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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
管理番号 1340383 
異議申立番号 異議2017-900265 
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-08-31 
確定日 2018-05-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5952606号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5952606号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5952606号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成よりなり,平成28年10月24日に登録出願,第18類「鞄」を指定商品として,同29年2月28日に登録査定,同年6月9日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は,以下の3件であり,いずれも登録商標として現に有効に存続しているものである(以下,これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。)。
1 登録第5788675号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成26年12月25日
設定登録日:平成27年8月28日
指定商品:第18類「バッグ,バックパック,財布,ブリーフケース,スーツケース,キーケース,ダッフルバッグ,書類入れかばん,ハンドバッグ,汎用スポーツバッグ,汎用のキャリーバッグ,その他のかばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,皮革及び模造皮革,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」,並びに,第9類,第16類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
2 登録第5044896号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成18年6月9日
設定登録日:平成19年5月11日
指定商品:第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
3 国際登録第1048069号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
国際商標登録出願日:平成22年6月28日
設定登録日:平成23年7月29日
指定商品:第18類「All purpose sports bags; all-purpose carrying bags; backpacks; duffle bags.」,並びに,第9類,第16類及び第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,第18類「全指定商品」について,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第300号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人の使用に係る商標の著名性
(1)申立人による商標の使用
申立人は,1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり,2002年にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し,米国で同年3月から広告宣伝を開始し,同年4月から製造販売を開始した(甲4,7,18,58)。
申立人の「MONSTER ENERGY」ブランドの各種エナジードリンク製品には,従来の清涼飲料製品の容器とは異なる黒色ベースのボトル缶にモンスター(Monster)の爪を形取ったロゴマーク(引用商標1及び2に示す図形。以下「爪の図柄」という。)と「MONSTER」のデザイン文字を太字で大きく目立つ態様で表示した野性味あふれる独特な雰囲気が経済・ビジネス界でも注目を浴び(甲56?58),男性若者層を中心にたちまち人気商品となった。
申立人の「MONSTER ENERGY」ブランドの各種エナジードリンクには,2002年の発売開始以降,現在までの長年にわたり継続して,爪の図柄が常に表示されている。
(2)広告・マーケティング及び販売促進活動
申立人は,2002年から現在まで,全世界における「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクに関する広告,マーケティング及び販売促進活動費として総額30億米ドルを超える費用を支出した(甲58)。その販売促進活動の内容は,世界の有名アスリート・レーシングチーム及び競技会,アマチュア選手,音楽祭及びミュージシャン,米国ラスベガスの公共機関モノレールに対する支援活動(スポンサー提供),並びに販売店用什器及び備品の供給である(甲58)。そこでは,看板やユニフォーム,備品,ビデオクリップなどに,爪の図柄又はそれを含むロゴマークが表示されている。
このような爪の図柄を用いた世界の著名アスリート及びチームに対するスポンサー活動は,申立人自らが発信する情報のみならず,スポンサー提供を受けるアスリートたちが運営するホームページやブログ,有名経済ビジネス誌,一般の報道ニュース,スポーツファンのホームページなどを通じて,日本国内の一般消費者にも発信,紹介されている(甲34?45,52,53,56,57)。
(3)日本国内の販売実績,広告・マーケティング及び販売促進活動
日本国内では「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクの販売は,アサヒ飲料株式会社を通じてなされており,2012年5月8日から,2種類のエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売が開始された(甲5?7,12,14,58)。
当該商品は,その発売直後から日本国内でもたちまち人気商品となり,2012年9月時点で既に年間売上目標の100万箱を突破し(甲8,65?67),その後も好調に売上を伸ばして157万箱の売上を記録した(甲9,65?67)。
さらに,次々に新製品が発売され,複数の種類の「MONSTER」エナジードリンクが国内で流通している(甲10,13,15,59?62,101?103,118)。
これらの商品は,日本全国のコンビニエンスストア,自動販売機,キオスク,スーパーマーケット,列車の売店,会員制スーパー,店舗,ゲームセンター,ドラッグストア及びホームセンター等のほか,通販サイトからも直接購入可能である(甲11?17,58,61,62,72,131,264)。
2012年5月の販売開始から2015年6月30日までに,申立人は国内で約2億3,600万缶の「MONSTER」エナジードリンクを販売した。上記期間の総販売額は1億7,500万米ドル以上,日本円で170億円以上である(甲58)。
また,国内発売直後から継続的にテレビコマーシャル放映,日本開催の多数のスポーツイベント等へのスポンサー提供,サンプル配布など含む大々的な宣伝広告活動が実施されている(甲58)。
(4)全世界の販売国・地域及び販売額
申立人は,現在までに全世界100以上の国及び地域で1種類以上の「MONSTER」ファミリー商標を付したエナジードリンクを販売し,又は販売中である。
申立人のエナジードリンクは,2002年(平成14年)に米国で販売開始以来,130億缶以上販売し,世界中で毎年30億缶以上を売上げ,全世界で総額240億米ドルを超える収益を上げており,全世界での小売販売額は毎年60億米ドルを超え,申立人の全売上額の92%以上を占める(甲58)。申立人の年間総販売額は,23.7億米ドル(2012年度),25.9億米ドル(2013年度),28.3億米ドル(2014年度)で,エナジードリンクの売上げは,年間総純売上に対して,それぞれ95.4%,95.6%,96.1%を占める。
申立人の「MONSTER ENERGY」ブランドは,販売量において,米国で最も売れ,また世界第2位のエナジードリンクである。申立人のエナジードリンクは,現在米国におけるエナジードリンク市場の36.8%のシェアを占め,その販売量において全世界で最も高成長を遂げた主要ブランドの地位を維持している。
(5)アパレル製品,ビデオゲーム製品等の販売
2002年から現在まで,申立人は爪の図柄及び「爪の図柄とMONSTER ENERGY」のロゴマークを付したアパレル製品等が,多数のライセンシーにより製造,販売されており,一般消費者の高い人気を獲得している。当該ライセンス商品は,現在,日本及びアジア全域,オーストラリア,米国,カナダを含む世界各地で販売中である(甲58)。爪の図柄及び「爪の図柄とMONSTER ENERGY」のロゴマークが付された被服,運動用特殊衣服,運動用ヘルメット,ステッカー,リュックサック等は,日本国内でも人気の高い商品であり,インターネットの通信販売業者により日本国内でも輸入販売されている(甲47,48,92,98,100)。
(6)その他,申立人は,経済界等からの数々の表彰を受けるとともに,ウェブサイト及びソーシャルメディアによる情報発信,商標登録によるブランド保護,国内における申立人商標のライセンス商品の販売や模倣品の水際取締り,スポーツイベント等やプロモーションキャンペーン等も行っている。
(7)以上の事実に照らせば,爪の図柄は,申立人の代表的商品出所識別標識として,本件商標の登録出願日前より,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,本国米国をはじめとする外国で広く認識されていただけにとどまらず,本件商標の登録出願時及び登録査定時には,日本国内の需要者の間でも申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして広く認識されていたことが明らかである。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)商標の比較
ア 本件商標は,細く尖った両端部を有する長さが異なる細長線図形3本を,概ね互いに平行に均等間隔で並べた図形と,当該図形から右斜め下方向の相当程度離れた位置に配置された手書き風の英文字で「dafascar」と小さく横書きした文字から構成される。
本件商標の構成において,図形部分と文字部分とを常に不可分一体のものとして把握すべき事情はないから,図形部分は独立の出所識別標識としての機能を果たすことが明らかである。
イ 引用商標1は,左向きに尖った微細な突起物を有する上端部から下方向に向かって延びた細く尖った下端部を有する長さが異なる細長線様図形3本を,概ね互いに平行に均等間隔で並べた図形から構成される。
ウ 本件商標と引用商標1を比較すると,両者は,細長い線様図形3本を並べた図形として把握されるものである点,当該線様図形3本のそれぞれが尖った両端部を有する点,それぞれの長さが異なる点,概ね互いに平行かつ均等間隔で並べられている点で共通する外観的特徴を備えている。また,当該図形全体の形状が,3本指の爪又は爪痕の形を想起連想させる点で見る者に類似した観念を喚起させる。
このように,本件商標の図形部分と引用商標1は,互いに類似する外観及び観念で看者を印象付けるものであるから,これらの商標が同一又は類似の商品に使用された場合,その出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって,本件商標と引用商標1は類似のものである。
エ 引用商標3は,引用商標1の図形と同じ図形を最上段に表示し,その下に,特徴的なデザイン文字の太字で大きく表記した「MONSTER」の文字を上段に,通常の活字体の細字で小さく表記した「ENERGY」の文字を下段に表示してなるものであり,その図形部分は文字部分から物理的に分離した態様で最上段に顕著に表示され,独立して見る者の注意をひくように表示されていることから,単独で出所識別標識としての機能を果たす。
本件商標と引用商標3の図形部分は,上記ウのとおり,両者が外観及び観念において類似する。したがって,本件商標と引用商標3は類似のものである。
(2)指定商品の比較
ア 本件商標の指定商品である第18類「鞄」は,引用商標1の指定商品中,第18類「バッグ,バックパック,財布,ブリーフケース,スーツケース,キーケース,ダッフルバッグ,書類入れかばん,ハンドバッグ,汎用スポーツバッグ,汎用のキャリーバッグ,その他のかばん類,袋物」と同一又は類似のものである。
イ 本件商標の指定商品は,引用商標3の指定商品中,第18類「All purpose sports bags; all-purpose carrying bags; backpacks; duffle bags.」と同一又は類似のものである。
(3)小括
本件商標は,引用商標1及び3より後に登録出願されたもので,引用商標1及び3に類似し,それらの指定商品も同一又は類似するものを含むから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)申立人が自己の業務に係る商品及び役務の出所識別標識として使用している爪の図柄(引用商標1)は,モンスター(MONSTER)の爪を想起させる独創的な図案からなる創造標章である。
爪の図柄は,申立人の製造販売に係る「MONSTER」エナジードリンクシリーズのすべての缶の正面に顕著な態様で表示されているほか,申立人が支援するアスリートやレーシングチーム,その他のプロモーション活動と関連して,ユニフォームや,オートバイやレーシングカーの車体,スポーツ用具に貼付するステッカー,ロックミュージックコンサート,娯楽イベントにおいても,爪の図柄が大きく目立つ態様で表示されている。
これだけにとどまらず,爪の図柄は,様々な「MONSTER」ライセンス商品にも使用され,一般消費者の人気を博しており,その缶の大規模なサンプル配布による販売促進活動も継続的に実施されている。
このような継続的かつ大規模な使用を通じて,申立人の使用に係る爪の図柄は「MONSTER ENERGY」のブランド及び申立人会社を直観させる申立人の代表的出所識別標識となっており,本件商標の登録出願時及び登録査定時には,日本国内及び米国を含む多数の外国において申立人の業務に係る商品・役務を表示する代表的出所識別標識として需要者の間で広く認識されていた(甲2?293)。
(2)本件商標は,上記2のとおり,申立人の使用に係る爪の図柄(引用商標1)と類似性の程度が高い。
(3)本件商標の指定商品は,申立人及びそのライセンシーが爪の図柄を現に使用しているバックパック等のかばん類と同一又は類似のものであり,また,その他のライセンス商品(被服,レーシングスーツ,運動用ヘルメットなど)との関係においても,服飾品ないしスポーツ用品として,使用目的,販売場所,需要者層が重複することが多く,関連性が強い。
(4)本件商標の指定商品の最終的な需要者は一般消費者を多く含むから,通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。
(5)以上の事柄を斟酌すれば,本件商標がその指定商品に使用された場合は,これに接した需要者は申立人がその商品及び役務の出所識別標識として長年継続使用している爪の図柄及び申立人会社を連想想起し,当該指定商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的関係を有する者(例えば,申立人の商標ライセンシー)の取扱いに係るものであると誤信することにより,その出所について混同を生じるおそれが高い。
また,爪の図柄を容易に想起連想させる本件商標が使用された場合は,2002年から現在に至る申立人による継続的使用と営業努力によって申立人の商品役務の出所識別標識として広く認識されるに至っている爪の図柄の出所表示力が希釈化することが明らかであり,その獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ない。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立人の使用に係る爪の図柄の周知性について
(1)証拠及び申立人の主張によれば,以下の事実が認められる。
ア 申立人は,1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり,エナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し,2002年から米国において発売開始した(甲7,8,10)。
イ 申立人のエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)は,日本においては,2012年5月8日から,「Monster Energy」(モンスターエナジー)及び「Monster KHAOS」(モンスターカオス)が発売開始され(甲7,8),その後,2013年5月7日から「モンスター アブソリュートリー ゼロ」(甲10),2014年8月19日から「モンスターエナジー M3」(甲59),同年10月7日から「モンスターコーヒー」(甲60),2015年7月21日から「モンスター ウルトラ」(甲101)が発売されており,これら商品の容器の側面には,飲料の種類により色彩が相違し,一部構成要素が追加されているものがあるものの(「モンスターエナジー M3」には爪の図柄の右上に「3」の数字が表示されている。),引用商標1,2及び3の図形部分と構成上の特徴を共通にする爪の図柄が,顕著に表されている。
ウ 申立人商品は,日本において,2012年5月の発売開始以降,2012年末までの約8か月で157万箱販売された(甲9)。
エ 申立人の最高経営責任者の宣誓供述書(甲58)によれば,申立人商品は,日本において,2012年5月の販売開始から2015年6月30日までの約3年間で,約2億3600万缶の販売,総販売額は1億7500万米ドル以上,日本円で170億円以上であるとされる。
オ 当該供述書によれば,申立人は,広告,マーケティング及び販売促進活動のために,全世界では,2002年以来,30億米ドル以上を支出しているが,「モンスター社のマーケティング戦略は,従来の方法とは異なり,MONSTER商標及び爪の図柄を広めるための広告を,直接テレビやラジオで行わない」とされ,広告などの予算の多くは「競技選手への支援及び競技大会やその他イベントへのスポンサー活動」にあてている。特に「主要なターゲットとする若年成人層,主に男性が多くの時間を費やすインターネット上で,ネット配信されるイベント」であり,具体的には,ロードレース世界選手権グランプリ(MotoGP),MotoGPレーシングチーム,F1レーシングチーム,モトクロスチーム,アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC),音楽祭,音楽イベント,ミュージシャン及びビデオゲームチームへのスポンサー活動及び促進活動などである。
ただし,日本では2012年5月及び6月に販売開始を支援するために,主要テレビ局のテレビ広告枠を購入し,視聴者にウェブサイトで更なる情報を得るように促す広告を行い,それに190万米ドル以上を支出したとされる。
カ 2016年3月31日付けのアサヒ飲料株式会社のニュースリリース(甲129)によれば,申立人商品につき「『モンスターエナジーブランド』は・・・ブランド力とファッション性で世界中の若者からの圧倒的な支持を背景に,急成長しているエナジードリンクです。」と紹介し,「エナジードリンク市場は,『モンスターエナジー』などの海外ブランドの浸透により,最近では10代,20代が『炭酸の刺激を楽しみたい』や『気分転換』を目的に飲用する傾向」との記載がある。
(2)上記(1)の認定事実によれば,申立人による爪の図柄は,2012年5月から日本においても販売されている申立人商品に係る容器に表示されており,その販売額は,約3年間(2012年5月?2015年6月)で約170億円以上とされ,その販売期間は発売から本件商標の登録出願時までは約4年間程度と長期にわたるものではないが,ある程度継続した販売実績があることがうかがえる。
しかし,申立人はテレビなどの一般的なメディアを通じた広告宣伝はそもそも行わない方針であることもあり,テレビCMは,2012年の発売当初の1か月程度の短期間で,その費用も約1億5千万円(190万ドル;80円/ドルで計算)程度のものであり,継続的に行われているスポンサー活動や販売促進キャンペーンも,日本における広告宣伝費は明らかではない。その主な広告宣伝も,主に比較的若い世代が集まるようなモータースポーツ,格闘技,音楽イベントやミュージシャン,ビデオゲームなどと関連したスポンサー活動やプロモーション活動である。また,申立人商品の紹介にあたっても,10代や20代の需要者層における支持が言及されていることからすると,申立人商品の主要な需要者層や,広告などを通じて申立人商品を目にする需要者層の範囲も,自ずと若年層を中心としたものと理解することができる。
このように,申立人商品の販売期間は比較的短く,幅広い需要者層が目にする機会の多い一般的なメディアを通じた広告宣伝の実績は乏しいもので,広告宣伝などを通じた爪の図柄の露出も,比較的若年層に向けた活動を通じて行われていることから,申立人商品と関連して使用されている爪の図柄は,本件商標の登録出願日前までには,その取引者や若い世代を中心とした需要者の間では,ある程度知られていたものということができても,幅広い需要者層を有する清涼飲料の分野一般においては,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。
そのため,爪の図柄(引用商標1)は,我が国において,申立人商品を表示する商標として,広く認識されているものということはできない。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標1及び3の比較
ア 本件商標について
本件商標は,別掲1のとおり,長さの異なる平行する3本の斜線であって,筆で描いたような線よりなり,左側線から右側線に向けて徐々に太く,長くなるような構成よりなる図形の下部に,大きく間隔を空けて,「dafascar」の欧文字を横書きしてなるところ,図形部分と文字部分は,視覚上,完全に分離して認識,看取されるものである。
また,本件商標の図形部分からは,特定の称呼及び観念は生じず,「dafascar」の文字部分も,その構成文字に相応して「ダファスカー」の称呼が生じるとしても,辞書等に掲載の見受けられないため,特定の意味を有しない造語と認識され,特定の観念は生じないことから,両者の間に,称呼上及び観念上のつながりはない。
そうすると,本件商標のような構成においては,図形部分と文字部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないから,本件商標に接する需要者,取引者は,その構成中,両部分それぞれを,自他商品識別標識として機能を有する要部として認識,理解し,取引に当たる場合もあるというべきである。
よって,本件商標は,その文字部分から「ダファスカー」の称呼が生じるものの,その他の称呼及び観念は生じない。
イ 引用商標1及び3について
(ア)引用商標1は,左向きに短く尖らせた上端から,下向きに幅が徐々に細くなる不規則な凹凸状の輪郭を有する鉤裂き状の帯様図形を3本縦方向に平行に配置してなり,このうち中央のそれは,左右のそれよりやや長めに描かれている図形を有してなるものであるところ,構成全体をもって独創性のある図形商標(爪の図柄)を表したと認識されるとみるのが相当であり,これより特定の称呼及び観念は生じないものである。
(イ)引用商標3は,上部に,引用商標1と共通する爪の図柄を有し,下部の上段に「MONSTER」(「O」の文字を貫く縦線が描かれている)の文字を特徴のある書体の太字で,その下段に「ENERGY」の文字を角張った書体で比較的小さく表してなるところ,爪の図柄部分と文字部分とは,重なりなく間隔を大きく空けて配置されているため,視覚上,一見して分離して看取されるばかりでなく,爪の図柄部分からは特定の称呼及び観念は生じないため,文字部分との間に称呼及び観念上のつながりはなく,それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。
そのため,引用商標3に接する需要者,取引者は,爪の図柄部分と文字部分のそれぞれを出所識別標識としての機能を有する要部として認識,理解するというのが相当であり,これら要部をもって他人の商標と比較して商標としての類否を判断することも許されるというべきである。
そして,引用商標3の爪の図柄からは,上記(ア)のとおり,特定の称呼及び観念は生じない。
また,引用商標3の「MONSTER」と「ENERGY」の文字部分は,それぞれ「怪物。化け物。」,及び「活動の源として体内に保持する力。活気。精力。」の意味を有する「エネルギー」の語に通じるところ,両語を結合して熟語や既成語となるものでもないから(参照:「広辞苑 第6版」岩波書店発行),全体として特定の観念は生じないものの,構成文字に相応して「モンスターエナジー」の称呼を生じる。
ウ 本件商標と引用商標1及び3との比較
(ア)本件商標と引用商標1を比較すると,その図形部分において,(a)その構成中に平行する3本の線を有する点で共通するとしても,それぞれの構成線や配置の特徴において,(b)右下がりの斜線と縦線,(c)筆で描いたような線と鉤裂き状の線,(d)3本線が右側に向けて徐々に長くなるような構成に対し,3本線がほぼ同じ長さ(中央の線は,左右の線よりやや長めに描かれている)である点,において差異を有する。
そうすると,両商標の図形部分は,上記の(a)のような抽象的な共通点を有するとしても,上記(b)から(d)に挙げるような構成線及びその配置の特徴において顕著に相違するものであるから,構成全体として受ける印象も大きく相違するため,両者を時と処を異にして離隔的に観察した場合であっても,外観上,明瞭に区別し得るもので,互いに紛れるおそれはないというべきである。
したがって,本件商標は,図形部分において,引用商標1とは,外観が明らかに異なり,称呼及び観念において比較することはできず,また,それ以外の構成要素の比較においても,外観,称呼及び観念のいずれも類似するものではないこと明らかであるから,両商標から生じる印象は大きく相違したものとなり,これを同一又は類似の商品に使用したとしても,相紛れるおそれはない非類似の商標である。
(イ)本件商標と引用商標3を比較すると,本件商標の図形部分と引用商標3の構成中の爪の図柄(引用商標1に相当する。)とは,上記(ア)における比較と同様に,外観上,明瞭に区別し得るもので,称呼及び観念において比較できず,また,両商標は,それ以外の構成要素の比較においても,外観,称呼及び観念のいずれも類似するものではないこと明らかである。
したがって,本件商標は,引用商標3とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても類似するものではなく,互いに生じる印象とは大きく相違したものとなり,これを同一又は類似の商品に使用したとしても,相紛れるおそれはない非類似の商標というべきである。
(2)小括
本件商標は,上記のとおり,引用商標1及び3とは類似しない商標であるから,その指定商品に引用商標1及び3の指定商品と同一又は類似の商品が含まれるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)申立人の使用に係る爪の図柄の独創性及び周知性について
申立人が,商品「エナジードリンク」と関連して使用している爪の図柄は,上記1のとおり,独創的な図形よりなるものの,本件商標の登録出願日前までには,その取引者や若い世代を中心とした需要者の間では,ある程度知られていたものということができても,幅広い需要者層を有する清涼飲料の分野一般においては,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。
(2)本件商標と爪の図柄との類似性
本件商標と爪の図柄(引用商標1)を比較すると,上記2(1)における比較と同様に,本件商標は,爪の図柄とは,外観が明らかに異なり,称呼及び観念において比較できないから,両者から生じる印象は顕著に異なるもので,互いに別異の商標というべきである。
(3)本件商標の指定商品と使用に係る商品の比較
申立人商品(エナジードリンク)は,清涼飲料の一種であり,申立人のライセンス契約の下,ライセンシーを通じてTシャツやフード付き上着,バックパック及びクーラーボックスなどが製造,販売され(甲58),日本国内においても,爪の図柄が付されたTシャツ,フード付き上着,ジャケット,帽子,ステッカーが販売されている(甲47,48,100)。
しかし,このような申立人固有の実情があるとしても,清涼飲料の一種であるエナジードリンクと,本件商標の指定商品第18類に属する「鞄」とは,一般的には,その商品の性質,用途又は目的において直接的な関連性もなく,その商品の製造者や販売者,需要者層も,重複又は密接に関連しているものとはいえず,それらの密接な関連性を示す具体的な証拠は,申立人から提出されていない。
(4)出所の混同について
申立人の商標である爪の図柄は,上記(1)のとおり,独創的な図形よりなるものの,申立人商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,若い世代を中心とした需要者の間ではある程度知られていたとしても,その周知性は限定的であり,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていた商標とはいえない。加えて,本件商標は,上記(2)のとおり,爪の図柄とは,互いの印象が顕著に異なる別異の商標であり,上記(3)のとおり,その指定商品と申立人商品も,その商品の性質,用途,目的又は取引者若しくは需要者の関連性や共通性は見いだし難いから,爪の図柄を付した申立人の関連商品が,本件商標の指定商品と共通する分野において製造されている実情があるとしても,本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば,本件商標に接する取引者,需要者が,申立人の使用に係る爪の図柄又は引用商標ないしは申立人を連想又は想起するようなことは考え難い。
そのため,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,その取引者,需要者をして,当該商品が申立人の商品に係るものであると誤信させるおそれがある商標でもなく,当該商品が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信させるおそれがあるものとはいえず,申立人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがある商標ではない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
4 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標1及び2)



別掲3(引用商標3)




異議決定日 2018-05-02 
出願番号 商願2016-123840(T2016-123840) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W18)
T 1 651・ 263- Y (W18)
T 1 651・ 261- Y (W18)
T 1 651・ 262- Y (W18)
最終処分 維持 
前審関与審査官 渡辺 悦子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 阿曾 裕樹
田村 正明
登録日 2017-06-09 
登録番号 商標登録第5952606号(T5952606) 
権利者 田中 秀明
商標の称呼 ダファスカー 
代理人 柳田 征史 
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