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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W35
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W35
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W35
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W35
管理番号 1338391 
異議申立番号 異議2017-900173 
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-26 
確定日 2018-02-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第5926049号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5926049号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5926049号商標(以下「本件商標」という。)は、「就活LINE」の文字を標準文字で表してなり、平成28年7月21日に登録出願、第35類「広告業,企業の人事・労務管理・求人活動・採用活動に関する助言及び指導,経営の診断又は経営に関する助言,インターネット又は携帯電話を利用した職業のあっせん又は人材の紹介,職業のあっせん,派遣社員の募集,求人情報の提供(人材派遣によるものも含む),求人情報の提供に関する指導及び助言,インターネットを利用した職業のあっせん及び求人情報の提供,コンピュータデータベースへの情報編集」を指定役務として、同29年1月25日に登録査定され、同年2月24日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次の1ないし5のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
なお、申立人が本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は1及び3ないし5である。
1 登録第5544081号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 別掲1のとおり
指定商品及び指定役務
第35類「広告業,広告に関する情報の提供,商品の見本市又は展示会の企画・運営又は開催,広告用ビデオの制作,インターネットにおけるホームページによる広告用スペースの提供,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の売上又は売上ランキング情報の提供,商品の価格・販売店舗に関する情報の提供,その他の商品の販売に関する情報の提供,インターネットによる商品の売買契約の媒介,ゲームソフトの売上又は売上ランキング情報の提供,商品の購入契約に関する相談・助言・指導,商品の売買契約の代理・取次ぎ・媒介及びこれらに関する情報の提供,商品の流通に関する経営の指導・助言及びこれに関する情報の提供,インターネットサイトホームページ上のコミュニティサイト事業の運営,景気動向の分析,ホテルの事業の管理,事業内容・事業規模その他の企業の概要に関する情報の提供,その他の企業情報の提供」を含む、第9類、第35類、第36類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
出願日 平成24年5月16日
設定登録日 平成24年12月21日
2 登録第5570784号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品及び指定役務
第9類及び第38類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
出願日 平成24年7月9日
設定登録日 平成25年3月29日
なお、第35類、第43類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の役務について防護標章登録されている。
3 登録第5768331号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 LINE(標準文字)
指定商品及び指定役務
第35類「広告業,広告に関する情報の提供,商品の見本市又は展示会の企画・運営又は開催,広告用ビデオの制作,インターネットにおけるホームページによる広告用スペースの提供,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の売上又は売上ランキング情報の提供,商品の価格・販売店舗に関する情報の提供,その他の商品の販売に関する情報の提供,インターネットによる商品の売買契約の媒介,ゲームソフトの売上又は売上ランキング情報の提供,商品の購入契約に関する相談・助言・指導,商品の売買契約の代理・取次ぎ・媒介及びこれらに関する情報の提供,商品の流通に関する経営の指導・助言及びこれに関する情報の提供,インターネットサイトホームページ上のコミュニティサイト事業の運営,景気動向の分析,ホテルの事業の管理,事業内容・事業規模その他の企業の概要に関する情報の提供,その他の企業情報の提供」を含む、第9類、第16類、第28類、第35類、第36類、第38類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
出願日 平成25年1月31日
設定登録日 平成27年6月5日
4 登録第5798250号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定役務
第35類「広告業,インターネット上の広告スペースの貸与」を含む、第35類に属する商標登録原簿に記載の役務
出願日 平成26年12月10日
設定登録日 平成27年10月9日
5 登録第5757363号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 LINEバイト(標準文字)
指定商品及び指定役務
第35類「インターネット又は携帯電話を利用した求人情報の提供,インターネットを利用した職業のあっせん及び求人情報の提供,求人に関する広告の代理,求人情報の提供の代行・媒介又は取次ぎ」を含む、第9類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
出願日 平成26年12月1日
設定登録日 平成27年4月10日

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第8号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第52号証を提出した。
1 引用商標の周知著名性
申立人は、平成12年9月に設立されたハンゲームジャパン株式会社を前身として設立され、その後NHNJapan株式会社の名称を経て、平成24年4月1日にLINE株式会社に名称変更を行った(甲10)。そして、申立人は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに、家族や友人・恋人など、身近な大切な人との関係性を深め、絆を強くするコミュニケーション手段こそが日本のみならず、世界中で求められていると考え、平成23年6月にモバイルメッセンジャーサービス(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「LINE」を開始した。「LINE」は、スマートフォン、タブレット、パソコンの電子端末で利用できる無料通信アプリケーションであり、災害時に有効とされる既読機能を始め、インターネット電話やテキストチャットなどの機能も有している(甲11、甲26)。
「LINE」は、学生を中心とする若者の間で、瞬く間に爆発的なヒットとなった。我が国を始め、アジア地域の国々を中心に、世界中の人々に利用されるようになり、平成23年末にはダウンロード数1,000万件を突破した。また、「LINE」の登録者は、サービス開始19ヶ月後の平成25年1月には、世界で1億人を超え、その半年後には2億人、さらに、その半年後には3億人、そして、平成26年10月には5億6,000万人突破という驚異的な伸びを記録してきた(甲31)。
「LINE」のアクティブユーザー数は、平成28年12月時点では、全世界で約2億2,000万人となっており、日本、台湾、タイ及びインドネシアの主要4ヶ国で約1億7,000万人に及んでいる。特に、我が国における人気・普及度はめざましく、ユーザー数は、平成27年6月には5,800万人、平成28年1月には6,600万人を超え、実に我が国総人口の半数を超える数に及んでいる(甲16)。そして、世代別の利用率は、10代後半と20代の若者世代では、90%以上が利用しており、これら世代の間では、「LINE」を利用していない人を探すことが難しい状況である。また、全世代における利用率も55%に及んでおり、「LINE」は、老若男女を問わず、あらゆる世代の国民に親しまれ、利用されているのである(甲15、甲17、甲23?甲25、甲28、甲29)。
なお、総務省の平成27年版情報通信白書によれば、代表的なSNSの1年内の利用については、「LINE」が37.5%で、第1位となっている(甲14)。また、SNS利用者の利用満足度についても、77.9%と第1位にランキングされ、利用者の高い満足度を獲得している(甲15)。
引用商標1ないし4は、申立人のハウスマークであると共に、モバイルメッセンジャー事業を表示するものとして、そのサービス開始以来、継続的かつ盛大に使用されてきた。そして、申立人は、メッセンジャーサービス以外に、広告業、携帯電話通信事業、電子マネー・クレジットカードサービス、オンラインゲームの配信、音楽や写真アプリの提供、オンラインニュース配信、オンラインによる漫画や占いの提供、アルバイト情報の提供、さらには、人工知能を利用した製品・サービスの提供等、幅広い事業活動を展開している(甲16)。これらの事業は、6,000万人を超えたLINEユーザーとの「つながり」を利用したものが多く、「LINE」商標と共に、「LINE」を中核・主要部とする「LINE」関連商標が使用されている。例えば、ニュース配信サービスの「LINE NEWS」は、通信アプリ「LINE」内にタブを新設してユーザー数を大きく増やし、平成29年3月には月間ユーザー5,900万人を記録した(甲18、甲27)。また、「LINE」アプリで使用できる電子マネーサービスの「LINE Pay」は、平成26年12月にサービスを開始し、平成29年1月にはユーザー数が全世界で1,000万人を突破した(甲22)。さらに、携帯電話通信事業には、「LINE MOBILE」、音楽ライブ配信には、「LINE LIVE」、アルバイト情報の提供には、「LINEバイト」のように、いずれも「LINE」を中核とする「LINE」関連商標が使用されている(甲16)。
申立人の事業に関する売上収益は、平成25年度は395億円、平成26年度は864億円、平成27年度は1,200億円、そして、平成28年度には1,400億円超の売上収益を達成しており、短期間に著しい伸びを記録している(甲44)。なお、平成28年の世界のアプリ収益ランキングにおいて、「LINE」は、第7位にランキングされており、また、国内のゲームを除いたアプリ収益ランキングでは第1位を維持している(甲21)。
申立人は、積極的なテレビCMを継続的に展開している(甲41)。サービス開始後の平成23年11月から現在までに、約50本のテレビCMを行っている。申立人のテレビCMは、LINEスタンプのキャラクターが登場するユニークCMとして注目を浴び、最近では、人気タレントを起用し、ユニークで訴求力の高いテレビCMとして好評を博している(甲42)。これらテレビCMは、平成23年は4,000GRP、平成25年は8,000GRP、平成26年には1万5,000GRP、平成27年には2万3,000GRP、平成28年には1万8,000GRPを記録している(GRPは、「グロス・レイティング・ポイント」の略であり、ある期間中に放映したCMの各巻の世帯視聴率の合計である。)(甲41)。首都圏や大阪・名古屋では、1GRPに要する広告費は約10万円とされており、申立人が「LINE」、「LINEバイト」商標及びその関連事業に莫大な宣伝広告費をかけてきたことは明らかである。さらに、申立人は、自己のホームページ、ウェブサイト上、雑誌等でも積極的な宣伝広告活動を行っている。
また、申立人は、LINEスタンプのキャラクターを利用した商品化事業を行っており、LINE FRIENDSショップやオンラインサイトを通じて多数の商品を販売している(甲45)。そして、多数の有名企業とのコラボレーションも積極的に展開している(甲46?甲49)。
申立人は、企業のためにLINE公式アカウントやLINE@を提供している。これらサービスは、6,000万人を超えるLINEユーザーに、企業や店舗・施設情報を発信することができ、LINEユーザーとの「つながり」を強めることができるとして、多数の企業や店舗が導入している(甲43)。LINE公式アカウントを通じた情報発信は、企業にとっても重要なマーケティング手法になっている。LINE経由で発信したメッセージはメールと比べて反応速度が早く、買い忘れ防止など、緊急度の高いメッセージの配信に利用され、大手企業や芸能人・著名人の間で広く利用されている。他方、LINE@は、安価に登録できるツールであるため、店舗や施設において利用され、2014年1月の時点で10万を超える登録数を有している。
以上のように、申立人の絶え間ない営業努力と巨額を投じた宣伝広告活動があいまった結果、引用商標「LINE」は、学生を中心とした若者世代のみならず、老若男女を問わず、あらゆる世代の国民の間で広く認知されるに至っており、本件商標の出願時である平成28年7月21日には既に、申立人の業務に係る役務を表示する商標として広く認識されるに至っており、本件商標の登録時及びそれ以降、更にその著名性を高めているのである。
申立人は、引用商標2を原登録商標として、平成26年4月18日に防護標章登録出願を行い、第35類、第43類及び第44類の役務を指定役務として、平成27年3月20日に防護標章登録を受けている(登録第5570784号の防護標章登録第1号)(甲8)。したがって、引用商標2は、本件商標の出願日である平成28年7月21日の時点において、既に著名性を獲得していたということである。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「就活LINE」の文字を標準文字をもって左横書きに書して成るところ、「就活」の文字部分と「LINE」の文字とは、文字の種類が異なるため、視覚上分離して看取され易いものである。そして、「就活」の文字は、「就職活動、職業に就くための活動」の略語として、広く一般的に使用されているため(甲7)、本件商標の指定役務中「求人活動・採用活動に関する助言及び指導,経営の診断又は経営に関する助言,インターネット又は携帯電話を利用した職業のあっせん又は人材の紹介,職業のあっせん,派遣社員の募集,求人情報の提供(人材派遣によるものも含む),求人情報の提供に関する指導及び助言,インターネットを利用した職業のあっせん及び求人情報の提供」との関係においては、自他役務の識別標識としての機能を有しないものである。さらに、本件商標中の「LINE」の文字は、上述のとおり、申立人の業務に係る商品役務を表示するものとして高い著名性を有しており、当該文字部分が、取引者、需要者に対し商品役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであることを総合的に勘案すれば、本件商標からは、「ライン」の称呼が生じ、「申立人の周知・著名商標である『LINE』」の観念が生じるものである。
他方、引用商標1、3及び4からは、構成中の「LINE」の文字部分に相応して、「ライン」の称呼が生じ、「申立人の周知・著名商標『LINE』」の観念が生じるものである。また、引用商標5中の「バイト」の文字は、アルバイトの略語として、広く一般的に使用されており、「LINE」は申立人の周知・著名商標であるため、引用商標5の強く支配的な印象を与える部分は、「LINE」の文字部分であって、引用商標5からは、「ラインバイト」の称呼の他「ライン」の称呼も生じ、「申立人の周知・著名商標である『LINE』」の観念が生じるものである。
以上より、本件商標と引用商標1及び3ないし5とは、称呼及び観念を共通にする類似商標であって、本件商標の指定役務は、引用商標1及び3ないし5の指定役務と同一又は類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第15号について
上述したとおり、申立人及び申立人の関連企業による継続的かつ積極的な営業活動及び宣伝広告活動により、引用商標は、本件商標の出願日である平成28年7月21日及び登録査定日である平成29年1月25日の両時点において、申立人の業務に係る商品・役務を表わすものとして、高い著名性を獲得していた。平成26年6月には、「LINE」の全世界でのダウンロード数は10億件を突破しており(甲32)、同年7月の我が国でのユーザー数は5,000万人を超えており(甲50)、そして、当時の我が国の「LINE」利用率は20代では80%以上、全体でも50%を超えていたのであるから、本件商標の出願時には、引用商標は、需要者、取引者の間で広く認識されるに至っており、本件商標の登録時及びそれ以降も、その著名性を維持していることは明らかである(甲33)。
本件商標は、申立人の著名商標である「LINE」の文字を構成中顕著に含む態様であって、「就活」の文字が役務の質や内容を表す語として一般に使用されており、自他役務の識別標識としての機能は有しないことを考慮すれば、本件商標と引用商標とは高い類似性を有するものである。
そして、SNS広告が全盛の今日において、本件商標の指定役務中の「広告業」は、「LINE」商標が高い著名性を有するモバイルメッセンジャーサービス(SNS)と密接な関連性を有するものである。事実、申立人も広告事業には従来より注力しており、LINEのメッセンジャー型広告、パフォーマンス型広告は、近年売上が急成長している。平成28年度においては、広告事業の売上が120億円を突破し、申立人の事業全体の40%を占めるに至っている(甲51)。また、申立人のアルバイト・就職情報サービスである「LINEバイト」は、アルバイト応募者と企業採用担当者が応募から採用までのコミュニケーションをLINEで受け取ることができる「LINE応募」機能が好評を博し、サービス開始から僅か1年で会員数1,000万人を突破するに至っている。したがって、本件商標の指定役務「企業の人事・労務管理・求人活動・採用活動に関する助言及び指導,経営の診断又は経営に関する助言,インターネット又は携帯電話を利用した職業のあっせん又は人材の紹介,職業のあっせん,派遣社員の募集,求人情報の提供(人材派遣によるものも含む),求人情報の提供に関する指導及び助言,インターネットを利用した職業のあっせん及び求人情報の提供」は、申立人の業務と密接な関連性を有するものである。さらに、申立人は、アルバイト・就職情報の提供、広告業の他、携帯電話通信サービス、電子マネー・クレジットカードサービス、オンラインゲームの配信等、広範かつ多角的な事業展開を行っている。
してみれば、本件商標を、その指定役務に使用した場合、取引者・需要者は、申立人の関連会社、あるいは申立人と経済的・組織的に関係を有する者が提供する役務であるかのように誤認し、役務の出所について混同を生じるおそれがあることは明らかである。
なお、上述の防護標章登録第5570784号の1は、第35類の「求人情報の提供,インターネットを介して行う求人情報及び求職晴報の提供,求人に関する情報の提供及びコンサルティング,求人企業に対する求職者の履歴書の発送の代行,求人に関する情報の提供,就職希望者に対する求人情報の提供及びコンサルティング,企業の求人・採用活動・人事・労務管理に関する指導及び助言,求人に関する広告の代理」を指定役務として登録されている。すなわち、他人が、引用商標2をこれら役務に使用した場合には、混同が生じるおそれがあるとの認定を受けているのである(甲8)。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、他人すなわち申立人の著名な略称である「LINE」を含む商標であるから、商標法第4条第1項第8号にも該当するものである。
本件商標中の「LINE」の文字は、申立人及びその関連会社の略称として、盛大に使用されてきた結果、我が国のあらゆる世代の人々に親しまれ、商標法第4条第1項第8号の保護対象たる人格権が多大に化体したものである。実際、申立人の子会社・関連会社の中には、「LINE」を冠した会社名が多数存在する。
主なものとして、LINE Plus株式会社、LINE Business Partners株式会社、LINE PLAY株式会社、LINE Pay株式会社、LINE Ventures株式会社、LINEモバイル株式会社、LINE MUSIC株式会社等を挙げることができる(甲9)。
申立人及び申立人の関連企業による積極的な営業活動及び宣伝広告活動により、本件商標の出願日である平成28年7月21日及び登録査定日である平成29年1月25日の両時点において、「LINE」は申立人の略称として極めて広く認識されていたことは明らかである。そして、本件商標は、申立人の承諾を得ないで出願されたものであるから、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。

第4 取消理由の通知
審判長は、本件商標権者に対し、本件商標は、その指定役務中「広告業,企業の人事・労務管理・求人活動・採用活動に関する助言及び指導,経営の診断又は経営に関する助言」については、商標法第4条第1項第11号に該当し、「インターネット又は携帯電話を利用した職業のあっせん又は人材の紹介,職業のあっせん,派遣社員の募集,求人情報の提供(人材派遣によるものも含む),求人情報の提供に関する指導及び助言,インターネットを利用した職業のあっせん及び求人情報の提供,コンピュータデータベースへの情報編集」については、同法第4条第1項第15号に該当する旨の取消理由を平成29年10月12日付けで通知した。

第5 本件商標権者の意見
本件商標権者は、上記第4の取消理由に対し、何ら意見を述べるところがない。

第6 当審の判断
1 引用商標1ないし4の周知性について
(1)申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば、次の事実を認めることができる。
ア 申立人は、ハンゲームジャパン株式会社として平成12年9月に設立され、その後、平成25年4月1日にLINE株式会社に名称変更を行った(甲10、甲16)。
イ 申立人は、平成23年6月に無料通信アプリケーション「LINE」(以下「申立人アプリ」という。)によるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)(以下「申立人役務」という場合がある。)の提供を開始した(甲10、甲16)。
ウ 我が国における申立人アプリのユーザー数は、平成26年4月には5,000万人、平成27年には5,800万人、平成28年には6,600万人であった(甲13、甲16)。
エ 申立人は、申立人役務について、提供開始当初から引用商標2を申立人アプリのアイコンとして使用するなど、引用商標1ないし4を使用している(甲16、職権調査:申立人ホームページ(https://linecorp.com/ja/)など)。
オ 申立人は、アルバイト求人情報サービス、ニュース配信サービス、電子マネーサービス、携帯電話通信事業、音楽ライブ配信等の業務を行い、これらの業務に引用商標1ないし4を使用している(甲10、甲16、甲18、甲22、甲52、職権調査)。
(2)上記(1)の事実によれば、引用商標1ないし4(以下、これらをまとめて「申立人使用商標」という。)は、いずれも申立人の業務に係る役務(ソーシャル・ネットワーキング・サービスの提供)を表示するものとして、本件商標の登録出願日前から需要者の間に広く認識されている商標であって、その状況は本件商標の登録査定日はもとより、現在まで継続しているものと判断するのが相当である。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「就活LINE」の文字からなり、その構成文字が漢字と欧文字であることから、容易に「就活」と「LINE」の2語を結合してなるものと認識し得るものである。
そして、該「LINE」の文字は、上記1のとおり、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている引用商標1、3及び4の構成文字「LINE」と同一の文字であることから、本件商標に接する取引者、需要者が該文字に着目することが少なくないもの、すなわち、取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと判断するのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成中「LINE」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものであって、該文字に相応し「ライン」の称呼、「(申立人のブランドとしての)LINE」の観念を生じるものといわなければならない。
(2)引用商標1、3及び4
引用商標1及び4は、別掲1及び3のとおり、また、引用商標3は、上記第2の3のとおり、いずれも「LINE」の文字からなるものであるから、該文字に相応し「ライン」の称呼を生じ、これらはいずれも上記1のとおり、需要者の間に広く認識されている商標であるから、「(申立人のブランドとしての)LINE」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標1、3及び4の類否
本件商標と引用商標1、3及び4(以下、これらをまとめて「11号引用商標」という。)の類否について検討すると、上記(1)のとおり本件商標の要部である「LINE」の文字は、11号引用商標と、外観において「LINE」の構成文字を、称呼において「ライン」の称呼を、観念において「(申立人のブランドとしての)LINE」の観念を共通にするものである。
そうすると、本件商標と11号引用商標は、外観、称呼及び観念を共通にする類似の商標というべきものである。
(4)本件商標と11号引用商標の指定役務の類否
本件商標の指定役務中「広告業」は、引用商標1及び3の指定役務中「広告業,広告に関する情報の提供,商品の見本市又は展示会の企画・運営又は開催,広告用ビデオの制作,インターネットにおけるホームページによる広告用スペースの提供」及び引用商標4の指定役務中「広告業,インターネット上の広告スペースの貸与」と同一又は類似の役務であり、また、本件商標の指定役務中「企業の人事・労務管理・求人活動・採用活動に関する助言及び指導,経営の診断又は経営に関する助言」は、引用商標1及び3の指定役務中「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の売上又は売上ランキング情報の提供,商品の価格・販売店舗に関する情報の提供,その他の商品の販売に関する情報の提供,インターネットによる商品の売買契約の媒介,ゲームソフトの売上又は売上ランキング情報の提供,商品の購入契約に関する相談・助言・指導,商品の売買契約の代理・取次ぎ・媒介及びこれらに関する情報の提供,商品の流通に関する経営の指導・助言及びこれに関する情報の提供,インターネットサイトホームページ上のコミュニティサイト事業の運営,景気動向の分析,ホテルの事業の管理,事業内容・事業規模その他の企業の概要に関する情報の提供,その他の企業情報の提供」と同一又は類似の役務である。
なお、本件商標の他の指定役務は、11号引用商標の指定役務と同一又は類似の役務とはいえない。
(5)小括
上記のとおり、本件商標は、11号引用商標と類似する商標であって、本件商標の指定役務中「広告業,企業の人事・労務管理・求人活動・採用活動に関する助言及び指導,経営の診断又は経営に関する助言」は、11号引用商標の指定役務と同一又は類似の役務である。
したがって、本件商標は、その指定役務中「広告業,企業の人事・労務管理・求人活動・採用活動に関する助言及び指導,経営の診断又は経営に関する助言」について、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)上記1のとおり、申立人使用商標は、いずれも本件商標の登録出願日前ないし登録査定日において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標である。
(2)上記2のとおり、本件商標は、11号引用商標と類似する商標である。
また、引用商標2は、別掲2のとおり、緑色の隅丸四角形内に吹き出しを白抜きし、その中に「LINE」の緑色の文字を配してなり、その構成態様から、中央に顕著に表された「LINE」の文字部分が要部といえ、該文字に相応し「ライン」の称呼を生じ、「(申立人のブランドとしての)LINE」の観念を生じるものである。
そうすると、本件商標と引用商標2とは、上記2と同様の理由により類似する商標といえる。
してみれば、本件商標は、申立人使用商標のいずれとも外観、称呼及び観念を共通にする類似の商標であって、両者の類似性の程度は高いといえる。
(3)申立人は、申立人役務の提供を行うほか、申立人役務を介してアルバイト求人情報サービス、ニュース配信サービス、電子マネーサービスなどの業務を行っている(上記1(1)イ、オ)。
そして、本件商標の指定役務中「インターネット又は携帯電話を利用した職業のあっせん又は人材の紹介,職業のあっせん,派遣社員の募集,求人情報の提供(人材派遣によるものも含む),求人情報の提供に関する指導及び助言,インターネットを利用した職業のあっせん及び求人情報の提供」と、申立人が行っている業務「アルバイト求人情報サービス」は、いずれも仕事の紹介に係るものであるから、両者の関連性の程度は高いものといえ、また、両者は需要者を共通にすることが少なくないものといえる。
また、申立人の提供する役務は、いずれもコンピュータにより提供される役務であり、本件商標の指定役務中「コンピュータデータベースへの情報編集」と、申立人が行っている業務とは、共にコンピュータやインターネットの利用者であり、需要者を共通にするものであって、関連性を有するものといえる。
(4)上記(1)ないし(3)の事情を総合してみると、本件商標の登録出願の時及び査定時において、商標権者が本件商標をその指定役務中「インターネット又は携帯電話を利用した職業のあっせん又は人材の紹介,職業のあっせん,派遣社員の募集,求人情報の提供(人材派遣によるものも含む),求人情報の提供に関する指導及び助言,インターネットを利用した職業のあっせん及び求人情報の提供,コンピュータデータベースへの情報編集」に使用した場合、これに接する需要者が引用商標を想起、連想し、当該役務を請求人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、その指定役務中、上記指定役務について商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
4 まとめ
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、その指定役務中「広告業,企業の人事・労務管理・求人活動・採用活動に関する助言及び指導,経営の診断又は経営に関する助言」については、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであり、同じく「インターネット又は携帯電話を利用した職業のあっせん又は人材の紹介,職業のあっせん,派遣社員の募集,求人情報の提供(人材派遣によるものも含む),求人情報の提供に関する指導及び助言,インターネットを利用した職業のあっせん及び求人情報の提供,コンピュータデータベースへの情報編集」については、同項第15号に違反してされたものである。
すなわち、本件商標の登録は、その全指定役務について、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 引用商標1(色彩は原本参照。)


別掲2 引用商標2(色彩は原本参照。)


別掲3 引用商標4(色彩は原本参照。)




異議決定日 2018-01-17 
出願番号 商願2016-78142(T2016-78142) 
審決分類 T 1 651・ 263- Z (W35)
T 1 651・ 271- Z (W35)
T 1 651・ 262- Z (W35)
T 1 651・ 261- Z (W35)
最終処分 取消 
前審関与審査官 根岸 克弘佐藤 松江 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 小松 里美
松浦 裕紀子
登録日 2017-02-24 
登録番号 商標登録第5926049号(T5926049) 
権利者 株式会社天職市場
商標の称呼 シューカツライン、シューカツ、ライン 
代理人 岩瀬 ひとみ 
代理人 塩谷 信 
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