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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W36
審判 一部申立て  登録を維持 W36
審判 一部申立て  登録を維持 W36
審判 一部申立て  登録を維持 W36
管理番号 1339348 
異議申立番号 異議2017-900308 
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-10-13 
確定日 2018-04-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第5965532号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5965532号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5965532号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成29年1月25日に登録出願,第36類「保険業務,金融又は財務取引,不動産業務及び建物又は土地の情報の提供,土地・建物の貸与,土地・建物の売買又は貸借の代理又は媒介,土地・建物の管理,不動産開発資金の貸付け,建物又は土地の鑑定評価,不動産投資,アパート及び事務所の貸与,別荘のための土地・建物の管理,別荘の貸与,居住区に関する土地・建物の管理,アパートの管理,他人のための資産管理,土地・建物担保付資金の貸付,事業資金の調達,金融資産投資の管理,資金の貸付け,投資,財務評価,電子上の料金の支払いの代行,ウェブサイト経由による料金の支払いの代行,オンラインによる金融又は財務取引,グローバルコンピュータネットワークによる支払代金の電子決済,金融又は財務の支援の形での財政保証(債務の引き受け)の引受け,前払式証票の発行,飲食店のクーポン券の性質をもつ前払式証票の発行,商品券の発行,商品又は役務と交換可能な商品券の発行,クレジットカード及びデビットカードの利用者に代わってする支払代金の清算及び決済,支払いカード利用者に代わってする支払代金の決済,顧客ロイヤルティプログラムの一環としてのクレジットカード利用時における現金その他の割引きの提供,保険業務に関する指導・助言・情報の提供,金融又は財務取引に関する指導・助言・情報の提供,土地・建物の貸与に関する指導・助言・情報の提供,土地・建物の売買又は貸借の代理又は媒介に関する指導・助言・情報の提供,土地・建物の管理に関する指導・助言・情報の提供,不動産開発資金の貸付けに関する指導・助言・情報の提供,建物又は土地の鑑定評価に関する指導・助言・情報の提供,不動産投資に関する指導・助言・情報の提供,アパート及び事務所の貸与に関する指導・助言・情報の提供,別荘のための土地・建物の管理に関する指導・助言・情報の提供,別荘の貸与に関する指導・助言・情報の提供,居住区に関する土地・建物の管理に関する指導・助言・情報の提供,アパートの管理に関する指導・助言・情報の提供,他人のための資産管理に関する指導・助言・情報の提供,土地・建物担保付資金の貸付に関する指導・助言・情報の提供,事業資金の調達に関する指導・助言・情報の提供,金融資産投資の管理に関する指導・助言・情報の提供,資金の貸付けに関する指導・助言・情報の提供,投資に関する指導・助言・情報の提供,財務評価に関する指導・助言・情報の提供,電子上の料金の支払いの代行に関する指導・助言・情報の提供,ウェブサイト経由による料金の支払いの代行に関する指導・助言・情報の提供,オンラインによる金融又は財務取引に関する指導・助言・情報の提供,グローバルコンピュータネットワークによる支払代金の電子決済に関する指導・助言・情報の提供,金融又は財務の支援の形での財政保証(債務の引き受け)の引受けに関する指導・助言・情報の提供,前払式証票の発行に関する指導・助言・情報の提供,飲食店のクーポン券の性質をもつ前払式証票の発行に関する指導・助言・情報の提供,商品券の発行に関する指導・助言・情報の提供,商品又は役務と交換可能な商品券の発行に関する指導・助言・情報の提供,クレジットカード及びデビットカードの利用者に代わってする支払代金の清算及び決済に関する指導・助言・情報の提供,支払いカード利用者に代わってする支払代金の決済に関する指導・助言・情報の提供,顧客ロイヤルティプログラムの一環としてのクレジットカード利用時における現金その他の割引きの提供に関する指導・助言・情報の提供」,第43類「飲食物の提供,一時宿泊施設の提供,ホテルにおける宿泊施設の提供,リゾートホテルにおける宿泊施設の提供,モーテルの提供,旅行者用宿屋における宿泊施設の提供,レストランにおける飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供,喫茶店における飲食物の提供,民宿における宿泊施設の提供,ホテル及びレストランの予約の取次ぎ,一時宿泊施設の予約の取次ぎ,バー及びカクテルラウンジにおける飲食物の提供,ケータリング,アイスクリームを主とする飲食物の提供,軽食堂における飲食物の提供,サンドイッチの提供,コーヒーショップにおける飲食物の提供,宴会及びパーティーにおける飲食物の提供,展示用及び会議用施設の貸与,飲茶の提供,中華料理その他の東洋料理を主とする飲食物の提供,飲食物の提供に関する助言・指導及び情報の提供,保育所の提供,保育所における乳幼児の保育,コンピュータデータベース又はインターネットからオンラインで提供される飲食物の提供に関する情報の提供,コンピュータデータベース又はインターネットからオンラインで提供されるケータリングに関する情報の提供,一時宿泊施設の提供のための受付及び案内(到着及び出発の管理),顧客のためのホテルにおける宿泊施設の提供,常連の顧客優遇プログラムを特色とするホテルにおける宿泊施設の提供,特別な日のための社交行事用の施設の貸与,会議・展示会及びミーティングのたの施設の提供,椅子・テーブル・テーブル用リネン・ガラス食器の貸与,会議室の貸与,一時宿泊施設の提供に関する指導・助言・情報の提供,ホテルにおける宿泊施設の提供に関する指導・助言・情報の提供,リゾートホテルにおける宿泊施設の提供に関する指導・助言・情報の提供,モーテルの提供に関する指導・助言・情報の提供,旅行者用宿屋における宿泊施設の提供に関する指導・助言・情報の提供,レストランにおける飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供,バーにおける飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供,喫茶店における飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供,民宿における宿泊施設の提供に関する指導・助言・情報の提供,ホテル及びレストランの予約の取次ぎに関する指導・助言・情報の提供,一時宿泊施設の予約の取次ぎに関する指導・助言・情報の提供,バー及びカクテルラウンジにおける飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供,ケータリングに関する指導・助言・情報の提供,アイスクリームを主とする飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供,軽食堂における飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供,サンドイッチの提供に関する指導・助言・情報の提供,コーヒーショップにおける飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供,宴会及びパーティーにおける飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供,展示用及び会議用施設の貸与に関する指導・助言・情報の提供,飲茶の提供に関する指導・助言・情報の提供,中華料理その他の東洋料理を主とする飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供,保育所の提供に関する指導・助言・情報の提供,保育所における乳幼児の保育に関する指導・助言・情報の提供,一時宿泊施設の提供のための受付及び案内(到着及び出発の管理)に関する指導・助言・情報の提供,顧客のためのホテルにおける宿泊施設の提供に関する指導・助言・情報の提供,常連の顧客優遇プログラムを特色とするホテルにおける宿泊施設の提供に関する指導・助言・情報の提供,特別な日のための社交行事用の施設の貸与に関する指導・助言・情報の提供,会議・展示会及びミーティングのための施設の提供に関する指導・助言・情報の提供,椅子・テーブル・テーブル用リネン・ガラス食器の貸与に関する指導・助言・情報の提供,会議室の貸与に関する指導・助言・情報の提供」を指定役務として,同年7月3日に登録査定され,同月21日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同第10号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標等
(1)申立人が,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する国際登録第1010327号商標(以下「引用商標」という。)は,「ARGUS」の欧文字を横書してなり,2008年11月21日にUnited Kingdomにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,2009年(平成21年)5月21日に国際商標登録出願,第9類「Electronic publications; all of the aforesaid relating to the fields of energy, commodities, transportation and emissions.」,第16類「Printed matter; printed publications; newsletters, bulletins, reports; user and instruction manuals; printed instructional and educational materials; posters, diaries, calendars; all of the aforesaid relating to the fields of energy, commodities, transportation and emissions.」第35類「Provision of on-line business and commercial information; business research; business investigations; business research and analysis; market research and analysis; compilation, preparation and provision of statistical information; provision of business data via an on-line Website and CD ROMs; business data retrieval services; all of the aforesaid relating to the fields of energy, commodities, emissions and transportation of energy, commodities and emissions.」,第36類「Pricing information services in the fields of energy, transportation, commodities and emissions; providing pricing information in the nature of pricing guidelines and price quotations relating to the fuel and energy industries; creation, administration, assessment, publication, quotation and provision of prices and indices relating to the fuel and energy industries; pricing services, namely, providing spot and average daily price indices for energy and fuel products; on-line financial information services relating to the fields of energy, transportation, commodities and emissions.」,第38類「Transmission and communication of information, images and data, transmission of statistics, index figures, commodity prices and other economic data by all kinds of electronic, telecommunication and on-line media; communication services, namely the transmission of audio and visual recordings through streaming; providing access and leasing time to computer databases; providing access time to computer databases; all of the aforesaid relating to the fields of energy, commodities, transportation and emissions.」,第41類「Educational, teaching and training services; arranging and conducting of conferences and seminars; publishing services; providing on-line non-downloadable publications; news reporting services; production and provision of television programs and radio programs; arranging and conducting of seminars on-line; all of the aforesaid relating to the fields of energy, commodities, transportation and emissions.」及び第42類「Customisation of computer software; design, installation, maintenance and/or updating of computer software; rental of computer software products for purposes of database interrogation; computer time sharing; all of the aforesaid relating to the fields of energy, commodities, transportation and emissions.」を指定商品及び指定役務として,平成24年8月31日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
(2)申立人が,本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当するとして引用する商標は,「Argus」の文字からなるものであり,資源価格の指標の分野において申立人の略称として使用されており,周知であると主張するものである(以下「申立人商標」という。)。
2 商標権者について
本件商標の商標権者は,申立人と特段関係のある者ではない。
3 申立人商標について
(1)申立人について
申立人は,国際資源価格の指標提供の分野で世界最大規模の企業である。1970年に,国際石油市場における価格及び需給動向を専門とする調査会社として発足して以来,天然ガス,LPガス,石炭,電力,排出権など,その調査対象を広げ,米DeWitt社,英FMB社,英Metal-Pages社などを傘下に収め,その活動範囲を石油化学市場,化学肥料市場,金属・レアアース市場にまで広げている。
現在,120種類以上の定期情報サービスを通じて,10,000種類を超える価格指標と需給動向及びその変動要因の調査分析を提供しており,これらの価格指標は,各資源商品の国際取引における決済価格として多くの契約において採用されるほか,取引ポジションや在庫の時価評価,リスクヘッジを目的とする金融商品の決済指標としても広く利用されている。
世界主要約30都市に配置した専門アナリストによる継続的な調査分析は,定期更新されるビジネスインテリジェンスとして,また,個別のニーズを満たすコンサルティング・サービスとして提供され,多くの顧客企業の戦略策定や意思決定をサポートしており,そうした調査分析業務を通じて構築する国際ネットワークを活用し,知見の共有を目的とする国際コンファレンスも開催している。
(2)申立人による申立人商標の使用
申立人商標は,申立人名称の主要部を構成しており,申立人にとって極めて重要な商標である。申立人は,自社サービスに関する日本語版のウェブサイトを運営しているところ,該ウェブサイトの中で,申立人自身が,随所で「Argus」のみをもって申立人を指称する商標として用いており(甲4),また申立人以外にも,例えば,トムソンロイター社が運営し,専門家向けの情報を提供するウェブサイトにおいて,申立人のことを「Argus」社として紹介している(甲5)。このように,申立人商標は,資源価格の指標の分野において申立人の略称として広く認識されており,周知であることがうかがえる。
また,申立人の本社はイギリスにおいて1970年に発足しているが,2005年には同社の日本支局が開設されており(甲6),ウェブサイトにおいて確認できるように,同支局は,申立人商標を使用して,2011年1月より報道機関宛に各種のプレスリリースを発行している。そして,これらのプレスリリースの内容としては,申立人の提供する新たなサービスについての発表の他,同社の提供するエネルギー価格指標が国際エネルギー機関(IEA)や石油輸出国機構(OPEC)といった国際機関や,シンガポール証券取引所(SGX),香港証券取引所(HKEX)といった各国の重要施設に採用された実績について発表するものもあり(甲7),同社の提供するエネルギー指標が国際的に,広い分野において採用されていることが確認できる。
このように,申立人商標は,申立人会社設立以来,申立人名称の略称として使用されており,本件商標が出願された平成29年1月25日に至るまで継続して資源価格の指標分野のサービスを提供し,該サービスは需要者・取引者から高い評価を得て,広く親しまれ,周知となっていた。また,現在においても,その周知性が失われるような事情は見受けられない。
4 商標法第4条第1項第11号について
(1)申立人は,日本国において引用商標を有し,現在においても有効に存続している(甲3)。
(2)引用商標は,本件商標の出願日(平成29年1月25日)より前の,平成20年11月21日を優先日とする国際商標登録であり,本件商標に係る指定役務中,第36類の指定役務が,引用商標に係る指定役務の一部と類似である。
(3)本件商標について
ア 外観上の特徴
本件商標は,上段の欧文字「ARTUS」及びこれらの文字の2分の1程の大きさで表された下段の「-K11-」の構成からなる。
イ 称呼上の特徴
本件商標からは,構成文字に相応して「アータスケイジューイチ」,「アルタスケイジューイチ」等の称呼が生じ得る。しかし,本件商標の場合,上記のごとく構成であること,下段の文字が簡単な記号であり,ハイフン(-)がメインタイトルを補助するためのサブタイトル等に頻繁に使用される副次的な記号であること,上段の文字が下段の文字のほぼ二倍の大きさで表されていること等を考慮すれば,簡易迅速を尊ぶ商取引の実際において,下段の文字は,取引者・需要者によって無意識に捨象されてしまう可能性が高く,取引者・需要者は,上段の「ARTUS」部分を出所標識として認識し取引にあたる可能性が高い。すなわち,本件商標において,下段の「-K11-」は上段の「ARTUS」に比して極めて自他役務識別力が弱く,本件商標の要部は,上段の「ARTUS」であると考えられる。したがって,本件商標からは,通常,上段の構成要素のみに着目して「アータス」,「アルタス」といった称呼が生じるものと考えられる。
ウ 観念上の特徴
本件商標中,上段の「ARTUS」は造語であり,特定の観念を想起させるものではない。また,下段の「-K11-」についても簡単な記号であり,特定の観念を想起させるものではない。したがって,本件商標は,商標全体として,特定の観念を想起させるものではないと考えられる。
(4)引用商標について
ア 外観上の特徴
引用商標は,欧文字「ARGUS」をありふれた書体で同書同大同間隔にて横一列に書してなる。
イ 称呼上の特徴
引用商標からは,構成文字に相応して「アーガス」,「アルガス」との称呼が生じる。
ウ 観念上の特徴
「ARGUS」という単語については,男性の名前,ギリシヤ神話上の生き物,鳥の種類等複数の意味合いを有するものの,いずれについても一般的な日本人になじみのあるものとはいえず,直ちに特定の観念を想起させるものとはいえないと考えられる。
(5)両商標の対比
ア 外観上の類似性
上述のように,本件商標を構成する上段下段の構成要素の大きさの違いやそれぞれの構成要素のもつ識別力を考慮すれば,本件商標の要部は,上段の「ARTUS」であると考えられる。一方,引用商標は,欧文字「ARGUS」をありふれた書体で同書同大同間隔にて横一列に書してなる構成である。両商標の外観を対比すると,本件商標の上段部分「ARTUS」と,引用商標「ARGUS」とは,いずれも欧文字5文字からなる構成であり,そのうち,外観における類否判断において重要な要素を占める語頭の文字を含め,4文字において共通している。3文字目においてのみ相違しているが,時と場所を異にして類否判断を行う離隔観察においては,中間の文字におけるこのわずかな相違は捨象されやすく,本件商標と引用商標とは,外観において,非常に近似した印象を与える。
イ 称呼上の類似性
本件商標の要部である上段部分からは「アータス」又は「アルタス」との称呼が生じ,一方,引用商標からは,「アーガス」又は「アルガス」との称呼が生じる。本件商標から生じる称呼と,引用商標から生じる称呼を対比すると,差異点は,中間の「夕」と「ガ」である。この「タ(ta)」,「ガ(ga)」はいずれも五十音表におけるア段に属し,母音を共通にすることを踏まえれば,両商標を一連一体に一気に称呼した場合,上記相違音は明瞭には聴取されず,称呼全体の語感,語調は非常に近似したものとなる。加えて,上述のとおり,両商標は外観も非常に近似しているため,需要者・取引者は,両商標を近似の印象をもって称呼することとなり,該事実が,より一層称呼上における近似の印象を高めることに資する。よって,両商標は,時と場所を異にして称呼を対比した場合,称呼上,相紛れるおそれがある。
ウ 観念上の類似性
本件商標からは特定の観念が想起されない。また,引用商標についても,上述のように,直ちに特定の観念を想起させるものではない。よって,両商標は,特定の観念を想起させるものではないため,観念上対比すべくもない。
エ 商標全体の類似性
商標の類否判断においては,両商標の外観,称呼,観念を観察し,それらが取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に観察すべきであって,上記3要素の特定の一つの対比のみによってなされるべきものではないところ,本件のように,たとえ,観念において相紛れるおそれがないとしても,外観,称呼が著しく近似している場合,需要者・取引者に与える印象,記憶,連想等が近似することとなり,両商標を類似の役務に使用した場合,役務の出所に誤認混同を生じるおそれがある。
したがって,本件商標と引用商標は,たとえ,観念において相紛れるおそれがないとしても,上述のとおり,外観,称呼において極めて近似しているため,両商標を類似の役務に使用した場合,役務の出所に誤認混同を生じるおそれのある類似の商標である。よって,本件商標登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから,取り消されるべきである。
5 商標法第4条第1項第10号について
上述のとおり,申立人商標は,その第36類の指定役務との関係において,申立人の業務に係るものを示すものとして,主たる取引者・需要者の間に広く認識されている実情が認められる。そして,本件商標は,申立人商標との関係において,外観及び称呼において相紛らわしいものである。すなわち,本件商標は,申立人商標に類似する商標であって,その役務に類似する役務について使用をするものである。
上記の点から,本件商標がその第36類の指定役務について使用され,日本市場において取引に資される場合には,取引者・需要者に出所の混同を生じせしめるおそれが極めて高いと思料される。
したがって,本件商標登録は,商標法第4条第1項第10号に違反してなされたものであるから,取り消されるべきである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)申立人商標の周知性について
申立人が提出した甲各号証及び主張によれば,申立人である「Argus Media Limited」は,1970年に発足し,国際資源価格の指標提供に係る役務を行っている企業であるところ(甲4),2005年には,同社の日本支局が開設されている(甲6)。
そして,申立人商標は,申立人名称の冒頭部分の構成文字と同一であり,同社の日本語版のウェブサイト(甲4)及び報道機関向けに紹介する「プレスリリース」(甲7)の中で,申立人商標が使用されている。
さらに,申立人以外の会社が運営し,専門家向けの情報を提供するウェブサイトにおいて,申立人のことを「Argus」社として紹介していることが確認できる(甲5)。
しかしながら,申立人の日本語版ウェブサイトや,そのウェブサイト上で自らが発行する「プレスリリース」がどの程度の顧客の目に触れたのかは明らかでなく,申立人以外の者による記事も1件にすぎず,また,申立人商標を使用した日本国内での役務の提供実績,広告実績等は不明であるといわざるを得ない。
そうすると,申立人商標である「Argus」が,本件商標の登録出願時及び登録査定時に,申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者・取引者の間で周知なものとなっていたと認めることはできない。
(2)本件商標と申立人商標との類否について
ア 本件商標
本件商標は,別掲のとおり,「ARTUS」の欧文字を大きく横書きし,その下に,小さく点線で表された「K11」の文字及び数字を,短い横線で挟んで配置してなるものであるところ,「ARTUS」の文字部分は,大きな文字で上段に顕著に表されていることから,独立して自他役務識別機能を有する要部と判断できるものである。そして,本件商標は,全体から生じる「アータスケイジューイチ」,「アルタスケイジューイチ」の称呼のほかに,要部と認められる「ARTUS」の文字に相応して「アータス」又は「アルタス」の称呼をも生じるものである。また,本件商標は,我が国で親しまれた語ではないから,特定の観念を生じないものである。
イ 申立人商標
申立人商標は,「Argus」の欧文字からなり,その構成文字に相応して「アーガス」又は「アルガス」の称呼を生じ,また,我が国で親しまれた語ではないから,特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と申立人商標との類否
本件商標と申立人商標を比較すると,外観においては,全体の構成態様,構成文字は明らかに相違するものである。また,本件商標の要部と認められる「ARTUS」の文字部分と申立人商標を比較すると,共に比較的短い5文字で構成され,共通するのは語頭の「A」のみであり,他の文字は大文字と小文字の差異を有するばかりでなく,3文字目において,別異の欧文字と容易に認識される「T」と「g」の文字の差異を有することからすれば,その外観は明確に区別できるものといえる。そうすると,両者はその構成文字が明らかに相違するものとして看取され,外観上,判然と区別できるものである。
次に,称呼においては,本件商標の要部から生じる「アータス」又は「アルタス」の称呼と,申立人商標から生じる「アーガス」又は「アルガス」の称呼とを,それぞれ比較すると,いずれも,第3音目の「タ」と「ガ」の音に差異を有するところ,両音は,清音と濁音という異なった音質の音であって,いずれも4音という短い音構成であることからすれば,この差異が両称呼の全体の音調,音感に及ぼす影響は大きいものであり,また,本件商標から生じる「アータスケイジューイチ」又は「アルタスケイジューイチ」と,申立人商標から生じる「アーガス」又は「アルガス」とは,構成音において明らかに相異するものであるから,両者は,称呼上,明確に聴別できるものである。
また,観念においては,いずれも特定の観念を生じないものであるから,両者を比較することはできない。
してみれば,本件商標と申立人商標は,観念において比較できないとしても,外観及び称呼において明らかに相違するものであるから,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(3)小括
以上のとおり,申立人商標は,申立人の業務に係る役務を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものであり,また,本件商標と申立人商標は,非類似の商標である。
そうすると,本件商標は,他人(申立人)の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって,その役務又は類似する役務について使用をするものということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標との類否について
ア 本件商標
本件商標は,別掲のとおり,「ARTUS」の欧文字を大きく横書きし,その下に,小さく点線で表された「K11」の文字及び数字を,短い横線で挟んで配置してなるものであるところ,上記1(2)アのとおり,本件商標は,全体から生じる「アータスケイジューイチ」,「アルタスケイジューイチ」の称呼のほかに,要部と認められる「ARTUS」の文字に相応して「アータス」又は「アルタス」の称呼をも生じるものである。また,本件商標は,我が国で親しまれた語ではないから,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は,前記第2の1(1)のとおり,「ARGUS」の欧文字を横書してなり,その構成文字に相応して「アーガス」又は「アルガス」の称呼を生じ,また,我が国で親しまれた語ではないから,特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標を比較すると,外観においては,全体の構成態様,構成文字は明らかに相違するものである。また,本件商標の要部と認められる「ARTUS」の文字部分と引用商標を比較すると,共に比較的短い5文字で構成され,その3文字目において別異の欧文字と容易に認識される「G」と「T」の文字の差異を有することからすれば,その外観は明確に区別できるものといえる。そうすると,両者はその構成文字が明らかに相違するものとして看取され,外観上,判然と区別できるものである。
次に,称呼においては,本件商標の要部から生じる「アータス」又は「アルタス」と,引用商標から生じる「アーガス」又は「アルガス」とを,それぞれ比較すると,いずれも,第3音目の「タ」と「ガ」の音に差異を有するところ,両音は,清音と濁音という異なった音質の音であって,いずれも4音という短い音構成であることからすれば,この差異が両称呼の全体の音調,音感に及ぼす影響は大きいものであり,また,本件商標から生じる「アータスケイジューイチ」又は「アルタスケイジューイチ」と,引用商標から生じる「アーガス」又は「アルガス」とは,構成音において明らかに相異するものであるから,両者は,称呼上,明確に聴別できるものである。
また,観念においては,いずれも特定の観念を生じないものであるから,両者を比較することはできない。
してみれば,本件商標と引用商標は,観念において比較できないとしても,外観及び称呼において明らかに相違するものであるから,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(2)小括
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)申立人の主張について
申立人は,「本件商標の上段部分『ARTUS』と,引用商標『ARGUS』とは,いずれも欧文字5文字からなる構成であり,そのうち,外観における類否判断において重要な要素を占める語頭の文字を含め,4文字において共通している。3文字目においてのみ相違しているが,時と場所を異にして類否判断を行う離隔観察においては,中間の文字におけるこのわずかな相違は捨象されやすく,本件商標と引用商標とは,外観において,非常に近似した印象を与える。・・・本件商標から生じる称呼と,引用商標から生じる称呼を対比すると,差異点は,中間の『夕』と『ガ』である。この『タ(ta)』,『ガ(ga)』はいずれも五十音表におけるア段に属し,母音を共通にすることを踏まえれば,両商標を一連一体に一気に称呼した場合,上記相違音は明瞭には聴取されず,称呼全体の語感,語調は非常に近似したものとなる。」旨主張している。
しかしながら,本件商標の要部と認められる「ARTUS」の文字部分と引用商標は,上記(1)ウのとおり,外観及び称呼において明確な差異を有するものとみるのが相当であるから,両商標は,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり,上記主張は採用できない。
3 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第10号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定によって,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標)


異議決定日 2018-04-13 
出願番号 商願2017-6282(T2017-6282) 
審決分類 T 1 652・ 25- Y (W36)
T 1 652・ 261- Y (W36)
T 1 652・ 262- Y (W36)
T 1 652・ 263- Y (W36)
最終処分 維持 
前審関与審査官 安達 輝幸 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 鈴木 雅也
木住野 勝也
登録日 2017-07-21 
登録番号 商標登録第5965532号(T5965532) 
権利者 ケーイレブン グループ リミテッド
商標の称呼 アルタスケイジューイチ、アルタスケイイチイチ、アルタスケーイレブン、アータスケイジューイチ、アータスケイイチイチ、アータスケーイレブン、アルタス、アータス、ケイジューイチ、ケイイチイチ、ケーイレブン 
代理人 杉村 憲司 
代理人 伊東 忠重 
代理人 西尾 隆弘 
代理人 門田 尚也 
代理人 中山 健一 
代理人 杉村 光嗣 
代理人 大貫 進介 
代理人 伊東 忠彦 
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