?5,甲80,甲82?甲85)
i 「つくにはブックスNo.6 語学を活かしてホテル・ブライダル・トラベル・エアライン・国際関係の仕事につくには」等(株式会社さんぽう発行:甲78の1・2,甲79)
j 「専門技術・技能をめざす人へ2000・下巻」(株式会社さんぽう発行:甲81)
k 「’88年版,’89年版及び1991年版 ビジネス・語学系オール学校ガイド」(株式会社日本ドリコム発行)(甲86の1?3)
l 「進ゼミ<専門学校特集号>」(株式会社中央企画センター発行:甲87)
m 「専門学校 進路のてびき2015」(株式会社ライセンスアカデミー発行:甲88)
n 「進学事典2008専門学校版」等(株式会社リクルート発行:甲89?甲92)
o 「リクナビ進学ブック 進学事典 学校選び応援号 2013」(株式会社リクルートホールディングス発行:甲93?甲102)
以上のとおり,専門学校進学の案内書において,引用商標を専門学校名とする「外語ビジネス専門学校」が永年にわたって掲載されている。
そして,掲載誌のうち「進学事典」の発行部数は以下のとおりである。
2011年は,関東甲信越で120,800部,全国では434,800部,2012年は,関東甲信越で107,480部,全国では389,180部,2013年は,関東甲信越で127,160部,全国では444,570部,2014年は,関東甲信越で132,190部,全国では458,100部発行されている(甲103)。
また,「進学事典」等の進学案内書による「外語ビジネス専門学校」の資料請求数は,2009年度は464件,2010年度は368件,2011年度は379件,2012年度は324件,2013年度は489件,2014年度は636件,2015年度は,2016年1月29日現在で429件にもなっている(甲103)。
さらに,以下の就職時報誌にも引用商標が記載されている。
p 「TekiPaki」1990年5月号(株式会社ワードスペース発行) 第6頁から第7頁に「外語ビジネス専門学校・校長」として深堀氏のインタビュー記事が掲載されている(甲104)。
q 「TekiPaki」1990年7月号(株式会社ワードスペース発行)に「外語ビジネス専門学校/教育という枠にとらわれない国際色豊かな明るい職場」とスタッフ募集の案内記事が掲載されている(甲105)。
(イ)専門学校を紹介する以下の各ウェブサイト上でも,「外語ビジネス専門学校」が紹介されている。
a かながわ専各(一般社団法人 神奈川県専修学校各種学校協会)オフィシャルWebサイト(甲106)
b 「リクナビ進学」株式会社リクルートホールディングス(甲107)
c 「マイナビ進学」株式会社マイナビ(甲108)
d 「ベスト進学ネット」株式会社日東システム開発(甲109)
e 「JS日本の学校」株式会社JSコーポレーション(甲110)
f 「キャリタス進学」株式会社ディスコ(甲111)
g 「コレカラ進路.JP」株式会社LIFEMAP(甲112)
h 「さんぽう進学ネット」株式会社さんぽう(甲113)
i 「学研進学サイト ガクセイト」株式会社学研教育出版(甲114)
オ 引用商標に関する宣伝,広告について
請求人は,引用商標を,自己が運営する「語学の教授」等の専門学校の広告,宣伝に以下のとおり使用している。
(ア)外語ビジネス専門学校ではホームページの作成にも力を入れており,入学希望者や企業が,ホームページから必要な情報を得られるよう,様々なページを作成している。最近の同校の現在のホームページは,実に多くの内容を有しており,すべてのページに「外語ビジネス専門学校」の名称が表記されており,ホームページによる宣伝,広告活動も20年以上行っている(甲115,甲116)。
(イ)外語ビジネス専門学校では,多くの広報物を作成,配布している。甲第39号証の1から14は,2015年1月から2016年8月までの約1年半の間に主に日本人用に発行された広報物である。
学校パンフレット及び募集要項を2015年1月から2016年8月までの間だけで39,000部印刷している(甲39の2)ほか,各学科の宣伝のために「CBC JOURNAL」を年に計9回作成,発行しており,2015年1月から2016年8月までの間に日本人向けに印刷したジャーナル,募集要項やポスターだけで,45,430枚になる(甲39の1)。
(ウ)さらに,日本語学科の宣伝,広告のため,台湾やタイ,韓国,中国などの諸外国においても,日本への留学や日本語学校に関する情報を掲載するウェブサイトや情報誌に「外語ビジネス専門学校」は数多く掲載されている(甲119の1?12)。17にも上る言語のホームページを作成,各国の言語の学校案内(甲120の1?4)を準備するなど,外国においても幅広い宣伝広告活動を行っている(甲121の1?3)。
その結果,以下の事実が認められる。
a 日本語学科については,1987年(昭和62年)から2014年(平成26年)の入学者数が4,937名に上る(甲37)。
b 学生の出身地域・出身校は日本全国に及ぶ(甲122)。
c 日本語学科を有する同校は,アジア諸国を初めとする海外諸国からも学生が集まっている(甲123)。
2016年度の日本語学科・日本語研究科・ビジネス日本語学科の主な広報資料には,パンフレット,募集要項,JOURNAL等があり,1年間だけで102,000部もの広報資料を作成・配布している(甲120の1?29)。日本語学科・日本語研究科・ビジネス日本語学科だけで,10年以上にわたり毎年これほど多くの広報資料を配布している(甲115:「CBCの歴史沿革2003年大学・短大卒のための日本語教育研究科新設」)。
国内外を問わず宣伝広告活動を行っている外語ビジネス専門学校では,毎年相当部数のパンフレットを資料請求者や高校等に送付し,海外に発送・持参している(甲124)。
(エ)パンフレットの作成・配布のほかに,外語ビジネス専門学校は毎年,学校所在地である神奈川県を含む全国で相談会を多数開催している(甲125の1?7)。
その他,外語ビジネス専門学校は全国高校教員向けの学校訪問も全国各地で行い,
2011年度は計350校,2012年度は計674校,2013年度は計323校,2014年度は計312校,2015年度は2015年12月末現在で,586校に訪問しており,学校資料やパンフレットを配布している(甲126)。
神奈川県内の高校に配布した一般社団法人神奈川県専修学校各種学校協会専門学校委員会のパンフレット設置企画ポスターにも「外語ビジネス専門学校」の体験入学やオープンキャンパスの日程が掲載されている(甲39の7の1・2)。2015年及び2016年の進路フェスタ(進学相談会)のチラシにも参加実績校として「外語ビジネス専門学校」が掲載されている(甲39の7の4)。これらのチラシは30,000枚ずつ印刷され,参加者も3,600?3,800人にのぼる(甲39の7の1)。
その他,毎年夏冬2回,小・中学生に専門学校での体験授業を提供するイベントとして,チャレンジスクールが開催され,外語ビジネス専門学校の名称が記載されたチラシやポスターが,2015年の夏休み・冬休みで計53,000枚印刷された(甲39の7の1・5)。
(オ)同校が印刷物による広告に要した費用だけで昭和57年からの累計が13億円以上に上る。特に近年は「外語ビジネス専門学校」の学校名がインターネット上で適切に検出されるべく,SEO(検索エンジンの最適化)対策のためにも年間1,000万円以上を投じており,外語ビジネス専門学校全体の直近3年間のアクセス者数合計は594,450となっている(甲127)。
また,「外語ビジネス専門学校」は株式会社リクルートマーケティングパートナーズに対する広告費として,2000年度には160万円,2001年度には310万円,2002年度には260万円,2003年度には320万円,2004年度には348万円,2005年度には430万円,2006年度には460万円,2007年度には350万円,2009年度には300万円,2010年度には280万円,2011年度には220万円,2012年度には210万円,2013年度には220万円,2014年度には190万円,2015年度には190万円もの費用をかけている。すなわち,直近16年間で株式会社リクルートマーケティングパートナーズに対してだけで,4,248万円もの広告費をかけている(甲103)。
他にも,株式会社さんぽうに対する広告費として,2005年は630,000円,2006年は820,000円,2007年は910,000円,2008年は820,000円,2009年は820,000円,2010年は550,000円,2011年は550,000円,2012年は550,000円,2013年は350,000円,2014年は200,000円,2015年は260,000円,2016年は440,000円をかけている(甲128)。
外語ビジネス専門学校は,株式会社さんぽう1社だけで,直近の12年間で690万円もの費用をかけているのである。
(カ)その他,1日平均乗降客数が120,030人である京急川崎駅中央口改札外の柱広告も出している(甲39の3)。新聞に折込チラシも入れている(甲39の11)。
カ 外語ビジネス専門学校の実績と評価について
(ア)「外語ビジネス専門学校」は,昭和62年に日本語・日本文化学科を開設して以来,諸外国からの留学生らを対象とした日本語教育が高く評価され,数々の実績を残している(甲120の2)。
a 特に,「全専日協 日本語スピーチコンテスト記録」(甲129)によれば,全国専門学校日本語学習外国人留学生日本語弁論大会では当該専門学校の学生が平成14年(2002年),平成17年(2005年),平成21年(2009年),平成23年(2011年)から平成25年(2013年)に最優秀賞,平成5年(1993年),平成7年(1995年),平成13年(2001年),平成18年(2006年)には優秀賞を受賞している。また学校法人文化学園・国際交流センター主催の短歌コンテストでは平成17年及び平成18年に入賞している。これらの実績は,業界紙である「専門学校新聞」(株式会社専門学校新聞社発行)に掲載されている(甲130?甲135)。
b 2013年(平成25年)2月15日付同新聞の「今月の顔」の欄に「第25回全国専門学校外国人留学生日本語弁論大会で最優秀賞を受賞した王頴さん外語ビジネス専門学校(日本語学科1年)」と紹介され,記事の中では「所属する外語ビジネス専門学校はこれで大会3連覇。過去の2連覇を含め,同校だけが達成した快挙だ。」と外語ビジネス専門学校が高く評価されている(甲136)。
c さらに,各種の日本語スピーチコンテストでも数多くの実績を残しており,例えば社団法人神奈川県専修学校各種学校協会横浜支部主催の外国人留学生による日本語スピーチコンテストにおいては,外語ビジネス専門学校の留学生が,平成6年度,平成8年度,平成10年度,平成12年度,平成15年度及び平成24年度に最優秀賞の横浜市長賞を獲得し,その他にも数々の賞を受賞している(甲137?甲141,甲201?甲202の2,甲204の2)。
d 専門学校新聞には,第十回外国人留学生による日本語スピーチコンテストにおいて,「最優秀に外語ビジネスの蔡さん」が選ばれたことが掲載され,記事の中でも「審査の結果,最優秀の横浜市長賞に輝いたのは外語ビジネス専門学校の蔡明芳さんで,『特別な思い出』をテーマに流ちょうな日本語を披露した。」と記載されている(甲141)。
e 川崎市スピーチコンテストにおいても,1995年,1998年,1999年,2002年,2004年,2011年,2013年及び2018年に最優秀賞を受賞する等(甲142,甲203),数多くの賞を受賞している。
(イ)外語ビジネス専門学校は昭和59年に通訳・観光ガイド科,昭和61年に国際ホテル科を開設し,観光業界に多くの人材を輩出している。同校の卒業生の一例が,観光・ホテル産業入門マガジン月刊「キーオ」(株式会社ストリーム社発行)に掲載されている(甲143の1・2)。
キ 引用商標の周知・著名性について
(ア)「外語ビジネス専門学校」は,外語ビジネス専門学校の固有の名称として昭和57年より継続して使用され,多数の情報誌やインターネットの情報サイトにも継続的に掲載されており,高校卒業生向け専門学校としてだけでなく,企業や官公庁向けの語学研修を行う教育機関としても広く知られている。また国の機関である厚生労働省及び神奈川県による公共職業訓練に関係する研修については,平成11年より継続的に受託しており,このような「外語ビジネス専門学校」の研修の受講経験者は,幅広い業種において数多く輩出している実情が見られる。
(イ)また,平成9年には引用商標について商標登録を受け,引用商標を学校名として使用し学生や社会人を対象として語学やビジネススキルの教授を継続的に行ない,各種コンテストで受賞し,講師も業界紙で紹介されるなど「外語ビジネス専門学校」の教育に対して高い評価がなされ,「外語ビジネス専門学校」の名称は,その教育の質の高さと共に,広く知られている。
(ウ)校長の深堀氏は「外語ビジネス専門学校」の代表として商工会議所や全国の専修学校等からなる連合会・協会の要職を務めるなどしており,商工会議所会員,全国の専修学校等連合会・協会の会員間においても「外語ビジネス専門学校」の名称は広く知られている。
平成22年の創立60周年新校舎竣工披露パーティー及び平成11年の創立50周年の式典は盛大に執り行われ,これらパーティ・式典へは政界,官公庁,教育関係,一般企業等,多彩な方面から出席者が集まり,需要者,取引者に限らず,教育行政,厚生労働行政を担う官公庁等においても,「外語ビジネス専門学校」の名称は広く知られていると言える。
ク 専門学校の名称として引用商標の独自性について
平成28年9月18日発行の「全国専修学校総覧」によると,専門学校が数多く集まる関東地方や関西地方において,商業実務分野及び文化・教養分野で「外語ビジネス専門学校」の表記を学校名に取り入れて使用している学校は存在しない。
また,語学とビジネススキルの両者を教授する専門学校は多数存在するが,例えば「国際ビジネス専門学校」,「専門学校 東京ビジネス外語 カレッジ」「駿台外語アンドビジネス専門学校」等の学校名を用いており,引用商標「外語ビジネス専門学校」の表記を学校名に取り入れている学校は存在しない。(甲121)
さらに,語学と観光に関する知識を教授する専門学校からなる「全国語学ビジネス観光教育協会」の会員校一覧においても,学校法人深堀学園が運営する引用商標にかかる「外語ビジネス専門学校」以外には,「外語ビジネス専門学校」の表記を用いている学校は存在しない(甲168)。
ケ その他
被請求人は,本件商標「駿台観光&外語ビジネス専門学校」を2014年4月1日より専門学校の名称として使用を開始している(甲第23号証の1)。それより前は「駿台外語専門学校」,「駿台外語国際専門学校」,更に「駿台観光&外語専門学校」の名称を用いていたため,本件商標の使用実績は殆どないことを付言する。
コ まとめ
引用商標は,「外語ビジネス専門学校」として,30年以上の使用実績を持ち,業界紙や情報誌にも継続的に多数掲載され,しかも学生以外の企業や官公庁に対しても多数取り上げられ,さらに,深堀氏が「外語ジネス専門学校」の学校長として全国の専修学校や各種学校により組織された連合会や協会等の要職を歴任し該連合会や協会等の会員に対しても広く知られていることから,引用商標「外語ビジネス専門学校」は,本件商標の登録出願前から取引者,需要者間において広く認識されていたことが明らかである。
2 答弁に対する弁駁(平成29年6月29日付け弁駁書)
(1)答弁等に対する弁駁
ア 被請求人は,答弁の理由として,「査定不服審判2015-860において,本件商標と引用商標は非類似と認定されていることから,本件商標と引用商標とが外観,称呼及び観念において何れも相紛れるものでなく・・・ことのない全体として類似しないものである。・・・まして,被請求人がフリーライド,不正の目的で出願することはあり得ず,商道徳に反しないことは明らかであるから,本件商標の登録は無効にされるべきものではない。」と主張している。
イ 請求人は,被請求人のかかる主張を受けて,本件の合議体の審判官が上記査定不服審判の合議体に入っていたことから,平成29年3月13日付けで審判官忌避申し立てを行った。これに対し,平成29年4月18日付けで,忌避の決定がされたが,その内容には「先の拒絶査定不服審判と本件無効審判とは,上級審,下級審の関係にはなく,また,別事件であるから,本件無効審判の合議体は,先の拒絶査定不服審判とは別個に,本件無効審判請求人の主張,立証に基づいて,本件登録商標についての無効理由の有無を審理するものである。よって,本件無効理由の合議体は,先の拒絶査定不服審判における結論に拘束されるものではないから,…(中略)。」と明記されている。
すなわち,上記査定不服審判での審判官の判断に基づき本件商標の登録は無効にされるべきものではないと確信する,との被請求人の主張は,その前提において誤っている。
ウ ところで,昨今の高校生には,かつてほどに駿台予備学校(駿台)の名称は浸透していない現実がある。また,「外語ビジネス専門学校」は以下のとおり「駿台」と同じく予備校として広く知られる「城南予備校」の関連グループに属する。
これらは,請求人理事長が役員を務める会社と学校等であるが,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」のように,「駿台」の名前は有名だからこれを冠すれば良いという考え方と,請求人理事長のそれぞれの地域性と事業にふさわしい名称を付けるべきだという経営方針の考え方では抜本的に違いがある。
そのために,それぞれの組織の名称を大事にすることが業務の一貫となることから,請求人自ら作り出した「外語ビジネス専門学校」という商標を,適切な保護を受けるために商標登録を行ったにもかかわらず,「外語ビジネス専門学校」を含むことが明らかな「駿台観光&外語ビジネス専門学校」を後から登録することが,「商標を保護することにより,商標の使用する者の業務上の信用の維持を図り,もって産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護する」という商標法の目的にかなうものであるか伺いたい。
エ 専門学校は多種多様な職業教育を実施しており全国で約3,000校もあるが,語学(国際,英語の表現も含む),観光とビジネスの3つを校名に入れている学校は,全国で1校(駿台観光アンド外語ビジネス専門学校)のみである。また,語学(国際,英語表現を含む)と観光を冠する学校は7校(国際観光専門学校名古屋校・熱海校・浜松校,大原外語観光&ブライダルビューティ専門学校,麻生外語観光&製菓専門学校,東北外語観光専門学校,国際外語・観光・エアライン専門学校),外語とビジネスを冠する学校は4校(学校法人ISI工学園の専門学校長野ビジネス外語カレッジと専門学校東京ビジネス外語カレッジの2校と沖縄ビジネス外語学院,高知外語ビジネス専門学校(2017年4月高知語学&ビジネス専門学校に校名変更))しかない。
これらの情報は全国専修学校総覧やネットで容易に照会することができる。また,学校を開校する時は業界の常識そして他校への礼儀・誠意として,校名が他の学校の名称と同一・類似とならないように,即座にチェックすることができ,必ず行わなければならないものである。
甲第179号証の1,甲第179号証の2として提出するグーグルの検索結果の第1頁から明らかなように,「外語ビジネス専門学校」は上位にヒットしている。
また,「外語ビジネス専門学校」は,高校生,大学生,大学院,社会人,留学生を対象に日本全国のみならず世界募集をしている学校である。新たに甲第180号証として提出する英語関連学科のパンフレットをみてもらえば,学生が北海道から沖縄まで様々な県からの出身者が在籍している一端を伺い知ることができる。
これからも,「外語ビジネス専門学校」が全国的に知られていることは明らかである。
さらに,本年6月2日に「外語ビジネス専門学校」の授業の模様と学生の声が千葉テレビ取材で行われ,他局との連携により東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県,南茨城で放映され,約1,500万世帯で視聴が可能であった。
仮に,「外語ビジネス専門学校」が無名であれば,「駿台観光アンド外語ビジネス専門学校」も世間から見れば,当然に無名の学校といえる。専門学校の学校選びは,就きたい職業に必要な事を学べる分野や取得できる資格,カリキュラム,シラバス,実績等をネット,専門誌や知人,進路指導等から情報を取り寄せ,実際にオープンキャンパスに足を運んで決定していく過程を踏むケースが多い。「駿台観光アンド外語ビジネス専門学校」も無名なので同様である。専門学校選びは,その分野に興味や関心があって学生が学校名を知るケースが殆どと言われており,大学選びとは抜本的に異なるからである。
オ 以上のとおり,「駿台」を冠しているからということのみで,その構成中に他人の名称であり,かつ登録商標である引用商標が含まれていることが明らかな本件商標の登録は無効にされなければならない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 一般に,商標の類否判断においては,「外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察する」ことが最高裁判決の判断基準とされている。しかもその商品(役務)の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいてするのを相当とする,とされている。
これを,本件商標と引用商標の類否についてみると,本件商標は「駿台観光&外語ビジネス専門学校」,引用商標は「外語ビジネス専門学校」の文字を表したものであり,その構成中の「外語ビジネス専門学校」の文字部分を共通にするものであり,当該文字部分において「ガイゴビジネスセンモンガッコウ」又は「ガイゴビジネス」の称呼及び「外国語に関連するビジネスの専門学校」程の観念をも共通にするものである。
すなわち,通常,学校には小学校,中学校,高等学校等種類が多いことから,「専門学校」の部分も名称として一体に記憶,認識されるものといえる。そうとすると,本件商標「駿台観光&外語ビジネス専門学校」は,その構成全体及びこれより生じる「スンダイカンコウアンドガイゴビジネスセンモンガッコウ」の称呼は冗長であることは言うまでもない。してみれば,やはり,「&」の文字の前後で「駿台観光」と「外語ビジネス専門学校」のように分離観察される場合もあり得ないとは言い切れない。
さらにいえば,近年,会社等の吸収合併等にあっては,合併後の名称を相互の会社の名称を「&」記号によって○○&○○ホールディングのように表記することも珍しくはないという事情がある。
例えば,
a エーアンドエーマテリアル(株式会社エーアンドエーマテリアル)
b エー・アンド・アイシステム(エー・アンド・アイシステム株式会社)
c サロモンアンドテーラーメイド
d ジョンソン・エンド・ジョンソン(ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社)
e プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン
f 株式会社セブン&アイ・ホールディングス
g オンキョー&パイオニア株式会社
以上のとおり,本件商標は,その構成及び上記近年の経済界の事情等を考慮すれば,これに接する取引者,需要者をして,前半の「駿台観光」と後半の「外語ビジネス専門学校」とを視覚的に分離観察し,又は「駿台観光専門学校」と「外語ビジネス専門学校」とが合併したかのように認識し,後半部分の「外語ビジネス専門学校」のみに注目し,当該文字部分より「ガイゴビジネスセンモンガッコウ」又は「ガイゴビジネス」の称呼及び「外国語によるビジネスに関する専門学校」程の観念をも生じる場合も少なくないものといえる。
したがって,本件商標は,「外語ビジネス専門学校」の文字部分において引用商標と共通にするものであり,当該文字部分に相応して生じる「ガイゴビジネスセンモンガッコウ」の称呼,「外国語によるビジネスに関する専門学校」程の観念を生じるものである。
イ 一方,引用商標について,被請求人は,「ビジネス専門学校」及び「専門学校」は一般名称であり,引用商標からは「ガイゴビジネスセンモンガッコウ」,若しくは「ビジネス専門学校」等を除いた「外語」から「ガイゴ」,「ガイゴビジネス」の称呼が生じるものであると引用商標をばらばらに分解して称呼を抽出している。
しかしながら,披請求人が引用する査定不服審判の審決では,「引用商標は,『外語ビジネス専門学校』の文字からなるところ,その構成は,『外語』,『ビジネス』及び『専門学校』の各文字からなるものと理解されるものである。そして,これらの文字は,本願商標の構成文字と同様に知識の教授における分野の語,並びに役務の質及び提供の場所である学校の名称に用いられる文字と理解されるものであるから,引用商標は,構成文字の全体をもって,専門学校の名称を表したものということができる。してみれば,引用商標は,その構成文字全体に相応して『ガイゴビジネスセンモンガッコウ』の称呼を生じ,専門学校の名称としての『外語ビジネス専門学校』の観念を生じるものである。」と認定しているように,引用商標は,その構成文字全体として自他役務の識別機能を有するものとして登録されたものといえる。
したがって,引用商標からは「ガイゴビジネスセンモンガッコウ」及び「ガイゴビジネス」の称呼のみを生じるものであるから,披請求人のかかる主張は妥当とはいえない。
ウ 以上のとおり,本件商標と引用商標とは,「外語ビジネス専門学校」の文字部分において外観上近似し,称呼及び観念において同一又は類似のものとみるべきであるから,単に「駿台」の文字を有することのみをもって出所の混同を生じないとし,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しないとする被請求人の主張は妥当とはいえない。
エ 加えて,商標法第1条には,「この法律は,商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もって産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」と規定され,「商標」を保護することを謳っている。まさに請求人は,商標制度の当該目的に呼応し,長年自己の業務に使用し,需要者の信用が蓄積されている引用商標について商標制度を利用することにより将来に亘り,安心して事業の継続をし,需要者に常に質の保証をするべくこれを出願し,その構成文字全体として自他役務の識別機能を有するものとして,登録されたものである。
そして,商標法第4条第1項第11号では,「当該出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であって,その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するもの」と規定されている。
しかしながら,本件商標は,その出願日前の出願に係る他人の登録商標である引用商標と「外語ビジネス専門学校」の文字部分において同一又は類似する商標であり,その指定役務も引用商標の指定役務と同一のものであって,かつ,審査において商標法第4条第1項第11号に該当するものとして拒絶査定となったにもかかわらず,上級審である査定不服審判において登録査定となったものである。
請求人は,本件商標が構成中に引用商標を含むことが明らかであるにもかかわらず「駿台」の文字を有することのみをもって登録されたことについて,商標制度の目的及び先願主義に反するものと考えており,指定役務に係る教育業界の取引の実情に基づいた公正かつ納得のいく判断を求めるものである。
(3)商標法第4条第1項第7号について
ア 被請求人は,「引用商標は,広く認識されていないと考える。『全国専修学校総覧』は,甲第26号証から明らかなように,認可された全国各地の多種多様な専門学校が多数掲載され,掲載されている理由をもって『周知』とは言えないものである。仮に,掲載されている事実から周知とすれば,他の多種多様の多数の専門学校も周知な専門学校となり,商標法の法目的に反することに成りかねない。」と主張する。
イ しかしながら,かかる被請求人の主張は,請求人の当該証拠提出の意図を誤って解釈したものである。
すなわち,教育関係者であれば,学校の名称として同一名称の使用は避けるというのが暗黙の了解として守られ,取引の秩序が保たれているといえる。したがって,校名変更をする際には,インターネットでの学校名の検索や全国の専門学校が網羅されている「全国専修学校総覧」により,そこに掲載されている名称,特に同じ専門学校の名称については調査するのが当然であり,請求人学校名は長年に亘り「全国専修学校総覧」に掲載されていることから,当然発見できるはずである。ところが,被請求人は,「引用商標の存在自体知らなかったものである。」と述べている。これは,明らかに虚言であり,「駿台」の名称を有していれば,他人の名称を使用することも許されるという被請求人の傲慢な考えに外ならず,教育界の品性と取引秩序を無視した行動といえる。
現に,請求人は,長年学校名として使用してきた引用商標を将来にわたり安定して使用していくために商標登録を受けたにもかかわらず,被請求人の取引の秩序を無視した考え及び他校への配慮を欠いた行動によって,このような審判事件を請求するに至っており大変な迷惑を被っているのである。
また,被請求人は,「引用商標の存在自体知らなかったものである。」と述べているが,被請求人は昭和55年大阪府豊中市寺内に専門学校「駿台外語専門学校」開校,平成6年に「駿台外語国際専門学校」,平成10年に「駿台観光&外語専門学校」のように幾度となく校名を変更してきたにもかかわらず,平成26年(2014年)4月「駿台観光&外語ビジネス専門学校」に校名変更されるまで,「外語ビジネス専門学校」の部分を採用していないこと及び東京所在の同系列の専門学校の名称が「駿台外語&ビジネス専門学校」であることからすれば,本件商標の採択までは,請求人の学校名の存在を認識しており,あえて同じ名称の使用はしなかったと推認できる。
そして,本件商標を採択したのは,「外語ビジネス専門学校」を本件商標中に取り込み,将来的に「外語ビジネス専門学校」を系列化しようとする布石であるとも推測される。
また,将来的に「外語ビジネス専門学校」を系列化しようとする布石でないというであれば,専門学校は全国で約3,000校もあるが,語学(国際,英語の表現も含む),観光とビジネスの3つを校名に入れている学校は,全国で1校のみであり,また,語学(国際,英語表現を含む)と観光を冠する学校は7校,外語とビジネスを冠する学校は4校しかないので,他校の名称と同一・類似とならないように,その有無をチェックするべきであり,極めて容易にチェックすることができる。
仮に,引用商標の存在を認識していなかったとすれば,事前に調査することなく引用商標を含む商標を出願し,登録を受けたことは,教育に携わる者として怠慢,かつ,慎重さに欠ける行為であるといえる。
以上のとおり,本件商標は,他人の名称であることを知って,意図して他人の名称を一部に採用し,また他人の名称であることを知っていたにもかかわらず自己の商標に一部が著名であることを過信しこれを平然とその一部に採用し,あるいは,名称変更の際に当然行われなければならない商取引上の習慣を無視し,出願し,登録を受けたものであることは明らかである。
したがって,本件商標は,その指定役務に係る商取引の秩序を乱すものであって,公序良俗を害するおそれがあり,かつ,商道徳に反し社会一般の道徳観念にも反する商標といえるから,商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
ウ なお,被請求人は,「『・・・外語』と『ビジネス』を含めた校名の専門学校は,少なくとも本件商標の他にも,東京都所在の『駿台外語アンドビジネス専門学校』,『専門学校東京ビジネス外語カレッジ』,長野県所在の『専門学校長野ビジネス外語カレッジ』,下記に述べる高知県所在の『高知外語ビジネス専門学校』,沖縄所在の『沖縄ビジネス外語学院』などが存在し争いが生じた事実はないと考える。甲第27号証に関して,平成26年10月21日付けの合意書を締結した学校法人日米学院は,インターネット情報によると,少なくとも2005年から『高知外語ビジネス専門学校』を使用していたものと推測でき(乙7),引用商標権者は第三者の使用を約10年間放置していたことになる。」と主張する。
しかしながら,「専門学校東京ビジネス外語カレッジ」及び長野県所在の「専門学校長野ビジネス外語カレッジ」は,学校法人ISI学園が運営する専門学校であり,「外語ビジネス専門学校」と異なる商標である。また沖縄所在の「沖縄ビジネス外語学院」も同様に「外語ビジネス専門学校」と異なる商標である。
請求人は,「高知外語ビジネス専門学校」に,「外語ビジネス専門学校」は登録商標であり,使用を中止するよう書面を送った結果,先方より今春から校名変更するとの覚書を受理しており,また実際に「高知外語ビジネス専門学校」については名称を変更している。(甲第169号証)
以上のとおり,請求人は,自己の学校の名称である登録商標の管理も厳格に行っているのでかかる被請求人の主張は誤りである。
(4)商標法第4条第1項第8号について
ア 被請求人は,「引用商標について,昭和57年から使用していることを理由に『著名な略称』に該当するはずがないこと,引用商標は神奈川県の一部である川崎市内所在の1校のみであり,その使用も川崎市内のみの使用が殆どであることから世間一般に広く知られているものではなく,著名な商標(略称)には該当しないものであること,また,出所の混同が生じるおそれもないため,引用商標権者の人格的利益を損なうはずもない等」と主張している。
イ しかしながら,商標法第4条第1項第8号の最高裁判決である平成16(行ヒ)343審決取消請求事件「国際自由学園事件」(甲170)では,「8号が,他人の肖像又は他人の氏名,名称,著名な略称等を含む商標は,その他人の承諾を得ているものを除き,商標登録を受けることができないと規定した趣旨は,人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像,氏名,名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち,人は,自らの承諾なしにその氏名,名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである。略称についても,一般に氏名,名称と同様に本人を指し示すものとして受け入れられている場合には,本人の氏名,名称と同様に保護に値すると考えられる。・・(中略)・・商標法4条1項は,商標登録を受けることができない商標を各号で列記しているが,需要者の間に広く認識されている商標との関係で商品又は役務の出所の混同の防止を図ろうとする同項10号,15号等の規定とは別に,8号の規定が定められていることからみると,他人の肖像又は他人の氏名,名称,著名な略称等を含む商標は,その他人の承諾を得ているものを除き,商標登録を受けることができないと規定した趣旨は,人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像,氏名,名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち,人は,自らの承諾なしにその氏名,名称等を商標に使われることがない利益が保護されているのである。略称についても,一般に氏名,名称と同様に本人を指し示すものとして受け入れられている場合には,本人の氏名,名称と同様に保護に値すると考えられる。そうすると,人の名称等の略称が8号にいう『著名な略称』に該当するか否かを判断するについても,常に,問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく,その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきものということができる。本件においては,前記事実関係によれば,上告人は,上告人略称を教育及びこれに関連する役務に長期間にわたり使用し続け,その間,書籍,新聞等で度々取り上げられており,上告人略称は,教育関係者を始めとする知識人の間で,よく知られているというのである。これによれば,上告人略称は,上告人を指し示すものとして一般に受け入れられていたと解する余地もあるということができる。そうであるとすれば,上告人略称が本件商標の指定役務の需要者である学生等の間で広く認識されていないことを主たる理由として本件商標登録が8号の規定に違反するものではないとした原審の判断には,8号の規定の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ない。」としている。
すなわち,本件商標は,その構成中に他人の学校名である「外語ビジネス専門学校」の文字を有するものであり,及びこれを商標登録受けることについて承諾を受けていないものであることは明らかであるから,本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当するものである。
請求人は,昭和57年より一貫して「外語ビジネス専門学校」を専門学校の名称として使用していることは既に述べているとおりである。
さらに,「外語ビジネス専門学校」が請求人の運営する専門学校の名称であることは,「昭和57年9月30日付け申請の外語ビジネス専門学校の専門課程の設置に関する神奈川県知事の認可」(甲171),「昭和59年7月30日付けの神奈川県知事宛の位置変更届」(甲172),「昭和63年3月18日付け設置者変更の神奈川県知事の認可」(甲173),「平成3年3月15日付け高知,校舎等の変更届」(甲174),「平成12年11月6日付け専修学校の学科の設置(収容定員)に係る学則変更届」(甲175)及び「平成29年1月31日付け専修学校の学科の設置廃止(収容定員)にかかる学則変更届」(甲176)の学校名として「外語ビジネス専門学校」が記載されていることからも証明される。
また,文部科学省神奈川県私立学校名簿の学校名欄に(外語ビジネス専門学校と記載されている(甲177)。
以上のとおり,「外語ビジネス専門学校」は,一般及び公的にも請求人の運営する学校名として認知されていることが明らかである。
また,「外語ビジネス専門学校」は,著名な略称であるともいえる。上記判決において「人の名称等の略称が8号にいう『著名な略称』に該当するか否かを判断するについても,常に,問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく,その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されると解する。」と判示されている。
上記のとおり「外語ビジネス専門学校」は請求人の専門学校の名称であるが,仮に,「外語ビジネス専門学校」が他人の名称に当たらないとしても,「審判請求書8(「8」は丸数字。)請求人及び引用商標の著名性について」に記載のとおり,請求人は,「外語ビジネス専門学校」を長期間にわたり使用し続け,その間,書籍,新聞又はテレビ等のマスメディアの取材等で度々取り上げられている。
したがって,請求人略称は,教育関係者を始めとする知識人の間でよく知られている著名な略称でもある。
なお,被請求人は,請求人の専門学校が川崎にのみにあることに対し,「駿台」の文字を冠した「駿河台学園」の各教育機関が日本各地にあることから,その著名性は比較すべくもないと主張しているが,請求人は,昭和57年に新校舎が川崎駅前に完成して以来,校舎ビルの屋上に「外語ビジネス専門学校」の文字からなる大きな看板を掲げている(甲178)。川崎市は,日本有数の都市でありその中心ターミナルである川崎駅は,JR東日本,京浜急行,東海道新幹線等多数の列車が乗り入れ,通過する駅であり,昨年の一日の利用者は平均207,725人にものぼる。請求人の校舎ビルは,JR東日本と京浜急行の中間に立地することから,川崎駅の利用者のみならず,それぞれの電車の利用客の相当数が校舎屋上の「外語ビジネス専門学校」の文字に注目する機会は多いといえる。
被請求人は「川崎」にしかないというが,「川崎」という大都市の駅前において,長年「外語ビジネス専門学校」の名称で専門学校を運営しているからこそ,教育関係者,専門学校を受験する生徒,その父兄のみならず一般の人にも「外語ビジネス専門学校」が被請求人の運営する専門学校の名称として認識されているといえるのである。
したがって,本件商標は,その構成中に他人の名称,または,他人の著名な略称を含むものであり,商標登録をすることについてその他人の承諾を得ていないことは明らかであるから,商標法第4条第1項第8号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号について
ア 被請求人は,本件商標は,語頭に「駿台」の文字を有することをもって,引用商標より著名性を有すること,引用商標が川崎市のみに設立されていることから著名性を有しないと主張する。また,査定不服審判においても審判官は,「駿台」と冠してあれば高名なブランドであり,一方,「外語ビジネス専門学校」は川崎でしか知名度がないとの見解を示している。
イ しかしながら,「外語ビジネス専門学校」は高校生,大学生,大学院,社会人,留学生を対象に日本全国のみならず世界中に生徒募集をしている学校である(甲180)。「外語ビジネス専門学校」が無名であれば,「駿台観光アンド外語ビジネス専門学校」も世間から見れば,無名の学校といえる。専門学校の学校選びは,就きたい職業に必要な事を学べる分野や取得できる資格,カリキュラム,シラバス,実績等をネット,専門誌や知人,進路指導等から情報を取り寄せ,実際にオープンキャンパスに足を運んで決定していく過程を踏むケースが多い。「駿台観光アンド外語ビジネス専門学校」も単体としては,世間で知られておらず,同様である。すなわち,専門学校選びは,その分野に興味や関心があって学生が学校名を知るケースが殆どと言われており,大学選びとは抜本的に異なるからである。
したがって,上記本件商標の指定役務の取引の実情を勘案すれば「駿台」の著名性をもって「駿台観光アンド外語ビジネス専門学校」自体をも著名であるとする請求人の主張は誤っており,本件商標と引用商標の著名性は同等程度あるとみるのが相当である。
また,「外語ビジネス専門学校」についてインターネット検索をすると,以下の結果が出てくる。
(ア)東北外語観光専門学校
(イ)国際外語・観光・エアライン専門学校
(ウ)麻生外語観光&製菓専門学校
(エ)東京ビジネス外語カレッジ
(オ)ISI 日本語学校 長野校(長野ビジネス外語カレッジ)
(カ)沖縄ビジネス外語学院
(キ)学校法人 日米学院 高知外語ビジネス専門学校
(平成29年4月より高知語学&ビジネス専門学校に校名変更)
(ク)学校法人 駿河台学園(駿台電子情報&ビジネス専門学校,駿台外語&ビジネス専門学校,駿台トラベル&ホテル専門学校,駿台法律経済&ビジネス専門学校,駿台観光&外語ビジネス専門学校)
「外語ビジネス専門学校」又は「外語ビジネス」の文字を有する専門学校は,「学校法人 日米学院 高知外語ビジネス専門学校」と「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の2校が検索される。
このうち,学校法人日米学院「高知外語ビジネス専門学校」については,警告書を通知して,平成29年4月より「高知語学&ビジネス専門学校」に校名変更するとの覚書を取り交わしており,現在は名称変更されている(甲177)。
したがって,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」のみが引用商標を含むものとしてインターネットで検索される。
そうとすると,本件商標がその指定役務に使用された場合に,取引者,需要者が,例えば「駿台」と「外語ビジネス専門学校」が提携したかのように,出所の混同を生じるおそれがあるものといわざるを得ない。
よって,本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(6)商標法第4条第1項第19号について
ア 請求人は,「引用商標が周知,著名商標ではないこと,本件商標と引用商標とが類似しないこと,また,少なくとも披請求人の担当者は引用商標権者の専門学校自体の存在を知らなかったとして,被請求人は引用商標の出所表示機能等の希釈化不正の目的をもって,本件商標の商標登録出願を行うはずもないから,本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当しないものである。」等と主張している。
イ しかしながら,被請求人は,昭和55年大阪府豊中市寺内に専門学校「駿台外語専門学校」開講,平成6年に「駿台外語国際専門学校」,平成10年に「駿台観光&外語専門学校」のように幾度も校名を変更しているにもかかわらず,平成26年(2015年)4月に「駿台観光&外語ビジネス専門学校」と校名変更されるまで,「外語ビジネス専門学校」の部分を採用していなかったこと及び東京所在の同系列の専門学校が「駿台外語&ビジネス専門学校」と称していることからすれば,本件商標の採択までは,請求人の学校名の存在を認識していたからこそ,あえて同じ名称の使用はしていなかったと推測できる。そして,本件商標を採択したのは,「外語ビジネス専門学校」を本件商標中に取り込み,将来的に外語ビジネス専門学校を系列化しようとする布石であるとも推測できる。
このように,引用商標を含む本件商標をその指定役務に出願したことは,他人名称又は登録商標を剽窃するものといえる。
また,仮に,引用商標の存在を認識していなかったとすれば,事前に調査することなく引用商標を含む商標を出願し,登録を受けたことは,教育に携わる者として怠慢,かつ,慎重さに欠ける行為であり,商道徳に反するものといわなければならない。
さらに,本件商標の登録をこのまま放置することは,引用商標をその構成に含む学校名称が他人に使用されることを見逃すことになり,その結果,請求人が長年教育事業に携わり積み上げてきた引用商標に化体する信用が希釈化することにもつながりかねない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 第2弁駁書(平成29年10月10日付け)
(1)被請求人は,平成29年9月1日付けの答弁書の6.答弁の理由(1)において,「『外語ビジネス専門学校』,『外語ビジネス』を検索すると,検索トップページには,『外語ビジネス専門学校』は,2,3番目に検索されるが,請求人以外に『日本電子専門学校』,『東京ビレッジ外語カレッジ』,『東京外語専門学校』,『NCC東京校専門学校』,『沖縄ビジネス外語学院』,『TERA外語ビジネス学院』,『JTBトラベル&ホテルカレッジ』,『大原学園』など様々な専門学校のサイトが検索される事実が明らかである。」と述べている。
確かに,「外語ビジネス専門学校」,「外語ビジネス」を検索した結果である乙第8号証によれば,「日本電子専門学校」及び乙第9号証「NCC東京校専門学校」が,請求人より前に検索(表示)されている。
しかし,これらは広告料を支払って検索トップに掲載されているにすぎない。その証拠に広告の文字が表示されている。つまり,実質的に検索トップページに表示されるのは請求人の名称「外語ビジネス専門学校」といえる。因みに甲第183号証の1(外語ビジネス専門学校で検索)に示すように,「日本電子専門学校」の表示はなされず,甲第183号証の2(外語ビジネスで検索)に示すように,「日本電子専門学校」の表示はなされず,また「沖縄ビジネス外語学院」,「NCC東京校」については最後に広告として表示されているにすぎない。
したがって,被請求人のかかる主張は,検索結果の掲載システムを知らなかった結果であり,何ら当を得ない主張であることは明らかである。
また,被請求人は,「外語ビジネス専門学校」,「外語ビジネス」を検索すると,請求人以外に「日本電子専門学校」,「東京ビレッジ外語カレッジ」,「東京外語専門学校」,「NCC東京校専門学校」,「沖縄ビジネス外語学院」,「TERA外語ビジネス学院」,「JTBトラベル&ホテルカレッジ」,「大原学園」が検索されると主張している。
確かに,「東京ビレッジ外語カレッジ」,「東京外語専門学校」,「沖縄ビジネス外語学院」,「TERA外語ビジネス学院」,のように「外語」と「ビジネス」の文字をその構成中に含む専門学校の名称は存在することは認める。
請求人は「外語」と「ビジネス」の文字を含む学校名称について全て異議を唱えるつもりは毛頭ない。一方,「外語ビジネス専門学校」「外語ビジネス」の文字をそのまま名称として平然と使用,商標出願,登録した被請求人に対しては,断固として許すことはできない。
(2)次に,被請求人は,「『外語ビジネス専門学校』の神奈川県外出身者が33名であり全国的に知られているはずもないこと,約1,500万世帯で視聴可能であったことについて証拠資料が提出されておらず憶測であること,及び構成中に他人の名称であり,かつ登録商標が含まれている商標は多数登録されていること・・・。」等を主張している。
上記主張は,おそらく「外語ビジネス専門学校」を小さな学校であることを印象付けるために,「外語ビジネス専門学校」が取引者,需要者に認識されていることを示すための一例として提示したパンフレットに掲載された神奈川県外出身者を数えあげ,その数が33名であり全国的に知られるはずもないと述べたものと思われる。
しかしながら,常識的に学校パンフレットに掲載された在校生等が,学校全体の人数でないことは言うまでもないことである。また,パンフレットに記載されている在校生等の出身が,全国各地,また国内に限らず海外であることからしても,被請求人が主張するような「外語ビジネス専門学校」が川崎市での知名度しかないということが事実無根であることは明らかである。
さらにいえば,かかる被請求人の主張は,請求人の証拠資料を一面的にとらえ,上げ足を取るような幼稚で浮薄なものである。一方,「外語ビジネス専門学校」は,新たに提出した甲第181号証からも明らかなように,広報活動のみならず,例えば,直近の全国専門学校英語スピーチコンテストで請求人の学生が最優秀賞(文部科学大臣杯)を受賞する(甲181の7)等,優秀な学生を育成しており,被請求人が愚弄し矮小化するような学校ではない。
また,被請求人は,「『更に,本年6月2日に・・・約1500万世帯で視聴可能であった』と述べているが,証拠資料は何ら提出されておらず,単なる憶測でしかない」と述べている。
これに対して,請求人は,テレビ放映の事実を立証する証拠としてDVD(甲182の1)を,また約1,500万世帯で視聴可能であった事実を立証する証拠としてパンフレット(甲182の2)を提出する。この放送は,視聴者に好評であったとのことで本年9月23日(土)午前10時30分より再放送がなされた。
さらに,被請求人が,構成中に他人の名称であり,かつ登録商標が含まれている商標は多数登録されているとしている主張及び例示は,商標の構成態様や結合の方法等において本件商標とは事案が異なるものであって,これらの登録例をもって本件商標と引用商標の類否判断等に影響するものとはいい難いから,根拠のないものである。
(3)被請求人は,答弁の理由において,被請求人は,「被請求人を母体とする駿台グループの専門学校は,本件商標を含めて全て『&』で結ばれている実情があること,平成10年から『駿台観光&外語専門学校』,平成26年4月から本件商標の校名を使用している。」と主張している。
しかしながら,「駿台」を除く「&」で結合される語は「電子情報&ビジネス」「外語&ビジネス」「トラベル&ホテル」「法律経済&ビジネス」であり専門学校の科目に普通に使用されている語を「&」で結合したものであり,本件商標「駿台観光&外語ビジネス専門学校」とは事情を異にするものである。
すなわち,本件商標の構成中「外語ビジネス専門学校」は,他人の専門学校名称であり,自他役務の識別標識として商標登録が認められたものである。これを,本件商標を含めて全て「&」で結ばれている実情があるとする被請求人の主張自体,「駿台」の著名性を笠に他人の学校名称や登録商標であることに全く配慮しない被請求人の傲慢な姿勢を如実に表している。
請求人は,被請求人のかかる主張を断じて認めることはできない。
加えて,本件商標が引用商標と併存することは,「外語ビジネス専門学校」の語が他の語と結合することにより重複登録が許されることに繋がりかねないこととなり,引用商標の自他役務の識別機能の希釈化に外ならない。このようなことが引き起こされれば,請求人の損害は甚大となる。
したがって,被請求人の上記主張は認められない。
(4)答弁の理由における商標法第4条第1項第7号についての被請求人の主張であるが,本件商標の採択,出願の経緯,本件商標の役務の取引の実情を相互判断すれば,被請求人にはそのような気がなくても,客観的に商道徳に反し,取引の秩序を乱すものといえる。
(5)答弁の理由において,被請求人は,商標法第4条第1項第8号について,事件は時代背景など個別具体的に判断されるものでありとし,引用商標の使用事実とは相違するものであると述べているが,全く答弁になっていない。
弁駁書で述べているとおり,請求人は,「外語ビジネス専門学校」を専門学校の名称として長年に亘り使用している。また,著名な略称として認識されている。
これらを証明するために,請求人は,新たに以下の直近の資料(甲181の1?27)を提出する。
外語ビジネス専門学校広報記録(2017年9月12日現在:甲181の1)
ア インターネット上の「外語ビジネス専門学校」表示数:368,953件
イ 広報活動における「外語ビジネス専門学校」名入り印刷物数:353,940部
ウ 京急川崎駅広告・当校野外広告:329,510人/日(1日の京急川崎駅,JR川崎駅平均乗降客数の合計)
エ 広報活動及び資料配布数 訪問国10か国 2地域 「外語ビジネス専門学校」の資料配布数計11,460部
オ 外部での「外語ビジネス専門学校」名称使用の制作物
専門学校新聞50,000部
川崎市連携事業関係 教育だよりかわさき114,000部
全国専門学校日本語教育協会 パンフレット1,000部
公共職業訓練募集要項「即戦力」平成29年1月分,7月分2,8000部
他249,580部
カ 請求人での広報物制作部数104,360部
以上のとおり,「外語ビジネス専門学校」は,専門学校で学びたいと考える高校生,海外からの留学生,教育関係者,専門学校の管理,監督に携わる川崎市等公官庁においても専門学校の名称として認識されていることは明らかである。
また,「外語ビジネス専門学校」は著名な略称であるともいえる。既に提出の弁駁書で主張したとおり,引用商標は大都市川崎の駅に隣接しており,校舎屋上に大きく表示した「外語ビジネス専門学校」の看板及び外部上番京急川崎駅柱広告などから,前記教育関係者のみならず,川崎駅を利用する者及び通勤客など相当数の一般人に専門学校の名称として認識されていることは明らかである。
なお,商標法第4条第1項第8号については,平成16(行ヒ)343審決取消請求事件「国際自由学園」において,「商標法4条1項は,商標登録を受けることができない商標を各号で列記しているが,需要者の間に広く認識されている商標との関係で商品又は役務の出所の混同の防止を図ろうとする同項10号,15号等の規定とは別に,8号の規定が定められていることからみると,8号が,他人の肖像又は他人の氏名,名称,著名な略称等を含む商標は,その他人の承諾を得ているものを除き,商標登録を受けることができないと規定した趣旨は,人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像,氏名,名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち,人は,自らの承諾なしにその氏名,名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである。略称についても,一般に氏名,名称と同様に本人を指し示すものとして受け入れられている場合には,本人の氏名,名称と同様に保護に値すると考えられる。そうすると,人の名称等の略称が8号にいう『著名な略称』に該当するか否かを判断するについても,常に問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく,その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきものということができる。」と判示されている。
そうとすると,上記請求人の主張及び証拠により「外語ビジネス専門学校」は,専門学校の名称であり,かつ,著名な略称として一般にも認識されているものであるから,構成中に他人の名称あるいは他人の著名な略称を含む商標であり,その他人の承諾を得ていない本件商標は,登録を許されないものである。
以上のとおり,「事件は時代背景など個別具体的に判断されるものでありとし,引用商標の使用事実とは相違する。」といった被請求人の主張は,「外語ビジネス専門学校」が他人の名称あるいは他人の著名な略称であるとする請求の主張に対し,真摯な答弁とは程遠い意味不明な主張である。
被請求人は,当該理由について反論すべき根拠も理由も見当たらないことから,かかる意味不明な答弁する外なかったものといえる。
(6)答弁の理由において,被請求人は,請求人が弁駁書で「近年,会社等の吸収合併等にあっては,合併後の名称を相互の会社の名称を『&』記号によって○○&○○ホールディングのように表記することも珍しくはないという事情があるとして,『駿台観光&外語ビジネス専門学校』の商標に接した取引者,需要者,又は被請求人又は請求人の生徒や関係者が『駿台』と『外語ビジネス専門学校』が合併するかのような誤認をする恐れがあることは否定できない。」との主張に対し,「神奈川県以外の生徒が33名しかいない(事実無根)との資料の記載をもって,出所の混同を生じない」と反論するが,被請求人のその主張は説得力に欠ける。
加えて,甲第195号証には,請求人は,「駿河台学園と浜学園は,『駿台・浜学園』を設立した」ことが記載され,この受験塾に「駿台・浜学園」なる名称を使用している事実を発見した。
すなわち,「駿台・浜学園」は,駿河台学園と浜学園が設立した受験塾であること理解,認識せしめるために,駿河台学園と浜学園の双方の名称を用い,「駿台・浜学園」を標章となしたものであり,取引者及び需要者は,駿台予備学校(駿河台学園)と浜学園の共同設立であると理解,認識する。
このように,被請求人は,共同設立した場合に,既にその名称に双方の名称を使用している事実がある(被請求人のビジネス手法(ネーミング手法)として,相手側の名称を取り込み,両者の名称を使用することが行われている)以上,「外語ビジネス専門学校」をそっくりそのまま取り入れた「駿台観光&外語ビジネス専門学校」についても,それを見た取引者,需要者は,前身の「駿台観光&外語専門学校」と「外語ビジネス専門学校」とが共同で設立した専門学校であると,当然に,理解,認識する。
この上記した被請求人のビジネス手法(ネーミング手法)の事実からしても,取引者,需要者が,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」を「駿台観光&外語専門学校」と「外語ビジネス専門学校」とが合併(共同設立)した専門学校であるかのように,誤認することは明らかである。
また,「&(アンパーサンド)」は,二つの語句を対等に接続する記号であるから,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」よりは,「駿台観光」と「外語ビジネス専門学校」とから構成されていると理解,認識される場合も少なくない。そうとすると,本件商標は,「外語ビジネス専門学校」の文字部分をも独立して自他役務の識別標識といい得るものである。
したがって,本件商標と引用商標とは,「外語ビジネス専門学校」の文字部分を共通にする同一又は類似の商標であり,その指定役務も同一または類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号にも該当するものであり,また上記したように商標法第4条第1項第15号にも該当するものであり,その登録は明らかに無効である。
特に,「駿台観光&外語専門学校」と「外語ビジネス専門学校」とが合併したかのように誤認されることは,請求人にとっては,心外であり,迷惑な問題である。すなわち,「外語ビジネス専門学校」の理事長である深堀氏は,城南予備校(実父下村豊治が創業)を経営する城南進学研究社の経営陣の一人でもあることから,城南予備校と同じ業種である駿台予備学校が属する駿台グループと,被請求人が合併したかのような誤認を生じるおそれのある本件商標の登録は,関連グループの信用と深堀氏のグループ内での立場を失うことになりこのまま放置することは断じて出来ない。
以上のとおり,被請求人は,本件商標の登録を無効にするまで争う覚悟である。
(7)商標法第4条第1項第19号について,事実に反する憶測であること,被請求人又は現理事長を侮辱する文言は許されるものではなく,出所表示機能等の希釈や不正の目的をもって商標出願を行うはずもない旨主張している。
しかしながら,上記したように,被請求人のビジネス手法(ネーミング手法)として,相手側の名称を取り込み,両者の名称を使用することが既に行われていることからすれば,ビジネス手法として,まずは「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の商標登録を受け,続いて当該「駿台観光&外語ビジネス専門学校」という登録商標を使用した専門学校を,「外語ビジネス専門学校」に隣接して設立し,あるいはまた駿河台学園の理事長である山崎良子氏が理事長を勤める駿河台アカデミー学園(被請求人が駿台グループと主張する学園)が運営する「駿台外語&ビジネス専門学校」の校名を,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」あるいは「駿台&外語ビジネス専門学校」等の校名に変更すること等して,深堀学園を経営的に窮地に追い込み,最後に吸収合併等を行おうとしていることは容易に想像されることである。
このように出所表示機能等の希釈や不正の目的をもってなされた「駿台観光&外語ビジネス専門学校」という商標について登録を認め,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の使用について,特許庁がお墨付きを与えることは,断じてあってはならないことである。
(8)平成29年9月1日付け回答書について
ア 被請求人は,「学校法人駿河台学園を母体とする駿台グループ「駿台文庫株式会社,駿台教育センター株式会社,駿台国際教育センター株式会社,駿台教育振興株式会社,学校法人駿台甲府学園,学校法人駿河台南学園,株式会社駿台教育研究所,エスエイティーティー株式会社,株式会社ユニヴァーサル,学校法人駿河台大学,駿台教育研究株式会社,株式会社駿台・浜学園,世界14ヵ所デ駿台海外校を管理運営する現地法人など」は,「『駿台』を駿河台学園(駿台グループ)の略称として,1927年(昭和2年)から現在に至るまで,約90年間,北海道から九州の全国及び世界14か所にて,上記した多方面に亘る使用,広告(新聞広告,WEB広告,看板広告,案内書,パンフレットなど)を,多額の費用を掛けて数えきれないほどの回数を積極的に全国的に使用し続けている事実から,『駿台』は自他役務識別機能,質保証機能,宣伝広告機能,出所表示機能等を十分に発揮しており,また多数の需要者及び取引者は『駿台』を駿台グループの略称として使用し,認識しており,『駿台』の文字が学校駿河台学園(駿台グループ)の著名な略称である事実が明らかである。」と主張する。
しかしながら,被請求人が提出した乙第16号証?乙第158号証を見ても,「『駿台』の文字が学校法人駿河台学園(駿台グループ)の著名な略称である」とは,到底認められるものではない。
以下に,「駿台」が学校法人駿河台学園の著名な略称でないこと,また,「駿台」が学校法人駿河台学園を母体とする駿台グループの著名な略称でないことを説明する。
イ 「駿台」の文字は,学校法人駿河台学園の著名な略称ではないこと。
(ア)「学校法人駿河台学園」は,昭和27年10月20日に法人設立され,「駿台予備学校,駿台電子情報アンドビジネス専門学校,駿台観光アンド外語ビジネス専門学校,駿台法律経済アンドビジネス専門学校など」の学校を設置することを目的に設立した学校法人である(乙16)。
また,駿台文庫株式会社は,乙第17号証を見る限り,「学校法人駿河台学園」とは別の法人である。同様に,駿台教育センター,駿台国際教育センター株式会社,駿台教育振興株式会社,駿台甲府学園,駿河台南学園,株式会社駿台教育研究所,エスエイティーティー株式会社,株式会社ユニヴァーサル,学校法人駿河台大学は,乙第18号証?乙第26号証を見る限り,「学校法人駿河台学園」とは別の法人である。
なお,駿台教育研究株式会社,株式会社駿台・浜学園,駿台海外校を管理する現地法人」については,商業登記簿謄本が提出されていないため,「学校法人駿河台学園」との関係は,不明である。
(イ)上記したように,「学校法人駿河台学園」と別の法人である,個々の法人(駿台教育センター,駿台国際教育センター株式会社,駿台教育振興株式会社,駿台甲府学園,駿河台南学園,株式会社駿台教育研究所,エスエイティーティー株式会社,株式会社ユニヴァーサル,学校法人駿河台大学)において,「駿台」なる標章を使用しても,取引者,需要者は個々の法人の出所表示として認識し,「学校法人駿河台学園」の略称として認識することはできない。
したがって,前記個々の法人の「駿台」なる標章の使用の事実は,「学校法人駿河台学園」の「駿台」の著名性に何ら貢献するものではない。
(ウ)また,乙第27号証?乙第123号証を見ても,そのほとんどが「駿台と駿台の横にSUNDAIを併記」の結合標章(例えば乙27),「四角枠内の上段に駿台と下段にSUNDAIを併記」の結合標章(例えば乙31),「四角枠内の上段に駿台,下段に予備校の併記」の結合標章(例えば乙29),「駿台予備学校」の標章(例えば乙32)であって,「駿台」の文字のみからなる標章の使用は数少ない。
さらに,「駿台」の文字のみからなる標章を使用している,乙第44号証,乙第46号証?乙第49号証,乙第62号証?乙第70号証,乙第81号証?乙第83号証,乙第85号証?乙第87号証,乙第100号証?乙第107号証においても,役務を提供する「駿台予備学校」の各教室が表記されているのみで,それを管理,運営する「学校法人駿河台学園」の表示はない。
また,乙第126号証に示された昭和53年から昭和56年の広告において,「駿台」の文字のみからなる標章の使用が認められるが,その殆どが,「高等予備校」「進学研究会」「電算専門学校」などの文字が付されており,「駿台」の文字のみからなる標章の使用は少ない。更に,役務を提供する「駿台予備学校」の表記があるのみで,それを管理,運営する「学校法人駿河台学園」の表示はない。
それ故,「駿台」の文字のみからなる標章に接した取引者又は需要者は,上記使用の事実をもってしても,その役務の出所が「駿台予備学校」と認識するとはいい難く,ましてや「学校法人駿河台学園」の略称としてまで認識し得るものではない。
(エ)また,乙第127号証に示された「駿台電子情報&ビジネス専門学校」において使用されている標章は,「四角枠内の上段に駿台と下段にSUNDAIの併記」の結合標章である。また,乙第128号証,乙第131号証に示された「駿台法律経済&ビジネス専門学校」,乙第129号証に示された「駿台観光&外語ビジネス専門学校」,乙130号証に示された「駿台電子情報&ビジネス専門学校」において使用されている標章は,「四角枠内の上段に駿台と下段にSUNDAIの併記」の結合標章である。
さらに,役務を提供する「各専門学校」が表記されているのみで,それを管理,運営する「学校法人駿河台学園」の表示はない。
(オ)このように「前記各専門学校」では,「駿台」の文字のみからなる標章を使用しておらず,加えて「学校法人駿河台学園」の表示がないことからしても,取引者,需要者は「駿台」を「学校法人駿河台学園」の略称と連想・想到し得るものではない。したがって,「駿台」の文字は,学校法人駿河台学園の著名な略称ではないことは明らかである。
ウ 「駿台」が学校法人駿河台学園を母体とする「駿台グループ」の著名な略称でないこと。
被請求人が提出した乙第16号証ないし乙第158証を見る限り,「駿台グループ」について,その証拠に記載されているように,「学校法人駿河台学園のグループ」「駿台予備学校グループ」,「駿台グループ」の名称が用いられおり,それらの関係も明らかではない。しかも,上記証拠のうち「駿台」の文字のみかなる標章を用いて,「駿台グループ」を宣伝,広告する,商標的使用を行っている証拠は,見当たらない。
さらに,「駿台グループ」なるものが,いつ発足したのか定かではないばかりか,駿台グループの加盟法人も上記証拠からは明らかではない。あえて言うならば,甲第185号証(乙129:駿台観光&外語ビジネス専門学校のホームページ)に記載された,「駿台電子情報&ビジネス専門学校,駿台観光&外語ビジネス専門学校,駿台トラベル&ホテル専門学校,駿台法律経済&ビジネス専門学校,駿河台大学」が駿台グループであり,「四角枠内の上段に駿台と下段にSUNDAIを併記」の標章を用いているものと推測される。
上記状況からして,「駿台」の文字のみからなる標章が,学校法人駿河台学園を母体とする駿台グループの著名な略称として,取引者及び需要者の間に広く認識されているとは到底言えるものではない。
したがって,「駿台」が学校法人駿河台学園を母体とする「駿台グループ」の著名な略称でないことは明らかである。
エ 「駿台」の文字は,「学校法人駿河台学園」及び「駿台グループ」の著名な略称ではない社会的状況
神田駿河台は,江戸時代の古くから「駿河台」を略して「駿台」と呼ばれており,いわゆる地名の略称である(甲196)。そして,この地名に因んだ「駿台学園」という名称の学園も存在する(甲192?甲194)。
この「駿台学園」は,学校法人駿河台学園よりも20年以上も古い,昭和7年2月22日に設立された学校法人であり(甲194),東京神田駿河台に「駿台商業高校」として誕生し(甲193),現在,駿台学園中学校高等学校を運営している。また,甲第192号証に示すように,「SUNDAI SCHOOL」を含む校章が用いられ,「駿台同窓会」なる組織も存在する。
しかも,「○○学園」を「○○」と省略することが,一般的に行われるところである。例えば,「栄光学園」を「栄光」,「麻布学園」を「麻布」,「開成学園」を「開成」,「桜蔭学園」を「桜蔭」,「跡見学園」を「跡見」,「桐蔭学園」を「桐蔭」,「桐朋学園」を「桐朋」の如くである。したがって,「駿台学園」の「学園」を省略し,「駿台」と称することは容易に予想される。
一方,この「駿台学園」が運営する中学校,高等学校は,大学,専門学校と同様に,経歴書に記載するいわゆる学歴となる学校であり,学習を補習する,あるいは受験するための学習塾,予備校とはその性質を異にするものである。
それ故,取引者及び需要者は,中学校高等学校の延長線上にある専門学校,大学など学歴となる学校にあっては,「駿台」という標章からは,「駿台予備学校」を連想・想起するよりも,むしろ「駿台学園」を連想・想起する可能性が高い。
言い換えれば,中学校,高等学校,専門学校,大学などでは,「駿台」の文字は,「学校法人駿河台学園」及び「駿台グループ」の略称として理解,認識されることは,むしろ少なく,著名であるとは到底考えられない。
(9)上記のとおり,被請求人が提出した乙第16号証ないし乙第158号証,及び「駿台学園」の存在などを総合的に判断すると,「『駿台』の文字が学校法人駿河台学園(駿台グループ)の著名な略称である」とは,到底認められるものではない。

第4 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求める,と答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第158号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)不服2015-860の審決(甲16)において,本件商標と引用商標は非類似と認定されていることからも明らかであるように,本件商標は,引用商標とは,外観,称呼及び観念において何れも相紛れるものではなく全体として類似しないものである。かつ,本件商標中の「駿台」の文字は著名な略称であり,本件商標が駿河台学園(駿台グループ)による専門学校であることは著名な事実であり,需要者・取引者は,本件商標に係る指定役務と引用商標に係る指定役務とは誤認せず出所の混同が生じるおそれはないものである。さらに,引用商標は,上記不服審決において「その商標権者の業務に係る役務を表すものとして広く知られているものと認め得る実情はない」と認定されているとおり,周知著名な商標ではないことからも,出所の混同が生じるおそれもないものである。まして,被請求人がフリーライド,不正の目的で出願することはあり得ず,商道徳に反しないことは明らかであるから,本件商標の登録は無効にされるべきものではない。
(2)本件商標について
本件商標は,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」から構成されている。
被請求人は,本件商標を平成26年4月から大阪府豊中市寺内に所在の専門学校の校名として使用しているが,当該専門学校は,昭和55年に「駿台外語専門学校」として開校し,平成6年にイメージをより鮮明にするために学校名を「駿台外語国際専門学校」に変更し,さらに,平成10年からは「駿台観光&外語専門学校」として使用していた経緯がある。
そして,平成26年4月からは,観光ビジネス系と外国語ビジネス系の育成拡充をより図るべく,観光(知識)ビジネスと英語,中国語,韓国語の外国語を必要とするビジネス,例えばエアライン,ホテル,ブライダル,トラベル,鉄道などの職業に役立つ専門学校であることをより明確かつ明瞭にするために,当該専門学校名を,昭和55年から不変の駿河台学園(駿台グループ)の著名な略称である「駿台」を語頭に付した本件商標「駿台観光&外語ビジネス専門学校」に変更したものである。
当該事実から明らかなように,昭和55年の専門学校名から現在に至る約36年間,一貫して駿河台学園(駿台グループ)の著名な略称である「駿台」の文字が常に語頭に存在する。したがって,本件商標が「駿河台学園(駿台グループ)による専門学校」であることは,本件商標の需要者及び取引者である専門学校生等を含め周知著名である。なお,当該専門学校の生徒並びに職員等は,専門学校名を昭和55年から平成9年までは「駿台外語」,平成10年から現在に至るまでは「駿台観光&外語」又は「駿台観光外語」と略称して称呼していることからも「駿台グループの専門学校である」と認識している事実が明らかである。
本件商標は,昭和55年から現在に至るまで約36年間,そしてこれからも変わることのない著名な略称「駿台」を最初に表し,観光ビジネス系と外国語ビジネス系の育成拡充を明確にするために,被請求人が独自に造った造語である。
なお,被請求人による駿台グループとしての著名な略称である「駿台」の文字は,1927年(昭和2年)から使用され,約90年間,一貫して変わることなく「駿台」(登録第1696211号,登録第3102563号)を使用し続けているものである。具体的には,本件商標の他に,北海道から九州地方に至る全国各地の35校の駿台予備学校,駿台文庫,駿台電子情報&ビジネス専門学校,駿台甲府高等学校,駿台甲府中学校,駿台甲府小学校,駿台トラベル&ホテル専門学校,駿台法律経済&ビジネス専門学校,駿台国際教育センター,駿台教育研究所,駿台個別教育センター,駿台小中学部,駿台中学部,駿台・浜学園などの学習塾,駿台シンガポール校,駿台香港校,駿台上海校,駿台マレーシア校,駿台ミシガン国際学院,駿台バンコク校,駿台ジャカルタ校,駿台浦東校,駿台台北校,駿台ニューヨーク校,駿台ニュージャージー校,駿台ミャンマー校,駿台デュッセルドルフ校など,幅広く日本のみならず海外においても,駿台グループとしての著名な略称「駿台」を統一して語頭に使用している事実が明らかであり(乙1,乙2),今後も,恒久的に著名な略称「駿台」を使用し続けるものである。
以上から,本件商標が「駿台グループによる専門学校」であることは,少なくとも需要者および取引者には著名な事実である。当該事実は,不服2015-860の審決において,「・・・駿河台大学,駿台電子情報&ビジネス専門学校など5つの専門学校を擁するなど,本願商標の指定役務中『技芸・スポーツ又は知識の教授』との関係においては,数多くの予備校等を経営する請求人若しくは請求人に関連するグループの著名な略称として一般に知られているものである。」と認定されていることからも明らかである。
なお,特許庁の特許情報プラットフォームで「?駿台?」を検索すると33件が検索され,1件を除き全て商標登録出願人又は商標権者は,駿台グループ関連の名義人であることからも上記事実が窺える(乙3,乙4)。
2 無効理由について
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の構成からなり,「駿台」の文字は,昭和55年度の専門学校の開校以来一貫して変更することなく約36年間,語頭に表し,かつ被請求人である学校法人駿河台学園を母体とする駿台グループの略称として約90年間使用し続けている事実から,十分に自他役務識別機能,質保証機能,出所表示機能,宣伝広告機能を発揮する著名な商標であり,著名な略称である。したがって,本件商標からは,「駿台グループによる観光と外語ビジネスの専門学校」程の意味合いを容易に生じさせるものである。
一方,引用商標は,「外語ビジネス専門学校」の構成からなるから,「外国語ビジネスの専門学校」程の観念が生じさせるものである。
したがって,拒絶査定不服審判請求書(甲12)及び当該審決において判断されているように,引用商標からは,「駿台グループによる観光と外国語に関するビジネスに役立つ教授を行う専門学校」程の意味合いは生ぜず,外観及び観念において相紛れるものではなく明らかに類似しないものである。
本件商標は,永年使用し続ける不変の「駿台」の文字を語頭に表した「駿台観光&外語ビジネス専門学校」から構成されているから,必ず「スンダイ」の称呼が生じ,本件商標からは「スンダイカンコウアンドガイゴビジネスセンモンガッコウ」又は「&」を除いた「スンダイカンコウガイゴビジネスセンモンガッコウ」の称呼が生じるものである。
また,「ビジネス専門学校」及び「専門学校」は多数存在するものであるから,「ビジネス専門学校」及び「専門学校」は自他役務識別機能を発揮しない一般名称と考えられ,さらに,上記したように当該専門学校の生徒等は,平成10年からは専門学校名を「駿台観光&外語」(駿台観光外語)と略称している実際の取引事情を考慮すると,「スンダイカンコウアンドガイゴ」又は「スンダイカンコウガイゴ」の称呼が生じるものである。
一方,引用商標は,「外語ビジネス専門学校」から構成され,同様に,「ビジネス専門学校」及び「専門学校」は一般名称であり,引用商標全体として自他役務識別機能を有する商標であると考えられる。そうすると,引用商標からは「ガイゴビジネスセンモンガッコウ」,若しくは「ビジネス専門学校」等を除いた「外語」から「ガイゴ」,「ガイゴビジネス」の称呼が生じるものである。
したがって,称呼においても,本件商標は引用商標と相紛れることはなく,明らかに類似しないものである。
本件商標及び引用商標中の「専門学校」の部分は,第41類に係る指定役務「知識の教授,語学の教授」との関係から,自他役務識別機能は発揮しない一般名称であることは明らかである。また,本件商標及び引用商標中の「ビジネス専門学校」の部分を,インターネットで検索すると「○○ビジネス専門学校」は全国各地に多種多様のビジネス専門学校が存在することを考慮すると,「専門学校」と同様に自他役務識別機能は発揮しない一般名称と考えるのが慣習である。
そうすると,「専門学校」又は「ビジネス専門学校」を除いた本件商標中の「駿台観光&外語ビジネス」又は「駿台観光&外語」と,引用商標中の「外語ビジネス」又は「外語」が自他役務識別機能を発揮する要部と考えられる。「外語ビジネス」,「外語」の部分は同一であるが,本件商標中の語頭に表す「駿台」の文言は,当該専門学校名の前身の時代から約36年間使用され続けていること,全国各地に校舎を有する大手予備学校「駿台予備学校」の存在等があること,また「駿台グループ」の略称として約90年間使用し続けている事実から,自他役務識別機能,質保証機能,宣伝広告機能,出所表示機能等を十分に発揮している著名な商標であり,当該「駿台」から生じる称呼「スンダイ」の明らかな相違がある。
また,本件商標の需要者である専門学校生が専ら「駿台観光&外語」「駿台観光外語」と呼んでいる実際の取引実情も考慮すると,本件商標中の「駿台観光&外語」から「スンダイカンコウアンドガイゴ」「スンダイカンコウガイゴ」の称呼が生じるものであり,ことさらに分離し本件商標中の語頭の著名な略称「駿台」,「観光」を除いた「ガイゴビジネスセンモンガッコウ」のみの称呼は生じることはあり得ないものである。
一方,引用商標からは「外語ビジネス専門学校」全体から「ガイゴビジネスセンモンガッコウ」の称呼が生じ,一般名称である「専門学校」又は「ビジネス専門学校」を除いた場合は,「ガイゴ」,「ガイゴビジネス」の称呼が生じるものである。
また,仮に,引用商標が引用商標中の「校」の文字がデザイン化されていることから識別力あるものと認定され登録に至った商標である場合は,引用商標全体として自他役務識別機能を発揮する商標であると考えられ,本件商標は,当該引用商標「外語ビジネス専門学校」の前に,自他役務識別機能等を十二分に発揮する著名な略称「駿台」と「観光&」を付した構成より成るので,本件商標と引用商標は称呼においても相紛れるものではなく類似しないものである。
したがって,本件商標と引用商標の類否において,全体観察ではなく分離観察した場合においても,外観,称呼及び観念の何れも相紛れるものではなく,出所の混同が生じるおそれもないものである。また,不服審判の審決において「本件商標中の『駿台』は,著名な略称として一般に知られているものであり,本件商標は引用商標と外観上明確に区別でき,称呼においても互いに聞き誤るおそれはないものであり,観念上も互いに相紛れるおそれはないものであり,非類似の商標というべきである」と判断されているように,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
なお,請求人は,審判請求書において,「・・・視覚上『駿台観光』と,『外語ビジネス専門学校』に分離して認識される。実際の使用例として,『駿台観光&外語ビジネス専門学校』の2015年度入学案内の表紙,背表紙,裏表紙(甲21)に『駿台観光&外語ビジネス専門学校』の名称が大きく表示されているところ,同表示中,約3分の2を引用商標と同一である『外語ビジネス専門学校』が占めていることからも,『外語ビジネス専門学校』が分離して認識されることは明らかである。・・・」と述べているが,当該甲第21号証から明らかなように,本件商標は同書同大同間隔で使用され,一連一体の1ワードの構成から成り,また,本件商標中の「駿台」は,当該分野において著名商標であり自他役務識別機能等を十分に発揮する商標であるから,「駿台」の文字を切り離して,「外語ビジネス専門学校」のみの外観,称呼及び観念が生じることはあり得ないものである。
(2)商標法第4条第1項第8号について
請求人は,審判請求書において,「・・・また,請求人は,・・・本件商標の登録時はもとより出願時前である昭和57年より現在に至るまで長きにわたり『外語ビジネス専門学校』を使用していることから請求人が経営する専門学校の名称として,進学を希望する生徒,その父兄,教育関係者をはじめとする取引者,需要者間においてよく知られているものといえるものであるから,著名な略称といえるものである(甲20)・・・」と述べているが,引用商標を昭和57年から使用していることを理由に「著名な略称」に該当するはずがない。
また,甲第20号証を確認すると,引用商標を使用する専門学校は神奈川県川崎市所在の1校のみである。
47頁には,1948年「神奈川県の認可を受け川崎市民米語学校を設立」,1959年「川崎英語学校と改称」と記載されている事実から「川崎」市の専門学校と考えられる。2002年「川崎商工会議所と連携し貿易実務実践講座を開設」,2008年「川崎市教育委員会連携公開講座開始」,50,51頁には,「川崎周辺おすすめスポット」を入学案内に掲載している事実からも,引用商標は神奈川県の一部である川崎市内のみでの使用が殆どであり,世間一般に広く知られているものではなく,著名な商標(略称)には該当しないものである。
また,出所の混同が生じるおそれもないため,引用商標権者の人格的利益を損なうはずもない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しないものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 商標の類否について
請求人は,審判請求書において,諸々述べているが,上記したように,本件商標と引用商標は外観,称呼及び観念において類似しないものである。
イ 出所の混同について
本件商標に係る指定役務と引用商標に係る指定役務に関して,出所の混同が生じるおそれもないものである。すなわち,本件商標は,当該分野において永年使用する著名な「駿台」を語頭に表したものであるから,需要者,取引者は「駿台グループの駿台観光&外語ビジネス専門学校」程の意味合いを容易に認識するものである(甲12,甲16)。ことさらに需要者,取引者が本件商標中の「外語ビジネス専門学校」の文字のみを着目することはあり得ず,かつ当該文字のみで取引されている実情はなく,引用商標を連想,想起することもないものである。
また,引用商標は基本的に川崎市の一部での使用が大半であると考えられ,周知著名な商標とは考えられず,需要者および取引者は,本件商標の指定役務と引用商標の指定役務について出所の混同が生じるおそれもない。なお,甲第12号証の審判請求書において述べているように,本件商標を使用する専門学校において引用商標の専門学校と出所の混同が生じている事実は無いものであり,今後もあり得ないものである。
請求人が審判請求書において,「・・・むしろ,意識的に周知・著名商標である引用商標を取り入れたものと認識される。・・・当然に,取引者,需要者は役務の出所についての誤認混同が生じるおそれがある。・・・」と述べているが,指摘するまでもないが,日本全国及び世界各地に予備学校,専門学校,塾などを有する本件商標の商標権者が,引用商標を意図的に取り入れるはずもない。駿台グループには必ず「駿台」又は「駿河台」の表記があるため,需要者及び取引者は,引用商標権者と経済的又は組織的に何らかの提携があるとは認識せず,出所の混同が生じないものであり,生じるおそれもないものである。実際に,本件商標を使用した指定役務の提供を受けた需要者および取引者が,引用商標に係る指定役務と出所の誤認混同が生じた事実は一切ないものである。
また,昨今インターネットが普及され,誰でも気軽にインターネットで調べることができることから,需要者及び取引者は,本件商標は,駿台グループの専門学校であることを容易に確認でき,著名な駿台グループのブランドカから安心して入学するものであり,駿河台学園等のサイト上に引用商標権者と提携等するなどの掲載がないことからも,需要者,取引者は引用商標権者と関係があるとは考えるはずもないものである。
甲第24号証の1の「外国語」,「ビジネス」,「専門学校」のように別々に検索する者は,本件商標と引用商標の存在を知らないものが検索するものであり,何ら根拠にならず,甲第24号証の2の検索トップページのサイトには,「1948年川崎市の後援により・・・」や「神奈川県川崎市の日本語学校(CBC)外語ビジネス専門学校」と広告され,当該サイトには「・・・川崎市民との交流・・・川崎と世界の橋渡しという役割を担って・・・」と掲載されている事実があり(乙5),基本的に川崎市の一部での使用がほとんどであると考えられる。
甲第39号証等の資料に,「川崎市立の小中学校・特別支援学校に通う児童・生徒とその保護者等に配布されている・・・」と述べている。本件商標に係る指定役務の提供を受ける需要者等は高校生が殆どであり,本件商標の取引者,需要者層と相違する。他には,本件商標をGoogleにて検索すると検索トップページには本件商標に関するサイトのみが検索される(乙6)。
以上から,需要者及び取引者は,本件商標に係る指定役務と引用商標に係る指定役務を誤認することはなく,出所の混同を生じるおそれはあり得ないものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。
(4)商標法第4条第1項第19号について
請求人が審判請求書において,「引用商標は,・・・本件商標の出願時には,すでに深堀氏が学校長を務める専門学校の学校名に使用する商標として,少なくとも専門学校に入学を希望する生徒,その父母,教育関係者等の需要者,取引者間において広く認識されていたものである。・・・さらに,被請求人は,専門学校を営む法人であるため,・・。『外語ビジネス専門学校』についても当然に認識していたにもかかわらず・・・」と述べているが,本件商標と引用商標とは類似しないものである。
引用商標は,本件商標の商標登録出願日前に需要者,取引者間において広く認識されていた周知著名な商標とは考えられない。また,少なくとも被請求人の担当者は引用商標権者の専門学校自体の存在を知らなかった。
したがって,被請求人は引用商標の出所表示機能等の希釈化不正の目的をもって,本件商標の商標登録出願を行うはずもないから,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しないものである。
(5)商標法第4条第1項第7号について
引用商標は,上記したように広く認識されていないと考える。
「全国専修学校総覧」は,甲第26号証から明らかなように,認可された全国各地の多種多様な専門学校が多数掲載され,掲載されている理由をもって「周知」とはいえないものである。仮に,掲載されている事実から周知とすれば,他の多種多様の多数の専門学校も周知な専門学校となり,商標法の法目的に反することに成りかねない。
請求人が審判請求書において,「・・・被請求人は,引用商標が,専門学校の名称として,本件商標の出願前より使用され,広く認識されていることを十分承知していた上で本件商標を出願し,登録を受けたものであることは疑いないものである・・・」と述べているが,引用商標は広く認識されているものではなく,引用商標の存在自体知らなかったものである。
以上から,本件商標は,公序良俗を害するおそれは全くないものであり,出所の混同が生じるおそれもなく,社会一般の道徳観念に反しないものであるから,商標法第4条第1項第7号に該当しないものである。
なお,「このことは,専門学校を運営する教育業界にあっては,他人の専門学校名と紛らわしい名称は選択しないという暗黙の了解があり,この暗黙の了解により秩序が保たれている。各校によって,業界のモラルが守られてきたために今まで争いが生じることはなかった。」と述べているが,「外語」と「ビジネス」を含めた校名の専門学校は,少なくとも本件商標の他にも,東京都所在の「駿台外語アンドビジネス専門学校」,「専門学校 東京ビジネス外語 カレッジ」,長野県所在の「専門学校 長野ビジネス外語 カレッジ」,下記に述べる高知県所在の「高知外語ビジネス専門学校」,沖縄所在の「沖縄ビジネス外語学院」などが存在し争いが生じた事実はないと考える。甲第27号証に関して,平成26年10月21日付けの合意書を締結した学校法人日米学院は,インターネット情報によると,少なくとも2005年から「高知外語ビジネス専門学校」を使用していたものと推測でき(乙7),引用商標権者は第三者の使用を約10年間放置していたことになる。
(6)引用商標の周知・著名性について
請求人が審判請求書において,諸々述べているが,甲第29号証ないし甲第32号証のチバテレビに関して,放映日は平成28年9月10日であり,至極最近のものである。甲第29号証の視聴率については,推測であり需要者及び取引者が不明であるから,40万?50万人が視聴していた事実を何ら立証するものではない。
また,甲第30号証のDVDを確認すると,引用商標の専門学校については05:00?13:00までの約8分間のみ放映され,後半は別会社に関するものであるから,40万?50万人が視聴していたとするのは妥当ではない。
甲第34号証の日刊CARGOの掲載日も平成28年7月1日であり最近のものである。
甲第35号証ないし甲第38号証に関して,引用商標に係る指定役務の取引者,需要者が明らかでなく,仮に企業や官公庁の従業員であれば,本件商標に係る指定役務の提供を受ける需要者,取引者層とは全く異なり,この点からも出所の混同が生じるおそれはない。本件商標の需要者,即ち日本人の生徒は,18,19歳の生徒が90%以上を占めており,高校を卒業後,直ぐに本件商標の専門学校に入学している現状であり,企業や公官庁などは本件商標の需要者及び取引者ではない。
甲第39号証の平成27年1月から平成28年8月発行までの広告物一覧に関して,決して多いものではなく何れの場所に配布したのか不明である。
甲第39号証の1及び2の情報によると,1年8ヵ月で印刷部数が84,430部であり,余った広告物等も勿論存在するだろうから,配布等されたのは当該部数より少ないと考えられる。なお,本件商標のウェブ広告等を除いた日本人向けの入学案内や募集要項のパンフレットなどの広告物の印刷部数は,平成28年度の1年間のみで約15万部である。
また,甲第39号証等は,引用商標が全面でなく一部の掲載や,羅列されている多数の専門学校のうちの1つとしての掲載などであり,かつ川崎市のみで使用されている場合が多く,参加者も多くないと考える。
甲第39号証の14や甲第40号証ないし甲第57号証等(甲62,甲63,甲65?甲69,甲104,甲129?甲167)に掲載された情報は,甲第16号証の審決において判断されているように,「外語ビジネス専門学校」の一生徒に関するものや,深堀学園の理事長や校長等に関する記事であり,引用商標の周知性を立証する資料ではないものである。
なお,本審判請求書に「川崎市立の小中学校・特別支援学校に通う児童・生徒とその保護者等に配布されている・・・」と述べているが,本件商標の需要者及び取引者とは相違する。
甲第60号証,甲第61号証に関しても,同様に配布先が会員事業所,市内の図書館,川崎信用金庫などであり,本件商標の需要者及び取引者とは相違する。甲第64号証は,開催場所として掲載されているだけである。甲第70号証は,部数などが不明である。
甲第71号証の「全国専修学校総覧」は,甲第26号証から明らかなように,認可された全国各地の多種多様の専門学校が羅列されているものである。
甲第72号証ないし甲第114号証,甲第119号証,甲第168号証においても,神奈川県や日本全国の専門学校が羅列され,その1つの専門学校として掲載されているものであり,引用商標が周知であることを立証する証拠資料ではない。
甲第114号証の昭和60年12月発行の「CBC JOURNAL」には,引用商標の表記がない。
甲第125号証は,イベントの内容は定かではなく,回数も決して多いものではないと考える。
請求人が審判請求書において,「同校が印刷物による広告に要した費用だけで昭和57年からの累計が13億円以上に上る。・・・」と述べているが決して多い額ではないと考える。
ちなみに,本件商標の商標権者が,看板広告,海外への広告費用などは除いた,駿台予備学校などの平成28年度の1月から12月までの1年間のみに掛った新聞広告費用は約2億8千万円,WEB広告費用(平成28年4月から29年3月までの一年間)は約3千6百万円である。
以上から,引用商標が使用されている事実は窺えるが,甲第16号証の審決とおり,決して周知な商標とは考えられない。
(7)まとめ
以上のとおり,請求人の主張は,商標法第4条第1項第7号,同第8号,同第11号,同第15号及び同第19号のいずれも理由がないものである。
3 第2答弁書(平成29年9月1日付け)
(1)請求人は,弁駁の理由において,「なお,審判官は,『数多くの予備校等を経営する被請求人若しくは被請求人に関連するグループの著名な略称として一般に知られているものである。』と認定しているが,知られているのは『駿台予備学校』だけにすぎず,『駿台グループ』は一般に知られていない」と述べているが,「駿台予備学校」を経営運営するのは被請求人であり,被請求人は「駿台グループ」の母体であり,「駿台」は,被請求人のみならず関連するグループにおいて,永年使用され続けている著名な略称である。
請求人は,弁駁の理由において,「新たに甲第179号証の1,甲第179号証の2として提出するグーグルの検索結果の第1頁から明らかなように,『外語ビジネス専門学校』は上位にヒットしている。」と述べているが,「外語ビジネス専門学校」,「外語ビジネス」を検索すると,検索トップページには,2,3番目にヒットされるが,請求人以外に「日本電子専門学校」,「東京ビレッジ外語カレッジ」,「東京外語専門学校」,「NCC東京校」,「専門学校沖縄ビジネス外語学院」,「TERA外語ビジネス学院」,「JTBトラベル&ホテルカレッジ」,「大原学園」など請求人以外の様々な専門学校のサイトが検索される事実が明らかである(乙8,乙9)。
また,「新たに甲第180号証として提出する英語関連学科のパンフレットをみてもらえば,学生が北海道から沖縄まで様々な県からの出身者が在籍している一端が窺い知ることができる。これからも,『外語ビジネス専門学校』全国的に知られていることは明らかである。」と述べているが,甲第180号証のパンフレットによると,神奈川県以外ではわずか33人の生徒であり,決して多い生徒数ではなく,全国的に知られているはずもないものである。
また,「更に,本年6月2日に・・・約1500万世帯で視聴が可能であった。」と述べているが,証拠資料は何ら提出されておらず単なる憶測でしかない。
さらに,「以上のとおり,・・・その構成中に他人の名称でありかつ登録商標である引用商標が含まれていることが明らかな本件商標は無効にされなければならない。」と述べているが,構成中に他人の名称でありかつ登録商標が含まれている商標は,指摘するまでもなく多数登録に至っている。一例を挙げると,株式会社サンライズ名義の登録第4013725号の12商標「サンライズ/SUNRISE」(乙10)と株式会社ニュー・オータニ名義の登録第4645304号商標「SUNRISE GARDEN/サンライズガーデン」(乙11)や,株式会社アシスト名義の登録第2623756号商標「株式会社アシスト」(乙12)と日本電子電話株式会社名義の登録第3244213号商標「オーダーアシスト」(乙13),株式会社アシスト本舗名義の登録第5218841号商標「アシスト本舗」(乙14)など,構成中に他人の名称であり,かつ登録商標が含まれている数多くの登録商標が,商標法第4条第1項第7号,同第11号等の無効理由に該当せず有効に併存している事実が明らかである。
(2)請求人は,弁駁の理由(商標法第4条第1項第11号)において,「以上のとおり,本件商標は,その構成及び上記近年の経済界の事情等を考慮すれば,これに接する取引者,需要者をして,・・・『駿台観光専門学校』と『外語ビジネス専門学校』とが合併したかのように認識し・・・」と述べているが,被請求人を母体とする駿台グループの専門学校は,「駿台電子情報&ビジネス専門学校」,「駿台外語&ビジネス専門学校」,「駿台トラベル&ホテル専門学校」,「駿台法律経済&ビジネス専門学校」,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」が存在し(乙15),本件商標の専門学校名を含め全て「&」で結ばれている実情がある。また,先の答弁書において述べたように,大阪府豊中市寺内に所在の専門学校の校名は,平成10年からは「駿台観光&外語専門学校」,平成26年4月から本件商標の校名を使用している実情がある。したがって,上記実情などからも,取引者,需要者が,合併したかのように認識するはずもないものである。
よって,平成29年1月12日付け提出の答弁書にて述べているように,本件商標は,引用商標と類似せず,出所の混同が生じるおそれもなく,商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
(3)請求人は,弁駁の理由(商標法第4条第1項第7号)において,「『外語ビジネス専門学校』を本件商標中に取り込み,将来的に『外語ビジネス専門学校』を系列化しようとする布石であるとも推測される。」,「他人の名称であることを知って,意図して他人の名称を一部に採用し・・・商取引上の慣習を無視し,出願し登録を受けたものであることは明らかである。」など種々述べているが,そのような事実は全くなく,かつ教育方針などあらゆる分野で思想が相違する請求人の専門学校を系列化することなど,あり得ないものである。
また,「被請求人は,『・・・引用商標権は第三者の使用を約10年間放置していたことになる。』と主張する。」に対しての回答を請求人はしておらず,請求人は自己の学校の名称である登録商標の管理も厳格に行っているとは考えられない。
よって,平成29年1月12日付け提出の答弁書にて述べているように,本件商標は,公序良俗を害するおそれは全くないものであり,出所の混同が生じるおそれもなく,社会一般の道徳観念に反しないものであるから,商標法第4条第1項第7号に該当しないものである。
(4)請求人は,弁駁の理由(商標法第4条第1項第8号)において,甲第170号証を証拠に種々述べているが,事件は時代背景など個別具体的に判断されるものであり,甲第170号証には,例えば,「一般に氏名,名称と同様に本人を指し示すものとして受け入れられている場合には,・・・保護に値すると考えられる。」,「上告人は・・・大正10年以来,教育(知識の教授)及びこれに関連する役務に使用している」と判決されており,引用商標の使用事実関係とは相違するものである。
なお,甲第171号証,甲第172号証は,「下村キク」氏,甲第173号証から甲第175号証は,「深堀和子」氏に関する資料である。
よって,平成29年1月12日付け提出の答弁書にて述べているように,引用商標は周知著名な商標とは考えられず,出所の混同が生じるおそれもなく,引用商標権者の人格的利益を損なうはずもないので,本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当しないものである。
(5)請求人は,弁駁の理由(商標法第4条第1項第15号)において,種々述べているが,上述したように甲第180号証をみると,神奈川県以外の生徒数は,わずか33人のみであり,また,「駿台」と「外語ビジネス専門学校」が提携したかのように出所の混同が生じるおそれはあり得ず,平成29年1月12日付け提出の答弁書にて述べているように,本件商標と引用商標は外観,称呼及び観念において類似しないものであり,需要者及び取引者は,本件商標に係る指定役務と引用商標に係る指定役務を誤認することはなく,出所の混同を生じるおそれはあり得ないものであるから,本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。
(6)請求人は,弁駁の理由(商標法第4条第1項第19号)において,種々述べているが,事実に反する単なる推測であり,かつ被請求人又は現理事長を侮辱するような文言は許されるものではない。平成29年1月12日付け提出の答弁書にて述べているように,被請求人は引用商標の出所表示機能等の希釈化不正の目的をもって,本件商標の商標登録出願を行うはずもないものであるから,本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当しないものである。
4 回答書(平成29年9月1日付け)
「駿台」の文字が,駿河台学園(駿台グループ)の著名な略称である事実を,証拠資料に基づいて,以下に明らかにする。また,乙第15号証,乙第124号証から明らかなように,「駿台」(駿台グループ)は,創立者である山崎寿春氏が1918年に開いた「東京高等受験講習会」から2018年(平成30年)で,創立100周年を迎えるものである。
(1)本日現在の駿河台学園のグループは以下の構成から成る。
a,学校法人駿河台学園(乙16)
b,駿台文庫株式会社(乙17)
c,駿台教育センター株式会社(乙18)
d,駿台国際教育センター株式会社(乙19)
e,駿台教育振興株式会社(乙20)
f,学校法人駿台甲府学園(乙21)
g,学校法人駿河台南学園(乙22)
h,株式会社駿台教育研究所(乙23)
i,エスエイティーティー株式会社(乙24)
j,株式会社ユニヴァーサル(乙25)
k,学校法人駿河台大学(乙26)
l,その他,駿台教育研究株式会社,首都圏及び関西で運営する株式会社駿台・浜学園,世界14ヵ所で駿台海外校を管理運営する現地法人が存在する。
(2)学校法人駿河台学園による「駿台」の使用実績
ア 学校法人駿河台学園は,昭和27年10月20日に設立され,北海道から九州地方に至る全国各地の34の駿台予備学校のうち,札幌校,仙台校,お茶の水校,市谷校舎,立川校,大宮校,横浜校,千葉校,津田沼校,名古屋校,京都校,京都南校,大阪校,大阪南校,上本町校,神戸校,広島校,福岡校の18の駿台予備学校を管理運営している(乙27)。また,後述するように上記18校以外の他の駿台予備学校は,駿台教育振興株式会社,学校法人駿河台南学園が管理運営している。
駿台予備学校の開校した年度は,札幌校は平成5年に,仙台校は平成5年に,お茶の水校は昭和2年に,市谷校舎は昭和55年に,立川校は平成20年に,大宮校は昭和59年に,横浜校は昭和62年に,千葉校は平成5年に,津田沼校は平成17年に,名古屋校は昭和59年に,京都校は昭和46年に,京都南校は昭和64年(平成元年)に,大阪校は昭和56年に,大阪南校は昭和64年(平成元年)に,上本町校は平成7年に,神戸校は平成4年に,広島校は平成26年に,福岡校は平成6年にそれぞれ開校し現在に至っている。したがって,全国各地の駿台予備学校には,「駿台」の表記があり,昭和2年開校のお茶の水校をはじめ現在に至るまで,数えきれないほどの多数の生徒が駿台予備学校に通い,駿台予備学校を「駿台」と略し,「駿台」を,駿台予備学校を管理運営している駿河台学園(駿台グループ)の著名な略称として理解認識しているものである。
また,昭和55年度から平成28年度までの駿台予備学校が主催する駿台模試の全受験者数は,約2,271万2,000人にのぼる。したがって,その受験者が,全国の駿台予備学校等で模試を受けている事実が明らかであり,駿台予備学校を「駿台」と略し,「駿台」を,駿台予備学校を管理運営している駿河台学園(駿台グループ)の著名な略称として理解認識しているものである。
昭和54年度以前も同様に駿台模試を主催している事実は容易に推測できるものであるが,平成10年度から平成28年度の具体的な駿台模試の受験者数は,以下のとおりである。
平成10年度は約53万人,平成11年度は約51万5,000人,平成12年度は約38万8,000人,平成13年度は約52万7,000人,平成14年度は約54万5,000人,平成15年度は約53万4,000人,平成16年度は約53万9,000人,平成17年度は約53万9,000人,平成18年度は約57万3000人,平成19年度は約59万6,000人,平成20年度は約59万7,000人,平成21年度は約61万5,000人,平成22年度は約61万2,000人,平成23年度は約62万6,000人,平成24年度は約63万9,000人,平成25年度は約64万2,000人,平成26年度は約66万8,000人,平成27年度は約70万6,000人,平成28年度は約69万人である。
乙第28号証は,学校法人駿河台学園のサイト写しであり,2017年度の合格実績として,東京大学1,409名,京都大学1,421名,国公立大学医学部医学科1,952名が掲載され,上記大学の複数合格者が若干名いる可能性もあるが,計4,782名の生徒が駿台予備学校で学んでいることは勿論,東京大学,京都大学,国公立大学医学部医学科以外の大学合格者,その他の大学受験者が大勢いることは指摘するまでもないものである。多数の生徒が駿台予備学校に通い,駿台予備学校を「駿台」と略し,「駿台」を,駿台予備学校を管理運営している駿河台学園(駿台グループ)の著名な略称として理解認識しているものである。
また,北海道から九州地方の34の駿台予備学校の入学案内書の作成部数は,平成10年度から平成28年度の関西,関東の高校生(現役生),高卒者向けの入学案内書の作成部数は,3,061万5,800部にのぼり,その入学案内書には,「駿台」の文字が大きく目立つように表記されている事実が明らかである。
乙第29号証は,駿台予備学校の札幌校の2017年度のパンフレット写しであり,乙第30号証は,2017年度の仙台校の高校生(現役生)を対象とした案内パンフレットであり,乙第31号証は,2017年度の市谷校舎の高卒クラスの案内パンフレットであり,表紙の左上には目立つように「駿台」の文字があり,その他の全国各地の駿台予備学校のパンフレットにも同様に,「駿台」の文字が目立つように表記されている。
また,乙第125号証のサイトの名古屋校,福岡校,立川校,京都南校,広島校,大宮校,千葉校,津田沼校などの駿台予備学校には,目立つように「駿台」の表記がある事実が明らかである。
イ 新聞による宣伝広告
乙第32号証ないし乙第36号証は,昭和2年(1927年)4月3日,昭和11年(1936年)9月10日,昭和13年(1938年)7月3日,昭和16年(1941年)7月20日,昭和20年(1945年)11月2日,の東京朝日新聞及び朝日新聞の抜粋である。
乙第38号証は,平成29年(2017年)1月16日の朝日新聞掲載の広告データである。
乙第37号証,乙第39号証は,平成17年(2005年)5月28日,平成29年(2017年)6月28日の読売新聞掲載の広告データである。
乙第40号証は,平成29年(2017年)7月7日の日経新聞掲載の広告データである。
乙第41号証は,平成24年(2012年)4月から平成29年(2017年)3月までの関東地区に出稿した新聞一覧データ写しであり,平成24年4月から平成29年3月までの間,朝日新聞には平成25年11月,平成28年5,9,11月を除いて毎月,読売新聞には,平成25年7,8,11月,平成26年7,8,10月,平成27年7,8,9,11月,平成28年5,7,8,9,11月を除いて毎月,「駿台」の表記のある乙第38号証のデータを宣伝広告している事実が明らかである。その他,日経新聞,毎日新聞,産経新聞,東京新聞,地方新聞などに宣伝広告している事実も明らかである。
関東のみの新聞各社の広告費用は,平成24年度が約1億4,400万円,平成25年度が約1億3,000万円,平成26年度が約1億4,600万円,平成27年度が約1億3,040万円,平成28年度が約1億2,370万円である。
また,平成28年度のみの関東,関西の新聞広告に掛けた費用は,約2億8千万円であり,毎年度,約3億円相当の費用を掛けて関東及び関西において新聞広告している事実が明らかである。平成23年度以前も同程度,若しくはそれ以上に新聞における宣伝広告をしている事実は指摘するまでもなく,容易に推測できるものである。
なお,昭和53年(1978年)から昭和56年(1981年)までの,東京タイムズ,朝日新聞,毎日新聞,読売新聞,産経新聞,日経新聞,その他,静岡,河北,大阪,北海道,名古屋,京都,山梨,広島,岡山,愛媛,佐賀,鹿児島,宮城,群馬,福岡,熊本などの北海道から九州に至る全国各地の地方新聞に宣伝広告した抜粋記事の一部を,乙第126号証で証明する。
ウ 駿台予備学校の入学案内書による宣伝広告
乙第42号証は,昭和10年の駿台予備学校の入学案内書写しである。
乙第43号証ないし乙第61号証は,1998年度ないし2016年度の関西の高校生(現役生)向けの入学案内書の表紙・裏表紙写しである。
乙第62号証ないし乙第80号証は,1998年度ないし2016年度の関西の高校卒業者向けの入学案内書の表紙・裏表紙写しである。
乙第81号証ないし乙第99号証は,1998年度ないし2016年度の関東の高校生(現役生)向けの入学案内書の表紙・裏表紙写しである。
乙第100号証ないし乙第118号証は,1998年度ないし2016年度の関東の高校卒業者向けの入学案内書の表紙・裏表紙写しである。
上記駿台予備学校の入学案内書には,「駿台」の文字が大きく掲載されている事実が明らかであり,平成10年度から平成28年度の入学案内書の作成部数は,関西の高校生向け総数は,888万2,000部,関西の高校卒業者向け総数は,356万1,800部,関東の高校生向け総数は,1,146万部,関東の高校卒業者向け総数は,671万2,000部であり,関西及び関東の1998年から2016年度までの入学案内書作成部数は,合計で3,061万5,800部にのぼる。
したがって,北海道から九州地方の全国の駿台予備学校などで約3,061万部以上の入学案内書が配布され,当該案内書を受け取った高校生,高校卒業者及びその親などを含めると,6,000万人以上の需要者が,「駿台」を駿台予備学校,駿河台学園(駿台グループ)の著名な略称と理解認識していることが明らかである。
エ 首都圏(関東)内の駅の構内構外に設置してある看板に貼り付けた入学案内ポスターによる宣伝広告
乙第119号証は,首都圏内の駅に設置してある看板に貼り付けた平成20年(2008年)の関東版の入学案内ポスターの写しであり,「駿台」が目立つように表記されている事実が明らかである。
乙第120号証は,首都圏内の上記ポスターを貼り宣伝広告した駅名と期間を示すデータの写しである。当該データから,平成20年の2月から4月の間に,千葉,東京,山梨,埼玉,茨城,栃木,群馬,神奈川,新潟の9都県に所在する279の駅構内又は構外に上記ポスターを貼り宣伝広告しており,また,市バスの営業所等にも宣伝広告している事実が明らかである。
乙第121号証は,首都圏内の駅に設置してある看板に貼り付けた平成29年(2017年)の関東版の入学案内ポスターの写しであり,「駿台」が目立つように表記されている事実が明らかである。
乙第122号証は,首都圏内の上記ポスターを貼り宣伝広告した駅名と期間を示すデータ写しである。当該データから,平成29年の3,4月に,埼玉,東京,山梨,神奈川,栃木,群馬,茨城,千葉の8都県に所在する210の駅構内または構外に上記ポスターを貼り宣伝広告している事実が明らかである。
なお,平成21年?平成28年,平成19年以前も同様に,関東,関西の多数の駅構内又は構外に「駿台」が目立つように表記されている入学案内ポスターを貼り宣伝広告している事実を証明する資料は,収集できていないが,上記した使用事実等を考慮すると,ポスターを貼り同程度の宣伝広告している事実を容易に推測できるものである。
オ 首都圏の看板による宣伝広告
乙第123号証は,平成28年度の首都圏の看板設置場所のデータ及び横浜校,藤沢校の看板写真写しであり,東京,埼玉,神奈川,千葉に設置し,看板には,「駿台」の文字が大きく目立つように表記されている事実が明らかである。当該平成28年度のみの看板による宣伝広告費用は約6,300万円である。なお,平成27年度以前から永年,看板による駿台予備学校の宣伝広告を行っていることは容易に推測できるものである。
カ WEBによる宣伝広告
被請求人は,検索連動型広告,キャンパスアサヒコムのバナー広告,朝日新聞「センター試験特集ページ」のバナー広告,毎日新聞「センター試験・解答速報特集ページ」のバナー広告,朝日新聞「医学部へ行こう!」のバナー広告などのWEBによる宣伝広告も積極的に行っており,それらの広告には,「駿台」の文字が大きく目立つように表記されている。なお,2012年,2013年は約810万円,2014年は約1,245万円,2015年は約545万円,2016年は約3,600万円の費用を掛けて,全国的に「駿台」をWEBにおいて宣伝広告している。
キ 駿河台学園(駿台グループ)の案内パンフレット等による宣伝広告
乙第124号証は,乙第1号証,乙第2号証として提出した抜粋ページを含めたパンフレット写しであり,パンフレットの其々には,「駿台」の文字が掲載されている事実が明らかであり,上記した事実の説明がされており宣伝広告している。
乙第125号証は,被請求人のサイト写しであり,当該サイトには,上記した駿台予備学校の外観写真が掲載されており,名古屋校,福岡校,立川校,京都南校,広島校,大宮校,千葉校,津田沼校などの駿台予備学校の外壁に,目立つように「駿台」の文字があり,宣伝広告している事実が明らかである。
ク 乙第126号証は,上記で述べた新聞による「駿台」の宣伝広告において,昭和53年(1978年)から昭和56年(1981年)の多数の新聞に宣伝広告した抜粋記事の一部写しである。例えば,昭和53年の東京タイムズ(2月10日・・・),朝日新聞(2月20日,23日,25日,3月1日,17日,5月26日,6月1日,6月20日,7月26日・・・),毎日新聞(2月20日,5月23日・・・),読売新聞(2月23日,24日,3月1日,5月23日,6月10日,16日,21日・・・),産経新聞(3月2日,5月23日・・・),日経新聞,その他静岡,河北,大阪,北海道,名古屋,京都,山梨,広島,岡山,愛媛,佐賀,鹿児島,宮城,群馬,福岡,熊本などの北海道から九州に至る全国各地の新聞に,昭和53年(1978年)から昭和56年(1981年)の4年間において,「駿台」の文字が全国各地の新聞により,多数宣伝広告されている事実が明らかである。
ケ また,学校法人駿河台学園は,昭和45年に開校した現在校名「駿台電子情報&ビジネス専門学校」(校名は時代背景等により変更している),平成11年に開校した現在校名「駿台法律経済&ビジネス専門学校」(校名は時代背景等により変更している),昭和55年に開校した現在校名「駿台観光&外語ビジネス専門学校」(校名は時代背景等により変更している)を管理運営している(乙15)。
乙第127号証は,駿台電子情報&ビジネス専門学校のサイト写し,乙第128号証は,駿台法律経済&ビジネス専門学校のサイト写し,乙第129号証は,駿台観光&外語ビジネス専門学校のサイト写しである。それぞれの専門学校のサイトにおいても,「駿台」が表記され,宣伝広告している事実が明らかである。
乙第130号証は,駿台電子情報&ビジネス専門学校の入学案内のサイトの写し,乙第131号証は,駿台法律経済&ビジネス専門学校の入学案内の表紙の写しであり,入学案内書を多数配布している。2017年度の入学者用の入学案内書の印刷部数は,駿台電子情報&ビジネス専門学校は7,500部,駿台法律経済&ビジネス専門学校は6,000部,駿台観光&外語ビジネス専門学校は25,000部である。
なお,駿台観光&外語ビジネス専門学校における,「駿台」が表記された入学案内書を含めた募集要項,SNSチラシなどの印刷物の作成総部数は,2016年度,2017年度ともに,それぞれ約15万部である。
コ まとめ
以上説明したように,被請求人である学校法人駿河台学園は,駿台グループの母体であり,駿台グループは,「駿台」の文字を,1927年(昭和2年)から現在に至る約90年間,多額の費用を掛けて数多くの全国紙,地方版の新聞による宣伝広告,入学案内書,ポスター,看板,WEB,パンフレットなど多方面による宣伝広告を多数回,全国各地で行っている事実が明らかである。また,後述するが,日本のみならず,世界14か所で「駿台」海外校として使用している事実も明らかである。したがって,数多くの駿台予備学校,専門学校に通っている生徒や親などの需要者・取引者は,駿台予備学校を「駿台」と略し,「駿台」の文字が,駿河台学園(駿台グループ)の略称であり,「駿台」が,駿河台学園(駿台グループ)の著名な略称であることを理解認識しているものである。
(3)駿台文庫株式会社による「駿台」の使用実績
駿台文庫株式会社は,昭和43年10月25日に設立され,主に編集,出版などを管理運営している。例えば,受験生であれば誰もが一度は見たこと聞いたことがあると思われる「大学入試完全対策シリーズ」(通称「青本」)を出版している。
乙第132号証は,駿台文庫株式会社のサイトの写しである。乙第133号証は,昭和58年,昭和63年,平成10年,2008年(平成20年),2018年(平成30年)版の「大学入試完全対策シリーズ」(通称「青本」)の表紙・裏表紙の写しである。これらの表紙には大きく「駿台」が表記されている事実が明らかである。また,その他の年度も当然のことながら「駿台」の文字が表記されている。したがって,少なくとも,昭和58年度から現在に至るまで,全国各地の書店にて数多くの「青本」シリーズが販売されている事実が明らかである。
平成10年(1998年)版から平成30年(2018年)版の「大学入試センター試験対策シリーズ」,「実戦模試演習シリーズ」を除く「大学学部別シリーズ」のみの刊行部数は,約186万4,000部である。したがって,平成10年から平成30年度までの全国各地の受験生のべ約186万人が,「駿台」が表記された「大学学部別シリーズ」を購入していることになり,「駿台」が駿台グループの著名な略称であること理解認識しているものである。
乙第134号は,駿台文庫株式会社が1970年に発行した「英文法頻出問題集」の表紙写し,1978年に発行した「生物補助教材」の表紙写しであり,これら表紙にも「駿台」の文字が表記されている事実が明らかである。
よって,駿台文庫株式会社は,「駿台」の文字を,1970年頃から出版物に使用し,遅くとも昭和58年度から現在に至るまで,全国各地の書店にて,「駿台」の表記のある青本シリーズを多数販売している事実が明らかである。
(4)駿台教育センター株式会社による「駿台」の使用実績
駿台教育センター株式会社は,平成27年4月1日設立であるが,今は存在しない駿台グループ会社の事業を引き継いでおり,遅くとも平成3年(1991年)に開校した小学生・中学生を対象とした塾「駿台中学部」(名称は時代背景等により変更している),平成29年に開校した高校生を対象とした塾「駿台高校部」,平成16年に開校した中学生・高校生を対象とした塾「東大進学塾エミール」(名称は時代背景等により変更している)を管理運営している。
乙第135号証は,小学生・中学生を対象とした塾「駿台中学部」のサイト写しであり,後述する乙第138号証から容易に推測できるが1991年から存在する塾であり,当該サイトには,「駿台」の表記がある事実が明らかである。
また,小学生・中学生を対象とした塾「駿台中学部」は,お茶の水校,四谷校,池袋校,渋谷校,西葛西校,自由が丘校,吉祥寺校,横浜校,船橋校,津田沼校,海浜幕張校,京都駅前校,烏丸御池校,上本町校,西宮北口校の関東,関西の15校が存在する(乙135)。
乙第136号証は,高校生を対象とした塾「駿台高校部」のサイト写しであり,乙第137号証は,中学生・高校生を対象とした塾「東大進学塾エミール」のサイト写しであり,これらのサイトには,「駿台」の表記がある事実が明らかである。
乙第138号証は,平成5年5月,7月,8月に新聞に宣伝広告された「駿台中学部」の記事の一部写しであり,「駿台」の文字が目立つように掲載されている事実が明らかである。
乙第139号証は,「駿台中学部」の2014年度から2017年度までの入学案内書の表紙写しであり,「駿台」の文字が大きく表記されている事実が明らかである。
なお,関東の高校受験コースのみの入学案内書の2014年度から2017年度までの発行部数は,約64,350部である。高校受験(大学受験)コースや関西のデータの入手は間に合わなかったが,全てを併せると約12万部以上である。
よって,従来の駿台グループの会社事業を含めた駿台教育センター株式会社は,「駿台」の文字を,遅くとも平成5年(1993年)頃から現在に至るまで,関東及び関西において使用し続けており,新聞による宣伝広告も積極的に行っている事実が明らかである。
(5)駿台国際教育センター株式会社による「駿台」の使用実績
駿台国際教育センター株式会社は,平成16年11月1日設立であるが,今は存在しない駿台グループ会社の事業を引き継いでおり,主に,帰国子女を対象とした受験コース,英語教育のためのSUNDAI GLOBAL CLUBを管理運営している。
乙第140号証は,駿台国際教育センター株式会社のサイトの写しであり,「駿台」の文字が表記されている事実が明らかである。
乙第141号証は,2000年(平成12年),2001年(平成13年),2006年(平成18年),2017年(平成29年)度の帰国生大学受験コースの入学案内書表紙写しであり,当該表紙には「駿台」又は「SUNDAI」が表記されている事実が明らかである。なお,平成12年?平成29年度の上記入学案内書の発行部数は,約6万7,600部である。
乙第142号証は,SUNDAI GLOBAL CLUBのサイトの写しであり,「駿台」の文字が表記されている事実が明らかである。
よって,従来の駿台グループの会社事業を含めた駿台国際教育センター株式会社は,「駿台」の文字を,遅くとも2000年(平成12年)から現在に至るまで使用し続けており,入学案内書やインターネットにて宣伝広告している事実が明らかである。
(6)駿台教育振興株式会社による「駿台」の使用実績
駿台教育振興株式会社は,昭和61年4月1日に設立され,北海道から九州地方に至る全国各地の34の駿台予備学校のうち,現役フロンティア自由が丘校,現役フロンティア吉祥寺校,町田校,現役フロンティア横浜みらい校,あざみ野校,藤沢校,柏校,現役フロンティア丸の内校,浜松校,現役フロンティア京都駅前校,現役フロンティア茨木校,現役フロンティア豊中校,現役フロンティア堺東校,西大寺校,現役フロンティア西宮北口校の15校の駿台予備学校を管理運営している(乙27)。
また,現役フロンティア自由が丘校は平成16年に,現役フロンティア吉祥寺校は平成16年に,町田校は平成7年に,現役フロンティア横浜みらい校は平成22年に,あざみ野校は平成20年に,藤沢校は平成20年に,柏校は平成6年に,現役フロンティア丸の内校は平成25年に,浜松校は平成27年に,現役フロンティア京都駅前校は平成22年に,現役フロンティア茨木校は平成16年に,現役フロンティア豊中校は平成20年に,現役フロンティア堺東校は平成15年に,西大寺校は平成22年に,現役フロンティア西宮北口校は平成23年に,それぞれ開校し現在に至っている。したがって,多数の生徒が駿台予備学校に通い,駿台予備学校を「駿台」と略し,「駿台」を駿河台学園(駿台グループ)の著名な略称として理解認識しているものである。
上記駿台予備学校での使用,ポスター,看板,WEB,パンフレットなどによる宣伝広告は上記したとおりである。
また,駿台教育振興株式会社は,平成7年に開校した個別指導のための「駿台個別教育センター」を管理運営しており,乙第143号証は,駿台個別教育センターのサイトの写しであり,「駿台」の表記がある事実が明らかである。
乙第144号証は,平成7年(1995年)6月9日の週刊朝日の広告記事の写し,同年6月11日のサンデー毎日の広告記事の写しであり,「駿台」の文字が目立つように大きく掲載され宣伝広告している事実が明らかである。
よって,駿台教育振興株式会社は,「駿台」の文字を,遅くとも1995年(平成7年)から現在に至るまで使用し続けており,駿台予備学校の使用を除いても新聞雑誌やインターネットにて宣伝広告している事実が明らかである。
(7)学校法人駿台甲府学園による「駿台」の使用実績
学校法人駿台甲府学園は,昭和31年2月21日に設立され,駿台甲府小学校,駿台甲府中学校,駿台甲府高校を管理運営している。
乙第145号証は,駿台甲府高等学校の昭和63年,平成元年の学校要覧の表紙写しであり,「駿台」が表記されている事実が明らかである。
乙第146号証は,駿台甲府高等学校の平成8年の学校案内の表紙・裏表紙写しであり,裏表紙に「駿台」が表記されている。
乙第147号証は,駿台甲府高等学校の昭和58年(1983年),昭和63年(1988年),平成10年(1998年),平成20年(2008年),平成29年(2017年)度の卒業アルバム表紙写しであり,「駿台」の文字が表紙に表記されている事実が明らかである。なお,昭和57年度から平成27年度までの卒業アルバムの作成部数は,約9,270部である。
よって,学校法人駿台甲府学園は,「駿台」を,少なくとも昭和58年から現在に至るまで,使用し続けており,卒業生は約9,200人程存在し,その生徒は勿論,その両親,友人などが何度も卒業アルバムをみて「駿台」を駿台グループの著名な略称であることを理解認識しているものである。
(8)学校法人駿河台南学園による「駿台」の使用実績
学校法人駿河台南学園は,昭和53年4月14日に設立され,北海道から九州地方に至る全国各地の34の駿台予備学校のうち,昭和62年に開校している池袋校他の駿台予備学校を管理運営している(乙27)。駿台予備学校での使用,ポスター,看板,WEB,パンフレットなどによる宣伝広告は上記したとおりである。
その他に,昭和53年に開校した駿台外語&ビジネス専門学校(校名は時代背景等により変更している),昭和55年に開校した駿台トラベル&ホテル専門学校(校名は時代背景等により変更している)を管理運営している。
乙第148号証は,駿台外語&ビジネス専門学校のサイト写しであり,「駿台」が表記されている事実が明らかである。なお,当該専門学校の入学案内書は,2017年度の入学者用の入学案内書の印刷部数は6,000部である。
乙第149号証は,駿台トラベル&ホテル専門学校の2018年度の入学案内の表紙の写しであり,「駿台」が表記されている事実が明らかである。なお,当該専門学校の2017年度の入学者用の入学案内書の印刷部数は1万8,000部である。
よって,学校法人駿河台南学園は,「駿台」の文字を,昭和53年から現在に至るまで使用し続けており,積極的に宣伝広告している事実が明らかである。
(9)株式会社駿台教育研究所による「駿台」の使用実績
株式会社駿台教育研究所は,平成29年4月3日に設立され,主に,高校教員などを対象としたセミナーや教育支援事業を管理運営している。
乙第150号証は,株式会社駿台教育研究所のサイトの写しであり,乙第151号証は,平成29年の夏期セミナー,冬期セミナーのそれぞれの「教育研究セミナー」案内書の写しであり,左上に「駿台」の表記がされている事実が明らかである。
よって,株式会社駿台教育研究所は,「駿台」の文字を使用し多方面に宣伝広告している事実が明らかである。
(10)エスエイティーティー株式会社による「駿台」の使用実績
エスエイティーティー株式会社は,昭和61年3月11日に設立され,主に,ICT教育,eラーニングシステムの提供,教室のレンタル事業,研修サービス「m-School」の事業を管理運営している。
乙第152号証は,研修サービス「m-School」のサイトの写しであり,エスエイティーティー株式会社は,「駿台」を使用している事実が明らかである。
(11)株式会社ユニヴァーサルによる「駿台」の使用実績
株式会社ユニヴァーサルは,昭和46年4月1日に設立され,主に,学校や企業向けのオフィスサポート事業を管理運営している。
乙第153号証は,株式会社ユニヴァーサルのサイトの写しであり,「駿河台学園グループ」の表記があり,永年宣伝広告している事実がある。
(12)駿台教育研究株式会社による「駿台」の使用実績
駿台教育研究株式会社は,平成6年に開校した小学生・中学生を対象とした塾「駿台小中学部」(塾名は時代背景等により変更している),また,平成29年に開校した個別指導を目的とした塾「駿台個別指導部」を管理運営している。
乙第154号証は,駿台小中学部のサイトの写しであり,乙第155号証は,駿台個別指導部のサイトの写しであり,「駿台」の表記がある事実が明らかである。
よって,従来の駿台グループの会社事業を含めた駿台教育研究株式会社は,「駿台」を,平成6年から現在に至るまで北海道札幌市及び平成29年から宮城県仙台市にて,使用し続けている事実が明らかである。
(13)株式会社駿台・浜学園による「駿台」の使用実績
株式会社駿台・浜学園は,首都圏の小学生を対象とした塾,関西の小学生・中学生を対象とした塾を管理運営している。
乙第156号証は,平成25年に開校した首都圏の駿台・浜学園のサイトの写しであり,「駿台」が表記され,お茶の水教室,センター南教室,吉祥寺教室,成城教室,自由が丘教室,横浜教室の東京,神奈川の6教室にて塾を開校し,「駿台」を使用し続けている事実が明らかである。なお,関西の教室は平成29年に開校しているものである。
(14)まとめ
上記した事実から明らかなように,学校法人駿河台学園を母体とする駿台グループは,「駿台」を駿河台学園(駿台グループ)の略称として,1927年(昭和2年)から現在に至るまで,約90年間,北海道から九州の全国及び世界14か所にて,上記した多方面に亘る使用,広告(新聞広告,WEB広告,看板広告,案内書,パンフレットなど)を,多額の費用を掛けて数えきれないほどの回数を積極的に全国的に使用し続けている事実から,「駿台」は,自他役務識別機能,質保証機能,宣伝広告機能,出所表示機能等を十分に発揮しており,また,多数の需要者及び取引者は「駿台」を駿台グループの略称として使用し認識しており,「駿台」の文字が,学校法人駿河台学園(駿台グループ)の著名な略称である事実が明らかである。

第5 当審の判断
1 引用商標の著名性について
(1)請求人の提出した証拠及びその主張によれば,以下の事実が認められる。
ア 請求人及び引用商標について
請求人は,学校法人深堀学園(神奈川県川崎市川崎区駅前本町22-9)であり,語学やビジネスに必要な専門的な知識を教授する専門学校の「外語ビジネス専門学校」(以下「本専門学校」という場合がある。)を運営している。
「外語ビジネス専門学校」は,神奈川県川崎市に単独の専門学校として所在しており,昭和23年に「川崎市民米語学校」の名称で創立され,その後,昭和57年に「外語ビジネス専門学校」と改称され,現在に至るまで当該名称を専門学校名としており,国際ビジネス学科,ホテルブライダル観光学科,グローバルICT学科,英語ビジネス学科,ビジネス日本語学科等の学科を有している(甲20)。
日本語学科については,1987年(昭和62年)から2014年(平成26年)の入学者数が4,937名である(甲37)。
そして,請求人は,本専門学校に関して,引用商標である「外語ビジネス専門学校」の文字を専門学校の校舎等に表示し,また,同校のパンフレット等の広報物にも同じく「外語ビジネス専門学校」の文字を使用している。
なお,本専門学校は,その他に,企業や官公庁向けの語学研修を行っており,外国語研修を行った企業や官公庁の数は140を超える(甲35,甲36)。
また,厚生労働省及び神奈川県が行う離職者等を対象とした公共職業訓練の実施機関として,平成11年より職業訓練を受託している(甲38の1?4)。
さらに,学校法人深堀学園の理事長である深堀氏は,1984年(昭和59年)より現在に至るまで継続して本専門学校の理事長兼校長を務めている。
(以上については,甲20,甲115,甲116等から。)
イ 引用商標の使用実績等について
(ア)新聞の記事について
以下の新聞には,「外語ビジネス専門学校」やその学生に関する話題について,記事が掲載されている。
東京新聞「川崎の歴史 仮装で」の見出し(2014,10,29),神奈川新聞「留学生40人もみこしを担ぐ」の見出し(2013,8,5),タウンニュース(川崎区・幸区版)「留学生,神輿担ぎを体験」の見出し(2012,8,24),神奈川新聞(川崎)「留学生がみこし担ぎ」の見出し(2012,8,6),東京新聞「留学生も『エイサ』」の見出し(2010,8,4),読売新聞「暑さなんか吹っ飛ばせ!」の見出し(1994,8,4),東京新聞「ハッピ姿で『ソリャ、ソリャ』」の見出し(1992,8,4),神奈川新聞(川崎)「もちつきで学ぶ日本の心/留学生ら招き交流」の見出し(1989,3,2),神奈川新聞「外国人留学生に川崎の魅力PR」の見出し(2014,3,27),神奈川新聞「外国人客を呼び込もう」の見出し(2011,10,27),毎日新聞「専門学校留学生に海外取材体験語る」の見出し(2011,11,25),東京新聞(神奈川版)「外国人留学生がものづくり挑戦」の見出し(2013,8,29),多摩川新聞「わたしニッポン大好き」の見出し(2013,5,12),神奈川新聞「新聞制作の現場を見学」の見出し(2002,2,22),読売新聞「日本の”茶の間”体験発表/ホームビジット報告会」の見出し(1993,10,15),神奈川新聞の企画特集において,「外語ビジネス専門学校 新校舎竣工(記念座談会)」の見出し(2010,9,25),専門学校新聞(首都圏版)「外語ビジネス 待望の新校舎が完成」の見出し(2010,10,15),朝日新聞「【川崎】日本語教育教養講座」の見出し(1990,3,27),毎日新聞「好きな肉避け和食で体質改善」の見出し(1988,4,22),慶応キャンパス「対談 日本の就職,アメリカの就職」の見出し(1983,9,20),読売新聞「ビジネス群像」の見出し(1988,3,11),等(甲40?甲42,甲44?甲55,甲57,甲59,甲64?甲67)。
これらの新聞記事の内容は,おおよそ神奈川県や川崎市における出来事などが中心の記事であって,生徒などによる川崎地域のイベント等での活躍が地域ニュースになったものである。
(イ)雑誌等の記事について
以下の雑誌には,「外語ビジネス専門学校」の理事長である深堀氏に関する対談や話題等について,記事が掲載されている。
a 「若いわれら」(「一般社団法人川崎青年会議所」発行 2016年8月号)の「対談特集」において,「深堀和子さんに聞く 川崎と青年世代のこれからのあるべき姿」の見出しの下,インタビューの対談の記事が掲載された(甲39の14)。
b 「国際人流 10月号」(「財団法人入管協会」2011,10,1発行)の「特集 訪日観光促進に向けて日本の魅力を発信」において,「留学生が地元の観光地を取材し外国人観光客に向けて魅力を紹介(社)神奈川県観光協会」の特集に本専門学校の紹介がされた(甲56)。
c 「かいぎしょ」(「川崎商工会議所」2007,3,1発行)の「トップインタビュー」において,「学校法人 深堀学園 外語ビジネス専門学校/理事長・学校長 深堀和子氏」のインタビューの記事が紹介がされた(甲60)。
d 「かわさき商工」(「川崎商工会議所」1991,4,15発行)において,「自らの可能性に挑む一人六役の若きリーダー」の見出しもと,本専門学校の深堀氏の紹介がされた(甲62)。
これらの雑誌類は,神奈川県や川崎市において頒布がされることがあったとしても,全国的に頒布されているものではない上,年単位の単発的なものであって,雑誌への掲載数も少ないものである。
(ウ)テレビのインタビュー等について
千葉テレビの「ビジネスフラッシュ」及び「シャキット」という番組で,深堀氏がインタビューを受け,また,本専門学校の紹介される番組が収録され,2016年9月10日,同月23日及び2017年6月2日に放送された(甲28?甲32,甲182の1,甲197)。
これも千葉テレビという地方のテレビ局であって,3回放送されただけである。
(エ)進学情報誌等への掲載について
請求人は,以下の進学情報紙等を提出している(甲26の1?33,甲69,甲70,甲72の1?32,甲73,甲74の1・2,甲75の1・2,甲76の1?4,甲77の1?5,甲78の1・2,甲79?甲85,甲86の1?3,甲87?甲102)。
a 「進学指導資料 全国専修学校総覧」(昭和59年版?平成28年版)(財団法人専修学校教育振興会,一般財団法人 職業教育・キャリア教育財団)(甲26号証の1?33:33年分)
b 「毎日育英会報No,28」(作成年不詳:発行所 毎日育英会)(甲69)
c 「自力進学 進学支援・学費サポートガイド2014」(2014年発行,株式会社ライセンスアカデミー)(甲70)
d 「神奈川県専修学校 進学ガイド」(1984?1986,1988?2016年版)(一般社団法人神奈川県専修学校各種学校協会 発行)(甲72の1?32)
この進学ガイドは,200頁前後で構成され,その内,2頁にわたって「外語ビジネス専門学校」の紹介が掲載されている。
e 「2015学研マッチングブック春号 君の未来を決める 専門学校を探そう!」(2015年発行,株式会社学研教育出版)(甲73)。この情報誌中の110/111頁に「外語ビジネス専門学校」の紹介が掲載されている。
f 「観光・語学・国際・公務員・会計・医療事務・ブライダル・マスコミ系をめざす人へ」等(2001?2008,2010,2013?2015年 発行,株式会社さんぽう)(甲74の1・2,甲75の1・2,甲76の1?4,甲77の1?5,甲78の1・2,甲79?甲85)。この情報誌中には,例えば,他の専門学校と並んで,「外語ビジネス専門学校」が掲載されていたり,また,他の専門学校と同様に,1頁で「外語ビジネス専門学校」の紹介が掲載されている。
g 「ビジネス・語学系 オール学校ガイド」(1988,1989,1991年発行,中央企画センター,日本ドリコム)(甲86の1?3)。この情報誌中には,例えば,他の専門学校と並んで,「外語ビジネス専門学校」が掲載されていたり,また,他の専門学校と同様に,1頁で「外語ビジネス専門学校」の紹介が掲載されている。
h 「進ゼミ<専門学校特集号>」(1991年 発行,中央企画センター)(甲87)。この情報誌中の774/775頁に「外語ビジネス専門学校」の紹介が掲載されている。
i 「専門学校 進路のてびき2015(東日本版)」(2014年発行,ライセンスアカデミー)(甲88)。この進学ガイドは,368頁前後で構成され,その内,2頁にわたって「外語ビジネス専門学校」の紹介が掲載されている。
j 「進学事典 専門学校」等(2003?2013年版,株式会社リクルート)(甲89?甲102)。これは,学校選びのためのガイドブックであり,その中には1,000頁を超えるものがある中,主に1?2頁で「外語ビジネス専門学校」の紹介が掲載されている。
上記のような進学情報誌等の書籍類は,進学における学校選びの基本情報を内容とするものであって,掲載されている何百校という多くの学校の中の一つとして,「外語ビジネス専門学校」は,掲載され,紹介されているものである。
なお,請求人は,専門学校は多種多様な職業教育を実施しており全国で約3,000校もある,と述べている。
(オ)「外語ビジネス専門学校」が作成するパンフレット等の印刷物について
請求人は,「外語ビジネス専門学校」が作成する以下のパンフレット等の印刷物を提出している。
a 学科案内,ポスター,募集要項等のチラシ類については,全部で27種類(日本人向け17種類,留学生用8種類,共通2種類)あり,A3サイズの用紙を二つ折りしたものと,A4サイズのものなどがある。そして,これらは,国内の学校,本専門学校の学生や海外からの留学生を対象とした広報用のものであって,2015年1月?2016年8月までのものであり,少ないもので200枚,多いもので3,500枚作成され,ほぼ2年間で41,200枚が作成された(甲39の1)。
b 「学校案内(総合パンフレット)」の冊子については,2015年11,000部,2016年11,000部が作成され,また,「入学募集要項」の冊子が2015年9,000部,2016年8,000部が作成されている(甲39の2)。
c 台湾,香港,マカオ,中国,韓国等の国に向けた留学生用の「外語ビジネス専門学校」のパンフレット(5,000部?18,000部),案内(10,000枚),募集要項(500部?9,000部),ポスター(各3,000枚),横断幕,海外エージェントのホームページ等が作成されている(甲120の1?29,甲205)。
上記したような,「学科案内,ポスター,募集要項等のチラシ類,学校案内(総合パンフレット)の冊子」や,「海外の国に向けた留学生用のパンフレット,案内,募集要項,ポスター」,横断幕,海外エージェントのホーム等が作成されているが,その作成数が他の専門学校等におけるそれと比べて,多いか少ないかは不明である。
(カ)「外語ビジネス専門学校」の名称を含む広報物等について
請求人は,以下のようなチラシ,ポスター等の広報物等を提出している。
a 外部看板(京急川崎駅 中央口 改札外 柱広告:甲39の3)。
b 川崎市連携事業関連のチラシ,ポスター,かわさきの生涯学習情報(お知らせ),かわさき市政だより,教育だより かわさき(甲39の4)。
c 神奈川県商業教育振興会専門学校部会関連のポスター,チラシ(甲39の5)。
d 神奈川県定時制通信制教育振興会関連のポスター,案内(甲39の6)。
e 神奈川県専修学校各種学校協会活動関連のポスター,チラシ,パンフレット(甲39の7)。
f 公共職業訓練関連の募集案内(甲39の8)。
g 業界新聞として,2016年7月1日の「日刊CARGO」,「若人集う航空貨物業界」の見出しのもと,「外語ビジネス専門学校」が紹介されている(甲39の9)。
h 新聞折り込みチラシとして,「外語ビジネス専門学校」の広告チラシ,どの新聞に折り込んだか不明であるが,東京都内に69,350部,川崎市・横浜市鶴見区に112,550部の見積書が添付されている(甲39の11)。
i 川崎商工会議所関連として,会報に小さな広告を掲載している(甲39の12)。
j 校内作成の印刷物として,チラシ,ポスター,ハガキ,クリアファイルを提出(甲39の13)。
k 川崎青年会議所関連として,広報誌に対談特集(深堀和子)が掲載されている(甲39の14)。
(キ)その他(ウェブサイト等)について
a 請求人は,「外語ビジネス専門学校」の紹介が掲載されているウェブサイト等を提出している。
(a)「かながわ専各」「リクナビ進学」「マイナビ進学」「ベスト進学ネット」「JS日本の学校」「キャリタス進学」「コレカラ進路.JP」「さんぽう進学ネット」「学研進学サイト ガクセイト」などの第三者によって,進学情報として,多数の学校の紹介とともに「外語ビジネス専門学校」の紹介も掲載されているウェブサイトがある(甲106?甲114)。
(b)請求人による「外語ビジネス専門学校」の紹介が掲載されているウェブサイトがある(甲115,甲116,甲117の1?16)。
b 請求人は,企業教育部において,企業や官公庁向けの語学研修を行う教育機関として,また,厚生労働省及び神奈川県が行う離職者等を対象とした公共職業訓練の実施機関として事業を行っている。
(a)「外語ビジネス専門学校創立50周年式典記念誌」等によれば,外国語研修の業務を受託した実績のある企業や官公庁の数は140を超えている(甲35?甲37)。
(b)外語ビジネス専門学校は,平成11年より継続的に1カ月から6カ月の職業訓練を受託しており,その受託実績は,平成26年までの16年間で,3,074名であり,年間では192人ほどである(甲38の1?4,甲39の8)。
上記したような,企業や官公庁向けの語学研修を行う教育機関としてみた場合,その需要者は,企業一般であってその対象の範囲は広く,50周年における実績の140社程度では,全国的にみて少ないものである。また,厚生労働省及び神奈川県が行う離職者等を対象とした公共職業訓練の実施機関として事業を行っているとしても,年間192人程と少ないものである。
c 外語ビジネス専門学校による相談会の開催について
外語ビジネス専門学校は,神奈川県を含む全国で相談会を開催している(甲125の1?7)。相談会のリストによれば,高校での相談会は,2008年度は57件,2009年度は29件,2010年度は18件,2011年度は44件,2012年度は6件,2013年度は67件,2014年度は59件であった。
その他,全国高校教員向けの学校訪問も全国各地で行っており,2011年度は350校,2012年度は674校,2013年度は323校,2014年度は312校,2015年度は586校を訪問している(甲126)。
しかし,高校の相談会においては,その参加数は,ほぼ毎回1名である。
(2)引用商標の著名性についての判断
以上を総合勘案すると,本専門学校についての新聞や雑誌への掲載に関しては,その記事の内容は,おおよそ神奈川県や川崎市における出来事などが中心の記事であって,生徒などによる川崎地域のイベント等での活躍が地域ニュースになったものである。そして,雑誌類は,神奈川県や川崎市において頒布がされることがあったとしても,全国的に頒布されているものではない上,年単位の単発的なものであって,雑誌への掲載数も少ないものである。
また,千葉テレビの「ビジネスフラッシュ」及び「シャキット」という番組において,本専門学校を紹介等するものが,2016年9月10日,同月23日及び2017年6月2日に放送されたが,これは,地方のテレビ局で3回放送されただけである。
進学情報誌等の書籍類は,進学における学校選びの基本情報を内容とするものであって,掲載されている何百校という多くの学校の中の一つとして,「外語ビジネス専門学校」が掲載され,紹介されているものである。
「外語ビジネス専門学校」が作成するパンフレット等の印刷物については,学科案内,ポスター,募集要項等のチラシ類は,全部で27種類(日本人向け17種類,留学生用8種類,共通2種類)あり,A3サイズの用紙を二つ折りしたものと,A4サイズのものなどがある。そして,これらは,国内の学校,本専門学校の学生や海外からの留学生を対象とした広報用のものであり,2015年1月?2016年8月の期間に,少ないもので200枚,多いもので3,500枚,ほぼ2年間で41,200枚作成され,頒布されているものであるが,これらによって,受験生,入学生及び留学生が増加したというような状況も見あたらず,どの程度の効果が表れているのか不明である。
さらに,「外語ビジネス専門学校」の名称を含む広報物等については,これらが作成,頒布されたことが窺えるものの,例えば,外部看板は1カ所であり,川崎市連携事業関係,神奈川県商業教育振興会専門学校部会,神奈川県定時制通信制教育振興会,神奈川県専修学校各種学校協会活動関連の広報物は,他の専門学校も同時に掲載されるなどしており,また,新聞折り込みチラシは,「外語ビジネス専門学校」の広告であるとしても,その地域は限られた東京都内と川崎市・横浜市鶴見区を対象とする18万部ほどであって,これらによっては,引用商標の全国的な周知性を高める効果が大きいものとはいえない。
加えて,「外語ビジネス専門学校」の紹介が掲載されているウェブサイト等は,第三者によって,進学情報として,多数の学校とともに「外語ビジネス専門学校」も掲載され,紹介されているものである
そして,「外語ビジネス専門学校」は,神奈川県川崎市に1校あるのみであって,その主な学生数をみてみると,日本語学科については,1987年(昭和62年)から2014年(平成26年)の入学者数が4,937名であり,その28年間の年平均の入学者数は,176人ほどである。
そうしてみると,たとえ,各種のパンフレットや生徒の募集要項に表示された「外語ビジネス専門学校」の文字が商標として使用されていたとしても,請求人の専門学校は,わずか1校であって,その生徒が日本の各地域から来ているとしても,わずかな人数にとどまるものである。
新聞や雑誌,進学情報誌等の書籍類については,本専門学校が全国的に知られている事情として理解されるものでもなく,また,「外語ビジネス専門学校」が作成するパンフレット等の印刷物についても,その入学者数との関係からすれば,同校の全国的な周知性を窺わせるともいえないものである。その他の広報物も,神奈川県や川崎市といった地域に関係した情報や媒体に関するものが主なものであって,さらに,テレビ放映については,千葉テレビの3回のみである。
また,請求人による,企業や官公庁向けの語学研修を行う教育機関としての実績は,140社程度であって全国的にみて少ないものである。また,厚生労働省及び神奈川県が行う離職者等を対象とした公共職業訓練の実施機関として事業を行っているとしても,年間192人程と少ないものである。
さらに,外語ビジネス専門学校による相談会の開催及び全国高校教員向けの学校訪問については,高校の相談会においては,2008年度から2014年度までの7年間で280件であり,年平均40件であるが,その参加数は,ほぼ毎回1名である。また,学校訪問は,2011年度から2015年度までの5年間で2,245校であり,年平均449校であるが,各校の教員の対応者数は不明である。
そうすると,昭和57年に「外語ビジネス専門学校」と改称され,それ以降,引用商標が使用されてきたことを勘案しても,神奈川県や川崎市といった一地域において一定程度の周知性を有していたといえるとしても,上記の事実からすれば,神奈川県川崎市に1校のみ所在し,その学生数も少ないことから,到底全国規模の学校とはいえず,また,全国規模でのメディアへの露出もない。
そして,全国3,000校の専門学校の中にあって,本専門学校が特別に知られているといった事情も見あたらない。
してみれば,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,請求人の業務に係る役務(知識の教授等)を表示する商標として取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 「駿台」の文字の著名性について(略称として)
(1)被請求人の提出した証拠及びその主張によれば,以下の事実が認められる。
ア 被請求人及び本件商標について
被請求人は,学校法人駿河台学園(東京都千代田区神田駿河台2丁目12)であるところ,現在,同学園のグループは,学校法人駿河台学園,駿台文庫株式会社,駿台教育センター株式会社,駿台国際教育センター株式会社,駿台教育振興株式会社,学校法人駿台甲府学園,学校法人駿河台南学園,株式会社駿台教育研究所,エスエイティーティー株式会社,株式会社ユニヴァーサル,学校法人駿河台大学,その他,駿台教育研究株式会社,首都圏及び関西で運営する株式会社駿台・浜学園,世界14ヵ所で駿台海外校を管理運営する現地法人等により構成されており,かつ,このグループにおいては,予備学校,専門学校,大学,高校,中学校,小学校,幼稚園,その他関連教育機関などを運営するとともに,学習参考書の出版社,システム関係の事業を行っている(以下,これらの法人及び教育機関等を含めて,「駿台グループ」という。:乙15?乙27,乙124)。
そして,被請求人である学校法人駿河台学園は,昭和27年10月20日に設立され,北海道から九州地方に至る全国各地の34の駿台予備学校のうち,札幌校,仙台校,お茶の水校,市谷校舎,立川校,大宮校,横浜校,千葉校,津田沼校,名古屋校,京都校,京都南校,大阪校,大阪南校,上本町校,神戸校,広島校,福岡校の18の駿台予備学校を管理運営している(乙27)。また,それ以外の他の駿台予備学校は,駿台教育振興株式会社,学校法人駿河台南学園が運営している。
なお,駿台グループは,創立者である山崎寿春氏が1918年に開いた「東京高等受験講習会」から2018年(平成30年)で,創立100年となる。
被請求人は,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の文字からなる本件商標を,平成26年4月から大阪府豊中市寺内に所在の専門学校の名称として使用している。
当該専門学校は,昭和55年に「駿台外語専門学校」として開校し,学校名については,平成6年に「駿台外語国際専門学校」に変更し,同10年には「駿台観光&外語専門学校」に変更し,さらに,同26年4月からは,現在の名称に変更されたものである。
イ 駿台グループによる「駿台」の文字の使用実績等について
(ア)学校法人駿河台学園による「駿台」の使用については,以下のとおりである。
a 駿台予備学校及び駿台予備学校の受験者数等について
駿台グループにおいては,「駿台」の文字を,全国各地にある34校の駿台予備学校,駿台文庫,駿台電子情報&ビジネス専門学校,駿台甲府高等学校,駿台甲府中学校,駿台甲府小学校,駿台トラベル&ホテル専門学校,駿台法律経済&ビジネス専門学校,駿台国際教育センター,駿台教育研究所,駿台個別教育センター,駿台小中学部,駿台中学部,駿台・浜学園などの学校名や施設名等の名称において,統一して語頭に使用しているものである(乙1,乙2)。
そして,駿台予備学校は,お茶の水校が昭和2年,京都校が同46年,市谷校舎が同55年,大阪校が同56年,名古屋校・大宮校が同59年,横浜校が同62年,京都南校・大阪南校が平成元年,神戸校が同4年,札幌校・仙台校・千葉校が同5年,福岡校が同6年,上本町校が同7年,津田沼校が同17年,立川校が同20年,広島校が同26年にそれぞれ開校している。
なお,被請求人のウェブサイトによれば,駿台予備学校の外観写真が掲載されており,名古屋校,福岡校,立川校,京都南校,広島校,大宮校,千葉校,津田沼校などの駿台予備学校の外壁には,「駿台」の文字が表示されている(乙125)。
さらに,昭和55年度から平成28年度までの駿台予備学校が主催する駿台模試の全受験者数に関しては,約2,271万2,000人にのぼる。
この駿台模試の受験者数は,平成10年度は約53万人,平成11年度は約51万5,000人,平成12年度は約38万8,000人,平成13年度は約52万7,000人,平成14年度は約54万5,000人,平成15年度は約53万4,000人,平成16年度は約53万9,000人,平成17年度は約53万9,000人,平成18年度は約57万3,000人,平成19年度は約59万6,000人,平成20年度は約59万7,000人,平成21年度は約61万5,000人,平成22年度は約61万2,000人,平成23年度は約62万6,000人,平成24年度は約63万9,000人,平成25年度は約64万2,000人,平成26年度は約66万8,000人,平成27年度は約70万6,000人,平成28年度は約69万人である。
また,被請求人のウェブサイトに掲載されている2017年度の合格実績としては,東京大学1,409名,京都大学1,421名,国公立大学医学部医学科1,952名である(乙28)。
また,北海道から九州地方の34の駿台予備学校の入学案内書の作成部数は,平成10年度(1998年度)から平成28年度(2016年度)の関西,関東の高校生(現役生),高卒者向けの入学案内書の作成部数は,3,061万5,800部にのぼり,その入学案内書には,「駿台」の文字が大きく表記されている(乙29?乙31)。
b 新聞による宣伝広告について
駿台予備学校について,朝日新聞,読売新聞,日経新聞,毎日新聞,産経新聞,東京新聞,地方新聞などに,「駿台」の表記のある広告をしている(乙32?乙41)。
また,「駿台予備学校」における模試や講習会について,昭和53年(1978年)から昭和56年(1981年)まで,東京タイムズ,朝日新聞,毎日新聞,読売新聞,産経新聞,日経新聞,その他,静岡,河北,大阪,北海道,名古屋,京都,山梨,広島,岡山,愛媛,佐賀,鹿児島,宮城,群馬,福岡,熊本などの北海道から九州に至る全国各地の地方新聞で宣伝広告がされている(乙126)。
c 駿台予備学校の入学案内書について
駿台予備学校の1998年度ないし2016年度の入学案内書(乙43?乙118)には,「駿台」の文字が大きく掲載されている。
平成10年度(1998年度)から平成28年度(2016年度)の入学案内書の作成部数は,関西の高校生向け総数は,888万2,000部,関西の高校卒業者向け総数は,356万1,800部,関東の高校生向け総数は,1,146万部,関東の高校卒業者向け総数は,671万2,000部であり,関西及び関東の1998年から2016年度までの入学案内書作成部数は,合計で3,061万5,800部にのぼる。
d 看板による宣伝広告について
首都圏内の駅に設置してある看板に貼り付けた平成20年(2008年)の関東版の入学案内ポスターには,「駿台」が目立つように表記されている(乙119)。そして,首都圏内の上記ポスターで広告した場所と期間については,平成20年の2月から4月の間に,千葉,東京,山梨,埼玉,茨城,栃木,群馬,神奈川,新潟の9都県に所在する279の駅構内または構外であり,また,市バスの営業所等にも広告している(乙120)。
首都圏内の駅に設置してある看板に貼り付けた平成29年(2017年)の関東版の入学案内ポスターには,「駿台」が目立つように表記されている(乙121)。そして,首都圏内の上記ポスターを広告した場所と期間については,平成29年の3,4月に,埼玉,東京,山梨,神奈川,栃木,群馬,茨城,千葉の8都県に所在する210の駅構内または構外である(乙122)。
横浜校,藤沢校の看板は,東京,埼玉,神奈川,千葉に設置し,その看板には,「駿台」の文字が大きく表記されている(乙123)。
e ウェブサイトによる広告について
被請求人は,検索連動型広告,キャンパスアサヒコムのバナー広告,朝日新聞「センター試験特集ページ」のバナー広告,毎日新聞「センター試験・解答速報特集ページ」のバナー広告,朝日新聞「医学部へ行こう!」のバナー広告などのウェブサイトによる広告を行っており,それらの広告には,「駿台」の文字が表記されている。
(イ)学校法人駿河台学園以外の駿台グループによる「駿台」の使用については,以下のとおりである。
a 駿台文庫株式会社による「駿台」の使用
駿台文庫株式会社は,主に出版業務などを行っている。例えば,「大学入試完全対策シリーズ」(通称「青本」)を出版している。
「大学入試完全対策シリーズ」(通称「青本」)の表紙には大きく「駿台」が表記されている(乙133)。また,平成10年(1998年)版から平成30年(2018年)版の「大学入試センター試験対策シリーズ」,「実戦模試演習シリーズ」を除く「大学学部別シリーズ」のみの刊行部数は,約186万4,000部である。
駿台文庫株式会社は,「駿台」の文字を,出版物に使用し,全国各地の書店にて,「駿台」の表記のある青本シリーズを多数販売している。
b 駿台教育センター株式会社による「駿台」の使用
駿台教育センター株式会社は,小学生・中学生を対象とした塾「駿台中学部」,高校生を対象とした塾「駿台高校部」,中学生・高校生を対象とした塾「東大進学塾エミール」を管理運営している。
また,塾「駿台中学部」は,お茶の水校,四谷校,池袋校,渋谷校,西葛西校,自由が丘校,吉祥寺校,横浜校,船橋校,津田沼校,海浜幕張校,京都駅前校,烏丸御池校,上本町校,西宮北口校の関東,関西の15校が存在する(乙135)。
なお,関東の高校受験コースのみの入学案内書の2014年度から2017年度の発行部数は,約64,350部であり,「駿台」の文字を使用している。
c 駿台国際教育センター株式会社による「駿台」の使用
駿台国際教育センター株式会社は,主に,帰国子女を対象とした受験コース,英語教育のためのSUNDAI GLOBAL CLUBを管理運営している。
なお,平成12年度から平成29年度の帰国大学生受験コースの入学案内書の発行部数は,約6万7,600部であり,「駿台」の文字を使用している。(乙141)。
d 駿台教育振興株式会社による「駿台」の使用
駿台教育振興株式会社は,現役フロンティア自由が丘校,現役フロンティア吉祥寺校,町田校,現役フロンティア横浜みらい校,あざみ野校,藤沢校,柏校,現役フロンティア丸の内校,浜松校,現役フロンティア京都駅前校,現役フロンティア茨木校,現役フロンティア豊中校,現役フロンティア堺東校,西大寺校,現役フロンティア西宮北口校の15校の駿台予備学校を管理運営している(乙27)。
また,個別指導のための「駿台個別教育センター」も管理運営しており,「駿台」の文字を使用ている(乙143)。
e 学校法人駿台甲府学園による「駿台」の使用
学校法人駿台甲府学園は,駿台甲府小学校,駿台甲府中学校,駿台甲府高校を管理運営しており,「駿台」の文字を使用している(乙145?乙147)。
f 学校法人駿河台南学園による「駿台」の使用
学校法人駿河台南学園は,池袋校等の駿台予備学校を管理運営している(乙27)。
その他に,駿台外語&ビジネス専門学校,駿台トラベル&ホテル専門学校を管理運営している。
駿台外語&ビジネス専門学校の入学案内書は,2017年度の印刷部数は6,000部であり,駿台トラベル&ホテル専門学校の入学案内書は,2017年度の印刷部数は1万8,000部であり,「駿台」の文字を使用している(乙148,乙149)。
g 株式会社駿台教育研究所による「駿台」の使用
株式会社駿台教育研究所は,主に,高校教員などを対象としたセミナーや教育支援事業を管理運営しており,「駿台」の文字を使用し続けている(乙150,乙151)。
h エスエイティーティー株式会社による「駿台」の使用
エスエイティーティー株式会社は,主に,ICT教育,eラーニングシステムの提供,教室のレンタル事業,研修サービス「m-School」の事業を管理運営しており,「駿台」の文字を使用している(乙152)。
i 株式会社ユニヴァーサルによる「駿台」の使用
株式会社ユニヴァーサルは,主に,学校や企業向けのオフィスサポート事業を管理運営しており,「駿台」の文字を使用している(乙153)。
j 駿台教育研究株式会社による「駿台」の使用
駿台教育研究株式会社は,小学生・中学生を対象とした塾「駿台小中学部」,また,個別指導を目的とした塾「駿台個別指導部」を管理運営しており,「駿台」の文字を使用している(乙154,乙155)。
k 株式会社駿台・浜学園による「駿台」の使用
株式会社駿台・浜学園は,首都圏の小学生を対象とした塾,関西の小学生・中学生を対象とした塾を管理運営しており,お茶の水教室,センター南教室,吉祥寺教室,成城教室,自由が丘教室,横浜教室の東京,神奈川の6教室にて塾を開校し,「駿台」の文字を使用している(乙156)。
(2)「駿台」の文字の著名性についての判断
以上のように,被請求人である学校法人駿河台学園は,昭和27年10月20日に設立され,北海道から九州地方に至る全国各地の34の駿台予備学校のうち,札幌校,仙台校,お茶の水校,市谷校舎,立川校,大宮校,横浜校,千葉校,津田沼校,名古屋校,京都校,京都南校,大阪校,大阪南校,上本町校,神戸校,広島校,福岡校の18校を管理運営している(乙27)。
また,18校以外の他の駿台予備学校は,駿台教育振興株式会社,学校法人駿河台南学園が運営している。
そして,被請求人のウェブサイトによれば,駿台予備学校の外観写真が掲載されており,名古屋校,福岡校,立川校,京都南校,広島校,大宮校,千葉校,津田沼校などの駿台予備学校の外壁には,「駿台」の文字が表示されている(乙125)。
また,昭和55年度から平成28年度までの駿台予備学校が主催する駿台模試の全受験者数は,約2,271万2,000人にのぼる。
駿台模試の受験者数は,平成12年度は約38万8,000人であるものの,それ以外の平成10年度から平成28年度までは毎年約51万5,000人から約70万6,000人である。特に,2017年度の合格実績としては,東京大学1,409名,京都大学1,421名,国公立大学医学部医学科1,952名(乙28)であり,有名大学への合格者数が多いものである。
また,北海道から九州地方の34の駿台予備学校の入学案内書の作成部数は,平成10年度から平成28年度の関西,関東の高校生,高卒者向けの入学案内書の作成部数は,3,061万5,800部にのぼり,その入学案内書には,「駿台」の文字が表記されている。
例えば,駿台予備学校の1998年度ないし2016年度の入学案内書(乙43?乙118)には,「駿台」の文字が大きく掲載されている。
平成10年度(1998年度)から平成28年度(2016年度)の入学案内書の作成部数は,関西の高校生向け総数は,888万2,000部,関西の高校卒業者向け総数は,356万1,800部,関東の高校生向け総数は,1,146万部,関東の高校卒業者向け総数は,671万2,000部であり,関西及び関東の1998年から2016年度までの入学案内書作成部数は,合計で3,061万5,800部である。
新聞による広告については,朝日新聞,読売新聞,日経新聞,毎日新聞,産経新聞,東京新聞,地方新聞などに,「駿台」の表記のある広告をしている(乙32?乙41)。これらは,「駿台予備学校」における模試や講習会についてのものであり,昭和53年(1978年)から昭和56年(1981年)まで,東京タイムズ,朝日新聞,毎日新聞,読売新聞,産経新聞,日経新聞,その他,静岡,河北,大阪,北海道,名古屋,京都,山梨,広島,岡山,愛媛,佐賀,鹿児島,宮城,群馬,福岡,熊本などの北海道から九州に至る全国各地の地方新聞で広告がされている(乙126)。
看板やウェブサイトによる広告については,例えば,「駿台」が目立つように表記されたポスターを,千葉,東京,山梨,埼玉,茨城,栃木,群馬,神奈川,新潟の9都県に所在する279の駅構内又は構外に設置してある看板に貼り付けて広告しており,また,被請求人は,検索連動型広告であるバナー広告などのウェブサイトによる広告を行っており,それらの広告には,「駿台」の文字が表記されている。
また,駿台予備学校以外の駿台グループにおいては,駿台文庫株式会社が,主に出版業務を行っており,例えば,「大学入試完全対策シリーズ」(通称「青本」)等を出版している。
駿台教育センター株式会社は,小学生・中学生を対象とした15校の塾「駿台中学部」,高校生を対象とした塾「駿台高校部」,中学生・高校生を対象とした塾「東大進学塾エミール」を管理運営し,駿台国際教育センター株式会社は,主に,帰国子女を対象とした受験コース,英語教育のためのSUNDAI GLOBAL CLUBを管理運営し,駿台教育振興株式会社は,現役フロンティア自由が丘校,現役フロンティア吉祥寺校,町田校,現役フロンティア横浜みらい校,あざみ野校,藤沢校,柏校,現役フロンティア丸の内校,浜松校,現役フロンティア京都駅前校,現役フロンティア茨木校,現役フロンティア豊中校,現役フロンティア堺東校,西大寺校,現役フロンティア西宮北口校の15校の駿台予備学校等を管理運営し,学校法人駿台甲府学園は,駿台甲府小学校,駿台甲府中学校,駿台甲府高校を管理運営し,学校法人駿河台南学園は,池袋校等の駿台予備学校,その他に,駿台外語&ビジネス専門学校,駿台トラベル&ホテル専門学校を管理運営し,株式会社駿台教育研究所は,主に,高校教員などを対象としたセミナーや教育支援事業を管理運営し,エスエイティーティー株式会社は,主に,ICT教育,eラーニングシステムの提供,教室のレンタル事業,研修サービス「m-School」の事業を管理運営し,株式会社ユニヴァーサルは,主に,学校や企業向けのオフィスサポート事業を管理運営し,駿台教育研究株式会社は,小学生・中学生を対象とした塾「駿台小中学部」,また,個別指導を目的とした塾「駿台個別指導部」を管理運営し,株式会社駿台・浜学園は,首都圏の小学生を対象とした塾,関西の小学生・中学生を対象とした塾を管理運営しており,これらの駿台グループでは,それぞれが「駿台」の文字を使用している。
そうしてみると,駿台グループにおいて,被請求人である「学校法人駿河台学園」は,日本全国に展開する18校の駿台予備学校を管理運営をするなど,駿台グループの中核的な存在であり,この駿台グループは,「駿台」の文字を,1927年(昭和2年)から現在に至る約90年間にわたり学校の名称に使用してきたものである。
そして,学校法人駿河台学園,駿台教育振興株式会社及び学校法人駿河台南学園が運営する駿台予備学校においては,昭和55年度から平成28年度までの駿台予備学校が主催する駿台模試の全受験者数は,約2,271万2,000人にのぼり,37年間の年平均は,約61万4,000人である。
特に,全国的に注目される有名大学への受験合格について,駿台予備学校における2017年度の合格実績としては,東京大学1,409名,京都大学1,421名,国公立大学医学部医学科1,952名(乙28)であり,有名大学への合格者数が多いことから,また,上記したとおり,駿台予備学校が主催する駿台模試の受験者数が非常に多いことからしても,駿台予備学校及び同校を運営する学校法人駿河台学園を含む駿台グループは,全国的にも注目されていることが優に推認されるものである。
加えて,駿台予備学校以外の駿台グループにおいても,「駿台」の文字を使用してきている。
そうすると,駿台グループにおける駿台予備学校だけをみても,進学を目指す高校生,高校等の卒業生,及び教育関係者などの需要者,取引者は,「駿台」の文字からは,これを駿台予備学校の略称と認識するものである。
そして,同時に,「駿台」の文字が駿台予備学校以外の事業や教育関係機関等においても使用されていることから,「駿台」の文字は,駿台グループの著名な略称であると理解,認識されるものというのが相当である。
してみれば,「駿台」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,被請求人の業務に係る役務(知識の教授等)を提供する駿台予備学校及び同校を運営する学校法人駿河台学園を含む「駿台グループ」の略称として,取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
(3)「駿台」が著名でないとの請求人の主張について
請求人は,第2弁駁書において,「『駿台』の文字は,学校法人駿河台学園及び同学校法人を母体とする駿台グループの著名な略称ではない。」旨を主張している。
しかしながら,上記(2)のとおり,駿台グループにおいて,被請求人である「学校法人駿河台学園」は,日本全国に展開する18校の駿台予備学校を管理運営をするなど,駿台グループの中核的な存在であり,この駿台グループは,「駿台」の文字を,1927年(昭和2年)から現在に至る約90年間にわたり学校の名称に使用してきたものである。
そして,「駿台」の文字は,駿台グループの中心をなすともいえる全国的に知られた駿台予備学校においてその名称中に使用されてきたものであることから,進学を目指す高校生,高校等の卒業生,及び教育関係者などの需要者の間においては,「駿台」の文字を駿台予備学校及び同校を運営する学校法人駿河台学園を含む「駿台グループ」の略称と認識するものである。
なお,駿台グループにおける個々の法人及びその他関連教育機関などによる各種事業によって,「駿台」の文字が使用されてきたことが,駿台グループの略称としての著名性を高めてきたものであったことは,否定できないものである。
よって,請求人の上記主張は,採用することができない。
3 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の文字からなるところ,その構成は,「駿台」,「観光」,「&」,「外語」,「ビジネス」及び「専門学校」の各文字からなるものと理解されるものである。
ところで,本件商標の構成中,「駿台」の文字部分は,上記2のとおり,駿台グループにおいては,全国各地にある34校の駿台予備学校,駿台文庫,駿台電子情報&ビジネス専門学校,駿台甲府高等学校,駿台甲府中学校,駿台甲府小学校,駿台トラベル&ホテル専門学校,駿台法律経済&ビジネス専門学校,駿台国際教育センター,駿台教育研究所,駿台個別教育センター,駿台小中学部,駿台中学部,駿台・浜学園などの学習塾などのように統一して語頭に使用している「駿台」の文字と同一であり(乙1,乙2),該文字は,本件商標の指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授」との関係においては,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,駿台予備学校及び同校を運営する学校法人駿河台学園を含む「駿台グループ」の略称として取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができるものである。
また,「観光」の文字は,「他の土地を視察すること。また,その風光などを見物すること。」の意味を有し,「&」の文字は,「・・・および」等の意味を表す記号であり,「外語」の文字は,「外国のことば。外国語。」の意味を有し,「ビジネス」の文字は,「仕事。実務。事業。商業上の取引。」の意味を有するものであるが,「観光」,「外語」及び「ビジネス」の各文字は,上記指定役務との関係においては,知識の教授における分野を表すものとして理解されるものである。
さらに,その構成中,「専門学校」の文字は,「法的には高等学校卒業者を対象とする専門課程を置く専修学校。一般には中学校卒業者を対象とする専修学校にもこの名称が用いられる。」を意味する語(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)として一般によく知られているものであり,「学校教育法」(昭和二十二年三月三十一日法律第二十六号)の第百二十6条第1項には,「高等課程を置く専修学校は,高等専修学校と称することができる。」及び同第2項には,「専門課程を置く専修学校は,専門学校と称することができる。」と規定されているものであって,請求に係る指定役務との関係においては,役務の質及び提供の場所である学校の名称に用いられる文字と認められるものである。
そうすると,本件商標においては,上記したとおり,その構成中の「駿台」の文字部分が,駿台予備学校及び同校を運営する学校法人駿河台学園を含む「駿台グループ」の略称として広く知られていることからすれば,取引者,需要者をして,役務の出所識別標識として強く印象付けられるものであり,かつ,その構成中の「観光&外語ビジネス」の文字は,役務の対象となる内容,質等を表示するものとして認識される文字であって,これらの文字部分によって結合された専門学校の名称として,本件商標は,一義として,その構成文字の全体をもって,専門学校の名称を表したものということができる。
してみれば,本件商標は,その構成文字の全体から,「(駿台予備学校及び同校を運営する学校法人駿河台学園を含む)駿台グループに関連する観光及び外国語によるビジネスに関する専門学校」という程の意味合いを理解させるものであって,駿台グループに関連する専門学校の名称としての「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の観念を生じるものというのが相当である。
また,本件商標においては,その構成中の「専門学校」の文字は,学校の種別を表示する語として,自他役務の識別力がないか極めて弱いことなどからすると,「駿台観光&外語ビジネス」の文字部分が自他識別標識としての機能を果たす要部といえるから,本件商標は,その全体から生じる「スンダイカンコウアンドガイゴビジネスセンモンガッコウ」の称呼のほか,「スンダイカンコウアンドガイゴビジネス」の称呼をも生じるものというべきである。
(2)引用商標について
引用商標は,「外語ビジネス専門学校」の文字からなるところ,その構成は,「外語」,「ビジネス」及び「専門学校」の各文字からなるものと理解されるものである。
そして,これらの文字は,本件商標の構成文字と同様に,知識の教授における分野の語,並びに,役務の質及び提供の場所である学校の名称に用いられる文字と理解されるものであるから,引用商標は,一義として,その構成文字の全体をもって,専門学校の名称を表したものということができる。
そうとすれば,引用商標は,その構成文字の全体から,「外国語によるビジネスに関する専門学校」という程の意味合いを理解させるものであって,専門学校の名称としての「外語ビジネス専門学校」の観念を生じるものというのが相当である。
また,引用商標においても,その構成中の「専門学校」の文字は,学校の種別を表示する語として,自他役務の識別力がないか極めて弱いことなどからすると,「外語ビジネス」の文字部分が自他識別標識としての機能を果たす要部といえるから,引用商標は,その全体から生じる「ガイゴビジネスセンモンガッコウ」の称呼のほか,「ガイゴビジネス」の称呼をも生じるものというべきである。
そして,前記1のとおり,引用商標は,専門学校の名称として長年にわたり使用されているものということができるとしても,引用商標の商標権者の業務に係る役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されているとまではいうことができない。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標との類否について検討するに,外観においては,両商標は,著名な「駿台」の文字を含む「駿台観光&」の文字の有無において,明らかな差異を有するものであるから,外観上,明確に区別できるものである。
そして,称呼においては,本件商標から生じる「スンダイカンコウアンドガイゴビジネスセンモンガッコウ」及び「スンダイカンコウアンドガイゴビジネス」の称呼と,引用商標から生じる「ガイゴビジネスセンモンガッコウ」及び「ガイゴビジネス」の称呼とは,称呼の識別における重要な語頭音において,「スンダイカンコウアンド」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから,互いに聞き誤るおそれはないものである。
次に,観念においては,本件商標からは,駿台グループに関連する専門学校の名称としての「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の観念を生じるのに対し,引用商標からは,専門学校の名称としての「外語ビジネス専門学校」の観念を生じるものであるから,両商標は,観念上,相違するものであり,互いに相紛れるおそれはないものである。
してみれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても十分に区別することができる非類似の商標というべきである。
(4)請求人の主張について
請求人は,「すなわち,通常,学校には小学校,中学校,高等学校等種類が多いことから,『専門学校』の部分も名称として一体に記憶,認識されるものといえる。そうとすると,本件商標『駿台観光&外語ビジネス専門学校』は,その構成全体及びこれより生じる『スンダイカンコウアンドガイゴビジネスセンモンガッコウ』の称呼は冗長であることは言うまでもない。してみれば,やはり,『&』の文字の前後で『駿台観光』と『外語ビジネス専門学校』のように分離観察される場合もあり得ないとはいい切れない。さらにいえば,近年,会社等の吸収合併等にあっては,合併後の名称を相互の会社の名称を『&』記号によって○○&○○ホールディングのように表記することも珍しくはないという事情がある。・・・本件商標は,その構成及び上記近年の経済界の事情等を考慮すれば,これに接する取引者,需要者をして,前半の『駿台観光』と後半の『外語ビジネス専門学校』とを視覚的に分離観察し,又は『駿台観光専門学校』と『外語ビジネス専門学校』とが合併したかのように認識し,後半部分の『外語ビジネス専門学校』のみに注目し,当該文字部分より『ガイゴビジネスセンモンガッコウ』又は『ガイゴビジネス』の称呼及び『外国語によるビジネスに関する専門学校』程の観念をも生じる場合も少なくないものといえる。したがって,本件商標は,『外語ビジネス専門学校』の文字部分において引用商標と共通にするものであり,当該文字部分に相応して生じる『ガイゴビジネスセンモンガッコウ』の称呼,『外国語によるビジネスに関する専門学校』程の観念を生じるものである。」旨を主張している。
しかしながら,会社等の吸収合併等にあって,合併後の名称を相互の会社の名称を「&」記号を介して「○○&○○ホールディング」のように表記することも珍しくはないという事情があるとしても,本件商標の「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の専門学校の名称における「&」は,「観光」と「外語」を結合したものであって,かつ,「観光&外語ビジネス」の文字部分からは,「『観光』と『外語ビジネス』を結合したもの」と解釈するよりも,「『観光ビジネス』と『外語ビジネス』の結合を簡略化した表示」とみるのが自然である。
そして,本件商標は,被請求人が,一貫して学校名称の語頭に使用して著名な「駿台」と,知識の分野や科目内容を端的に表した「観光&外語ビジネス」と,学校の種類としての「専門学校」を組み合わせたものと容易に理解されるものである。
また,請求人に係る「外語ビジネス専門学校」の著名性は認められないことから,本件商標中の該文字部分に着目するといった事情もないというべきである。
そうすると,本件商標を「駿台観光」と「外語ビジネス専門学校」とに分断するのは不自然である。
よって,本件商標から,「外語ビジネス専門学校」の文字部分のみを視覚的に分離観察し,これより引用商標と共通にする称呼,観念を生じるとする,請求人の主張は失当である。
(5)小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,十分に区別することができる非類似の商標というべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の著名性について
前記1によれば,請求人が,本専門学校に関して,引用商標である「外語ビジネス専門学校」の名称を専門学校の校舎等に表示し,また,同校のパンフレット等の広報物にも同じく「外語ビジネス専門学校」を使用しているとしても,請求人の専門学校は,わずか1カ所であって,その生徒が日本の各地域から来ているとしても,わずかな人数にとどまるものである。
そして,新聞や雑誌,進学情報誌等の書籍類については,本専門学校が全国的に知られている事情として理解されるものでもなく,また,「外語ビジネス専門学校」が作成するパンフレット等の印刷物についても,その入学者数との関係からすれば,同校の周知性を窺わせるものともいえないものである。その他の広報物も,神奈川県や川崎市といった地域に関係した情報や媒体に関するものが主なものであって,さらに,テレビ放映については,千葉テレビの3回のみである。
そうすると,昭和57年に「外語ビジネス専門学校」と改称され,それ以降,引用商標が使用されてきたとしても,上記の事実からすれば,全国3,000校の中にあって,本専門学校が全国的に知られているといった事情も見あたらないものというのが相当である。
してみれば,引用商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,請求人の業務に係る役務(知識の教授等)を表示する商標として取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標の類似性の程度について
前記3(3)のとおり,本件商標と引用商標は,たとえ引用商標の構成文字を本件商標中に有するとしても,互いの外観における印象が大きく異なり,その外観,称呼及び観念のいずれの点からみても十分に区別することができる非類似の商標というべきである。
なお,本件商標の指定役務と引用商標が使用されている役務とは同一又は類似の役務といえるものである。
(3)独創性について
引用商標は,その構成中,「外語」の文字が,「外国のことば。外国語。」の意味を有し,「ビジネス」の文字が,「仕事。実務。事業。商業上の取引。」の意味を有するものであるから,「外語」及び「ビジネス」の各文字は,その指定役務との関係においては,知識の教授における分野を表すものとして理解されるものである。
さらに,その構成中,「専門学校」の文字は,「法的には高等学校卒業者を対象とする専門課程を置く専修学校。」等を意味する語として一般によく知られているものであり,請求に係る指定役務との関係においては,役務の質及び提供の場所である学校の名称に用いられる文字と認められるものである。
そうすると,引用商標は,知識の分野や科目内容と学校の種別の組合せであって,その独創性の程度は,造語による商標に比して高いとはいえない。
(4)需要者等について
請求人と被請求人の提供する役務は,同じ分野における知識の教授である。そして,その需要者は,主に,高校生,高校等の卒業生及び教育関係者などである。
そして,上記需要者においては,その専門学校を選ぶ際には,個々の目的を達成するために慎重になり,また,一般に,年間の授業料が相当の金額になることからすれば,十分な調査及び検討がなされるものであるから,その役務を提供する学校選びについて払われる注意力は,非常に高いものであるというべきである。
(5)出所の誤認混同について
以上のとおり,(ア)本件商標は,引用商標と特に外観において顕著な差異があって,観念及び称呼においても相違し,本件商標と引用商標とは相紛れるおそれはないものであること,(イ)引用商標は,独創性が高いとはいえないものであること,(ウ)引用商標は,数十年にわたり使用されているとしても,需要者の間に広く認識されているとは認められないこと,(エ)需要者を共通にするとしても,その需要者の注意力は,非常に高いものであること,等を総合的に考慮すれば,本件商標を請求に係る指定役務に使用した場合は,これに接した需要者に対し,引用商標を連想,想起させるものではないから,当該役務が請求人あるいは同人との間に緊密な業務上の関係又は事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る役務であると誤信され,役務の出所につき誤認を生じさせるおそれがないものと認められる。
そうすると,本件商標は,商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」に該当すると解することはできないというのが相当である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記3及び4のとおり,本件商標の指定役務と引用商標の使用に係る役務とが同一又は類似のものであるとしても,本件商標は,引用商標とは類似しない商標である。
そして,上記1のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,請求人の業務に係る役務を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
また,請求人が提出した証拠からは,被請求人が不正の目的で本件商標を使用するものと認めるに足る具体的事実は見いだすことができない。
なお,請求人は,「被請求人は,専門学校を営む法人であるため,深堀氏が学校長を務める『外語ビジネス専門学校』についても当然に認識していたにもかかわらず,出願し,登録を受けたものである。このことは,被請求人と同系列の学校法人駿河台南学園が関東圏で運営する『駿台外語&ビジネス専門学校』が,『外語ビジネス専門学校』の表記をそのまま学校名に採択することはせずに,引用商標と出所の混同が生じないように『外語』と『ビジネス』の間に『&』の記号を用いて使用していることからも明らかである。以上の事情を総合してみると,本件商標は,偶然に引用商標をその構成中に有するものとは考え難く,引用商標の有する高い名声・信用・評判にフリーライドする目的で出願に至ったものと推認される。引用商標は,昭和23年に創立された伝統ある学校であり,英語を初めとする語学や専門的なビジネススキルの教授,外国人留学生向けの日本語教育,社会人向けの語学教育,離職者向けの職業訓練等,幅広い教育サービスを行う特色ある専門学校の名称として学校長深堀氏が創作した造語商標であり,特に語学教育に係る取引者,需要者においては,日本語教育に興味を有する海外においても広く認識されている。このように周知・著名な引用商標をその構成中に含む本件商標は,引用商標の評判・利益を大きく損ない,出所表示機能を希釈化させるおそれのあるものであり,不正の目的で出願,登録されたというべきである。」旨を主張している。
しかしながら,本件商標中に,「外語ビジネス専門学校」の文字が含まれているとしても,その文字構成は,請求に係る指定役務との関係においては,知識の教授における分野を表すものとして理解される「外語」及び「ビジネス」の各文字と,学校の種別である「専門学校」の文字からなるものであって,その組み合わせは,「観光」,「外語」,「ビジネス」というような科目を内容とするような専門学校において,その名称の一部として,採択することは不自然ではなく,十分にあり得るといえるものであるから,本件商標は,「偶然に引用商標をその構成中に有するものとは考え難く,引用商標の有する高い名声・信用・評判にフリーライドする目的で出願に至ったものである」とは,推認し難いものである。
そして,引用商標には,著名性が認められないことも考慮するならば,昭和23年に創立された学校であるとしても,引用商標の評判・利益を大きく損ない,出所表示機能を希釈化させるおそれのあるものとはいえないものであって,不正の目的で出願,登録されたということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 商標法第4条第1項第8号該当性について
(1)請求人は,「本件商標は,『駿台観光&外語ビジネス専門学校』の文字からなるところ,その構成中に,請求人が経営する専門学校の名称である『外語ビジネス専門学校』の文字を有するものである。また,請求人は,本件商標の登録時はもとより出願時前である昭和57年より現在に至るまで長きにわたり『外語ビジネス専門学校』を使用していることから請求人が経営する専門学校の名称として,進学を希望する生徒,その父兄,教育関係者をはじめとする取引者,需要者間においてよく知られているものといえるものであるから,著名な略称といえるものである。かつ,請求人は,被請求人に対し商標出願することに対し承諾をしていない。したがって,本件商標は,他人の名称または他人の著名な略称を含むものであって,その他人の承諾を得ていないものである。」及び「『外語ビジネス専門学校』は,一般及び公的にも請求人の運営する学校名として認知されていることが明らかである。また,『外語ビジネス専門学校』は,著名な略称であるともいえる。上記判決において『人の名称等の略称が8号にいう「著名な略称」に該当するか否かを判断するについても,常に,問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく,その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されると解する。』と判示されている。上記のとおり『外語ビジネス専門学校』は請求人の専門学校の名称であるが,仮に,『外語ビジネス専門学校』が他人の名称に当たらないとしても,・・・請求人は,『外語ビジネス専門学校』を長期間にわたり使用し続け,その間,書籍,新聞又はテレビ等のマスメディアの取材等で度々取り上げられている。したがって,請求人略称は,教育関係者を始めとする知識人の間でよく知られている著名な略称でもある。」旨を主張している。
そこで,以下において,請求人の上記主張を踏まえて検討する。
(2)「外語ビジネス専門学校」が「他人の名称」等であるかについて
商標法第4条第1項第8号の趣旨は,「人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像,氏名,名称等に対する人格的利益を保護することにある」と解されている(最高裁平成17年7月22日第二小法廷判決,平成16年(行ヒ)第343号)。
そうであれば,商標法第4条第1項第8号は,他人の人格的利益の保護の規定であって,同号にいう「他人」とは,基本的には自然人又は法人と解すべきである。
また,他人が法人である場合,その名称とは株式会社等の組織形態を含むものがこれに当たり,学校法人であれば,「学校法人」の文字を除いた部分はその略称と解すべきである。そして,同号は,略称にあっては著名なものであることを要件としていることは,その法文から明らかである。
そして,「外語ビジネス専門学校」は,請求人である学校法人深堀学園が運営管理する専門学校であり,その名称である(甲115)。
そうすると,「外語ビジネス専門学校」は,学校法人の名称またはその略称ではなく,請求人が運営管理する専門学校の名称として使用されてきたものであって,その使用は,専門学校の名称としての使用,または商標の使用というべきものである。
してみれば,「外語ビジネス専門学校」は,商標法第4条第1項第8号に規定される「他人の名称」または「他人の著名な略称」には該当しないものである。
(3)「他人の著名な略称」であるかについて
ア ところで,上記の最高裁判決においては,「商標法4条1項は,商標登録を受けることができない商標を各号で列記しているが,需要者の間に広く認識されている商標との関係で商品又は役務の出所の混同の防止を図ろうとする同項10号,15号等の規定とは別に,8号の規定が定められていることからみると,8号が,他人の肖像又は他人の氏名,名称,著名な略称等を含む商標は,その他人の承諾を得ているものを除き,商標登録を受けることができないと規定した趣旨は,人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像,氏名,名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち,人は,自らの承諾なしにその氏名,名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである。略称についても,一般に氏名,名称と同様に本人を指し示すものとして受け入れられている場合には,本人の氏名,名称と同様に保護に値すると考えられる。そうすると,人の名称等の略称が8号にいう『著名な略称』に該当するか否かを判断するについても,常に,問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく,その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきものということができる。」とも判示されているところである。
イ そこで,「外語ビジネス専門学校」の名称が請求人の著名な略称であるかについてみると,請求人は,「本件商標の登録時はもとより出願時前である昭和57年より現在に至るまで長きにわたり「外語ビジネス専門学校」を使用していることから・・・著名な略称といえるものである。」旨を主張しているところ,前記1(2)のとおり,「外語ビジネス専門学校」の文字からなる引用商標は,請求人の専門学校に係る役務(知識の教授等)を表示する商標として,取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであって,同様に,提出された証拠からは,該文字が請求人の略称として,全国的に広く知られていたものとも認められないことからすれば,請求人の業務に係る役務(知識の教授等)の分野及びその分野を超えて,同人の略称として,「外語ビジネス専門学校」が著名であるということはできない。
ウ そうすると,「外語ビジネス専門学校」の文字が,請求人である学校法人深堀学園が運営管理する専門学校の名称として継続して使用されてきたとしても,我が国の「知識の教授」を行う教育関係の分野における取引者,需要者の範囲を超えて全国的に広く知られているとは認められず,請求人の著名な略称としての著名性もやはり認められないものである。
してみれば,「外語ビジネス専門学校」の文字は,請求人を指し示す略称として一般に受け入れられているとはいえないものである。
したがって,「外語ビジネス専門学校」の文字は,「他人の著名な略称」であるということができない。
(4)著名な略称を想起させるかについて
また,「商標法第4条第1項第8号が,他人の肖像又は他人の氏名,名称,著名な略称等を含む商標はその他人の承諾を得ているものを除き商標登録を受けることができないと規定した趣旨は,人の肖像,氏名,名称等に対する人格的利益を保護すること,すなわち,人(法人等の団体を含む)は,自らの承諾なしにその氏名,名称等を商標に使われることがない利益を保護することにあるところ(最高裁平成17年7月22日第二小法廷判決・裁判集民事217号595頁),問題となる商標に他人の略称等が存在すると客観的に把握できず,当該他人を想起,連想できないのであれば,他人の人格的利益が毀損されるおそれはないと考えられる。そうすると,他人の氏名や略称等を「含む」商標に該当するかどうかを判断するに当たっては,単に物理的に「含む」状態をもって足りるとするのではなく,その部分が他人の略称等として客観的に把握され,当該他人を想起・連想させるものであることを要すると解すべきである。」との判示がされている(知財高裁平成21年(行ケ)第10074号 同21年10月20日判決)。
これを本件についてみるに,本件商標は,「駿台観光&外語ビジネス専門学校」の文字を書してなるところ,前記したとおり,請求人の提出に係る証拠によっては,「外語ビジネス専門学校」の文字は,請求人を指し示すものとして一般に受け入れられている「著名な略称」ということはできないものであり,かつ,本件商標は,その構成中に「外語ビジネス専門学校」の文字を有するとしても,該文字は,その構成中,「外語」の文字が,「外国のことば。外国語。」の意味を有し,「ビジネス」の文字が,「仕事。実務。事業。商業上の取引。」の意味を有するものであるから,「外語」及び「ビジネス」の各文字は,請求に係る指定役務との関係においては,知識の教授における分野を表すものとして理解されるものであって,「外語ビジネス専門学校」の文字は,知識の教授における分野と学校の種別の組合せとしての学校の名称として,また,知識の教授における分野を表すものとして理解されるものであって,これに接する者に,請求人を想起,連想させるものということができない。
(5)小括
以上によれば,引用商標は,請求人の名称とは認められず,また,本件商標の登録出願時において,請求人の略称として著名となっていたとも認められないから,本件商標は,他人の名称,著名な略称を含む商標とはいえないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
7 商標法第4条第1項第7号該当性について
商標法第4条第1項第7号に該当するか否かについては,「商標法第4条第1項第7号が『公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標』として,商標自体の性質に着目した規定となっていること,商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については同法第4条第1項各号に個別に不登録事由が定められていること,及び,商標法においては,商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば,商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法第4条第1項第7号に該当するのは,その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである」とされ,「私的な利害の調整は,原則として,公的な秩序の維持に関わる商標法第4条第1項第7号の問題ではないというべきである」(東京高等裁判所平成14年(行ケ)第616号,知的財産高等裁判所平成19年(行ケ)第10391号)と解される。
請求人は,本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する理由として,「教育関係者であれば,学校の名称として同一名称の使用は避けるというのが暗黙の了解として守られ,取引の秩序が保たれているといえる。したがって,校名変更をする際には,・・・特に同じ専門学校の名称については調査するのが当然であり,請求人学校名は長年に亘り『全国専修学校総覧』に掲載されていることから,当然発見できるはずである。・・・本件商標を採択したのは,『外語ビジネス専門学校』を本件商標中に取り込み,将来的に『外語ビジネス専門学校』を系列化しようとする布石であるとも推測される。・・・仮に,引用商標の存在を認識していなかったとすれば,事前に調査することなく引用商標を含む商標を出願し,登録を受けたことは,教育に携わる者として怠慢,かつ,慎重さに欠ける行為であるといえる。以上のとおり,本件商標は,他人の名称であることを知って,意図して他人の名称を一部に採用し,また他人の名称であることを知っていたにもかかわらず自己の商標に一部が著名であることを過信しこれを平然とその一部に採用し,あるいは,名称変更の際に当然行われなければならない商取引上の習慣を無視し,出願し,登録を受けたものであることは明らかである。したがって,本件商標は,その指定役務に係る商取引の秩序を乱すものであって,公序良俗を害するおそれがあり,かつ,商道徳に反し社会一般の道徳観念にも反する商標といえる」旨主張している。
しかしながら,引用商標は,上記のとおり,我が国において請求人の業務に係る役務を表すものとして広く認識されているということができないものである。そして,専門学校の名称の採択に当たって,名称についての調査をすることは一般的であるとしても,そのことが暗黙の了解があるとの事情として特に認められないし,加えて,本件商標と引用商標とは同一の名称とはいえない。そもそも,他人の名称との関係における名称の採択は,当事者間の利害関係に関するものであって,私的な利害の調整に関わる問題であり,また,「将来的に『外語ビジネス専門学校』を系列化しようとする布石であるとも推測されるから,それを達成するために本件商標を登録した。」旨の主張は,あくまで,請求人の推測であり,商標法第4条第1項第7号における公的な秩序の維持に関わる問題であるということはできない。
そうすると,本件商標は,引用商標とは非類似であって,その出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあるとはいえないことから,商取引の秩序を乱すものではなく,公序良俗を害するおそれがなく,かつ,商道徳に反し社会一般の道徳観念に反する商標とはいえないものである。
なお,請求人は,「請求人は,『引用商標』を名称中に含む外国語の専門学校(本件請求外法人)に,その名称の使用を中止するよう警告書を発したことがある。相手側は,請求人の引用商標を認め,自己のWEBサイトに新たな学校名を表示するとの平成26年10月21日付合意書に記名・押印した。このことは,専門学校を運営する教育業界にあっては,他人の専門学校名と紛らわしい名称は選択しないという暗黙の了解があり,この暗黙の了解により秩序が保たれているといえる。各校によって,業界のモラルが守られてきたために今まで争いが生じることはなかった。そうとすると,本件商標は,かかる暗黙の了解を無視し,被請求人がこれをその指定役務に使用した場合,取引者,需要者である生徒及び父母又は教育関係者が,引用商標権者の業務に係る役務であるかの如く出所の混乱を生じることを十分認識していたにもかかわらず,出願し,登録を受けたものであるから,専門学校を運営する教育業界の秩序をも乱すものであり,商道徳に反するものである。」,及び「請求人は,『高知外語ビジネス専門学校』に,『外語ビジネス専門学校』は登録商標であり,使用を中止するよう書面を送った結果,先方より今春から校名変更するとの覚書を受理しており,また実際に『高知外語ビジネス専門学校』については名称を変更している。以上のとおり,請求人は,自己の学校の名称である登録商標の管理も厳格に行っている。」旨を主張している。
しかしながら,「引用商標」を名称中に含む外国語の専門学校(本件請求外法人)に,その名称の使用を中止するよう警告書を発したことがあるという事実は,専門学校を運営する教育業界にあっては,他人の専門学校名と紛らわしい名称は選択しないという暗黙の了解があるという主張と相反する事実と見て取れるものである。
また,請求人が「高知外語ビジネス専門学校」に,「外語ビジネス専門学校」が登録商標であり,使用を中止するよう書面を送った結果,同校が「高知外語ビジネス専門学校」の名称を変更している事実(甲27),及びその他の名称変更に関する事実(甲169,甲198?甲200)は,請求人による自己の学校の名称である登録商標について,商標権を行使していることが認められるものであって,他人の専門学校名と紛らわしい名称は選択しないという暗黙の了解があるという主張と相反する事実である。
してみれば,上記のように,他人が著名性のない引用商標と紛らわしい名称を採択するのは,引用商標権者の業務に係る役務であるかの如く出所の混乱を生じることを十分認識していたとはいえず,本件商標についても,特別に,その商標出願し,商標登録を受けたことが,専門学校を運営する教育業界の秩序を乱すものとはいえないものであるから,商道徳に反するものであるということができない。
よって,請求人の上記主張は,採用することができない。
また,本件商標は,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字等からなるものではないことは明らかであり,他の法律によってその使用が禁止されているものでもない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
8 まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,その請求に係る指定役務について,商標法第4条第1項第7号,同第8号,同第11号,同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第46条第1項の規定により,その登録を無効とすべきでない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
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審理終結日 2018-03-29 
結審通知日 2018-04-04 
審決日 2018-04-27 
出願番号 商願2014-5216(T2014-5216) 
審決分類 T 1 12・ 271- Y (W41)
T 1 12・ 222- Y (W41)
T 1 12・ 262- Y (W41)
T 1 12・ 263- Y (W41)
T 1 12・ 23- Y (W41)
T 1 12・ 22- Y (W41)
T 1 12・ 261- Y (W41)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 榎本 政実 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 中束 としえ
井出 英一郎
登録日 2015-07-31 
登録番号 商標登録第5781652号(T5781652) 
商標の称呼 スンダイカンコーアンドガイゴビジネスセンモンガッコー、スンダイカンコーガイゴビジネスセンモンガッコー、スンダイカンコーアンドガイゴビジネス、スンダイカンコーガイゴビジネス、スンダイ、カンコーアンドガイゴビジネスセンモンガッコー、カンコーガイゴビジネスセンモンガッコー、カンコーアンドガイゴビジネス、カンコーガイゴビジネス、ガイゴビジネスセンモンガッコー 
代理人 横川 聡子 
代理人 亀井 文也 
代理人 木下 茂 
代理人 特許業務法人 英知国際特許事務所 
代理人 川浪 圭介 
代理人 川浪 薫 
代理人 金沢 彩子 
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