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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X30
管理番号 1340328 
審判番号 取消2016-300401 
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-06-09 
確定日 2018-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第0761816号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第0761816号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「Panda」の欧文字を書してなり、昭和41年2月22日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同42年11月10日に設定登録され、その後、平成20年5月21日に、第30類「菓子,パン」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成28年6月23日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である、同25年6月23日から同28年6月22日までの期間を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、審判事件弁駁書、口頭審理陳述要領書、平成29年7月21日付け上申書において、その理由を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品の第30類「菓子,パン」につき使用されていないものである。
2 弁駁の理由
(1)商標権の使用許諾について(乙1、乙2)
被請求人は、通常使用権許諾確認書(乙1、乙2)を提出して、江崎グリコ株式会社(以下「江崎グリコ」という。)に、本件商標の使用を許諾したと主張する。
しかしながら、同確認書は、使用許諾契約書そのものではないことは明らかである。
同確認書には、「山崎製パン株式会社は江崎グリコと平成23年4月27日に通常使用権を締結したこと、」と述べるが、それが事実であれば、その使用許諾契約書それ自体が提出されるべきである。
(2)商品カタログについて(乙3?乙5)
乙第3号証ないし乙第5号証のカタログは、すべて、本件商標の通常使用権者と称される江崎グリコの商品カタログと解される。
しかしながら、このような商品の広告は、要証期間内に、実際に展示、頒布等されて、そこに掲載された商標が使用されたものとなる(商標法第2条第1項第8号)が、本書証については、何ら、要証期間内での頒布等の事実は立証されておらず、したがって、これらの書証では、本件商標の要証期間内の使用は立証されていない。
(3)ウェブサイトからの抽出記事について(乙6、乙7)
乙第6号証及び乙第7号証の作成日は、すべて、2016年6月27日付けとなっており、これは、要証期間外のものである。
(4)商品の包装箱(写し)(乙8)について
乙第8号証のみでは、当該包装箱が、本件商標の要証期間内に頒布等使用された事実を何ら立証するものではない。
(5)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性
乙第3号証ないし乙第5号証のカタログの中で、江崎グリコは、その使用商標について、「ポッキー<パンダ>」、「(略称)42G ポッキーパンダ」、「ジャイアントカプリコ<パンダ>」、「(略称)1ホン カプリコパンダ」と明記している。
このような使用者自らの記載からも、取引者、需要者は、その使用商標は、「ジャイアントカプリコパンダ」、「カプリコパンダ」、「ポッキーパンダ」の一体の商標と認識すると解するのが合理的であり、本件商標の「Panda」の言葉そのものが、その使用者の商標(自他商品識別標識)として使用されたものとは評価できない。
なお、上記判断手法は、たとえば、平成28年3月24日知財高裁(平27(行ケ)10203号)の判決も是認するところである。
3 口頭審理陳述要領書
(1)被請求人による「暫定的見解」に関する説明について
ア 乙第6号証及び乙第7号証についての意見
被請求人は、乙第6号証及び乙第7号証のウェブサイトは、平成28年(2016年)6月27日に作成されたものであるが、商標権者と使用権者の使用許諾期間は、平成23年(2011年)8月30日から平成28年(2016年)2月29日であり、かつ、商品販売終了後に新たに広告用のウェブサイトを開設することはありえないから、かかるサイトは少なくとも販売期間内、若しくは、販売終了時の平成28年2月29日より以前からネット上に掲載されていたことは推測できると主張する。
しかしながら、仮に上記使用許諾の事実があったと仮定しても、乙第6号証及び乙第7号証のウェブサイトは、その使用許諾期間満了日からすでに約4ヶ月も経過したものであり、少なくともこの4ヶ月間に渡る本件商標の使用は、商標法上の使用権者による使用には該当せず、ただ、商標権者の黙認による使用となる。もし使用許諾契約が正しくなされているならば、そもそも、使用許諾期間経過後4ヶ月間もその使用を原商標権者が容認し続けることなど考えられない。いい換えれば、元々商標権者と使用権者には、本件商標権についての使用許諾契約は存在せず、ただ、その使用を黙認していただけと解することもできる。
加えて、乙第6号証及び乙第7号証のウェブサイトの内容は、「POCKY/Panda」、「ポッキーパンダ」、<クッキー&クリーム>「ポッキーがパンダになった!?」、「価格¥994円(2016/8/02 11:02時点)の記載もあり、正に、本件要証期間経過後の2016年8月2日時点での同商品の販売を広告するものであることは明らかである。このような広告が、到底、上記使用許諾期間から遡って存在していたなどと類推できるものではなく、同ウェブサイトは、上記記載のとおり、使用許諾期間経過後、また、要証期間経過後の2016年8月2日に作成されたものと考えるのが合理的である。
上記の乙第6号証のウェブサイトの例を鑑みても、広告期日の不明な乙第7号証のウェブサイトが、使用許諾契約確認書に示された「実際の使用期間:平成25年3月12日から平成27年8月31日」に存在していたと推認できる何らの具体的理由はない。
イ 乙第8号証についての意見
被請求人は、乙第8号証に示される商品の包装箱に表示されている「賞味期限 2014.7」は2014年7月が賞味期限であることを表しており、「年月」の表示であるから、賞味期限が3ヶ月を超えるものであると主張する。また、当該商品の賞味期限は12ヶ月であるので、当該商品は12ヶ月前の2013年(平成25年)8月に製造販売がされたものであると主張する。
しかしながら、「賞味期限2014.7」の表示が、「賞味期限が2014年7月迄」であることを意味するとしても、当該商品の賞味期間が12ヶ月であることを示す証拠は何ら提出されていない。よって、当該商品が12ヶ月前の2013年(平成25年)8月に製造販売がされた事実は何ら立証されていない。また、仮に当該商品が2013年(平成25年)8月に「製造」されていたとしても、そのことをもって、当該商品が要証期間内に「販売」されたことにはならない。
ウ 補充された証拠について
(ア)乙第9号証及び乙第10号証について
乙第9号証及び乙第10号証は江崎グリコのウェブサイトの写しとのことである。
しかしながら、これらの書証の作成日は、被請求人が平成29年6月2日付けで提出した証拠説明書によると、要証期間外の平成29年5月10日であり、これらの書証は本件商標の使用の事実を何ら立証するものではない。
(イ)乙第11号証について
被請求人は、乙第11号証は、乙第6号証のウェブサイトの写しの2頁以下である旨主張する。
しかしながら、被請求人が平成28年8月22日付け及び平成29年6月2日付けで提出した証拠説明書からも明らかなとおり、乙第6号証は江崎グリコのウェブサイトであるのに対し、乙第11号証はおためし新商品ナビのウェブサイトである。
よって、乙第11号証は、乙第6号証の2頁以下であるとは認識できない。更に、乙第11号証の作成日は要証期間外の平成28年8月2日であり、当該書証は、本件商標の要証期間内の使用を立証するものではない。また、当該書証に記載されている「2015年1月15日」の日付は、おためし新商品ナビのウェブサイトの記事が記載された日と推測できるが、このことをもって、本件商標が要証期間内に使用された事実を立証することにはならない。
(ウ)乙第12号証ないし乙第17号証について
乙第12号証、乙第14号証及び乙第17号証は作成日が平成29年5月11日、乙第13号証は作成日が平成29年5月10日、乙第15号証は作成日が平成29年5月9日、乙第16号証は作成日が平成29年5月12日とのことであり、これらの書証の作成日はすべて要証期間外である。
(2)被請求人による請求人の弁駁書に対する反論について
ア 被請求人は、「本件に係る商標使用許諾契約書は存在するが、これを提出しなかった理由は、江崎グリコからかかる契約書に記載されている対価、その他の条件などの契約上のノウハウ等を含めた内容を公表することを好まないとの要請があり、また、本件不使用取消審判事件のような場合に、同人で従来から用いられている形式に従い乙第1号証及び乙第2号証の『通常使用権許諾確認書』を作成し提出したまでのものである。」、「使用商標は、いずれも江崎グリコに設定された通常使用権に基づいて正当に使用されたものである。」と主張する。
すなわち、上述のとおり、被請求人が自ら認めるとおり、乙第1号証及び乙第2号証の「通常使用権許諾確認書」は、不使用取消審判が請求された後に、後付けの書類として、不使用取消審判に対抗するため、作成され、提出されているものである。本件商標がその要証期間内に使用許諾が実際になされていた事実を立証するものではない。そもそも、正しく使用許諾がなされているのであれば、わざわざ使用許諾の事実を確認するというような行為は、本来必要のない行為である。
また、対価、その他の条件などの契約上のノウハウ等を含めた内容を公表することを好まないとのことであれば、その部分をマスクした使用許諾契約書が提出されればよく、正しく、この要証期間内に、本件商標について、その指定商品についての使用を、本件被請求人の商標権者が当該使用権者に許諾しているという事実が確認できれば、使用権者による使用と認められ得るものであり、対価やノウハウの開示は何ら必要とはならない。それにもかかわらず、使用許諾契約書自体を提出しないのは、それが存在しないことを推認させるものである。
イ 乙第3号証ないし乙第5号証の商品カタログについて
被請求人は、菓子業界の取引の実際では、春、夏向けの商品に関しては商品カタログを2月までに、秋、冬向けの商品については遅くとも8月までにそれぞれ取引先に配布して受注するものであるから、乙第3号証は平成26年2月、乙第4号証は平成27年2月、乙第5号証は平成27年8月には、遅くとも全国的に配布されていた旨主張する。
しかしながら、被請求人の主張する菓子業界の取引の実際を示す証拠は一切提出されていない。したがって、被請求人が自己の都合のいいように菓子業界の取引の実情を創り出している可能性は否定できず、そのような取引の実情があるかは不明であり、これらの書証で示されるカタログが全国的に配布されていた事実も不明である。
4 平成29年7月21日付け上申書
(1)乙第18号証ないし乙第20号証
乙第18号証ないし乙第20号証は、江崎グリコのマーケティング本部チョコレートマーケティング部マネージャーのA氏の証明書とみうるものであり、同氏が、そこに添付された商品パッケージの商品の2011年度から2015年度の販売期間及び販売金額を陳述したものである。
しかしながら、この書証は、何らの客観的裏付けを伴わない同マネージャーの主観的証拠である。特に、ここには「※インテージ SRI チョコレート市場 2011?2015年 推計販売規模」の記載があるが、この記載の意味は必ずしも明らかではないが、上記販売金額は、何らかの「推計」とも理解できる。
(2)乙第21号証
すでに明らかなとおり、乙第6号証には、2016年6月27日の記載があり、これは要証期間外のものである。また、乙第7号証には、2016年7月29日の記載があり、これもまた、要証期間外のものであることは明らかである。
これについて、乙第21号証は、上述のとおり、被請求人の利害関係人と解される江崎グリコのマーケティング本部チョコレートマーケティング部マネージャーのA氏の証明書であり、ここで、同氏は、乙第6号証のページが、平成23年8月から平成28年2月までの4年と半年にわたりそのまま掲載されていたと主張する。また、乙第7号証のページが、平成25年3月から平成27年8月までの2年5ヶ月にわたりそのまま掲載されていたと主張するが、これも何らの客観性を有しない利害関係人の主観的主張というほかない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、審判事件答弁書、口頭審理陳述要領書及び上申書(平成28年11月24日付け、平成29年6月2日付け、平成29年6月23日付け、平成29年6月30日付け、平成29年8月4日付け、平成29年8月18日付け)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第37号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標の使用の事実
ア 被請求人は、平成23年(2011年)4月27日に、本件商標に係る商標権に基づいて、江崎グリコに同人の著名商標「ポッキー」のもとに長年にわたって製造販売されているヒット商品「プレッツェルの加工品」に通常使用権を許諾し、同人は、平成23年(2011年)8月30日から同28年(2016年)2月末まで、本件商標を当該商品に使用をしている(乙1、乙3?乙6、乙8)。
イ さらに、被請求人は、以上の通常使用権とは別に、平成24年(2012年)10月22日に、本件商標に係る商標権に基づいて、江崎グリコに同人の著名商標「GIANT Caplico」のもとで製造販売されている商品「チョコレート」に通常使用権を許諾し、同人は平成25年(2013年)3月12日から同27年(2015年)8月末日まで、本件商標を商品「チョコレート(コーンカップを用いたクッキーとミルク味のチョコレート)」に使用をしている(乙2?乙4、乙7)。
2 口頭審理陳述要領書
(1)乙第6号証のウェブサイトの広告記事の掲載日が不明であるので要証期間に広告されたものであるとはいえないとの点について
乙第6号証のウェブサイトは、平成28年6月27日作成されたものである。
一方、乙第1号証の通常使用権許諾確認書によると「ポッキー<パンダ>」は「実際の使用期間:平成23年8月30日から平成28年2月29日」であるから、すでに「ポッキー<パンダ>」商品の販売が終了していたにもかかわらず、当該ウェブサイトは消去されずにいたものといえるが、商品の販売中止後に新たに広告用のウェブサイトを開設することはありえないから、かかるサイトは少なくとも販売期限内、若しくは販売終了時の平成28年2月29日より以前からネット上に掲載されていたことは推測できる。
したがって、乙第6号証のウェブサイトに日付が記載されていなくとも、要証期間内に掲載されていたと推測できるから、本件商標の使用、すなわち本件商標の広告としての使用の証明については証拠価値が認められるはずである。
(2)乙7号証のウェブサイトの広告記事の掲載日が不明であり、その商品も明確でないので要証期間に広告されたものであるとはいえないとの点について
ア 先の乙第6証の場合と同様に、乙第2号証の通常使用権許諾確認書によると「GIANT Caplico<Panda>」は「実際の使用期間:平成25年3月12日から平成27年8月31日」とあるので、すでに「GIANT Caplico<Panda>」商品の販売が終了していたにもかかわらず、当該ウェブサイトは消去されずにいたものといえるが、商品の販売中止後に新たに広告用のウェブサイトを開設することはありえないから、かかるサイトは少なくとも販売終了時の平成27年8月31日より以前からネット上に掲載されていたことは推測できる。
したがって、乙第7号証のウェブサイトに日付が記載されていなくとも、要証期間内に掲載されていたと推測できるから、本件商標の使用の証明については証拠価値が認められるはずである。
イ 乙第7号証における商品が不明との点について
乙第7号証の1頁目の上のところで「ジャイアントカプリコとは?」として「サクサク食感コーンに/苺のふわふわ/エアインチョコがたっぷり/なのであーる!!」と説明書きがあり、またこれと併せて2頁目の「GIANT/Caplico/Panda」の商品の写真、その下の「フワフワホワイトチョコとココアクッキーのハーモニーにカプりつこう」の説明書きとから、「GIANT/Caplico/Panda」商品が「コーンに入ったクッキーとミルク味の白いチョコレート」であることが認識できる。
なお、「ジャイアントカプリコ」の「Panda パンダ」にはこの乙第7号証や乙第4号証等の青地のものと、乙第3号証、乙第10号証等の白地の商品があるが、乙第10号証の2頁目の説明書きのとおり、白地のものも「ミルク風味のホワイトチョコにココアクッキークランチを練り込み、トッピングし」たもので両包装による「GIANT/Caplico/Panda」商品の内容は同じである。
(3)乙第8号証の商品包装箱における「賞味期限」について
食品の期限表示(賞味期限・消費期限)については、平成15年(2003年)に食品衛生法とJAS法の統一を図り、品質保持期限を賞味期限に統一し、3ヶ月を超えるものは年月で表示し、3ヶ月以内のものは年月日を表示することとし、賞味期限を年月で表示する場合は、製造ロット番号(製品の製造時の生産単位ごとにつけられる番号であり、いつ、どの工場のどの生産ラインで生産されたものかなどを追跡するために使用される)を表示する等により、製造を特定できるような措置を講ずることとなっている。
したがって、「賞味期限2014.7」は2014年7月が賞味期限であることを表しており、ここでは「年月」の表示であるから、賞味期限が3ヶ月を超えるものであること、また、乙第8号証の「Glico/Pocky/Panda R(マル)」の賞味期限は12ヶ月とされている(乙3?乙5の商品カタログの「ポッキー<パンダ>」をはじめとした「ポッキー」商品の賞味期限は12ヶ月とされている)ので、かかる商品は12ヶ月前、すなわち2013年(平成25年)8月に製造販売がされたものである。
なお、「賞味期限2014.7」の後の「QKQ1B」は製造ロット番号である。
(4)「使用」の内容について
乙第1号証及び乙第2号証の「通常使用権許諾確認書」の「1.通常使用権の範囲」における「実際の使用期間:平成23年8月30日から平成28年2月29日」(乙1)及び「実際の使用期間:平成25年3月12日から平成27年8月31日」(乙2)は、それぞれの通常使用権の許諾期間内に商品の企画、製造及び商品カタログ等の広告を経た上で、実際に商品の包装に本件商標を付してそれぞれの商品の販売(譲渡し、又は引き渡し)を行った期間である(商標法第2条第3項第1号、同項第2号)。
また、商品カタログの配布及びインターネット上のウェブサイトによる本件商標及び商品の紹介は、商品の広告による本件商標の使用である(商標法第2条第3項第8号)。
(5)本件商標の使用事実に関する証拠の補充
本件商標に係る商品が要証期間内に販売がされ、これによって本件商標が使用されていた事実をより明らかにするために、要証期間内に掲載された「Pocky/Panda」及び「GIANT/Caplico/Panda」に関するインターネットのウェブサイトの写しを追加して提出した(乙9?乙17)。
すなわち、江崎グリコは、自己のウェブサイトにおいて「ポッキー」商品の中の「Panda」(乙9)及び「ジャイアントカプリコ」の中の「Panda」(乙10)を紹介しており、これらにより本件商標「Panda」の広告がなされている。
また、乙第6号証として提出したウェブサイトの写しの2頁以下を分離して乙第11号証として新たに提出し、さらに一般の需要者のブログ(乙12、乙13、乙16)及びポータルサイト(乙15、乙17)により、要証期間に需要者が「Pocky/Panda」商品、「GIANT/Caplico/Panda」商品を購入し、商品の感想を述べていることから、要証期間にこれらの商品が販売されている事実を証明する。
通販業者のウェブサイト(乙14)によっても同様に当該商品の販売の事実を証明する。
(6)請求人の弁駁に関する反論
ア 乙第1号証及び乙第2号証の「通常使用権許諾確認書」について
本件商標に係る商標使用許諾契約書は存在するが、これを提出しなかった理由は、江崎グリコからかかる契約書に記載されている対価、その他の条件などの契約上のノウハウ等を含めた内容を公表することを好まないとの要請があり、また本件不使用取消審判事件のような場合に、同人で従来から用いられている形式に従い乙第1号証及び乙第2号証の「通常使用権許諾確認書」を作成し提出したまでのものである。
なお、請求人は、かかる「通常使用権許諾確認書」が代表取締役などの代表者によって作成されなければ有効ではない旨の主張をする。
しかしながら、当該確認書に記名捺印をした両社の各法務部長は両社から委任を受けた使用人の正当な権限のもとに当該確認書を作成したものであり、当該確認書の成立及び記載事項、内容は真実のものであり有効である。
なお、付言すると、江崎グリコは、本件商標の「Panda」及び「パンダ」の使用に際しては、一般に登録商標であることを表すことが認知されている「R(マル)」を付したり、「<>」で囲ったりして「Pocky」、「GIANT/Caplico」とは別個の独立した商標であることを示すように配慮をしているのであるから、このような実際の使用態様をみれば、江崎グリコが被請求人所有の本件商標にかかる商標権とは関わりなく、いわば勝手にこれらを使用していたなどといえるはずがない。
使用商標は、いずれも江崎グリコに設定された通常使用権に基づいて正当に使用されたものである。
イ 商品カタログの配布時期について
商品カタログ(乙3?乙5)の配布時期が明確でないとの請求人の主張については、一般の取引の実際、特に菓子業界の取引の実際では、春、夏向けの商品に関しては商品カタログを2月までに問屋、商社、小売店等の取引先に配布を、秋、冬向けの商品については遅くとも8月までにはそれぞれの取引先に配布して受注をするものであるから、「2014 Spring&Summer」(乙3)では2014年(平成26年)2月には遅くとも取引先に配布されるものであり、「2015 Spring&Summer」(乙4)では2015年(平成27年)2月、「2015 Autumn&Winter」(乙5)では、2015年(平成27年)8月までには、これらは全国的に配布されているものである。
したがって、かかる取引の実際からするとあえて商品カタログの配布についてまで立証するまでもない。
ウ 本件商標と使用商品と社会通念上の同一性について
本件商標はローマ文字の「Panda」であるところ、請求人は使用者(江崎グリコ)自らの(商品カタログ等)の記載からも、取引者、需要者は、その使用商標は「ジャイアントカプリコパンダ」、「カプリコパンダ」、「ポッキーパンダ」の一体の商標と認識するのが合理的であり、本件商標「Panda」の言葉そのものが、使用者の商標として使用されていたものとは評価できないとされ、平成28年3月24日知財高裁(行ケ)10203号)を引用する。
しかしながら、「GIANT/Caplico」は、各種の原材料を用いた新企画商品を順次発売をするシリーズものの人気商品であり、「ポッキー」にあってもチョコレート、アーモンドなどの原材料やジャイアントのような大きな(長い)もの、リトルの通常より短いもの、柔らかいソフトなものなど、それぞれの名称(商標)のもとに長年にわたって、また国内のみならず世界各国において長く広く各種の商品がシリーズものとして製造販売がされている江崎グリコを代表する商品となっている。
商品カタログ(乙3?乙5)及びウェブサイト(乙7、乙9、乙10)等において複数種類の「ポッキー」、「ジャイアントカプリコ」が掲載されており、また、例えばインターネットにおいても、これら両商品の内容が詳述されているなど、参考となるところである。
このような両商品群の中で、パンダを包装の図柄として採用をして本件商標を採用使用することとなり、また、被請求人から使用許諾を得た上での使用であることから使用の際の条件として登録商標を表すものとして「R(マル)」をそれぞれ付し、「パンダ」を「<>」で挟むこと、さらに商品の包装にはいわゆるメインの商標である「Pocky」、「GIANT/Caplico」とは段を違え、その下に小さく、しかも独立した別の書体を用いて表示をし、「Pocky」、「GIANT/Caplico」商品のシリーズもののなかの一商品を表す独立の商標「パンダ」、「Panda」として使用がされているものである。これらの配慮はウェブサイト、商品カタログなどすべてに行われている(乙3?乙7、乙9、乙10)。
また、乙第8号証の包装においても「Pocky」の下に小さく「Panda」を表し、この「Panda」だけにその向かって右に「R(マル)」を付し、更に包装箱の底面と両側面では小さな「グリコ」の下にこれよりも大きな文字で、しかも「ポッキー」と間隔をあけて「パンダ」に「R(マル)」を付して表示をして、「Panda」、「パンダ」が独立した登録商標であることを強調するように表して用いられている。
したがって、需要者は、それぞれ「グリコポッキー」商品、「グリコジャイアントカプリコ」商品の一商品である「Panda」若しくは「パンダ」と認識するものであり、いずれの使用商標も本件商標の同一性の範囲内にあり、本件商標の使用といえる。
なお、請求人が引用した判決例は、登録商標が横五段表記及び横二段表記の中の一段に表示されている構成であるが、若干の書体の相違があっても特に横二段表記の商標では全体としてまとまりよく併記され、いずれかが顕著に際立っているということはできない上に、登録商標の使用者が自ら全体を一連一体のものして表記して用いるなど、社会通念上同一性が否定されたものである。
本件商標の場合とは、その取引の実情、登録商標の表示の仕方、取り扱い方法など事情を異にしているのであるから、かかる判決例を参考にするまでもない。
3 上申書(平成29年8月4日付け)
(1)通常使用権設定契約書
本件商標に係る商標権に基づいて平成23年4月27日及び同24年10月22日に被請求人と江崎グリコとの間で締結された商標使用許諾契約書の写し(乙22、乙23)を提出する。
これにより、先に提出した通常使用権許諾確認書(乙1、乙2)のとおり、江崎グリコが通常使用権者として正当な権限のもとに本件商標を商品「プレッツェルの加工品」及び「チョコレート」に使用していた事実を証明する。
なお、これら商標使用許諾契約書の記名、捺印者は、両当事者の法務部長であるが、この点については請求人は口頭審理において、代表取締役ではなくても、法務部長であっても契約は成立し、有効であることは認めているのでこの点については争いはない。
(2)乙第3号証ないし乙第5号証の商品カタログの頒布について
この点については、すでに通常使用権者である江崎グリコのマーケティング本部チョコレートマーケティング部カテゴリーマネージャーA氏の陳述書(乙20)により配布時期と取引先への配布が明らかにされているが、より詳細な陳述書(乙24)を提出する。これによれば、これらの頒布先は主として菓子問屋、商社、小売事業者(コンビニエンスストアー事業者、スーパーマーケット事業者、飲食料品を含む総合商品小売業者等)及び小売店とされ、配布される部数は20,000部以上であり、凸版印刷株式会社より印刷、作成されていることが証明されている。
また、被請求人のコンビニエンスストア「デイリーヤマザキ」等の営業を統括する「デイリーヤマザキ事業統括本部」が乙第3号証、乙第4号証又は乙第5号証の各カタログを現に要証期間中に配布されて取得した事実、及び菓子業界では、商品カタログが一般に「春・夏」と「秋・冬」向けの商品の発表、発売に合わせて取引先に配布されている取引の実際を証明し(乙25、乙26)、かかる取引の実際について江崎グリコと同じ大手菓子メーカーである株式会社不二家及び株式会社東ハト、さらに食品総合商社の三菱食品株式会社が証明をしている(乙27、乙28、乙36)。
(3)商品取引の事実を示す書面について
商品取引の事実を示す書面は、「注文書、納品書、送り状、出荷案内書、物品受領書、カタログ等」の「取引書類」(例えば、特許庁編、発明協会発行「工業所有権法逐条解説」)と考えられる。
カタログについては、すでに提出済み(乙3?乙5)であるが、その他の書類は、江崎グリコによると、過去の注文書、納品書その他の取引書類は膨大なものとなるので、事務所とは別の場所にある倉庫業者の倉庫に保管しており、このような膨大な書類の中から本件に関する取引書類を取り出すことは事実上難しいとのことであった。
しかしながら、カタログ以外の江崎グリコの取引書類の提出がなくとも、これまでに提出した証拠及び主張をみれば、すなわち乙第1号証及び乙第2号証の通常使用権許諾確認書における本件商標の使用期間の証明、乙第3号証ないし乙第5号証のカタログ、乙第6号証、乙第7号証のウェブサイトにおける広告(乙21)、乙第8号証の賞味期限の記載から製造、販売期間が明らかな本件商標に係る商品の包装箱、乙第9号証、乙第10号証の配布された広告物(乙32、乙33)、さらには乙第11号証ないし乙第17号証のウェブサイトのブログにおいて各ブロガーが実際に要証期間中に本件商標に係る商品を購入してその印象を記載した記事を投稿、掲載していること、及びポータルサイトにおける本件商標に係る商品の通信販売の小売の事実、さらには乙第18号証、乙第19号証の販売期間と販売額の証明書等を総合的に勘案すれば、本件要証期間中に本件商標に係る商品が販売されている事実は明らかであり、もしくは容易に推認できるところである。
先の乙第20号証、乙第24号証ないし乙第28号証及び乙第36号証の各陳述書、回答書では、菓子業界で通常行われているカタログの配布先について証明をするものであるが、カタログの配布先が菓子問屋、商社、コンビニエンスストアーや小売店であるということは、菓子商品は菓子問屋、商社等を介してコンビニエンスストアー、小売店に流通し、コンビニエンスストアーや小売店で消費者へ小売販売されるという流通経路を明らかにするものでもある。
江崎グリコは、かかる通常行われている菓子商品に関する取引ルートに従った商品取引、商品の製造販売を行っているものである。したがって、本件商標に係る商品は、取引先の具体的な名称をあげなくとも各問屋、商社を介して流通し、コンビニエンスストア、スーパー、小売店(インターネット上の小売販売も含まれる)から一般の消費者に販売がされているものであることは、かかる事実からも容易に証明、推測できる。
(4)また、被請求人は、商品「ポッキー<パンダ>」、「ジャイアントカプリコ パンダ」を、要証期間内に自ら販売をしていた(乙29?乙31)。
(5)その他
ア 乙第9号証の印刷物にかかる頒布の証明
乙第9号証として提出された資料は、向かって右上の日付の括弧書きの記載のとおり「2014年8月22日」に、江崎グリコが「農政クラブ、東証記者クラブ、大阪商工記者会」にて配布された「ポッキー<パンダ>」その他の新発売商品の情報開示用の印刷物である。
同人は、この発表と同時にインターネット上の同人HPウェブサイト「プレスリリース」において新商品の「ポッキー<パンダ>」が2014年8月26日から全国的に発売されることを公表し、この一番下の赤色の帯「詳細はこちら(PDF800KB)」をクリックすると乙第9号証の印刷物がPDFとして表示されるようにしたものである(乙32)。
イ 乙第10号証の印刷物にかかる配布の証明
乙第9号証の印刷物と同様に、向かって右上の日付の記載のとおり「2014年4月22日」に、江崎グリコが「農政クラブ、東証記者クラブ、大阪商工記者会」において新商品「夏味ジャイアントカプリコ<すいか>」の商品説明のために配布された情報開示用の印刷物である。
同人は、この発表と同時にインターネット上の同人HPウェブサイト「プレスリリース」において、新商品の夏味「ジャイアントカプリコ<すいか>」が2014年5月6日から全国的に発売されることを公表し、同ウェブサイトの2頁目一番上のところの赤色の帯「詳細はこちら(PDF800KB)」をクリックすると乙10の印刷物がPDFとして表示されるようにしたものである(乙33)。
ウ 乙第11号証のブログの日付について
当該ブログの日付は1頁の向かって左上の「2015年1月15日」であり、要証期間内に投稿、掲載しているものであるが、請求人は3頁向かって左下の最後の日付「2016/8/2」が本件ブログの投稿・掲載日であるから、要証期間内にないと主張をした。
しかしながら、この3頁の日付は、本ブログを印刷した日と同じ日付を表しているものであり、ここをクリックするとこの商品を販売するためのウェブサイトに移行するのであり、当該ブログの投稿、掲載日とは無関係である。
このブログを再度、本年7月18日にコピーをしたものを乙第34号証として提出したが、ここでは、3頁目の日付は「2017/7/18 12:35時点」とされ、本ブログの印刷の日付と同じであり、乙第11号証の当該日付とは異なった表示となっている。
この乙第34号証のウェブサイト自体の日付、すなわち1頁目の日付、2015年1月15日はそのままで、乙第11号証のウェブサイトの日付と同じ日付のままである。
このことから、本ブログは要証期間内の2015年1月15日に成立していたことが確認できる。
(6)請求人の上申書(平成29年7月21日付け)の内容に対する反論
ア 「通常使用権許諾確認書」について
「商標使用許諾契約書」(乙22、乙23)が提出されたので、もはや、請求人の主張には根拠が認められない。
イ 乙第18号証及び乙第19号証について
かかる証明書は、市場調査として著名なインテージ社のSRI(全国小売店パネル調査)(乙35)によって、算出された客観的な数字に基づいて作成された証明書であり、内容(販売高)が江崎グリコの担当者によって恣意的に作成されたものではない。
また、同時に、かかる証明書の販売金額が算出されているということは、第三者であるインテージ社が本件商標にかかる商品「ポッキー<パンダ>」の販売事実をも証明していることとなる。
ウ 乙第20号証について
この乙第20号証の陳述書は、菓子業界における商品の発表及びその販売とパンフレットの配布の実際について述べ、これに伴う乙第3号証ないし乙第5号証のカタログの配布の状況を述べたまでのものであり、請求人の主張のような主観や、もしくは恣意的な配慮が入り込む余地がない。
エ 乙第21号証について
請求人が指摘する乙第6号証の日付「2016年6月27日」及び乙第7号証の日付「2016年7月29日」は、それぞれの作成日(印刷日)であって、それぞれの広告それ自体のウェブサイトの掲載日ではない。
また、江崎グリコは、本件商標の使用(商品の発売)開始とともに乙第6号証及び乙第7号証のウェブサイトの広告を掲載したものであり、これを裏付ける江崎グリコの本証明書の記述内容によって、当該広告の掲載期間が誤りなく証明されたものである。

第4 当審の判断
1 江崎グリコが通常使用権者であるか否かについて
(1)被請求人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 商標権者は、江崎グリコに対し、平成23年4月27日付け「商標使用許諾契約書」において、登録第761816号商標(「Panda」)及び登録第761817号商標(「パンダ」)について、非独占の通常使用権(江崎グリコが製造し販売する菓子「ポッキー」シリーズの商標「ポッキー」を使用する商品の販売及び宣伝・広告に使用すること)を許諾した。当該契約の有効期間は平成23年5月1日から同24年4月30日までであるが、当該契約は、期間満了の3ヶ月前までに両者のどちらからも本契約を終了し、又は変更したいという書面による申し出が相手方になされない限り、同条件で1年間自動的に延長されるものとし、以降も次回の上記商標の商標権存続期間の満了日までこれにならうこととされている(乙22)。
イ 乙第1号証は、商標権者の総務本部文書法務部長と江崎グリコのグループ法務部長とが連名で作成した平成28年8月17日付けの「通常使用権許諾確認書」である。これには、「商標登録第761816号及び商標登録第761817号について、商標権者は江崎グリコと平成23年4月27日に通常使用権の契約を締結したこと、江崎グリコがこれに基づき上記商標を使用していたことに相違ないこと、通常使用権の範囲は全国、期間は平成23年5月1日から平成28年10月31日、商品はポッキー<パンダ>(プレッツェル加工品)、実際の使用期間は平成23年8月30日から平成28年2月29日である旨の記載がある。
ウ 商標権者は、江崎グリコに対し、平成24年10月22日付け「商標使用許諾契約書」において、登録第761816号商標(「Panda」)及び登録第761817号商標(「パンダ」)について、非独占の通常使用権(江崎グリコが製造し販売する菓子「カプリコ」シリーズの商標「ジャイアント カプリコ」を使用する商品の販売及び宣伝・広告に使用すること)を許諾した。当該契約の有効期間は平成24年11月1日から同25年10月31日までであるが、当該契約は、期間満了の3ヶ月前までに両者のどちらからも本契約を終了し、又は変更したいという書面による申し出が相手方になされない限り、同条件で1年間自動的に延長されるものとし、以降も次回の上記商標の商標権存続期間の満了日までこれにならうこととされている(乙23)。
エ 乙第2号証は、商標権者の総務本部文書法務部長と江崎グリコのグループ法務部長とが連名で作成した平成28年8月17日付けの「通常使用権許諾確認書」である。これには、商標登録第761816号及び商標登録第761817号について、商標権者は江崎グリコと平成24年10月22日に通常使用権の契約を締結したこと、江崎グリコがこれに基づき上記商標を使用していたことに相違ないこと、通常使用権の範囲は全国、期間は平成24年11月1日から平成28年10月31日、商品は「GIANT Caplico<Panda(チョコレート)」、実際の使用期間は平成25年3月12日から平成27年8月31日である旨の記載がある。
(2)以上の事実に、後記2のとおり、江崎グリコは、本件カタログを作成し、頒布するなどしていたことを総合勘案すると、同人は、本件商標について、菓子「ポッキー」シリーズについては、上記アの「商標使用許諾契約書」の自動延長条項に基づいて、平成23年5月1日から平成28年10月31日までの期間、菓子「カプリコ」シリーズについては、上記ウの「商標使用許諾契約書」の自動延長条項に基づいて、平成24年11月1日から平成28年10月31日までの期間、通常使用権者であったと認めることができる。
2 カタログの頒布について
(1)被請求人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 江崎グリコは、「2014 Spring & Summer グリコ商品のご案内」(乙3)、「2015 Spring & Summer グリコ商品ガイド」(乙4)、「2015 Autumn & Winter グリコ商品ガイド」(乙5)のタイトルの商品カタログを作成している。それぞれの発行日は、各カタログの裏表紙最下段の記載によれば、平成26年春、同27年春、同年秋と認められ、これらは上記タイトルとも整合する(乙3?乙5)。
イ 乙第3号証(商品カタログ)の7頁に、チョコレートを使用したスナック菓子の名称として「ポッキー<パンダ>」の文字(以下「使用標章1」という。)並びに当該商品の写真として「POCKY」の文字及びその下段に「Panda」の文字(以下、「Panda」を「使用標章2」という。)が記載された包装箱の写真、18頁に、チョコレートを使用したスナック菓子の名称として「ジャイアントカプリコ<パンダ>」の文字(以下「使用標章3」という。)並びに当該商品の写真として「GIANT」と「Caplico」の文字及びその下段に使用標章2が記載された包装の写真がある。
ウ 乙第4号証(商品カタログ)の1頁に、チョコレートを使用したスナック菓子の名称として使用標章1並びに当該商品の写真として「POCKY」の文字及びその下段に使用標章2が記載された包装箱の写真、2頁に、チョコレートを使用したスナック菓子の名称として使用標章3の記載がある。
エ 乙第5号証(商品カタログ)の1頁に、チョコレートを使用したスナック菓子の名称として使用標章1並びに当該商品の写真として「POCKY」の文字及びその下段に使用標章2が記載された包装箱の写真の記載がある。
オ 上記商品カタログは、凸版印刷株式会社により印刷され、主として菓子問屋、商社、小売業者及び小売店に対して、少なくとも2万部配布・頒布された(乙24)。また、乙第3号証の商品カタログは平成25年12月から同26年2月頃に、乙第4号証の商品カタログは平成26年12月から同27年6月頃に、乙第5号証の商品カタログは平成27年6月から同年8月頃に、それぞれ、江崎グリコにより事業者に頒布されたことが推認される(乙20、乙25?乙28、乙36、乙37)。
(2)上記(1)の認定について、請求人は、これらの書証については、要証期間内での頒布の事実は立証されていない旨主張する。
しかしながら、菓子類を取り扱う業界においては、各メーカーは、一般的に、春・夏向けの商品及び秋・冬向けの商品のそれぞれの販売に向けて、各時期に先立って商品の発表をし、併せて商品カタログを取引先に配布して商品の受注をするのが慣行であること(乙20、乙25?乙28、乙36、乙37)、江崎グリコにおいては、少なくとも、平成26年の春・夏、同27年の春・夏及び同年の秋・冬のための商品カタログを継続して印刷していることを考慮すれば、江崎グリコが、要証期間に上記商品カタログを頒布したことは優に推認できるものであり、これを覆すに足りる証拠はない。
(3)上記1のとおり、江崎グリコは、本件商標についての通常使用権者であるところ、上記(1)及び(2)のとおり、同人は、使用標章1ないし3(以下、これらをまとめていうときは「使用標章」という。)が付された商品(チョコレートを使用したスナック菓子)を掲載した商品カタログを作成し、要証期間に頒布したものと認められ、その使用は商標法第2条第3項第8号の使用と認められる。
3 使用商標と本件商標との同一性について
(1)使用標章1及び使用標章3
使用標章1は、「ポッキー<パンダ>」の文字、使用標章3は、「ジャイアントカプリコ<パンダ>」の文字よりなるところ、それぞれ、「パンダ」の文字部分が山括弧(<>)で囲まれて強調されている。また、「ポッキー」及び「ジャイアントカプリコ」又は「カプリコ」は、ともに、通常使用権者によって、チョコレートを使用したスナック菓子の各種シリーズ商品の名称として、使用されている(乙3?乙5)。そして、これらの商品の包装においては、「Panda」及び「パンダ」の文字の最後に「R(マル)」の記号が付されており、当該文字をそれぞれ独立した商標として使用していることがうかがわれる(乙3、乙6、乙8等)。以上を考慮すれば、使用標章1及び使用標章3においては、「パンダ」の文字部分が独立して、これに接する取引者、需要者に、商品の出所識別標識として認識、理解されるものといえる。
そうすると、使用標章1及び使用標章3は、「パンダ」の文字部分より「パンダ」の称呼及び「パンダ」の観念を生じるものである。
一方、本件商標は、上記第1のとおり、「Panda」の文字よりなり、「パンダ」の称呼及び「パンダ」の観念を生じるものである。
してみれば、使用標章1及び使用標章3は、本件商標と、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び同一の観念を生じるものであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(2)使用標章2
使用標章2は「Panda」の欧文字よりなり、本件商標と同一の構成文字であり、同一の称呼及び同一の観念を生じるものであるから、使用標章2は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(3)請求人の主張について
請求人は、使用標章は「ジャイアントカプリコパンダ」、「カプリコパンダ」、「ポッキーパンダ」の一体の商標と認識すると解するのが合理的であり、「Panda」の文字そのものが商標として使用されたものとは評価できない、と主張する。
しかしながら、使用標章1及び使用標章3について「パンダ」の文字部分が独立した商品の識別機能を有するとみるべきこと上記(1)のとおりであり、また、使用標章2についても、商品の包装に表示されている態様に鑑みるに、シリーズ商品の商標を示す「Pocky」、「GIANT Caplico」の各商標と使用標章2とは、文字の大きさ、字体及び配置など、明確に区別した表示であり、「Panda」には「R(マル)」の記号を付して使用していることなどから、「Panda」が独立した商標と認識されるというべきである。
4 使用商品について
使用標章が付された商品は、商品カタログ(乙3?乙5)によれば、「チョコレート・チョコスナック」の項目に分類され、チョコレートを使用したスナック菓子であるから、本件商標の指定商品中の「菓子」の範ちゅうに属するものと認められる。
5 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、その請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)





審理終結日 2017-11-30 
結審通知日 2017-12-04 
審決日 2017-12-18 
出願番号 商願昭41-9131 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X30)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 豊泉 弘貴
原田 信彦
登録日 1967-11-10 
登録番号 商標登録第761816号(T761816) 
商標の称呼 パンダ 
代理人 梅村 莞爾 
代理人 林 栄二 
代理人 正林 真之 
代理人 三浦 大 
代理人 篠田 貴子 
代理人 東谷 幸浩 
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