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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20179505 審決 商標
不服201715318 審決 商標
不服201712018 審決 商標
不服2017650069 審決 商標
不服2017650068 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W44
管理番号 1340332 
審判番号 不服2017-9945 
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-05 
確定日 2018-05-09 
事件の表示 商願2016-37816拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「お客様第一主義の」の文字を標準文字で表してなり,第36類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成28年4月1日に登録出願され,その後,指定役務については,原審における同年12月20日受付の手続補正書,当審における同29年7月5日受付の手続補正書及び同年12月25日受付の手続補正書により,最終的に,第44類「介護」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は,「お客様第一主義の」の文字を標準文字で表してなるところ,これは,「お客様を第一にするという主義」ほどの意味合いを理解させる「お客様第一主義」の文字に,助詞の一つである「の」を付加したものといえ,たとえ,その後に続く体言が省略されているとしても,一般に「お客様第一主義」の文字は,宣伝,広告に広く使用されている実情にあることからすれば,これに接する取引者,需要者は,当該文字が強く印象されて,その指定役務との関係において,「お客様第一主義のもとで提供されるもの(役務)」ほどの意味合いを表したものと理解し,把握するというのが相当である。そうすると,本願商標をその指定役務に使用しても,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。

3 当審における証拠調べ
本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べを実施した結果,別掲の事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対し,意見を申し立てる機会を与えるべく,相当の期間を指定して,平成29年11月6日付けで証拠調べの結果を通知したところ,請求人は,同年12月25日に意見書を提出した。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は,前記1のとおり,「お客様第一主義の」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「お客様第一主義」の文字は,「お客様を第一(最も大切)にする主義」ほどの意味合いを理解させるものであり,また,「の」の文字は,「後に付く体言が省略され,体言に準じて使われることもある。後の体言が省略されたもの。」等の意味を有する助詞である(広辞苑第6版参照)。
そして,別掲で摘示した事実によれば,「お客様第一主義」の文字が,様々な業界において,企業の経営理念や目標等を表す標語(キャッチフレーズ,スローガン)として使用されている実情が認められる。
そうすると,本願商標は,企業の経営理念や目標等を表す標語(キャッチフレーズ,スローガン)として広く使用されている「お客様第一主義」の文字と,体言の省略ないしは代用として使用される「の」の文字からなるものであるから,これに接する需要者は,構成全体として「お客様を第一(最も大切)にする主義に基づき提供されるもの(役務等)」ほどの意味合いを表したものとして理解するというべきである。
してみれば,本願商標をその指定役務について使用すると,これに接した需要者は,当該役務の提供者の経営理念等をうたった標語の一種として認識,理解するにとどまるものである。また,本願商標は標準文字で表してなるから,その態様上顕著な特徴は認められない。そうすると,本願商標は,役務の出所識別標識としては機能しないというのが相当である。
したがって,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから,商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「お客様第一主義」の文字が,「お客様を第一にする主義」ほどの意味合いを想起させるとしても,本願商標は「お客様第一主義の」という構成からなるから,かかる意味合いを容易に理解することはできない旨主張する。
しかしながら,本願商標から想起される意味合い及び別掲で摘示した事実からすれば,本願商標をその指定役務に使用した場合,これに接する需要者は,その構成全体として,「お客様を第一(最も大切)にする主義に基づき提供されるもの(役務等)」ほどの意味合いを表す,当該役務の提供者の経営理念等をうたった標語の一種として認識,理解するものであるといえることは,上記(1)で述べたとおりである。
イ 請求人は,本願商標の指定役務を,別掲で示されていない「介護」の役務に補正したから,本願商標に係る拒絶の理由は解消した旨主張する。
しかしながら,別掲で摘示した事実からすれば,「お客様第一主義」の文字を,役務の様々な業界において,企業の経営理念や目標等を表す標語(キャッチフレーズ,スローガン)として使用しているのであるから,「介護」の役務の業界においても同様に,これに接する需要者に企業の経営理念や目標等を表す標語(キャッチフレーズ,スローガン)として認識されるものというのが相当である。そうすると,当該文字に助詞「の」を付加してなる本願商標は,これをその指定役務について使用しても,上記と同様に,これに接する需要者により,企業の経営理念等を表す標語として認識されるものというのが相当である。
ウ したがって,請求人の主張は,いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(証拠調べ通知書で通知した事実)
1 書籍類
(1)株式会社PHP研究所「衆知」2017.7-8(2017年6月27日発行)
「『茶畑から茶殻まで』 お客様第一主義 伊藤園のCSRモデルとは」と題する記事中,「社是の『お客様第一主義』にCSRのDNA」の項に,「創業以来,『お客様第一主義』を経営理念とし」(66頁)との記載がある。
(2)株式会社財界研究所「財界」第65巻第10号(平成29年5月9日発行)
「第2回変化に対応する経営 経営理念『お客様第一主義』に徹しながら時代のニーズに対応していく」と題する記事(48頁)中,「事業の本質を言い当てる経営理念『お客様第一主義』」の項に,「伊藤園の経営理念の元をたどると『お客様第一主義』にある。」(50頁),「顧客,社員,株主,取引先,地域社会と企業に関係するステークホルダー(利害関係者)のことを念頭に経営を行っていくことが肝腎ということだが,これは伊藤園の『お客様第一主義』と全く同じ趣旨,意味である。」(51頁)との記載がある。
(3)株式会社近代セールス社「近代セールス」2010年8月1日号(平成22年8月1日発行)
「徹底解明!勝ち組企業の『経営力』第8回ドン・キホーテ」を主題とし,「売場担当者に権限委譲を図り お客様第一主義を徹底」を副題とする記事(80頁)中,「4.勝ち組企業の特筆すべき点」の項に,「営業コンセプトに『お客様第一主義』を掲げ,社員一人ひとりが消費者志向の考えを持ち,生産者志向の視点ではなく,消費者志向による品揃え,売場作りが行われている。」(82頁)との記載がある。
(4)株式会社月刊経済社「月刊経済」5月号(2001年5月1日発行)
「お客様第一主義で“新たなお客様サービス”の道を切り拓いていきます」と題する記事(30頁)中,「独自商品の開発に全力」の項に,「当社の第一モットーである『お客様第一主義』をさらに実現するために,“新たなお客様サービス”の道を切り拓いていこうと決意しています。」(33頁)との記載がある。
(5)日本水道新聞社「水道公論」第52巻第5号(平成28年5月1日発行)
インタビュー記事中,冒頭文に,「一般社団法人日本水道工業団体連合会(水団連)・・・の会長に一昨年就任した,木股昌俊氏。お客様第一主義を標榜し,『組織内とお客さまとがコミュニケーションしながらお互いにスパイラルアップできる組織をめざしたい』と話す。」(20頁)との記載,並びに,「水でも環境でも仕事という意味では,基本的に『お客様第一主義』と『現場重視』の姿勢が大事だと考えています。」(22頁)との記載がある。
(6)株式会社JMAM人材教育「人材教育」2007年4月号(2007年4月1日発行)
「特集 お客様第一主義?CS経営と人づくり?」と題する記事の冒頭文に,「改めて述べるまでもなく,『お客様第一主義』『お客様満足』は,企業にとって非常に重要な考え方である。そして,ほとんどの企業が,企業理念やビジョン,ミッションの中で,それに類する文言を掲げている。(中略)お客様第一主義とは組織を貫く理念であり,全社員が共有する文化である。」(13頁)との記載,並びに,「『お客様第一主義』の実現に向けて教育の果たす役割とは何か?」と題する記事の冒頭文に,「『お客様第一主義は企業にとって当然の姿勢。お客様の支持を得なければ企業は立ち行かない』 経営トップがこのような発言をするのは当たり前といってもいいほど,現在では『お客様第一主義』は浸透した考え方となった。お客様第一主義に関する小冊子をつくって全従業員に配布し,携帯させるという企業も多い。」(14頁)との記載がある。
(7)プレジデント社「お客様第一主義」(谷口正和著,1991年6月30日発行)
「はじめに」に,「この『お客様第一主義』は,『お客様を大事にしよう』という掛け声として何回も繰り返され,多くの企業の社是になり,営業指針になってきた。」(8頁)との記載がある。

2 インターネット
(1)TAYAのウェブサイト
「TAYAは年齢別,性別,国籍別問わず,全ての人にオールマイティーな技術とサービスを提供するお客様第一主義のヘアサロンです。」との記載がある。
http://tayanet.jp/
(2)三重美容院のウェブサイト
「企業理念」の項に,「4 私達は,お客様の満足によって支えられていることを自覚し,お客様第一主義をもって心の通う経営を目指します。」との記載がある。
http://www.cutin-group.jp/recruit/index.html
(3)ヘアーサロントニーのウェブサイト
「代表挨拶」の項に,「ヘアーサロンTONYは,昭和31年の創業以来,『お客様第一主義』を理念に掲げ,半世紀にわたって理容業を営んで参りました。」との記載がある。
http://www.tonyhair.jp/about.html
(4)有限会社ビービーエススズキのウェブサイト
「代表取締役社長 鈴木心一のご挨拶」の項に,「『お客様第一主義』の心を忘れず経営を行ってこられた事にも感謝申し上げます。」との記載がある。
http://www.bbs-co.com/company.html
(5)よろづや観光株式会社のウェブサイト
「経営理念」の項に,「お客様第一主義の徹底」との記載がある。
http://yorozuyakanko.jp/
http://rurikoh.jp/spa/(立ち寄り湯)
(6)八幡屋のウェブサイト
「人の和。『お客さま第一主義』『社員第一主義』それが原点です。」及び「すべてはお客様の『幸』のために。その『お客様第一主義』を,私たちは今に伝え,大切に守り育てています。」との記載がある。
http://www.yahataya.co.jp/recruit/service/index.html
http://www.yahataya.co.jp/stay/plan/plan_new_fullYears.html(日帰り温泉プラン)
(7)庭クイックのウェブサイト
「ズバリ!! 他社とここが違う!」の項に,「スピード・笑顔・お客様第一主義のスタッフ!」との記載がある。
http://www.niwa919.com/reasons/landscapegardening.php?grid=ft#speed
(8)石神造園のウェブサイト
「納得の空間を提供」の項に,「お客様第一主義。誠実かつ堅実。ベストを尽くします。」との記載がある。
http://ishigami-zoen.jp/
(9)株式会社東療のウェブサイト
「東療グループコンセプト」の項に,「お客様第一主義の精神。」及び「お客様第一主義でサービスを提供し続けます。」との記載がある。
http://www.touryo.jp/business/index.html
(10)もみ処癒し屋のウェブサイト
「社長挨拶」の項に,「私たちは『お客様第一主義』をモットーに最高の癒しを提供し,お客様の笑顔,そしてお客様からの『ありがとう。』という魔法の言葉により,日々癒されています。」との記載がある。
http://www.momidokoro.jp/company1.html
(11)ペットシッタースムーチのウェブサイト
「当店は『お客様第一主義』のペットシッターです。(中略)ご都合やご要望に対して,極力臨機応変にご希望に即したサービスを心がけております。」との記載がある。
http://www.smooch-pet.com/funabashi/
(12)MY DOGトリマサ世田谷店のウェブサイト
「昭和35年創業の老舗トリミングサロン」の項に,「お客様第一主義の地域密着型サロンを目指します。」との記載がある。
http://dog-beauty.jp/salon/?shop_id=2296
(13)anidocのウェブサイト
「MIND 企業理念」のページ中,「アニドックを支える4つのスタイル」の項に,「全ては,元気で長生きするペットのために,“自分たちは”ではなく“お客様第一主義”の視点で正しい考え方を導く魔法の手法です。」との記載がある。
http://anidoc.co.jp/mind/
(14)有限会社ケア・ステーションのウェブサイト
「経営理念」ページ中,「私たちは,お客様第一主義に徹し,10ヵ条を実行します。」との記載がある。
http://kaigostation.co.jp/philosophy.html
(15)ぽっかぽかグループのウェブサイト
「理念・ビジョン」のページ中,「グループ基本方針」の「2.利用者様第一主義」の項に,「私たちは『お客様第一主義』『お客様絶対主義』を貫きます。」との記載がある。
http://www.pokkapoka.co.jp/company/policy.html
(16)グリーンポケットのウェブサイト
「経営方針:お客様第一主義・社会貢献・人間信頼」との記載がある。
http://www.green-funabashi.com/rental/
(17)株式会社原商のウェブサイト
「会社案内」のページ中,「ごあいさつ」の項に,「今後,私どもは『お客様第一主義』をモットーに技術力の向上,レンタル商品の高品質管理,新商品のご提供そして社員の資質向上を目指し皆様から信頼され,ご満足頂けるよう鋭意努力してまいります。」との記載がある。
http://www.harasho.co.jp/office.html
(18)ベストメディカルサービス株式会社のウェブサイト
「経営理念」のページ中,「3.お客様第一主義」の項に,「常にお客様を第一に考え,優れた技術・サービスで眼鏡・コンタクトレンズを提供するとともに,お買得価格で便利に購入・利用していただき,地域社会に貢献します。」との記載がある。
http://www.bms1.jp/corp/vision.html
(19)伊藤園のウェブサイト
「お客さま相談室」のページ中,「お客様満足のための基本方針」項に,「株式会社伊藤園は,国際規格ISO10002への適合を自己宣言いたしました。これからもお客様の声を積極的に企業経営に活かし,経営理念である『お客様第一主義』を徹底して実践してまいります。」との記載,並びに,「基本理念」の項に,「伊藤園は『お客様第一主義』という基本理念を実現するため,市場調査(お客様を知ること),商品化計画(お客様に添うこと),販売(お客様にサービスすること),販売促進(お客様をひきつけること),広告宣伝(お客様に知らせること)という5つのマーケティング機能に基づき,安心・安全な商品,サービス,情報の提供を行ってまいります。また,お客様の声を積極的に企業経営に反映させてまいります。」との記載がある。
https://www.itoen.co.jp/customer/guide/
(20)オオゼキのウェブサイト
「オオゼキのこと」の項に,「オオゼキは創業者の想いを受け継ぎ,常に『お客様のため』に考え,商いをしてきました。」との記載,並びに,「オオゼキは,創業者佐藤達雄のこの言葉から始まりました。」との記載の下部の表中に「“商いが好きで”ここから生まれた2つの経営理念」として「お客様第一主義」との記載がある。
http://www.ozeki-net.co.jp/about/



審理終結日 2018-03-07 
結審通知日 2018-03-12 
審決日 2018-03-28 
出願番号 商願2016-37816(T2016-37816) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W44)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安達 輝幸 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 冨澤 武志
大森 友子
商標の称呼 オキャクサマダイイチシュギノ、オキャクサマダイイチシュギ 
代理人 佐藤 富徳 

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