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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
管理番号 1340392 
異議申立番号 異議2017-900192 
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-06-16 
確定日 2018-05-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第5932956号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5932956号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5932956号商標(以下「本件商標」という。)は、「SIMS」の欧文字を横書きした構成からなり、平成28年4月6日に登録出願された商願2016-39704の商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、平成28年10月28日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品,コンピュータゲームソフトウェア,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」を指定商品として、同29年3月6日に登録査定、同年3月17日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する標章(以下、「申立人商標」という。)は、「The Sims」の欧文字を横書きした構成からなり、申立人の事業に係る「コンピュータ用ゲームソフトウェア,スマートフォン用ゲームソフトウェア,家庭用テレビゲーム用ゲームソフトウェア,携帯用液晶画面ゲーム機用ゲームソフトウェア,オンラインゲーム」(以下、「申立人商品」という。)の商標として、申立人が使用しているとするものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第46号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人商標の周知性について
ア 申立人は、コンピュータゲーム、ビデオゲームのソフトウェアの分野で世界的に著名な存在として知られている。申立人は1982年の創業以来、約35年もの長きにわたり一貫してゲームソフトの開発と販売を事業としており、1999年には10億ドルの売上を達成、2000年にはソニーの家庭用ゲーム機の初ソフトをリリースして、このゲーム機のナンバーワンパブリッシャーとなっている(甲2)。2000年代前半には世界最大のゲームソフト販売会社となり、2005年3月時点の会計では、約3,500億円もの売上を計上している(甲3)。
申立人の事業は世界規模で展開されており、本社のある米国以外にカナダ、欧州、日本を含むアジア諸国など世界中に拠点を設立している(甲2)。日本における事業は、1992年に設立された日本法人の「エレクトロニック・アーツ株式会社」を中心に展開され、世界的に販売されている申立人に係る人気ゲームソフトである「FIFA」シリーズ、「NBAライブ」シリーズ、「シムシティ」シリーズなど、現在に至るまで数々のゲームタイトルの日本での販売に努めている(甲4)。特に「シムシティ」に代表されるように、「SIM(シム)」を冠にしたタイトルを多数発売しており、日本でも「SIM」を構成に含む商標を多数有している(甲5)。
イ 申立人商標は、申立人の人気ゲームタイトルの一つである。「The Sims」は、申立人が2000年2月4日に販売開始した人生シミュレーションゲームであり(甲6)、以後2004年9月発売の「The Sims2」(甲7)、2009年6月発売の「The Sims3」(甲8)、及び2014年9月に発売された現行の「The Sims4」(甲9)と3つの続編を重ねているが、それぞれに追加的に「The Sims2 キャンパスライフ!データセット」(2005年3月発売)、「The Sims2 ファミリーパック」(2006年3月発売)、「The Sims3 レイトナイトデータセット」など、ゲーム内容を拡張できるデータセットや追加パックと呼ばれるものを多数発売しており(甲10)、これらが「The Sims」シリーズとして日本を含む世界中の需要者等に親しまれている。申立人は「The Sims」シリーズに関して、世界中で150を超える数の商標出願並びに登録を行っている。
「The Sims」シリーズは、典型的にはPC用、家庭用又は携帯用ゲームのパッケージソフトウェアとして提供されている。甲第10号証は、2014年までに販売された日本語版ソフトウェアの一覧である。なお、現行の「The Sims4」については、これまで日本では主にダウンロードソフトとして提供されている(甲12)。申立人は2015年以降も「The Sims4」の拡張データセットや追加パックを多数発売している(甲12)。
この他、スマートフォン向けには「The Simsフリープレイ」を提供している(甲13)。世界的に人気のあるアプリで、2011年頃の最盛期には、北米でジャンル別で1位、ゲーム全体でもトップ3に入る程の売上を記録しており、日本でも2012年にジャンル別で2位、ゲーム全体で8位の売上記録がある(甲14)。日本におけるダウンロード販売に伴う収入は、最盛期の2015年及び2016年に約7千3百万円を記録し、発売開始の2011年から現在までの累計ダウンロード数は、150万件を数える人気ソフトになっている(甲15)。
なお、日本では第1作目の「The Sims」には、邦題として「シムピープル」を付けて販売していたが(甲6)、2004年9月に発売された第2作目以降は、日本でも原題と同じ「The Sims2」(ザ・シムズ2)等をゲームタイトルとして使用している。
ウ 「The Sims」が登場した当初は、それまで人生シミュレーションというジャンルのゲームソフトが無かったという背景もあり、そのユニークで斬新なゲーム内容は瞬く間に業界の話題となった。第1作目の販売数実績は、発売から2005年までに世界で延べ2,000万本であるが、これはゲームソフトの販売記録として当時のギネスブックにも登録された驚異的な数である(甲6)。さらに、第2作目となる「The Sims2」は、2004年の発売から僅か1年間で1,300万本を販売しており、前作を大幅に超えるモンスターヒットとなって、「The Sims」シリーズの人気を決定的なものにした(甲16)。2008年には「The Sims」シリーズの累計売上が1億本を突破しており、22カ国語にローカライズされて60力国で発売されるという大ヒット作になっている(甲17)。
そして、「The Sims」シリーズの日本における年度別売上実績を一覧にして提出する(甲18)。記録が残る初年の2005年3月度は、上述のとおり申立人が世界最大の売上を誇るゲーム制作・販売会社になった時期であるが、「The Sims」シリーズだけでも約2億2千万円もの売上を計上した。これ以降も毎年コンスタントに2億円前後を売り上げており、最盛期である2011年及び2012年には、約3億1千万円もの巨額の売上を記録している(甲18)。これら実績は日本一国に限ったものに過ぎない。「The Sims」シリーズは、世界的に販売される人気ソフトであり、世界全体の売上は極めて莫大な額である。「The Sims」シリーズは、毎年高い売上を残している申立人にとって基幹となる世界的事業である。
「マリオブラザーズ」、「ドラゴンクエスト」、「信長の野望」など、長期に亘ってシリーズが継続しているゲームソフトはあるが、流行に左右されやすいゲームソフトの分野ではごく限られた存在であり、いずれもブランドが確立したタイトルと言える。「The Sims」もこれらと同様に、発売から実に17年を経過してシリーズが継続して、世界的に根強いファンを有するゲームタイトルの一つとして業界で広く知られている。
エ 上述したような長年に亘る継続的なゲームソフトの発売と、記録的な販売実績に拠れば、申立人商標「The Sims」が、我が国を始めとする世界中のゲーム関連の需要者・取引者の間で、申立人に係るゲームタイトルとして周知されていることは疑いようがない。
この点、例えば甲第16号証は、2010年2月5日付の「4Gamer.net」というゲーム情報サイトにおける記事であるが、「The Simsシリースほどビジネス的に成功し、欧米ゲーム業界に大きな影響を与え続けた作品もないだろう」、「まさに、この10年を代表するPCゲームであり、これからもその座は長く続きそうだ。」、或いは「The Simsは最速(9年)で1億本に達したソフト」などと紹介されている。「The Sims」が業界を代表するタイトルであることが容易に首肯される。
また、2009年6月22日付の「日経速報ニュースアーカイブ」には、「マウスコンピューター、ゲーム最新作『ザ・シムズ3』推奨スペックノートPCを発売」と題した記事に、「エレクトロニック・アーツ株式会社より好評発売中の、世界的な大ヒットゲームである『ザ・シムズ』シリーズの最新作『ザ・シムズ3』の推奨パソコンを販売いたします。」とある(甲19)。パソコン機器販売の大手である(株)マウスコンピューターが、「The Sims3」をプレイするのに好適なパソコン及び附属品を販売することに関するプレスリリースであるが、このようなパソコンが販売されて、これが記事になること自体、「The Sims」シリーズの人気と市場への影響力を顕著に反映している。
そして、これらと同様の新聞・雑誌等の記事は枚挙に暇がない(甲20?甲27)。
これらの記事情報からだけでも、「The Sims」が申立人に係るゲームタイトルとして、市場で高い名声を得ていることが首肯されるが、この他にも「The Sims」シリーズが取り上げられた記事は多数ある(甲28?甲38)。
また、「The Sims」シリーズは、ゲームのプレイヤーが自身のプレイ日記をブログ等で公開するウェブサイトも多数存在している(甲39)。さらに、第1作目の発売以降、現在に至るまで「The Sims」シリーズのプレイ動画が、動画投稿サイトに無数にアップロードされている(甲40)。「The Sims」に関する公式の「YouTube」チャンネル(甲41)には、90万を超える登録者がいて、アップロードされているビデオは各100万前後の視聴がされている。また、「The Sims」シリーズの「facebook」サイト(甲42)も開設されて、1,600万を越える多数の「いいね!」を獲得している。
これらの存在は、「The Sims」シリーズがプレイヤーに支持され、人気の確立したゲームであることの何よりの証左といえるが、前述「The Sims」シリーズをテーマにした個人サイトや投稿は、プレイヤー間のオンラインコミュニティの育成に寄与しており、プレイヤーが他のプレイヤーを誘う好循環を生み、「The Sims」の市場への浸透により一層貢献している(甲16)。
オ 以上のように、申立人商標は、グローバル規模での販売を継続している世界的なゲームタイトルであり、我が国を含めて17年以上にも亘る高い販売実績に加えて、空前の大ヒットをもたらした非常に人気の高いゲームソフトである。それ故、申立人商標は、申立人に係るゲームソフトの世界的ブランドとして、既に高い信用が化体している価値の高い商標であり、我が国の需要者・取引者等の間においても、周知・著名であることは疑いようがない。そして、上記の数々の雑誌・新聞等の掲載事実などに拠れば、遅くとも本件商標が出願された時点において、申立人商標が既に需要者等の間で広く知られる商標となっていたことは明らかである。
(2)本件商標と申立人商標との混同のおそれについて
本件商標と申立人商標は、共に欧文字「SIMS」を構成に含むことから、商標構成において両商標が相互に類似しない商標であるとしても、格別辞書的な意味合いが認められない欧文字「SIMS」の識別性は顕著と考えられるため、かかる共通する欧文字部分に拠って、現実の取引の際には、申立人商標と彼此混同されることは十分に想定されるところである。
さらに付言すると、本件指定商品であるゲームソフト関連の需要者には、社会経験の全くない小中高生の需要者も非常に多く、取引の際必ずしも慎重な考慮がなされているとはいえない。
したがって、このような取引の実情と申立人商標の世界的な周知性を勘案して両商標を隔離的に観察するとき、特に児童や学生を含む若年層の一般需要者は、本件商標中、特徴的な「SIMS」に着目してしまい、「『The Sims』の新しいバージョンのソフト(拡張データセット)」、若しくは、「『The Sims』をプレイするための推奨機器・付属機器」などとあたかも申立人の業務に関わるものかの如く誤認混同するであろうことは想像に難くない。
したがって、本件商標を申立人商標の使用に係るゲームソフトそのものや、それに関連性の深い同一・類似の指定商品について出願及び使用することは、申立人らの業務との関係で出所の混同を生ずるおそれは決して小さくない。そればかりか申立人商標の周知・著名性を少なからず希釈化させるか、あるいは同ブランドに対する信用や顧客吸引力といったものを毀損させるおそれもあるといわざるを得ない。
(3)まとめ
以上の理由から、本件商標は、周知商標である申立人商標が使用されており、その使用にかかる製品と出所混同のおそれのある第9類の各指定商品について出願・使用するものである。
2 商標法第4条第1項第7号について
(1)本件商標の出願経緯の不当性について
本件商標の出願人は、別件の登録第2701968号商標「SIMS+図形」(甲43)、登録第4348181号商標「SIMS」(甲44)及び登録第4522627号商標「SIMS」(甲45)を保有している(していた)。これらはいずれも家庭用及び携帯用ゲームソフトと同一・類似の商品をカバーしている。そのため申立人の日本法人であるエレクトロニック・アーツ(株)は、本件商標出願人との間で、これら登録商標の指定商品中、家庭用及び携帯用ゲームのソフトウェアを対象とした使用許諾契約を2005年に締結している(10年間有効)。しかし、これは「The Sims2」を日本において早急に販売開始するに際し、無用な紛争を回避するために締結したものに過ぎず、決して「The Sims」シリーズの使用に係る商標が、前記各登録商標の権利範囲に属するとの考えから締結されたものではない。
因みに、同様の趣旨からエレクトロニック・アーツ(株)は、PC用ソフトウェアの分野について、登録第2718983号「CIMS」(甲46)を保有する日本電気(株)との間で使用許諾契約を締結している。
やはりあくまで「The Sims」シリーズの使用に関する無用な争いを避けることを目的としたものである。
本件商標の指定商品は、前記のとおり家庭用及び携帯用ゲームの分野とPC用ソフトウェアの分野をカバーしている。一方、本件商標出願人との契約の対象だった前記各登録商標は、いずれも。家庭用及び携帯用ゲームの分野をカバーしているが、PC用ソフトウェアの分野はカバーしていない。前記各登録商標中、文字のみで表された商標は、別段変哲の無い書体で欧文字「SIMS」を表したものであるから、実質的に本件商標とは同一といえる。すなわち、家庭用及び携帯用ゲームの分野では既に「SIMS」の権利を確保しているため、本件商標はPC用ソフトウェアの分野について新たに登録確保を狙ったものと把握される。
かかる状況において本件商標の出願人は、2015年に満了した前記の使用許諾契約の再契約(更新)を申立人に迫っている。つまり本件商標は、申立人がPC用ソフトウェアの分野について商標登録を持っていないことを奇貨として、申立人との契約更新交渉を有利に進めるべく、PC用ソフトウェアの分野での登録確保を新たに狙ったものといわなければならない。
それ故、本件商標は、その指定商品に係る事業について、申立人商標が長年に亘って使用されている商標であることを知りながら、申立人から使用料等の不正の利益を得る目的で出願された商標であるから、その出願の経緯は社会的妥当性を欠き、登録を容認すれば公の取引秩序を害するおそれがある。
(2)まとめ
以上から、本件商標登録は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と見るべきである。
3 むすび
以上詳述のとおり、本件商標は、第9類の指定商品について商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に該当するものである。よって、本件商標登録は同法第43条の2第1号により取り消されなければならない。

第4 取消理由の通知
審判長は、本件商標権者に対して、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認める旨の取消理由を平成29年12月26日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第5 本件商標権者の意見
本件商標権者は、上記第4の取消理由の通知に対し、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。

第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性
(1)申立人商標の著名性
ア 申立人の提出した証拠によれば、以下のことを認めることができる。
(ア)申立人は1982年の創業以来、一貫してゲームソフトの開発と販売を事業としており、1999年には10億ドルの売上を達成し、2000年にはソニーの家庭用ゲーム機「PlayStation」の初ソフトをリリースして、このゲーム機のナンバーワンパブリッシャーとなっていること(甲2)。2000年代前半には世界最大のゲームソフト販売会社となり、2005年3月時点の会計では、31.29億ドル(約3500億円)もの売上を計上していること(甲3)。
(イ)申立人商標は、申立人のゲームタイトルの一つであること。「The Sims」は、申立人が2000年2月4日に販売開始した人生シミュレーションゲームであり(甲6、甲16)、2004年9月発売の「The Sims2」(甲7)、2009年6月発売の「The Sims3」(甲8)及び2014年9月に発売された現行の「The Sims4」(甲9)と3つの続編を重ねていること。また、それぞれに「The Sims2 キャンパスライフ!データセット」(2005年3月発売)、「The Sims2 ファミリーパック」(2006年3月発売)、「The Sims3 レイトナイトデータセット」など、ゲーム内容を拡張できるデータセットや追加パックと呼ばれるものが多数発売されていること(甲10)。
(ウ)「The Sims」シリーズは、PC用、家庭用又は携帯用ゲームのソフトウェアとして提供されており(甲10、甲11)、ゲームソフトのタイトルには、「SIMS」の文字が大きく顕著に表示されていること(甲11、甲12)。スマートフォン向けに「The Sims フリープレイ」を提供していること(甲13)。
(エ)2011年頃の最盛期には、北米でジャンル別で1位、ゲーム全体でもトップ3に入る程の売上を記録しており、日本でも2012年にジャンル別で2位、ゲーム全体で8位の売上があること(甲14)。日本におけるダウンロード販売に伴う収入は、最盛期の2015年及び2016年に約66万ドル(約7千3百万円)を記録し、発売開始の2011年から現在までの累計ダウンロード数は、150万件を数えていること(甲15)。
(オ)「The Sims」の第1作目の販売数実績は、発売から2005年までに世界で延べ2000万本であり、これはゲームソフトの販売記録として当時のギネスブックにも登録されたこと(甲6)。
さらに、第2作目となる「The Sims2」は、2004年の発売から1年間で1300万本が販売され(甲16)、2008年には、「The Sims」シリーズの累計売上が1億本を突破し、22カ国語にローカライズされて60力国で発売されたこと(甲17)。
(カ)「The Sims」シリーズの日本における売上は、初年の2005年3月度は、「The Sims」シリーズだけでも約200万ドル(約2億2千万円)もの売上を計上したこと(甲18)。これ以降も毎年2億円前後を売り上げ、最盛期である2011年及び2012年には、約280万ドル(約3億1千万円)もの売上を記録したこと(甲18)。
(キ)「The Sims」シリーズは、新聞・雑誌等において、多数取り上げられていること(甲20?甲38)。また、「The Sims」シリーズは、ゲームのプレイヤーが自身のプレイ日記をブログ等で公開するウェブサイトも多数存在していること(甲39)。さらに、第1作目の発売以降、現在に至るまで「The Sims」シリーズのプレイ動画が、「YouTube」や「ニコニコ動画」といった動画投稿サイトに多数アップロードされていること(甲40、甲41)。
その他に、上記新聞・雑誌やブログ、動画投稿サイト等のウェブサイトの記事中には、「The Sims」の表音と理解される「ザ・シムズ」の文字や、その略称と理解される「sims」及び「シムズ」の文字が数多く記載されていること。
イ 上記アで認定した申立人商標の使用期間、申立人商標を付したゲームソフトの販売本数、申立人商品の我が国における売上高、ゲームソフトのタイトル表示、新聞・雑誌等の記事掲載数、シリーズ化されている商品であること等を総合勘案すると、申立人商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時には既に、我が国の需要者の間に広く認識されていたものであって、その登録査定時においても、その著名性は継続していたものと認め得るところである。
そして、申立人商標の表音又は略称として理解される「ザ・シムズ」、「sims」及び「シムズ」の語もまた、その使用状況に鑑みれば、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
(2)本件商標と申立人商標の類似性
ア 本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「SIMS」の欧文字を横書きした構成からなるところ、その構成文字に相応して、「シムズ」の称呼を生ずるものであって、該文字は、辞書等に載録のないものであるから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。
イ 申立人商標
申立人商標は、前記第2のとおり、「The Sims」の欧文字を横書してなるところ、これよりは、「ザシムズ」の称呼が生じ、前記(1)を踏まえれば、申立人の著名なブランドとしての観念を生じるものである。
また、申立人商標の構成中、前半の「The」の文字部分は、英語の定冠詞と認識され得るものであって、該文字部分の自他商品識別機能は弱いものであり、かかる構成においては、需要者、取引者に強く印象に残るのは、造語であって独立して自他商品識別機能を有すると認められる「Sims」の文字部分であるというべきであるから、その後半の「Sims」の文字部分が要部として独立して着目され、その外観及びこれより生ずる称呼をもって取引にあたる場合も少なくないというのが相当である。
実際、各種新聞記事やウェブサイト等においては、「The Sims」における「The」の文字部分を省略したり、「シムズ」のように記載している例も少なからず見受けられるものである(甲24、甲26、甲29、甲34、甲35、甲39、甲40)。
してみると、申立人商標からは、「ザシムズ」又は「シムズ」の称呼を生ずるものであって、申立人の著名なブランドとしての観念を生ずるものである。
ウ 本件商標と申立人商標の対比
本件商標「SIMS」と申立人商標の構成中の要部である「Sims」の文字部分とは、大文字と小文字の違いはあるものの、その綴りが同じであり、外観上、極めて近似した印象を与えるものである。
また、そこから生ずる「シムズ」の称呼は同一であり、観念において比較できないものであっても、外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、相紛れるおそれを否定することができないことから、両商標は、相紛れるおそれのある類似の商標であるというべきである。
(3)本件商標の指定商品と申立人商標が使用される商品との関連性、その需要者等
本件商標の指定商品第9類「電子応用機械器具及びその部品,コンピュータゲームソフトウェア,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」と申立人商標が使用される申立人商品「コンピュータ用ゲームソフトウェア,スマートフォン用ゲームソフトウェア,家庭用テレビゲーム用ゲームソフトウェア,携帯用液晶画面ゲーム機用ゲームソフトウェア」は、共にゲームに関する商品を含むものであり、その目的、用途、需要者等を共通にするから、同一又は類似の商品であるといえる。
また、コンピュータ用ゲームソフトウェア等の主たる需要者は、小中高生やブランドについて正確又は詳細な知識を持たない者を含む一般の消費者であると考えられるから、商品の購入に際して払われる注意力はさほど高いものとはいえない。
(4)上記(1)ないし(3)を総合すると、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、申立人商標に係るゲームソフトウェア関連商品を想起・連想し、あたかも申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の取り扱う業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
(5)小括
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認める。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものというべきであるから、他の申立の理由について判断するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2018-03-22 
出願番号 商願2016-120319(T2016-120319) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (W09)
T 1 651・ 22- Z (W09)
最終処分 取消 
前審関与審査官 滝口 裕子 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 大森 友子
今田 三男
登録日 2017-03-17 
登録番号 商標登録第5932956号(T5932956) 
権利者 日本臓器製薬株式会社
商標の称呼 シムス、シムズ 
代理人 藤井 郁郎 
代理人 一色国際特許業務法人 
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