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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W37
管理番号 1341278 
異議申立番号 異議2017-900340 
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-11-06 
確定日 2018-06-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第5971876号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5971876号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5971876号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、平成29年2月9日に登録出願、第37類「スマートフォン・携帯電話・携帯情報端末機器又はコンピュータの修理又は保守,電子応用機械器具の修理又は保守,電気通信機械器具の設置工事・保守及び修理」を指定役務として、同年7月18日に登録査定、同年8月10日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標
申立人が、本件異議申立てに引用する申立人の業務に係る商標は、次のとおりである。(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)
(1)iシリーズ商標
申立人が使用している商標(以下「使用商標」という。)は、「iMac」「iPhone」「iPad」「iPod」」「iOS」「iCloud」「iTunes」等であるところ、これらの商標は著名なものであるから、「一文字目が小文字の『i』、二文字目を大文字とする態様」の商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものと認識されると申立人が主張するものである(以下「iシリーズ商標」という。)。
(2)申立人のりんご図形
申立人のりんご図形は、別掲2に示すとおりの構成よりなり、申立人の業務に係る腕時計型情報端末「Apple Watch」等について付されている商標であって(甲19?甲22)、申立人が周知であると主張するものである(以下「りんご図形商標」という。)。
2 申立人と「iシリーズ商標」
米国カリフォルニア州に本社を置く申立人は、「iMac」、「MacBook」等のパーソナルコンピュータ、スマートフォン「iPhone」、デジタルオーディオプレーヤー「iPod」、タブレット型コンピュータ「iPad」、腕時計型コンピュータ「Apple Watch」等を製造販売し、音楽・映像配信サービス「iTunes」、写真やビデオ等を保存するサービス「iCloud」等を提供する米国の法人である。
申立人は、「世界の最も価値あるブランドランキング」で首位を獲得するなど、高い知名度を誇り、当該ランキングにおいては、2011年から7年連続で首位の座を維持している(甲1)。
上記のとおり申立人に係る製品及びサービスは「iMac」「iPhone」「iPod」「iPad」「iTunes」「iCloud」「iOS」など、「i」を冠したがものが多い。これらの表示は英単語の頭文字を大文字にする決まりに馴染みがあるからこそ、一文字目を小文字、二文字目を大文字とする構成は違和感を持って需要者の注意を惹きつけるものである。このことは、スマートフォン「iPhone」に関する記事が多いが、「i」が小文字である理由を取り上げた記事が多く見られることからも見て取れる(甲2)。また、iPS細胞の研究で2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授は「iPS」細胞の「i」を小文字にしたのは「iPod」を意識したと話していることからも、一文字目を小文字の「i」にすることは申立人に係る製品を想起するといえる(甲3)。
申立人の「iPhone」「iPad」製品が著名であることは顕著な事実である。このことは、インターネットにおいて「iPhone 普及率」で検索しても日本での普及率が顕著に高いことが容易に伺える(甲4)。「iPhone」は、申立人が製造販売する唯一のスマートフォンである。スマートフォンは通話だけでなく、ネット接続などをすることができ、市場開拓の先兵となったのは申立人が2007年に発表した当該製品「iPhone」である(甲5)。これは世界的なヒット商品だが、特に日本のスマホ市場は当該製品の人気が突出し、スマートフォンのメーカー別シェアにおいては、申立人が54.1%と、2012年から5年連続の首位を獲得している(甲6及び甲7)。多くのメーカーは複数種類のスマートフォンを製造販売していることを鑑みると(甲8)、「iPhone」のみを製造販売している申立人のシェア54.1%は、そのまま「iPhone」のシェアということができる。
総務省の情報通信白書(平成28年度)によれば、2015年末のインターネット利用者数は1億46万人で人口普及率は83.0%であり、インターネット利用端末として54.3%の人がスマートフォンを使用している(甲9)。そうすると、約5455万人がインターネット利用端末として、スマートフォンを使用しているため、約2951万人(インターネット利用者数の約三割)が申立人のiPhoneを使用しているといえる。そうすると、我が国においては4人に1人がiPhoneを使用しているといえるため、我が国において「iPhone」が申立人のスマートフォンを示すものであることは顕著な事実である。また、2016年には全世界において販売開始から累計10億台に達し(甲10)、2017年時点では約12億台に達しており、総額約83兆円の売上となっている(甲11)。他社のヒット商品としては「ウォークマン」が約4億台、「ニンテンドーDS」シリーズが約2億台などであることからも、この数字がいかに顕著であるのかは容易に把握できる。
また、「iPad」もiPhone同様に著名となっている。タブレット端末に関する市場動向調査(2017年度)によれば、国内出荷台数の予測について、当該製品のシェア率は39.6%である(甲12)。Androidのタブレット端末は複数の製品があるのに対してiPadはそれひとつのシェア率であることから、かかるシェア率が高いことがわかる。出荷台数については上記のとおりであるが、タブレット端末の所有率については、依然として申立人の「iPad」がトップであり、加えて、顧客満足度一位も申立人である(甲12)。
また、「iPod」は2001年に申立人が販売したハードディスクドライブ内蔵型デジタルオーディオプレーヤーであり、広く支持を受けた(甲13)。「iOS」はiPhone及びiPadに搭載されるオペレーションシステムであり、iPhone及びiPadの利用者はシステムのアップデート時等において接するものであることから、iPhone及びiPadの利用者で知らない人はいない(甲14)。「iTunes」「iCloud」もiPhone及びiPadの他申立人製品に搭載されているアプリケーション及びクラウドサービスであることから、申立人製品の使用者は皆認知している。
このような事実から、携帯情報端末や、携帯情報端末に係るサービスを提供している取引者や需要者において、語頭における小文字の「i」は申立人のiシリーズ商標であると認識すると考えるのが自然である。
また、申立人の製品に関連して、申立人は以下の役務を提供している。当該製品が周知であることに応じて、製品の修理についても同様に、需要者の間において知られている。
(1)申立人の製品の修理(甲15)
申立人の製品について、精密な調整が必要となる修理内容の場合に「Apple リペアセンター」に送って修理することができる。
(2)iPhone修理サービスQ&Aセンター(甲16)
申立人の製品「iPhone」について「iPhone 修理サービスQ&Aセンター」の表示の下、修理に出す方法など、修理に関するサービスが説明されている。
以上より、一文字目が小文字の「i」、二文字目を大文字とする態様は、スマートフォンや携帯電話の修理の分野においても、申立人の製品又はサービスと認識するものである。
3 申立人のりんご図形商標について
我が国において、スマートフォンはケースに入れて使用する人が多いが、iPhoneの愛用者にはりんご図形商標が見えるようにし、活用したケースが人気で、特集もしばしば見られ(甲17)、当該図形の注目度が窺い知れる。社名と共通する当該図形については、その意味について取り上げた記事が多数あり、需要者の関心が高いことがわかる(甲18)。
りんご図形商標は、申立人の製品及びサービスの名称において「Apple」の文字の代わりにも用いられており、発売以前に「iWatch」と称されていた腕時計型情報端末「Apple Watch」についても「りんご図形商標」及び「Watch」と表記される場合も多く(甲19)、他にも、「りんご図形商標」及び「MUSIC」、「りんご図形商標」及び「tv」、「りんご図形商標」及び「Pay」等がある(甲20)。
また、申立人はスマートフォン以外にも「iMac」「MacBook」等のパーソナルコンピュータ、デジタルオーディオプレーヤー「iPod」、タブレット型コンピュータ「iPad」等の製品にもそのりんご図形商標を用いているが(甲21)、同社製品の愛用者は多く、加えて、インターネットで「アップル」の文字を図形検索すると、申立人の当該図形が上位に多くヒットする状況にあることから(甲22)、りんご図形商標は周知であるといえる。
4 本件商標とその使用について
本件商標は、図形と「iSpot」の文字から構成されているところ、当該文字部分は、一文字目が小文字の「i」、二文字目を大文字とする態様となっており、申立人に係る製品及びサービスに使われるものと共通し、申立人のiシリーズ商標であることを示唆する。「o」部分にかじられた跡はないものの、りんごをかたどるものでありその輪郭は同じである。さらに、葉の大きさ傾き位置などが同じであることから当該部分は申立人のりんご図形商標を想起させるものであり、本件商標のりんご図形部分は、申立人のりんご図形商標と輪郭はほぼ一致していることが窺える。
また、「Spot」の文字は「(特定の)場所」等の意味を有し(甲23)、図形部分は地図上の目的地に目印をつける際に用いられる図形であるため(甲24)、商標全体から「申立人に関する場所」のような意味合いを理解させる。
本件商標の使用はインターネットにおいて発見できる。トップページには申立人に係るスマートフォンの写真を使用し、「iPhone修理は」の文字の下にある矢印の先に本件商標が配置されている(甲25)。
よって、申立人を想起するように、意図的にこのような態様としていることが明白である。
5 申立人の役務と本件商標の指定役務について
本件商標に係る指定役務、第37類「スマートフォン・携帯電話・携帯情報端末機器又はコンピュータの修理又は保守,電子応用機械器具の修理又は保守,電気通信機械器具の設置工事・保守及び修理」は、申立人に係る役務と同様である。
本件商標の使用に照らすと、はっきりと申立人に係るスマートフォンの写真に「iPhone修理」と謳っていることから、本件商標に接した需要者は申立人と経済的又は組織的な関係がある者、あるいは申立人から公式の許可を受けた者に係る役務と誤認することは明らかである。
6 むすび
以上、述べたとおり本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第3 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、水滴を逆にしたような赤色の幾何図形の内部を円形に白抜きした図形、黒色で表された「iSp」の欧文字、丸みを帯びた赤色の図形を白抜きし、その上部に同じく赤色の紡錘形を小さく斜めに配して果実のように表された図形及び「t」の欧文字からなるところ、これらの構成要素は、横一連にまとまりよく一体的に表されているものである。
そして、文字と図形を上記のように組み合わせた構成からなる本件商標は、全体として特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められず、これより特定の称呼及び観念は生じないものというべきである。
2 引用商標の周知著名性について
(1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、次のとおりである。
ア 米国カリフォルニア州に本社を置く申立人は、「iMac」、「MacBook」等のパーソナルコンピュータ、スマートフォン「iPhone」、デジタルオーディオプレーヤー「iPod」、タブレット型コンピュータ「iPad」、腕時計型コンピュータ「Apple Watch」等を製造販売し、音楽・映像配信サービス「iTunes」、写真やビデオ等を保存するサービス「iCloud」等を提供する米国の法人である。
イ 申立人は、2017年5月31日付けの「Forbes Japan」のインターネット上の記事において、「世界で最も価値あるブランド」ランキングで首位を獲得し、当該ランキングにおいては、2011年から7年連続で首位の座を維持している(甲1)。
ウ インターネット上の記事において、スマートフォン「iPhone」のネーミングについて、「i」が小文字である理由を取り上げた記事がある(甲2)。また、iPS細胞の研究で2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授は「iPS」細胞の「i」を小文字にしたのは「iPod」を意識したとされている(甲3)。
エ 2017年8月22日を更新日とする「XERA」のインターネット上の記事において、日本でのアイフォーンのOSである「iOS」の普及率は7割近い旨記載されている(甲4)。
オ 2018年1月6日付け日本経済新聞朝刊のインターネット記事に「スマートフォンは通話だけでなく、ネット接続などをすることができ、市場開拓の先兵となったのは申立人が2007年に発表した当該製品『iPhone』である」旨が記載されている(甲5)。また、2018年1月19日付け日本経済新聞朝刊のインターネット記事に「2月15日に米アップルのスマホ『iPhone(アイフォーン)7』と『7プラス』の販売を始めると発表した。日本のスマホ市場はアイフォーン人気が突出し、最新機種の『X(テン)』でなくても需要が強い」旨が記載されている(甲6)。
カ 2017年2月9日付け「MMRI」のインターネット上の記事において、「Appleが前年比7.3%増の1,591万台(シェア44.1%)で5年連続1位と好調」「2016年の総出荷台数・スマートフォン出荷台数1位はApple」「2016年のメーカー別出荷台数シェア1位は2012年以降5年連続でAppleとなった。」旨が記載されている(甲7)。
キ 「ICT総研」のインターネット上の記事において、「iPadの出荷台数シェアは・・・2016年度のシェアは39.6%となった。ただし、iPadの所有率は以前トップであることから今後も一定のシェアをキープすると思われる。」旨が記載されている(甲12)。
ク 申立人ホームページにおいて、申立人の製品について、「Appleリペアセンター」に送って修理することができる旨が記載されている(甲15)。
ケ 申立人ホームページにおいて、「iPhone」について「iPhone修理サービスQ&Aセンター」の表示の下、修理に出す方法など、修理に関するサービスの説明が記載されている(甲16)。
コ 楽天市場のオンラインショップの記事(2018年1月30日印刷)において「iPhoneのリンゴマークを楽しむケース」として「iPhone」用のケースに「りんご図形商標」とほぼ同一の図形が表示されている(甲17)。
サ 2011年10月から2016年9月にかけてのインターネット上の記事において、申立人の「りんご図形商標」の由来について紹介した記事が4件ある(甲18)。
シ 2018年2月2日付けで印刷された申立人のホームページにおいて、申立人の腕時計型情報端末「Apple Watch」について、「りんご図形商標」及び「WATCH」の文字を横に並んだ形で表示して広告している(甲19)。
ス 2018年2月2日付けで印刷された申立人のホームページにおいて、申立人の業務に係る役務について、「りんご図形商標」及び「MUSIC」の文字、「りんご図形商標」及び「tv」の文字、「りんご図形商標」及び「Pay」の文字を、それぞれ横に並んだ形で表示して広告している(甲20)。
セ 2018年1月30日付けで印刷された申立人のホームページにおいて、「iMac」「MacBook」等のパーソナルコンピュータ、デジタルオーディオプレーヤー「iPod」、タブレット型コンピュータ「iPad」の各製品について、「りんご図形商標」を付して広告している(甲21)。
ソ 2018年2月2日付けで印刷された「Google」のウェブサイトにおいて、「アップル」の文字の画像検索をすると、「りんご図形商標」が上位に多くヒットする状況にある(甲22)。
(2)「iシリーズ商標」の周知著名性について
申立人は、「iMac」「iPhone」「iPad」「iPod」「iOS」「iCloud」「iTunes」等の使用商標は著名なものであるから、「一文字目が小文字の『i』、二文字目を大文字とする態様」の「iシリーズ商標」は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして認識されるものである旨主張しているところ、前記2(1)によれば、申立人は、スマートフォン「iPhone」、デジタルオーディオプレーヤー「iPod」、タブレット型コンピュータ「iPad」等を製造販売する米国の法人として知られており、特にスマートフォン「iPhone」について高いシェアを有していることから、「iPhone」、「iPod」、「iPad」等の使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に一定程度知られていることがうかがわれる。
しかしながら、使用商標は、それぞれ個別の商標として周知性が認められるものの、これらの文字構成に着目し、一文字目が小文字の「i」で、二文字目が大文字からなる構成の商標を「iシリーズ商標」と定義し、該構成からなるものが、すべて「iシリーズ商標」として広く認識されているとする申立人の主張は受け入れ難く、また、申立人は、使用商標以外に具体例を示した上で「iシリーズ商標」の周知著名性を主張、立証していない。
してみれば、「iシリーズ商標」という観点における周知性を認めることはできない。
(3)「りんご図形商標」の周知著名性について
前記2(1)を総合的に判断すれば、申立人の「りんご図形商標」は、申立人の業務に係るスマートフォン、デジタルオーディオプレーヤー及びタブレット型コンピュータを表示するものとして、取引者、需要者の間に広く知られていたといい得るものである。
3 「iシリーズ商標」との商標法第4条第1項第15号該当性
(1)本件商標と「iシリーズ商標」との類似性の程度について
本件商標は、前記1のとおりの構成からなるものであるところ、赤色の2つの図形要素と黒色の「iSp」及び「t」の文字とをまとまりよく一体的に表したものであって、「iシリーズ商標」として申立人が例示している「iPhone」「iPad」「iCloud」等の使用商標とは明らかに相異し、「一文字目が小文字の『i』、二文字目を大文字とする態様」ではないから、「iシリーズ商標」の定義とも合致せず、「iシリーズ商標」と定義される構成からなるものを想定して比較してみても明らかに相異する。
(2)「iシリーズ商標」との出所混同のおそれについて
してみれば、本件商標の指定役務と申立人の業務に係る商品及び役務とが、修理又は保守の役務とその対象商品というような関連性を有し、需要者も共通するものであるとしても、前記2(2)のとおり、「iシリーズ商標」という観点における周知著名性は認められないばかりか、前記3(1)のとおり、本件商標は、「iPhone」「iPad」「iCloud」等の使用商標とは明らかに異なるものである上、「iシリーズ商標」とは構成態様が明らかに異なる別異の商標であるから、本件商標に接する取引者、需要者は、「iシリーズ商標」を連想、想起することはないというべきであり、本件商標をその指定役務に使用しても、申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
なお、申立人は、本件商標から「iSpot」の文字が抽出されることを前提に、本件商標と「iシリーズ商標」が混同を生じる旨主張しているが、仮に、本件商標から「iSpot」の文字を抽出して検討したとしても、「iシリーズ商標」の周知著名性が認められない以上、出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当であるから、申立人の上記主張は採用できない。
(3)小括
したがって、本件商標は、「iシリーズ商標」との関係において、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 「りんご図形商標」との商標法第4条第1項第15号該当性
(1)本件商標と「りんご図形商標」との類似性の程度について
本件商標は、前記1のとおり、赤色の2つの図形要素と黒色の「iSp」及び「t」の文字をまとまりよく一体的に表したものであって、全体として特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められず、これより特定の称呼及び観念は生じないものである。
一方、「りんご図形商標」は、別掲2のとおり、右上方にかじられたような切り欠きのある簡略化されたりんごとおぼしき図形よりなり、果実の上方に、右向きに葉が表されているものである。
そして、「りんご図形商標」は、特定の称呼をもって親しまれたものではなく、これより特定の称呼は生じないが、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、周知・著名であることから「(申立人である)アップルのロゴマーク」程の観念を生じるというのが相当である。
そこで、本件商標と「りんご図形商標」とを比較すると、両者は、その構成全体において、外観を明らかに異にし、外観上,明確に区別でき、また、いずれも特定の称呼を生じないものであるから、称呼を比較することはできないものの、本件商標からは特定の観念を生じないのに対し、「りんご図形商標」は、「(申立人である)アップルのロゴマーク」程の観念を生じるから、観念上、相紛れるものとはいえない。
以上を踏まえて、外観、称呼及び観念を総合的に判断すると、本件商標と「りんご図形商標」とは、相紛れるおそれのない、非類似の商標であって、別異の商標とみるのが相当である。
なお、仮に、本件商標の構成中の果実のように図案化されている図形と、「りんご図形商標」とを比較してみても、共にりんごの果実をモチーフとした図形であるといい得ても、本件商標の図形部分は太い輪郭線でりんごとおぼしき果実の図形を描き、内部は白抜きされているのに対して、「りんご図形商標」は全体が塗りつぶされていることから、印象は大きく異なり、「りんご図形商標」の特徴ともいい得る「かじられたような切り欠き」の部分が本件商標の図形部分にないことも踏まえると、両図形は、外観上、明確に区別できるものであり、類似するものということはできない。
(2)「りんご図形商標」との出所混同のおそれについて
してみれば、「りんご図形商標」は、前記2(3)のとおり、申立人の業務に係るスマートフォン、デジタルオーディオプレーヤー及びタブレット型コンピュータを表示するものとして、取引者、需要者の間に広く知られていたものであり、本件商標の指定役務は、申立人の業務に係る商品及び役務と関連性を有し、需要者も共通するものであるとしても、前記4(1)のとおり、本件商標と「りんご図形商標」とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない、非類似の商標であって、その印象が明らかに異なる別異の商標というべきものであり、本件商標に接する取引者、需要者は、「りんご図形商標」を連想、想起することはないというべきであるから、本件商標をその指定役務に使用しても、申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
(3)小括
したがって、本件商標は、「りんご図形商標」との関係においても、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 まとめ
以上より、本件商標をその指定役務に使用しても、取引者、需要者が引用商標のいずれも連想、想起することはないというべきであり、その役務が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
6 申立人の主張について
申立人は、「『Spot』の文字は『(特定の)場所』等の意味を有し(甲23)、図形部分は地図上の目的地に目印をつける際に用いられる図形であるため(甲24)、商標全体から「申立人に関する場所」のような意味合いを理解させる。」旨主張している。
しかしながら、仮に、本件商標の構成中に、地図に目印を付けるため用いられる図形の一類型や、果実のように丸みを帯びた図形で白抜きされているものが含まれているとしても、本件商標は、前記1のとおりの構成態様で一体的に表されているものであり、殊更、「iSp」の文字、果実のような図形及び「t」の文字を分離抽出した上、これをあえて「iSpot」と読ませ、さらに「申立人に関する場所」という具体的な意味を理解させるとまでみるべき合理的な理由は見いだせない。
また、申立人は、「本件商標の使用はインターネットにおいて発見できる(甲25)。トップページには申立人に係るスマートフォンの写真を使用し、『iPhone修理は』の文字の下にある矢印の先に本件商標が配置されている(甲25)。よって、申立人を想起するように、意図的にこのような態様としていることが明白である」旨主張しているが、インターネットのホームページに本件商標と、「iPhoneの修理」の文字が掲載されている場合においても、取引者、需要者が「iPhone」の文字から申立人を想起することはあったとしても、そのことをもって、本件商標が、申立人を想起させ、誤認混同を生じるものであるということはできない。
したがって、申立人の主張はいずれも採用できない。
7 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標:色彩については、原本参照。)


別掲2(りんご図形商標)


異議決定日 2018-06-01 
出願番号 商願2017-13649(T2017-13649) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W37)
最終処分 維持 
前審関与審査官 安達 輝幸 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 鈴木 雅也
真鍋 恵美
登録日 2017-08-10 
登録番号 商標登録第5971876号(T5971876) 
権利者 株式会社誓梅
商標の称呼 アイスポット、イスポット、スポット 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
代理人 伊藤 信和 
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