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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 取り消して登録 W141625
管理番号 1341195 
審判番号 不服2017-15069 
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-10 
確定日 2018-06-12 
事件の表示 商願2016- 87698拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成からなり,第14類「貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,身飾品,時計」,第16類「紙類,文房具類,印刷物」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品とし,平成28年8月12日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,少しデザインを加えた『自由飲酒党』の文字を書してなるところ,1955年に日本民主党と自由党が合同して結成し,現在,安部晋三を総裁として日本の政権を担う政党を表示する標章であって著名な『自由民主党』(以下「引用標章」という。)を容易に想起・連想させるものであって,この構成文字を模倣したというべきものである。よって,本願商標の登録を認めた場合,『自由民主党』という極めて公益性の高い政党名の信用,名声及び顧客吸引力のただ乗り希釈化を招き,ひいては,政党イメージの毀損につながる等,社会公共の利益に反するおそれがあるものと認める。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨,認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号は,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当する商標について,商標登録を受けることができないと規定しているところ,これに該当する商標には,「(a)その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合,(b)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも,指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反する場合,(c)他の法律によって,当該商標の使用等が禁止されている場合,(d)特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反する場合,(e)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合,などが含まれる」(知財高裁平成17年(行ケ)第10349号 平成18年9月20日判決参照)。
(2)本願商標について
本願商標は,別掲のとおり,「自由飲酒党」(「酒」の文字部分は,人の顔と思しき図案化した構成からなる。)の文字を横書きしてなるところ,その構成中の「自由」の文字は,「心のままであること。思う通り。自在。」の意味を,「飲酒」の文字は,「酒を飲むこと。」の意味を,「党」の文字は,「なかま。ともがら」及び「主義・思想などを同じくする者によって組織される政治結社。政党。」の意味をそれぞれ有する語(広辞苑第六版)である。
そして,本願商標からは,構成文字に相応して「ジユウインシュトウ」の称呼が生じ,全体として特定の意味を有する成語となるものではないが,各構成文字の語義に相応して,「自由に酒を飲むなかま」程度の意味合いを看取させる。
(3)引用標章について
引用標章は,「自由民主党」の文字からなるところ,構成文字に相応して「ジユウミンシュトウ」の称呼が生じ,日本の政党の一つである「自由民主党」の観念を生じる。
(4)本願商標と引用標章の比較
本願商標と引用標章の称呼は,全8音中7音が共通し,異なるところは,第4音における「イ」と「ミ」との音の差にすぎず,共に比較的聴取し難い中間に位置することから,称呼において類似するとしても,外観においては,「飲酒」と「民主」の構成文字の明らかな差異や一部文字の図案化の有無により,外観上,明らかに区別し得るものである。
また,両者の観念は,「自由に酒を飲むなかま」と日本の政党の一つである「自由民主党」とは明らかに相違し,観念上,相紛れるおそれはない。
そうすると,本願商標と引用標章とは,外観,称呼及び観念を総合しても,誤認混同を生じるおそれのない商標である。
(5)商標法第4条第1項第7号該当性について
本願商標は,上記のとおり,「自由に酒を飲むなかま」程度の意味合いを認識させる「自由飲酒党」の構成文字よりなるから,その構成自体がきょう激,卑わい,差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字からなるものとはいえない。
そして,本願商標は,上記(4)のとおり,引用標章とは,外観,称呼及び観念を総合しても,誤認混同を生じるおそれのない商標であるから,引用標章との具体的関係を直接的に想起させるものとはいい難く,その他,本願商標を指定商品について使用することが社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反することを具体的に示す証拠を見いだすことができない。
また,当審において職権をもって調査するも,本願商標の使用が,他の法律によって使用が禁止されていること,特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反していること,また,本願商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当することを具体的に示す事実は発見できなかった。
したがって,本願商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから,本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,取消しを免れない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲


審決日 2018-05-28 
出願番号 商願2016-87698(T2016-87698) 
審決分類 T 1 8・ 22- WY (W141625)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松田 訓子 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 平澤 芳行
阿曾 裕樹
商標の称呼 ジユーインシュトー 
代理人 中塚 雅也 
代理人 中塚 雅也 

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