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審決分類 審判 一部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W29
審判 一部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W29
審判 一部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W29
管理番号 1340292 
審判番号 無効2017-890069 
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-10-04 
確定日 2018-04-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第5618955号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5618955号商標の指定商品中、第29類「お茶漬けの素,お茶漬けのり,ふりかけ」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5618955号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、第29類及び第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし、平成24年11月14日に登録出願された商願2012-92484に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、平成25年5月15日に登録出願されたものであり、第29類「植物性油脂,チャーハンの素,お茶漬けの素,和え物のもと,お茶漬けのり,ふりかけ」を指定商品として、同25年8月30日に登録査定、同年9月27日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 請求人が、本件商標の登録の無効の理由として、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する登録第5226043号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ひらけごま!」の文字を横書きしてなり、平成20年10月6日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,牛丼のもと,その他のどんぶりもののもと,パスタソース,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」を指定商品として、同21年4月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
2 請求人が、本件商標の登録の無効の理由として、商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第553543号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の文字とを二段に横書きしてなり、昭和34年4月6日に登録出願、第45類「胡麻味付、その他本類に属する商品」を指定商品として、同35年7月28日に設定登録され、その後、平成13年5月16日に、指定商品を第29類「食肉,塩辛,うに(塩辛魚介類),このわた,寒天,ジャム,卵,かつお節,干しのり,焼きのり,とろろ昆布,干しわかめ,干しあらめ,肉のつくだに,水産物のつくだに,野菜のつくだに,なめ物,果実の漬物,野菜の漬物」、第30類「胡麻を主材料とする穀物の加工品,みそ,甘酒,こしょう」及び第31類「のり,昆布,わかめ,あらめ」とする指定商品の書換登録がされているものである。
(2)登録第562806号商標(以下「引用商標3」という。)は、「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の文字とを二段に横書きしてなり、昭和34年4月6日に登録出願、第47類「胡麻、胡麻豆腐、焦胡麻、摺胡麻、その他胡麻を材料とした製品」を指定商品として、同35年12月15日に設定登録され、その後、商標登録の取消し審判により、その指定商品中の「胡麻豆腐及びこれに類似する商品」について取り消すべき旨の審決がされ、平成7年3月20日にその確定審決の登録がされ、さらに、同13年10月24日に、指定商品を第30類「ごま塩,焦胡麻,味付胡麻,摺胡麻,味付摺胡麻,剥き胡麻,煎り剥き胡麻」及び第31類「胡麻」とする指定商品の書換登録がされているものである。
以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめていうときは「引用商標」という場合がある。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第76号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、パッケージ状の図形からなる商標であり、七福神と思しきキャラクターが乗った船の白色の帆の上端に黄色囲みの赤色文字で「“サクラサケ”」と横書きし、その下段に「サクラサケ」の文字の3倍程度の大きさの黄色囲みの茶色文字で「ひらけごま」の文字を配してなる商標である。
そして、本件商標は、上記のとおり、パッケージ状の図形からなる商標であるものの、取引者、需要者が商品を識別する際には、常に外観のみをもって取引するわけではなく、必ず何らかの称呼をもって取引に当たるものである。
そこで、本件商標を検討するに、パッケージ状の図形の上部には、読みやすい文字ではっきりと「サクラサケ」の文字と「ひらけごま」の文字があるため、これらの文字をもって取引されると考えられるところ、当該各文字は、その色や大きさに加え、字体も異なる。
また、当該各文字の全体から生じる称呼「サクラサケ ヒラケゴマ」は、前半部と後半部で意味的なつながりもなく、冗長である。
そうすると、本件商標は、その構成中の「サクラサケ」の文字と「ひらけごま」の文字とを常に一体として見るべき理由はなく、当該各文字がそれぞれに分離され、考察されるとみるのが自然である。特に、「ひらけごま」の文字が極めて大きく記載されていることからすれば、本件商標に接する取引者、需要者は、当該文字部分に着目すると考えるのが自然である。
してみれば、本件商標は、その構成中の「ひらけごま」の文字部分から「ヒラケゴマ」の称呼を生じるものであり、また、「ひらけごま」の文字は、「アラビアの説話『アリババと40人の盗賊』での窃盗団の宝を隠した洞窟の扉を開ける呪文」(以下「アリババの呪文」という。)と理解されるものであるから、かかる観念を生じるものである。
なお、上記したことは、商標登録第5602955号に係る無効2015ー890044号事件の審決取消請求事件(平成28年(行ケ)第10077号)においてされた判断からも首肯できるものである(甲3)。
(2)引用商標1について
引用商標1は、平仮名で「ひらけごま!」と横書きしてなる商標であるから、その文字に応じて、「ヒラケゴマ」の称呼を生じ、また、本件商標と同様に、「アリババの呪文」の観念を生じる。
(3)本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品について
本件商標の指定商品中、「お茶漬けの素,お茶づけのり,ふりかけ」は、引用商標1の指定商品中、「お茶漬けのり,ふりかけ」と同一又は類似する商品である。
そのため、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品とは、同一又は類似する商品である。
(4)まとめ
本件商標と引用商標1とは、その外観は異なるものの、いずれからも「ヒラケゴマ」の称呼及び「アリババの呪文」という観念が生じるため、その称呼及び観念を共通にする類似の商標であり、かつ、同一又は類似する商品について使用するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の周知性について
ア 請求人について
請求人は、宝暦2年(1752年)に乾物の仲買から始め、昭和6年(1931年)に合名会社となり、昭和26年(1951年)に現在の株式会社となった、非常に長い歴史を有する乾物食品問屋である(甲4)。請求人は、戦後、日本で初めて食用の胡麻を輸入した。また、請求人の相談役(前社長)は、全国胡麻加工組合連合会の理事長を務めていたこともある(甲5)。
このように、請求人は、胡麻業界では非常に知られた存在である。
イ 引用商標を使用した請求人の商品について
引用商標は、請求人を代表する胡麻関連商品のブランドであり、請求人は、引用商標を「すりごま」、「いりごま」、「ふりかけ」などの各種胡麻関連商品に実際に使用している。すなわち、請求人は、昭和40年頃から現在に至るまでの永年にわたり、「ひらけごま!」を商標として継続的に胡麻関連商品等に使用している。
請求人の会社案内(甲8)は、それに添付されている証明書から、昭和59年3月に作成されたものであることが明らかであり、当該会社案内には、「ひらけごま」商標を使用した商品が掲載されていることが確認できる。また、現在の会社案内(甲4)にも、「ひらけごま!」商標を使用した商品が掲載されている。
これらの会社案内から、遅くとも昭和59年から現在に至るまで、請求人が「ひらけごま!」商標を使用していたことが証明される。
ウ 請求人の宣伝広告について
請求人は、日本食糧新聞や食品新聞などのいわゆる業界紙に継続的に本件商標を使用した商品の宣伝広告を出稿しており、また、当該業界紙においては、宣伝広告以外でも請求人が取り上げられている記事が多数存在することから、請求人及び請求人のメインブランドである「ひらけごま!」は、十分な著名性を得ている(甲9?甲74)。
また、請求人は、「ひらけごま!」商標の著名性を裏付けるため、同業者からの著名性に関する証明書を提出する(甲75、甲76)。
そして、上記業界紙においては、例えば、甲第17号証や甲第18号証ののように、本件商標を使用している被請求人の関連会社(株式会社真誠)の記事とともに、「ひらけごま!」商標を使用した請求人商品の宣伝広告がなされていることから、被請求人及びその関連会社である本件商標の使用者は、本件商標の登録出願時において、請求人及びその「ひらけごま!」商標の存在を知らなかったはずはない。
してみれば、「ひらけごま!」商標は、本件商標の登録出願時において、十分な周知性を得ており、また、被請求人及び本件商標の使用者は、そのことを認識していたといえる。
(2)出所の混同のおそれについて
上記(1)において述べたことを踏まえれば、仮に、本件商標が、パッケージ全体の図形商標として認識され、「ひらけごま!」商標とは非類似であると判断されるとしても、本件商標を使用した商品に接する取引者、需要者は、その商品があたかも請求人の子供向け商品又は請求人から材料などを仕入れて製造しているものであるかのように、その商品の出所について混同するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法46条第1項第1号に基づき、その登録を無効にすべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べている。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)はじめに
請求人の主張は、本件商標と引用商標1との誤った対比に基づくものである。
引用商標1は、本件商標の審査における拒絶理由通知により引用された2つの登録商標のうちの1つと一致するところ、本件商標の権利者が、その審査において、商標法第4条第1項第11号の適用を受けるべきものではない旨を主張した後、当該拒絶理由は成り立たないものとして、本件商標の登録がされている。
(2)本件商標について
本件商標は、イラスト化された可愛らしい七福神が乗り込んだ宝船が高らかに白帆を揚げた図案の中に、特に白帆に描かれたようにも見えるように「“サクラサケ”ひらけごま」の二段文字列が配置され、さらに、五弁の桜の花びらをあしらい、帆の背後から放射状に伸びている光をあしらったデザインもあいまって、全体として、開運や合格、あるいは、めでたさなどを惹起する標章全体として機能することを意図したものである。
もとより、七福神と宝船は、そのような記載があるわけではないが、我が国において、七福神と宝船の図案は広く知られており、本件商標に接した需要者の多くは、七福神と宝船を想起するものと考えられる。また、五弁の花びらの図案も、桜を示す図案として広く知られたものである。
したがって、本件商標と他の商標との類似を検討するとき、図柄を含まない文字商標と比べれば、外観が重要であり、また、商標全体が看者に惹起する観念も重要であるということができる。さらに、呼称について検討する場合も、文字部分のみに着目して判断するのではなく、商標全体との関連に考慮を払うべきものである。仮に、一部の文字のみを比較するのであれば、商取引の実情を見誤るものである。
(3)本件商標と引用商標1との対比
ア 外観対比
本件商標は、イラスト化された可愛らしい七福神が乗り込んだ宝船が高らかに白帆を揚げた図案の中に、五弁の桜の花びらとともに、「“サクラサケ”ひらけごま」の文字列を一体として含んだ上で、帆の背後から放射状に光を伸ばしている図柄を有するのに対し、引用商標1は、「ひらけごま!」の文字列の商標であるにすぎない。
してみれば、本件商標は、その外観において、引用商標1と全く相違する。
イ 観念対比
本件商標は、イラスト化された可愛らしい七福神が乗り込んだ宝船が高らかに白帆を揚げた図案の中に、特に白帆に描かれたようにも見えるように「“サクラサケ”ひらけごま」の二段文字列が配置され、さらに、五弁の桜の花びらをあしらった上で、帆の背後から放射状に光を伸ばしているデザインの標章であることから、標章全体から、開運や合格、あるいは、めでたさなどに加え、願い事の成就等の観念が想起される。
他方、引用商標1は、「ひらけごま!」の文字列から想起される観念を有するにすぎない。引用商標1から想起される観念は、その文字列どおりのごまが開いた観念や、開かないごまやこれに類するもの、例えば、開かない扉が開いた観念であり、本件商標から想起される上記観念と全く相違する。また、「ひらけごま!」の文字列から想起される観念が、本件商標から想起される上記観念と同一又は類似であるとする商習慣や社会通念が確立しているものではない。
ウ 称呼対比
(ア)本件商標から生じる称呼
本件商標は、上記のとおり、図案として一体化されたものであり、商標全体から生じる称呼という点で、単なる文字商標と比較することは困難であるが、その構成中には「“サクラサケ”ひらけごま」の二段文字列が含まれていることから、当該二段文字列に着目すると、「“サクラサケ”」の文字列と「ひらけごま」の文字列とでは、字体に大小の相違はあるものの、両文字列は、明確に判読可能である。
そうすると、本件商標は、「“サクラサケ”ひらけごま」の二段文字列の各段の文字列から、「サクラサケ ヒラケゴマ」の称呼を生じるのであって、「“サクラサケ”」の文字列から生じる称呼を除外した「ヒラケゴマ」の称呼を生じるとすることはできない。
また、本件商標は、その構成中に、「“サクラサケ”ひらけごま」の二段文字列を含むものであって、これを分離して捉えた「“サクラサケ”」と「ひらけごま」のいずれかが自他商品の識別力を奏すると断定する根拠はないし、そのように「“サクラサケ”ひらけごま」を「“サクラサケ”」と「ひらけごま」とに分離して捉えるという商習慣や社会通念が、本件商標の指定商品に係る商取引において確立している又は存在すると断定する根拠もない。
さらに、商取引においては、往々にして略称により称呼されることがあるとしても、本件商標について、その構成中の帆掛け船の帆の図形に包まれた「“サクラサケ”ひらけごま」を「“サクラサケ”」と「ひらけごま」とに分離して「“サクラサケ”」だけを省略して捉えることは、その略称による称呼に該当するものではない。
上記した点からも、「“サクラサケ”ひらけごま」の二段文字列を含む本件商標は、最も簡略な呼称として、「サクラサケ ヒラケゴマ」の称呼を生じるものであり、これより短い「サクラサケ」又は「ヒラケゴマ」の称呼を生じるものではない。
(イ)本件商標と引用商標1との称呼対比
引用商標1は、「ひらけごま!」の文字列からなることから、「ヒラケゴマ」の称呼を生じるものである。そして、引用商標1は、「ヒラケゴマ」の称呼の前に何らかの称呼(例えば、5音の音数の称呼)を加えた称呼を生じる標章(「○○○○○ヒラケゴマ」)が引用商標1の指定商品に使用された場合に、その標章と出所の混同を来すことはない。
そうすると、本件商標は、「サクラサケ ヒラケゴマ」と一連に称呼されるものであり、その称呼は、「ヒラケゴマ」の称呼を含むとはいえ、「ヒラケゴマ」の称呼しか生じない引用商標1と出所の混同を来すものではないから、引用商標1と称呼において同一又は類似すると断定する根拠に欠け、引用商標1と称呼において類似しない。
まして、本件商標は、「“サクラサケ”ひらけごま」の文字列が図案の中に一体に配置されているものであるから、単なる文字列標章にすぎない引用商標1と称呼の点では更に異なっていると判断することが妥当である。
(4)総合判断
上記(3)によれば、本件商標は、その外観、称呼及び観念において引用商標1とは同一又は類似するものではない。もとより、こうした外観、称呼及び観念の類否は、出所の混同を生じるか否かの判断手法にすぎず、これらの対比は、実際に市場において出所の混同が生じるかどうかを模擬的に判断する手法だといえる。
この点について、請求人も、市場における出所の混同を証明することはなし得ておらず、実際に出所の混同を来して商品を購入したという事例を示していない。これは、本件商標と引用商標1とが、あまりに相違し、市場における出所の混同という事態を惹起し得ないものだからである。
本件商標は、全体に黄色を中心とするカラーの商標であり、七福神、帆掛け船、桜の花びらなどをまとっており、本件商標に接した需要者が、引用商標1との間で出所の混同を来すはずがない。
したがって、本件商標は、引用商標1とは類似しておらず、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)はじめに
請求人は、本件商標を使用した商品に接する取引者、需要者は、その商品があたかも請求人の業務に係る商品又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると混同を生じさせるおそれがある旨主張する。
しかしながら、本件商標をその指定商品に使用しても、上記のような出所の混同を生じるおそれはないので、その理由について、以下説明する。
(2)周知性について
請求人は、甲第4号証ないし甲第75号証を挙げて、引用商標が周知性を獲得していることを主張している。これらの証拠には、いわゆる業界紙における引用商標の使用を示すものが含まれるが、その証拠のうち、甲第8号証ないし甲第75号証において、本件商標の指定商品についての使用を示すものはない。
ア 甲第8号証は、「青さ粉」についての「ひらけごま印」の使用を示すものであるが、「青さ粉」は、本件商標の指定商品及び引用商標1の指定商品ではない。
また、「ひらけごま印」は、引用商標1ではない。
イ 甲第23号証、甲第28号証、甲第36号証、甲第42号証は、そもそも本件商標の指定商品についての使用が示されていない。
なお、同じ図柄の広告のうち、甲第55号証以降のものでは、「いりごま・すりごま」の表示がある。
ウ 他の全ての甲号証は、いずれも「いりごま・すりごま」についての「ひらけ ごま!」商標の使用を示すが、「いりごま・すりごま」は、いずれも本件商標の指定商品及び引用商標1の指定商品ではない。
エ 甲第75号証は、商品「ごま」についての株式会社大村屋による陳述を記載した証明書であるが、「ごま」は、本件商標の指定商品及び引用商標1の指定商品ではない。
オ 甲第9号証は、1997年の新聞であり、甲第74号証は2017年の新聞である。してみると、この間におよそ20年の年月があり、その間にたかだか70回未満の広告を打ったとしても、年間にすれば、僅か3.5回程度であり、まして、掲載誌が週3回発行、発行部数94,500部(平成28年2月末現在)の「日本食料新聞」に限られることからすれば、引用商標は、需要者はもとより、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、「いりごま・すりごま」についてさえ周知になったとはいえない。
カ 以上のことからすれば、引用商標1が、本件商標の指定商品及び引用商標1の指定商品について周知性を獲得していたということは到底できない。
そして、請求人は、引用商標として、引用商標2及び引用商標3も挙げるが、これらは、「ひらけごま!/OPEN SESAME」という二段書きの商標であり、また、引用商標3の指定商品は、第30類及び第31類に属する商品に限られるものであり、甲第8号証ないし甲第75号証において、当該二段書き商標の例はなく、本件商標の指定商品について使用した例もない。
そうすると、請求人は、引用商標が、本件商標の指定商品の分野において周知であること、商品の類似の範囲を超えて混同が生じるほどの著名性を獲得している可能性があることを何ら示していない。
(3)総合判断
上述のように、請求人の登録商標である「ひらけ ごま!」と、本件商標とは、互いに大きく異なる。このため、本件商標が指定商品に使用されたとしても、請求人又は同人と緊密な営業上の関係等を有する者の商品に係るものであると誤認されるおそれはない。
加えて、そもそも請求人の登録商標である「ひらけ ごま!」は、その指定商品について周知性を備えていないので、引用商標と本件商標とが類似するか否かを問わず、その出所について混同を生じるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)甲第9号証ないし甲第59号証に示される商標の使用が虚偽表示である点
請求人は、一段の文字列の「ひらけごま!」からなる引用商標1を有しており、その指定商品は、第29類「食用油脂,乳製品,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,牛丼のもと,その他のどんぶりもののもと,パスタソース,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」である。また、請求人は、引用商標2及び引用商標3として自ら示した二段書きの商標も登録している。
したがって、請求人は、「ひらけごま!」という一段の文字列からなる商標と「ひらけ ごま!/OPEN SESAME」という二段書きの商標とが異なる商標であり、異なる指定商品について登録を受けたものであることを知っている。
ところが、甲第9号証ないし甲第74号証に係る新聞の大部分においては、登録商標であることの表示(「R」の文字を○で囲んだマーク)が付された一段の文字列の「ひらけ ごま!」の近傍に「いりごま すりごま」の文字が記載されており、その記載は、あたかも引用商標1の指定商品が、本来、その指定商品には含まれていない第30類「いりごま,すりごま」であると誤信させるような態様のものである。
そうすると、甲第9号証ないし甲第74号証において表示されている一段の文字列の「ひらけ ごま!」の使用は、登録商標の虚偽表示(商標法第74条第2号)に相当し、刑事罰の対象となる行為(同法第80条)に相当する可能性が高い。また、引用商標1の登録日は平成21年4月24日であるため、当該甲号証のうち、甲第46号証以前、すなわち、その登録日よりも前における「ひらけ ごま!」の使用は、登録商標ではない商標に登録商標であることの表示を付する行為であり、かかる行為も登録商標の虚偽表示(同法第74条第1号)に該当した疑いがある。
請求人は、上記虚偽表示を永年にわたって行なっていたと解され、このような不正な使用に基づき引用商標の周知性が獲得されたとの請求人の主張は、甚だ合理性を欠くと同時に、善良な経済人としての良識に欠け、信義則に反するものである。
3 結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当せず、同法第46条第1項第1号に基づき、その登録を無効にされるべきものではない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
ア 本件商標は、別掲のとおり、(a)ほぼ同じ顔立ちの7体の人物が乗っている、船体が朱色、帆が白無地、帆柱及び帆桁が青色である水上の帆掛船と、(b)光線を模したとうかがわれる、帆の背後の黄色の背景に浮かぶ薄黄色の放射状の帯と、(c)帆の周辺に配された桃色の3つの5弁の花びらとが描かれた図形(以下、(a)から(c)を併せて「図形部分」という。)と、いずれも上記帆の部分にあって、(d)上段にあり、いずれも黄色で縁取りされた赤色の「サクラサケ」との太字の片仮名とこれを囲う二重引用符「“ ”」と、(e)下段にあり、黄色で縁取りされた暗茶色の「ひらけごま」との太字の平仮名(以下、(d)と(e)を併せて「文字部分」という。)とからなるものである。
そして、図形部分については、帆掛船に7体の人物が乗っていること、人物の衣服、装飾品等を子細に観察すれば、7体の人物は七福神を示すものと理解されるが、薄黄色の放射状の帯は、光を表すものとは認識されるものの、それが何の光であるかは確定し難い。
また、文字部分については、図形部分に桜の花びらがあることを考慮すると、「サクラサケ」は、「桜咲け」の文字を片仮名で表したものと理解され、「ひらけごま」は、アリババの呪文を示すものと理解される(「大辞泉増補・新装版」株式会社小学館参照)。
イ 上記アで認定した本件商標の構成を全体的に観察すると、帆の部分が商標全体の4割弱の面積を占める大きさで中央部に配されており、文字部分は、白無地の帆の上にただ単に配置されているだけであって、帆と図案構成上の関連性を有していないことが認められる。このことに、帆の部分の周囲に多数の配色の下に細々とした図案が描かれていることを考慮すると、白無地の帆の部分は、文字の背景、帆の周囲の部分は、文字のレイアウト枠として機能させているものと理解される。そうであれば、帆の上に配された文字部分が図形部分とは分離して観察されることは明らかである。
これを前提に、文字部分についてみると、「サクラサケ」と「ひらけごま」は、書体、色彩を異にするほか、「ひらけごま」の文字の大きさが「サクラサケ」の文字のおおむね倍程度になるなど、両者に顕著な差異が設けられている。「サクラサケ」は赤色であるが、帆掛船の船体の朱色や、桜の花びらの桃色、7体の人物の多数の配色の影響により、ほとんどその赤が目立たない。さらに、「サクラサケ」のみが二重引用符で囲われていて、「ひらけごま」と区切られることが明確にされている。そして、上記のとおり、「サクラサケ」は「桜咲け」を、「ひらけごま」はアリババの呪文を示すものであるから、両者の間に意味上の自然な関連性を想起することはできない。また、両者を一連に称呼した「サクラサケヒラケゴマ」は、取引において冗長なものといえる。そうすると、「サクラサケ」と「ひらけごま」とが一連一体として称呼及び観察されることは、通常、ないといえる。
以上からみて、本件商標は、文字部分の中で特に目立つように配された「ひらけごま」が看者に強く支配的な印象を与えているといえ、「ひらけごま」が独立して自他商品の識別標識として機能していることは、明らかである。
したがって、本件商標は、その構成中、「ひらけごま」の文字部分から、「ひらけごま」の文字の外観を有し、「ヒラケゴマ」の称呼及び「アリババの呪文」の観念を生じるといえる。
(2)引用商標1について
引用商標1は、前記第2の1のとおり、「ひらけごま!」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字から、「ヒラケゴマ」の称呼及び「アリババの呪文」の観念を生じるといえる。
(3)本件商標と引用商標1との類否について
本件商標は図形部分と文字部分とからなるのに対して、引用商標1は文字のみからなることから、両商標は、その構成全体の比較においては相違するものの、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る本件商標の「ひらけごま」の文字部分と引用商標1の「ひらけごま!」とは、外観上、これに接する取引者、需要者に近似した印象を与えるものである。
また、本件商標と引用商標1とは、上記(1)及び(2)のとおり、いずれも「ヒラケゴマ」の称呼及び「アリババの呪文」の観念を生じるものである。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、外観において近似し、称呼及び観念を同じくする類似の商標というべきである。
(4)本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品との類否について
本件商標の指定商品中、本件審判の請求に係る第29類「お茶漬けの素,お茶漬けのり,ふりかけ」は、引用商標1の指定商品中の第29類「お茶づけのり,ふりかけ」と同一又は類似する商品であること明らかである。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、本件商標は、引用商標1と類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中、本件審判の請求に係る指定商品である第29類「お茶漬けの素,お茶漬けのり,ふりかけ」は、引用商標1の指定商品中の第29類「お茶づけのり,ふりかけ」と同一又は類似する商品であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第29類「お茶漬けの素,お茶漬けのり,ふりかけ」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同項第15号該当性について言及するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標(色彩については原本参照)



審理終結日 2018-02-26 
結審通知日 2018-03-01 
審決日 2018-03-15 
出願番号 商願2013-36388(T2013-36388) 
審決分類 T 1 12・ 262- Z (W29)
T 1 12・ 261- Z (W29)
T 1 12・ 263- Z (W29)
最終処分 成立 
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 田中 敬規
特許庁審判官 中束 としえ
松浦 裕紀子
登録日 2013-09-27 
登録番号 商標登録第5618955号(T5618955) 
商標の称呼 サクラサケヒラケゴマ、サクラサケ、ヒラケゴマ、ヒラケ 
代理人 特許業務法人明成国際特許事務所 
代理人 水野 勝文 
代理人 保崎 明弘 
代理人 和田 光子 
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