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審決分類 審判 一部無効 称呼類似 無効としない W32
審判 一部無効 観念類似 無効としない W32
審判 一部無効 外観類似 無効としない W32
管理番号 1341180 
審判番号 無効2017-890049 
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-07-26 
確定日 2018-05-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第5929035号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5929035号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成28年9月23日に登録出願、第3類「化粧品,化粧水,美容クリーム,金箔を含有する化粧水,金箔を含有する美容クリーム」、第5類「サプリメント」及び第32類「清涼飲料水,酵素を含有する清涼飲料水」を指定商品として、同29年2月17日に登録査定、同年3月3日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由において引用する登録第4774062号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成15年9月11日に登録出願、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として、同16年5月28日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第32類「清涼飲料水,酵素を含有する清涼飲料水」についての登録を無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証(枝番を含む。)を提出した。
1 無効事由
本件商標は、その指定商品中、第32類「清涼飲料水,酵素を含有する清涼飲料水」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効にすべきものである。
2 無効原因
(1)本件商標と引用商標の類似性について
ア 本件商標
本件商標は、上段に「花弁5枚を均等に配置し、その花弁5枚の中心地に少々小さ目の黒丸が配置され、かつ花弁間は、均等に白色空間を有して構成されている花弁図形」が配置され、この花弁図形の下段に欧文字で「Wahana」と横書きした二段で構成されているもので、その指定商品は、前記第1のとおりである。
イ 引用商標
引用商標は、「花弁5枚を均等に配置し、その花弁5枚の中心地に黒丸が配置され、かつ花弁間は、均等に白色空間を有し、また、花弁下部に、各々均等な空白短小筋が入っている花弁図形」によって構成され、その指定商品は、前記第2のとおりである。
ウ 本件商標と引用商標の比較
本件商標の構成は、上記アに記載したとおり、図形と欧文字からなり、特に、図形部分は、商標全体において欧文字の数倍の面積を占め、本件商標を見る人に強いインパクトを与えることは、経験則上明らかなことであり、それによって、本件商標が、一般取引者・需要者に認識されていくことは、明白なことである。
また、本件商標は、図形の下段に「Wahana」の欧文字を有しているが、上記図形が「花」を模したものであり、かつ日本の「華」であることを表示したもので、「和華」と表示され、商標権者は、現実にこの図形と「和華」の文字で、宣伝・広告をしている(甲4の1?3)。
そうであれば、欧文字部分は、単に商標の構成中の上段の図形が「日本の花」であり、「華やかさ」を表示するものとして図形表示化されていることを示しているにすぎないものであって、上段の図形が花の図形であることを明確に示しているものである。
一方、引用商標も、日本の花「梅花」を図案化したものであることは、古来より有名なことであり、「バイカ」「バイカモン」等として広く知られている図形である。
このような、本件商標と引用商標の両者を、時と所を異にして見た場合、「花弁5枚の均等配置及びその中心地の黒丸並びに花弁間の均等空白部分」を見るに、一般取引者・需要者が、相互に似ていると認識することは、経験則上明らかなことであり、両商標が、図形上誤認混同して認識されるのは明白なことである。
したがって、本件商標と引用商標とは、その外観において明らかに類似する商標であることは明白である。
(2)本件商標と引用商標との関係のような商標は審決例等にも多数あり、類似商標であると認められた例も、甲第3号証に挙げるように多数ある。
これらの審決・判決は、各々全て、二つの商標は外観上類似するものであって、時と所を異にして見れば、相紛らわしく、誤認混同するとされたものである。
上記審決・判決例からみても、本件商標と引用商標とは、その花弁配置、黒丸の配置、空白部分の均等などからして、時と所を異にして見れば相紛らわしく、見る者をして誤認混同を生じさせるもので、本件商標に付されている欧文字は、特に上段の図形を限定する文字でもないから、上段の図形からは、特定の呼称、観念が生じないものである。
したがって、要部を二つ有する本件商標の上段の図形部分を、引用商標の図形と比較検討しても何ら不都合はなく、それらの図形の類否によって商標の類否を判断するのは、妥当な方法だと考えられる。
してみれば、前記のとおり、本件商標と引用商標とは、その外観において、明らかに類似するものであり、その登録は、誤りであるといわざるを得ない。
(3)本件商標は、現実に商品に付して使用され、本件商標の付された商品の宣伝広告がされているものであり、商品「美容液」「美容クリーム」等に付された本件商標の表示をみると、容器表面に本件商標の図形部分を目立つように配置し、その下段に欧文字を小さく配して使用しているものである(甲4の1?5)。
上記商品をみると、本件商標の上段の図形部分を強調して商品に使用し、商品の識別機能を働かせていることから、その容器に表示された上段の図形がまず目に入り、文字部分は、良くみないと目に入ってこないものである。
そして、このような本件商標の使用の実態と引用商標とを比較検討すると、本件商標の「5枚の花弁配置及び中心地の黒丸並びに均等に配置された空白部」の構成が見る人の目に焼き付き、時と所を異にして、引用商標を見れば、引用商標の「5枚の花弁配置及び中心地の黒丸並びに均等に配置された空白部」の構成が、見る人の目に焼き付き、両商標の判断に誤認混同を生じさせることは明らかなことである。
なお、現実に使用されている商品は、本件審判の請求に係る商品とは異なるものであるが、本件商標を、商品「清涼飲料水」等の容器に使用しても、同様の表示がなされるであろうと考えられることからすれば、本件商標の使用態様においても、明白に、引用商標と外観が類似し、紛らわしい表示を呈するものである。
(4)まとめ
本件商標と引用商標とは、その外観において明白に類似するものであり、また、本件商標の指定商品中の第32類において、引用商標の指定商品と同一又は類似するものであることから、本件商標の登録は、商品区分第32類においては、認められず、無効にされるべきものである。
3 弁駁における主張
(1)請求人の主張は、本件商標の図形部分と引用商標の図形とは、時と所を異にして見れば、類似しているというものである。
本件商標の図形部分は、通常の花弁図形(被請求人は、水滴状図形といっている。)であり、均整の取れた花弁図形を5枚均等に配置し、一つの抽象的花柄図形を表示しているものと見るのが自然であり、5枚の花弁軸先端を花芯方向へ向け等間隔均等に配置し、5枚の花弁全てが同一形状で、花弁軸先端と反対側に丸みを帯びて膨らんだ形状をし、全て黒色で表示され、花芯は、黒色の丸芯として表示されている花柄図形として表示されているものである。
(2)一方、引用商標も、同一形状の黒色の5枚の花弁を花芯方向へ向けて等間隔均等に配置し、花芯を黒色の丸芯として表示している花柄図形である。
(3)この両者において異なるのは、花弁軸先端に軸を表示しているか否という相違のみである。
引用商標は、5枚の花弁軸を若干の切れ線で表示し、それを白色空白で表示している。
しかしながら、この相違部分は、両商標各々の花柄全体図に占める各々の黒色花弁図部分が、全体の3分の2以上にもなるように構成されており、それを見る者としては、まずその花弁図部分に目を引き付けさせられるのが自然であること、及びその大きく占める花弁図部分が認識された後、中央部に目がいき花柄全体図が認識されるとするのが人の認識過程として自然だと思われることから、両者の花柄図全体からみれば微々たるものと認識される程度の相違にすぎないものである。
(4)この両商標の花柄図形構成を、取引者・需要者が、時と所を異にして見た場合、まず、その構成部分である等間隔均等に配置された5枚の花弁図形が強く印象に残り、その後に花柄図形中央部の部分が認識され、中央部に若干の相違のあるものであることが認識されるとするのが自然である。
してみれば、等間隔均等の取れた同一の5枚の花弁の配列が看者の意識に強い印象を与えるため、本件商標と引用商標とを、時間と場所とを異なる時点で見ると、いずれがいずれか区別のできない状態が生じることは明白なことである。
(5)また、本件商標は、花柄図形と文字「Wahana」から構成されているが、当該花柄図形部分が大きな比重を占めているのは明らかで、現実に、本件商標の使用態様をみても、花柄図形が強い印象を与える様に表示されてなるもので、花柄図形によって、商品の識別をしようとしているものであることは明白であり、一般取引者・需要者は、現実に商品の取引をする場合、まず一番目に付く図柄あるいは文字によって商品を識別し、その図柄あるいは文字から受ける印象の認識によって、商品の識別判断をするのが通常で自然なことだと思われる。
してみれば、本件商標の現実の使用状況から、本件商標を、その指定商品中の「清涼飲料水」等に使用した場合であっても、花柄図形が特に目立つように表示されることとなり、当該花柄図形部分が強い印象を与え、引用商標の花柄図形と誤認混同を生じさせるおそれが十分にあるものである。
(6)本件商標と引用商標とは、その花柄図形の構成及びその使用態様において、彼此誤認混同を生じるものであり、かつ、商品の出所に誤認混同の生じるおそれのある商標である。

第4 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1 本件商標と引用商標の類似性について
(1)本件商標について
本件商標は、図形と「Wahana」の横書き欧文字が近接して二段に配置されており、図形部分と文字部分が一つのまとまりとして把握されるというのが自然であって、これらについては、それぞれ以下の構成となっている。
ア 図形部分
本件商標の図形部分は、以下の特徴を有する。
(ア)水滴状の図形5つが、先尖部分が中心になるように周方向に均等に配置され、これらの水滴状図形の配置は、花弁が5枚並んだ図形として認識され得る。
(イ)水滴状の図形同士の間は、図形の中心から径方向2分の1近傍部分が最も接近し、その外側及び内側では、先端方向に向かうにつれて互いに離れて配置されている。
(ウ)水滴状図形が接近する中心部分は、星形の非着色部分を有しており、当該星形の非着色部分中心に小さい黒丸が配置されている。星形の非着色部分に比べて中央の黒丸の大きさは十分に小さく、中央の非着色部分に挟まれて水滴状図形と黒丸とは分離したイメージを想起させる。
上記構成から、本件商標の図形部分は、独立した5枚の花弁を有する花であることを想起させるが、特定の種類の花を想起させるに足る構成ではなく、単に花をモチーフにした図形であることを想起させるにすぎない。
イ 文字部分
本件商標の文字部分を構成する「Wahana」の文字からは、「ワハナ」の称呼が生じるところ、当該称呼は、一般的に使用されている言葉ではないため、造語であるとみるのが相当である。
一方で、請求人が、上記図形部分は花弁5枚を均等に配置する花形図形であると主張していることに鑑みると、文字部分「Wahana」の「hana」は、「花」を図形化したものである本件商標の図形部分と文字部分とが一体となって、「花」をアルファベットで表記したものであるとの認識を取引者、需要者に与えるとも考えられる。
したがって、「Wahana」の文字部分からは、「ワハナ」の称呼が生じ、「花」の観念が生じる。
ウ まとめ
上記のとおり、本件商標は、5弁の花と横書き欧文字「Wahana」が近接して二段に配置された外観、「ワハナ」の称呼及び5弁の花の観念を有すると解される。
(2)引用商標について
引用商標は、図形のみからなる商標であり、以下の特徴を有する。
ア 中心側が細く変形した楕円状の図形5つが周方向に均等に配置されており、楕円状図形同士の間は、図形の中心から3分の2あたりまでが同一の幅の白色空間を有するように配置されている。
イ 楕円状図形は中心側に1か所に円弧状の凹部を有しており、当該凹部に囲まれるように中央に黒塗の円が配置されている。楕円状図形と黒塗り円は同一幅の白色空間を介して配置されており、当該白色空間は、楕円状図形間の白色空間とほぼ同一幅で、楕円状図形と黒塗り円はごく近接して配置されている。
ウ 楕円状の図形の凹部側の縦中央には、白色空間と同一の幅の白色短小筋が入っている。このため、図形の中央に梅花の花芯のような図形が認められる。
エ 請求人の主張のとおり、引用商標は、「日本の花『梅花』を図案化したものであることは、古来より有名なことで、『バイカ』『バイカモン』等として広く知られている図形」である。
上記のとおり、引用商標は、図形部分に表された「梅花」の図形からなる外観を有し、「梅花」「梅花紋」の観念が生じ、また、引用商標からは特定の称呼は生じない。
(3)本件商標と引用商標の類否
ア 称呼及び観念の対比
上記のとおり、本件商標からは「ワハナ」の称呼が生じ、「花」の観念が生じる。
また、引用商標からは特定の称呼が生じず、「梅花」の観念が生じる。
よって、両商標は、称呼及び観念において相紛れるおそれがあるということはできない。
イ 外観の対比
本件商標は、図形と文字からなる結合商標であるが、その一部を取り出して類否判断することは適当ではない。そうすると、図形と文字とで構成された本件商標と、図形のみで構成された引用商標とは、外観において相紛れるおそれがあるということはできない。
本件商標の図形部分のみに着目して、両商標の外観を対比してみたとしても、両商標は外観において紛れるおそれはなく、非類似である。
すなわち、複数の5枚の花弁のような図形と、中央の黒丸からなるという基本的な構成が共通するとしても、それと同時に、即座に、それぞれの商標の中心部分にある星形の非着色部分と黒塗りの円及び花弁の形状などの本件商標の具体的構成から、両商標を別個の商標と認識し得るものであり、混同することなどはないものと考えるのが自然である。
請求人は、本件商標と引用商標は、ともに「花弁5枚を均等配置した図形」である点で一般取引者・需要者が、相互に似ていると認識することは明らかと主張するが、花弁自体は、花を図案化する際のありふれた基本的構成部分であり、図形の特徴であるとはいえない。
そもそも、請求人の主張する「花弁5枚を均等配置した図形」といったありふれた基本的構成部分をもって類否判断を行なうことが適切かどうか疑問である。図形商標の類否判断は、基本的構成部分以外の要素や、商標を識別するための知覚的要素に含まれる観念が考慮されるべきである。
本件でいえば、図形商標に接する需要者が、4弁や5弁からなる花弁の商標を、「花弁4枚を均等配置した図形」や「花弁5枚を均等配置した図形」といった基本的構成部分のみで認識している、あるいは、それを商標が有する観念だと認識しているとは考え難いからである。また、基本的構成部分のみでの類否判断が許されるとしたら、「5弁の花弁」の構成要素からなる図形商標が最初に登録されれば、後に第三者が全く異なる「花弁5枚を均等配置した図形」の構成要素からなる図形商標を出願してもすべて拒絶され、第三者の商標採択の自由を不当に狭めるおそれがある。
したがって、「花弁5枚を均等配置した図形」といった基本的構成部分同士を対比することは適切でなく、花を表す具体的構成部分に基づいて類否判断されるべきである。
そこで本件商標と引用商標の具体的構成に着目すると、上記各構成において認定したとおり、本件商標では、花弁の間に形成される空白部分の幅が変化し、中央部分の黒塗りの円の周囲の空白が星形に構成され、空白部分に比べて黒塗り円が十分に小さい。
一方、引用商標の花弁間の空白部分が均一幅の直線であり、中央の黒塗りの円の周囲の空白が、黒塗りの円に沿った均一幅の細線である点で、黒塗りの円と花弁とはごく近接している。さらに、引用商標は、黒塗りの円の空白部分から花弁の中央部分に径方向に放射状に伸びる白線が付されている。
両商標の外周部分を比較すると、花弁同士が最も接近している箇所が、本件商標では図形の中心から2分の1あたりであり、一方、引用商標は図形の中心から3分の2あたりであって、引用商標の花弁の外側の円弧は、本件商標のそれと比べて緩やかである。
また、両商標の中央部分を比較すると、本件商標は、花弁の尖った部分が図形の中央部に集中して配置され、花弁同士の間は、1か所が接近しており内側へ離れていくため、図形の中央部分に十分な大きさの星形の非着色部分が存する。
一方、引用商標は、花弁の1か所は円弧状の凹部となっており、この凹部に囲まれた部分に、白色で表現された梅花の花芯の特徴を表現していると見て取れる黒塗りの円及び白色の筋の図形が認識される。
これらの点を考慮すると、本件商標の図形部分と引用商標は、各構成要素において明らかな差異を有しているばかりでなく、図形全体としてみても、判然とした差異を有しており、この差異から受ける視覚的印象も明らかに異なるものであるから、両者を時と処を異にして離隔的に観察するも、外観において紛れるおそれはない。
また、引用商標の構成に鑑みると、引用商標は、請求人の主張どおり、梅花であることは明らかである。
そして、5弁の花には、引用商標の「梅花」のほか、「桜」「桔梗」「レンゲ」「コスモス」「デイジー」「ツツジ」「アネモネ」「ツバキ」など枚挙にいとまがない。
本件商標の図形部分は、花弁の形状及び中央部分の空白の形状からある程度の種類は特定できるとしても、中央部分の黒塗りの円の大きさ及び周囲の星形の非着色部分の構成を鑑みると、少なくとも、おしべや子房の部分が比較的大きいことが特徴である「梅花」に限定して想起可能とはいえない。
請求人が主張するように、引用商標が「『バイカ』『バイカモン』等として広く知られている図形」であるとすれば、本件商標の図形部分と引用商標とは、明らかに異なった印象を与える。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において類似するとはいえず、外観においても相紛れるおそれはない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標である。
2 審決例等について
請求人は、多々審決例を提出しているが(甲3の1?8)、いずれも、本件商標とは構成・印象が異なるものであり、事案を異にするものというべきであるから、上記の類否判断に影響を及ぼすものとは認められない。
なお、被請求人は、同様に本件商標と引用商標との関係において、互いに非類似であると判断された審決及び異議決定例として、乙第1号証ないし乙第10号証について提出する。
3 本件商標の使用態様について
請求人は、本件商標が、現実に商品に付して使用され、本件商標が付された商品の宣伝広告がされており、また、商品に付された商標の表示を見ると、本件商標の図形部分を目立つように配置し、その下段に欧文字を小さく配して使用しているとし、使用態様からは図形部分がまず目に入り、文字部分はよく見ないと目に入ってこないため、当該図形部分に商品の識別機能を働かせていると主張する。
しかしながら、上記類否判断において、本件商標の図形部分と引用商標は、これらを構成する各構成要素において明らかな差異を有しているばかりでなく、図形全体としてみても、判然とした差異を有しており、この差異から受ける視覚的印象も明らかに異なるものであるから、これを時と処を異にして離隔的に観察するも、外観において紛れるおそれはない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1に示したとおり、中心に円を有する5弁の花をモチーフとした黒塗りの図形と、その下に「Wahana」の欧文字を配した構成からなるものであるところ、上記図形部分と「Wahana」の文字部分は、やや間隔を開けて配されており、それぞれが視覚上分離、独立して認識、看取されるものといえ、いずれもが本件商標の要部として、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るというべきである。
ところで、5弁の花は、桜、梅、桃のように多数存在するところ、上記構成からなる本件商標の図形部分は、5弁の花を表したと認識されるものではあるものの、特定の種類の花を表したものということはできないから、これより、特定の称呼及び観念は生じない。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2に示したとおり、中心に円を有する5弁の花をモチーフとした黒塗りの図形からなるものであり、本件商標の図形部分と同様に、5弁の花を表したと認識されるものではあるものの、特定の種類の花を表したものとまではいうことはできないから、これより、特定の称呼及び観念は生じない。
(3)本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標とを比較するに、本件商標は、図形部分と文字部分からなるのに対して、引用商標は、図形のみからなることから、両商標は、その構成全体の比較において相違するものである。
次に、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る本件商標の図形部分と引用商標とを比較してみれば、両者はいずれも、中心に円を有する5弁の花をモチーフとしてなるものであるが、前者は、中心に向かって5弁の先が尖っているのに対し、後者は、5弁の先が弧状であって、かつ、弧状の中央に全体の約4分の1の長さの白抜きの線を有している点で異なり、また、中央の黒塗りの円が、前者は小さな点ほどの大きさであるのに対し、後者は、花弁の3分の1ほどの大きさで表されている点で異なり、これらの相違点によって、本件商標の図形部分と引用商標とは、全体から受ける印象が著しく異なり、両商標を対比観察した場合はもとより、時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上、相紛れることなく別異のものとして認識し把握されるというべきである。
また、称呼及び観念については、両者がいずれも前記のとおり5弁の花を表したと認識されるものであるとしても、それが特定の種類の花を表したものとまではいうことができないから、特定の称呼及び観念が生じないものである。
以上のとおり、本件商標の図形部分と引用商標とは、いずれも称呼及び観念が生じないものであるから、称呼及び観念については比較することができないものであって、また、その外観については、明確に区別できるものであるから、これらを総合的に考察すれば、両者は、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は引用商標とは非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 請求人の主張
請求人は、外観において類似すると判断された審決例及び判決例(甲3)を挙げ、本件商標と引用商標とは、類似するものである旨主張しているが、
商標の類否の判断は、当該商標と他人の登録商標(引用商標)との対比において、個別・具体的に判断すべきものであって、本件商標と引用商標の類否の判断は、前記1のとおりであるから、該審決及び判決例をもって、本件の判断が左右されるべきものではない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中の第32類「清涼飲料水,酵素を含有する清涼飲料水」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標)



審理終結日 2018-03-26 
結審通知日 2018-03-30 
審決日 2018-04-12 
出願番号 商願2016-102933(T2016-102933) 
審決分類 T 1 12・ 263- Y (W32)
T 1 12・ 262- Y (W32)
T 1 12・ 261- Y (W32)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 白鳥 幹周 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 中束 としえ
小松 里美
登録日 2017-03-03 
登録番号 商標登録第5929035号(T5929035) 
商標の称呼 ワハナ 
代理人 中塚 雅也 
代理人 丸山 幸雄 
代理人 岡崎 ▲廣▼志 
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