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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W091042
審判 全部申立て  登録を維持 W091042
審判 全部申立て  登録を維持 W091042
審判 全部申立て  登録を維持 W091042
管理番号 1341284 
異議申立番号 異議2017-900369 
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-12-04 
確定日 2018-06-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第5979560号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5979560号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5979560号商標(以下「本件商標」という。)は、「LPixel」の欧文字を標準文字で表してなり、平成29年2月9日に登録出願、第9類、第10類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年8月22日に登録査定され、同年9月8日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5608545号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 PIXEL(標準文字)
指定商品及び指定役務 第9類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成25年2月26日
優先権主張 トンガ王国 2012年(平成24年)10月12日
設定登録日 平成25年8月16日
(2)登録第5964093号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 Pixel
指定商品 第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成28年9月30日
設定登録日 平成29年7月14日
(3)登録第5969343号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲のとおり
指定商品及び指定役務 第9類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成28年10月3日
設定登録日 平成29年8月4日
(4)登録第5608546号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 CHROMEBOOK PIXEL(標準文字)
指定商品及び指定役務 第9類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成25年2月26日
優先権主張 トンガ王国 2012年(平成24年)10月12日
設定登録日 平成25年8月16日
(5)登録第5608547号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 GOOGLE CHROMEBOOK PIXEL(標準文字)
指定商品及び指定役務 第9類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成25年2月26日
優先権主張 トンガ王国 2012年(平成24年)10月12日
設定登録日 平成25年8月16日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同法第8条第1項に該当するので、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の事業について
引用商標は、申立人がスマートフォン、タブレット型・ノートブック型コンピュータ端末等について使用し、本国米国をはじめとする世界において広く知られるに至っており、日本国内においては、インターネット記事等のメディアを通じて紹介され、その事実が広く知られるに至っている。
申立人は、1998年9月4日に米国で設立され、2004年8月19日に最初の株式公開がされ、世界における代表的なIT企業の一つとして知られる。2017年に組織変更を行い、会社名をグーグル インコーポレイテッドからグーグル エルエルシーに変更した。
インターネットの検索エンジンである「Google」に関するサービスが代表的であり、2002年には世界で最も人気のあるものになり、インターネット検索のトップを占めるまでになっている。
申立人は、M&A・パートナーシップの手法により様々な分野の最先端企業を買収・提携し、同社の事業規模は急激に成長したことでも知られる。
また、モバイルOSのAndroidと、Chromebookとして知られているネットブック用のブラウザに特化したGoogle Chrome OSの開発も行ってきた。
2012年12月にAlexaはgoogle.comを世界で最もビジター数の多いサイトに選んだ。
申立人は、強固なサービスの提供基盤としてのインフラの整備にも積極的であり、100万台以上のサーバを世界中のデータセンターで運用しており、1日に10億以上の検索クエリーとユーザーが作成する24ペタバイトのデータを処理していることでも知られる。
申立人の事業は、従来は、検索エンジンをはじめとして、アプリケーションサービスプロバイダやクラウドサービスにおいて各種のソフトウェアアプリケーションの提供によるサービスの提供を中心に事業を行い、いわば他社ブランドである端末装置にOSやアプリケーションソフトウェアをインストールしてもらう形の事業展開であった。
イ 申立人によるハードウェア関連事業への進出について
近年では、上記事業に加え、自社ブランドによるハードウェアの分野にも進出した。
まず、自社ブランド「Nexus」のもと、申立人の提供する著名なOSである「Android」を搭載したスマートフォンやタブレット型コンピュータの開発を手掛けた。
続いて、自社ブランド「Chromebook」のもと、ノートブック型コンピュータ端末の開発・販売も行った。これは、コンピュータ端末により用いられるアプリケーションソフトウェアの利用を、ブラウザソフト「Chrome」へのアクセスを通じて、すべてクラウド上で行うという画期的な商品であった。これらの製品は高性能な通信・コンピュータ端末を生産している世界各国の電機製品メーカーの買収やとパートナーシップの締結により、事業を軌道に乗せてきた。
ウ 申立人の自社製品ブランド「Pixel」について
申立人は、自社ブランドのノートブック型コンピュータである2013年2月発売のChromebook Pixel(2013)に、引用商標に係る「Pixel」の名を用いた。
「Chromebook Pixel」は「Chrome」をOSに用いる高性能ノートブックコンピュータであり、高精細タッチ画面を採用した。従来は主に教育機関や法人向けの比較的安価なハードウェアを採用していたのに対して、「Chromebook Pixel」は、高性能プロセッサや上位版でLTEを内蔵するなど、一般的な端末の性能以上の仕様を備えたものであり、「考えうる最高のコンピュータ」を目指して、あらゆる要素を白紙の状態から考え直すことで生まれた製品であった(甲3)。
2015年3月11日には、Chromebook Pixel(2013)の後継にあたる「Chromebook Pixel(2015)」が発売された。AndroidOSを搭載した自社ブランド「Nexus」とともに、プラットフォームの可能性を示す目的でハイエンド端末を自ら提供する方針を継承したものであった(甲4)。
2015年9月29日に、Nexus5X、Nexus6Pの2機種とともに、初の自社開発タブレット型コンピュータ「Pixel C」を発表した。当時は、グーグル社の自社端末ブランドは「Nexus」ブランドと、引用商標に係る「Pixel」ブランドの2つを運用していた。
「Pixel C」は、磁石で専用のフルサイズキーボードと接続できるものであった。申立人は、これまでは、電機製品メーカーと共同開発したタブレットに「Nexus」ブランド、ノートブック型コンピュータに「Chromebook」のブランド名を付して販売してきたが、「Pixel C」は申立人初の自社開発の商品となった(甲5)。
2016年10月4日、「Made by Google」と名付けられたGoogle製品発表会にて、「Pixel C」同様、自社設計のスマートフォンである「Pixel」と「Pixel XL」の2機種が発表された(甲6、甲7)。
「Pixel」は一般的なサイズのディスプレイと筐体を備えたスマートフォンであるのに対して、「Pixel XL」は大型のディスプレイと筐体を備えたスマートフォンである。
両機種とも高性能カメラを装備していることが特徴であり、「Google Assistant」や「Google Lens」といったアプリが先行搭載されるなど、デバイスとソフトウェアのシームレスな連動が可能な商品であったことも話題となった。ウェブサイト「テクノバッファロー」において、2016年の最高の機種との評価を得た。
申立人が運営する著名動画サイト「YouTube」に掲載した上記モデルのプロモーションビデオは再生回数1600万回を超えた。
なお、「Made by Google」と名付けられたGoogle製品発表会の目的としては、OSやクラウド上のサービスのみならず、デバイスの製造も手掛けることによって、自らの手によって統一的かつ高水準のサービスを需要者に提供するという意思の表れであった。
これにより、スマートフォンとしての「Pixel」ブランドが確立されるに至ったといえる。
2017年10月4日には、新製品「Pixel 2」と「Pixel 2 XL」を発表した(甲8)。申立人の「モバイル優先、AI優先」を反映した設計になっていることや、高性能カメラを備えていることが特徴である。カメラの性能をカメラセンサーとレンズの性能を数値で評価するウェブサイト「DxOMark」において、「次世代の最高の水準のベンチマークとなるカメラである」と評価された。
「Pixel 2」は標準的なサイズのディスプレイ・筐体を備えるモデルであるのに対して、「Pixel 2 XL」は大型のディスプレイ・筐体を備えたモデルとの商品ラインナップについても前作「Pixel」の商品構成を踏襲している。
申立人が運営する著名動画サイト「YouTube」に掲載した上記モデルのプロモーションビデオは再生回数600万回を超えた。
このように、本件商標の出願前である2013年頃以降、「PIXEL(Pixel)」は申立人が自社ブランドで販売したコンピュータ端末(ノートブック型・タブレット型)に使用され、2016年には自社が独自に開発した、スマートフォンにも使用され、世界各国で瞬く間に人気の商品となっていたものである。
エ インターネットメディアによる紹介記事を通じた我が国での周知性
上記事実はインターネット記事等のメディアを通じて日本国内において紹介されてきた(甲3?甲8)。
そして、それら各メディアは、いずれも、IT関連のニュース・コラムなどを掲載するインターネットサイトとして人気の高いものであり、特にITメディアやマイナビニュースは月平均約1億ページビューを誇る著名なウェブサイトであるところから、引用商標を取り扱う業界における多くの需要者・取引者が閲覧していたと容易に推定されるところである。
オ まとめ
以上より、本件商標の出願時においては、引用商標に係る「PIXEL(Pixel)」の各文字は、スマートフォン、コンピュータ端末(ノートブック型・タブレット型)等の電子応用機械器具及びその部品・電気通信機械器具との関係で、申立人の業務に係る商品を示すものとして我が国の需要者・取引者の間で広く知られるに至っていたものである。また、その状態は、本件商標の査定時においても継続していたと容易に推認できるものである。
(2)本件商標と引用商標の類似性について
ア 本件商標は「LPixel」の文字からなる。冒頭の「L」が欧文字の大文字を表すところ、それに続く「P」も大文字であるところから、冒頭の文字を大文字で表しそれに続く文字を小文字で表す外国語の通例に倣えば、本件商標は、「L」と「Pixel」という、複数の文字を組み合わせた結合商標を構成するものと直ちに理解できるものである。
イ そこで、商標の類否判断に係る最高裁判決(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁、昭和36年6月23日第二小法廷判決・民集15巻6号1689頁、最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁)及び特許庁の商標審査基準を踏まえ、本件について検討する。
ウ 本件商標の構成
本件商標の前半部をなす「L」と後半部の「Pixel」は、その意味内容において、馴染まれた熟語的意味合いを有しているなど、密接あるいは自然な牽連性は全くなく、その他両者を常に一体のものとして把握しなければならない格別の事情も見当たらない。
むしろ、前記(1)に述べたとおり、「Pixel」は、2013年以降、申立人が世界各国において販売し、人気の商品となっており、我が国においてもその事実が周知なものになっているという取引の実情に鑑みれば、本件商標の構成にあって、「Pixel」の部分こそが本件商標に接する取引者、需要者をして、脳裏に印象付けられるのであり、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分である。
他方、残りの「L」の文字は、単に欧文字一文字を普通に用いられる方法で表した文字であって、識別機能を発揮しないか極めて弱い部分といえるばかりでなく、以下の取引の実情を考慮すれば、少なくとも「スマートフォン・コンピュータ端末(ノートブック型・タブレット型)を含む)電子応用機械器具及びその部品、電気通信機械器具」との関係で商品・役務の品質・質を表示するにすぎないものである。
エ 取引の実情
スマートフォン及びタブレット型・ノートブック型コンピュータなどの情報携帯端末、特にスマートフォンは、近年、一般需要者の間において急速な普及を果たした商品であるが、ディスプレイ技術の進歩と共に、徐々にディスプレイの大画面化が進んできた。「5インチ」前後のディスプレイを有する機種が最も一般的であり、比較的小型であるところから、手になじみやすくて持ちやすく、衣服のポケット等にも楽に収まるところから、特に手の小さな女性の人気が高いのが特徴である。
そして、最近特に人気を集めているのが、一回り大きな「5.5インチ」から「6インチ」の大型のディスプレイを有する、いわゆる「大画面スマホ」と呼ばれるカテゴリーである。台湾企業ASUS社の「ZenFone 3 Ultra」、米国企業Apple社のスマートフォンである「iPhone7Plus」など、各社が大画面スマホ市場に参入している事情がある(甲9、甲10)。
また、スマートフォンについては、ケースやカバーのような附属品を装着することがごく一般的に行われているところ、「大画面スマホ」のためにデザインされた商品が「Lサイズ」と称されている実情がある(甲11、甲12)。
なお、「L」は、英語「Large」に由来する外来語であり、「大きさが標準よりも大きいことを示す記号」として国語辞典(小学館発行「大辞林」第3版)に掲載されているほど我が国において馴染まれた文字である。
現に、申立人のスマートフォンにおいても、一般的なサイズのモデルといわゆる「大画面スマホ」の二種を取り揃えているところ、前者を「Pixel」と称しているのに対して、後者を「Pixel XL」として「XL」の文字を付加しているところである。「XL」の文字は我が国において英語「Extra Large」に通じ、「特大サイズ」を表す外来語として国語辞典(小学館発行「大辞林」第3版)に掲載されているほど馴染まれている文字である。
そうすると、本件商標中の「L」の文字からは「大きさが標準よりも大きいことを示す記号」を意味する外来語「ラージ」を容易に認識することができ、「大きさが標準よりも大きな商品」に用いられるソフトウェアの設計作成又は保守並びにその提供サービスとの関係で「L(サイズ)」の言葉が普通に用いられていると言い得るところである。
オ 本件商標の要部について
そうしてみると、本件商標の指定商品・指定役務中の、少なくとも第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」、第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」との関係では、本件商標の文字部分のうち「L」の部分は、単に「Lサイズ(大画面ディスプレイを備える)のスマートフォン等」又は「Lサイズ(大画面ディスプレイを備える)のスマートフォン等及びそれに使用されるソフトウェアの設計・提供・技術的支援」といった、商品の品質・役務の質を端的に示すために使用しているにすぎず、単に商品等の品質を普通に用いられる方法で表示するものであって、出所識別標識としての機能を果たすものではないか、あるいはその機能の弱い文字であると言わざるをえない。
したがって、本件商標の文字部分のうち、「L」の部分を除いた「Pixel」の部分こそが自他商品・役務の識別標識としての機能を果たす要部である。
カ 引用商標の構成について
引用商標は、それぞれ「PIXEL」「Pixel」を普通に用いられる文字で表したもの(引用商標1及び2)、これを要部の一つとしてやや図案化した「G」を付加したもの(引用商標3)、又はこれらと他の文字との結合(引用商標4及び5)であるところ、前記(1)に述べたとおり、「Pixel」の文字が世界各国で周知となり、その事実が我が国においても広く知られるにいたっている事実に鑑みれば、引用商標からは、構成文字に照応した「ピクセル」の称呼とともに、「米国グーグル社の提供に係る、スマートフォン、タブレット型・ノートブック型コンピュータ」と、その関連する商品・役務を想起、連想する。
キ 本件商標と引用商標の類否について
まず、外観については、本件商標は「Pixel(PIXEL)」の文字列を含んでいることが明らかであり、外観において少なくとも引用商標1ないし3と類似している。
次に称呼については、本件商標のうち、「Pixel」の部分が需要者に対し出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部といえるのに対し、「L」の部分が本件商標の指定商品・指定役務との関係で、商品・役務の品質・質を表すものであって、自他商品・役務の識別機能を有しないことに照らすと、本件商標は「ピクセル」との称呼も生じるものといえる。したがって、本件商標の称呼も、引用商標の称呼「ピクセル」と類似する。
さらに、観念においても、本件商標は申立人の周知商標を含んでいるところから、「米国グーグル社の提供に係る、スマートフォン、タブレット型・ノートブック型コンピュータ」に関連する商品・役務を想起、連想する点において、観念上も、引用商標と相当程度類似する。
(3)商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項について
前述したとおり、本件商標は、少なくとも引用商標1ないし3と類似する商標である。
また、本件商標の指定商品・役務中第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」、第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」は、引用商標1ないし3の指定商品・役務と同一又は類似のものである。
よって、本件商標は、少なくとも引用商標1ないし3との関係において、その指定商品・役務中の前述の指定商品・役務について商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4) 商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と引用商標との類似性について
前記(2)で詳述したように、「Pixel」の文字が、広く知られていることに鑑みれば、本件商標に接する需要者・取引者をして、「Pixel」の文字を顕著に含むことを容易に理解させるだけでなく、これが強く印象付けられて特に注目される場合も少なくない。よって、「米国グーグル社の提供に係る、スマートフォン、タブレット型・ノートブック型コンピュータ」に関連する商品・役務との観念を生ずる場合もあり、少なくとも、「申立人である米国グーグル社の提供に係る、スマートフォン・タブレット」である「Pixel」を想起、連想する点において、観念上も引用商標と類似する。
特に、引用商標2と4との関係においては、構成文字の大部分をなす「Pixel(大文字Pと小文字ixelの組み合わせ)」の文字について全く同一のものであり、外観上も紛れるおそれが高い。
よって、本件商標と引用商標の類似性は高いといわなければならない。
イ 引用商標の著名性の程度及び独創性
引用に係る「Pixel(PIXEL)」の文字が、申立人の商標として本国米国をはじめとする世界において広く知られるに至っており、日本国内においては、インターネット記事等のメディアを通じて紹介され、その事実が広く知られるに至っている事実は前述したとおりである。
「PIXEL」は「画素数」の意をも有する既成語であって、造語商標ほどの独創性があるとまではいえないとしても、申立人の商標として有名であるところから、国語辞書において「2016年に米国グーグル社が発売したモバイル端末のシリーズ名。Nexus(ネクサス)シリーズの後継として開発され、実行環境としてアンドロイドを採用。」などと掲載されているほどである(小学館「デジタル大辞泉」)。
しかも、引用商標の指定商品・指定役務との関係で何ら直接的に商品の品質等の内容を示唆するものではなく、このような文字を採択すること自体、高い顕著性を有しているのであり、十分に独創的であるといえる。
ウ 本件商標と引用商標の指定商品の関連性の程度
(ア)第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について
上記指定商品は、特許庁の「類似商品・役務審査基準」において、申立人が、引用商標を使用する商品「スマートフォン・コンピュータ端末(ノートブック型・タブレット型)」と同一又は類似の商品として取り扱われている。
よって、両商品は非常に関連性の高い商品であることは疑いのないところである。
(イ)第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」について
引用商標が使用される商品は「スマートフォン・ノートブック型・タブレット型コンピュータ端末」(以下「申立人商品」という。)であるところ、スマートフォンやタブレット型コンピュータは、「パーソナルコンピュータなみの機能をもたせた携帯型情報携帯端末」であり、スマートフォンが通話機能を有する他、両者はウェブページの閲覧、インターネット上の各種サービスやビジネスアプリケーションの使用、音楽や動画などマルチメディアの利用など、多彩な機能をもち、さまざまなアプリケーションソフトウェアをインストールすることで、さらに機能強化が可能となっている、超小型精密電子機器である。
そうすると、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」は、申立人商品と関連性の非常に高い役務である。
(ウ)第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計」について
スマートフォンやタブレット型コンピュータは、超小型精密電子機器であり、これを製造する企業は専門的で高度な技術が必要であるところから、申立人のような、電子機器の製造設備を有しないいわゆるファブレス企業は、これら電子機器の企画・開発・設計を行い、製造を高性能な通信・コンピュータ端末を生産している世界各国の電機製品メーカーを買収して子会社にする方法やとパートナーシップの締結により行う企業が多く存在している実情にある。
そうすると、「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計」は、申立人商品と関連性の非常に高い役務である。
(エ)第42類「電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」について
スマートフォンやタブレット型コンピュータは、超小型精密電子機器であるとともに、高度なソフトウェアの機能を利用して、その機器を使用することになるため、その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする。
よって、スマートフォンやタブレット型コンピュータの供給者、ソフトウェアの提供者は、通常、その利用者に対して、それら機器の性能・操作方法等に関する紹介及び説明に係るサービスを併せて行うことが一般的である。
そうすると、「電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」は、申立人商品と関連性の非常に高い役務である。
(オ)第42類「電子計算機の貸与」について
申立人商品は、一般的に大変高価な商品であるところ、例えば、外国からの旅行者などが旅行先の国々での通信手段として、プリペイド式の通信カードと共に、スマートフォンなどの端末機をセットで貸し出すサービスなどが一般に行われている。
そうすると、「電子計算機の貸与」は、申立人商品と関連性の非常に高い役務である。
(カ)第9類「理化学機械器具,光学機械器具,測定機械器具,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル」及び第10類「医療用機械器具」について
スマートフォンやタブレット型コンピュータは、用途ごとに専用の端末を用意しなくとも、一個所有していれば、ある用途に特化したソフトウェアをインストールすることによって様々な分野で使用が可能である。
そして、a)実験結果、b)光学に関連する数値や特性を分析したり、c)様々な分野における物質の特性に係る数値等を測定して分析したり、d)インターネットからダウンロードした動画を表示したり、e)医療の現場において例えば看者の診断結果などを、即座に表示させる等のための端末装置として利用することは、すでに一般的なものとなっている。
してみると、本件商標の上記指定商品・指定役務は、申立人商品との関係において、商品・役務の性質・機能・提供者・目的を共通にするなど、関連性が非常に高いといえる。
エ 需要者・取引者の共通性
本件商標に係る取引者・需要者は、「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」及びそのソフトウェア、並びに、それらに関連するサービスの利用者となり、両商標の取引者・需要者を共通にする。
オ 取引の実情
前記(2)エで詳述したとおりの取引の実情からすると、本件商標中の「L」の文字からは、「大きさが標準よりも大きいことを示す記号」を意味する外来語「ラージ」を容易に認識することができ、「大きさが標準よりも大きな商品」に用いられるソフトウェアの設計作成又は保守並びにその提供サービスとの関係で「L(サイズ)」の言葉が普通に用いられていると言い得るところである。
よって、本件商標「LPixel」に接する需要者・取引者は、申立人が提供する商品である「Pixel」であって、「大型の画面(ディスプレイ)」を有する商品とそれに関連する役務であるかのごとくに、認識することも少なくないとみられる。
このような事情のもと、申立人とは何らの関係も有しない商標権者により、本件商標「LPixel」を用いて、その指定商品・指定役務が提供された場合、あたかも、申立人又はその関連会社により提供される「Pixel」とその関連商品・役務であるかのごとく、誤認を生じさせるおそれがある。
カ まとめ
以上の事情を総合的に勘案すれば、本件商標は、これに接する需要者・取引者に対して、引用商標を連想させて商品の出所について誤認を生じさせ、その登録を認めた場合には、引用商標の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)や、その希釈化(いわゆるダイリューション)を招くという結果を免れない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、1998年9月に米国で設立されたIT企業である。
(イ)申立人は、米国で2013年2月にノートブック型コンピュータ「Chromebook Pixel」(初代)、2015年3月に同じく「Chromebook Pixel(2015)」を発売した(甲4)。
(ウ)申立人は 2015年9月にタブレット型コンピュータ「Pixel C」を発表(甲5)、2016年10月にスマートフォン「Pixel」及び「Pixel XL」を発表(甲6、甲7)、さらに、2017年10月にスマートフォン「Pixel 2」と「Pixel 2 XL」を発表した(甲8)。
(エ)上記(イ)及び(ウ)の発売、発表については、インターネット記事等を通じて日本国内において紹介された(甲3?甲8)。
(オ)しかしながら、当該コンピュータ及びスマートフォンの我が国における販売数量、売上額、販売シェアなど販売実績を示す証左は見いだせないばかりか、それらが我が国で販売された事実も確認できない。
イ 上記アの事実によれば、「Pixel」の文字を用いた申立人商品が米国など外国で販売されたことは推認できるもの、申立人商品の我が国での販売実績はもとより、販売された事実さえ確認できないから、申立人商品の発売や発表がインターネット記事等を通じて我が国で紹介されたことを考慮しても、申立人商品はいずれも、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
そうすると、申立人商品に係る引用商標は、いずれも本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
申立人は、本件商標が商標法第8条第1項に該当する旨主張するところがあるが、引用商標はいずれも本件商標の登録査定の日前に設定登録されているので、かかる主張は商標法第4条第1項第11号に該当する旨の主張と認め、以下検討する。
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「LPixel」の文字からなり、その構成文字は、同書、同大、同間隔で、まとまりよく一体に表され、これから生じる「エルピクセル」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、「LPixel」の語は、辞書等に記載のないことから、商標全体として特定の観念を生ずるとはいえないものであって、たとえ、その構成中の「L」の文字が「Lサイズ」を表す記号などとして使用されるものであるとしても、かかる構成においては、該文字が「Lサイズ」を表す記号として認識されるというよりは、むしろ、本件商標は、構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
さらに、本件商標は、その構成中「Pixel」の文字部分が、取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体をもって、「エルピクセル」の称呼を生じ、特定の観念を生じない一体不可分のものとして認識、把握されるというのが相当である。
イ 引用商標
(ア)引用商標1及び引用商標2は、前記2(1)及び(2)のとおり、「PIXEL」及び「Pixel」の文字からなり、構成各文字に相応して、いずれも「ピクセル」の称呼、「画素」の観念を生じるものである。
(イ)引用商標3は、別掲のとおり、図形と「Pixel」の文字よりなるものであって、当該図形部分と文字部分とは、視覚上分離して看取されるばかりでなく、両者が常に一体不可分のものとしてみなければならない特段の理由も見当たらないものであるから、それぞれの部分が独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そうすると、引用商標3からは、「Pixel」の文字部分に相応して、「ピクセル」の称呼、「画素」の観念が生じるものである。
(ウ)引用商標4は、前記2(4)のとおり、「CHROMEBOOK PIXEL」の文字からなるところ、当該文字は、辞書等に記載のないことから、商標全体として特定の観念を生ずるとはいえないものであって、その構成文字に相応して生ずる「クロムブックピクセル」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
また、その構成中の「PIXEL」の文字部分が、取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情は見いだせない。
そうすると、引用商標4は、その構成文字全体をもって、「クロムブックピクセル」の称呼を生じ、特定の観念を生じない一体不可分のものとして認識、把握されるというのが相当である。
(エ)引用商標5は、前記2(5)のとおり、「GOOGLE CHROMEBOOK PIXEL」の文字からなり、その構成文字に相応して、「グーグルクロムブックピクセル」の称呼を生ずるものである。
そして、引用商標5は、その構成文字全体としては、特定の観念を生ずるとはいえないものの、その構成中「GOOGLE」の文字が、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、我が国において広く認識されているから、当該文字に相応して、「グーグル」の称呼、「(申立人のブランドとしての)グーグル」の観念を生じるというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否
本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否について検討すると、外観については、両者は、外観の識別上重要な要素である語頭における「L」の文字の有無という差異を有することから、この差異が6文字と5文字という比較的少ない文字構成からなる両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえず、外観上、判然と区別し得るものである。
次に、称呼については、本件商標から生じる「エルピクセル」と引用商標1及び引用商標2から生じる「ピクセル」の称呼とは、称呼の識別上重要な要素である語頭において、「エル」の音の有無という差異を有するから、この差異が6音と4音という短い音構成である称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、語調語感が異なり、両者は、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じず、引用商標1及び引用商標2は「画素」の観念を生じるものであるから、両者は相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
(イ)本件商標と引用商標3の類否
本件商標と引用商標3の類否について検討すると、引用商標3は、図形と「Pixel」の文字よりなるものであるから、本件商標と引用商標3の構成全体を比較するに、図形部分の有無等から、両者は明らかに異なるものといえる。
また、引用商標3の構成中「Pixel」の文字部分を抽出して、本件商標と比較しても、上記(ア)と同様の理由により、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれはないというべきである。
そうすると、本件商標と引用商標3とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というのが相当である。
(ウ)本件商標と引用商標4の類否
本件商標と引用商標4を比較すると、外観については、その構成文字の差異等から明確に区別し得るものである。
次に、称呼については、本件商標から生じる「エルピクセル」の称呼と引用商標4から生じる「クロムブックピクセル」の称呼とは、構成音数の差異等から、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、両者は、共に特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標4とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において、明らかに異なるものであり、これらを総合して判断すれば、両者は、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
(エ)本件商標と引用商標5の類否
本件商標と引用商標5を比較すると、外観については、その構成文字の差異等から明確に区別し得るものである。
次に、称呼については、本件商標から生じる「エルピクセル」の称呼と引用商標5から生じる「グーグルクロムブックピクセル」又は「グーグル」の称呼とは、構成音数の差異等から、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないことに対して、引用商標5からは「(申立人のブランドとしての)グーグル」の観念を生じるものであるから、両者は相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標5とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標のいずれとも相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであり、他に、両商標が類似するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
前記4(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記4(2)のとおり、本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起するものということはできない。
してみれば、本件商標の指定商品・役務と申立人商品の関連性や需要者の共通性について考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
また、他に本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標3)
(色彩については、原本参照)


異議決定日 2018-05-28 
出願番号 商願2017-13870(T2017-13870) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W091042)
T 1 651・ 271- Y (W091042)
T 1 651・ 262- Y (W091042)
T 1 651・ 261- Y (W091042)
最終処分 維持 
前審関与審査官 川崎 萌未箕輪 秀人 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 冨澤 美加
小俣 克巳
登録日 2017-09-08 
登録番号 商標登録第5979560号(T5979560) 
権利者 エルピクセル株式会社
商標の称呼 エルピクセル 
代理人 右馬埜 大地 
代理人 石田 昌彦 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 
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