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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1341272 
異議申立番号 異議2017-900386 
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-12-27 
確定日 2018-05-31 
異議申立件数
事件の表示 登録第5986332号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5986332号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5986332号商標(以下「本件商標」という。)は、「METROPCS」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年12月6日に登録出願、第9類「携帯電話機,スマートフォン,手持ち式コンピュータ,タブレット型コンピュータ,セルラー式無線送受信機,無線アクセスポイント用電気通信機械器具,セルラー式無線中継器,セルラー式モデム,基地局無線通信機械器具,SIMカード,メモリーカード,携帯電話機・スマートフォン・手持ち式コンピュータ・タブレット型コンピュータ用持ち運びケース,携帯電話機・スマートフォン・手持ち式コンピュータ・タブレット型コンピュータ保護用のゴム製カバー,携帯電話機・スマートフォン・手持ち式コンピュータ・タブレット型コンピュータ用の接着ビニールカバー,携帯電話機・スマートフォン・手持ち式コンピュータ・タブレット型コンピュータのディスプレイの引っ掻き防止用、カバー用のプラスチック製透明保護フィルム,携帯電話機の液晶画面用のぞき見防止シート,キーボード,オーディオケーブル,USBアダプター,USBケーブル,高解像度マルチメディアインターフェースに対応したACアダプター,高解像度マルチメディアインターフェースに対応したケーブル,マイクロホン・イヤホンのアダプター,オーディオスピーカー,ステレオヘッドホン,イヤホーン,イヤホン用保護カバー,蓄電池,バッテリーチャージャー,車載バッテリーチャージャー,電源アダプター,携帯電話機・スマートフォン・手持ち式コンピュータ用のベルトクリップホルスター,携帯電話機・スマートフォン・手持ち式コンピュータ・タブレット型コンピュータの再充電用機能拡張用接続器,携帯電話機・スマートフォン・手持ち式コンピュータ・タブレット型コンピュータの充電用、保持用の車載ホルダー,携帯電話機・スマートフォン・手持ち式コンピュータ・タブレット型コンピュータ用のポーチ(型にあわせたもの),磁気的に符号化されたプリペイド式テレフォンカード用の未記録のカード,ユーザに電気通信の管理を可能にするコンピュータソフトウェア,配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同29年9月25日に登録査定、同年10月6日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第1069645号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2010(平成22)年6月14日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、同年12月10日に国際商標登録出願、第9類「Data processing equipment, data memories and data carriers, computers, computer software, electronic publications.」のほか、第16類、第18類、第21類、第25類、第28類、第35類、第36類、第37類、第38類、第39類、第41類、第42類、第43類及び第45類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成26年4月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号に基づき、取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
1 申立人は、ドイツに本社を置き、2015年2月現在、ヨーロッパを中心に26ヶ国、750以上の店舗を展開する世界最大級の卸売企業であり、食料品から店舗用品、雑貨など、プロが必要とするあらゆるものを卸売価格でプロだけに販売することを特色としており、我が国においては、2000年11月27日に、「METRO GROUP」の日本法人(資本金187億4000万円)を立ち上げ、関東近県を中心に10店舗を有している(甲3)。
また、単に卸売りをしているだけではなく、プライベートブランドの開発も手掛け、オフィスの事務用品等、オフィス必需品のプライベートブランドとして、「SIGMA」を展開しており、電気通信機械器具及び電子応用機械器具に属する商品を製造、販売している(甲4)。
引用商標は、かかる「METRO GROUP」を指称する商標として採択され、世界各国における保護を求め、国際登録されているものである(甲5)。
2 連綴された文字商標に関する結合商標類否判断においては、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されない、とされる(最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・集民第228号561頁、最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁)。
3 そこで、本件商標と引用商標について検討すると、本件商標は、欧文字「METROPCS」の8文字を連綴してなる構成・態様であり、一見すると、その構成部分の一部を抽出し、当該部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは許されないかのごとく見えるが、本件商標に接する需要者、取引者にとっては、それが既存の1英単語等と認識されるものではなく、一連の単語として発音できるものではない。むしろ、本件商標の構成中「METRO」部分は、我が国の一般需要者にとって、馴染みのある英単語であるから、それが「METRO」と「PCS」からなるものであることは容易に認識、理解できるところである。
そして、その構成中「METRO」部分は、上述したとおり、申立人の世界的に周知、著名な商標であり、かつ、同人のグループ名の要部である。
そればかりか、「PCS」は、その指定商品との関係上、自他商品識別力がないか、極めて弱い部分である。
すなわち、「PCS」の文字は、「Personal Communications Serviceパーソナル通信サービス《米国のデジタル携帯電話方式の総称》」(甲6)であって、「a PCS phone [handset] PCS電話[端末機]」の用例にもあるとおり、指定商品中「電話機械器具」の品質を表示するにすぎない。
したがって、本件商標は、取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「METRO」と、出所識別標識としての称呼、観念が生じない「PCS」からなるものであるから、「METRO」部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものである。
他方、引用商標は、世界的に周知、著名な商標「METRO」と、「グループ」を表す「GROUP」からなるものであり、かつ、「METRO」部分が黄色、「GROUP」部分が青色で彩色されているから分離されやすく、「METRO」部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。
したがって、本件商標と引用商標は、「METRO」部分が要部であるから、本件商標をその指定商品に使用された場合、引用商標との間で商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれがあり、本件商標は、引用商標に類似する、といわざるを得ない。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知・著名性について
申立人は、引用商標が本件商標の登録出願前に日本国内において需要者の間に広く認識され、周知商標となっていた旨を主張している。
しかしながら、申立人から提出された証拠については、「メトログループ(本社:ドイツ、デュッセルドルフ市)の日本法人」で、「生鮮食品/加工食品、業務関連(食器、調理器具など)、アルコール・飲料などの商品」の会員制卸販売を、関東近県(東京、千葉、埼玉、神奈川、栃木、群馬)の10店舗において行っているとするメトロキャッシュアンドキャリージャパン社のホームページにおける同社の会社概要(甲3)及び同社の展開する「事務用品」に関するプライベートブランドの一である「シグマ(SIGMA)」の紹介(甲4)がされたウェブページが示されているだけであって、引用商標の周知著名性の程度を推定するために必要な具体的な事実(例えば、引用商標に係る商品における売上高、新聞又は雑誌等を介して積極的に広告宣伝をした回数や期間、広告費など)を立証する証拠の提出はされていない。また、これらの証拠においては、引用商標の使用も確認できない。
してみると、申立人の提出した証拠をもってしては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、「METROPCS」の欧文字からなるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさで外観上まとまりよく一体的に表されており、その構成文字全体から生じる「メトロピイシイエス」の称呼は、格別冗長なものではなく、無理なく一連に称呼できるものである。
また、本件商標の構成中、「PCS」の文字が「米国のデジタル携帯電話方式の総称」等を意味する英語(甲6「英和コンピューター用語辞典」株式会社研究社)であるとしても、日本で提供されている携帯電話の通信方式ではなく、その意味合いをもって我が国において親しまれたものともいい難いものである。
してみれば、本件商標は、その構成全体をもって、一体不可分の造語として理解されるものである。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「メトロピイシイエス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲のとおり、黄色で表された「METRO」の欧文字と、濃い青色で表された「GROUP」の欧文字とを横書きしてなるところ、その構成文字は、色彩が異なるものの同書、同大で、まとまりよく一体に表され、これから生じる「メトログループ」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、引用商標は、該両文字が異なる色彩で表されているとしても、全体として看取されるものであって、異なった色彩によって、その構成中のいずれかの文字部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいい難いものである。
そうすると、引用商標は、その構成文字全体をもって、一体不可分のものとして認識し、把握されるとみるのが相当である。
また、引用商標は、全体として具体的な意味合いを認識させるものとはいい難いことから、これに接する需要者は、本件商標の構成文字全体をもって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと理解するというのが相当である。
してみれば、引用商標は、その構成文字に相応して「メトログループ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の類否について検討するに、外観においては、本件商標と引用商標は、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、両商標は、その全体の文字構成及び色彩の有無などにおいて、明らかな差異を有するものであるから、外観上、明確に区別できるものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「メトロピイシイエス」の称呼と引用商標から生じる「メトログループ」の称呼とは、その音構成及び音数において明らかな差異を有するものであるから、称呼上、明確に聴別されるものである。
そして、観念においては、本件商標及び引用商標ともに、特定の観念を生じないことから、両商標は、観念上比較できないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において類似しないものであるから、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。


別掲(引用商標:色彩については、原本参照。)

異議決定日 2018-05-21 
出願番号 商願2016-137488(T2016-137488) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W09)
T 1 651・ 261- Y (W09)
T 1 651・ 262- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 川崎 萌未箕輪 秀人 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 大森 友子
薩摩 純一
登録日 2017-10-06 
登録番号 商標登録第5986332号(T5986332) 
権利者 ティー-モバイル ユーエスエイ インコーポレイテッド
商標の称呼 メトロピクス、メトロップクス、メトロピイシイエス、メトロ、ピイシイエス、メトロップシイエス、メトロップ 
代理人 中村 稔 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 松尾 和子 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 古関 宏 
代理人 篠森 恵 
代理人 藤倉 大作 

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