• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y21
管理番号 1340343 
審判番号 取消2017-300060 
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-01-23 
確定日 2018-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4994929号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第4994929号商標の指定商品中,第21類「魚ぐし,なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く),アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く),卵立て(貴金属製のものを除く),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く),盆(貴金属製のものを除く),ようじ入れ(貴金属製のものを除く),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く),化粧用具」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4994929号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成よりなり,平成18年3月28日に登録出願,第21類「デンタルフロス,ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),かいばおけ,家禽用リング,魚ぐし,おけ用ブラシ,金ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ,家事用手袋,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,アイロン台,霧吹き,こて台,へら台,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),家庭用燃え殻ふるい,石炭入れ,はえたたき,ねずみ取り器,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,犬のおしゃぶり,小鳥かご,小鳥用水盤,洋服ブラシ,寝室用簡易便器,トイレットペーパーホルダー,貯金箱(金属製のものを除く。),お守り,おみくじ,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用ディスペンサー,花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴,ガラス製又は磁器製の立て看板,香炉,化粧用具,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー,コッフェル,ブラシ用豚毛」を含む第14類,第16類,第18類,第20類,第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,平成18年10月13日に設定登録され,その後,同28年10月25日に,第16類,第18類,第20類,第21類,第24類及び第25類について,商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
なお,本件商標は,「有限会社木守人」を権利者(以下「旧商標権者」という。)として設定登録されたものであるが,その後,平成28年8月23日に申請により特定承継による本商標権の移転登録がされ,被請求人が本件商標権者(以下「現商標権者」という。)となった。
そして,本件審判の請求の登録は,平成29年2月6日である(以下,この登録前3年以内の期間を「本件要証期間」という。)。

第2 請求人の主張の要点
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中の第21類「魚ぐし,なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く),アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く),卵立て(貴金属製のものを除く),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く),盆(貴金属製のものを除く),ようじ入れ(貴金属製のものを除く),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く),化粧用具」について継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれの者によっても使用した事実が存在しないから,その商標登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)旧商標権者の使用に係るFAX予約用紙(乙1の2)及びチラシ(乙1の4)について(使用例1)
ア 旧商標権者の使用に係るFAX予約用紙(以下「本件使用FAX予約用紙」という。)(乙1の2)及びチラシ(以下「本件使用チラシ1」という。)(乙1の4)には,本件商標と似通った猫の図形をかたどった商品「箸置き」(以下「本件箸置き」という。)の写真等が掲載されている。しかし,これらはいずれも旧商標権者の経営に係る店とする「癒しのかくれ村」において有償又は無償で配布していた本件箸置き自体を紹介する目的で掲載されたものであって,本件箸置きの出所を表示する標識として本件商標が使用されたことを示すものではない。
本件使用FAX予約用紙に掲載された本件箸置きの絵は,本件箸置きをプレゼント又は販売する商品を紹介する目的で掲載されたものであって,本件箸置きの出所を表示するものではない。
本件使用チラシ1には,猫の形状をした複数の商品の写真が掲載されている。しかし,当該写真は,プレゼントする商品を紹介する目的で掲載されたものであるから,本件使用FAX予約用紙と同様に,商品の出所を表示するものではない。
イ 本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1のいずれにも作成日や配布時期などを示す記載が全くない。
しかも,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1の配布時期について,陳述書(乙1の1)では,「癒しのかくれ村」では,閉店するまで,添付のチラシ,本件使用FAX予約用紙を店内に置き,来店客がいつでも持って帰れるようにしていた旨,つまり,平成14年5月から同26年8月頃までの間,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1を店内で配布していた旨が陳述されているが,本件使用チラシ1における「新メニュー」の消費税は5%となっている。消費税は,平成26年4月1日から8%になっているので,本件使用チラシ1が同月以降も頒布されていたという陳述は,明らかに事実に反しており信用できない。
ウ 被請求人は,商品「箸置き」が本件審判の請求に係る指定商品(具体的には「食器類(貴金属製のものを除く。)」)に含まれる旨主張するが,「箸置き」は,当該指定商品には含まれない。
「食器」とは,正に「食事に用いる器」のことであり,「食器類」とは「食事に用いる器のたぐい」を意味する。そして,「箸置き」は「器のたぐい」でないことは明白であり,「食器類」には含まれないことは明らかである。
(2)現商標権者の使用に係るウェブサイトについて(使用例2)
ア 現商標権者のウェブサイト「けんさんのフォト・ギャラリー」(乙2の1?3)(以下「本件使用ウェブサイト」という。)には,本件商標と似通った猫の図形が描かれた商品「小皿」(以下「本件小皿」という。)及び本件箸置きの写真とその売価が掲載されている。
本件使用ウェブサイトは,その名称から写真展示を目的としたウェブサイトであると理解される。すなわち,本件使用ウェブサイトは,インターネットを介して商品を販売することを目的としたウェブサイトではなく,個人の趣味を開陳することを目的としたものにすぎない。
つまり,本件使用ウェブサイトは,取引を行うに当たり必要な最低限の情報が掲載されておらず,名目的・形式的な使用というほかない。なお,この点に関して,被請求人は,「旧商標権者から承継した被請求人は別に商売をしている訳ではないので,店舗で販売はできません」とウェブサイトを通じた販売の理由を述べているが,そもそも商売をしていないのであれば,「業として」の使用には該当しないから,本件使用ウェブサイトにおける本件商標の使用は,商標としての使用には当たらない。
イ また,請求人がみたところでは,現商標権者が販売していると主張する本件小皿は,請求人がフランチャイズ展開している飲食店「のらや」において,飲食物の提供に当たり顧客の利用に供するために使用している「小皿」にほかならない。
現商標権者は,閉店した「のらや(農家ダイニング 癒しの隠れ村)」又は「のらや 中環三国ヶ丘店」から入手した本件小皿を自身のウェブサイトを通じて販売を試みたものと思われる。
現商標権者が,本件小皿の販売を事業であると主張するのであれば,当該商品を継続的に入荷できる体制にあるかを立証すべきである。
ウ 仮に,本件使用ウェブサイトに示す本件箸置き及び本件小皿の販売が現商標権者による本件商標の使用に該当する場合でも,現商標権者は,本件商標権に基づいて,平成28年12月24日に,請求人に対して商標権侵害の警告(甲14)を行っており,請求人が不使用取消審判を請求することを十分に予測できたから,当該使用はいずれも本件審判が請求されることを知った後の使用(いわゆる「駆け込み使用」)に該当するものである。
(3)現商標権者の使用に係るオークションサイトについて(使用例3)
ア 現商標権者は,インターネット上のオークションサイトにおいて本件小皿の出品(以下「本件使用オークションサイト」という。)(乙3)を示しており,本件使用オークションサイトには,本件小皿及び入札開始価格が掲載されている。
本件使用オークションサイトの出品者についてのオークション上の評価は全体で143件あるが,そのほとんどが落札者としての評価であり,出品者としての評価はわずかに11件である(甲15の2?4)。しかも,出品者としての評価は,いずれも本件小皿とは全く無関係の商品に関するものである(甲15の5)。
以上の調査結果によれば,本件小皿が継続的に出品されているとは考えられない。さらに,過去における出品の評価を見た限り,被請求人がオークションサイトを通じて本件小皿又は本件箸置きの販売を「業として」行っていたとは到底考えられない。
このように,本件使用オークションサイトにおける本件小皿の出品も本件商標の使用の体裁を整えるだけの名目的・形式的な使用であり,本件商標の「業として」の使用には該当しない。
また,現商標権者は,閉店した「のらや(農家ダイニング 癒しの隠れ村)」又は「のらや 中環三国ヶ丘店」から入手した本件小皿をオークションサイトを通じて販売を試みたものと思われる。
イ 仮に,本件使用オークションサイトに示す本件小皿の販売が現商標権者による本件商標の使用に該当する場合でも,上記(2)と同様に,当該使用はいずれも本件審判が請求されることを知った後の使用(いわゆる「駆け込み使用」)に該当するものである。
(4)「のらや中環三国ヶ丘店」及び「のらや第2阪和岸和田店」における使用について(使用例4)
ア 被請求人は,「のらや 中環三国ケ丘店」の実質的な経営者の陳述書を提出している(乙4の1)。
しかし,「のらや 中環三国ケ丘店」における店内での小皿,箸袋などへの本件商標の使用は,請求人とのフランチャイズ契約(甲16)に基づくサービスマークの使用にほかならない。
イ 「のらや 中環三国ケ丘店」の実質的な経営者は,本件商標の使用を旧商標権者から認められていた旨を陳述(乙4の1)しているが,請求人は,フランチャイズ契約期間中に,本件商標権の存在について当該経営者から報告や相談を受けたことはない。
また,被請求人は,当該経営者が本件商標権の通常使用権を有していた根拠として,譲渡証書(乙12の1・2)を提出しているが,当該譲渡証書には,旧商標権者の記名・押印はあるものの,作成日及び譲受人についての記載がなく,加えて,本件商標権の全部移転を目的とするのか分割移転を目的とするのかさえも記載されていない。それらの記載がない以上,当該譲渡証書が当該経営者宛のものであるとの上記主張は,認めることができない。
このように,当該経営者が本件商標権の通常使用権を有していたことは何も証明されていない。
ウ 陳述書(乙4の1)において,「のらや 中環三国ケ丘店」の実質的な経営者は,平成26年3月30日まで,店内で,来店者が集めた箸袋の枚数に応じて,猫の顔を付した食器を交換し,あるいは所定の価格で販売していた旨陳述するとともに,店内では添付の画像チラシ(乙4の2・3)(以下「本件使用チラシ2」という。)のような表示をした旨陳述している。
この点に関して,本件使用チラシ2は,いずれも請求人の本部で制作して各店に配布しているものであるが(甲17の1・2),このうち「お箸袋を集めてもらえる新しい猫食器」と題するチラシは,新しい猫食器(ピンク色の食器)が新規に採用・導入された平成26年5月以降(甲18)に配布を開始したものである。つまり,甲第17号証の2に示した「新しい猫食器」に関するイベント告知チラシは,「のらや 中環三国ケ丘店」が閉鎖した平成26年3月30日には未だ配布されておらず,このチラシを店内に表示していたとする陳述(乙4の1)は事実と相違するものである。また,その陳述には信ぴょう性がない。
エ そもそも,本件使用チラシ2は,請求人がフランチャイズ展開している飲食店「のらや」において,各店のリピーターを増やすための宣伝目的で行われたイベントに用いられたものであって,本件使用チラシ2に描かれた図形は,当該イベントの主催者としての上記飲食店の広告的使用にほかならず,第三者の商標として認識される余地はない。
オ 被請求人は,現商標権者と「のらや第2阪和岸和田店」との間に使用許諾が存在していたかのように主張するが,請求人が「のらや第2阪和岸和田店」のオーナーに確認したところ,当該オーナーは本件商標の使用許諾については身に覚えがない旨回答している。
しかも,現商標権者と「のらや第2阪和岸和田店」との間で,本件商標の使用許諾について合意があったことを示す客観的な証拠がなく,被請求人の上記主張は信用することができない。
3 本件箸置きの形状及び本件小皿に描かれている図形について
商品「箸置き」は,動物や植物をモチーフにした意匠の箸置きも一般的に普及しているから,本件箸置きに接した需要者は,特段の事情がない限り,本件箸置きの形状を専ら箸置きの意匠と認識するものであって,商標と認識することはない。
また,商品「小皿」において,その出所を表示する標識は,通常,小皿の裏印であるから,本件小皿に描かれている図形は,専ら小皿の意匠と認識されるものであり,商標であるとは認識されない。
さらに,現商標権者が使用しているとする本件小皿に描かれている猫の図形は,本件商標と輪郭や顔の構図が共通するとしても,本件小皿に描かれている猫の図形は墨絵風であるのに対し,本件商標はペン絵風で描法が大きく異なる一方,耳の形や猫の表情が微妙に異なっており,全体として違った印象を受ける。したがって,本件商標と本件小皿に描かれている猫の図形とは,外観において同視されるほど近似しているとはいえないから,本件小皿に描かれている猫の図形は,本件商標と社会通念上同一の商標に該当しない。
4 請求人と旧商標権者の関係について
旧商標権者は,請求人とのフランチャイズ契約に基づいて,本件商標と同一の図形の使用を許諾され,本件小皿を含む食器類を使用していたにすぎない(甲2)。
そもそも,旧商標権者は,請求人の事業の一部を担う別会社として設立された会社である(甲9?11)。請求人と旧商標権者との間には,上記フランチャイズ契約に加えて,「のらや」の新規出店に関する不動産物件情報の提供及び「のらや」各店のメンテナンスなどについての業務委託契約(甲11)などが締結されており,旧商標権者は,請求人の事業の一部を担う立場にあった。
しかしながら,平成17年7月頃から,旧商標権者から請求人に対する食材費の支払が滞り始め,同18年9月には,フランチャイズ契約が終了した。なお,旧商標権者の未払の売掛金は未回収のまま現在も残っている(甲12)。このように,請求人と旧商標権者との関係は,旧商標権者の債務不履行によって破綻するに至っている(甲12)。
被請求人は,旧商標権者の本件商標権の取得に関して,その正当性を主張しているが,旧商標権者が本件商標を登録出願したのは,旧商標権者の食材費の支払が滞り始めた以降の平成18年3月28日であり,本件商標の設定登録料が納付されたのは,フランチャイズ契約が終了したその月(登録料納付書の差出日:同年9月22日)である。
また,旧商標権者は,フランチャイズ契約終了後に,本件商標権を請求人に通知することなく第三者に譲渡していることに鑑みれば,旧商標権者による本件商標の登録出願は,請求人に対する妨害的な意味合いがあったことが疑われる。
5 まとめ
被請求人は,種々の証拠を示しながら,本件箸置き及び本件小皿について本件商標を使用していると主張しているが,いずれも単に猫をモチーフにした箸置き及び小皿の写真等を示しているだけで,本件商標が商標(自他商品を識別し,商品の出所を示す標識)として使用された事実については何ら証明していない。
そもそも,商標法上の商標は,業として商品を生産し,証明し,又は譲渡する者がその商品について使用するもの(同法第2条第1項第1号)であるところ,被請求人には事業の実体がなく,法上の商標を使用する立場にない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件使用FAX予約用紙(乙1の2)及び本件使用チラシ1(乙1の4)について(使用例1)
旧商標権者が経営していた「癒しのかくれ村」は,少なくとも平成26年8月中旬頃までは営業していた(甲2,4,9)。
そして,その閉店(平成26年8月中旬頃)を余儀なくされるまでの間,ずっと,「癒しのかくれ村」において,請求人店舗とは競合しない状態での料理提供でのおもてなしの店とし,店内では,食器類,おもちゃ,キーホルダー,着物,骨董,駄菓子,アンティーク小物等を販売していた。
この「癒しのかくれ村」では,その閉店まで,箸袋を集めて景品と交換して頒布したり,販売していたものであって,その販売品目に含まれる商品に関し,「ねこの顔」を安全に付して使用できるようにするために,本件商標の商標権を有していた。この「癒しのかくれ村」における取扱商品については,請求人に対する配慮から,請求人と同じ商品は取り扱わず,旧商標権者が自ら開発した猫の顔をモチーフにしたオリジナルの箸置き(食器類),キーホルダー,しおり,メジャー,携帯用ストラップ,うちわ,ハンドタオル及びマウスパッド等があり,特に,箸置きは,売価480円での販売もしていた。
旧商標権者の本件箸置きは,デザイン的な面もあるが,他人の商品と区別されるための目印,すなわち,商標としての一面も否定できない。
そして,旧商標権者は,本件審判の請求に係る指定商品中,食器類である本件箸置きに関するチラシ(本件使用チラシ1)を,その経営に係る「癒しのかくれ村」で,閉店までレジの傍らに置いて来客者が自由に持ち帰ってもらえるようにしていた。本件使用チラシ1は,新メニューを加えた際に作成したものであるが,その後は多少の変更等があってもそのままの状態で,閉店する平成26年秋まで使用していた。本件使用チラシ1には,本件商標の図柄である猫の顔を表示した自然木製グッズとして,キーホルダー,箸置き,しおり,メジャー,ハンドタオル及びうちわ等が掲載され,これらを実費で販売したり,食事に際して出された箸袋を集めて枚数に応じて交換したりして,頒布の対象としていたことが明記されている。ちなみに,本件箸置きは,食器類として認識されている商品であるが,来客者が食事の際に出された箸置きをそのまま持ち帰ることが可能な(無償頒布)ほか,販売価格480円としていたことも明示されている。
また,上記店舗ではFAXで予約も行っており,その際使用していた本件使用FAX予約用紙は,インターネットにアップしたもの以外に,「癒しのかくれ村」の閉店近くまで店舗内で本件使用チラシ1と併せてレジ横に置いて,来客者に自由に持ち帰ってもらえるようにしていた。この中にも,本件箸置きのイラストがあり,デザインとして商標を付したものが明記されていた(乙1の1)。
なお,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1の消費税の表示が5%となっていることに関しては,消費税が8%に改正(審決注:平成26年4月1日施行)された後においても,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1は修正することなく使用されていたものと思われるが,少なくとも同年3月までは,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1が使用されていたことから,本件要証期間に使用されていたことは明らかである。
また,旧商標権者に関係する店舗の名称は,平成15年7月1日に設立され,旧商標権者が経営することとなった「癒しの隠れ里 のらや村」,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1に係る「和泉の麺・飯茶屋 癒しのかくれ村」及び遅くとも平成22年に開店していた「農家ダイニング 癒しのかくれ村」があるが,旧商標権者は,屋号・商号「農家ダイニング 癒しのかくれ村」として,平成19年7月23日に当初許可を受けていた。そして,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1は,店名を変更しないでそのまま店頭に置かれていたものと思料する。
さらに,商品「箸置き」が,食器の一つとして認知されていることは,明らかである(乙5の1?7)。
2 本件使用ウェブサイトについて(使用例2)
本件使用ウェブサイト(乙2の1,乙8の2)は,暫く休止していたが,平成28年12月5日に再開した。
本件商標を旧商標権者から承継した現商標権者は,商売をしている訳ではないので,店舗で販売はできないことから,本件小皿及び本件箸置きを頒布対象として本件使用ウェブサイトに掲載した。
本件使用ウェブサイトは,その後,平成29年1月1日及び同年2月10日に更新し,いずれも本件小皿及び本件箸置きを頒布対象としての掲載を継続している。
なお,上記「商売をしている訳ではない」とは,現商標権者が,営利を主目的としたものでないとの意味であって,ウェブサイトによる販売も十分店舗的であって,当然ながら,商標権が必要なものである。
また,本件小皿及び本件箸置きは,いずれも食器類であって,本件審判の請求に係る商品である第21類の指定商品に属することは明白であり,また,これらの図柄の表示が,自他商品の識別標識としての機能を有していることは否定できない。
3 本件オークションサイトについて(使用例3)
現商標権者は,平成29年1月27日にインターネット上のオークションサイト(本件使用オークションサイト)に本件小皿を出品することにより,当該商品の頒布を行っている(乙3)。
4 「のらや中環三国ヶ丘店」及び「のらや第2阪和岸和田店店」における使用について(使用例4)
(1)「のらや中環三国ヶ丘店」における使用について
請求人のフライチャイジーであった者が実質的な経営者であった「のらや中環ヶ丘店」は,旧商標権者から本件商標の使用を認められた者の一人である。そして,平成26年3月30日に「のらや中環三国ヶ丘店」が閉店を余儀なくされるまで,店内での食器販売,箸袋の枚数に応じての食器との交換も,請求人の他の店舗と全く同様に行っていた(乙4の1?5)。
「のらや中環ヶ丘店」で展示されていたとする本件使用チラシ2の消費税の表示が8%になっていることは,確かに消費税が改正された後(平成26年4月以降)の使用例を示したことになる。しかしながら,そのことは,「のらや中環三国ヶ丘店」の実質的な経営者が,本件使用チラシ2と同等のチラシを店内に貼っていたことを記憶に基づいて陳述(乙4の1)したものである。
請求人は,平成26年3月30日までの「のらや中環三国ヶ丘店」の営業状態については認識していたと考えられ,そして,「のらや中環三国ヶ丘店」は,旧商標権者から本件商標の使用を許諾されていたところであり,本件商標の通常使用権者であり,上記の使用は,当該通常使用権者の使用にほかならない。
また,「のらや中環三国ヶ丘店」の実質的な経営者は,旧商標権者から本件商標権に関する宛名不記述の譲渡証書及び印鑑証明書を受け取っており,当然同者は,本来,本件商標権の譲渡を受けることもできる状態にあったのであるから,当該譲渡証書には本件商標の通常使用権が含まれるといえる(乙12の1・2)。
(2)「のらや第二阪和岸和田店」における使用について
「のらや第二阪和岸和田店」における使用(乙7)についても,当該店は認識がないかもしれないが,旧商標権者が本件商標の使用を許諾し,現商標権者も使用を容認しているもので,本件商標権の通常使用権者の使用にほかならない。
5 請求人と旧商標権者の関係について
請求人は,平成18年10月13日には請求人と旧商標権者とのフランチャイズ契約は既に終了しており,当該フランチャイズ契約に基づく本件商標を使用する権能を旧商標権者は有していない,と述べているが,請求人は,形式的に請求人の代表取締役の個人名義であったその商標権で,その後,更新を徒過して消失した件外登録第4508383号商標を根拠にしていると推測されるところ,当該商標登録は,第30類と第42類に関して登録されたものであって,本件商標権は,請求人の消失した商標権の範囲外のものであり,しかも,旧商標権者は,異なるオリジナル商品に関しての商標の安全使用担保のために取得したものであることが明白であるから,的外れの主張である。
6 結論
以上のように,本件要証期間に,旧商標権者,旧商標権者から使用を許諾された者,及び現商標権者のいずれもが,商標を使用していたことが明白であるから,本件商標権を取り消す理由はない。

第4 当審の判断
本件商標の使用について,証拠及び当事者の主張によれば,以下のとおりである。
1 本件使用FAX予約用紙(乙1の2)及び本件使用チラシ1(乙1の4)について(使用例1)
(1)認定事実
ア 大阪府和泉市久井町に所在の店舗の営業について
(ア)請求人は,平成15年7月1日に設立された旧商標権者(甲9)と同日付けで請求人が運営するチェーン店についてフランチャイズ契約を結び,フランチャイジーである旧商標権者は,大阪府和泉市久井町に名称を「癒しの隠れ里 のらや村」とする店舗(以下,同一住所に開店していたと認められる店舗を「本件店舗」という。)の営業を開始した(甲2)。
(イ)請求人と旧商標権者のフランチャイズ契約は平成18年9月に終了したが(当事者間に争いのない事実),旧商標権者は,その後も店舗名を変えて本件店舗の営業を続けた(甲4,乙1の1)。なお,旧商標権者は,平成19年7月23日に本件店舗について大阪府に対して屋号・商号を「農家ダイニング 癒しのかくれ村」として,飲食店の営業許可を受けた(乙11の2)。
そして,「農家ダイニング 癒しのかくれ村」に係るウェブサイト上の著作権に関する表示及び新着情報の記載によれば,本件店舗は,平成22年頃には「農家ダイニング 癒しのかくれ村」の名称により営業していたのであるから(甲4),旧商標権者は,平成19年7月23日以降,早い段階で「農家ダイニング 癒しのかくれ村」の名称を使用して営業していたものと推認できる。
その後,旧商標権者は,本件店舗「農家ダイニング 癒しのかくれ村」を平成26年8月頃に閉店した(乙1の1)。
イ 本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1(使用例1)について
(ア)本件使用FAX予約用紙(乙1の2)には,右上部に店舗名と認められる「和泉の麺・飯茶屋 癒しのかくれ村」の記載及び本件店舗の住所・電話番号(FAXと共用)の記載があり,その下に,「◆御予約の特典◆」の項には,「・御予約くださった数量に応じた,かわいらしい,木製のネコのお箸置きをプレゼント! 当日,お部屋でご用意しております。今だけ限定!無くなり次第終了,ご予約は御早めに!」及び「木製箸置 ほぼ実物大」の記載とともに,猫の顔を簡潔に描いた図形(以下「猫図形」という。)が掲載されている。
そして,本件使用FAX予約用紙には,その左側には「◆御予約承り表◆」の項に予約日,名前,電話番号,住所及び人数の記載欄並びに当該予約用紙の右側には「◆御予約に当たって」の項に,「・ご予約は,左記のメニューの中より,お選びください。」,「・FAXで御予約の場合は,確認のお電話を致します」の記載があり,その下側には,注文する料理の名称・価格(税抜き価格及び税込み価格)が記載され,当該税抜き価格及び税込み価格から消費税率は5%であることが認められる。
なお,消費税率は,平成26年4月1日に,5%から8%に改正された(顕著な事実)。
本件使用FAX予約用紙には,「農家ダイニング 癒しのかくれ村」ないし「農家ダイニング」との記載は認められない。
(イ)本件使用チラシ1(乙1の4)には,その表面の左右両端に縦書きで右端側には「ようこそ和泉の麺飯茶屋」及び左端側には「癒しのかくれ村へ」の記載,また,最下部には店舗名と認められる「和泉の麺飯茶屋 癒しのかくれ村」の記載及び本件店舗の住所・電話番号の記載がある。
そして,本件使用チラシ1の裏面の左上部には「新メニュー誕生!」及び「内容は季節により変わります。」の記載,左下部には「ご予約人数分,全員に 木製箸置・ドリンクプレゼント!」の見出しの下,「弊店でのお食事をご予約してくださった方全員に,珈琲or紅茶サービス! さらに今だけ限定!ご予約当日,お食事の際にご利用いただくお箸置きを,そのままお持ち帰りいただけます。」の記載,並びに「サイズ4cm×4cm お買い求めの場合 販売価格 480円」の記載とともに,猫図形が掲載されている。
本件使用チラシ1には,「農家ダイニング 癒しのかくれ村」ないし「農家ダイニング」との記載は認められない。
ウ 本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1の頒布について
本件店舗の元従業員は,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1は,旧商標権者が経営していた「癒しの隠れ村」の平成14年5月開設時から,平成26年(2014年)8月頃に閉鎖するまで,店内に置き,来店客がいつでも持って帰れるようにしていた旨陳述した(乙1の1)。
エ 当審による審尋及び被請求人の回答
審判長は,平成29年10月24日付けの審尋をもって,被請求人に対し,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1に記載されている店舗名「和泉の麺・飯茶屋 癒しのかくれ村」につき,その名称で営業していた期間を主張立証するよう求めた。これに対し,被請求人は,平成30年1月5日付けの上申書をもって,旧商標権者は,本件店舗の名称を「農家ダイニング 癒しのかくれ村」に変更した後も,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1に記載されている店舗名を変更せずに使用していたものと思料する旨述べるにとどまり,「和泉の麺・飯茶屋 癒しのかくれ村」の名称による営業期間については,具体的に主張立証していない。
(2)判断
ア 本件店舗の名称について
旧商標権者は,請求人との間のフランチャイズ契約に基づき,平成15年7月1日に「癒しの隠れ里 のらや村」との名称により本件店舗の営業を開始したものであり,その後,平成18年9月に当該フランチャイズ契約は終了した。
そして,旧商標権者は,平成19年7月23日,屋号・商号を「農家ダイニング 癒しのかくれ村」として飲食店の営業許可を受けていることからすれば,その日以降,早い段階で当該名称を使用して本件店舗を営業していたものと推認できる(なお,当該店舗は,平成26年8月頃に閉店した。)。
イ 本件商標の使用について
本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1には,猫図形又は猫図形の立体形状を有する本件箸置きの写真の掲載とともに,店舗名と認められる「和泉の麺・飯茶屋 癒しのかくれ村」とその住所の記載があるところ,当該住所は,本件店舗の住所と同じであるが,当該店舗名は,平成19年7月頃から,閉店する平成26年8月頃まで使用された本件店舗の名称である「農家ダイニング 癒しのかくれ村」とは一致しない。
そして,旧商標権者は,上記(1)ア(イ)のとおり,請求人とのフランチャイズ契約終了後も,本件店舗の営業を続けていたこと,かつ,平成19年7月23日以降,早い段階で「農家ダイニング 癒しのかくれ村」の名称を使用して本件店舗を営業していたものと推認できること,また,上記(1)エのとおり,被請求人は,旧商標権者が「和泉の麺・飯茶屋 癒しのかくれ村」との名称を使用して本件店舗を営業していた期間を具体的に主張立証していないものの,旧商標権者は,本件店舗の名称を「農家ダイニング 癒しのかくれ村」に変更した後も,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1に記載されている店舗名を変更せずに使用していたものと思料する旨述べていることからすれば,旧商標権者が「和泉の麺・飯茶屋 癒しのかくれ村」との名称を使用して本件店舗を営業していたのは,請求人とのフランチャイズ契約終了後,「農家ダイニング 癒しのかくれ村」との名称で本件店舗の営業を開始するまでの間であったと推認するほかない。
そうすると,「和泉の麺・飯茶屋 癒しのかくれ村」の店舗名による本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1は,旧商標権者が当該店舗名で営業していた時期に作成して使用を開始し,平成19年7月頃に店舗名を「農家ダイニング 癒しのかくれ村」に変更した後も使用していた可能性が仮にあったとしても,本件要証期間の開始日(平成26年2月6日)までには実に6年以上もあったのであるから,そのような長期間にわたって,新たな店舗名に修正しないまま,これらを使用していたというのは極めて不自然であるといわざるを得ない。
また,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1には,「新メニュー誕生!」や「今だけ限定!」との記載があることからしても,これらを長期間にわたって使用していたものとは到底考え難い。
この点につき,被請求人は,平成26年8月頃に「癒しのかくれ村」が閉店するまで勤務していた元従業員による平成29年3月7日付けの陳述書(乙1の1)をもって,同店が閉店するまで,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1は,店内のレジスターの近くに置いて,来店者にいつでも持ち帰れるようにしていた旨主張する。
しかしながら,元従業員は,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1の頒布に関し,不動文字で「・・・『癒しの隠れ村』では,閉鎖するまで,添付のチラシ,FAX予約用紙を店内に置き,来店客がいつでも持って帰れるようにし,・・・。以上,間違いありません。」としか陳述しておらず,何故に,「農家ダイニング 癒しのかくれ村」とは店舗名が異なり,「新メニュー誕生!」や「今だけ限定!」との記載がある,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1を6年以上にもわたって何ら修正等せずに使用していたのか等,その陳述内容は,具体性を欠くものであるから,にわかに信用できない。
その他,本件全証拠によっても,旧商標権者が本件要証期間に,本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1を実際に頒布したこと認めるに足りる的確な証拠はない。
以上よりすると,旧商標権者が作成した「和泉の麺・飯茶屋 癒しのかくれ村」の店舗名による本件使用FAX予約用紙及び本件使用チラシ1には,猫図形又は猫図形の立体形状を有する本件箸置きの写真が掲載されるとともに,商品「箸置き」に関する情報が掲載されているとしても,これらが,本件要証期間内に本件店舗で使用していたものとは,認めることができない。
2 本件使用ウェブサイト(使用例2)及び本件オークションサイト(使用例3)について
(1)認定事実
ア 現商標権者は,「けんさんのフォト・ギャラリー」の見出しからなる本件使用ウェブサイト(乙2の1?3)において,(ア)本件小皿のサンプル画像と,その横に「商標権に基づく正規品食器・・・サイズは約12センチです。1枚300円です。」の表示,(イ)本件箸置きのサンプル画像と,その横に「商標権に基づく・・・箸置き・・・1枚300円です。」の表示,(ウ)猫図形と,その横に「は登録商標です。登録商標の無断使用は立派な犯罪です。」の表示,(エ)現商標権者のメールアドレス(乙8の2)の表示した。本件使用ウェブサイトの最終更新日は,2017(平成29年)年2月10日(乙2の3)である。
イ 現商標権者は,「yahoo.co.jp」に係る本件オークションサイト(乙3)に,平成29年1月27日から同年2月3日までを入札期間として,本件小皿の写真とともに,「開始時の価格:300円」及び「商品の説明:ねこの顔が描かれた小皿です。」の文言を掲載した(乙3,乙8の2,甲15の2)。
ウ 現商標権者が本件使用ウェブサイトないし本件オークションサイトにおいて掲載した本件小皿は,請求人に係る店舗「のらや本店」及び「のらや中環三国ヶ丘店」における箸袋の交換により入手したものであり,本件箸置きは,旧商標権者が経営する本件店舗において提供された持ち帰り可能な箸置きをストックしていたものである(被請求人の主張)。
(2)判断
ア 本件使用ウェブサイト(乙2の1)及び本件オークションサイト(乙3)には,本件小皿及び本件箸置きを販売するために,それらの写真が掲載されていることが認められるものの,現商標権者も自認しているとおり,それらの商品は,請求人に係る店舗「のらや本店」及び「のらや中環三国ヶ丘店」から入手,又は旧商標権者が経営する本件店舗から入手したものであるから,現商標権者は,そのような他人の業務に係る商品を単に転売しようとしているにすぎない。
イ 本件使用ウェブサイトには,猫図形が,登録商標である旨の表示とともに掲載されているとしても,本件使用ウェブサイトに掲載された本件小皿及び本件箸置きは,単に転売するために掲載されたものであるから,それらの商品の猫図形及び猫図形の立体形状は,現商標権者の出所識別標識として使用されたものとはいえない。
ウ 本件オークションサイト(乙3)は,本件要証期間に開始及び終了した本件小皿のオークションに関するウェブサイトであるところ,当該オークションに係る本件小皿は,上記アのとおり,現商標権者が製造,販売又は証明する商品ではなく,他人の業務の業務に係る商品を転売しようとしているにすぎないから,現商標権者が業として本件小皿に関する広告したものということができない。
(3)被請求人の主張に対し
被請求人は,本件使用ウェブサイト及び本件オークションサイトに係る本件小皿及び本件箸置きの販売について,営利を主目的としてものでないとしても,ウェブサイトによる販売も十分店舗的であって,本件小皿及び本件箸置きはいずれも食器類であって,本件審判の請求に係る商品に属することは明白であり,また,これらの図柄の表示が,自他商品の識別標識としての機能を有していることは否定できない旨主張する。
しかしながら,上記アのとおり,現商標権者による本件使用ウェブサイト及び本件オークションサイトに掲載された本件小皿及び本件箸置きは,他人の業務の係る商品であったものを,現商標権者が転売するにすぎず,本件小皿及び本件箸置きの上記猫図形及び猫図形の立体形状は,現商標権者が製造,販売又は証明する商品について使用する商標ということができない。
したがって,被請求人の上記主張は採用することができない。
(4)小括
以上のとおり,本件使用ウェブサイト及び本件オークションサイトにおける本件小皿及び本件箸置きの猫図形及び猫図形の立体形状は,現商標権者に係る商標の使用と認めることはできない。
3 「のらや中環三国ヶ丘店」及び「のらや第2阪和岸和田店」における使用について(使用例4)
(1)認定事実
ア 「のらや中環三国ヶ丘店」について
(ア)「のらや中環三国ヶ丘店」の実質的な経営者が,旧商標権者から受け取ったとする本件商標権に関する譲渡証書(乙12の1)には,本件商標の登録番号及び「上記商標権中,上記の指定商品又は役務の区分を,今般貴殿に譲渡したことに相違ありません。併せて,その移転登録申請を貴殿が単独ですることに,異議なくこれを承諾します。」の記載,及び譲渡人として旧商標権者の住所・氏名とともに印鑑証明書の印影と同一と認められる押印がある。しかし,当該譲渡証書には,日付及び譲受人の欄の住所・氏名は,記載がない。
また,当該譲渡証書に添付された印鑑証明書は,平成26年7月23日付けで大阪法務局が発行したものである(乙12の2)。
(イ)商標使用許諾書(乙12の3)は,平成28年12月1日付けで現商標権者が「のらや中環三国ヶ丘店」の実質的な経営者であった個人に宛てたものであって,当該使用許諾書には,本件商標の登録番号の記載,猫図形の掲載等がある。
イ 「のらや第2阪和岸和田店」について
「www.jalan.net」のウェブサイト(乙7)には,「のらや第2阪和岸和田店」の見出しの下,口コミの項に,平成28年10月18日の投稿として,「食器が猫の食器でとても可愛くて目でも楽しむことが出来ました。箸袋をためると食器と引き換えられるので猫好きさんにお勧めです。」の記載がある。
(2)判断
ア 「のらや中環三国ヶ丘店」における使用について
被請求人は,「のらや中環三国ヶ丘店」の実質的な経営者は,旧商標権者から宛名不記述の本件商標権に係る譲渡証書を受け取っていたのであるから,当然,当該譲渡証書には本件商標に係る通常使用権が含まれていた旨主張する。
しかしながら,当該譲渡証書には,上記(1)ア(ア)のとおり,日付及び譲受人の記載がないことから,当該譲渡証書が,譲受人に渡された時期及び実際に「のらや中環三国ヶ丘店」の実質的な経営者に宛てたものであるかは明確でない。
しかも,当該譲渡証書に添付された印鑑証明書の発行日は平成26年7月23日付けであることからすれば,それより前の同年3月30日に閉店した「のらや中環三国ヶ丘店」(乙4の1)が,当該譲渡証書により,本件商標の通常使用権者であったということはできない。
また,商標使用許諾書(乙12の3)は,現商標権者が「のらや中環三国ヶ丘店」の実質的な経営者に宛てたものであるから,当該許諾書の許諾日が平成28年12月1日であることからすれば,それより前の平成26年3月30日に閉店した「のらや中環三国ヶ丘店」において本件商標を通常使用権者として使用できるはずがないから,「のらや中環三国ヶ丘店」の開店当時,その実質的な経営者が,本件商標の通常使用権者であったということはできない。
イ 「のらや第2阪和岸和田店」における使用について
被請求人は,旧商標権者との本件商標に係る通常使用権について,「のらや第二阪和岸和田店」における使用は認識がないかもしれないが,旧商標権者が本件商標の使用を許諾し,現商標権者も使用を容認しているもので,本件商標権の通常使用権者の使用にほかならない旨主張する。
しかしながら,通常使用権は商標権者と商標使用権者の間で契約がある場合又は両者の緊密な関係があり両者が当該商標について使用許諾関係を認めている場合等,具体的な事実に基づいて認められるべきものであるところ,被請求人は,本件商標の通常使用権について,旧商標権者又は現商標権者と「のらや第二阪和岸和田店」との間において本件商標の使用許諾に関する具体的な事実があることを証明しておらず,しかも,旧商標権者及び現商標権者と「のらや第二阪和岸和田店」との間に緊密な関係があったことをうかがわせる事実もない。
したがって,「のらや第二阪和岸和田店」が,本件商標の通常使用権者であったということはできない。
また,被請求人は,本件要証期間に,「のらや第二阪和岸和田店」において,本件商標が使用された事実を示す証拠は提出していない。
(3)小括
以上よりすると,「のらや中環三国ヶ丘店」及び「のらや第2阪和岸和田店」は,いずれも,本件商標の通常使用権者であったということはできない。
4 結論
以上のとおり,被請求人は,本件要証期間に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその取消請求に係る指定商品のいずれかについて,本件商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また,被請求人は,本件審判の取消請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,結論掲記の商品についてその登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)


審理終結日 2018-03-12 
結審通知日 2018-03-15 
審決日 2018-03-29 
出願番号 商願2006-27746(T2006-27746) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y21)
最終処分 成立 
特許庁審判長 田中 亨子
特許庁審判官 田村 正明
早川 文宏
登録日 2006-10-13 
登録番号 商標登録第4994929号(T4994929) 
代理人 佐野 章吾 
代理人 寒川 潔 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ