• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X38
管理番号 1339277 
審判番号 取消2016-300113 
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-02-17 
確定日 2017-06-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5329411号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5329411号商標の指定商品及び指定役務中、第38類「電気通信(放送を除く)」についての登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5329411号商標(以下「本件商標」という。)は、上段に「ATBB」の欧文字及び下段に「アットビービー」の片仮名を二段に横書してなり、平成22年2月12日に登録出願、第38類「電気通信(放送を除く。)」及び第9類、第16類、第35類ないし第37類、第39類、第41類、第42類並びに第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年6月11日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成28年3月2日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由、答弁に対する弁駁、平成29年3月1日付け口頭審理陳述要領書による陳述において、次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第38類「電気通信(放送を除く。)」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の提出した審判事件答弁書における「答弁の理由」には、「使用状況」として、本件商標を使用しているサービスの内容が示されているものの、これらが具体的にどのような役務の提供であるのかが明らかにされていない。
(2)「使用状況」の記載中、役務の提供に関するものとして「会員不動産会社は、手持ちの物件情報を『ATBB』に登録することによって公開することができ、当該公開によって物件成約のチャンスを高めることができる。」とある。このサービスは、インターネット上のサイトで不動産に関する情報を会員不動産会社及びエンドユーザーに公開することを内容とするものであるから、第36類の「建物又は土地の情報の提供」に該当することは明白である。
よって、ここに示された役務の提供は、本件審判の請求に係る指定役務とは無関係である。
(3)「使用状況」に「『ATBB』においては、オプションとして『顧客管理』サービスを提供しているところ、当該サービスには、エンドユーザー向けのサイトからの反響メールに記載されているお客様情報(特定のエンドユーザーの情報)を自動で取り込み、返信メールを会員不動産会社に代わって自動送信して早期の対応を行うことによって、会員不動産会社の印象を高めることを目的とするものである。特に、マッチング検索機能を使えば、エンドユーザーが希望条件を登録した後、これとマッチする新着情報がアップされた際に、当該不動産会社の名前で当該エンドユーザーに自動的にメール等が配信され、見込み客を囲い込むことが期待できるものである。」との記載がある。
この記載から、エンドユーザーが登録した希望条件をコンピュータで処理し、これとマッチする情報を探知するということを行っているといえる。すなわち、ここでは、「コンピュータを用いた情報処理」という役務を提供している。
そして、この「コンピュータを用いた情報処理」という役務は、国際分類の第42類に属するものなので、本件審判の請求に係る指定役務とは無関係な役務の提供である。
さらに、「新着情報がアップされた際に、当該不動産会社の名前でエンドユーザーに自動的にメール等が配信され」とあり、ここにいう新着情報とはエンドユーザーが希望する条件に合った不動産情報であるから、この役務は、国際分類の第36類の「建物又は土地の情報の提供」であるといい得る。よって、ここに示された役務の提供も、本件審判の請求に係る指定役務とは無関係である。
なお、被請求人は、「建物又は土地の情報の提供」を電子メールで送信していることをもって、本件審判の請求に係る指定役務を行っていると言いたいのかもしれないが、これは明らかに誤解である。このような行為は、例えば、不動産会社のために不動産情報を印刷したパンフレット等を封筒に入れて特定のエンドユーザーに送付することと何ら代わるところがなく、単に「送付」という部分を「電子メールによる送信」に置き換えたに過ぎないといえる。そして、前記した例のようなパンフレット等の送付の代行が第39類の「信書の送達」という役務の提供に該当しないことと同様、被請求人が「建物又は土地の情報の提供」を電子メールで行うことも本件審判の請求に係る指定役務に該当しないことは明白である。
(4)「使用状況」に「『顧客管理』サービスには、『アットホーム(不動産総合情報サイト)』経由で、エンドユーザーから物件に関する問い合わせがあった場合には、会員不動産会社に代わって、当該エンドユーザーにサンキューメールを自動配信するサービスもある。」と記載されている。エンドユーザーにサンキューメールを自動配信する行為も、先に述べた例と同様に考えることができる。
すなわち、これは、御礼文書の作成を代行すると共に、作成した文書を紙に印刷し、これを封筒に入れて送付の代行をするという行為と何ら代わるところがなく、単に「送付」の部分を「電子メールによる送信」に置き換えたに過ぎない。そして、このような行為が第39類の「信書の送達」という役務の提供に該当しないことと同様、サンキューメールの自動配信という行為も本件審判の請求に係る指定役務には該当しないことが明白である。
さらに、不特定多数の者に対し、所定の情報を送信するという役務の提供であれば、被請求人が主張する「他の者ヘメッセージを伝達する役務」として、第38類の「電気通信(「放送」を除く。)」に該当するかもしれないが、エンドユーザーという特定の者ごとに電子メールを用いて情報を送信するという行為は、明らかに第38類の「電気通信(「放送」を除く。)」には、該当しないと思料される。
(5)なお、仮に、エンドユーザーにサンキューメールを自動配信する行為が本件審判の請求に係る指定役務に該当するとしても、被請求人は、当該行為に本件商標を使用しているとはいえない。サンキューメールを自動配信しているのは、あくまでもエンドユーザーに対してであり、不動産会社に対するものではない。そして、被請求人が提出した証拠をみると、本件商標は、不動産業務の総合支援として不動産会社に対する役務の提供にしか使用されていない。すなわち、エンドユーザーは、基本的にアットホーム株式会社が運営する不動産総合情報サイトである「athome」を閲覧し、当該サイトにおいて種々の情報のやり取りをするようになっている。また、サンキューメールについても、会員不動産会社に代わって、不動産会社の印象を高めることを目的とするものであることからすると、当然にサンキューメールに「ATBB」の文字は示されていない。エンドユーザーは、サンキューメールを受信しても、本件商標を認識する機会はないのであるから、本件商標が電子メールの受け手であるエンドユーザーに対して使用されているといえず、ひいては、サンキューメールの自動配信という行為に対し本件商標が使用されていないことは明白である。
(6)以上のとおり、被請求人が本件商標の下で提供している役務は、いずれも第38類の「電気通信(「放送」を除く。)」に該当せず、故に、被請求人は、本件商標を本件審判の請求に係る指定役務に使用しているとはいえない。
また、仮に被請求人が主張するエンドユーザーに対するサンキューメールの配信が本件審判の請求に係る指定役務に該当するとしても、電子メールの受け手であるエンドユーザーに対して、本件商標を使用していないのであるから、いずれにしても被請求人が本件審判の請求に係る指定役務に本件商標を使用しているとはいえない。
3 平成29年3月1日付け口頭審理陳述要領書による陳述
(1)商標法には、「役務」について定義規定は設けられていないが、学説・判例等により、他人のためにする労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものと解されている。すなわち、商標法上の「役務」というためには、それ単独で商取引の目的として機能する独立性を備えていることが必要となる。
したがって、役務の提供等に付随して行われる、例えば、飲食店による注文料理の出前、小売店による商品の配送等といったものは、法上の「役務」に該当しないとされている(東京高裁平成11年(行ケ)第390号(甲1))。
(2)陳述要領書の【5】1.(1)には、本件商標の通常使用権者が不動産支援サイト「アットビービー/ATBB」において無料電話サービスを提供している旨の記載がなされている。
しかしながら、このサービスは、あくまでも「アットビービー/ATBB」のサイトにIDとパスワードを入力することで、無料でかけられる電話番号が生成されるにすぎない。そして、その後は、生成された電話番号によっていわゆるNTTが提供している電話回線を用いて普通に電話をかけることになるので、第38類の「電話による通信」という役務を提供しているのは、まさにNTTであって、本件商標の通常使用権者が提供しているとは到底いい得ない。
さらに、このサービスは、第36類の「建物又は土地の情報の提供」という役務の提供をしている不動産支援総合サイト「アットビービー/ATBB」に付随するものであって、役務としての独立性を備えていないので、そもそも商標法上の「役務」に該当しない。この点、当該サービスが「建物又は土地の情報の提供」という役務とは別に対価が支払われるものなのかについて、証拠が提出されていないため明らかではないが、常識的に考えて無料電話をかけるサービスに対価を要求するとは考えにくいので、おそらく「建物又は土地の情報の提供」という役務の対価の範囲内で行われる付随的なサービスであると思われる。そうすると、当該サービスは、それ単独で商取引の目的として機能する独立性を備えていないのであるから、商標法上の「役務」に該当しないことは明白である。
(3)さらに、陳述要領書【5】1.(2)をみると、本件商標の通常使用権者は、不動産支援サイト「アットビービー/ATBB」において、自身のファックスサーバーを駆使してFAX送信、メール送信サービスを提供していることが明らかにされている。
しかしながら、このサービスも、第36類の「建物又は土地の情報の提供」という役務に付随するサービスにすぎず、商標法上の役務としての独立性を備えていない。乙第17号証をみると、最初の頁に「ATBBご利用マニュアル」「不動産業務総合支援サイト」と記載されており、ここから、当該書証は、第36類の「建物又は土地の情報の提供」に該当する不動産支援サイトの使用方法を説明するマニュアルであることが明らかになる。さらに、乙第17号証のP33をみると、「必要事項を入力し<FAX送信>または<メール送信>をクリックすると、検索結果のチェック欄にチェックマークが付いている物件のファクトシート(ファクトシートがない物件はインフォシート)をFAXまたはメールで送信できます。」と記載されている。そして、乙第17号証のP31、P32をみると、「ファクトシート」「インフォシート」とは、不動産情報を掲載したシートであることが明らかになる。したがって、このサイトで行われるFAXまたはメールの送信は、不動産情報を元付会社が客付会社に送信することを主目的として行われるものであり、まさに、本件商標の通常使用権者が「建物又は土地の情報の提供」をするためのものであって、当該サービスは、「建物又は土地の情報の提供」において、顧客を誘引し、利用を促進させるための手段の1つにすぎない。また、このサービスについての有償性についての証拠が提出されていないので明らかではないが、おそらく「建物又は土地の情報の提供」という役務の対価の範囲内で行われる付随的なサービスであると思われる。そうすると、当該サービスも、それ単独で商取引の目的として機能する独立性を備えていないのであるから、商標法上の「役務」に該当しないことは明白である。
(4)最後に、「『エンドユーザーに対してサンキューメールを自動配信するサービス』についてであるが(乙10)、自動送信するメールの内容は、不動産会社が独自に作成することができるものである(乙10、乙20)。」との主張が示されている。
しかしながら、仮にメールの内容をユーザーが自ら決定し作成するものであるとしても、予め定められたフォーマットにその内容を記載するものにすぎないであろうから、やはり、第35類の「顧客への電子メールの送信事務代行」に該当する。
さらに、このサービスも前述のサービス同様、第36類の「建物又は土地の情報の提供」に該当する不動産支援サイトの付随的なサービスであって、独立した商取引の目的として機能するものとはいえないから、商標法上の「役務」に該当しないことは明白である。
なお、陳述要領書には、商品又は役務の二面性についての言及がなされているが、前述のとおり、このサービスは、そもそも商標法上の「役務」に該当しないと解されるので、二面性について考える余地はない。
(5)以上のとおり、被請求人が本件商標の下で提供している役務は、いずれも第38類の「電気通信(「放送」を除く。)」には該当しない。よって、本件商標の通常使用権者は、本件商標を本件審判の請求に係る指定役務に使用しているとはいえない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由及び平成29年2月15日付け口頭審理陳述要領書による陳述において、次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証を提出した。
1 答弁の内容
(1)使用状況
本件商標権者は、1967年に設立されたアットホーム株式会社が2008年に行った、事業部門及びその他の管理部門の会社分割によって設立された法人であって、アットホームグループを統括している(乙1?乙3)。
本件商標権者の傘下にあるアットホーム株式会社は、大きく分けて、「不動産会社間情報流通サービス」、「消費者向け不動産情報サービス」、「不動産業務支援サービス」の3つの事業を行っているところ(乙1)、本件商標を使用したサービスは、上記「不動産会社間情報流通サービス」に属するものである。本件商標は、不動産業務総合支援サイトの名称であって、インターネット上で「物件情報の入手」、物件情報の登録・公開、リーフレットの作成、広告転載等の「物件情報の管理・ネットへの公開」、成功事例の入手、マンションパンフレットの入手等の「不動産の調査」、「利用状況の確認」の他にオプションとして「顧客管理」が行える、会員不動産会社専用のサービスの商標である(乙4)。アットホーム株式会社が本件商標を使用してサービスの提供を開始したのは、2008年11月(「顧客管理」サービスの提供を開始したのは2011年10月)であって(乙5)、そのサービスの内容は以下のとおりである。
会員不動産会社は、手持ちの物件情報を「ATBB」に登録することによって公開することができ、当該公開によって物件成約のチャンスが高まることが期待できる。
なお、公開の方法には、ATBBのみに公開(会員不動産会社間でのみ公開)、ATBBとアットホーム株式会社が運営する「アットホーム(不動産総合情報サイト)」及び提携・公開サイトにおいて公開(会員不動産会社、エンドユーザーに公開)、「アットホーム(不動産総合情報サイト)」及び提携・公開サイトにおいて公開(エンドユーザーに公開)、会員不動産会社のホームページに公開(エンドユーザーに公開)、の4種類がある(乙4)。
上記のとおり、「ATBB」においては、オプションとして「顧客管理」サービスを提供しているところ、当該サービスは、エンドユーザー向けのサイトからの反響メールに記載されているお客様情報(特定のエンドユーザーの情報)を自動で取り込み、返信メールを会員不動産会社に代わって自動送信して早期の対応を行うことによって、会員不動産会社の印象を高めることを目的とするものである。特に、マッチング検索機能を使えば、エンドユーザーが希望条件を登録した後、これとマッチする新着情報がアップされた際に、当該不動産会社の名前で当該エンドユーザーに自動的にメール等で配信され、見込み客を囲い込むことが期待できるものである(乙4?乙9)。
また、「顧客管理」サービスには、「アットホーム(不動産総合情報サイト)」経由で、エンドユーザーから物件に関する問い合わせがあった場合には、会員不動産会社に代わって、当該エンドユーザーにサンキューメールを自動配信するサービスもある(乙10、乙11)。
(2)使用している役務と「電気通信」との関係
「商品及び役務の区分解説(特許庁商標課編)」においては、その第38類の「電気通信」について、「他の者ヘメッセージを伝達するサービス」が含まれる旨が明記されている(乙12)。
上記(1)において説明した、アットホーム株式会社が提供している「顧客管理」サービスは、この「他の者ヘメッセージを伝達するサービス」に該当するものであって、「電気通信」に含まれるものである。
(3)本件商標と使用商標との関係
本件商標は、「ATBB」の欧文字と「アットビービー」の片仮名を上下二段に併記した構成からなるところ、乙第4号証ないし乙第10号証として提出する使用証拠において示すアットホーム株式会社の使用する商標は上段に「アットビービー」の片仮名を、下段に「ATBB」の欧文字を書した標章(以下「使用商標」という。)であり、本件商標と使用商標とは、「ATBB」の欧文字と「アットビービー」の片仮名を上下逆転させたのみの相違を有する態様のものであって、商標法第50条第1項における「社会通念上同一と認められる商標」に該当することは明らかである。
(4)使用の時期について
乙第4号証ないし乙第10号証の発行時期は、2014年11月から2016年2月の期間である。したがって、本件商標を本審判の予告登録日の前3年以内に使用していることは明らかである。
(5)商標権者と使用者との関係
本件商標の使用者であるアットホーム株式会社は、本件商標権者の傘下に属する法人であって、両者間には、本件商標の黙示の使用許諾がなされているものであり、アットホーム株式会社の使用行為は、通常使用権者の使用行為である。
(6)まとめ
以上より、被請求人は、そのライセンシーであるアットホーム株式会社を通じて、本審判の請求の予告登録前3年以内に、我が国において、本件商標と社会通念上同一性を有する商標を、取消請求に係る役務について使用していることを証明したので、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取消されるべきものではない。
2 平成29年2月15日付け口頭審理陳述要領書による陳述
(1)乙第14号証ないし乙第16号証は、通常使用権者が提供している不動産業務総合支援サイト「アットビービー/ATBB」において提供している無料電話サービスであって、特定の不動産物件情報を掲示している元付会社に対して、当該物件に興味を持つ顧客を持つ客付会社が無料で電話問い合わせができるサービスについての証拠である。当該サイトにIDとパスワードを入力してログインし、連絡を取りたい物件の「無料電話」ボタンをクリックすると、元付会社への電話番号が生成され、電話機から発信することで無料通話を行うことができるものである。当該サイト及び役務パンフレット等において本件商標を使用しているものであるから、当該使用行為は商標法第2条第3項第7号及び同項第8号に該当するものである。
(2)乙第17号証は、通常使用権者が提供している不動産業務総合支援サイト「アットビービー/ATBB」において、自身のファックスサーバーを駆使して提供しているFAX送信、メール送信サービスについての証拠であって、例えば、特定の不動産物件情報を掲示している元付会社が、当該物件に興味を持つ顧客を持つ客付会社(あるいは興味を持つ顧客)に対して、任意の文面に物件の資料等を添付して送信することができるサービスである。当該サイトにIDとパスワードを入力してログインし、資料を送信したい物件の「詳細」ボタンをクリックして「FAX・メール指示」ボタンをクリックすると送信画面が開くので、これに件名、本文を入力して送信ボタンをクリックすると指定先に送信されるものである。過去の審決においては、インターネットを利用してパソコン等から入力された文章や図面を指定されたファックスに送信する役務を第38類の「電子計算機端末による通信、ファクシミリによる通信、電子計算機端末の通信ネットワークの提供、電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」の範疇に属する役務であると認定しているところ(乙18、乙19)、上記FAX送信、メール送信サービスもこれと同様のサービスであって、第38類の「電気通信(「放送」を除く。)」に該当するものである。
なお、当該サイト及び役務パンフレット等において本件商標を使用しているものであるから、当該使用行為は商標法第2条第3項第7号及び同項第8号に該当するものである。
(3)暫定的見解等について
答弁書において言及した、「エンドユーザーに対してサンキューメールを自動配信するサービス」についてであるが(乙10)、自動送信するメールの内容は、不動産会社が独自に作成することができるものである(乙10、乙20)。当該役務は、利用者が任意に作成した文書を他者に送信できる環境を提供する役務であって、電磁的な方法により他の者ヘメッセージを伝達するサービスに該当するものであり、第38類の「電気通信(「放送」を除く。)」に含まれるものである。
なお、乙第18号証として提出する審決においても示されているように、商標法第6条第2項にいう「商品及び役務の区分」は、商標登録出願に際しての出願人の便宜及び審査の便宜を図るという行政的見地から分類したものであり、いずれの分類に属するか判断の極めて困難な商品や役務もあり、いずれか一つに属するとは決し難い商品や役務が出現した場合、不使用取消審判の場で、商品又は役務は常にいずれかの分類に属すべきものであって、二つの分類に属することはありえないとするのは相当でなく、登録商標の使用されている当該商品又は役務の実質に即して、それが真に二つの分類に属する二面性を有する商品又は役務であれば、当該二つの分類に属する商品又は役務について登録商標が使用されているものと扱って差支えないというべきであって、仮にサンキューメールの自動配信サービスが第35類「顧客への電子メールの送信事務代行」に該当するものであるとしても、当該役務は、第35類のみに該当するものではなく、第38類の「電気通信(「放送」を除く。)」にも属する二面性を有するものである。
(4)サンキューメールの自動配信サービスは、通常使用権者が提供している不動産業務総合支援サイトにおいて提供される役務であって、当該サイト及び役務パンフレット等において本件商標を使用しているものであるから、当該使用行為は商標法第2条第3項第7号及び同項第8号に該当するものである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証ないし乙第3号証は、アットホーム株式会社のウェブページの写しであるところ、アットホーム株式会社は、1967年12月に設立され、主に不動産会社間情報流通サービス、消費者向け不動産情報サービス及び不動産業務支援サービスを事業内容としている法人であり、2008年には、事業部門及びその他の管理部門の会社分割によって被請求人の傘下となった旨が記載されている。
(2)乙第4号証は、アットホーム株式会社が平成27年12月に発行した「Begin with“at home” 不動産業務支援サービスガイド」の写しである。当該書証の12ページには、「アットビービー/ATBB」(不動産業務総合支援サイト)の表題の下、「アットビービー/ATBB at home Business Base 『ATBB(不動産業務総合支援サイト)』は、インターネット上で物件情報の入手から管理・ネットへの公開まで行える、会員さま専用のサービスです。」と記載されている。
(3)乙第5号証は、アットホーム株式会社が平成25年7月に発行した「不動産流通のあゆみとアットホーム」と題する冊子の写しであり、当該書証の58ページにおいて、2008年「アットホームのあゆみ」の欄に、「11月10日『ATBB』全国提供スタート」と記載されている。
(4)乙第6号証及び乙第7号証は、アットホーム株式会社が平成26年11月及び同28年2月に発行した「アットビービー/ATBB/不動産業務総合支援サイト」と題する冊子の写しであるところ、その2葉目に「『ATBB』は、物件情報の登録・入手・公開・管理をはじめ、不動産調査などさまざまな不動産業務をインターネット上でフルサポートする会員専用のサービスです。」と記載されている。
(5)乙第8号証は、アットホーム株式会社が平成28年2月に発行した「athome NEWS」であり、「アットビービー/ATBB(不動産業務総合支援サイト)オプション」の表題の下、「顧客管理」として「アットホームサイトなどのポータルサイトからの反響メール内容を、顧客情報として自動でシステムに取り込み。自動返信メール機能によるエンドユーザーへのスピーディーな対応はもちろん、貴社内での情報共有など、成約にいたるまでの過程を一元管理できます。」の記載がある。
(6)乙第10号証は、アットホーム株式会社が平成27年9月に発行した「athome NEWS」であり、「アットビービー/ATBB『顧客管理』」の表題の下、「サンキューメール」として、「不動産総合情報サイト『アットホーム』」からメールで物件のお問い合わせがあった際、エンドユーザーへスピーディーにサンキューメールを自動返信できるサービスです。」との記載がある。
(7)乙第16号証は、アットホーム株式会社が平成26年11月に発行した「athome NEWS」の写しであるところ、「アットビービー/ATBB公開物件への電話問合せが『無料』で行えます!2014年11月26日(水)より」とあり、その下には、「ATBBに掲載されている物件の元付会社さまへお問合せする際、下記『無料電話』ボタンを押していただくと電話番号が発行され、無料で通話が行えます。」と記載されている。
(8)乙第17号証は、アットホーム株式会社が平成25年2月27日に発行した「ATBBご利用マニュアル」であり、32ページの「物件情報詳細」には、「物件のインフォシート」及び「物件のファクトシートを表示します」として、それぞれの下段にフォーマットは異なるものの、共に不動産情報が掲載されているシートの見本の図が記載されている。そして、33ページには、「FAX・メール指示」として、「必要事項を入力し<FAX送信>または<メール送信>をクリックすると、検索結果のチェック欄にチェックマークが付いている物件のファクトシート(ファクトシートが無い物件はインフォシート)をFAXまたはメール送信できます。」と記載されている。
2 上記1の認定事実を総合してみれば、以下のように判断することができる。
(1)使用権者及び使用時期について
アットホーム株式会社は、本件商標権者である被請求人をグループ統括会社とするグループ企業であることから、本件商標の使用について通常使用権者であるとみて差し支えないものである(乙1?乙3)。そして、通常使用権者であるアットホーム株式会社は、主に不動産情報サービスを提供する法人であり、「アットビービー/ATBB」という使用標章を使用した不動産業務総合支援サイトを、2008年11月から全国に提供しており(乙5)、当該サイトのガイドブックは、2014年11月から2016年2月の期間において発行されていることから(乙4、乙6、乙7)、当該サイトは要証期間に提供されたことが推認できる。
(2)使用商標について
使用商標は、上段に「アットビービー」の片仮名及び下段に「ATBB」の欧文字を配した構成からなるものであり、また、本件商標は、上段に「ATBB」の欧文字及び下段に「アットビービー」の片仮名を配した構成からなるものであるところ、両商標は、上下の配置が異なるものの、欧文字及び片仮名のつづりを同一にするものであるから、両者は称呼、観念を同一にする社会通念上同一の商標と認められるものである。
(3)本件商標の使用に係る役務について
通常使用権者が使用商標を使用しているのは、「不動産業務総合支援サイト」であり、当該サイトにおいて提供しているのは、インターネット上で不動産物件情報の入手から管理・ネットへの公開であるところ、当該サービスは「建物又は土地の情報の提供」の範ちゅうに属する役務であるといえる。
イ 被請求人は、当該不動産業務総合支援サイトにおいて、「エンドユーザーに対してサンキューメールを自動配信するサービス」、「特定の不動産物件情報を掲示している元付会社に対して、当該物件に興味を持つ顧客を持つ客付会社が無料で電話問い合わせができるサービス」「自身のファックスサーバーを駆使して提供しているFAX送信、メール送信サービス」(以下「被請求人サービス」という。)を行っており、これらは第38類の「電気通信(「放送」を除く。)」に含まれるものであると主張する。
ところで、商標法でいう役務とは、「他人のためにする労務又は便益であって、独立して商取引の対象たり得るもの」であり、第38類の「電気通信(放送を除く。)の役務とは「有線、無線その他の電磁的方法により、符合、音響又は映像を送り、伝え又は受けるサービス」(乙12)と解されるところ、上記被請求人サービスは、通常使用権者が、当該不動産業務総合支援サイトのオプションとして提供される「顧客管理」の一環として、物件について問い合わせを行ったエンドユーザーに対して予め設定した内容のメールを自動送信する機能、公開物件への問い合わせに限り、特定の電話番号に誘導し、その使用料金を問い合わせ者からは徴集しないとするサービス、ファクトシートまたはインフォシートと称する不動産情報を掲載したシートをFAXまたはメールにより送信するサービスと認められる。そして、これらのサービスは何れも不動産情報の提供、不動産情報を問い合わせた顧客への対応を目的とするものであることから、「建物又は土地の情報の提供」に付随するサービスと認められ、電子メール、電話及びFAX等は、「建物又は土地の情報の提供」を提供するにあたり単にツールとして使用しているに過ぎないと認められる。
また、他に被請求人等が、自己の業務として、他人のために、独立して通信事業を行っているものと認めるに足りる証拠の提出はない。
3 むすび
以上のとおりであるから、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務について、本件商標を使用していることを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、本件商標をその指定役務について使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定役務についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2017-04-27 
出願番号 商願2010-10000(T2010-10000) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X38)
最終処分 成立 
前審関与審査官 真鍋 恵美 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 小松 里美
田中 幸一
登録日 2010-06-11 
登録番号 商標登録第5329411号(T5329411) 
商標の称呼 アットビービー、エイテイビイビイ、アットビイビイ 
代理人 幡 茂良 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 小出 俊實 
代理人 橋本 良樹 
代理人 吉田 親司 
代理人 伊藤 浩二 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ